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聖戦記エルナサーガ連載中 第三章
1 :あらすじ精霊 :2006/09/13(水) 00:04:17 ID:???
月刊ガンガンファンタジー平成5年4月号にて「聖戦記エルナサーガ」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
なお、この漫画は作者が魔精霊法で狂漫画家(ベルセルク)となることで
2日に1話ずつの速度で連載されるようだ。
ときどき魔精霊法が解呪されて休載になったり、
重度狂漫画家(アルヴァーリスト)にパワーアップして1日1話更新になる事もあるが気にしないでくれ。

ちなみに今日は月刊Gファンタジー平成10年8月号の発売日だ。

連載中スレの楽屋裏 第18幕
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1157025659/

連載中スレまとめサイト
http://rensaityu.bufsiz.jp/
連載中スレまとめWiki
http://rensai.qp.land.to/index.php?FrontPage

2 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 00:07:29 ID:???
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聖戦記エルナサーガ連載中 第二章
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3 :あらすじ精霊 1/4 :2006/09/13(水) 00:08:13 ID:???
   第56話 統雷魔剣(トゥアラテイン)

いまや、食魔草(レーラズ)によって覆い尽くされたアーサトゥアルの王城。
その中、ヴァーリは笑みを湛えながら、全種の狂戦士(ベルセルク)をグードランド全土に展開、
通常軍も総攻撃をかけるよう、ゲイルと近侍の騎士に命令を下す。
今までの攻撃で十分ではありませんか、と異を唱えるゲイル。
だが、ヴァーリは笑みを浮かべたままで、これは実験でもある、と答える。
神の御業……我々を造ったものを知る手だてでもあるのだ。
しかし、ゲイルは従わない。このままでは世界が滅びてしまいます。
私はヴァーリ様が仇を討たれ、正統な王になられるのだと思ったからこそお仕えしたのに。
やはりヴァーリ様は、魔境であの…
言いかけたゲイルの首が、ヴァーリの絶凍気炎(ジューブフリーザ)によって消し飛んだ。

「命令を伝達せよ すぐにだ」

怒りの形相で命じるヴァーリの前から、逃げるように退出する近侍の騎士。
今、アーサトゥアルによるグードランド総攻撃の狼煙が上げられたのだった。

一方、ラタトスクとアースムンドは互いにエルナの知己であることを知り、打ち解け合っていた。
今、アーサトゥアルの戦を指揮しているのはエイリーク王ではなく、
魔境より還ったヴァーリという魔導士だということをエルナに伝えに来た、というアースムンド。
あの全てに死をもたらす魔境から、人が生きて還ってくるなどありえない。
おそらくは…………いや…これは推測に過ぎぬが……

血を吐きながらも、ヴァーリのことを考え続けるエイリーク。
おまえは何者なんだ? 魔境から生きて戻るとは…首を落としても死なぬとは。
わかっている。答えは一つ…すでに冥府の者で、誰かの使い魔としてよみがえった…
誰の…? まさか…

ゲイルも、アースムンドも、エイリークも、その脳裏に浮かんだ大いなる影の形は同じだった。
魔風を生み出し、凶々しい三つの目で世界を睥睨する、巨大な存在――
魔獣、フレースヴェルグ。

4 :あらすじ精霊 2/4 :2006/09/13(水) 00:08:46 ID:???
おまえを助けてやろう。もう一度命をくれてやろう。同じ捨てられた者として…
食魔草が壁を這う部屋の中で、ヴァーリはあの日のことを思い出す。
肉を削ぎ骨を砕く魔風の中で、自分にそう語りかけてきた、凶々しき三つの目。
あの時、ヴァーリは主の使い魔としてよみがえったのだ。
だが、ヴァーリは使い魔になりさがったままで済ませるつもりはなかった。
調べていたのだ。主のことを。
神と同じ業を使い、実験に実験を重ねて、神の最強の被造物である主の、臓腑の造り、血の流れを。
誰にも止められぬ。貴様にも、世界の滅びにも…

(私が王となることを)

エイリークは幻覚にうなされていた。
はるか遠くの地で、狂戦士に襲われ殺される民草たち。
その中に混じって、エイリークも狂戦士の爪に貫かれる。
悲鳴を上げるエイリークを心配して扉を叩くシグルーンに、幻覚だ、と答えるエイリーク。
でも、エルナはこんな風に、人の苦しみを感じているのかもしれない。

(これが エルナの痛み…)

まだ他にもすべきことがあったことを思い出し、立ち上がるエイリーク。
鳥籠の中のカルルに、エイリークは統雷魔剣(トゥアラテイン)を渡そうとする。
この統雷魔剣をふさわしい主のもとに届けてほしい。エルナのところへ…
前のようにヴァーリの使い魔たちに襲われぬよう、強力な護符をつけよう。
あとはカルルの勇気しだいだった。
エイリークの言葉に、素直に怖いと答えるカルル。
でも、エイリーク様もエルナ姫も、もっとつらい思いをされてるんだよね…
護符の力でカラスの群れを退けながら飛び立つカルルを見送るエイリーク。
エルナになら、その剣が抜けるのだろう。
エイリークがせめてエルナのためにできること。これは、エルナへの敬意。
エルナへのあがないの、最後の証…
魔法でエイリークの姿に転じたカルルの手から。
今、ついに、統雷魔剣が真なる主の――エルナの手に渡されようとしていた。

5 :あらすじ精霊 3/4 :2006/09/13(水) 00:09:17 ID:???
竜の背で、シャールヴィは意識を取り戻した。
召喚もしないのに、しかも前と同じ竜が現れたことを訝るシャールヴィ。
その目が、竜の首筋に円列状に並ぶ白い斑点を見つける。
あの星…なにか歯形のような…
思い出される記憶。エルナとシャールヴィを乗せ、竜の牙に食いつかれて絶命した、かつての愛馬。
ゴルム。

(まさか…… 召喚に応じる竜は 愛馬の生まれ変わりだなどというが…)

そのシャールヴィの傍らで、カルルの変身したエイリークの姿を見上げ叫ぶエルナ。
その手が統雷魔剣の柄に伸びる。
ついに引き抜かれるアーサトゥアルの王の剣。
その瞬間、莫大な量の魔法が流れ込み、シャールヴィの傷が一瞬にして治ってゆく。
魔法を使えないながらも統雷魔剣の力を感じたのか、エルナは力強くシャールヴィに語りかける。

「シャールヴィ! 大丈夫っ コレッ 勝てるかもしれないよっ」

右手に統雷魔剣、左手に聖短剣。
エルナの両手に握られた二つの剣が交差したその瞬間、凄まじい反魔法が狂戦士を一瞬で塵にした。
そのデタラメな威力に、緊迫した状況も忘れてギャグ顔で驚愕するシャールヴィ。
アーサトゥアルの統雷魔剣がこんなとんでもねーもんとは。
いや、しかもその剣が、なんでいきなりこんなトコに来たんだ!?
だが、今はそんなことを気にかけている場合ではない。
早いとこ離宮へ行こう、とエルナを促すシャールヴィ。
だが、エルナの目は、いつのまにか地上を進軍する狂戦士軍を捉えていた。
狂戦士軍だけではない、夜にしか動かないはずの通常軍まで総攻撃を開始している。
破壊される町並みと蹂躙される人々を助けるべく、
シャールヴィの制止を無視して竜に地上に降りるよう懇願するエルナ。
だが、地上の混乱のただ中、一人狂戦士の群れに立ち向かう修道士の姿があった。
あれは…あの人は!

「アースムンド様!」

6 :あらすじ精霊 4/4 :2006/09/13(水) 00:09:48 ID:???
アースムンドが唱える呪文は、シャールヴィも聞いたことのないものだった。

「熱核雷粒(シャーングラナート) 閉じよ 冥暗獄(メルークホル)」

凄まじい熱量が狂戦士を砕き、その爆発が空間を閉ざされ消滅する。
喜びの声を上げるエルナに気付き、アースムンドは顔を上げる。
修道会は禁呪である熱核(シャーン)系を、冥暗獄との併用に限定してその禁を解きました。
下位呪文をせいぜい一日二、三度しか使えませんが、五千の僧が修道会より参戦いたします。
その言葉に答えるように、竜の横を通って戦場に駆けつける修道会の空馬(グリフォン)隊。
さらに、アーサトゥアルの通常軍に攻撃を仕掛ける部隊があった。

「おっ エルナじゃねーか」

快活な声でエルナの名を呼ぶその男は、ラタトスク。
ここの通常軍はまかせな! 援軍もまだまだ来るぜえ!
エルナの表情が変わっていた。戦いを前に緊張したものではない、力強い笑顔へ。
離宮へ行こう!
エルナがそう断言したとき、雲を抜けて飛竜を駆るラヴァルタが追いついてきた。

(力が… 力が集まってくる)

ラヴァルタ。ゴルム。ラタトスク。アースムンド。そして、統雷魔剣。
エルナのかかわったところから、彼女の迷いをほどき、目指すべきところへ高め上げる。

(奇跡か……? いや… それともこれが こいつの力なのか……)

狂戦士の群れに襲われる離宮に到着したエルナたち。
統雷魔剣と聖短剣の力が、次々と狂戦士を打ち砕く。
だが、数があまりにも多すぎる。剣を振るため、統雷魔剣を握るシャールヴィ。
エルナとシャールヴィ、二人の活躍が、ついに全ての狂戦士を撃ち滅ぼした。
勝てるぜこの戦!! 喜ぶシャールヴィ。
だが、エルナは何を思うのか、この戦勝の中にあって無表情に沈黙していた。

7 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 00:18:45 ID:???
おおお〜燃える展開キター!!
ゴルムキター!統雷魔剣スゲー!!

8 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 00:21:52 ID:???
すご…!
ヴァーリ様が地団駄踏むお姿が見えるようです
ゴルムドラゴンは嬉しいね!

9 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 01:01:27 ID:???
竜が愛馬の生まれ変わりってあっさり殺されたゲイルに竜騎士が言ってたことだよね?
あの頃からずーっとこの展開考えてたんだろうか・・・
つーかどれだけ気の長い伏線だよw

でも超燃え

10 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 04:19:26 ID:???
ゴルムドラゴンは凄いね。
この竜を召喚したときから歯形つきだったんだから、あの時点で既にゴルムドラゴンだったんだよな。
凄いなあ。伏線の張り方が。

11 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 09:35:47 ID:???
大逆転だな
今まで散々ストレス溜まってたからすげえ爽快感がある
このノリならエイリークも助かりそうでよかったよかった
やっぱ物語はハッピーエンドじゃないとねー

12 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 16:33:46 ID:???
ゴルム復活は嬉しいなあ
あの白い点々なんかあるんだろうなーとは思ってたけど歯形とは…
でも今月読む限りじゃ大集合はこれで終わりなのかな
なんかエイリークが思い残すことないようがんばってるように見えて不吉なんだけど…

13 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 17:11:32 ID:???
しかし、生まれ変わったとすると、
ゴルムが死んだ時点で産まれたとして、ものごっつ成長早すぎないか?
魂が入ったとかだろうか?

14 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 18:24:28 ID:???
>>13
このギムレーにおいて竜の生態は未だに良く判っていないから、育つスピードも普通の生物とは全く違うのかもしれない。
或いは魔境にいきなり成体が出現するのかもしれん。

15 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 19:35:05 ID:???
実はあれで生後一ヶ月。
のちに魔獣と同じ大きさまで育って、怪獣大決戦をやる!

16 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 20:06:21 ID:???
>>15
素晴らしい
怪獣大決戦最高です
そんな成長速度なら卵を残せば、例え親がやられても双子の子供たちが仇を討ってくれる

17 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 21:40:00 ID:???
竜ゴルムはただ飛んでるだけだな。
炎吹いたり、狂戦士に齧りついたりすりゃいいのに。

18 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 23:04:13 ID:???
熱核雷粒(シャーングラナート)…
熱核雷弾の下位呪文があるとは。
熱核系って、核兵器だよねえ。
でもさりげに冥暗獄(メルークホル)の方がすごそうな気がするんだが。


19 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 23:47:14 ID:???
>>17
元がグリフォンだから攻撃性が薄いのかも
飛ぶこと以外頭になかったりして

>>18
メルークホルって亜空間開いて爆発を消滅させてるって解釈でいいのかな
ぶっちゃけこれだけで十分敵倒せるよーなw

20 :マロン名無しさん :2006/09/13(水) 23:54:30 ID:???
つまりはティルトウェイトをふたつの魔法でやってるってことか。
核爆発を起こして放射能は封じ込め、その爆発力のエネルギーのみを取り出すってことで。

21 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 00:25:31 ID:???
つまりユアヴァーなんちゃらはマロールか

22 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 00:37:32 ID:???
いしの なかに いる

23 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 01:33:30 ID:???
>>22
それなんてWIZ?

颯爽と馬を駆る歯っ欠けラタに吹きだした。
ラタトスク、弓も扱えたんだなー。さすが盗賊。

24 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 01:43:38 ID:???
>>20-22
オサーンばっかのスレですね

25 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 02:28:00 ID:???
ラタ公の歯が復活してないのは良いなw

26 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 02:37:37 ID:???
気付かんかったw
ハゲワロスw

27 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 06:53:18 ID:???
歯は治癒魔法でも治らないんだなw

28 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 09:01:27 ID:???
ゲイルがあっさり殺されたことにも誰か触れてあげてください・・・

29 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 09:04:04 ID:???
ああ、そういや居たなそんなジジイ

30 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 09:45:44 ID:???
あんまりにもあっけなさすぎて全然印象に残らなかったな
まさに使い捨ての駒

31 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 11:11:46 ID:???
彼は彼で忠義の人だったのにねえ…

32 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 11:44:18 ID:???
回を追うごとに真人間になっていった感じだな
そのせいで今回の死にザマなわけだから救われねえが

33 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 12:02:03 ID:???
最初の頃の小悪党のままだったら魔精霊盛られて使い捨てられてたと思われ

34 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 14:10:08 ID:???
魔境で出会った時からしばらくは、かなり力になってくれただろうにねえ。
地盤も固めたし、もうどうでもいい存在になったんだろうな。

35 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 16:17:06 ID:???
でも狂戦士化させずあっさり殺したのは逆にヴァーリ様なりの慈悲だったのかも
一番実験に使いやすい奴だったろうに最後まで人間のまま生かしといたわけだから

36 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 21:51:00 ID:???
慈悲っつーかどう見ても口封じのために殺したとしか思えないんですが
ヴァーリの正体を知らない兵士が傍にいたわけだし

37 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 22:22:21 ID:???
ヴァーリって、使い魔になった時点で十代だと思うんだけど、
いま大人の姿なのが不思議だ。
使い魔になっても成長するのか?

38 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 22:49:26 ID:???
エイリークと戦ったときに指を伸ばしてたし、背中から翼も生やせるようだし
年月に合わせて姿を変形させるくらい簡単だぜ!ということなのでは?
魔境に追放された時点の顔かたちでのこのこアーサトゥアル入りしたら
あっという間に正体バレすると思う

ヴァーリのあの翼は魔獣から魔法の供給を受けるためのアンテナなのだと解釈しました
生来の魔力+魔獣から送られる魔力でパワーアップしたと考えると
エイリークの「熱核雷弾を使いこなせる人間が存在したとは」という言葉もなんとか納得がいく

39 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 22:51:29 ID:???
中身は14歳。

40 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 23:46:39 ID:???
>>38
元々それだけの魔力の持ち主だった可能性も
そっちのが暗君の私欲で栄光を失った悲劇の王子っぽい
まあエイリークがはてしなくかわいそうな子になるけど

41 :マロン名無しさん :2006/09/14(木) 23:48:47 ID:???
体は変化させられるけど首の回生呪は消さなかったのかな…
あれ修道院時代ばれなかったのだろうか世界樹コンピューターにも記録
されてたけど

42 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 00:54:15 ID:???
エイリーク対ヴァーリ(普通の人間)
今となってはあり得ないが見てみたかったなあ

43 :あらすじ精霊 1/3 :2006/09/15(金) 00:56:12 ID:???
   第57話 雷精ソーロッド

シャールヴィが振るう統雷魔剣と、エルナが握る聖短剣の反魔法が大型の狂戦士を撃ち滅ぼす。
地上を侵攻する通常軍は、ラタトスク率いる傭兵部隊が蹴散らし、
小型の狂戦士軍は修道会の部隊が熱核(シャーン)系魔法で倒してゆく。
エルナの下に集った人々の猛反撃の前に、アーサトゥアル軍は退却を開始したのだった。
ラタトスクやアースムンドとの再会を、エルナとシャールヴィは喜び合う。
アースムンドにねぎらわれ、みなさんのおかげです、と答えるエルナ。
特に…シャールヴィ。

「いつも私を守ってくれて ありがとう」

シャールヴィの手を握り、礼を言うエルナ。
明らかにいい雰囲気なのに、シャールヴィは照れて真っ赤になり、ぶっきらぼうな態度を取ってしまう。
おかげっていうんなら、あのゴルムや、あと、この剣のおかげってのもあるだろう。
シャールヴィがなぜか得意げに統魔雷剣を示したとき――

『私を勝手に使ったな』

突然、統魔雷剣がしゃべった。
驚く一同の前で、剣から美青年の姿に転じる統魔雷剣。

「天空の闇の王にして光の王 雷神ソウルの分御霊 雷精ソーロッドが
 地上の闇の王にして光の王エルナ姫に 御挨拶申し上げる」

茫然とする一堂の前で、エルナの手に口付けて貴族風の挨拶をする青年・ソーロッド。
突然のソーロッドの好意に嫉妬に狂い、いきなり見苦しい口喧嘩をはじめるシャールヴィ。
ソーロッドはソーロッドでシャールヴィをゴリラと見下す酷い態度だ。
その様を見ながら、アースムンドはソーロッドの言葉に思い悩んでいた。
闇の王にして光の王エルナ。確かにエルナはもとより闇の姫御子と呼ばれているが。
王とは何か? 光の王とは? 強大な魔法を持つ理想の王という意味ではなかったのか?
そして、エイリーク王が光の王でないとすれば……

44 :あらすじ精霊 2/3 :2006/09/15(金) 00:56:43 ID:???
アーサトゥアルでは、エイリークが今も魔精霊のもたらす病によって苦しんでいた。
シグルーンが食事を持ってきても、エイリークは食べようとしない。
この城ではシグルーン以外は全て敵。何が入っているかわからない。
そんなものを迂闊に食べて、最後の戦いを前に倒れるわけにはいかないのだ。
自分が負うべき苦しみをシグルーンにも背負わせてしまっていることを詫びるエイリーク。
だが、シグルーンは笑顔で、いいのよ、と答える。
食魔草(レーラズ)のトゲで手を傷だらけにしながら…

一方、城下町のアトリの家では、町の男たちが集会を開いていた。
アーサトゥアルの現在の状況に不審を感じ、エイリークに直訴しようとしていたのだ。
お城が変だと以前から主張していたのに相手にしてもらえなかった不満をぶつけるアトリ。
だが、ここでも母親に大人の話に入るなとつまみ出されてしまう。
ふてくされたアトリは城へ向かう。岩で塞がれた、城の中へ通じる抜け穴へ。
アトリと一緒にエルナと遊んでいた子供たちもまた、そこに集まっていた。
親たちが城へ行こうとしているのは、この子たちの家でも同じだったのだ。
だが、城門はたくさんの兵隊が守っている。
殺されちゃうよねえ、きっと……
この抜け道は、子供たちが親たちを救うための、唯一の希望だったのだ。
牛に抜け穴を塞ぐ岩を引かせて、抜け穴を開くアトリたち。
その穴を通り、アトリたちはついに城内への進入に成功する。
抜け穴から出たその先にいたのは、マントを編むために食魔草を摘んでいるシグルーンだった。
泥だらけで手も血まみれなのに、シグルーンが泣きながらアトリに言ったことはたった一つ。
恋い慕う人のことだけ。

「アトリ…… エイリーク様が…… 大変なの……」

アトリたちが差し入れてくれた食べ物を、エイリークに持って行くシグルーン。
たった二きれのパン。みんな、戦のせいでもうこんなものしか食べていないのだ。
泣き崩れるエイリークに、シグルーンは町の大人たちが直訴に来ようとしていることを伝える。
それを聞き、自分が守るべき民に危険が近づいていることを知るエイリーク。

(それまでに 私があの男を倒さなければ…)

45 :あらすじ精霊 3/3 :2006/09/15(金) 00:57:16 ID:???
一方、グードランドでは、戦勝の宴が開かれていた。
和気藹藹とした空気の中、ラタトスクが速攻でラヴァルタにちょっかい出してる。
酒を飲みながら、女王ヴァルゲスにこの勢いで一挙に攻めこむことを提案するシャールヴィ。
アーサトゥアルの基地はここからいく重にもあると反論する騎士に、
俺が竜で空から行く、とシャールヴィは断言する。
空馬(グリフォン)の魔導士二人ばかりも援護につけてくれれば、
エルナとソーロッドがいる限り、本城のエイリーク王まで攻めこむこともたやすい。
だが、その言葉に浮かない表情をするエルナ。
おまえまだ、エイリークは戦なんてするわけないなんて、思ってんじゃねーだろうな。
絡むシャールヴィに、エルナは静かな視線を返す。
その表情は、かつて感情的にエイリークを弁護したときのものとは全く異なっていた。
そこに助け舟を出すアースムンド。
私はそのことについてお知らせに参ったのです。
アーサトゥアルで戦を仕切っているのは、エイリーク王ではなく大魔導士(プレスト)ヴァーリ。
王はそれをおさえられずにいるのです。
アースムンドのもたらした情報にざわめく人々。
エルナも驚きを禁じえない様子だ。
だが、シャールヴィの切り替えは早かった。

「じゃあそのヴァーリをだ ぶっ殺しに行けば 戦は終わる」

エルナとヴァーリの関係を知るアースムンドは、言いづらそうにヴァーリの素性を説明しようとする。
だが、それを遮ったのはエルナだった。
待って…待ってください。
立ち上がり、毅然とした表情でエルナは自らの決意を口にする。

「私 アーサトゥアルには 行きません」

エルナの言葉に衝撃を受けるシャールヴィたち。
戦勝を祝うはずの宴に、ざわめきが波紋となって広がってゆく…

46 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 01:03:42 ID:???
統魔雷剣、さんざんいままでもったいつけといて、なんだこの軽そうなにーちゃんわー!!w

47 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 01:14:34 ID:???
なんか変な新キャラキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!w

48 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 01:23:49 ID:???
>突然、統魔雷剣がしゃべった。
えっ?? ( д)         ゚ ゚

49 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 01:58:16 ID:???
聖剣や炎魔剣も人型に変身するのかな
貴重な女キャラが増える予感!!!(゚∀゚)

50 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 01:59:06 ID:???
エイリークが不憫でならない。
こんなヤツが説教たれてたかと思うと…

51 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 02:02:23 ID:???
つーか変身できるんだったらさっさとエルナの前に姿見せろや

52 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 04:49:44 ID:???
トビラ見てなんだこのキャラと思って読んでたら、統魔雷剣かよ!
お前エイリークとエルナとで、口調全然違うじゃないか!

とひとしきり衝撃を受けてたら「闇の王にして光の王」!?
エルナが総取り?エイリークには何もない?

53 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 07:02:56 ID:???
シグルーンが健気過ぎて切ない…

54 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 10:29:35 ID:???
今月のシグルーン見てたら胸が詰まったよ…
女の子って恋をすると変わるんだね…

55 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 12:46:00 ID:???
自分のケガとか全く気にせずエイリークのことだけ心配してるってのはクるよなあ
指先のケガって大したことなさそうに見えてもメチャクチャつらいもんなのに

そういやシグルーンってクーアとか使えないのかな

56 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 12:47:02 ID:???
ドヴェルグ族だから、魔法が使えても弱いんじゃないかな。

57 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 16:25:50 ID:???
実は簡単に治せるけど健気な女を演出するためにこれみよがしにそのままにしてる説

58 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 18:44:28 ID:???
ヽ(>Д<)ノ シグルーンはそんな子じゃないやい!!

59 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 22:07:19 ID:???
エルナのことを鈍い鈍いと言ってたが、シャ−ルヴィも問題だ。
せっかくエルナが寄ってきてるのに照れて話題をそらす、
精霊なんかに露骨に嫉妬、
おまいは中学生か…

60 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 23:47:43 ID:???
あれはエルナからしてみれば最大限の好意表現だよなあ
せっかくのチャンスだったのにホントに馬鹿だ
まああんな公衆の面前で何ができるってわけでもないだろうけど

61 :マロン名無しさん :2006/09/15(金) 23:59:53 ID:???
>>57
ちょw
魔王の城で起こった奇跡www

62 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 02:12:54 ID:???
奇跡は起こらないから奇跡って言うんだよ

63 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 02:45:19 ID:???
つまり真の巨悪はシグルーンか
エイリークを誑かしアーサトゥアル女王の座を狙っているのだな

64 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 09:58:33 ID:???
これからエルナが初恋の人を取り戻すためにシグルーンと激闘を繰り広げるんですね!

65 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 10:17:41 ID:???
そういやエルナはエイリークの幻影も完全にスルーだな
直後にシャールヴィの手ェ握って脈アリアリだし宴会でもエイリークのこと触れなかったし
初恋からは完全に卒業しちゃったんだな

66 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 11:17:03 ID:???
久しぶりのアトリ登場にも誰か触れてあげて下さい・・・

67 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 12:41:48 ID:???
そっかー、アトリは今回初めてほんとに役立ってるのに。
エイリークにパンと、情報提供。

68 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 16:17:31 ID:???
手柄は全部シグルーンに持ってかれてるけどね

69 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 16:52:16 ID:???
シグルーン…恐ろしい子!!

70 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 19:44:39 ID:???
エイリークはちゃんとパン食べたのかな?
なんか性格的に子供達に返しちゃいそうでコワい…

71 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 20:14:38 ID:???
シャ−ルヴィの短絡的な戦略も彼らしくて、
アーサトゥアルに向かってもそれはそれで盛り上げると思うんだが、
エルナは行かないと言うし、どうなるんかね?

72 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 20:15:35 ID:???
エイリーク死なないよね?死なないよね?
最初の頃の印象が悪すぎて嫌いだったんだけど(エルナへのあんな言い方あるか!同じことを命じるにも誠意を示すくらいしろって)最近は…
ヴァーリを倒して魔獣討伐に参戦して欲しい

73 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 21:29:50 ID:???
でもレーラズって魔法を喰うから、魔精霊を解呪しても一緒にエイリーク固有の魔法も解呪しちゃうだろうから、奇跡が起こらない限りエイリークもあぼーんだと思う。

74 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 22:07:47 ID:???
>>70
手を付けずに返してしまったら子供達の親切を無にしたことになるから
やっぱり食べたんじゃないかなあ。

75 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 23:07:30 ID:???
>>73
聖短剣で解呪してすぐクーアかければ助かるはず
エルナは血迷ったこと言ってないですぐアーサトゥアル池!

76 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 23:09:09 ID:???
エイリーク生き残りの展開を考えてみた。

ヴァーリ戦(後|中)、食魔草、エイリークに食いつく→
食魔草、エイリークの魔法を吸い尽くす→
そこにエルナ登場→エルナ、聖短剣でザクザク→
エイリークの魔法をたっぷり吸った食魔草、反魔法であぼん→
出がらしになったエイリークだけ無事に残る

で、助かったけど疲労から倒れ伏すエイリークと、泣きながら
彼にすがりつくシグルーンを後におき、エルナはシャールヴィと
ともに最終決戦の地へと飛び立つ。

77 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 23:11:02 ID:???
被った…

78 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 23:14:29 ID:???
エルナが聖剣
シャールヴィが炎魔剣
エイリークが統魔雷剣

そんな最強パーティで魔獣を倒すと思っていた時期が俺にもありました

79 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 23:33:16 ID:???
実際は炎魔剣はヴァーリのものになって
エルナは聖剣と統魔雷剣の二刀流だもんな
エイリークに至っては生存すら危うい…

80 :マロン名無しさん :2006/09/16(土) 23:59:17 ID:???
むしろこれだけはっきり死亡フラグが立ってると逆に生き残るんじゃないかって気がする

81 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 08:21:17 ID:???
それにしても「みんなこんなものしか食べていないの」でパンだけってのが効くなあ。
序盤のアトリ一家の食卓を思い出して比較しちゃったよ。
あれでも「最近はこの程度しか作れなくて」「いやお前は腕がいいから」だったんだよなあ。

82 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 10:47:10 ID:???
バーリはんは普段何食べてるんだろう、とふと考えてなんとなくガクブルしてしまった

83 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 11:34:06 ID:???
どんな食卓想像したんだよw

84 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 13:33:25 ID:???
バーリはんは何も食べなくていいんだよ。
美少年さえいれば。

85 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 15:23:22 ID:???
使い魔って死んでるから、何も食べないでいいかと思ったら、
カルルはニーデリ食ってたな。やっぱ食べるのかな?

86 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 15:36:13 ID:???
「術者が死なぬ限りその身は不死身」これが比喩表現じゃないとすれば、
食事の必要は無いんだろうなぁ。飢え死にしないんだから。
しかし、仮に必要はなくても味覚や満足の感覚は失われておらず、ってとこ
じゃないの。

87 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 16:11:39 ID:???
本当に何も食べなかったら周りが怪しむだろうしな
必要なくてもカモフラージュのために食べてたんじゃねーの

88 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 16:31:33 ID:???
そういや、この世界の使い魔って要するにゾンビなんだよな

89 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 16:55:38 ID:???
ゾンビというと、腐ってる、知性は無く本能的な行動しかできない、という感じがするが。
腐臭を放つヴァーリは嫌だな。

90 :マロン名無しさん :2006/09/17(日) 22:46:00 ID:???
かゆ…
うま…

こうですか!?わかりません!><

91 :あらすじ精霊 1/6 :2006/09/18(月) 00:40:21 ID:???
アーサトゥアルへは行かない、この好機に攻め込まないというエルナに、宴の場は騒然となる。
だが、エルナは確信していた。自分には、他にすべきことがあることを。

「エルナは… 魔境へまいります」

   第58話 エルナの選択

戦などしている場合ではない。
今、日に日に強さを増す魔風、拡大する魔境にこそ目を向け、
対策を講ずるべきであるとはアースムンド様のお考えでもありました。
エルナの言葉を認めはしても、アースムンドは煮え切らない。
場をとりなすように、やんわりとエルナを説得にかかるラタトスク。
ラタトスクたちが参戦して城下をがっちり守れるようになった今こそ、
シャールヴィとエルナで奇襲して決着がつくなら、それが最も早く確実な方法なのだ。
だが、エルナは主張する。
今。みんなが来てくれたから今だこそ、エルナはようやく戦列を離れ魔境へ行くことができる。
そっちはもうちょい後でいいんじゃねえ?とエルナをなだめるラタトスク。
シャールヴィも言う。
アーサトゥアルを傷つけに行くんじゃない。エイリークを攻めに行くんじゃないぞ。
アースムンドの話が正しいなら、悪いのはヴァーリだ。そいつだけぶっ殺す。
エイリークを助けに行くんだぞ。
切り札とばかりにその名を口にするシャールヴィだったが、エルナはむしろ戸惑い気味だった。
そして、アースムンドは悩んでいた。
なぜ、これほどの悲劇が編まれたものか。

(とても言えぬ そのヴァーリが……… エルナ姫様の異母兄だなどと………
 そして かつてあの魔境で――)

吹き荒ぶ魔風の中で息絶えようとしていたその時、ヴァーリの怨讐はある存在に引き受けられた。
愚かな王の私欲のため、平穏な暮らしも輝かしい未来も、そして最愛の母も、
全てを奪われたあわれな王弟の子は、その瞬間、かの者の使い魔となってよみがえったのだ。
そんな事実を、エルナは知らない。知らないまま、彼女は自分の思いを――語りはじめた。

92 :あらすじ精霊 2/6 :2006/09/18(月) 00:40:51 ID:???
「シャールヴィ ヴァーリを倒しに行って 本当にそれでいいのかな…

 彼は確かに冷酷な人に見えた 国のために私を殺すと言ったわ
 あの不思議なまなざし…………

 彼はどうして戦をおこすのだろう
 どうしてあんな怪物を操り出して 地表を破壊しつくすんだろう
 何にそんなに怒りを感じているんだろう 何を悲しんでるの?
 彼の今までの人生に何があったんだろう

 そしてもし 彼を殺しても もし彼に肉親がいたとしたら…
 きっと… 悲しむでしょうね

 新たな苦しみを生んで… また同じことの繰り返し…
 それに ヴァーリ一人倒しても終わらないと思う

 みんな不安なの
 魔境から魔獣の吐く風が吹いて 耕地や森が死んでゆく… 世界はどんどん悪くなる
 だから人の命や土地を奪ってまで自分を守ろうとするんだわ
 奪われた方は憎しみをつのらせ かつて奪ったほうも守りを固め 猜疑にかられて
 そして……
 繰り返し 繰り返し………

 誰にも罪なんてない みんな怯えているだけなの
 誰にも皆 やすらかな未来が約束されているなら 誰もこんなことしない!


 だから 私は魔境へ行って 魔獣フレースヴェルグを倒します


 誰もが滅びの恐怖から解かれ 新しい大地に未来を描けるように…」

93 :あらすじ精霊 3/6 :2006/09/18(月) 00:41:22 ID:???
エルナの言葉は、その場にいた人々の胸をこれ以上もなく打った。
誰からともなく湧き起こる拍手、そして歓呼をもって呼ばれるエルナの名。
アースムンドとラタトスクは涙ぐみ、ソーロッドは誇らしげにエルナを見つめる。
我が主としては当然のことながら、よくここまでこられたな、エルナ。
あの雷撃(ソールスラーグ)の詠唱にも謳う 闇の王にして光の王……………

(闇より出でて 其を打ち砕く者よ……)

だが、その中で女王ヴァルゲスが口を開く。
まことつらきことながら、水を差すようなことを申し上げねばならぬ。
姫がお持ちの封魔短剣は、魔風を分け魔物どもを殺すことができる。
しかし、同じように人間をも触れずとも倒すことができるのだ。
なぜなら、人の体からもわずかながら魔風が吹き出ているからである。
これをどう思われる。人もまた悪しきものなのか…
ヴァルゲスの言葉に目を見開くエルナ。ヴァルゲスはさらに語る。
魔獣フレースヴェルグを倒すには、エルナの持つ小さな封魔剣、聖短剣では成せぬことを。
まさに今、ノルズ山の頂にて世界を魔風から守っている、あの剣……聖剣でなければ成しえぬのだ。
つまり、魔獣を倒すためには…

「聖剣を 抜くしかない」

だが、言うまでもなくそんなことをすれば…
世界を浄化するには、人もまた滅びねばならぬのかもしれぬ。悲しげに呟くヴァルゲス。

「それとも 闇の姫御子が聖剣を抜いて世界を消滅させる という予言はまこととなるのか………」

それは、何度も何度もエルナが言われてきた、呪いの言葉。
だが、エルナはそんなつもりで決意を口にしたのではなかった。
あまりにも過酷な現実に、エルナは泣き崩れる。
そんな彼女を追い打つように続けられるヴァルゲスの言葉。

「我らは この風の汚れた地で 戦い抜いて生きていくしかないのだ」

94 :あらすじ精霊 4/6 :2006/09/18(月) 00:41:52 ID:???
やっぱりアーサトゥアルへ行こう、とエルナに呼びかけるシャールヴィ。
しかし、打ちひしがれたエルナは視線をうつむけたまま、シャールヴィを見ようとすらしない。
そんな彼女をつらそうに見つめ、てめェも行くんだぞ、とソーロッドに蹴りを入れるシャールヴィ。
だが、ソーロッドにシャールヴィの言葉に従う義理などない。
人間はやっぱりこの程度かね。
精霊とは純粋な力。使い方は人間が決めればいいが、主に使う気がないなら下界にいる必要もない。
そう言い捨てると、ソーロッドは放電するようにその場から姿を消してしまう。
宴の場は、いつまでもざわめき続けていた…

混沌で世界を満たせ。恐怖で………憎しみと猜疑でこの世界を満たせ。
ヴァーリの前に姿を現したのは、朽ちかけた肉体から魔風を吐き出し続ける魔獣・フレースヴェルグ。
くちおしや、くちおしや。この傷、この朽ちた体……
かつて神々の最高の被造物と謳われ、
万有の母(アルマーダー)として長くこの星を支えるはずだった私を、
制御できぬと見るや置き去りにして神々は天空に去った。
それが、フレースヴェルグの憎悪の根源。
捨てられたものの、全てを奪われたものの哀しみ、恨み、憎しみ。
だから、彼――彼女?――はヴァーリをよみがえらせたのだ。

(この世など 恐怖と憎しみに満ち 戦しあい 殺しあい
 一番惨めなありさまで滅びてしまえばいいのだ)

そして――ヴァーリは還ってきた。自らを捨て、自らの全てを奪った、この世界へと…

近侍の騎士によって、ヴァーリの下に一つの報告がもたらされる。
城下の民たちが、直訴をするべく町の広場で集まっているというのだ。
それに対するヴァーリの命令はひどく簡潔なものだった。

「中庭に引き入れておいて全員射殺せ」

自国民に対する命令とは思えぬその言葉に驚愕する騎士。
だが、苛立ちを見せたヴァーリに恐怖したその騎士は、命令を実行するべく駆け去るのだった。

95 :あらすじ精霊 5/6 :2006/09/18(月) 00:42:23 ID:???
一方、エイリークはカルルとともに、ヴァーリを倒す方法を考え続けていた。
魔精霊のもたらす病によって霞む頭で、必死に。
魔獣の使い魔。おそらくはそれが、不死身であるヴァーリの正体。
その時、エイリークは使い魔法における一つの制約を思い出す。
人を使い魔にした時には、その怨讐を引き受けねばならない。
怨讐を晴らすべく、使い魔は術に応えてよみがえるのだ。
怨讐ヲ晴ラス…
ふと思い浮かぶ、一つの疑問。

(王位を望みながら死んだのなら なぜ私をすぐ殺して名乗りを上げないのだろう)

結びつくいくつもの謎。導き出される答え。
賭ける価値はありそうだった。

ゴルムを駆り、修道院の空馬隊二人を伴い空を行くシャールヴィ。
エルナの封魔剣が無くても、統雷魔剣が無くても、俺様一人でなんとかしてやるぜ。
この戦さえ終われば、世の中はちょっとは良くなる。エルナ、待っていろ。

(理想はかなわなくとも 理想にはおよばなくとも
 俺が世界を変えてやる
 俺が全てを終わらしてくるから…)

シャールヴィの願いは、ただ一つ。
理想の前に立ちはだかる過酷な現実に心挫けたエルナのこと。

(頼むから その瞳を上げてくれ)

そのために、エルナを彼女が恋い慕う男の手に委ね、自分から離してしまうことになったとしても。

「エイリークの野郎 助けに行ってやるぜ畜生」

恋敵の名を、シャールヴィは叫んだ。ただ、エルナのためだけに。

96 :あらすじ精霊 6/6 :2006/09/18(月) 00:42:56 ID:???
アーサトゥアル。
広場に集まった城下の民たちは、王城を目指して進んでいた。
男だけではない。子供を抱いた女の姿もある。
高すぎる税。ひどすぎる徴兵。無駄としか思えないこの戦。
王に自分たちの声を、自分たちの苦しみを、直接届けるために。
その様を、城壁の上からさっきの騎士が見下ろしている。
これから自分たちがすることへの罪の意識を露わにしながら。
集まった民衆が全員中へ入って、訴状でも読み上げた後、彼らに向かって矢を射かける。
2、3人は生き残って逃げ帰るだろうが、それも計算のうちだ。
自分たちが恐るべき罠にかかろうとしていることなど知らず、アトリの父親を先頭とした民衆たちは、
奥の門まで開いているのを見て聞き届けてくれるものと思い込み、城の中へ進もうとする。

ちょうどその頃、エイリークの部屋の扉をシグルーンが叩いた。
食魔草(レーラズ)を摘んで編んだマント。
エイリークが最後のチャンスを託したそれが、ついにでき上がったのだ。
エイリークに完成を伝えながらも、しかし、シグルーンはエイリークが戦うことには反対だった。
ヴァーリになんか勝てる気がしないよ。
もう少し時間をかけて、何か考えてから…
だが。
エイリークの耳には、聞こえてしまっていたのだ。
彼の民たちが、城の中庭に駆け込もうとしているその声、その足音が。
シグルーンの言葉が、純粋に心の底から自分のことを案じてのものであることは知っている。
けれど。

「ありがとう
 でも それでは間に合わないんだ…」

エイリークの決意は、もはや何者にも翻すことはできなかった。

97 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 01:06:31 ID:???
ええええぇぇぇぇええ
なんか来月辺りエイリークの生存が危うくね?
やっぱあれなのか、命と引き替えにヴァーリを倒すのか?
シグルーンはどうなるんだ?エイリークを庇って一緒に死ぬとか?
駄目だ続きが気になりすぎる

98 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 01:18:18 ID:???
いや、シャールヴィが間一髪助けに入ってヒキだと思う
死亡フラグに見せかけた生存フラグでしょ、どう考えても

99 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 01:44:52 ID:???
エルナが決意語るシーンがいいな
言ってる内容はありがちなんだけど
この作品でのこれまでの積み重ねを考えるととても感慨深い
みんなちょっと感動しすぎwとは思ったけど

100 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 02:08:01 ID:???
エルナが、ヴァーリについて

あの不思議なまなざし…………

と言ってるのが深いな。
なんだかわからないけど、何か事情がありそうだとは感じていたんだな。

101 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 02:22:17 ID:???
えーと、つまり「恩讐を晴らす」と使い魔法が解呪されるから、
敢えてエイリークを殺さない?
エイリークを殺すと恩讐が晴れてしまう?
何だかややこしいな。

102 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 07:29:56 ID:???
何故、誰も彼に尋ねてみようと思いつかないのだろうか?
まさに神代の現実が目の前にいるというのに。
あやふやな目撃の伝え聞き、その真意や根拠も明らかでない
伝承などよりも、よほど確かな情報が得られる可能性は高いだろうに。

103 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 12:23:15 ID:???
そういや、アーサトゥアルが勇者の末裔で統魔雷剣がアーサトゥアル王の象徴なんだったら
統雷魔剣も勇者と関わりが深いはずだよな
色々知ってることあるだろうに、本当に高みから見下ろすばかりで使えない奴だ

104 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 13:49:55 ID:???
その辺謎だよな
今回の話で神の実在がわかったから、勇者は本当に神に選ばれて魔獣倒したのかもしれん
統魔雷剣は武器兼アドバイザーとして聖剣と一緒に与えられたのかも
炎魔剣も勇者のホログラフが守ってたってことは三本セットだった可能性もある

105 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 14:14:46 ID:???
最終的には3本ともエルナが使って魔獣と戦うのか

106 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 14:26:28 ID:???
>>98
ここでシャールヴィが助けに来たらいやだな…
エイリークとヴァーリで決着するべきことでは。

しかし、ヴァーリはエルナもエイリークも大嫌いだと
思うんだが、こうも憎み返してくれないと悲しいものがあるな。

107 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 15:49:21 ID:???
エルナもエイリークも超善人だからな
ヴァーリもあんな事件がなければ善人のまま成長してたかも

108 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 18:07:03 ID:???
最近つっつーの画力の上昇がスバラシイ。
でも話の展開のせいで、最終話近いのかねーとか
読んでてセツナー

109 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 20:26:08 ID:???
>>102
聞いて、楽に答えを得ようなんて、ソーロッドがめちゃくちゃ嫌いそう…

110 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 21:55:34 ID:???
そうか?別に方針を決めてくれと○投げで頼る訳でなし。
剣の形をとって振われることと、知性体として情報を求められることに
何ら本質的な違いがあるとも思えんけど。
「使い方は人間が決めればいい」とまで言ってるし。

魔獣は本当にいるのか、いるとすれば何処に、聖剣でないと倒せない
というのは事実か、かつて魔風が襲ったとき、世界樹はいかに世界を守ったか
努力して解くべき謎じゃないだろ、これ。単なる情報。書いてある本が
あるなら読めばいい。
その本がちょっと生意気な態度で、口を利いたって無問題。

111 :マロン名無しさん :2006/09/18(月) 23:32:04 ID:???
ソーロッドが全部バラしたら今後の展開に支障を来すという作者の都合

112 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 00:16:21 ID:???
あるあるw

113 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 01:22:11 ID:???
エイリークが死んだらこのマンガ燃やす

ウソ
燃やせませんorz

114 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 02:30:27 ID:???
生き残るか死ぬか全く展開が読めん
マンガでこんなにハラハラするの久しぶりだわ

115 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 03:13:36 ID:???
誰も言わないけど「闇の王にして光の王 闇より出でて其を打ち砕く者よ」に最高に震えた。
勇者と共に戦ったソーロッドは雷精で、魔法の量が多い王族にしか使えないのは雷撃。
雷にこんなに大きな意味があったなんて。

まさか、この雷撃の詠唱も大いなる伏線だったのか?
誰もがエイリークとエルナで別々に考えていた「闇の王」も「光の王」も同一人物って意味だしな。この詠唱。

116 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 07:45:11 ID:???
ハルスホルトだったかの占い師のばーさまの予言は
ナンダッタンカイナー

117 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 07:59:19 ID:???
>闇より出でて其を打ち砕く者よ

これが雷の事を指していると今ようやく気付いた
そしてエルナをも指しているのか

118 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 10:14:11 ID:???
でも、エルナって雷ってイメージではないよな
どっちかっつーとシャールヴィのほうが

119 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 10:51:45 ID:???
RPGならエルナは どう見ても回復系だしな


120 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 11:15:23 ID:???
回復なんかできない上に自分も回復魔法受けられないけどな

121 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 12:24:37 ID:???
第一話からこの展開考えてたのかな
だとしたら第一話タイトルの「光の王 闇の姫御子」とは
エルナとエイリークではなくエルナ一人のことだったことになる
ハルスホルトの占い師のこと考えると後付けっぽいんだけど
第一話から出てきた呪文がこうもぴったりハマると、もしかしたらと思いたくなる

122 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 18:44:52 ID:???
突如、エルナが世界を滅ぼす欝エンドへ急展開

123 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 20:01:56 ID:???
この作者に後付けなし
回収できぬ伏線もなし

124 :マロン名無しさん :2006/09/19(火) 22:52:18 ID:???
>121
そりゃもともと同じ言葉に意味を何個もかけるつもりだったんだと思う
日向にいる魔法力の強い王とと無い姫、この世の秩序では不吉で栄光など無い
闇の姫御子が実は、てとこにカタルシスが

それにしてもソーロッドは事態を傍観しすぎだと思います

125 :マロン名無しさん :2006/09/20(水) 16:23:25 ID:???
は?何言ってんの
エイリークが死ぬわけないじゃん
そんなことになったら作者にカミソリ送ってやる

126 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:00:55 ID:???
穏やかな日差しに包まれた部屋で、チェスに興じるシグルーンとカルル。
そして、そんな二人を優しく頬笑みながら見守るエイリーク。
こんな時が…


   第59話 荊冠の王


アーサトゥアルへの空を急ぐシャールヴィたちの前に、狂戦士隊が立ちはだかる。
敵の転移魔法(ユアヴァーフォエリン)の基地は、
修道士たちがラタトスクの持ってきた火薬を転送して破壊したはず。
おそらくは、誰にも知られていない基地がまだあったのだろう。
空馬隊の一人をやられながらも、魔法と剣を駆使し、何体もの狂戦士と渡り合うシャールヴィ。
しかし、同時にシャールヴィは自分の力の限界を痛感する。
統魔雷剣と聖短剣。やはり、あの二剣がないとだめなのか…?
あの山を越えればアーサトゥアルなのに。
次々と転移魔法によって姿を現す狂戦士たち。
シャールヴィに救いを求める空馬隊の悲鳴が、国境の空に谺した。

一方、アーサトゥアルでは、民衆がついに直訴のために起ち上がっていた。
この戦に意義ありや。
同胞を恐ろしき魔物に変えて、攻めこませているという噂はまことなのか。
ますますその強さを増し、辺境の耕地を冒す魔風は、それゆえの神の罰か。
エイリーク王よ、お答えを。そして、我らに救いを―――
ひたむきな願いとともに行進する民衆たちを、呼び止めるアトリ。
エイリークは閉じこめられ、ヴァーリという大魔導士が全ての実権を掌握している。
その事実を訴えても、大人たちは彼の言葉に耳を傾けようとすらしない。
兵士たちが弓に矢をつがえて待ち構えていることなど想像すらせず、民衆は城の中へなだれ込んでゆく。

(だめだッ……!! このままじゃみんな…!!)

全てを知るアトリの、必死の叫びは届かない…

127 :あらすじ精霊 2/5 :2006/09/21(木) 00:01:39 ID:???
シグルーンの手を借り、食魔草(レーラズ)で編んだマントをエイリークは羽織る。
食魔草が魔法を吸収してくれている。気分がいいし頭も晴れてきた。
これならば、戦える。
ヴァーリ………すさまじき憎しみをもってこの世界に戻った王子よ。
おまえを倒す方法が一つだけある………今、私が…
決意とともにヴァーリとの戦いに臨もうとするエイリーク。
しかし、体を襲う痛みにすぐに彼はうずくまってしまう。
食魔草がツタを伸ばし、エイリークの体に絡みつきはじめていたのだ。

城の中庭まで誘い込まれた民衆たちに、ついに矢が放たれようとしていた。
その瞬間、城の一室を激しい爆発が襲う。
魔法による爆発。崩れ落ちる壁の向こう、その宙空に立つ者は。

「ヴァーリ… もうこれ以上… ことに我が民を苦しめることは 許さぬぞ」

食魔草のツタに全身を絡みつかれたエイリーク。
荊の王冠をかぶったようなその痛々しい姿とは裏腹に、ヴァーリを見下ろすエイリークの瞳に迷いはなく、力強い。
その姿を嘲笑うヴァーリ。
食魔草呪(レーラズマーギ)か。手段を選ばず私の魔精霊法を解呪して、私に挑みに来たか。
しかし、どちらが魔法により優れているかは、前の戦いでわかったはず。
自らの勝利を微塵も疑わず、魔法の詠唱をはじめるヴァーリ。
突然目の前で展開される国王と大魔導士の戦いに、兵士も民衆も驚きを禁じ得ない。
だが、アトリは知っている。
エイリークはずっと閉じこめられてて、その間、ヴァーリがずっと、勝手に恐ろしい戦を進めてきたことを。
想像すらしていなかったその真相に、驚愕する民衆たち。
彼らが救いを求めていた光の王・エイリークは、単なる傀儡、無力な存在でしかなかった。

「でもまたエイリークは戦おうとしてる 僕たちのために…」

自分が守るべき者たちのために。自分の国の民たちのために。
エルナだけではなかったのだ。
エイリークもまた、確かに勇者の裔であり、そして、紛れもない王だった。

128 :あらすじ精霊 3/5 :2006/09/21(木) 00:02:10 ID:???
「凝氷塊(イースグラナート)」

ヴァーリの手から放たれる氷塊が、エイリークを打ち据える。
全身の骨を砕いてやろう。殺しはしない。もうしばらくおとなしく臥っているんだな。
しかし、エイリークはどれだけダメージを受けても、決して膝を屈しようとはしなかった。
なぜおまえは私を殺さないのか、と、ずっと考えていた…

「我が従兄弟エルドグリーム」

それが、ヴァーリの真実の名。先王の私欲によって失われた王子の名。
表情を凍りつかせながらも、エイリークのたくらみを瞬時にして見抜くヴァーリ。
私を暴いてゆさぶりでもかけるつもりか。私は何物にもしばられぬ。過去にも使い魔にもな。
復讐などという小さな目的で、私が動いていると思うな。
だが、そういうヴァーリの表情は強張り、今までのような余裕も失われている。
エイリークは確信する。あなたのすさまじい破壊への衝動は、記憶の中の激しい感情の現れだ。
ちゃんと覚えてる。子供の頃や、母親と追放された魔境の記憶を。その妄執を。
懐から、あるものを取り出すエイリーク。
それはかつて、ヴァーリの手によってエイリークの頭に戴かれようとされ、エイリークが拒絶したもの。

「この王冠を あなたに返そう」

ヴァーリの頭上に戴かれる王冠。
今、エイリークの手によって、王位はヴァーリに…エルドグリームに返上された。
妄執の晴れた時、使い魔は生身に戻るという。
つらい思いをされたな…労わるように従兄弟に言葉をかけるエイリーク。

「もう 休まれよ」

その手に握られた短剣が、エルドグリームの喉を貫いた。
血を噴き出し、崩れ落ちるエルドグリーム。その体がよみがえることは、もう、ない。
魔剛ことのないエイリークの勝利に、歓呼の声を上げる民衆たち。
キングエイリーク。彼らの王をたたえる声が、エイリークを包んだ。

129 :あらすじ精霊 4/5 :2006/09/21(木) 00:02:40 ID:???
(エイリークが…… 王様なんかじゃなければいいのにね)

エイリークの下へ急ぎながら、シグルーンは思い出す。

(王位も…… 国も… 戦争も……… なんもカンケーなくて
 やさしい風の土地に小さな家を建てて 小さな畑をつくって それでずっと二人で暮らせたらいいね)

別れのとき、シグルーンはそう言ったのだ。
それは、少女の他愛もない夢。
好きな人とのちっぽけな幸せ。
けれどエイリークは、微笑みながら、そうだね…とうなずいてくれたのだ。
エルドグリームを倒し、その亡骸の前でうずくまるエイリークの名を呼ぶシグルーン。
だが、エイリークはシグルーンを拒絶する。
その全身を、すさまじい勢いで食魔草が覆いつくそうとしている。。
わかっていたことだった。食魔草が、エイリークの体内の魔法に喰らいつき始めたのだ。
悲鳴を上げながら、食魔草をエイリークから引き剥がそうとするシグルーン。
だが、そんなことでどうにかなるはずもない。

「私はここで死ぬ!」

エイリークの全身を、食魔草のツタが覆いつくした…

その異様な光景に騒然となる民衆たち。
その彼らの目の前で、城を覆っていた食魔草が一斉に動きはじめた。
得タリ………ヨキ魂ヲ得タリ…
ツタだけではなく根までが城を覆いつくし、エイリークを喰らおうと伸びはじめる。
逃げ惑う民衆たち。
まだ中にいるシグルーンの身を案じて振り返ったアトリは、その目で驚くべき光景を見る。
食魔草の様子が変わっていくのだ。
とげとげの葉が、見る見るうちに瑞々しい新緑へと。
輝くような緑が、城を覆いはじめていた。

130 :あらすじ精霊 4/5 :2006/09/21(木) 00:03:17 ID:???
食魔草に取り込まれるエイリークの名を呼びながら、必死に手を伸ばすシグルーン。
そんな彼女に、エイリークは逃げるように言う。

「君は どこか風の良き地へ行って 幸せに」

優しい風の土地の小さな家で、シグルーン一人ぼっちで…

「いやーっ どうして? ひどいよ どうしていつもそんなことばかり言うの?」

悲鳴のような声でエイリークに訴えるシグルーン。
そうじゃない。シグルーンがエイリークに語った夢は、そういうことじゃないのだ。

「エイリークがいなくて… この世界に良き地なんてどこにもない
 私 ずっと ずっと エイリークの! そばにいたい!!」

それが、シグルーンの夢の本当の意味。彼女の望む幸せ。
エイリークは手を伸ばす。初めて、自分から望んで、シグルーンを自分のいる場所に招くために。

「シグルーン… おいで」

涙を流しながら、その手を取るシグルーン。二度と離れないように、固く抱きしめあう二人。
その姿が、巨木の中へと溶け込むように…

「どんどん伸びて 繁っていく…」

目の前の光景に、ただ驚きの声を上げることしかできない民衆たち。
さっきまでお城だったのに。
修道会の大聖堂も、ホントは昔、こんなだったっていう。伝説の――

「世界樹(イグドラシル)…」

かつてアーサトゥアル城だったそこには、一本の巨木が天に向かってそびえていた…

131 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:09:47 ID:???
超展開キタ━━━━━━( ;゚Д゚)━━━━━━!!!?
繁ってくって・・・まさかこんな形で世界樹復活かよ!

132 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:13:08 ID:???
エイリーク・・・シグルーン・・・orz

133 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:16:13 ID:???
(´・ω・`)

(´;ω;`)ブワッ

134 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:18:57 ID:???
なんだ、エイリークも十分光の王としての役目を立派に果たせたじゃないか…

アーサトゥアルの王族は名前に「エ」がつく人ばっかりだ

135 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:22:15 ID:???
ソーロッドの目は節穴だったとしか言いようがない
エイリーク、アンタ立派に光の王だったよ・・・。・゚・(ノД`)・゚・。

136 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:28:33 ID:???
 何 こ の 超 展 開 

137 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:48:15 ID:???
>>135
いや、あの時点では確かに彼は王たる資格に欠けていたよ。
ヴァーリに敗北し、泥に塗れ、闇と向合って、シグルーンという光に
支えられて立ち上がったからこそだよ。
今この時、まさに王となったな。

シグルーン一人ぼっちの草原の小屋にはやられた。

以上。


(´;ω;`)泣いてなんかいない

138 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 00:52:16 ID:???
キングエイリ――――ク!!!

139 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:01:04 ID:???
いい最終回だった
感動した

140 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:06:12 ID:???
そうだな。
「聖戦記エイリークサーガ」の名に恥じない幕引きだった

141 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:07:24 ID:???
しかし、「世界の王となるために」とか言ってたヴァーリが、あんな建前みたいな「この王冠をあなたに返そう」って言動だけで妄執晴れるもんかね?
エイリークに恨まれていると思っていたならまだしも、そんな描写全然なかったし。

142 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:08:47 ID:???
青年は神話になったんだな・・・

143 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:24:21 ID:???
今回は正に超展開だったな。
誰も予想し得ない話の展開でしかも感動出来る。
もうね、エイリークとシグルーンに幸福あれ。

しかし結局シグルーンは魔精霊を飲んだのか?
そしてエイリークはそのことでシグルーンの寿命が縮んだと思っていたのか?
この2点をどう取るかに因って二人が死ぬシーンは受け取り方が
ちょっと変わってくるよな。
個人的にはエイリークはシグルーンの寿命のことなんか何も知らなくて、
ただ純粋にシグルーンの求めに応じて手を差し伸べた、
というのがいいなぁ、と思っているのだけれど。

144 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:32:52 ID:???
>>143
>シグルーンは魔精霊を飲んだか
作中だと一言も「飲んだ」とも言ってないし飲んだようなイメージイラストも存在しない。
だから曖昧にぼかしたまま終わってる…けど、個人的には飲んでないと思う。

>エイリークはシグルーンの寿命が縮んだと思ったか
「早く医者に見せた方がいい」とシグルーンの脱出を図ろうとしていたのだから、
彼は早合点して「飲んで、寿命が縮んだ」と思っている。

だから、無理心中のようにも見える。今回の泣けるシーンは。
「よき魂を得たり」なレーラズは、
エイリーク単体を飲み込んでる時点でそんな事言ってるんだから。
「聖別の花嫁」関係なし。

145 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:39:29 ID:???
飲んでても飲んでなくても、エイリークはシグルーンを受け入れたんじゃないかな
あんなにひたむきに想われて心動かされない男なんていないでしょう
「エイリークがいなくてこの世界のどこにも良き地なんてない」だぜ?
エイリーク以外何も要らないって言ってるのとおんなじだもの

146 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 01:56:03 ID:???
死んでないよな
肉体は世界樹に取り込まれてもう人ではなくなってしまったけど、
ふたりの魂は世界樹として生きているんだよな
エイリークとシグルーンはずっとふたり一緒に、世界を見守っていくんだよな

だから泣くもんか ウッ……(´;ω;`)

147 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 02:03:06 ID:???
これで中からシグルーンが何事もなかったかのように出てきたら
この作者を邪神として崇める

>>137
あの時エイリークはヴァーリをやっつけてやろうと思ってたんだけども
今回のエイリークはヴァーリを救い、民を救ったんだもんなあ。エルナと同じことを…
エイリークもエルナも光の王でいいよもう

ところで、カルル死んじゃったの?

148 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 06:46:05 ID:???
伸びるレーラズに籠ごとグシャッ…
いやいや、そんなはずはないよ!

今回、表紙からキてて、次のページをめくるのに
やたら勇気がいった。
エイリークの言葉で、少しはヴァーリも救われたかなあ…

149 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 06:49:02 ID:???
エルナの影法師を考えると、術者が死ぬと使い魔も死ぬんだっけ…

150 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 06:56:03 ID:???
心中というものに感動を覚えたのは初めてだ…

151 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 09:16:01 ID:???
タイトルの荊冠の王ってこういう意味だったのか!!
レーラズの冠とマントが戴冠式の服装よりも立派に見えたよ
民衆と共に叫びたい気分だ
キングエイリーク!!キングエイリーク!!

……ちょっくらエイリーク追悼スレ立ててくるわ

152 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 09:50:56 ID:???
>>143
魔精霊を飲んでるか飲んでないかなんて忘れてて、
普通に「エイリークがシグルーンの気持ちに応えた」って読んだなあ。

君だけは生き残って幸せになって欲しい、というのは
相手の事を考えてるようで突き放してる事も多いし、
おまけにシグルーンはもう家族もいないひとりぼっちなんだから
あそこで置いてかれたらその方がよっぽど地獄だよ…・゚・(つД`)・゚・
(この辺は男女、置いてく側と置いてかれる側で色々変わるのかもだけど)

153 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 09:52:51 ID:???
荊冠の王って元々イエス・キリストのことだよね
民の苦しみを救うために自分の身を犠牲にして
敵であるヴァーリのことを憎しみではなく許しによって滅ぼし
最後現世での命を終え神話的な存在として生まれ変わる・・・
単にルックス的なことだけじゃなくて生き様も「荊冠の王」と呼ばれるに相応しいな

154 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 09:54:02 ID:???
連レスで悪いが今ふと気づいた

エイリークは王冠をヴァーリに返し王位から退いた
ヴァーリの妄執があれで晴れたってことは
上辺だけじゃなくエイリークは本気で自ら王であることを放棄したんだろう
だけどその直後に民衆たちは彼を「キングエイリーク」と称えている

これって、戴冠式のときの「神によってではなく民によって王になる」ってセリフそのままだな

深い、深すぎるよ

155 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 17:14:33 ID:???
統魔雷剣抜けなかったように
神だの王冠だの形式なんて本当の王には必要ないってことか
そしてヴァーリはそれに気づくことができなかった、と

こう書くとバーリはんも切ない最期だな・・・

156 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 17:14:59 ID:???
前の世界樹も誰かの命を苗床にして育ったんだろうか
人の命を守るものが人の命によって育つっていうのは…
なんて言っていいのか分からない

>>153-154
感動した。エイリークの話も勇者の話のように語り継がれていくといいな


157 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 20:21:11 ID:???
しかし、「奇跡」のためにがんばるんじゃなかったのか!
最後に「奇跡」をかっさらうとは思わなんだー

神展開にはたまげたけど、
今回ので自分のお気に入りベスト3が
3人ともお亡くなりになって、凹み度MAX
三人ともいなくなるなんて……
これが読者置いてけぼりってやつか…サミシー!!



158 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 20:57:39 ID:???
エイリークは何やら食魔草だか世界樹だかに得られちゃった訳だが、
ひょっとしてシグルーンはただ圧s

159 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 21:15:56 ID:???
エイリークの魂と一つに溶け合ったんだよ!
そういうことにしとけ!

160 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 21:46:32 ID:???
世界樹エイリークに得られちゃったということで。

161 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 21:54:51 ID:???
しかしシャールヴィがいつも身を挺してエルナを護ってるのと対照的だなあ。
一緒に逝くことで永遠に心を護るって意味かもしれないけど。

162 :マロン名無しさん :2006/09/21(木) 22:36:19 ID:???
まああそこまで言われちゃあね・・・
エルナの場合、守ってやらないとケガとか無頓着すぎるってのもあるだろうし

163 :マロン名無しさん :2006/09/22(金) 22:16:10 ID:???
今さらだが扉絵に泣いた
アオリ文句の「こんな時が…」ってのがもうね・・・(つД`)
本当にこんな時が過ごせたらよかったのに・・・

164 :マロン名無しさん :2006/09/22(金) 22:30:03 ID:???
そういえばカルルとシグルーンって全然絡みなかったな
いい凸凹コンビになれたと思うんだけど・・・ちょっと残念

165 :マロン名無しさん :2006/09/22(金) 22:59:03 ID:???
あんな時間を過ごせないような状況だからこそエイリークとシグルーンは巡り会えたわけで
あんな時間を過ごせるような状況だったらそもそもこの二人は出会うことすらなかった

なんとも切ない話だよなあ

166 :マロン名無しさん :2006/09/22(金) 23:47:26 ID:???
一瞬でもいいから、きっとあんな時間があったものと信じたい…

167 :あらすじ精霊 1/5 :2006/09/23(土) 00:00:38 ID:???
   第60話 真実の道

妄執が晴れ、首を貫かれたヴァーリは今まさに息絶えようとしていた。
あと少しで、魔獣フレースヴェルグの謎が解けるところだったのに…
そして、あの剣――炎魔剣と………
しかし…もう…
うねるように成長を続ける世界樹の中で、ヴァーリの意識は暗黒へと呑まれていった…

国境の空で、シャールヴィの奮闘は続いていた。
雷牙(ソールビータ)、空離壁(ルフートヴァーン)と大魔法を駆使して大型の狂戦士を次々と屠り、
小型の狂戦士に対しては剛力を以て剣を振るい両断するシャールヴィ。
一人で何体ものく狂戦士を倒すシャールヴィに空馬隊の修道士は瞠目するものの、
封魔剣がない今、節約するべき魔法を連発せざるを得ない状況にシャールヴィは焦っていた。
その時、シャールヴィは異変に気づく。
転移魔法(ユアヴァーフォエリン)で攻撃がかかれば、もっと後から後から狂戦士が来るはず。
それなのに今、妙な間が空いている。
攻撃が……止んだ?
しかも、地上のアーサトゥアル軍も国境まで撤退しようとしているようだ。
ゴルムを駆り、アーサトゥアル軍の先頭を駆ける騎士に話しかけるシャールヴィ。
その騎士によれば、アーサトゥアルは講和の準備に入ったのだという。
その性急な方針転回に疑問を抱くシャールヴィ。
上の方で何かあったんじゃねーのか。たとえばエイリーク王やヴァーリが…
問いただそうとしたその時、グードランドの追撃部隊がアーサトゥアル軍に襲いかかった。
たちまち始まる掃討戦を、あわてて制止しようとするシャールヴィ。
アーサトゥアルは講和するっつってんだぞ!!
だが、グードランドの騎士たちはシャールヴィの言葉など聞き入れようともしない。

「何!? そんなもの! 信じられるものか!!
 アーサトゥアルのやってきたことを見たろう
 こんな国は 叩ける時に徹底的に叩いておかないと 後に禍根を残す!
 このまま本城まで攻め上れとの女王陛下の御命令だ」

168 :あらすじ精霊 2/5 :2006/09/23(土) 00:01:10 ID:???
騎士の言葉に、シャールヴィはエルナの言葉を思い出す。
繰り返し、繰り返し、人は人の命や土地を奪ってまで自分を守ろうとし、
奪われた方は憎しみをつのらせ、かつて奪った方も猜疑にかられて…繰り返し………
今シャールヴィの目の前で繰り広げられている光景は、エルナが言ったことそのままだった。
戦いは、終わらない。
そうだ。
戦いに勝つことで戦いを終わらせようとしてきたシャールヴィたちに対して、
エルナはずっと、そう叫び続けてきたのではないか。

「私たちはずっと! 戦いを止めるために戦ってきた
 でも戦いは終わらない!!
 もっと根本的な……… 何か……」

戦いを終わらせるために必要なもの。為すべきこと。
シャールヴィの中で、エルナの言葉の本当の意味が染み渡ってゆく。
アーサトゥアル軍を打ち破るグードランドの騎士たちから上がる、覇権への野心。
そんなことのために修道院は協力してるんじゃないぞ、と抗議の声を上げる修道士。
それは結局、これまでアーサトゥアルが行ってきたことと同じこと。
新たな苦しみを生んでは、同じことを繰り返す…

「それよりも… すべきことがある」

あの宴の場で、彼女はそう言った。

「私は―――」

決意に満ちた瞳で、表情で、彼女は何を言ったのだったか。
予期せぬ事態に、シャールヴィに判断を仰ぐ修道士。
重傷を負った方の修道士を近くの村へでも下ろして治療してやるよう指示を出すと、
シャールヴィは決然とした表情でゴルムの首を翻した。

「俺は…… あいつの許へ戻る!」

169 :あらすじ精霊 3/5 :2006/09/23(土) 00:01:40 ID:???
打ちひしがれたエルナは、いまだ立ち直ることができず、離宮の一室で虚空を見つめていた。
そのエルナに面会するために部屋を訪れたラタトスクとラヴァルタは、
厳重に警備された部屋の前で門前払いを食らう。
戦わぬ闇の姫御子には、もう一つの役割しかないということだ。
アーサトゥアル最後の王族となったエルナに、グードランドは今までよりも重い意味を見出していた。

 その頃――
 エルナの前に、陽光の中に霞むようにして、エイリークが静かに姿を現していた――

突然の話に混乱するラタトスク。
とにかく、アーサトゥアルの王権はグードランドの手の内にあるというわけだ。
グードランドがアーサトゥアルを併合するのに、これ以上の材料はなかった。
グードランドの狙いを知り、激昂するラヴァルタ。
それでは今までアーサトゥアルがやってきたことと同じではないか。

一方、事情を知ったアースムンドも女王に抗議していた。
和平を求めているアーサトゥアルに攻めこむなど、許せるはずもない。
しかし、これで世界が何百年と待ち望んだ、恒久平和を実現できるのではないか?
女王ヴァルゲスの言葉を、しばらく考えさせていただきたい、と躱すアースムンド。
御前を退出するや否や、一旦修道会へ戻って法王に報告しようとするアースムンドだったが、
すでにヴァルゲスはアースムンドを捕らえるよう兵士たちに命令を下していた。
武器を持ってアースムンドに迫る二人の兵士。
その二人を、背後からラヴァルタとラタトスクが襲いかかってアースムンドを救い出す。
もはや、二人とも心は決まっていた。エルナを奪回し、一旦修道会領へ亡命する。
三人によるエルナ救出作戦が始まった。……んだけど。
ラヴァルタの腰を見つめ、呟くラタトスク。

「アンタ惜しいねェ 鎧なんか着けるの 好きな男がいる女は腰に色気が出るってェけど…」

図星を刺されたらしく、真っ赤になり慌ててプリティなお尻を隠して振り返るラヴァルタ。
天罰覿面、その拍子に腰に差した剣の鞘がセクハラ野郎の顔をしたたかに打ちつける。
呆れて言葉も出ないアースムンドだった。

170 :あらすじ精霊 4/5 :2006/09/23(土) 00:02:11 ID:???
エイリーク、どうしてこんなところにいるの。
茫然と、エルナは目の前のエイリークに尋ねる。
そんなエルナに答えず、もう剣を取らないのかい、と尋ね返すエイリーク。
あなたは不可能だからといってあきらめる人ではなかった。
だからこそ、私も強くなれたのに…
だが、エルナだってあきらめたくてあきらめたのではない。
でも、私が魔獣を倒すために聖剣を抜くと、世界が滅びてしまうの。
言い募るエルナに、エイリークは優しく諭すように言う。

『世界は 私が守るから……』

瑞々しい新緑が、エイリークの腕とダブる。
その腕を伸ばし、エイリークはある方向を指差した。

『あなたはその先へ――――』

森の中から矢を放ち、兵士たちを射倒してゆくラタトスク。
兵士たちは、木影が暗くてラタトスクの姿を見つけることができない。
いや――ただ木影が暗いというだけではない。

「この森……… こんなに深かったかな……」

訝る兵士たちの隙をつき、竜を奪うラヴァルタ。
逆上する兵士たちを、アースムンドが陣風竜(イルドラーク)で吹き飛ばす。

エルナの前で、エイリークはその姿を変えていく。
それは、カルル。エルナも以前見たことがある、エイリークの使い魔だった。
エイリークは今どうしてるの、というエルナの問いにカルルは答えず、
半人半鳥の姿からただの小鳥に姿を変えて、飛び立って行ってしまう。
ただの小鳥になってしまったことを驚くエルナを尻目に、窓の隙間から、

「森へ……」

171 :あらすじ精霊 5/5 :2006/09/23(土) 00:02:41 ID:???
窓の外の木々を見て、エルナはようやく異変に気づく。
ついさっきよりも繁ってきている。
そして、その木々の葉の形。以前、大聖堂で見たのと同じもの。

「世界樹(イグドラシル)の… え… まさか……」

よく見ると、森のあちこちに新芽をのばしてせり上っているのは、みんな世界樹だ。
向こう側にはもっと大きな世界樹の森が広がりつつある。
まさか…直感するエルナ。
理由はわからないけど、いつの間にか世界樹が復活して、どんどん増えているんだ。
勇者が魔獣を倒したとき、吹き荒ぶ魔風から世界樹が全ての生き物を守ったという伝説。
あの伝説も、こういう意味なら……!

(道が開ける! 私にできることがある!!)

部屋の外に駆け出そうとするエルナ。だが、扉の鍵は閉ざされている。
お出になることはかないませぬ。姫には、我が国の世界統一の礎になっていただく。
見張りの兵士の無情な言葉に、エルナは部屋を出してくれるよう懇願するのだった。

一方、ラタトスクたちは予想以上の兵数に追い詰められはじめていた。
次から次へと繰り出してくる新手に焦躁するラタトスクとアースムンド。
兵士だけではない、竜騎士も新手が攻め寄せてくる。
ラヴァルタに警告の声を発するラタトスクだったが、その声も空しく、
ラヴァルタのこめかみを竜の爪がえぐる。
衝撃に霞む意識の中、エルナに謝罪するラヴァルタ。

その時――
陽光を遮るように、一匹の巨大な竜の影が降りた。
その背に跨がる男の名を、ラヴァルタは叫んでいた。

「シャ… シャールヴィ!」

172 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:11:36 ID:???
おおおお、なんかつながってキター!!!!!

173 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:14:43 ID:???
怒涛の展開だな。クライマックスに向けて一直線!

174 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:20:04 ID:???
っかー!!燃えすぎてどこに反応していいかわかんないw
とりあえずシャールヴィーの空中戦カッコヨス

しかしラタトスクいいキャラだなぁ
出てくるとホッとする

175 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:27:12 ID:???
「世界は私が守るから――」

このセリフにグッと来たよ
やっぱりエルナだけじゃなくてエイリークも勇者だ
だけどエイリークのことは伝説に残ったりはしないんだろうな
セツナス

176 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:33:09 ID:???
とりあえずカルル追悼スレ立ててくるよ・・・

177 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:49:03 ID:???
すごいなあ
張り巡らされた伏線が一つに収束していくこの高揚感
読んでてゾクゾクするよ最近

178 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 00:49:49 ID:???
これでエルナの、エイリークに対するわだかまり、というか、
「いい人のはずだったのに」という誤解は解けたな。
ほんとにいいヤツだったんだよ!

179 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 01:17:30 ID:???
誤解が解けたところで・・・orz

180 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 01:32:51 ID:???
エルナあっさりしてんな

181 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 07:18:57 ID:???
誰も立ててないみたいだから立てました

【熱核雷弾】ヴァーリ様追悼スレ【爆瘴霧】
ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1158073457/

182 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 09:29:56 ID:???
そうか、よくよく考えたらバーリはんも死んだのか
これで敵は本当に魔獣だけになっちゃったんだな

・・・あれ、あの場所で死んだってことは、
もしかしてバーリはんの魂も食魔草に食べられちゃってる?

183 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 10:07:52 ID:???
そうすると世界樹の中で3人気まずいことになってる

184 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 10:18:46 ID:???
イチャイチャするエイリークとシグルーンからハブられて一人青スジ立ててるバーリはん

185 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 10:51:01 ID:???
コミックスの巻末でありそうなネタだなw

186 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 11:33:16 ID:???
ところでラタ公の台詞考えると、ラヴァルたんがシャールヴィに惚れてるのってとても判り易いんだろうなあ。

187 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 12:50:49 ID:???
むしろ逆なんじゃねーの。主要登場人物(?)の中では、
ラタは空気読める方だから。
誰かは分かってない。でも、って感じの方がしっくりくる。
だって不味いだろ、立場上。


188 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 14:21:05 ID:???
クライマックスに向けての怒涛の展開。
読んでてスゲー気持ちいい。
早く続き読みて〜!


189 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 21:35:19 ID:???
>>177
実際、あのコマのラヴァルタンの尻はエロすぎる

190 :189 :2006/09/23(土) 21:36:37 ID:???
>>187だった・・・orz

191 :マロン名無しさん :2006/09/23(土) 23:01:15 ID:???
あのコマだけ鎧じゃなくてスカートとタイツに見えるんだよな
そりゃエロイよ

192 :マロン名無しさん :2006/09/24(日) 00:53:32 ID:???
しかし魔獣を倒す=肥沃な土地が大量に手に入るって話なんだよな。
それが戦争をなくす一歩になるかもしれないと。
現状どんどん失われているまともな土地を奪い合うために戦争してるんだから。

理想論じゃなくて現実見てるよなーと今更思う。

193 :マロン名無しさん :2006/09/24(日) 09:02:49 ID:???
アースムンドが風読みに連れられて行った辺りの荒れた風景を
思い出すと、例え魔風が無くなったところで、生産力のある畑を
作るにはかなりの時間が必要だろうな。
なにしろ、ある意味劣化型人造魔獣である狂戦士の亡骸だけで
川が使えなくなったりするほどなんだから。

194 :マロン名無しさん :2006/09/24(日) 09:13:00 ID:???
現代はともかく、昔の戦争って大義名分色々掲げても結局土地の奪い合いが多いからな
確かに肥沃な領土が十分あれば戦争もだいぶ減るだろう

195 :あらすじ精霊 1/4 :2006/09/25(月) 01:08:01 ID:???
   第61話 聖剣(グランテイン)

シャールヴィの到着により、戦況は一変した。
たった一騎で複数の竜騎士たちを圧倒するほどの戦闘力、
ラタトスクとアースムンドを囲む兵士を焼き払うゴルムの炎の吐息。
シャールヴィの勇姿を見つめながら、ラヴァルタは想う。
何事にも臆さぬ獅子の心。その鋼の腕(かいな)。
ずっと……見てきた………

(でも その力と心は 全てかの姫のために…)

エルナが閉じ込められた部屋の扉が異音を上げる。
業を煮やしたエルナが、椅子を扉に叩きつけたのだ。
扉を開けなさい。勇ましく叫ぶエルナ。
この危機にこれ以上の戦を重ねて、よもや人の業で世界を滅ぼすつもりですか。
私を魔境へ行かせてくださいっ。

「世界(ギムレー)を本当に救う方法がわかったのです!」

そこに、シャールヴィ到着のためエルナを他所に移すべく、応援の兵が駆けつける。
だが、一歩遅かった。押さえつけた扉に伝わる激しい振動。
振り返ったエルナの瞳に映る、崩れた壁からエルナに向けて手を差し伸べるその人は――

(いつも… 終にはその人は 我が身のそばに………)

「エルナ っ来い!! 魔境へ行くぞ」

シャールヴィ。かつて、アーサトゥアルの王城からエルナを連れ出したときのように。

(そして 我が心のそばに…)

エルナとシャールヴィの手が、固く結びつきあう――

196 :あらすじ精霊 2/4 :2006/09/25(月) 01:08:37 ID:???
北へゴルムをはばたかせるシャールヴィを、方向が逆だと止めるラタトスク。
だが、ラヴァルタは二人の意図を察していた。彼らは魔境へ向かおうとしているのだ。
ゴルムの背から、アースムンドに声をかけるエルナ。
世界樹(イグドラシル)が復活してきているのです。世界中に…世界を守るために。
その言葉に、自分たちの周囲の木々が見る見る伸びていることに気づくアースムンドたち。

「だから エルナは聖剣(グランテイン)を抜いて 魔獣(フレースヴェルグ)と戦います」

それが、それこそが、世界を救うただ一つの方法。
確かに伝説によれば、聖剣でなければ魔獣は倒せない。
そして、確かに伝説によれば、勇者が聖剣で魔獣と戦っている間、
人を始め全ての生物は世界樹の中で魔風を逃れたという。
たとえどれほど世界樹が地表を覆っても、聖剣が抜かれ魔風が吹き込めば世界は無傷ではすまぬ。
だが、それでも――アースムンドもまた決意する。

「わかりました姫!! 私の成すべきことが…!」

そして、ラヴァルタもまた、自らの成すべきことを成すためエルナたちに竜を寄せる。
聖剣だけで魔風を防ぎつつ戦うのは無理と考え、
聖盾(グランシール)と鎧、聖短剣、そして食料を渡すラヴァルタ。
本来なら地の果てまでお供するのが、姫の騎士たるラヴァルタの務め。
だが、ラヴァルタは負傷し、聖剣と聖盾があっても戦いながら魔風から3人を守りきれる保証はない。
そのことはラヴァルタとてわかっている。でも。
恐ろしく絶望的な空へ旅立つ、私の最愛の―――
シャールヴィを見つめるラヴァルタ。けれど、エルナへの忠誠もまた、決して嘘などではない。
私の最愛の二人――

「シャールヴィ殿 姫を… 姫を お願いします」

シャールヴィにエルナを託し、追撃する竜騎士たちの足止めを引き受けるラヴァルタ。
それが、魔境へ共に行けないかわりに、ここでできる限りの役を果たそうとする彼女の道。
ラヴァルタの、騎士の誇りだった。

197 :あらすじ精霊 3/4 :2006/09/25(月) 01:09:08 ID:???
女王の傍近く仕える女性は、女王の居室から空を見上げ驚いていた。
ラヴァルタ一騎に、七騎もの竜騎士が足止めをされているのだ。
その女性に、兵たちを引かせるよう命じるヴァルゲス。
エルナ姫とシャールヴィ王子は死地に赴いたのだ。
空から行けば上層の魔風にあたって、たどり着く前に命を落とすのがせいぜい。
しかも、もし抜けたとして、その後どうする。
あの強大な魔獣と戦うというのか。
二人は死んだ。
アーサトゥアルとアンサズの王家は滅びた。
戦いは継続する。以上だ。
淡々と伝達するヴァルゲスに、女性が尋ねる。
もし、二人が帰ってきたら?
エルナとシャールヴィが全てを成し遂げて、魔境から戻ってきたらいかがなさいます。
足を止め、女王はわずかな笑みを浮かべて振り返る。

「それはそれで… 面白いな…」

アースムンドとラタトスクは、全世界にこの事態を知らせるべく動き始めていた。
シャールヴィたちの乗る竜なら、ノルズ山まで一昼夜。

「それまでに世界の全ての人を 各地の世界樹の元へ避難させねばならぬ!」

一方、ゴルムの背から世界を見下ろしていたエルナたちは、
世界中を世界樹の緑が覆おうとしているのを目の当たりにしていた。
戦に苦しんでいる人たちも、今もまだ戦をしている人たちも、両方…どんな人たちをも守るために。
陽が沈み、また陽が昇る。
空を暮れないに染める夕暮れ。満天の星。菫色の朝焼け。
移り変わる景色を見て、エルナは呟いた。

「あァ… 世界はきれいだね…」

198 :あらすじ精霊 4/4 :2006/09/25(月) 01:09:57 ID:???
エルナは思い出す。初めて会った時のことを。
あの時はゴルムに乗って、初めて空を飛んで。
あの時エルナは、世界で唯一聖剣を抜くことのできる闇の姫御子として、
全世界を脅迫するためのアーサトゥアルの道具として、ノルズ山の離宮に移される直前だった。
もう父様も母様も亡くなっていなくて、従兄弟のエイリークにも見捨てられて、
私はたった一人で、一生、離宮で死神として一人で暮らすのだと思った。
もう誰にも会えない。誰にもめぐり会えないんだって思ったの……

「シャールヴィに会えてよかった……」

それに、お城を出て、それから他にもいろんな人に会えて、たくさん力をもらって………
もっとたくさんの人が幸せになれるようにって、なにやろうってとこまでこれた…
みんながそれぞれ、幸せになるように………
俺も、おまえに会えてよかったと思ってるよ。
どさくさに紛れてまた想いを告げるシャールヴィだったが、もちろんエルナには通じない(笑)。
シャールヴィも生きて帰らなくちゃね。待ってる人いるんだし。
まだ誤解しているエルナと、そんな寝耳に水なことを聞かされてあわてるシャールヴィ。
そしてその時、ついにエルナたちの前にノルズ山がその姿を現す。
ゴカイを解こうと懸命に話しかけるシャールヴィだったが、エルナはもはやそれどころじゃない。
山頂で、何かが光っている。
伝説などではなかった。本当にあったのだ。

魔獣を倒すことのできる唯一の武器、絶対封魔剣――聖剣(グランテイン)!

その頃、暗黒の中で、ヴァーリが魔獣によって再び命を与えられようとしていた…

一方、アースムンドは世界を守るために自分の成すべきことを成していた。
世界樹の成長を助けるため、石畳をはがし、水を引くように人々に指示を出す。
魔風が吹くかまだ疑わしいと思っている人々の中、アースムンドは叫んだ。

「そして早く みんな世界樹の下へ避難するのだ
 神とエルナ姫を信ずる者は全て!」

199 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 01:18:25 ID:???
SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!

「エルナ っ来い!」をここで使うところと言い、
「我が最愛の――」のラヴァルタ衝撃独白と言い、
アースムンドやラタトスクもまた世界を守るために戦っている所と言い…

派手な戦闘シーンがある訳じゃないのに、破壊力抜群だよ。

200 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 01:52:35 ID:???
シャールヴィの「っ来い!!」は3回目だな
しかも、どれもエルナの運命を変える瞬間に言われているのが心憎い
二人の旅は空からはじまり空へと行き着くんだな

201 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 02:24:20 ID:???
ここまで来てまだエルナはシャールヴィの気持ちに気づいてないのかw
シャールヴィも回りくどい言い方をしないでストレートに好きだって言えばいいのに。
そして何?バーリはん復活するの?ひょっとしてエイリークの苦労が水の泡ってこと?
そりゃないよ堤先生ヽ(`Д´)ノ

202 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 02:26:40 ID:???
最後にみんなの力を合わせてってのは、よくあるんだが、
それぞれの場所でってのがいいな。スケールを感じる。

203 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 02:35:56 ID:???
>>201
エイリークはエイリークで世界中からにょきにょき生えてるんだからいいじゃん

204 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 02:47:23 ID:???
クライマックスに一直線だなあ
それにしても世界樹復活に気付いてから聖剣抜きに行くまでの決断が早すぎw
一昼夜で世界中の人間避難させるって普通に無理だろ

205 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 03:03:24 ID:???
再び命を与えられたが、もう妄執は晴れてしまっていたので
魔獣の謎をただ知りたいという理由でエルナの味方につく

とかないかなあ。魔獣からは即使い魔解除されそうだけど

206 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 03:41:50 ID:???
>>204
ギムレーが閉ざされた世界なら、結構狭いのかな?
でも使い魔を伝書鳩代わりにしたり盗賊ネットワークを使うにせよ、
一昼夜でどうにかしろって凄いよなあ。

いや使い魔なら冥王法(瞬間移動)使えるから、距離は問題にならんのかな?

207 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 09:27:15 ID:???
前線への命令伝達も異常に早かったからネットワークのスピードは現代並みなのかも
あとはどれだけの人間がエルナを信じてくれるかだよな

208 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 09:41:53 ID:???
ヴァルゲスの立ち位置がいい。
昔は理想主義のエルナ、現実主義のシャールヴィという配置だったが、
シャールヴィは今、完全にエルナ側についたので、
エルナと対比する現実主義の役割をヴァルゲスがやっている。

209 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 10:50:30 ID:???
どうでもいいけど、エルナが今まで出会ってきた人思い出すとき、
ちゃんとハルスホルトの市長の奥さん思い出してるのが嬉しかった
あとタレ目ちゃんもw
もう再登場はないだろうけど作者がこういう脇キャラも覚えてくれてるってのはなんか嬉しい

210 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 12:26:55 ID:???
>>208
現実的に物事をちゃんと見てる一方で
内心ちょっとエルナたちに期待してるっぽいところがいいな
アーサトゥアルに追撃命令したのも単に世界統一の野心とかじゃなくて
女王は女王なりに自分にできる範囲で本当に平和をもたらそうとしてるんだと思う

211 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 12:58:04 ID:???
そういや、なにげに準レギュラー化してる側近の美人さんは孫?
結構ズケズケもの言ってるから身内かなーと思ったんだけど

212 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 18:19:53 ID:???
孫か、親戚の見込みのあるのを次期女王に決めて、近くにおいて学ばせてる感じかなあ?
ずけずけ言わせて、その意見をまるで無視してるわけでもないし。

213 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 19:11:09 ID:???
孫かあ。ということは、この黒髪美人もあと何十年か経てば女王のようにしわしわのよぼよb

いやいやいや、逆に考えればいいんだな。女王も若かりし頃は見事な黒髪美人だったに違いない。

214 :マロン名無しさん :2006/09/25(月) 20:41:29 ID:???
いくら魔法が強くても、回生呪は若さまでは保ってくれないってこったな。

215 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 00:02:58 ID:???
魔法で不老不死なんてファンタジーの定番なのにな
そこらへん本当にシビアなマンガだ

216 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 00:06:57 ID:???
こういうキャラいないと話自体がなんか薄っぺらく感じてしまうよね
エルナのいうことが正しくてもうまく行くかは判んないんだし
それに対して懐疑心をもつキャラがいるのは当たり前だけど世界を広く感じさせてくれる

217 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 00:35:29 ID:???
遅くなったけど「っ来い!!」キター
側近美人さんモエス

218 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 01:31:37 ID:???
女王様は出番が遅かったのが悔やまれる
普通にメイン張れるキャラだよなあ
ベルグソーラがあれだけ心酔してたのもうなずける

219 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 01:57:42 ID:???
ベルグソーラ様ナツカシス
本編でも誰かちょっとは思い出してあげてほしい
今月のエルナの「今まで会った人」にも含まれてなかったし
まー最後まで敵だった人だからしょうがないけど

220 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 07:12:19 ID:???
エルナの「初めての人」なのに…

221 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 08:19:26 ID:???
女王様(・∀・)イイヨイイヨー
こう言う人が国のトップなら安心だネ

222 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 08:38:47 ID:???
女王様は一応序盤から出てるんだけどね。
その初登場の次までが間が空いた格好になるのかな。

マジでバーン様みたいな存在だと思う。
…は、もしや隣の女性はミストバーンの役割だったりsうわまてなにをするやm

223 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 09:39:23 ID:???
どっちかっつーとキルバーンじゃね?

224 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 11:42:22 ID:???
キルバーンぐらいの見せ場があるなら悪役でいいよ美人さん

225 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 20:54:34 ID:???
>>224
意味わかんねえ

226 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 21:33:51 ID:???
悪役になってもいいからもっと出番増えてほしいってことだろう

227 :マロン名無しさん :2006/09/26(火) 22:24:46 ID:???
全くもって同感だ
名無しキャラのまま終わらせるには惜しい

228 :あらすじ精霊 1/3 :2006/09/27(水) 00:03:19 ID:???
   第62話 大破壊

ついに聖剣の元にたどり着いたエルナとシャールヴィ。
だが、絶対封魔剣の異名は伊達ではない。
シャールヴィとゴルムの体内の魔法が聖剣と反応し、1アルーマー以内に近づくことすらできない。
まさに両刃の剣。その剣は人を守り、人を滅ぼす。
世界を滅ぼす魔獣を倒さんとその剣を抜けば、
剣がそれまで防いでいた魔風がたちまちのうちに世界を覆いつくす。
そして、予言者たちは言う。
やがていっさいの魔法を帯びぬ闇の姫御子がこの剣を抜いて、世界を破滅させると………
一人で聖剣のところまで登りついたエルナは、その予言を思い出し背後を振り返る。
私がこの剣を抜けば、世界は………
そんなエルナを叱咤するシャールヴィ。
おめーの悪いトコは人に任せねーとこだ。

「アースムンドもラタトスクもラヴァルタも みんなちゃんとやってくれてる!
 俺たちと共に戦ってる!
 世界の他の連中だって ちゃんと正しい言葉を聞きわけられる!
 奴らを信じろ!

 世界(ギムレー)は生きのびる」

シャールヴィの言葉に、エルナの中の迷いが晴れた。
聖剣の柄に手をかけ、一息に引き抜く。
その瞬間、すさまじい勢いで吹き荒れる魔風の嵐。
聖剣と聖盾のすぐ下にいるシャールヴィすら、乱れる魔風の猛威に防御圏(クレトゥス)を使わねばならないほどに。
それだけ聖剣が今まで絶妙な位置に立っていたということだ。
魔風の勢いに押されながら、それでもしっかり聖剣を握り続けるエルナは、
吹き来る魔風の果てについに世界の外――魔境の地平を垣間見る。

(あれが…―――!?)

229 :あらすじ精霊 2/3 :2006/09/27(水) 00:03:58 ID:???
空の色が変わる…
エルナと神を信じる世界中の人々全てが、各地の世界樹に避難を終えようとしていた。
アーサトゥアルでも、サンドヴィークでも、大聖堂でも、前線でも。

そして、ついに魔風が、世界の全てを覆いつくした。

本当にエルナが聖剣を抜いたことを知り、非難しながらもそれを愚行と断ずるヴァルゲス。
これで世界は…

かつてアーサトゥアルの王城だった世界樹の中では、人々が魔風の恐怖におののいていた。
民衆の中には、エルナの行為を非難する者もいた。
魔獣なんか倒しに行かなくても大丈夫だったんじゃないのか?
そもそも勝てるわけがない。よけいなコトしちまったんだ。災いを呼ぶ闇の姫御子が……!!
だが、その言葉にすかさず反論する者がいた。

「僕は…… 僕はもっとちゃんと エルナのこと知ってる」

それは、アトリ。迷いのない表情で、少年は大人たちを見据えて言う。

「エルナはちゃんと考えて ちゃんと行動する
 みんながアンサズとの戦に勝てそうだってうかれてた時だって
 エルナは………… 世界の平和のことを祈ってた…

 僕はエルナを信じてる

 エルナは自分のことなんか全然考えずに 僕らのために 世界のために
 もっともっと怖い場所で もっと怖い思いをしながら戦ってる
 僕は知ってる」

そう。アトリは知っている。あの日から、ずっとずっと、そう信じ続けていた。

「エルナは 伝説の勇者なんだっ!!」

230 :あらすじ精霊 3/3 :2006/09/27(水) 00:04:29 ID:???
アトリの言葉に次々の賛同の声を上げる、エルナの遊び友達の子供たち。
それによって、場の空気が少し穏やかになった。
子供たちの夢に救われたのだ。
しかし、外はあいかわらずの狂ったような嵐。この世界樹さえどれほどもつか……………

一方、エルナとシャールヴィは、魔境の空を進んでいた。
聖剣をくくりつけた聖盾をかざしてシャールヴィたちを守りながら、エルナは大地を見下ろす。
そこに広がるのは、中心から放射状に道が伸び、建物が立ち並ぶ巨大な町だった。
その町の建物のところどころが割れて、そこから魔風が吹き出しているようだ。

『来たな……!』

その時、どこからともなく声が響く。
その剣、その盾…勇者め……また来たな。
町の中心部、円状のブロックの建物が変形し、巨大な魔獣の首がせり上がってくる。

――フレースヴェルグ。

その三つの目がエルナたちを見据え――そして、その口から魔風が吐き出された。
エルナに聖剣を抜くよう指示を出すシャールヴィ。
ゴルムは聖盾で封魔呪から守ってやれ。俺は高防御圏(ホーグクレトゥス)でしのぐ。

『無駄だ…… 無駄だ勇者よ
 おまえが何度来ても 私には勝てぬ…』

嘲笑うような魔獣の言葉を無視し、シャールヴィの言葉通り聖剣を抜いて斬りつけるエルナ。
一太刀で魔獣の顔が大きく断たれ、巨大な穴が開く。
だが――

『無駄と言ったはずだ……!』

断ち穿たれた部分の側面から、新たに現れた魔獣の顔が、エルナたちを再び嘲笑った。

231 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 00:42:49 ID:???
最終決戦キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
つーか・・・あれ、ナニコレ?
フレースヴェルグの正体ってこの町なの?
つーかこの町なに?


232 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 01:05:36 ID:???
>>231
この町って今まで出てきたギムレーの都市とは全然雰囲気が違うね。
明らかに近未来っぽいんだが……魔獣の体表面にもコードやら不自然な溝やらがあるし
そっから怪しげな鉄骨やらがのぞいてたりしてるし。

しかし、聖剣で斬りつけても別の首が生えるのか。
魔獣の生命力ってどうなってんだ。さすがラスボス。

233 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 01:23:37 ID:???
魔風は放射能ってオチかこれ?

234 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 03:06:53 ID:???
フレースヴェルグ…切られてなお腐敗した竜を想像してたが…
これはこれですげえな

>>233
放射能に似たものなんじゃないか?
木こり夫婦みたいに変貌して理性を失って魔法を食い尽くす
終いには異形のモノとなってアースムンドが見た光景になるんじゃ…

てか、ゴルムは魔境から来たんじゃなかったのか?
魔風大丈夫なんじゃね?

235 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 04:35:32 ID:???
魔獣でかすぎ…なんか勝てるスベあるのかこれ?

236 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 07:02:25 ID:???
遂に聖剣を抜いて魔獣と対峙したか

237 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 07:06:21 ID:???
とりあえず良く判らん地域をひっくるめて「魔境」と名づけてるふいんきだな。
世界の果てにこんなもんがあるとは…

238 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 07:54:27 ID:???
>>234
単に風圧に煽られないようにかもしれないけど
魔風がごうごう吹いてる地域とそうでもない地域があるんかな?
濃度に差が有るとか

つーかフレースヴェルグって固体認識できないのか?
それとも実はエルナは勇者の生まれ変わりってフラグ?
とりあえず勇者が勇者と呼ばれていたのを知ってるんだよな
知り合い?ヴァーリはんから受信した知識かな

239 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 09:29:39 ID:???
人間がアリとかハエの固体認識できないのとおんなじなんじゃない?

240 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 09:43:35 ID:???
>>237
竜は魔境から来る、と言われてただけで、証拠はないんだよな。
ホントは違うのかもね。
人間の入ってない、山の中に暮らしてるのかもしれないし。

241 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 10:00:01 ID:???
聖盾で守ってやってるのはエルナの優しさで魔風は大丈夫なんじゃないかな
つーか聖盾の封魔法で聖剣の封魔法も防げるってーのはちょっとビックリ
封魔法もあくまでも魔法の一環なんだな

242 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 12:20:27 ID:???
曲がりなりにも炎魔剣と一緒にあったわけだし

243 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 16:18:41 ID:???
聖剣と炎魔剣反発させたらどうなるんだろうな

そういや、統魔雷剣はどうした?

244 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 16:45:07 ID:???
エイリークの素養見抜けなかったこと恥じて出家しました

245 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 17:35:07 ID:???
>出家
ソーロッドがポニーテールから三つ編みになるわけですね(*´Д`)

246 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 20:45:03 ID:???
生意気なこと言って姿を消したので、
戻ってこられなくなって困っています。
このままエルナ達が楽勝した場合、泣きます。

247 :マロン名無しさん :2006/09/27(水) 23:48:18 ID:???
聖剣と統魔雷剣の二刀流はかなり強力そうだが、
シャールヴィがアースムンドあたりから熱核系の魔法習ってたりしたら
この剣も用なしよな〜〜〜〜状態

248 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 00:44:08 ID:???
いくらシャールヴィだって魔法には限りがある。
強力な魔法ほど消耗も大きいし、いくら熱核系が
強力で聖剣との反応で絶大な効果が出るとしても、
卑しくもこの物語のラスボスを一発でということもあるまい。

統魔雷剣は無限の魔力を供給。しかもただ振るだけの
使い減りしない雷撃発射器。
シャールヴィの外部電池or急速充電器としてのみでも、
あるとなしとじゃ大きな違いでそ。

まぁ、ソーロッドの再登場と活躍を疑っている人はいないだろうけど。

249 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 01:18:49 ID:???
ここでソーロッド放置したままフレースヴェルグ倒したらこの作者マジで神だなw

250 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 01:21:06 ID:???
でも、この町全体がフレースヴェルグだとしたら統魔雷剣増えたぐらいで勝てるのか?
スケールがデカすぎる

ところで今月号呼んでゴレンジャーの黒十字総統思い出したのは俺だけでいい

251 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 02:15:53 ID:???
確か本拠地の黒十字城が正体だったというあのラスボスか
じゃあ黒十字城の正体はなんなんだよ!とツッコミ入れたっけな

この町の正体は明かされるのかな?

252 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 03:29:19 ID:???
来月はシャールピィが聖鎧を纏って戦います。
候ご期待ください

253 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 07:01:52 ID:???
>>250 古来、スケールの大きい…と書くと偉そうだが、この場合、
単に寸法の大きい…敵を倒すには、急所を突けばいいことになってる。
中心核とか、機関部とか、心臓とか。

シャールヴィがあの都市の中枢部に入り込み、壮絶な全力熱核雷弾自爆
ってのはどうだろう。で、倒したと思ったら大崩壊の中から剣でどうにか
できそうな程度に小型化した魔獣が現れ、それをエルナが聖剣で片付ける。

254 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 07:33:47 ID:???
そういや勇者がつけてた鎧の伏線はもうストーリー上完全スルーか?
「この鎧を再び作り出したる〜」とか言ってたから、これがなきゃ魔獣と戦えないと思ってた時代もありました。

封魔呪の扉を開けた人間に対してあんな台詞を言ってるんだから、鎧の効果は対封魔呪って事だよなあ。
だとしたら、あの勇者ってエルナみたいに魔法を持たない人間だった訳じゃないんだろうな。
その点が昔の勇者と今のエルナの差だから、ここが突破口にならんかなあ…。

255 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 08:20:39 ID:???
>>253
さりげなく「自爆」てw

魔獣はすでに神の領域だな
昔から神に挑む話はgdgdエンドレスがデフォ

256 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 08:36:30 ID:???
>>253
>シャールヴィがあの都市の中枢部に入り込み、壮絶な全力熱核雷弾自爆
自爆はともかく、禁呪使うな禁呪w
つーか、そもそも禁呪だから、シャールヴィはこの呪文知ってるのかな?
アースムンドに教えて貰ってるにせよ、シャーングラナード(だっけ)止まりじゃね?

257 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 09:27:15 ID:???
古代ファンタジーと見せかけてSFだったて方向に行くのか?
魔獣=神は生物じゃなくて、ロボット的なものとか。
つーことは…今まで言ってた神ってもしかして…

258 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 09:38:32 ID:???
魔獣見捨てて天空に去ったってことは、この都市が神々の居住区だった可能性は高いな
もしかするとここが最後の騎士様が言ってたヴァルハラなのかも

259 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 20:12:02 ID:???
>>256 ヴァーリが知っていたってことは、修道会には熱核系が
一通り秘匿されてたんじゃないの?魔獣が教えたとか、独自に古代の
資料から発掘したということでもない限り。
ならば、アーサトゥアルに出発する時、呪文くらいは教えてもらった
としてもおかしくない。少数で敵地に乗り込もうってんだから、今更
出し惜しみはしないでしょ。
一番の問題は、エイリーク曰く 使える人間はこの世に存在しない
ほどの大魔法をシャールヴィが成しえるか。


260 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 21:53:12 ID:???
そこで「ギムレーのみんな、オイラに力を分けてくれ!」ですよ。

まあ実際は、魔獣の攻撃で死にかけたエルナを見て理性が吹っ飛び
限界を超えた魔力を発揮するとかそんなんじゃないのかな。

ところでエルナが魔獣へ向けて聖剣を振るったときに
シャールヴィが「畜生、少し……」とか言いながら少量の出血をしてるんだが。
これって高防御圏では封魔呪を防ぎきれてないってことだよね?
今はまだ出血が少ないからいいけど、聖剣での攻撃が重なったら
どんどんダメージが多くなるんじゃなかろうか。

261 :マロン名無しさん :2006/09/28(木) 22:58:44 ID:???
エルナは死にかけたら本当に死にそう。治癒呪文効かないし。
…そして後世、永く英雄として称えられましたとさ?

エルナを掴んでなきゃいけないから、聖剣と距離を取れないのが問題だな。
エルナがゴルムを自在に御せるんなら、シャールヴィは風霊翼で
少し離れて行動する手があったのにな。
風霊翼と高防御圏に加え、強力な攻撃魔法を同時に発動する力が
あればの話だけど。

262 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 00:42:30 ID:???
>>260
あれ封魔呪のダメージなのか
てっきり魔風が入り込んできたのかと思った

263 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 05:27:23 ID:???
>>259
そこで敢えて禁呪使っちゃったら、女王様が言う「禁呪戦争ぞ」になっちゃうよ。
あの台詞は新兵器の相次ぐ投入によって泥沼化していったWW1を象徴していると思うんだよ。

魔獣相手とは言え越えてはならない一線ってのはあるんじゃないかな。

264 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 08:07:34 ID:???
修道会が使用許可したのもメルークホルとの併用限定だしな
あの世界での核兵器みたいなもんなんだろう>熱核系
シャールヴィはメルークホルの存在知らなかったみたいだし
アースムンドもそんな相手に熱核系教えようとはしないんじゃないかな

265 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 13:09:38 ID:???
逆に熱核系の呪文教わってるとしたら、
メルークホルもいっしょに教わってるんじゃないだろか。
爆発の威力と放射能をまとめてぽいできるメルークホルは
熱核系に対する唯一の安全装置なんだろうし。

あの魔獣相手だもん、熱核系呪文の威力はほしいよ。

266 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 14:26:46 ID:???
個人的にはポッと出の熱核系よりも雷撃で頑張ってほしいな…

267 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 15:04:11 ID:???
熱核雷弾と聖剣の反魔法を反応させれば相当強力な攻撃ができると思うんだがなあ
問題はシャールヴィがエルナに向かって熱核雷弾を撃てるかどうかだけど
エルナが魔法を弾くのに失敗したら目も当てられないことになるし

268 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 19:38:15 ID:???
聖剣と聖盾同時に使って封魔法の効果2倍!とかないのかな

269 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 19:49:48 ID:???
そんなゆでたまごみたいな計算があるか

270 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 19:50:40 ID:???
何そのゆで理論

271 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 19:54:16 ID:???
かぶってた・・・orz

272 :マロン名無しさん :2006/09/29(金) 20:03:00 ID:???
マジレスすると、封魔法は封魔法も封じるから相殺しあって魔法はねかえせずエルナあぼーん

273 :あらすじ精霊 1/4 :2006/09/30(土) 00:00:05 ID:???
   第63話 魔獣フレースヴェルグ

聖剣。魔法で編まれた全ての物を裂く絶対封魔剣。
その傷は決して癒えることはないが、変化し続けることでその威力をも無効にする…

これが、魔獣フレースヴェルグ。

エルナは悟る。これで勇者は勝てなかったんだ。
毒づきながらも雷撃(ソールスラーグ)の呪文を詠唱するシャールヴィ。
前の勇者サマと今度は違うんだ。

「今度はな 一人じゃねーんだよ!!」

雷撃と聖剣の反魔法が魔獣の肉体を破壊する。
かつてな威力を喰らいながらも、魔獣は活動をやめようとはしない。
復活するヒマも与えなきゃいいんだ。聖剣の反魔法力は聖短剣の比じゃねえ。
俺の雷撃と組み合わせれば、この世で最強の魔法弾だっ。
間髪入れず、連続して雷撃を放つシャールヴィ。
だが、途端にシャールヴィの肉体のあちこちが傷つき、血が流れはじめる。
シャールヴィが魔法を撃つ瞬間、高防御圏(ホーグクレトゥス)にスキができ、
エルナが聖剣を振るうたびに反魔法でシャールヴィの肉体は傷ついているのだ。
魔風も入り込んでいる。このまま続ければシャールヴィの体がもたない。
制止するエルナを、しかしシャールヴィは静かに諭す。
何言ってんだ。もう決めちまってるんだ。命預けてンだよ。
エルナ。おまえの夢はなんだ。理想はなんだった。
それは、新しい大地。
誰もが滅びの恐怖から解かれ、誰もが未来を拓くことのできる世界。

「行こうぜ… そこによ」

エルナを見つめるシャールヴィの瞳には、微塵の恐怖も迷いもなかった。

274 :あらすじ精霊 2/4 :2006/09/30(土) 00:00:36 ID:???
三度雷撃の呪文を唱えるシャールヴィ。
しかも、今度は雷球を二つ作り、2連弾にする。これで最後だ。
巻き起こる凄まじい爆発。天を貫く火柱。大地を覆う噴煙。
訪れた静けさに、終わったのかと期待を抱くエルナ。
シャールヴィの魔法も今ので終わりだった。ギリギリの戦いだったのだ。
気を抜きかけるエルナとシャールヴィの耳に、しかしその時、魔獣の嘲笑が響く。
噴煙の中から何本もの竜の首が伸び上がり、シャールヴィとゴルムに喰らいつく。
竜の口から吐き出される魔風によって、ズタズタにされるシャールヴィの肉体。
シャールヴィにかばわれながらも弾かれたエルナは、落下しながらその様を見る。
すでにシャールヴィには魔法がない。回生呪の光も、さほどの効果は期待できない。
勝てぬと言ったはずだ…魔獣の言葉に、エルナの胸を絶望が襲う。
信じてきた。この、よき願いがかなうものと。
人がみな、滅びの恐怖から解かれ、安らかな未来が約束されるなら、
きっと戦は終わり、憎しみ合うことも疑い合うこともなくて、みんながそれぞれ幸せになれるんだと…
そう信じていたのはエルナだけではなかった。
シャールヴィも、エルナの夢を、理想を信じ、命を賭けてくれたのだ。
けれど――そのシャールヴィは、もう…
涙を流し、シャールヴィに届かぬ手を伸ばすエルナ。
神様…胸の中でその御名を唱えたその時――

『え? はいはい あっ いや 神様じゃなくて』

エルナの耳に届いたのは、軽薄な青年の声。

『神様の…下……!』「? 精霊?」『なんの!?』「風…? 水…?」「………#」

続く漫才のようなやりとり。
そして、エルナはようやく思い出した。ただ一人、この状況で自分たちを助けてくれる存在を。

「雷精! 雷精ソーロッド」

その呼びかけに応え、落下するエルナを地上寸前で抱きとめながら、ついに忘れられていたソーロッドが姿を現した。

275 :あらすじ精霊 3/4 :2006/09/30(土) 00:01:06 ID:???
姿を現すなり、どうしてもっと早く呼ばないんですか、とエルナを叱るソーロッド。
だが、エルナはそんな説教に耳も貸さず、シャールヴィを助けて、と願う。
人のコトばかり先に考えるのも悪いクセですよ。
それに元気そーだし。
ソーロッドの言葉通り、瀕死の重傷のクセに、
エルナを横抱きにするソーロッドに因縁をつけるシャールヴィだった。
だが、もちろん今はそんな呑気な状況ではない。
喰らいつかれたまま体を振り回され、悲鳴を上げるシャールヴィ。
その身を案じるエルナのため、ソーロッドは渋々ながらも宙を舞い、シャールヴィの元へ向かう。

「――まことに不本意だが 助けてやらんこともない…」
「俺も助けられてやらんこともねーぜ」

いきなりシャールヴィがソーロッドの足を掴み、そのまま竜に叩きつける。
咄嗟に剣の姿に身を変えたソーロッドによって、竜の頭が砕かれ解放されるシャールヴィ。
自分を勝手に使ったことを怒るソーロッドだったが、
シャールヴィは、とっとと俺に魔法を送れ、と一喝する。
シャールヴィに喰らいついていた竜と同じものが、今度はエルナを狙っていたのだ。
シャールヴィに魔法を送りながら、ソーロッドは以前よりもシャールヴィの傷の治りが遅いことに気づく。
常に聖剣の恩恵を受けて魔風から守られているエルナと違って、
常時高防御圏を張っているシャールヴィは、回生呪だけに魔法を費やしていられないのだ。
それとも………もう一つの可能性に思い当たるソーロッド。
だが、シャールヴィは傷が治りきっていないのも厭わず、エルナ目がけて統魔雷剣を振るう。
統魔雷剣から放たれた雷撃を聖剣で受け止めるエルナ。
反魔法によって弾かれた雷撃が、エルナを襲っていた竜を撃滅する。
それを見て、面白い、と喜ぶ魔獣。
幾度と繰り出される竜だったが、その度に統魔雷剣と聖剣のコンボの前に打ち滅ぼされる。
それを見て、魔獣が遊んでいることに気づくシャールヴィ。
だが、それよりもこれ以上続けるとエルナの体力が危ない。
その時、魔獣が予想もつかないことを呟く。そろそろ趣向を変えよう。
小さい奴らを追いかけ回すのも、いいかげん飽きたカラ……
魔獣の肉体の一部が穴を開け、差湖から迫りあがってきたのは、棺のようなオブジェだった。

276 :あらすじ精霊 4/4 :2006/09/30(土) 00:01:37 ID:???
何? これ以上、何が出てくるの?
息を荒げながら不安がるエルナ。だが、シャールヴィは動じなかった。
大丈夫だ、何が来やがってもな。
こっちには聖剣がある。無限の魔力を供給する統魔雷剣もな。
だが、シャールヴィの言葉をソーロッドは否定する。
正確には無限じゃないぞ。相対的に無限なのだ。
この空間におけるある割合の魔法を、無限時間支配できるというだけだ。
たとえば、相手も魔法を使う場合…
だが、ソーロッドの説明が最後まで続けられることはなかった。
棺の蓋が開かれたのだ。
そこから姿を現したのは、腰まで届く長髪の、陰惨な目をした男――

「私を… 起こすなと言ったはずだ………」

棺から、男は外に出る。体に無数のコードのようなものを繋げて。
顔を上げたその男に、驚きの声を上げるエルナとシャールヴィ。

「ヴァーリ なぜここに……!」

ヴァーリが魔獣の手下であることを知るシャールヴィ。
だが、ヴァーリは思いもよらぬ言葉を二人に投げかける。
フレースヴェルグの魔獣の姿は、本体の防衛機構(システム)だ。
本体を殺さねば倒せぬぞ…と。
それは、彼の主であるはずの魔獣の、生死に関わる情報。
何を教える…怒りの目を向ける主に、ヴァーリは平然と答える。
私を目覚めさせた代償は、少しはあるかもしれませんよ。

「主よ もっと面白い遊びをしましょう」

そう言ったヴァーリの表情には、かつての虚無的な嘲笑が浮かべられていた。

277 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 00:24:17 ID:???
って、この長髪の陰気くさい男ダレ?って思ったらヴァーリはんかよ!!
自分から魔獣の弱点をばらしたりして、どういうつもりだ?
無理やり生き返らされてやけを起こしてるのか?
それともここまで来てようやくエルナ達の仲間になるフラグが立ったのか?

278 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 00:36:05 ID:???
まああれで死ぬわきゃないとは思ってたから驚かんが
公然と反旗翻しはじめたのにはちょっとビックリだな
使い魔法解呪されたら死んじゃうのに・・・
でも、死んだ後のセリフとか今回とか見るに生きることに執着してないっぽいなバーリはん
妄執晴れたせいか?

279 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 00:36:35 ID:???
バーリ仲間フラグktkr

280 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 00:41:15 ID:???
ラスト見る限りとても単純に仲間になるとは思えんけどなー

281 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 00:46:12 ID:???
ラストのヴァーリからはどっちの味方につくわけでもなく
ただおもしろければいい、という感じに見える。
その結果自分が死のうが関係ない(妄執晴れたし)というか。
しかし、システムと聞くと、何か近代的なイメージがあるね

282 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 03:28:59 ID:???
公然と術者の利益に反する行動がとれるということは、
術者と使い魔の支配関係ってのはかなり緩いものなんだな。
意のままに操るなんてことは無理で、コミュニケーションが
遠隔地からも出来る(?)こと、生命与奪を握っている以外は、
普通の上下関係とさほど変わらないじゃないか。

いつ死体に戻っても構わないという覚悟さえあれば、不死身の
体でやりたい放題?

283 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 03:41:56 ID:???
エイリークにワンレンカットにされた髪の毛が長くなってるのはどうしたことだろう。
もしかしてクローンで、魂だけ入れた?

284 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 04:57:02 ID:???
そういやカルルの時に疑問だったんだけど、エイリークが死亡したからカルルの使い魔法は解呪されたんだよね?
じゃあ死んだ鳥を使い魔にしたカルルは、何故普通の鳥になって使い魔法が解けたんだろう?
何気にマジで生き返ってないか?

使い魔法も色々裏技みたいな使い方ができるんだろうか。

285 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 05:05:09 ID:???
エイリークは死亡したともいえないような、特殊な例だから、
カルルも例外的に生き返ったとか…

286 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 07:10:13 ID:???
誰もソーロッドに触れもしてなくてワラタ

287 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 07:27:38 ID:???
ソーロッド?
あああのギャグキャラね。

288 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 14:32:46 ID:???
神様の下なんていう位置にいるくせしてずいぶんと軽いよな、ソーロッド。
不平不満は態度に出すし、エルナにはやたらとなれなれしいし。
精霊ってもっと神秘的で冗談も通じないような堅いのを想像してたんだがな。

289 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 20:51:02 ID:???
エイリークに話しかけてたときは確かにそんな感じだったんだがな

290 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 21:47:26 ID:???
よーするに、おにゃのこのそばに行きたかったんだな。
野郎のそばでは不機嫌。

291 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 22:40:38 ID:???
そのわりにいっつもシャールヴィに使われてるのはまさに神のイタズラだなw

292 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 23:04:15 ID:???
口ではああ言ってても、実はシャールヴィを認めているところがある…
と思いたいが、ああ軽くちゃなぁ。
王についてご高説をぶったり、限界のある中であがく人を見下すような
態度の割りに、それほど先を見通せてる訳でもないみたいだし。
とにかくムカつく奴だ。

293 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 23:11:33 ID:???
ソーロッドがショボく見えるのは直前のシャールヴィがカッコよすぎるせいもあるかもな
「行こうぜ、そこによ」はマジでシビれたよ

294 :マロン名無しさん :2006/09/30(土) 23:12:55 ID:???
エイリークエイリークって誰のこと言ってるんだよ
茂か?茂のことか?

295 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 00:38:22 ID:???
>神様の下 で >いっつもシャールヴィに使われてる

精霊って元々神の道具だったのかなー?
使われなれてる気がしないでもないし
魔獣も何かこんなだし

296 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 08:44:01 ID:???
しかし姫様を差し置いて何故ヴァーリ様だけが2回も御髪チェンジを。

297 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 15:44:46 ID:???
元が短いからな。

298 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 16:31:54 ID:???
>>296
姫様は衣装チェンジが何度かあったからな。
ストッキング姿初出時は正直興奮した。

299 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 18:35:57 ID:???
むしろ着替えが地味に多いのはシャールヴィ
なにしろすぐボロボロになるから

300 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 19:08:50 ID:???
>>298
いまだにあのミニスカタイツ姿で続けてほしかったと思い続けている俺ザンギ
いや、今のミニスカニーソ姿も好きですけどね

301 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 19:55:24 ID:???
エルナの太股は色気があってイイよなー

302 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 21:49:30 ID:???
ところで、ソーロッドの言う「相対的に無限」の意味がわからんのだが

303 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 22:35:00 ID:???
空間に存在しうる魔力密度には限界値が存在する為、
絶対量としての無限の魔力を供給することは理論的にできない。
しかし、ある割合を無限時間支配できるということは、即ち
一定の静的魔力量に対する無限時間の積分魔力量'比'は
無限大に発散する。

…無理だなw

304 :マロン名無しさん :2006/10/01(日) 23:46:07 ID:???
>>303の説明読んでも全くわからない俺には物理とかの素養がないのだろうか

305 :あらすじ精霊 1/4 :2006/10/02(月) 00:00:36 ID:???
   第64話 最後の戦い

風が強い………
かの魔獣フレースヴェルグと戦えば戦う程、傷つければ傷つける程、その命まで絶たぬ限りは、
その傷口より出づる魔風は増しに増し、かつての守られた土地(ギムレー)に流れこみ、
人々が命を領(おさ)めける世界樹(イグドラシル)を倒さんと。
早く。早く、なんとかしないと。早く…!

「雷(ソール)… この掌(たなごころ)に来たれ」

呪文の詠唱を開始するヴァーリ。
シャールヴィは、それがアースムンドが使っていた禁呪と同じものであることに気づく。
いや、ヴァーリの力量からすると、下位呪文ではなく最上級の熱核雷弾(シャーンスラーグ)か。
エルナの腕を引き、その場から走り出すシャールヴィ。
だが、走ったところで無駄かもしれない、
熱核雷弾なら、一瞬にして四方何ローイもの土地を破壊し、しかもその土地は毒に呪われるという。
魔境を拓き、新しき大地として世界の民を導くどころではない。
聖剣ではね返しても無意味だ。
コードを引きちぎり、背中から翼を生やしてヴァーリは二人を追う。

(ヴァーリ…… なんて… 神のように 悪魔のように恐ろしい姿……)

ヴァーリの魔法の気で、聖剣が震える。風を受ける帆のように。
常に魔風の吹き荒れるこの魔境にあって、さらに際だつこの魔法の強大さ。
エルナにもわかる。

(この男の力は… シャールヴィの力をはるかに超えている…!!)

今にも完成されようとするヴァーリの詠唱。
そして、エルナたちがたどり着いたその場所は、行き止まりだった。
間合いをとるつもりが、逆に追い込まれてしまったのだ。
ヴァーリの顔に勝ち誇ったような笑みが浮かぶ。

306 :あらすじ精霊 2/4 :2006/10/02(月) 00:01:09 ID:???
反転し、エルナをかばいながらヴァーリに向き合ったシャールヴィは、呪文の詠唱をはじめる。
それは、かつてアースムンドたちが熱核系の魔法と併用していた冥闇獄(メルークホル)の魔法。
だが、ソーロッドはシャールヴィの行為を無理と諌める。
そもそも、シャールヴィにとって冥闇獄はアースムンドに口頭で教えてもらっただけの魔法。
実際にやったことがない上に、空間の魔法量が足りないのだという。
相手もでかい魔法使ってるし、熱核雷弾呑む程の冥闇獄は、今の状況では魔風を変換しても足りない。
だから、シャールヴィの高防御圏(ホーグクレトゥス)と回生呪はその一瞬、自動解除されてしまうのだ。
だが、シャールヴィの耳にはソーロッドのウンチクなど届いていない。

「熱核雷弾(シャーンスラーグ)」

「大冥闇獄(ストールメルークホル)」

ぶつかり合う二つの大魔法。
シャールヴィの大冥闇獄が、ヴァーリの熱核雷弾を見事呑みこむ。
だが、その瞬間、血を吐いて倒れるシャールヴィ。
ソーロッドの言葉通り、高防御圏が自動解除されたために魔風をまともに食らったのだ。
顔色を変えてシャールヴィに縋りつくエルナ。
どうしよう。こんなに血を吐くなんてなかった…
一方、魔獣はヴァーリの無茶な振る舞いに憤っていた。
私まで殺す気か、と怒る主に、ヴァーリは冷ややかに笑いながら平然と答える。

「面白かったでしょう?」

今の衝撃で、エルナとシャールヴィの周囲の外壁と柱が崩れ、床が陥没してゆく。
崩れ落ちる瓦礫の中、シャールヴィは入り口らしき穴を見つける。
そこは、魔獣の心臓部につながる通路。
聖剣で心臓を一突きされたら大変。揶揄うようにヴァーリは指摘する。
ヴァーリが、わざとエルナたちをその場所へ招き入れたことを直感する魔獣。
だが、ヴァーリは何も答えない。
笑みとも憂いともつかぬ口元。
その瞳がどんな感情を映しているのか、魔風にたなびく髪に覆われうかがい知ることすらできない。

307 :あらすじ精霊 3/4 :2006/10/02(月) 00:01:44 ID:???
魔獣の体内とも言うべき通路に入り込んだエルナとシャールヴィ。
休んだ方がいいというエルナの言葉を、シャールヴィは聞き入れず先へ進む。
その時、二人を制止する声が響いた。
同時に現れる何匹もの竜――魔獣の防衛機構。
吐き出される魔風を聖盾(グランシール)でエルナが防ぎ、その陰からシャールヴィが魔法を唱える。
だが、シャールヴィのダメージは全く回復していなかった。
詠唱の途中で血を吐きうずくまるシャールヴィ。
竜の牙が、エルナに迫る。

一方、魔獣はヴァーリの真意を追求していた。
使い魔のオマエが私を裏切るとは。
だとしたらどうされます。主の怒りをものともせずに、ヴァーリは冷笑する。

聖盾の影に身をすくめていたエルナだったが、衝撃が訪れないことに気づき顔を上げる。
竜たちは、動き回って入るがエルナたちに直接襲いかかろうとはしてこない。
エルナは気づく。あの竜たちは、この通路の中には入ってこられないのだ。

そう、魔獣の防衛機構は、魔獣の体内には入れない。
今エルナたちを追ってエルナたちを倒せるのは、ヴァーリだけ。
ヴァーリの言葉に、魔獣は返す言葉を失う。
忘れるな――ただそれだけを言う魔獣。主が死ンダラ、使い魔も死ヌノダというコトをな。

立ち上がることができないシャールヴィの肩を揺さぶるエルナ。
ソーロッドがさっき気づいたとおり、内臓にまで魔風が入り込んでいるのだ。
だから回生呪の効きが悪い。
不死身といわれる王族でも、内蔵の病には倒れるのだ。
治癒呪文(クーア)をかけるよう促すエルナとソーロッド。
だが、シャールヴィは顔を上げながら、冷静に二人に言葉を返す。

「どうやら そんな時間はないようだぜ」

地上から彼らの前に舞い降りる影――それは、ヴァーリだった。

308 :あらすじ精霊 4/4 :2006/10/02(月) 00:02:22 ID:???
魔獣の心臓を刺しにゆかれるか。
何を思うのか、むしろ促しすらするかのようにエルナに語りかけるヴァーリ。
立ち上がりながら、シャールヴィは言う。
こんなことは認めたくもねえんだがな。

「おまえと二人がかりで戦っても 奴は倒せないかもしれない」

それは、シャールヴィが初めて吐いた、自らの負けを認める言葉。
でも――立ちはだかるヴァーリに向かい合いながら、シャールヴィは言葉を続ける。
俺がここで奴を止めてる間に、おまえが魔獣の本体を見つけ出して、倒すことができれば…
シャールヴィ、何言ってるの。
シャールヴィの言葉に不吉なものを感じ、問いただすエルナ。
だが、シャールヴィは答えず、エルナを思い切り通路の先へ突き飛ばした。

「先に行けっ エルナ」

もちろんエルナはそんな言葉に肯くことはできない。
だが、シャールヴィは自分を止めようとするエルナの言葉を遮る。

「ずっと願ってきたろう おまえは世界(ギムレー)を救え」

それは、エルナとシャールヴィが初めて出会った時から、
いや、その前からずっとエルナが願い続けてきたこと。
そして、シャールヴィの中にも、いつしかエルナの願いと同じくらい強く深く、
心に根ざしていた一つの想いがあった。
エルナに語りかけながらもヴァーリから視線を外さないシャールヴィ。
その顔には、決して変えることのできない、一つの決意が宿っている。

「俺は おまえを守る」

ギムレーの命運を賭けた最後の戦いが、今、ついにはじまろうとしていた。

309 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 00:14:10 ID:???
1. 派手な吐血
2. 強敵を一人残って足止め

ああ、あと

3. 秘めた想い

もあった。これって世に言う死亡フr (((((((( ;゚Д゚)))))))
その上、何か約束してたり、後で読まれる手紙を書いてたりしたら…
エルナにヴァーリより下と見切られたシャールヴィ…ヤバス!

310 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 00:25:19 ID:???
まだ死亡フラグってほどのものでもない気はするが
むしろシャールヴィより連載そのものが(ry

311 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 00:52:37 ID:???
いや、連載はもう大団円近いだろうから終了フラグ経ってもかまわんが、
シャールヴィの死亡フラグだけは心底心配だ。
今まで厳し目の展開続けてきた作者さんだけど、
ラストはハッピーエンドですよね!?

312 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 01:55:13 ID:???
禁呪はホントに核みたいな感じなのなー。
魔風とベルセルクと禁呪の毒はそれぞれ全部
違うものなんだろうか?とふと思った。

ストールメルークホル見て桜餅食いたくなったのは
ここだけの秘密だ

313 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 02:25:47 ID:???
皆、思い出すんだ。
1巻あとがきで「ラブソングみたいな話を書きたい」って書いてあったぞ!

つまり悲恋なら死にオチも考えらrうわまてなにをするやm

314 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 06:57:20 ID:???
シャールヴィ、かっこいいけど非常に不安な展開だな・・・
最後、おまえは世界を救え、俺はおまえを守る、てのは
シャールヴィにとってエルナは全世界と同じぐらい価値があるって告白と同じだよね
エルナ、シャールヴィの気持ちに気付いてハッピーエンド迎えてくれ・・・

315 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 15:18:14 ID:???
これはシャールヴィ死ぬね。
エルナは悲しみを胸に帰還し、アトリとくっつくと予想。

316 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 16:09:51 ID:???
アトリかよw

317 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 17:23:34 ID:???
さよなら(;∀;)ノ~シャールヴィ

318 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 17:25:54 ID:???
もう少し仲が進展していればお腹の中に新しい命が…のパターンが使えたのに

319 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 20:29:30 ID:???
>>318
そのパターンも見てみたい

320 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 20:54:38 ID:???
仮にシャールヴィの種が入ってたとしても、聖剣に近づいたところで
反魔法あぼーんじゃないの?(((( ;゚Д゚))))

321 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 21:18:04 ID:???
そういや、エルナが子ども作ったら普通に魔法使える子が生まれてくるんだろうか
それとも闇の御子二世?

322 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 21:39:41 ID:???
それならヴァーリはエルナを適当なのと結婚なり婚約させてそう
やっぱり本人限りなんじゃね?

323 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 22:58:53 ID:???
なんとなくエルナには生殖能力がないような気がするんだよなあ
人工的に遺伝子をいじられてるわけだし。

324 :マロン名無しさん :2006/10/02(月) 23:50:58 ID:???
「エルナ姫、我らよりあまり御寿命も長くないかもしれませぬ」

こんな不吉なフラグがあったことを唐突に思い出しました・・・(((( ;゚Д゚))))

325 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 00:24:58 ID:???
精霊に感染した者は長く生きられないってのもあったな
エルナは直接感染したわけじゃないが
キャリアから生まれたわけだからもしかしたら・・・

326 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 00:35:50 ID:???
でもあそこまでシャールヴィの死亡フラグが立ってるのに
いきなりエルナあぼーんエンドはあるのか?
もしそんな展開になったらこのマンガはある意味神作品だが。

327 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 00:43:15 ID:???
エイリークとシグルーンみたいになる可能性はある

328 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 01:21:19 ID:???
むしろ彼らがああなった以上、エルナとシャールヴィの生存は堅い

329 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 05:20:19 ID:???
しかし最終決戦なのに勝つかどうかじゃなくて、主人公コンビが死ぬかどうかを心配しなきゃならないとは、シビアな漫画だ

330 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 06:11:09 ID:???
勝つ!!それは間違いない
しかし二人揃って生還については自信がありましぇん

331 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 07:54:25 ID:???
まあところで本当にどうでもいいことなんだけど
聖盾の読みがグランシェールドからグランシールに変わってんのな

332 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 09:53:58 ID:???
この期に及んでは本当にどうでもいいことだなw

ところで、グランテインなのかグランティンなのかでずーっと悩んでる俺もいるわけだが

333 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 10:42:32 ID:???
グランテインのほうが語呂がいい気がするからグランテインで脳内再生

334 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 10:49:57 ID:???
グランティンだとグランティムティムとか言い出す輩が出てくるのでグランテインで

335 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 11:24:28 ID:???
ここにきて下ネタかよw

336 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 16:24:52 ID:???
グランティムティムをヌくエルナ…なるほど、確かにエロいな

337 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 16:33:56 ID:???
ぶった切るw

シャールヴィが魔風でぼろぼろになっているのを見ると、
やはり勇者の鎧が必要だったんだろうなと思わずにはいられない。
ロトシリーズ集めないまま魔王と戦ってるようなもんだよな。

338 :マロン名無しさん :2006/10/03(火) 23:12:10 ID:???
Uだとロトのつるぎはいらない子。

339 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 00:07:28 ID:???
そういえば勇者の鎧ってギムレーのどこにあるんだろう。
聖剣はノルズ山の頂上に突っ立ってて、聖短剣はアーサトゥアル、
盾と炎魔剣はアンサズだろ?可能性としてはグードランドか?

340 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 00:16:57 ID:???
もう無いんじゃね?
勇者の幻影は「…この鎧を再び作りだしたる者…」って言ってたじゃん。
遅くとも魔獣戦後、映像録画までには失われていたと見る。

341 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 00:36:14 ID:???
いや、一応映像には出ていた訳だから、
×遅くとも魔獣戦後、映像録画までには失われていたと見る。
○映像録画時点に少なくとも機能不全、そして後世に伝わらないことが
  確定していたと見る。
か。

342 :あらすじ精霊 1/5 :2006/10/04(水) 00:56:39 ID:???
「エルナ… 俺がここで奴を止める
 おまえは先に行って 魔獣(フレースヴェルグ)の心臓を潰すんだ」

迫るヴァーリを前にしたシャールヴィの言葉に、だが、エルナは逡巡する。
ヴァーリはあまりにも強すぎる。
しかも、今のシャールヴィは万全の状態ですらない。
こうして話しながらも、吐血を続けているような状態なのだ。

「シャールヴィ… その体で! 死ぬ気なの!?」

だが、それでもシャールヴィの決心が鈍ることは、もうない。

「…… ごちゃごちゃ言ってる暇ぁねえだろう」

人間生きてれば、てめえの命より大事だって思えることに出あうこともあるんだ。
かつてシャールヴィがエルナに言った言葉。
シャールヴィにとって、今がまさにその時だった。

「この期を逃したら 今までのことが全部パァだ
 世界(ギムレー)で… 世界樹(イグドラシル)の陰で待ってる奴らも……おしまいってわけだ」

ヴァーリの掌の上でほとばしる雷光。
シャールヴィは繰り返す。
口から血を吐きながら、制止するエルナの言葉に覆いかぶせるように。

「行け… エルナ 早く! 行くんだ」
「シャールヴィ……」


「 行 け え ぇ っ 」



343 :あらすじ精霊 2/5 :2006/10/04(水) 00:57:11 ID:???


          聖戦記エルナサーガ

              最終話
           風の大地へ(前編)



344 :あらすじ精霊 3/5 :2006/10/04(水) 00:57:42 ID:???
シャールヴィに背を向け、奥へと通路を走りはじめるエルナ。
その脳裏に、直前の別れの情景が思い起こされる。
大丈夫だ。縋りつくエルナに、シャールヴィはそう言った。
言いながら、初めてエルナを抱きしめた。

「またあとで会おう」

ウソだっ。あの人はあそこで死ぬ気だ…
そのことはエルナにもわかってる。それでも今はもう、走るしかなかった。
だが、シャールヴィはただ死を覚悟したというわけではなかった。
彼の思いは、すでにそんなことを超越したところにある。

(エルナ… 生も死も もう関係ねーんだ
 俺はいつでもおまえの夢と共にある
 俺はおまえの夢の大地で待ってる
 おまえが思い出してくれさえすれば

 俺は いつでも会いに行く)

エルナが思い描いた、あの、優しい風の吹く新しい大地で…

そこをあけてもらおうか。
エルナの後を追おうとするヴァーリの前に、毅然とシャールヴィは立ちはだかる。
エルナを守る。それが、彼の願い。生も死も越えた、シャールヴィの決意。

「てめェとは いつかケリをつけたかったんだよ」

ヴァーリの、あの人とも思えぬ変容。魔風の中で高防御圏がなくても平気みたいだし。
もしかすると、彼は魔獣の使い魔なのかもしれない。
かつて使い魔と化した少女と戦った経験からか、エルナはそう直感する。
だとすれば、私が魔獣を倒せば…ヴァーリをも同時に倒すことができる。
エルナは急ぐ――シャールヴィのために。

345 :あらすじ精霊 4/5 :2006/10/04(水) 00:58:13 ID:???
ケリだと? 簡単なことだ。
シャールヴィの言葉を嘲笑するヴァーリ。

「もう一度同じ魔法戦を交わせば おまえは死ぬ」

厳然たる事実を突きつけながら、ヴァーリは再び熱核雷弾(シャーンスラーグ)の呪文を唱え始める。

エルナの進む通路は、途中で二股に分かれていた。
迷ったのは一瞬。
神に導きを求め、当たっていてくれるよう祈りながら、エルナは思い決めた道を駆け出す。

統魔雷剣を握り締め、ヴァーリの詠唱を遮るべく接近戦を挑むシャールヴィ。
統魔雷剣と愛剣の二刀流による猛攻によって、ヴァーリの呪文が中断され雷球が消滅する。
面白い!
シャールヴィの挑戦に応えるように、腰から一振りの剣を抜くヴァーリ。
その一太刀が、シャールヴィの愛剣の刀身を砕き、触れてもいないのにシャールヴィの腹をえぐる。

胸騒ぎに振り返るエルナ。

(シャールヴィ 本当に… 本当にまた会えるの……?)

ううん、だめだ。こんなこと考えてちゃ…
涙を振り払い、意識を切り替えてエルナは駆ける。
また二つに分かれる通路。やはり迷いは一瞬で、エルナは先を急ぐのだった。

剣先も触れてなかったはずだ……
傷口を押さえうずくまりながら、茫然と呟くシャールヴィ。
自らの手に握る剣を見せつけるように掲げながら、ヴァーリは言う。

「世界の第3の魔法剣 炎魔剣(レーヴァティン)だ」

かつてエルナを利用して手に入れた、統魔雷剣より強力と言われるその剣こそが、ヴァーリの切り札だった。

346 :あらすじ精霊 5/5 :2006/10/04(水) 00:58:46 ID:???
無制御の魔法力を直接ぶつけるのが炎魔剣の能力。高防御剣でも防ぐことはできない。
またの名を制魔獣剣。

「この剣を魔獣の心臓にさし入れれば 魔獣を制御できるという…」

ヴァーリの言葉に驚いたのはシャールヴィだけではなかった。
貴様、そのために……驚愕の声を上げる魔獣。
魔獣は何も知らずに、ただ莫大な魔法を供給する魔剣として、ヴァーリにこれを持つことを許した。
ところがこれは、神が後世に託した緊急制御装置の鍵だったのだ。
もっとも、ヴァーリにも全てが解ったのは、この魔境へ来て、魔獣につながれている間にだが。

『オマエハ………… 主である私を支配しようというのか…』
「私は… 賭けをしているのです」

怒る魔獣に、冷ややかな笑みを湛えながら答えるヴァーリ。

「私とあなたのめざすものは違う… どちらに進むべきか… それとも………
 あなたがエルナの聖剣(グランテイン)に嫉かれて終わるのか…」

ヴァーリの真意を知った魔獣は、自分の体内でも活動できるよう、防衛機構(システム)を書き換えた。
姫が危ないな? シャールヴィを挑発するヴァーリ。
共に死すがよい。どうやら、魔獣の心臓を制するのは私だ。

ヴァーリの言葉通り、エルナの前に魔獣の防衛機構が立ちはだかる。
だが、エルナはもう恐れない。怯まない。
聖剣を振るい、防衛機構を薙ぎ払いながら、エルナは先へ進む。

「雷(ソール) この掌(たなごころ)に来たれ」

三度、熱核雷弾の呪文の詠唱を開始するヴァーリ。
それを食い止めるため、そしてエルナを救いに走るため、統雷魔剣を手にシャールヴィはヴァーリに挑む。
勝利するのは、はたして誰なのか――?

347 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 07:13:31 ID:???
巻頭カラーで最終回きたああああああああああああああああああああああああ

魔獣、大チョンボしてるじゃないか。
大体、伝説でも「魔風を自由に呼び込む剣」と言われているんだから。

348 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 07:26:04 ID:???
あ…あれ、前編のみ?

349 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 07:35:01 ID:???
ああー終わるよー終わっちゃうよー
読み終わるのがもったいなくて最後まで読めない…

炎魔剣を魔獣の心臓に差し入れると魔獣を制御できるっていうけど、
エルナは魔獣を斃す気満々だよね
でも心臓を刺しちゃったら体内にいるエルナも共倒れになってしまうのでは…(((゜д゜;)))

350 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 08:37:34 ID:???
何度も言いますが



さよなら(;∀;)ノ~シャールヴィ

351 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 10:22:01 ID:???
シャールヴィ絶対死んだわこれ・・・
なんて爽やかに死の決意すんのよこの王子サマ・・・orz

352 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 12:00:55 ID:???
>>348
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1158844512/678

353 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 14:39:59 ID:???
最終回キタァァ━━━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━━━!!!!
同じくもったいなくて読み進められない

つーかいまさらだけどヴァーリが切ねえええええ
賭けってなんだよ
エルナもシャールヴィもヴァーリも生き残りエンドを願ってる
自分は甘いですか

354 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 14:57:36 ID:???
前回まではまだ生き残る目もあるかなーと思ってたけど、無理っぽいなシャールヴィ…
女抱きしめて「またあとで会おう」は確実に死亡フラグだよなあ
完全に命捨ててるっぽいし

355 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 16:24:11 ID:???
夢の大地のあたりで泣いてしまった、ううう。
またこのカップルも幸せにならないまま死ぬのかよう…

356 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 21:02:58 ID:???
扉絵、エルナの瞳には、同じく花咲き乱れる風の大地に立つ
シャールヴィが映っているに違いない。
全てを成し遂げたとしても、もしシャールヴィを失って>>241
いれば
あの表情にはならない。
同じ一人立つ図でも、エイリークに「君はどこか風の良き地へ
行って幸せに」と言われた時のシグルーンのイメージとは全然違う。


357 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 21:16:19 ID:???
なんだこの>>241ってwネットの調子が悪くて、うまくレス出来ない間、
他のスレ覗いている間に、いつの間にか入っちまったようだ。

それはともかく、扉絵エルナの前にいるのは生きた生身のシャールヴィ
であって、夢の大地に会いに来た亡霊じゃないからな!

断じて。

358 :マロン名無しさん :2006/10/04(水) 22:02:18 ID:???
扉絵エルナ自体が実は・・・という展開もないとは言い切れんぞ、このマンガの場合

359 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 07:20:45 ID:???
やめてやめてー(((;゚Д゚)))

とりあえず今回で魔風が無制御の魔法らしいってことはわかったな
無制御だから人間や動植物には強すぎるってことか

360 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 11:36:56 ID:???
自分も夢の大地で…のとこで泣いたよ…。
こんな泣ける漫画だとは思っても見なかった。
初登場時と比べシャールヴィ男前になってるし。 惚れたから死なないでくれ

361 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 15:48:27 ID:???
なにげにこの漫画で一番成長したのってシャールヴィかもしれんね
最初は自国のことしか見えてない典型的なキャラだったのが、
エルナと触れ合ううちにギムレー全体のことを考えるようになり、
ついにはエルナと同じ視点から世界を救うために動けるようになった
もちろん一番大事なのはエルナってのが根底にあるんだろうけど

対照的にエルナが世界よりもシャールヴィを優先するような言動とってるのが面白い

362 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 16:49:45 ID:???
こんな事態なのに相変わらずむっと来たりしてるソーロッドはマイペースな奴だなw

363 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 17:24:50 ID:???
ヴァリはんがんばれ。

364 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 18:24:15 ID:???
ちょっと待て、バーリはんが頑張ったらギムレーが消滅してしまうぞw

ヴァーリがいきなり魔獣の弱点をばらした時は自暴自棄になってるだけなのかと思ったが、
「私とあなたのめざすものは違う」って言ってるし、まだ目的らしいものはあるのかな?

365 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 20:34:32 ID:???
王位への妄執が晴れた以上は
残ってるのはみんな死んじゃえって思いだけだと思うんだけど
それだったらフレースヴェルグとおんなじはずだもんなあ
最後までよくわからん人だね、バーリはん

366 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 22:02:51 ID:???
>>359
魔風が無制御の魔法力だとすれば、魔法使うと魔風が吹き込む理屈も説明できるな
前回のソーロッドの説明から、魔法が単に術者の魔法力だけに依存するものでないとすれば、
消費された空間の魔法力を魔風が吹き込むことで補填するようになってるんだろう

・・・とすれば、魔風が吹かなくなったら世界から魔法は失われるのか?
なかなか興味深いな

367 :マロン名無しさん :2006/10/05(木) 23:44:02 ID:???
人間からも僅かに魔風は噴出しているんじゃなかったか?
辺境はともかく、聖剣の加護の下ではそもそも魔境の魔獣由来の
魔風がそんなに影響を与えていたとは思えないし。
魔法は無くならないだろ。

368 :あらすじ精霊 1/7 :2006/10/06(金) 00:02:11 ID:???


          聖戦記エルナサーガ

              最終話
           風の大地へ(後編)



369 :あらすじ精霊 2/7 :2006/10/06(金) 00:02:43 ID:???
魔獣の防衛機構(システム)の妨害にさらされるエルナ。
来るナ。それ以上来るな。魔獣は執拗にエルナを拒み続ける。
私はおまえたち全ての母(アルマーダー)だというのに…
かつて神々が、この私の体内で全ての生命を造り、街に灯をともすための炉を燃やし。
そう、その頃は、この魔獣そのものである街も、活動していたのだ。
全ての神々の栄光は、私と共にあった…懐かしむように語る魔獣。
それが……
爪のように盛り上がる床に足をすくわれ、転倒するエルナ。
すかさず鋭く尖った防衛機構がエルナに襲いかかる。
聖純と聖剣で身を守るエルナだったが――
何度かの私の暴走事故がきっかけで、全土が魔法に汚染され、神々は天空に去った………
私は捨てられたのだ。
その魔獣の呟きと共に、防衛機構が崩れ始める。
その向こうに広がる、魔獣の心臓部がついにエルナの前にその姿を現した。
ドーム状に盛り上がった床、天井の中心から垂直に下がる柱。
――明らかにギムレーの文明とは異なる、科学の結晶のような部屋。
魔獣の心臓部が、ついにエルナの前に姿を現したのだ。

『悲しい… 悲シイィィ』

――魔獣の悲痛な嘆きと共に。
中心部に向かっていくエルナ。
剣を差し込むためのような穴があるが、形が聖剣ではないようだ。
その時、怯えたような声がエルナの耳に届く。
ヤメロ。来るなっ。それ以上近づくな。
よく見れば、天井から降りる柱と床の中枢部の間に、
トゲの生えたとても小さな立方体が、クルクルと輝きながら回転している。
それを見て、エルナは直感する。

(あれが魔獣の心臓… いや 魔獣の心…!?)

370 :あらすじ精霊 3/7 :2006/10/06(金) 00:03:14 ID:???
統魔雷剣でヴァーリに剣撃を浴びせるシャールヴィ。
だが、ヴァーリはそれをたやすく凌ぎながら、熱核雷弾(シャーンスラーグ)の呪文の詠唱を続ける。

「万物に先立ち 古き生まれの星の素子 ここに契約を重ね」

魔獣の心臓に近づくエルナ。これを破壊すれば……?
だが、魔獣はエルナを拒絶し悲鳴を上げる。
ヤメ…ヤメテクレ。殺スのか…?

『違う! 私のセイじゃない 私のせいじゃないんだ』

シャールヴィと刃を交えながら、巨大な雷球を空中で維持するヴァーリ。

「閉じた壺の中 素子よ 煮えて」

剣の心得もあるのか、息が切れる気配もない。
その強さに舌を巻くシャールヴィ。

「寄りて寄りて 星の力を示さん…」

「やべえっ 詠唱が! 止められねえ!!」

                     『私は世界を滅ぼそうと魔風を吐くわけではない』
             『壊れたからだ』
    『壊れたのは誰のせいだ』              「!」
           『造った神のせいではないのか』
                          『人も同じだ』
             『なぜ不完全なのか』
  「声がッ 洪水のように!!」 『なぜ戦を繰り返すのか』
          『なぜ愚かなのか』

『おまえは神を見たことがあるのか』

371 :あらすじ精霊 4/7 :2006/10/06(金) 00:03:45 ID:???
戦に巻きこまれた罪なき農夫を 神が救うのを見たことがあるか
あるいは 幼子が病に死すときに 神は救ってくれるか
起こるべき奇跡はもう起こらぬ
だから正義は萎え 人は愚かになる
神々が去ったせいだ おまえたちも見捨てられたものなのだ

滅びよ 滅びよ
それが神の呪いだ

心配するな 私がまた世界を産んでやる
奇跡の行われる理想の世界
どうだ

『おまえだけは その世界に残してやってもいい』

あふれる魔獣の誘惑の声が、エルナの中を満たしてゆく――

一方、シャールヴィとヴァーリは最後の激突を迎えようとしていた。

「今こそ我が敵の上に…」

今にも完成されようとするヴァーリの呪文。
その時、ソーロッドがシャールヴィに話しかける。
最後の手段を考えねばならない。
私はこのカタチを捨てる。奴も魔法を撃つ瞬間にはスキができるから、そのときに――
だが、シャールヴィはソーロッドの言葉を最後まで聞くことができなかった。
突然血を吐き、姿勢を崩すシャールヴィ。
蓄積されてきたこれまでのダメージが、ついにシャールヴィの限界を超えたようだった。
そして、容赦なくヴァーリの呪文が完成される――

「神の業火降らさん」


372 :あらすじ精霊 5/7 :2006/10/06(金) 00:04:16 ID:???
「違うっ それでも もしも神がもう地上に降りなくても」

エルナは叫ぶ。魔獣の誘惑を振り払い、断固たる彼女の意思と信念をもって。

「人間は懸命に悩みながら生きてゆく
 私! 見てきたもの」

ハルスホルトで。グランガルズで。大聖堂で。名もなき小さな村で。ウルの砦で。ホスクルド公領で。
今まで旅してまわってきた、全ての場所で。
そこで出会った、全ての人々は。

「きっと越える道を見つける!! 見捨てられてなんかいない 悩む力を授かっているもの!!」

悩んで、迷って、苦しんで。時には憎しみ合い、恐れ合いながらも。
それでも人は――

「もうすでに地上は神のものでも万有の母(アルマーダー)のものでもない
 神を恨み続けるあなたを越えて

 私たちは新しい大地へ行くんだ!!」

魔獣の心臓目がけ、聖剣を振り上げるエルナ。
身もだえするように激しく回転しながら、魔獣の心臓は必死に命乞いをする。
エルナの耳に、魔獣の悲鳴が響く――

放たれようとする熱核雷弾。
嘱けるシャールヴィだったが、先の吐血のせいでタイミングが遅れていた。
間に合わない――
と思われたその時、突然、ゴルムが空からヴァーリに襲いかかる。
ヴァーリに生じる致命的な隙。ソーロッドに呼びかけ、シャールヴィは統魔雷剣を――

悲鳴を上げる魔獣に、エルナは聖剣を振り下ろし――

373 :あらすじ精霊 6/7 :2006/10/06(金) 00:04:52 ID:???
ヴァーリの背に延びるコード。
その瞬間、エネルギー体と化した統魔雷剣がヴァーリの肉体を打ち砕く。

『さらば』

消え行く統魔雷剣から聞こえるソーロッドの声。
まあ、もともとエネルギー体だから未練はないがな。
そーだ、おまえ、ちゃんと治癒呪文(クーア)しろよ。

『我が主を泣かすな…』

その時、魔獣の体内が崩壊を始める。
エルナが魔獣を倒したのか。シャールヴィの言葉を、首だけとなったヴァーリが否定する。
魔獣を倒したのはおまえだ。
魔獣はエルナにおびえて、さっきヴァーリの中へ入ってきたのだ。
だが、エルナはその直前、一瞬躊躇していた。

「そういう人間だ…… 我が妹は…」

虚ろな瞳で虚空を見上げ、つぶやくヴァーリ。
その言葉に耳を疑うシャールヴィだったが、問いただす時間などもはや残されてはいなかった。
もしも魔獣がエルナを信じることができたなら、命長らえる道もあったものを……………
魔獣は全てが滅びたあと、もう一度世界を産むつもりだった。本質が母だからな。

「でも 私は… もう何も生まれなくていいと… 何も無くなってしまえばいいと… 思った
 もう…
 愛も憎しみも全て 哀し… ……」

崩落してゆく床に呑みこまれるヴァーリ。
その瞳に一粒の涙が浮かんでいたのを、初めて彼が見せた心底の哀しみを、
シャールヴィは確かに見た…

374 :あらすじ精霊 7/8 :2006/10/06(金) 00:05:23 ID:???
崩れ行く魔獣の体内で、エルナを探すシャールヴィ。
だが、この状況では捜しようがない。
一方、エルナもシャールヴィの姿を一向に捜し求めていた。

「シャールヴィ シャールヴィ シャールヴィ
 シャールヴィは無事なの!?」

自分の命も危ういこの状況で、泣きながらシャールヴィの無事だけを祈り続けるエルナ。
すでに聖剣は裂けた床に飲まれ、その手にはない。
泣きじゃくるエルナに、その時、手を差し伸べる者があった。

「しょうがないなあ エルナ」

それは、消え去ったはずのソーロッド。
不本意ながら、これからはあなたをある男に託すことにするよ。
その言葉とは裏腹に、ソーロッドの表情には笑顔が浮かんでいる。
エルナの手を引き、空間を越え、ソーロッドはエルナを導く。
その男のいる場所へ。

「その男は もう待ってる」

夢の大地で…
彼女が夢見た優しい風の吹く草原で。

そこで――シャールヴィが立っていた。

「シャールヴィ」

「エルナ 無事かっ」

その言葉には答えず、シャールヴィの胸に飛び込むエルナ。
夢の大地で――二人は静かに、いつまでも抱き合いお互いの存在を感じ取っていた…

375 :あらすじ精霊 8/8 :2006/10/06(金) 00:05:53 ID:???
やがて彼らは世界(ギムレー)に帰還し………
いや もうすでに閉ざされたギムレーなどという世界はない
ひらけるは広大な大地
闇の姫御子が世界を消滅させるという予言はまことだった…

地に埋もれた聖剣(グランテイン)は
地脈の力を借りて新しい大地をすみやかに浄化していった…

かつて世界(ギムレー)だった地はグードランドの女王ヴァルゲスの統治となり
エルナとシャールヴィは新しい大地に新しい国を建て やがて結婚して3人の王子をもうけた

そののち 新しい大地に再び人が満ちるまで ながく平和が続いたとのことである

さて このへんで このエルナの物語(サーガ)を終えることとしよう…

   *   *   *

雄大なる世界樹(イグドラシル)の下、エルナとシャールヴィの結婚式が執り行われようとしていた。
降り注ぐ陽光、集まった数えきれないほどの人々。
アトリやその両親、ラタトスク、ラヴァルタ、アースムンド、新法王の姿もある。
みんなに祝福され、二人は新たなる未来をこれから築こうとしていた。
はしゃいでいるのか、エルナを肩に抱え上げるシャールヴィ。
恥ずかしがって下ろしてもらおうと訴えているエルナは、もちろんこんな時でもミニスカだ。
オイお二人さん、チューしてみせろよ。みんなにサービス。
遺憾なくセクハラ野郎っぷりを発揮するラタトスクに、真っ赤になって怒るエルナ。
そんなエルナの顔を、シャールヴィは優しく抱き寄せる。

「エルナ…」

そして、二人の唇が、そっと重なった――

                                     M↑↑ 培`Π↑

376 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 00:32:07 ID:???
うわあああ、終わった、終わっちまった・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
なんかもう、いろんな意味で泣かせられる最終回だった
とりあえずシャールヴィ死なないでよかったねシャールヴィ

377 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 00:41:18 ID:???
いい最終回だったな・・・
エルナとシャールヴィに幸あれ

378 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 01:10:51 ID:???
ついに終わっちゃった……

シャールヴィの「俺はいつでも会いに行く」で泣き
ヴァーリの「愛も憎しみも全て 哀し…」で涙ぐみ……
最後の結婚式のシーンでも、世界樹の下ってことは
エイリークもそこにいるんだなと思うとまたそれでじわっと……

ところで一番最後の文字が読めないんですが(´・ω・`)
「THE END」の意味でいいんだろうか?

379 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 01:12:14 ID:???
母って魔獣メスかよ!

・・・エルナ結局心臓刺したのかな?

380 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 01:19:16 ID:???
ヴァーリがエルナのことを最後の最後に「妹」と呼んだのが感慨深い
一言で言い尽くせないような複雑な感情をずっと持ってたんだろうなあ

381 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 01:47:39 ID:???
こんなにキレイな最終回久しぶりに見た希ガス
キスで幕ってのはちょっとクサすぎだろーとおもわないでもないがw

382 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 02:04:11 ID:???
ああああ…終わってしまった…!!
ああ…でも、凄く清々しい終わりだった。
振り返っても本当にいい物語だったよ…!

383 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 02:09:36 ID:???
バーリカワイソス。泣けた。
ソーロッドヤサシス。泣けた。
シャールビィ生きてた。泣けた。
良い最終回だった。泣けた。


384 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 02:13:16 ID:???
ラタトスク生きてた\(^o^)/
エルナ達を助ける為に命を捨てるんじゃないかと毎週怯えつつ見てたよ。本当に良かった……

そしてフレースヴェルグとヴァーリ乙。
ふたりともある意味満足して逝ったと思う。そう思いたい……

最後に堤さんとあらすじ精霊さんに心から乙。

385 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 02:48:15 ID:???
ちゃんとハラハラできて.ちゃんと終わったなあ、良かった良かった。
さりげにゴルム、超GJ!!

386 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 06:08:20 ID:???
>>379
ヴァーリはやけに確信を持って「躊躇した」と言い切ってるよな。
我が妹はそんな人間だと確信している、そんな主観的な理由で。
そして確かにエルナが心臓を潰す直接的な描写はなかった。

作者としてはどちらとも取れる書き方にしてるんだろう。答えは出してない。
「シグルーンは魔精霊を飲んだのかどうか」と同じく、謎として残ったね。

387 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 07:00:29 ID:???
今読み終わった
お二人さん、お幸せに!

ところでラヴァルタとラタトスクの微妙な距離が気になるのは俺だけですか

388 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 07:01:22 ID:???
ハッピーエンドだと思うが、

>そののち 新しい大地に再び人が満ちるまで ながく平和が続いたとのことである

何気に物凄く辛辣な事書いてないか?
つまり、新しい大地が人大杉になったら、またギムレー時代みたいに戦乱開始って事だろ?

389 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 07:17:28 ID:???
いずれにせよ、結果としてエルナは魔獣の心を潰してはいない。
仮に聖剣があの四角い雲丹を焼いていたとしても、もうそこには
何もいなかった。
魔獣が逃げ込んできたから、エルナが躊躇ったという事実を
ヴァーリは知った。「我が妹は〜」というのは、その事実に関する
彼なりの評価ないしは感想を述べただけ。

と俺は受け取った。俺はね。

ヴァーリの最期の言葉、彼も本当は誰かに心情を知って欲しかった
のだろうか。許しや理解を求めてではなく。ただ一方的に語って
逝っちまったけど、その聞き手がエルナではなくシャールヴィ
だったというのも…。

390 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 07:31:10 ID:???
>>388 結局のところ、エルナが言ったように猶予を得ただけなんだよな。
一人や二人の勇者が全てを解決し、永遠の平和なんてものを造れる
わけじゃないし、これだけのことを通過しても人間はさほど上等になった
わけじゃない。だからまた余裕が出来れば争う。
それでも、ってところが肝なんだと思う。

最後にこれだけ
シャールヴィ「ついにねんがんのヴェスタルのゆびわをてにいれたぞ!」

391 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 09:58:50 ID:???
終わったね・・・良かったよ、面白かった!!
エルナとシャールヴィ、幸せに。

392 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 09:59:15 ID:???
ちょwwwシャールピィwwwww

393 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 10:14:16 ID:???
>>390
ちょwwそれ死亡フラグと同義wwwwww


どうなることかとハラハラしたけど、ハッピーエンドになってホントよかった!
エルナとシャールヴィがアトリと再会したときのコマ見て、
思えばアトリはエルナにとっての運命の出会いを間近でみてたんだよなあ。とか
エルナをさらっていった男とエルナが仲良く戻ってきてどんな気持ちだったんだろ。とか
シャールヴィとどんなやり取りをしたんだろ。とか
色々考えちゃったよ。感慨深い。



394 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 12:30:57 ID:???
アトリの初めての失恋であった…

395 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 12:47:22 ID:???
>>新しい大地に再び人が満ちるまで

この辺に続編の匂いを感じる。続き期待!

396 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 12:49:40 ID:???
エルナはヴァーリの最後をシャールヴィから聞くことは
あるんだろうか?自分の兄だったってことは一生知らないままなのかな。

397 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 15:11:15 ID:???
あー!ホントだ、シャールヴィ指輪してるー!
今の今まで全然気づかなかった…orz

398 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 20:11:09 ID:???
あーあれエルナパパの指輪だったんだ。
ギムレーにも婚約指輪を交わす習慣ってあるんか?とか思ってた。
すごいね、5巻の指輪のエピソードってちゃんと伏線になってたんだな。

399 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 20:49:04 ID:???
エルナママの指輪って出てきたっけ?
それか、シャールヴィ母の指輪って無いのかな


あと、「悩む力を授かっているもの!!」

このセリフに涙出た ちょうど色々悩んでたので

400 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 22:10:27 ID:???
あああ、おわっちゃたかー
ゴルムグッジョブ大団円乙

炎魔剣にも精霊が憑いてると思っていたのでそこだけ残念

401 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 22:23:41 ID:???
炎魔剣の精霊はナイスバディのお姉ちゃんなのだと
根拠なく信じていた俺が来ましたよ

>>389
>四角い雲丹
なんか知らんが異様に笑ってしもた

402 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 22:58:46 ID:???
終わってもうたなぁ。
あらすじ精霊さん激しく乙。

403 :マロン名無しさん :2006/10/06(金) 23:32:46 ID:???
最後、ちょっとでもいいからカルルに再登場して欲しかったな・・・

404 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 00:41:34 ID:???
心の目で見るんだ。世界樹の梢で二人を見守るカルルの姿がきっと浮かんでくる。

405 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 01:26:24 ID:???
あらすじ妖精さん乙、ここまで続くとは正直思わなかった
本当に乙

で、IIもやるのかな??

406 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 01:41:12 ID:???
>>405
II…?
続編やるのか?マジで!?

407 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 01:42:39 ID:???
>>405
ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1160140312/

408 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 07:55:26 ID:???
これだけ綺麗に終わった作品の続編って難しそう
そもそも最遊記とかが幅効かせはじめてGファンも路線変わってきてるし…
あ、でもドラクエ3みたいに時間遡って勇者様の話とかはアリかも

まあ、今は単行本に描き下ろしでもつけてくれれば満足

409 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 09:48:25 ID:???
マイベスト漫画確定。
いや他にもっと面白い漫画はあるんだけど一番好きな漫画だ。

410 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 11:20:30 ID:???
あらすじ精霊さん乙!素晴らしかった。今更だけど上手だったなあらすじ。
エルナ達のその後とかもっと見たい



411 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 17:45:49 ID:???
>>409
スレチだけどそのもっと面白い漫画が何か聞いてみたい

エルナはもしかして寿命が短いかもとか心配はあったけど
とりあえずハッピーエンドでよかった。

412 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 18:39:49 ID:???
一枚絵でいいから、10年後くらいのエルナファミリーが見てみたい

413 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 19:52:41 ID:???
子どもってどっち似だろうなあ
3人が3人ともシャールヴィ似だったらすごいことになりそうw

414 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 20:18:28 ID:???
三人ともエルナには逆らえずむしろ平和な家庭のオカン

415 :マロン名無しさん :2006/10/07(土) 20:36:01 ID:???
シャールヴィは真剣に子供とケンカしそう。
で、まとめてエルナに叱られる、と。

416 :409 :2006/10/07(土) 23:10:14 ID:???
>>411
ベルセルクとか蒼天航路とかな。まあ聞き流してくれ

417 :あらすじ精霊 :2006/10/08(日) 00:01:04 ID:???
かつて魔境だった新しい大地へと向かう馬車の一群。
それは、エルナたちと共に新しい大地で新しい国を目指す人々の集団だった。
先に進むラヴァルタに下心丸出しの笑顔で話しかけるラタトスク。

「ちょっとさあ ねえ… そうさっさと行かないでさあ
 鞍を並べてお話しながらっつーか」

「ラタトスク! こりてないのね」

すかさず恋人(?)にツッコまれ、ラタトスクは口をつぐむ。
それを見て優しげな微笑を浮かべるラヴァルタ。
そんな彼らに、先頭を進むアースムンドが振り返り、休憩を提案する。
片手を上げ、上空をゴルムで飛ぶエルナとシャールヴィに合図を送るアースムンド。
いつの間にやらタンデム仕様の鞍をゴルムにつけて仲良く跨がっていた二人は、
それを見て一行の前にゴルムを着陸させる。
空から見たら、この先に大きな川があって もう世界樹(イグドラシル)の森が広がってるの。
ゴルムの背から見た風景をみんなに伝えるエルナ。
エルナの言葉にアトリが顔を輝かせる。

「そこなら…… きっといい国ができる…」

「うん きっと」

答えるエルナを、優しい表情で見守るシャールヴィ。

「きっとね!」

優しい風に吹かれるエルナの晴れやかな笑顔の向こうで、
白い雲を抱き、どこまでも青い空が広がっていた。
新しい大地を見出した人々を祝福するように――

418 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 00:39:57 ID:???
…なんか、行き当たりばったりな建国?
これだけの規模で、おそらくはもう帰る所の無い出発なのに、
終着点は何となく進んでいる内に目に入った良さげな場所!?
事前に先遣隊を送り込んで地形、地質や水利なんかを
最低限の調査をしてから、じゃないのだろうか。

というような突っ込みは無粋なんだろうな。

419 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 01:39:45 ID:???
シャーンスラーグやソールスラーグのスラーグってドイツ語で言うSchlagだったんだな。
ふと気づいた。

420 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 08:48:13 ID:???
単行本もこれで最後かー
書き下ろしてくれたのは嬉しいけど、エルナとシャールヴィの絡み全くナシかYO!
ゴルムにタンデム当たり前の状況からお察しくださいってことなのか

421 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 09:41:26 ID:???
王位継承権を持つ最後の姫であるばかりでなく、神話に語られる魔獣を倒し、
滅亡の危機にある世界を救い、新たな地平を拓いたエルナ。
エルナとともに魔獣を倒し、エイリークもヴァーリもおらず、聖剣も行方不明な
今、ついに人類最強の座を揺ぎ無いものにしたシャールヴィ。

一方、不毛な戦に国力を費やし、ヴァーリにいいように操られ、有意の人材は
おそらく一掃されているアーサトゥアルには、幾分なりと彼らに対抗できる実力を
持つ者はいないんだろうな。異を唱えるなんて論外。ただ認めるしかない。
普通に考えたら、アーサトゥアルの姫とアンサズの王子がこんな関係なんて
有り得ないところだろうに。

422 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 09:57:00 ID:???
まあ名実ともに伝説の勇者様になったわけだから
新法王もエルナたちの味方だろうし

423 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 10:11:53 ID:???
あの・・・最終巻、どこ行っても売ってないんですけど・・・

424 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 13:40:46 ID:???
ラタトスクには幸せになって欲しい。
爵位とか受けて後世で大貴族の始祖として讃えられてたら個人的にうれしい。
昨日そればかり妄想してたよ。

425 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 13:50:50 ID:???
ラタは、あの彼女とちゃんとくっつくのかねえ?
ずっとラヴァルタに粉かけてるけど。

426 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 14:55:25 ID:???
ラヴァルタがなびくはずが無いし、エルナが認める「彼女」でしょ。
マジで他の女に手を出そうもんなら、厳しいお仕置きが(((( ;゚Д゚))))
男としては内心同情しても、シャールヴィも庇い立て出来ない。

逃れられる訳がないな。

427 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 21:18:52 ID:???
よく考えるとシャールヴィは王族とは思えないぐらい誠実な夫だよな

428 :マロン名無しさん :2006/10/08(日) 22:46:01 ID:???
>>423
俺も見つけられない・・・
近所の本屋じゃあろうことか入荷自体してないって言われたよ
こんな名作なのに世間は厳しい・・・orz

429 :あらすじ精霊 :2006/10/09(月) 00:00:44 ID:???
   新装版描き下ろし

移民たちの集団の中でも甲斐甲斐しく助けてくれるシャールヴィに、謝罪するエルナ。
いつまでも世話をしてくれてってゆーか、そりゃアンサズからの移民の人も多いけど、
シャールヴィは本当は早く南に帰らなくちゃいけないのに。
その言葉に、俺を帰らせたいの?と不機嫌になるシャールヴィ。
だが、もちろんエルナはそう思っているのではない。
彼女をほったらかしなんて悪いと考えているだけだった。
もちろんエルナの言葉に驚愕するシャールヴィ。

「彼女? 誰!?」
「え? あの亡くなった大臣の娘さん…」

なんと、ここに至ってもまだエルナは勘違いし続けていたのだった。
自分の気持ちをまるでわかってないエルナに、シャールヴィはショックを受ける。
てゆーか、それなりに今までつきあえてたって思ってたのが俺の勘違いか?
俺は好きでここにいるわけだし。えーと、あー、もう言っちまったほうがいいのか。

「エルナ… 結婚してくれないか」

正面からのプロポーズに、あんぐりと大口を開けて言葉を失うエルナ。
その反応に、だめだったと思い込んだシャールヴィは、
すぐに返事しなくていい、と逃げ文句を打ってその場から逃げ出してしまう。
青ざめながら、全然タイプじゃねーんだろうってのは最初から、と自分を慰めるシャールヴィ。
だが、人に呼ばれて行きかけたエルナは、すぐにシャールヴィを振り返る。
でもさ。早く言った方がいいよねえ?

「私もシャールヴィが大好き 結婚しよっ」

真っ赤になって腰を抜かすシャールヴィ。頬を染めはにかみながら走り去るエルナ。
二人を祝福するように、白い花が優しい風に吹かれ空を舞っていた――
                                                    おしまい

430 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 00:16:08 ID:???
うっわ〜〜! あかんすげえ照れたw

431 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 00:28:39 ID:???
プロポーズきたこれ!!!
しかしエルナ鈍すぎだw
そしてシャールヴィも諦めるの早すぎw

シャールヴィは将来尻に敷かれるタイプと見た

432 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 00:38:44 ID:???
「それなりに今までつきあえてたって思ってた」
って、おまえ,この時点でチューもしてないだろ、さてわ
そりゃ激ニブのエルナにとっては、「超親切ないい奴」でしかないわ〜。
手ぇ出そうとか思わんかったんかな。

433 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 00:53:02 ID:???
読んでるだけで幸せになってきた。

434 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 06:43:48 ID:???
つーか「それなりにつきあえてたと思ってた」ってどんなんだよw
最後の幸せそうなエルナが本当にたまらん
今までものすごい苦労してきたんだからその分も幸せにねエルナ

435 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 08:44:38 ID:???
結婚が建国以降というのは分かっていたが、遅くとも新世界への
出発までには、公式に婚約してるものとばかり。
新天地で夫婦になる女王と王、そしてその二人に従う民で新たな
国造りに向けて旅立ちって流れかと思ってたんだが、アンサズからの
移民もいるらしいとはいえ、これじゃシャールヴィは入り婿だ。

それと…シャールヴィが 言 わ さ れ た と思う人は挙手! 
ノシ

今までの天然・鈍感は演技だったのかぁ!?

腰を抜かしてその場に落ちる、人類最強の男カワイスw

436 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 13:09:03 ID:???
まあ、荷物持ちに付き合わされるだけでもデート気分な犬系男ですから

437 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 15:19:31 ID:???
よかったー!シャールヴィ最後の最後に報われて。腰抜かすのカワユス!!
この描き下ろしはホントオイシイ。
確かに言わされた感あるけど、今までエルナは人間としての存在さえ否定
されてきてたんだから、恋愛とか女としての自信が全然ないのでは。
だから自分の個人的な想いをぶつけるのって苦手なのだろう…。
シャールが告らなければ一生戦友のままだったかも?

438 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 20:15:41 ID:???
当人達が黙したままだったとしても、二人の気持ちを良く知っている
ラヴァルタやラタトスク、もしかするとアースムンドあたりも放っては
おかなかっただろうよ。
特にラヴァルタは、それぞれ別の誰とも知らない奴とくっつくなんて、
絶対許せないんじゃね?

439 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 21:04:26 ID:???
「結婚しよっ」

・・・こんないい娘からこんなこと言われたらそりゃあ腰抜かしますよ

440 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 22:51:30 ID:???
しかも今まで何度も告白っぽい台詞を言っているのに気付かれなかった相手だしなw
そりゃ喜びも驚きもひとしおだろう

441 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 23:35:04 ID:???
だめだ読んでて赤面するww
この人むずがゆいラブコメ本当にうまい
これからも大変だろうけど、とにかく幸せそうで良かった

>>434
決戦後の抱擁でもう俺のもんとか思ってそう

442 :マロン名無しさん :2006/10/09(月) 23:56:54 ID:???
そのあとはぐはぐとかちゅーとかしなかったのかよう!

まあ見事に天ボケ的にはぐらかされてたのかもしれんが

443 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 00:04:41 ID:???
やっぱ童貞っぽいなシャールヴィw

444 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 05:15:12 ID:???
時代が時代だから結婚式でチュー、そして初夜を迎えるわけですよ。俺死ね

445 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 07:11:20 ID:???
そんなことより問題はシャールヴィの体力です。
元々が底なしの上に、魔法が尽きぬ限り回生呪の働きで
疲労とは無縁。
体格差も相当なものだし、エルナが無事に済むかどうか…


ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい

446 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 08:59:04 ID:???
そこはそれ、枕元に聖短剣置いとくといいんじゃないかな?(・∀・)

447 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 13:25:05 ID:???
ちょっwww  腹いてーだろっw

448 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 17:01:00 ID:???
エルナとシャールヴィの戦いは続く…w

449 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 18:21:54 ID:???
しかし真面目な話、シャールヴィはエルナの腕ぐらいありそうだぞ
その上エルナってまだ16か17だったはずだし体も成長しきってないわけで
それなのに男の子3人産むぐらい頑張っちゃうなんて僕ァ僕ァもうッッッ!!

450 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 18:31:56 ID:???
>>449
煩悩丁稚乙

ところでエルナってそれぐらいの歳だったっけ?
てっきり13〜4歳だと思ってた

451 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 18:36:04 ID:???
なんとなく 16〜7歳だと思ってたけど

根拠はないが

452 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:09:22 ID:???
あれだけおぶったり抱えたり(荷物のように)してたけど
手も握ったこと無かったかも。

アトリが10〜12歳、シグルーン14〜15歳、エルナ16〜17歳
シャールヴィ18〜19歳、エイリーク20歳前後
くらいで見てた。
でもよく考えたらシャールヴィがエルナより年上とは限らんよな。

453 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:19:56 ID:???
シャールヴィがエルナ探してるときに16〜17才ぐらいの女の子って言ってたよ

454 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:30:37 ID:???
ってことはヴァリはんはけっこうおっさん……

455 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:37:57 ID:???
真面目な話、初潮さえ迎えていたら妊娠も可能だろ。それに中世ヨーロッパ的世界観ファンタジーなら16,7歳は充分婚期入ってると思う。
しかしエロパロ書けそうな勢いだなこの話題ww

456 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:45:34 ID:???
>>455お前に期待
個人的にはエイリークとシグルーn(ry

457 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:47:18 ID:???
シャールヴィは思ったより小さいよ。
こないだ銭湯で見た。
ポークビッツぐらい。
エルナでも大丈夫。

458 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 20:52:19 ID:???
>>455
自分も思った、エロパロw

459 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 21:02:34 ID:???
おまいら、よってたかって俺の大好きなエルナサーガを汚すんじゃない!




IDの無い板で良かった…(><)

460 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 21:32:14 ID:???
盛り上がってると思ったらなんですかこの有様は!
まったく君達は…!恥を知りなさい!



それで?エロパロスレはいつできるんです?

461 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 21:53:10 ID:???
「私もシャールヴィが大好き Hしよっ」

こうですか!?わかりません!!

462 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 22:16:45 ID:???
ヴァーリはエルドグリームとは別人なのでエルナとやっても問題ない!
と力説するお兄ちゃん。

こうか? わからん!

463 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 22:33:46 ID:???
やはりあの触手が・・・

ってどっかのおいちゃんが言ってました><

464 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 22:35:18 ID:???
エロはともかく
シャールヴィ×エルナ、エイリーク×シグルーンの何気ない日常は読みたいな。

465 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 22:49:33 ID:???
アトリママンに頼まれお茶の用意をするシグルーン
しかしお転婆振りがまだ抜けず、ついついガタンガタン音を立ててしまう
その様子を見て苦笑するエイリーク
それに気付きむくれるシグルーン

みたいなのきぼん

466 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 22:57:51 ID:???
>>465
ああ…有り得たかもしれないそんな日常…ウッ(⊃Д`)グスッ

467 :マロン名無しさん :2006/10/10(火) 23:26:50 ID:???
シャールヴィ「エルナを嫁にくれ」
ヴァーリ様「妹はやらん」
風な最終話コラ作ってくれ。

468 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 00:21:06 ID:???
俺も見たい。是非欲しい。

469 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 00:57:12 ID:???
しかも生首

470 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 06:27:33 ID:???
エルドグリームおにいちゃんは、妹を溺愛しただろうなと思うよ、うん。
あんな野蛮人なんぞに渡してなるものかと素でシャーンスラーグ打ち込みそうだよ。

471 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 08:59:05 ID:???
普段は関心なさそうなフリしといて陰からえげつないことしてきそうだよな
ジュースに何気なく魔精霊混ぜたりとか

472 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 09:15:35 ID:???
>>471
((((;゚Д゚))))ガタガタ

473 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 10:14:24 ID:???
1:【伝説の】エルナタソに萌えるスレpart28【勇者】(756)

1 :勇者かわいいよ勇者:2006/10/07(水) 16:37:39 ID:ArsmUndo
アーサトゥアル王家のエルナ様に萌えるスレです。
・マターリsage進行
・荒し、アンチ、ヴァーリは華麗にスルー
・既出はループリスト参照

前スレ
【流浪の】エルナタソに萌えるスレpart27【姫君】
http://Gimle2ch.net/……………
テンプレは>>2-10

750 :勇者かわいいよ勇者:2006/10/11(水) 05:27:18 ID:sHa/ipy [sage]
このまま一時間レスがつかなければエルナタソと結婚する。

751 :ヴァーリ ◆ELNA.eha:2006/10/11(水) 05:27:19 ID:SiscoOn []
阻止

474 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 10:15:48 ID:???
752 :勇者かわいいよ勇者:2006/10/11(水) 08:31:50 ID:Rata10sk [sage]
このまま一時間レスがつかなければエルナタソは俺のもの。

753 :ヴァーリ ◆ELNA.eha:2006/10/11(水) 08:31:52 ID:SiscoOn []
阻止

754 :勇者かわいいよ勇者:2006/10/11(水) 10:03:25 ID:soU6od/ [sage]
このまま一時間レスがつかなければエルナタソをお姫様抱っこ。

755 :ヴァーリ ◆ELNA.eha:2006/10/11(水) 10:03:26 ID:SiscoOn []
阻止

756 :勇者かわいいよ勇者:2006/10/11(水) 12:46:50 ID:AtoRi+/ [sage]
粘着ヴァーリUZEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!
ていうかsageろ

475 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 10:53:15 ID:???
757 :勇者かわいいよ勇者:2006/10/11(水) 12:55:32 ID:gdgdDY/orz [sage]

756
おまいもスルー汁!

476 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 13:38:31 ID:???
>>473-475
ヴァーリのIDに気づいてのど飴吹きだしそうになったwww

477 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 14:24:26 ID:???
トリップまで・・w

478 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 16:47:52 ID:???
ほかの連中はともかくとして、スレ主がお前かよ!て感じで吹いたw

479 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 16:53:15 ID:???
>>473
吹いたwww仕事細かすぎwGJ!!

480 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 21:21:09 ID:???
1〜2秒で阻止する兄様テラモエ
防衛本能が過剰すぎるぜ

そんな俺は1時間レスが無かったらラヴァルタを貰う

481 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 21:32:23 ID:???
もちろん阻止

482 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 22:29:14 ID:???
>>480はラタトスク

ラヴァルたんはエルナ萌えスレに素で参加してそうだな

483 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 22:40:51 ID:???
曜日とか詰めが甘かった…勘弁してくれ
知ってる人もいるかもしれんが、元ネタは鰤スレから拝借した

>>482ソーロッドの姫抱き、ラヴァルタとどっちにするか迷ったw
他の職人に期待している

484 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 23:09:49 ID:???
「一時間レスがつかなければエルナ姫の騎士の座は私のもの」とか?
こんな真面目っぽい書き込みでもヴァーリはんは阻止するんかな

全然関係ないが今「う゛ぁーりはん」を変換したら「ヴァーリ犯」になったんだが……
何だ、何の犯人だ

485 :484 :2006/10/11(水) 23:12:08 ID:???
あ、すまん
上のレスは>>482宛て

486 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 23:18:18 ID:???
ヴァーリ犯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヴァーリ犯(う゛ぁーりはん)とは、
妹を嫁にやるまいと世界を滅ぼそうとするが
逆にくっつける手助けをしてしまうこと。
特徴として髪型をよく変える傾向がある。

487 :マロン名無しさん :2006/10/11(水) 23:49:25 ID:???
ギムレーが殺伐としてなくて、三国もなんとなく国交が安定してて
使節のやりとりなんかもあったりして、ヴェスタルは本当に狩場で事故死、
エルドグリームの母は普通に病没してて、ハルカトラも同じく単に病弱で死別、
エイナルは善王だった。
そんなエルナサーガなら!

エルナ:邪な企みなんか全く無いのにオリジナルと変わらず
シャールヴィ:戦争してないのでもう少し軽い不良系
エルドグリーム:妹命。その感情が高ぶりすぎるとヴァーリ化
ゲイル:主人の妹狂いに心悩ます忠実な老僕
エイリーク:そのまま
シグルーン:姉存命、うっかり城勤めに
ソーロッド:そのまま
アルマーダー:おせっかいなおばさん風

勿論、エルナとシャールヴィは、当人達は憶えていないが幼馴染。

488 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 00:14:50 ID:???
空馬の扱いがまだ下手な幼シャーがアーサトゥアル城に
入り込んでしまい幼エルナとばったり

とかか!

489 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 04:40:46 ID:???
>>487
ちょw 何気にアルマーダーがいるしww
ヴァーリがいないならゲイルもここにはいないはずだが、まあいいかw

490 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 06:49:08 ID:???
エルナの陣風竜でシャールヴィが蹴散らされるわけだな。

491 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 07:00:19 ID:???
>>488
いいや、幼少期のエピソードはこう。

外国使節饗応の宴、随行してきた他国の商人が、それと知らずエルナに
魔法で動くからくりを…ここまでは同じ。しかし、凍りつくエルナから乱暴に
からくりをひったくる少年がいた。その少年はからくりを強大な魔法でオーバーロード、
爆発させ、そんなものを持ち込んだ商人にキレて暴れる。
部屋に帰ってハルカトラに報告するエルナ。その話を聞いた母は、少年を
「優しいお方」と。反発するエルナに、「じゃあどうして今のあなたは微笑んでるの?」
翌日、母に折檻され、お目付け役に引っ立てられて謝罪に現れる少年、アンサズの
シャールヴィ王子。まぁその後、いろいろあって、お互いに居場所が無いっぽい境遇に
共感したりする。まだヒナのゴルムも登場し、いつかゴルムに乗って、どこか遠くに
連れて行く約束をしたりもする。

朝から妄想垂れ流しですまなかった。反省はしてない。

492 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 08:35:52 ID:???
朝っぱらから何をやってんだよこの暇人



萌えるじゃないか(*´Д`)

493 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 11:06:55 ID:???
>>473-475
ブリーチの類似スレを見たばかりなので超吹いたwww

494 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 11:53:38 ID:???
連載終了した途端に進みが早くなっててワロスw

495 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 17:53:13 ID:???
ひなゴルムったらやっぱまだ羽がボソボソなんだろうな
あまつさえ筆毛ツンツンしてたりするかもしれないんだよな
   _, ,_
 (*゚∀゚)ッカー!!

496 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 20:43:34 ID:???
>ひなゴルム
幼少シャールヴィと同じくらいの身長のヒヨコを想像しちゃったよ。
ポワポワのフワフワのヌクヌクな巨大ヒヨコ。
胸のあたりに顔を埋めて思いっきりふかふか感を味わいたい(*´∀`)
空馬はやはり卵で生まれるのかなあ。

497 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 20:51:21 ID:???
空馬卵を暖めるチビエルナ

498 :マロン名無しさん :2006/10/12(木) 21:28:23 ID:???
>>487
それだと一番魔力が高いエルドグリーム兄さんが王になってそうな気がする。
その方が妄執も晴れていんじゃね?

499 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 03:48:12 ID:VGmmKgsq
私語

500 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 05:36:03 ID:???
>>498
エイナルが善王ならエルドグリームが妄執を抱えることはないわけで。
かわりにシスコンという妄執のが強くなりそうだが。
がんばれシャールヴィ。

ところでこのスレってもう楽屋裏ってことでおk?
最初から最後まで楽しく参加させていただきました。
あらすじ精霊さん、改めて乙でした。

501 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 09:38:16 ID:???
アーサトゥアルは魔力が一番強い者が王位を継ぐんじゃなかったっけ。
エイリークより政治をちゃんとやってるイメージもあるし。

502 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 09:56:06 ID:???
2人がお年頃になったら1対1のガチ対決して次の王様決めそうだ

503 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 18:27:47 ID:???
即死しない限りは回生呪もあるから、対戦して決着をつけるというのは
有りだな。測定器で魔法力を測ったり、雷撃が何発打てるかなんてのは、
勝負としては盛り上がりに欠けるし。
しかしヴェスタルは弱かった。子連れとはいえ、僅か数騎の追手に
討たれちゃったんだから。あれじゃきっと、王位には挑戦もしなかったのだろう。
しかし、その子は物凄い魔法に恵まれてたんだから、わからんものだ。

504 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 22:01:18 ID:???
例え命を狙われても自国民とは戦いたくなかったんだろうな。
だからこそアーサトゥアルから逃げ出したんだろうし。
戦時向きの気性じゃあなかったとは言え運命と策謀に翻弄され続けた一人。

505 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 22:14:59 ID:???
ヴェスタルはもう疲れちゃってて本気で逃げ切る気無い様に見えた
できるだけ逃げられれば死んでも本望みたいな
いくらなんでもクレトゥス位は使えるんじゃないかと思うから
>>504にも同意しつつ

506 :マロン名無しさん :2006/10/13(金) 22:46:58 ID:???
修道院を出る前まではそうだったかもしれない。
けれど、エルナが自分に寄せる愛情、そしてエルナへの愛情を
はっきりと認めて「地の果てまで行こう!」と言ったヴェスタルに、
逃げる気が無いとか、死んでも構わないという気持ちがあったとは
思いたくないな。
彼の魔法は尽きていて、追っ手は少数なりとも剣の名手ぞろい
だったんだ。最後の最後まで、エルナとともに生きるために戦ったよ。

507 :マロン名無しさん :2006/10/14(土) 00:35:06 ID:???
ところでハルカトラの指輪は着けてたヴェスタルだが
前の妃のことはどう思ってたんだろう?
愚痴っぽくて難儀そうな人ではあったけど。

508 :マロン名無しさん :2006/10/14(土) 01:30:59 ID:???
ちゃんと大事に思ってたんじゃないのかなあ
相愛呪のせいで忘れちゃった上にエルナの問題が大きすぎて
それどころじゃなくなっちゃったんだろう

509 :マロン名無しさん :2006/10/14(土) 06:16:49 ID:???
でもハルカトラには何も告げず一人取り残してしまったね
ハルカトラはヴェスタル以上に針のむしろ状態だったろうに・・・


510 :マロン名無しさん :2006/10/14(土) 17:27:56 ID:???
それこそ死出の旅立ちに近い思いで出奔したんだから、
自分と同じ被害者であり、魔法に操られたとはいえ一度は
愛した人には生き残って欲しい。
そう考えて置いて行ったと解釈しよう。

しかし…冷静に考えると、ヴェスタルとエルナがアーサトゥアルに
帰らなかった場合、ハルカトラにはより悲惨な運命が待っていた
可能性が高いんだよな。それを思うと、やはりやむにやまれず
一杯一杯になった衝動的な行動で、後先の事もハルカトラの事も、
殆ど何も考えてなかったという辺りが妥当な線だろうか。

511 :マロン名無しさん :2006/10/14(土) 23:22:23 ID:???
話変わるけど詠唱コンプリート辞典欲しかったなあ。

512 :マロン名無しさん :2006/10/15(日) 00:17:58 ID:???
そんなのの出版予定あったの?

513 :マロン名無しさん :2006/10/15(日) 09:41:08 ID:???
>>512
エルナサーガ設定資料 詠唱コンプリート辞典(初版) 出版社:エニックス
シーンと一緒に詠唱の完全版とその種類、ルーン解体などがある。結構豊富。
オマケマンガも12P書かれてて、担当とつっつーの舞台裏4コマも2本

担「設定資料集出すからルーン組み替えたパターン全て作って」
堤「!突然ですね…じゃあこれとこれのルーンで
  シャールヴィーの尻から炎が出ます」
担「出ません」担当とシャールヴィーのハリセン攻撃

514 :マロン名無しさん :2006/10/15(日) 13:43:12 ID:???
>513
>シャールヴィーの尻から炎が出ます
ちょwwwグルグルwwwww

515 :マロン名無しさん :2006/10/16(月) 00:34:25 ID:???
>>513
そんなの出てたのか、知らんかった
amazonやグーグルでも出てこないんだけど、限定販売か何か?

516 :マロン名無しさん :2006/10/17(火) 07:51:08 ID:???
ほす

517 :マロン名無しさん :2006/10/17(火) 10:21:51 ID:???
え、おいおい、どこまで信じてるんだ?

518 :マロン名無しさん :2006/10/17(火) 13:47:43 ID:???
頭から鵜呑みです

519 :マロン名無しさん :2006/10/18(水) 00:14:06 ID:???
>>517
本気で信じてネットで探しまくった奴ならここにもノシ
ってネタだったのかい!

520 :マロン名無しさん :2006/10/18(水) 00:33:00 ID:???
巻末のおまけマンガか日記のネタくらいだと思った
特に尻から出る辺り

521 :マロン名無しさん :2006/10/18(水) 05:05:35 ID:???
魔法については元ネタのルーンの表を最終巻で載せたのみ。
サイトで自力でピックアップして表にしてた奴も多く(今も残ってるサイトもある)、
下手に完全版出されたらそいつらもガッカリだし、
全部設定出さなくてむしろ良かったと思うよ。

522 :マロン名無しさん :2006/10/19(木) 02:16:42 ID:???
今週のブリーチで思いっ切りかまされたシスコンぶりに爆笑したと同時に、
エルドグリーム様もこんな感じでエルナを溺愛したんだろうなあとこのスレを思い出してしまった。

523 :あらすじ精霊 :2006/10/19(木) 09:37:03 ID:???
>>513
久しぶりにスレ覗いてまんまと騙されました・・・orz

524 :マロン名無しさん :2006/10/19(木) 14:40:44 ID:???
>>523
愛いヤツめ

525 :マロン名無しさん :2006/10/19(木) 14:41:34 ID:???
ちょwあらすじ精霊さん騙されたw

>>522仲間発見w
マントをプレゼントされて頬を染めるエルナ
ムッツリ屁理屈シス魂エルドグリーム様

それにドン引きする旅の仲間…なんて平和なエルサガなんだ

526 :マロン名無しさん :2006/10/20(金) 15:13:51 ID:???
>>523
( ´∀`)σ)Д`)

ところであらすじ精霊さん、エルナ2は連載しないのですか

527 :あらすじ精霊 :2006/10/21(土) 01:42:10 ID:???
2ですか・・・
やりたい気持ちはありますけど、連載中スレの基本コンセプトとして
「連載当時2chがなかったマンガ」というのがありますからどうだろなーと思うのですが
個人的には未読の義経とかどなたかやってくれないかなーと期待してたりしますw

528 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 02:25:21 ID:???
どーせなら「クラリオンの子供たち」希望w 未読の人多いだろうし
だれかやってくれないかなー

予想通り書き込みだいぶ減っちゃってるけどこのままDAT落ちさせるのも忍びないので
読者参加型企画でもやってみたらどうだろ
数日ごとにテーマ決めて雑談する感じで

エルナの名ゼリフ・名場面
シャールヴィの名ゼリフ・名場面
エイリークの名ゼリフ・名場面
その他名前有りキャラの名ゼリフ・名場面
その他名無しキャラの名ゼリフ・名場面
連載中スレの名レス・名場面
エルサガスレ参加者の「この漫画の連載中スレが欲しい」

とりあえず思いついたのをあげてみた

529 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 07:51:31 ID:???
義経は難しすぎるような…
時代考証から五行、劇中解釈など色々手広すぎて収まらない希ガス
完成したら普通に1本の小説が書けるよ

スターゲイザーとかは?

530 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 11:06:37 ID:???
キャストさん以外駄作だったドラマCDについて

531 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 11:31:50 ID:???
あークラリオンだけは入手できずに未読だから、持ってる人があらすじ書いてくれたらすげえ嬉しい。
でもこの動機だと「連載中スレ」と言うより「ストーリーを教えて貰うスレ」になっちゃうな。
そもそもクラリオン収録作品って商業誌での連載作品なんだっけ?

532 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 15:04:54 ID:???
>>531
ttp://www1.linkclub.or.jp/~shoko-t/clari.html

533 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 15:50:22 ID:???
データー落ちはヤだな(´・ω・`)
保守しつづけるつもりだったけど、住人で企画立てて1000迄行けたらもっといい

534 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 15:52:32 ID:???
データーってなんだよ
立て込んでて変な変換しちった(;´Д`)

535 :マロン名無しさん :2006/10/21(土) 22:11:30 ID:???
でもクラリオンは読みきりだからなぁ。自分としてはこの流れでエルナ2
やってもらっても全然おkなんだけど。あとはアダとかは?

536 :マロン名無しさん :2006/10/22(日) 07:51:54 ID:???
読んだことないんだけどエルナ2って面白かった?



537 :マロン名無しさん :2006/10/22(日) 08:01:43 ID:???
面白いとは思うが前作に比べると・・・という感じ
舞台が現代をモデルにしてるせいで物語が個人の方向に収縮してるんだよな
そのせいでどうしてもスケールが小さく感じられる

538 :マロン名無しさん :2006/10/22(日) 08:57:24 ID:???
俺は2ものすごく好きだった。
詳しく言うとネタバレになっちゃうけど。
とても正しくて美しい続編の形だったと思う。

539 :マロン名無しさん :2006/10/22(日) 16:45:00 ID:???
1と比較すると?だが、比較しなければ名作だと思う
ただちょっと打ち切り感が…

540 :マロン名無しさん :2006/10/22(日) 17:17:05 ID:???
ソーロッドは1よりむしろ2のレギュラーキャラなので、
1での奴に物足りなかった人は2まで読んだ方がいいかも。

物語としては「テロとの戦い」「狂信者との戦い」だから、もろに現在の世界情勢をオマージュしている。
魔法の扱いが「金属探知機にも掛からない、呪文と掌相のみで使える、テロにうってつけの武器」なのももう。
「現在社会は緻密に組みあがっているから、その何処かの一点を壊す事が非常に効果的」てな台詞も印象深い。
エルナ1をファンタジーとしてではなく、戦争を描いた漫画として好きな人は、2まで読んだら更に興味深いかも。

541 :マロン名無しさん :2006/10/22(日) 19:28:34 ID:???
オマージュはしてないだろ、ってな突っ込みは無粋かw

2はなぁ。ちょっと終盤があまりにソーロッドの絵図に
乗り過ぎなところだけが気に入らないんだよね。
人の想いとか行動が、絶対的な力や運命を引っくり
返していくのが好きな俺としては。
結果としてみれば、確かに1も見えざる手に操られては
いるんだけど、もっと引いているし、超越者の計算や
導きを超えるところが確かにあったように感じられる。

542 :マロン名無しさん :2006/10/23(月) 03:22:51 ID:???
2の明るさは好きだ。
1の方だと表紙絵でエルナが笑ってても「嘘だー」と思ったもん。

543 :マロン名無しさん :2006/10/23(月) 22:38:39 ID:???
2は好きだなあ。
あえて同じことはやらなかった点も評価してだけど。
地名や聖人の名前とか小さな演出もいいし。
キャラの覚悟と信念においては1に勝るとも劣らないかも。

全7巻と短いのはたしかに惜しいけど1が下地になってるから冗長にならなかったとも言える。
別々の作品として比べるより一つながりの物語として見たらどうかな?

544 :マロン名無しさん :2006/10/24(火) 21:05:21 ID:???
ああそうか、別に見てたのか。

545 :マロン名無しさん :2006/10/25(水) 04:46:22 ID:???
>522
>525
つまり、こうか?

・どうにか普通に魔法を使えるエルナ
・お兄様のエルドグリーム様とは母親が違うし魔法の量が段違いのため、肩身が狭い
・実際お兄様はエルナに無関心っぽい態度を取る
・三国間は戦争状態に無く、それなりに平和
・エルナは修道会かなんかの縁で、アンサズに向かう。勿論お兄様に出立の挨拶は出来てない
・何だか良く判らないけど、狂戦士かなんかに襲われて、居合わせたシャールヴィ王子大ピンチ
・何だかy(ry エルナは自分の魔法をシャールヴィに全部あげて、狂戦士撃退
・結果、エルナは回生呪すら失い、魔法を全く帯びない身になってしまう
・何d(ry エルナはシャールヴィのお世話になりつつ狂戦士退治
・そのうちアーサトゥアルにエルナの状態がバレ、やはり「魔法の譲渡は重罪」なので追っ手がかかる
・結局お兄様が連れ戻す
・何故か他国のシャールヴィが「エルナは死刑になる」事を知る
・何故か仲間になっていたラタ公やらラヴァルタ辺りを引き連れてアーサトゥアルへ奪還ツアー

546 :マロン名無しさん :2006/10/26(木) 03:29:10 ID:???
神様の招待がデータ化して宇宙を旅する古代人ってのはうーむ・・・

547 :マロン名無しさん :2006/10/26(木) 04:48:56 ID:???
つ量子化

548 :マロン名無しさん :2006/10/27(金) 01:31:23 ID:???
これを機会にエルサガのCDを聞き直してみた。
キャストはほんとに良い!
ヴァーリはんとエイリーク完璧!!
シャールヴィも、最後の方に行くにつれて、どんどんシャールヴィになって行くんだよな。
このキャストのまま、本編も聞きたかった…

549 :マロン名無しさん :2006/10/27(金) 01:55:56 ID:???
今クラリオンの子供たちの中で自分が一番好きな
迷える電気羊のためにのあらすじをまとめてる。
あらすじまとめってすごく難しい。
作品のニュアンスがうまく表現出来ない。
残り後4ページ分だけど、煮詰まってうまくまとまらない。
今更だけどあらすじ精霊さんは神だったと実感。

とりあえず今日は寝るノシ。

550 :マロン名無しさん :2006/10/28(土) 14:42:34 ID:???
乙です
お前も乙>>545

落とすものかと保守

551 :マロン名無しさん :2006/10/28(土) 17:04:07 ID:???
ここってそんなに早く落ちるの?

>>549さんに期待

552 :マロン名無しさん :2006/10/29(日) 00:35:59 ID:???
ドラゴンボール系が多いけどスレが乱立気味なので書き込みが無いとすぐに落ちる

553 :マロン名無しさん :2006/10/29(日) 06:11:35 ID:???
そっかーせっかくいい連載スレだったからきれいに〆させてあげたいな
ほしゅほしゅ

554 :マロン名無しさん :2006/10/29(日) 08:14:20 ID:???
ドラマCDは脚本がなぁ…

555 :マロン名無しさん :2006/10/29(日) 11:31:30 ID:???
ドラマCDは話→曲→話→曲→話って構成が意味不明。

556 :マロン名無しさん :2006/10/29(日) 11:37:12 ID:???
ドラマCDの構成ってたいていそんなもんだけど、テンポ悪いよな

557 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 01:51:34 ID:???
なにより一発目の雷撃がなぁ

殺傷力0かよ!って

558 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 07:03:09 ID:4MXH+tUZ
やっぱりアニメで観たいな
しかも劇場
それか丁重なOVA
ハリウッド製なら実写でもおK

559 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 07:42:01 ID:???
実写みてえ!ナルニアこけたから三度目の正直でエルナを映画化!


…ねーなw

560 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 10:01:17 ID:???
ヘルシングOVAみたいな形でのアニメ化が出来たらなあ…
あれは製作者側に熱意があるし、何より人気作品なのが大きいもんなあ…

561 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 20:31:03 ID:???
>>559北欧系のロリ顔女優…誰がいいだろう

562 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 20:41:14 ID:???
シャールヴィは室伏の兄ぃで

563 :マロン名無しさん :2006/10/30(月) 23:33:00 ID:???
ここの住人だな?

355 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/30(月) 22:14:24 ID:zMV2g8Qm
 新型機の名前を読んで「炎魔剣」とか思ってしまったのは俺…だけかしら。
 しかしそうなるとどこかに統魔雷剣が(以下略

356 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/30(月) 22:19:18 ID:LKreAuG7
 >>355
 必殺技は熱核雷弾ですか?


564 :マロン名無しさん :2006/10/31(火) 01:14:33 ID:???
アニメエルサガのOPの流れを妄想しようぜ

妄想しすぎて昨日夢で上映されたよ。

565 :マロン名無しさん :2006/10/31(火) 01:36:13 ID:???
うp!

566 :マロン名無しさん :2006/10/31(火) 07:41:29 ID:???
夢がモリモリ

567 :マロン名無しさん :2006/10/31(火) 10:58:06 ID:???
そろそろ549が来るか!

568 :マロン名無しさん :2006/10/31(火) 14:12:17 ID:???
奇跡の海でMADかフラッシュ作れる神は…おらぬか

569 :549 :2006/11/01(水) 00:17:56 ID:???
遅くなりました。
一応あらすじ、と言うかト書きみたいになってしまったのですが、
完成したので投下します。
長文になってしまい済みません。

ネタバレが嫌な方は『6電気羊あらすじ』をNGワードにしてください。

570 :1/6電気羊あらすじ :2006/11/01(水) 00:18:37 ID:???
アンドロイドが商用に実用化されている未来――
アンドロイドたちは高価なため、主にレンタルで使用されていた。
その用途は数多いが、娼婦もその使用用途の一つだった――

大学生のレナは卒論に追われていた。テーマは「アンドロイドの人権について」。
レナが卒論にかかり切りなので、レナの彼氏は多少すねていた。
しかし今は彼よりも卒論の方が大事。
レナは卒論のため、青年型アンドロイドを介助者にし、同時にそのアンドロイドに
大学の講義を聴講させるという実験を行っている老女教授、山名教授に
インタビューをすることにした。
山名教授は自分と同じく親アンドロイド派のはず――

「ナンセンスだね、アンドロイドに人権なんて」

レナのインタビューに、山名教授は冷たく答えた。
その冷たいアンドロイドへの見方は、当のアンドロイド本人の前でも何ら変わらない。
しかし山名教授が特別目をかけているように見えるこのアンドロイドは
「人間の代用品」なんかじゃないのでは?そう訊ねるレナに、山名教授は笑顔で
「彼は私の死んだ息子の『代わり』なの。さみしくてね」
と答える。それを聞いたレナは何も言えなくなってしまった。

571 :2/6電気羊あらすじ :2006/11/01(水) 00:19:10 ID:???
そして山名教授のアンドロイド本人と公園で話すことになったレナ。
先ほどの山名教授の態度を非難するレナだったが、アンドロイドの彼は
教授は良くしてくれると言う。
そしてレナが何を訊いても、アンドロイドの彼は冷静に、まるで仏教徒の様なことを答える。

――人間だって多かれ少なかれ枠の中で生きている。
  自分で枠を作っている場合もある、「業」というんですか。
  問題はそういった「プログラム」の中でどう生きるかです。
――レンタルの解約とともに僕の記憶は抜かれ、顔は変えられて新しいユーザーのもとへ…
  うつろいの人生です。何にこだわろうとも…
――僕の魂は消されるとどこへ行くのでしょう。行いが良いと人間に生まれ変われるのかな。

「人間に生まれ変わりたい?くだらないわ。あなたみたいな人間なんていない。
 みんなわがままで、卑劣で…」
そう答えるレナに、アンドロイドの彼は夕暮れの空を見上げながら言う。
「それでも僕は人間が好きですよ、レナ。彼らの願いを叶えたい。
 これは善きプログラムでしょう?
 ただ僕は彼らの願いの代用品でしかない。アンドロイドである限り、何度生まれ変わっても」

家に帰るアンドロイドの彼を見送りながら、レナは不思議な感覚にとらわれていた。
――何だろう、この感じ。人間がもう忘れてしまった何か。
  死や病がもっと身近にあった頃の、透明な悲しみのよう――

572 :3/6電気羊あらすじ :2006/11/01(水) 00:20:14 ID:???
アンドロイドの彼が自宅に帰ると、暗い部屋の中で山名教授が倒れていた。
急いで薬を持って来ようとする彼を制止して、山名教授は最後の言葉を告げる。
「長い間ありがとうよ。お前は本当に優しい子だった。私の本当の息子と違って。
 あの子は自殺したんだよ。決して勉強の好きな子じゃなかったのに、私が期待をかけすぎた…
 これが私の『業』だ。
 お前に親思いで勉強熱心な理想の息子を演じさせて、なんて私は弱い人間だろう。
 お前は私の救いだった…」

「母さん!」

山名教授が息を引き取った瞬間、アンドロイドの彼はそう叫んでいた。


それから数日後。山名教授の葬式場にアンドロイドレンタル会社の人間がやってきていた。
アンドロイドの彼を回収するためだ。
しかしアンドロイドの彼は行方不明になっていた。
どうやら彼は業者から逃げたらしい。しかも、拳銃を盗んで…。

573 :4/6電気羊あらすじ :2006/11/01(水) 00:21:59 ID:???
その日の深夜、レナは突然の電話に起こされた。彼氏からだ。
レナの彼氏は飲み会の真っ最中で既に出来上がっており、レナを誘うために
電話をかけたのだ。一方のレナは深夜の呼び出しに怒っていた。
そのまま電話越しに喧嘩をするふたり。
「全く、アンドロイドの女の方が女らしくていいかもな。わがまま言わなくて」
「そんなのプログラム次第じゃない。機械と一緒にしないで!」

「アンドロイドと人間は平等じゃなかったのかい」

売り言葉に買い言葉。思わず叫んでしまった言葉に思いもよらぬ反論を受けて、
レナはショックを受けながら電話を切った。
――最低だわ。これじゃ人間の方が平等以下じゃない――

そして再び鳴る電話。おそるおそる受話器を取ったレナだが、その向こうにいたのは
アンドロイドの彼だった。公衆電話から電話する彼は、深夜の雨に濡れながらレナに言う。
「山名教授が亡くなりました。僕はこのままではレンタル会社に回収され
 記憶を抜かれ顔を変えられて…。でもそんなの嫌なんです。
 この姿、この記憶のまま死ぬことが、彼女と同じ場所に行ける唯一の方法だと思うんです。
 でも僕は――自殺できないプログラムになっているらしい。
 僕を、殺してください」
それを聞いて戸惑うレナに、アンドロイドの彼は慌ただしく自分の居場所と拳銃の在処を
告げて電話を切ってしまう。追っ手に見つかったためだ。

574 :5/6電気羊あらすじ :2006/11/01(水) 00:23:03 ID:???
そしてレナは深夜の雨の中、アンドロイドの彼を捜しに出かけた。
今時人間だって後追いなんかしない――、戸惑いながらも拳銃を回収して
ビルの裏路地をさまよい歩くレナ。
「レナ、こっちだ!!」
その声に振り返ると、追われているアンドロイドの彼が走ってきた。
「レナ、撃て!」
暗闇の中、近づいてくる彼の姿が次第にハッキリ見えるようになってくる。
「早く撃て!!」
その姿は、半身が無惨にも壊れ、機械がむき出しになった姿だった。
そんな彼を見て一瞬ひるむレナ。
「早く!」
そう言われ、レナは咄嗟に引き金を引いた。
いつか感じた印象、
――人間が忘れてしまった何か――
を思い出しながら。
そして雨の中、アンドロイドの彼は静かに倒れた。

575 :6/6電気羊あらすじ :2006/11/01(水) 00:24:30 ID:???
丁度その時、警察とアンドロイドレンタル会社の社長がパトカーで到着した。
刑事が懐中電灯を付け辺りを照らすと、一部始終を見ていたと思しき人影達を
浮かび上がらせた。旧式アンドロイドの娼婦たちだ。
アンドロイドの娼婦たちは無表情にレナたちのことを見つめていた。
そんな娼婦たちには目もくれず、社長は大声でレナに弁償しろと詰め寄ってきた。
無言のレナに刑事は、こんな怪物が襲ってきたら誰でもなぁと同情をかけてくれる。
その後ろでは、部下の警官が器物損壊とメモを取っていた。
しかしレナはそれらの声には反応せず、ただ静かに涙を流した。
そんなレナの様子を、アンドロイドの娼婦たちはやはり無言で無表情のまま
静かに見つめている。
真夜中の雨は止むことなく、レナを、娼婦たちを、アンドロイドの彼の残骸を濡らし続けた。
――それでも?
――それでも僕は人間が好きですよ、レナ――

「おかしい、出ない。レナちゃんどーして出てくれないの」
一方その頃、何も知らないレナの彼氏はようやく酔いが醒め、何度かけても
レナが電話にでないことに青ざめていた。

576 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 01:22:39 ID:???
おおお!GJ!549殿!信じてたよ!
ロボット/アンドロイドの究極のテーマを短くまとめた名品だ。

577 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 02:53:34 ID:???
情けない彼氏にプチ萌えた
つっつー昔っから男はちょっとヘタレなんだなw

578 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 03:32:41 ID:???
>>549
GJ!
はじめて読んだ…バッドエンドっぽいなぁ

579 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 10:50:43 ID:???
個人じゃ買えない値段らしきアンドロイドの賠償金・・・
レナ心配(´д`)

ラブ話じゃないのが良い

580 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 14:59:05 ID:???
亀ですが、新装版描き下ろしのあらすじマジですか?
あの堤せんせがそんな直球のラブラブを?読みてぇぇえっ!!
でも結婚しよっの言い方が軽くて、なんかエルナっぽくないね。かわいいけど。
全然タイプじゃねーんだろうのシャーが笑える。
力が一番の自信なのに、エルナがそのタイプになびかないのは相当な
コンプレックスだろう。愛いやつ。
そんな岩男が「お前が好きだ」という甘酸っぱいセリフ吐くシーンも欲しかった。

エルナ初期に大はまりして「クラリオンの子供達」単行本も買ったんだけど、
収録の話が全部生々しくエグい話で驚いた記憶がある。
代理母の話とか。
でもエルナもただの魔法話じゃないから読むうちに納得した。

581 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 15:10:58 ID:???
直球ラブというと、アダ戦記の 日下彦×朔夜姫もそうだと思う。

582 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 15:21:46 ID:???
>579
車より高いんだろうな

現代で当てはめると・・・
想像がつかん

583 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 15:28:21 ID:???
レンタル料2000万円/年
ttp://www.honda.co.jp/ASIMO/information/faq01.html

うひゃあ! しかしある程度普及してるとすればもっと安価になってるはずかな?

584 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 19:08:25 ID:???
>>583
それに独立思考が追加されます

585 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 21:22:35 ID:???
>>583
リンク先飛べなかったんだけど、アシモのレンタル代とか?


586 :マロン名無しさん :2006/11/01(水) 21:40:56 ID:???
>>585
そうそう、頭のh抜いてるけどコピペして飛んでね。
でもアシモがダントツ高杉なんだなあ。

買い取りお値段/家庭用ロボット
三菱wakamaruで157万5,000円http://www.mhi.co.jp/kobe/wakamaru/top.html
ソニーのQRIO (キュリオ)は500万以上か?http://www.sony.co.jp/SonyInfo/QRIO/top.html

高いな〜。でもこういうSFが描かれた頃には家庭用ロボットを買うのもレンタルも夢でしかなかったのに
今はできるってのはなんかすごいな。

587 :マロン名無しさん :2006/11/02(木) 05:52:05 ID:???
>>585
今時こんなこと言う子はじめて見た

588 :マロン名無しさん :2006/11/02(木) 10:31:22 ID:???
>>587
ぶー(-з-)
悪かったねーだ
もう来ないから安心汁

589 :マロン名無しさん :2006/11/02(木) 13:49:28 ID:???
>>588よちよちいじけるな

電気羊はじめて読んだ。
書いてくれた人ありがとう!レナ彼氏がんがれ超がんがれ

590 :マロン名無しさん :2006/11/02(木) 17:24:52 ID:???
娼婦ってようするにダッ●ワイフか…
彼女たちはなんでそこにいたんだろ?捜索メンバー?



591 :マロン名無しさん :2006/11/02(木) 17:50:06 ID:???
立ちんぼだろ

592 :マロン名無しさん :2006/11/02(木) 19:16:39 ID:???
適当に夜の街に放しておくと、朝には銭を稼いで帰ってくるのかな。
それとも、持ち主の経営する娼館かなにかに客を連れ帰るのだろうか。

593 :マロン名無しさん :2006/11/03(金) 06:31:53 ID:???
>>590
娼婦アンドロイドも旧式になると路地裏みたいな
治安の悪いところで立ちんぼをしているのです。

594 :マロン名無しさん :2006/11/03(金) 22:52:31 ID:???
これで23ぺージしかない。
漫画家の初期作品によくあるけど、濃いな。

595 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:52:07 ID:???
ほす

596 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 06:29:26 ID:???
いまラプンツェル異聞を書いてみてる…
ぜ〜は〜 あらすじって大変だな。
明日あたりに投下できるといいな…

597 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 09:31:21 ID:???
>>596
がんがんれ 期待してる

598 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 09:44:05 ID:???
>596
乙焦らず無理せず
お願いします


あの娼婦達にも精神みたいなものはあるんだろうな


一部始終を見てて何を思ったんだろ


599 :596 :2006/11/06(月) 06:12:30 ID:???
うまくできたかわかりませんが投下しまっす(><)ノ

ネタバレが嫌な方は『6ラプンツェル異聞』をNGワードにしてください。

600 :1/6ラプンツェル異聞 :2006/11/06(月) 06:13:32 ID:???
その姫は魔女によって高い高い塔に幽閉されていた。
彼女の名をラプンツェルという。

〜ラプンツェル異聞〜

夕方。
高校演劇部のメンバーが、帰り支度をしながら喋っている。
なんと文化祭まで一ヶ月しかないというのに、先生によって脚本が没にされたというのだ。
最近この学校も荒れだしたと言われているのでわからなくもないが、
あの程度の脚本でやらしーと言われてはたまらない。ばかやろう、などの言葉も使うなという。

ところがちょうどそのとき、ばかやろう、と言って、生活指導の先生が職員室で
おさげ髪の少女を叱っていた。
どうしてたびたび授業をさぼって保健室へ行くのか、と叱る。
少女は、気分が悪かったからですと理由を言うが、
先生は、内申書に響くぞ、とさらに追い討ちをかけた。
少女はまた気分が…悪くなってきた……    そして…

パン パン パン パン! と職員室のガラスが割れた!

先生は窓の外からガラスが割られたと思って、窓の外に怒鳴る。
そしてちょうど通りがかった演劇部の一行を発見して言いがかりをつけてきた。
しかし誰も何もしてないし、見ていないのだ。
 
今からだと脚本を新たに書いても間に合わない。
しかし部長は、既存の作品をアレンジする案を出す。
シェイクスピアなら誰も文句は言えない。「真夏の夜の夢」なら?
芝居は本来自由で面白くて色っぽいと教えてやろうぜ!

そのとき、さっきの叱られていたおさげ髪の少女が通りかかった。
それは演劇部の女子部員リーと同じクラスの真理だった。
リーの目には、彼女が「真夏の夜の夢」の森をさまよう乙女にみえた。

601 :2/6ラプンツェル異聞 :2006/11/06(月) 06:14:39 ID:???
演劇部の一行は、ファーストフードの店で真理におごりながら、彼女を口説いていた。
「真夏の夜の夢」をするなら役者が足りない。真理を引き込もうというのだ。
彼女は「お芝居なんてできない、どんくさいし、ダサイしブスやし」と必死で断ろうとする。
リーは、「なに言ってるの、見せ方が悪いだけよ」と彼女のおさげ髪をほどく。
なかなかきれいな雰囲気だ。
男性陣が「人気女優だな」「もてるよきっと」とはやす。
しかし彼女は 「もてたくなんかありません!」 と叫んだ!

ボン!
そのとたんに店の全席のパラソルが全部逆さまに反り返った!

「そんなに嫌だったらいいよ、ごめんね」とリーは真理にあやまりながら彼女を送って行く。
そんなリーに真理は、
「私のこと恐がらへんかったでしょ、嬉しい、きれいだなんて言ってもろたんも初めてやし」
と心を開いて、抱きついた。

ストレスやプレッシャーで「力」が暴発する。
そういう子が何人もいて増えている、と真理は言った。
ガラスが割れたり花壇が荒らされてるのは不良のせいではなく、それが原因なのだ。
「先生もガラスみたいに破裂してしもたらいい。」真理はそんなことを言う。

真理の家は大きな旧家だった。そこで真理はきれいな着物やら、きんちゃくやらお人形やら…
和風の細々した宝物を散らかして暮らしているのだった。
お小言ばっかり言っていた母が死んでから、好きなものをいっぱい買い込んで散らかしたり、
夜中にステレオガンガンかけたり、好き勝手に暮らしているのだという。
「お母さん、亡くなったの?ご病気?」リーは聞く。
真理は答える。

「私が殺したの」

602 :3/6ラプンツェル異聞 :2006/11/06(月) 06:15:39 ID:???
子供の頃、両親の部屋にあった大人の本…今思えばただの週刊誌を読んでいたのを見つかって
けがらわしい、と母に殴られたこと。
「これはあんたのお父さんの血やわ、よそに女つくった。あんたも男つくるんか」と。
そして中学のときにもらったラブレター。わりと気に入ってた男の子からのだったのに。
机の中に隠していたのを見つかって、目の前で破られた。
「かくしごとしたかて、うちはごまかされへんよ。気ィつけんと中学生でも、男は男やさかいに。」
「やめて、お母さん、返して!  いやあーっ!」

その時、部屋中のガラスが割れた! 母に向かって。 
吹き出す! 鮮血!

息を飲むリーに、真理は「フフフ 信じた?」と笑う。
そのとき「ただいまー!」と、けたたましく真理の母親の声がした。
みるみる真理の周りの宝物の数々が消えて行く…
母親が部屋に入ってくる。「まあ、お客様やの?部屋は片付いてるわね?」と小言をいいながら…
リーは早々に真理の家を出た。

幾重もの檻が彼女を囲む。
まるで高い塔に幽閉された姫君のよう。

生け垣からもう一度、真理の部屋をのぞくと、彼女は再び宝物に囲まれ、着物にくるまっていた。
リーは、ふと思い直し、生け垣を分け入って庭に入り、彼女に叫ぶ。
「真理ちゃんあなた! ガラスを割ったり自分の世界に引きこもるヒマがあったら!
その力を何か物を作ることにでも使ったらどうなの!」
発作的に口をついて出た。彼女は私に救いを求めていたのに。
リーは走って逃げた。彼女の視線が、気配が、竹薮のざわめきとともに追ってくるのがわかる。

彼女は私を 殺すだろうか?

…やがて竹薮のざわめきは静まり…周りはただ静かな宵闇であった。

603 :4/6ラプンツェル異聞 :2006/11/06(月) 06:16:37 ID:???
演劇部の部室。臨時に入ってくれた部員も二人だけで、演劇部は窮していた。
部長は先生に無理矢理長い髪を切られ、かくなる上は中間テストも受験も無視して芝居に取り組み
大学を受験せずに東京の劇団のオーディションを受ける腹を決めていた。
リーは、新たに脚本を書いてきていた。

魔女によって高い塔に閉じ込められた、グリム童話のラプンツェルという姫の話。
そこは安全で何の不幸も失望も無いけれども
姫は本当の愛も夢も美しさも知ることを許されない。
魔女は姫のおさげをはしごがわりにしてたんだけど
ある日それをまねて王子が上ってきて、姫は初めて愛を知る。
それを知った魔女は怒って、彼女の髪を切り、荒野へ追放してしまう。
切ったおさげでおびき寄せた王子に、魔女は真実を告げる。
ショックを受けた王子は、いばらの上に落ちて盲目となり
荒野をさまよい歩いてようやく、彼の妻と子にめぐりあう。

「これを私たちの物語にしたいの。」とリーは言う。
「私たちはいずれ荒野に出て行くのだから。」
部室は盛り上がるが、それでもまだ、役者が足りないことに気付く。
「やっぱり真理ちゃんに来てほしかった、あれから説得できなかったの?」部員のテンは残念そうだ。
「それは私が…」
リーは、真理に厳しくあたってしまったことを思い出し、口ごもった…

その時、部室のドアが開き、「私にも手伝わせて」
真理が現れた!
そればかりか、衣装にと着物の古着をもってきてくれたのだ。

よーし、決まりだ!俺たちの力を見せてやろうぜ!
意気の上がる演劇部の面々。
リーは、朗らかにみんなにとけ込む真理を見て、ほっと胸をなで下ろすのだった。

604 :5/6ラプンツェル異聞 :2006/11/06(月) 06:26:38 ID:???
決めた以上はつっ走るしかない。無理だなんて言ってられない。
演劇部は猛烈に練習を始めた。
頑張ってるのを見て、部員以外のクラスメートも衣装や大道具で協力し始める。
真理も発声練習。
「あんたはイメージで現実をぶっとばす力があるんだから
観客の日常をぶっとばしてやんな!」
リーの激が飛ぶ。

真理はその後は異変もなく…すばらしい表現者になって行くかに見えた。
リーに気があるそぶりをみせる部員のトシの頭上に、大道具のインク缶が落ちてくる
といった、小さな異変はあったが…

日々は矢のように過ぎ…そして幕が開く!

王子役のリーは、姫役の真理が、思った以上に緊張していることに気付く。
リーは少し不安になってくる。
この芝居が真理の演劇療法になるなどと思っていたのに、かえってストレスになったかもしれない。

舞台では、魔女役のトシが、塔を模した大道具の上で姫を責め立てていた。
「しらをきるつもりかね? 私はごまかせないよ」
真理の頭の中でそれは、男の子からのラブレターを破った母親とのやり取りにオーバーラップする。
「うちはごまかされへんよ。気ィつけんと中学生でも、男は男やさかいに」
魔女は責める。
「私にかくれてこそこそと、王子と会っていたんだな
この髪で王子をおびきよせたのか、ならばこいつを切ってやる」
「やめて…」  破り捨てられるラブレター
真理の心は子供の頃に戻り… 「やめて お母さん」
「いやあっ!」
          ド ン !!    爆発が起こった

605 :6/6ラプンツェル異聞 :2006/11/06(月) 06:27:51 ID:???
大道具は吹っ飛び、トシは破片を頭に受けて気絶した。
大騒ぎになる客席。呆然とやぐらの上に立つ真理。
「出るな、危ない」部長の制止を振り切って王子役のリーは舞台に駆け出した。
「落ち着いて真理っ 心を静めて!」
リーの姿を認め、真理はやぐらの上から…空中へ一歩踏み出す。
「きゃーっ」騒然となる客席。

しかし、真理は浮くように…美しくふわりと降りながら、
リーに口づけた。

今度は別の意味でざわめく客席! 怒る先生!
部長はあわてて幕を閉めた。

「すごいやないか、爆発シーンはどうやったんや」
「俳優をつり下げるワイヤーが全然見えへんかったぞ」
ケガの功名というべきか、芝居の評判は上々だった。
先生を除いてだが…

それ以降…真理は落ち着いているように見える。
多少は「力」で他愛のないいたずらをしては、おどけた様子で許してもらうのを待っている。
私は要するに母親のかわりのようなものだ、とリーは思う。
彼女は幸せな少女時代をやり直す。

これから彼女がどうなるのかはわからないが
もうしばらく彼女とこうしているのもいいかも知れない。
そう…
荒野に旅立つ前の、このほんのしばらくの間なら…

606 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 11:05:30 ID:???


ぐぁークラリオンの子供たちが猛烈に欲しくなって来たぞこんにゃろ

607 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 12:37:28 ID:???
乙。久しぶりにクラリオンひっぱりだしてしまった。
いい大人になった今読むと、どの作品もさらに怖さが増したように思える。

持っている人は知っているけど、この「ラプンツェル」が宮崎駿監督が
すごく気に入った作品なんだよね。仕事場において、機会があるたび
若い人にこれを読ませて、これをアニメ化するとしたら、どんなふうに
演出するかとか論議していたそうだ。つまり、この作品は宮崎監督
周辺の頭の中でつねにアニメ化されていたことになる。今からでも
遅くないからぜひやってほしいなぁ。ジブリの短編集のひとつで。

608 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 19:39:19 ID:???
そんなことになれば、再版も夢じゃないんだろうが…
まぁ無理だろうな。

609 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 19:51:57 ID:???
ちょうど解説書いた時期は、ジブリは「耳をすませば」のころかな?
少女が主人公で、才能の開花を扱ってるところがテーマが似ている。
好みの話なのかも知れないし、
逆にテーマがかぶってるから、いまさら作品化はしないだろうな。

610 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 21:15:14 ID:???
ところでこれも23ページぐらいなのか?

611 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 21:58:44 ID:???
36ページ。

612 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 22:39:06 ID:???
そうか。まぁそうだよな。いくら若いうちは濃いったって、限度ってもんがある。

613 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 17:59:19 ID:???
ジブリにはエルナを是非ー
ジブリ絵でいいから

614 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 20:21:31 ID:???
ほんとエルナサーガのジブリ映画化はすべてのつっつーファンの悲願だな


まぁでもごろうたんにだけは作ってほしくないがw

615 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 21:55:57 ID:???
>>612を読んで卑猥な絵面を想像してしまった俺はもう駄目かもわから(ry

616 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 23:20:52 ID:???
>>613
今のジブリには作って欲しくないな
質感すべて一緒で工場化してるし

617 :マロン名無しさん :2006/11/08(水) 20:35:07 ID:???
いいや、許す。というか熱望。
ジブリが作れば再版は確実。
とにかく新品を普通に手に入れられるだけでいい。

618 :マロン名無しさん :2006/11/08(水) 20:38:30 ID:???
はげしく同意 ゲド千期だって正直ファンタジーマニア向けなのに
腐ってもジブリが映画化したからあそこまでの商業効果を得た
マジで世の中の人にもっとつっつーを知ってもらいたいぜ

619 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 10:45:44 ID:???
絵は大満足になるだろうが、声優が…
エルナに棒読み老け声
シャールヴィに香取慎吾とか持って来られた日には泣くw

620 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 19:18:56 ID:???
エスペリダス・オード読もうぜ

621 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 19:26:49 ID:???
香取君は一応レギュラーキャラで声優をやってたこともあるけどね。
結構好きだったなぁ、香取君のリーヤ。

622 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 20:02:42 ID:???
エスペリダス・オードいいね。(エスオド?)
ちょっと登場人物の年齢層低目だけど。
やっぱこの人がファンタジー描いてくれると嬉しい。
なんであれを巻頭カラーにしないかなあ。

623 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 07:00:07 ID:???
もしエルサガの世界に2chがあったら…

1:熱核雷弾して一時間以内に大冥闇獄されなかったら王 2発目(480)2:ソーロッドにハッキングされたらageるスレ(361)3:大魔導士様が髪型
変えた件について(882)4:盗賊専用スレ(59)5:アーサトゥアルの狂戦士はキモカワイイ(64)6:アンザスオワタ\(^o^)/(134)7:【ラヴァル】ヴァル
キリヤ萌えスレ【たん】(35)8:生臭坊主ばかりの修道会氏ね(104)9:【闇の】エルナ王女を見守るスレ【姫御子】(93)10:9男の出来が悪くて困っ
てます(48)11:全ての母だが質問はあるか?(65)12:最近魔風多くね?(747)

624 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 16:43:03 ID:???
ヴァーリスレ伸びすぎw
フレースヴェルグは基本的に無視されるキャラだな、うん

625 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 21:40:18 ID:???
エルナサーガ絶版なんてありえないよ、もったいない
誰かなんとかしてー
つか、私に最終巻をぷりぃづぅぅ!

626 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 22:52:50 ID:???
>>625
ttp://www.amazon.co.jp/gp/product/4757508425/

627 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 08:08:46 ID:???
復刻版もすでに古本しか手に入らないのか いや〜なぜだろ
面白いのになぁ

628 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 16:02:40 ID:???
■eだからさ

629 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 19:28:54 ID:???
今日ブックオフ回ったら旧の方は結構置いてあるぞ 3件回って12巻以外は見つけた
まぁ全巻持ってるけど

630 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 20:07:31 ID:???
田舎のブコフでは2巻だけとか5巻だけ、みたいな状況です(つД`゚)

631 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 08:35:24 ID:???
10巻以降がないんだよな

632 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 19:23:26 ID:???
暗黒の玉座もて来たれ

633 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 19:53:23 ID:???
風の精霊

634 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 01:30:17 ID:???
古き御力の一つ 今その御座に来臨す

635 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 14:36:59 ID:???
光の王にして闇の王

636 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 16:42:37 ID:???
闇より出でて其を打ち砕くもの

637 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 21:35:51 ID:???
九十九なる光の蛇にて

638 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 21:39:44 ID:???
我が敵を打ち滅ぼせ

スート
打て

639 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 22:02:55 ID:???
    _  ∩  ソールスラーク゛ソールスラーグ
  ( ゚∀゚)彡   雷  撃!   雷  撃!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J


640 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 23:00:24 ID:???
乱発すんなw

641 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 23:37:57 ID:???
>>639  _  
これが( ゚∀゚)!! まるで次々と精霊が来臨して
その足元にひざまづくようだ…

642 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 23:38:37 ID:???
一日がかりの詠唱乙w

643 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 02:42:40 ID:???
暗黒の玉座もて来たれ風の精霊
古き御力の一つ今その御座に来臨す
闇の王にして光の王
闇より出でて其を打ち砕く者
雷 この掌に来たれ

644 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 04:55:36 ID:???
>>643
やめろっ その先は禁呪だぞ!

645 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 16:14:24 ID:???
万物に先立ち古き生まれの星の素子

646 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 20:39:53 ID:???
ここに契約を重ね舞いて雷精を遊ばす

647 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 21:05:22 ID:???
閉じた壷の中 素子よ煮えて

648 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 22:17:31 ID:???
寄りて寄りて星の力を示さん

649 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 22:20:13 ID:???
今こそ我が敵の上に

650 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 22:41:10 ID:???
神の業火降らさん

651 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 23:50:56 ID:???
熱核… 雷 弓

652 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 00:30:22 ID:???

  大地深く眠りし土の精霊 来たりて寄りて隗となりて
   流∧岩∧ごとく溶けよ 地獄のごとく堕ちよ 踏み凝らせ 
   始( ・ω・)=つ≡つ 終焉の光よ  大冥闇獄
     (っ ≡つ=つ        
    /   ) ババババ
    ( / ̄∪

653 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 00:32:11 ID:???
  
                      /´;;ヽ、.          
              , ';´;;ー--‐;;;ミ;;;;ミミミミ;;;;〉            
        __、 ,,;;;;'''゛゛`,,,,;;;;;,;;;;,:::;;;ミミ,;;;;;、=`(   ,-r、.           
       、,`;;;;l;;;;;;;;;゙;;;;;;,,-,゛;;;;;;;;゛'=,'''''゙'-;;;ミミミヽ,:;';;;;;ミ;;)        
       ;;;;;;;;;;;;';;;;;;゙i‐-,;;;;;;;;;;;;,...-ー`   \;;;ミ;;;;;;;;;_;;;/       
     ,r';;;;;;;;i゛゛''''''`              ゙i.:;;;ミ,;;(          
     {;;;;|        >>643-651       l:;;;ミミ,;;;;)        
     {;;;;(,                    |:;;ミ,;;'               
      "';;;\,_     ,,-、.        ,.,r';:;;(`           
       "";;;;'‐;,.,,_  :;';;;;;ミ;ヽ、.    _、,r'`;;;;;;';;;;;,)          
       ~ー''"゛''-゛;';''‐-`;;;;;;゙;;;;;;;;ミ;;;;;;;;;;';;;;;ミ;;;''             
              ` ̄~;;;;``,,ミ;;;';;;;` `~ー''         
                  `ーー''′


654 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 00:33:03 ID:???

     ∧∧     詠唱ミスってるけど一応封じときました
    (  ・ω・)     気軽に使わないでよね
    _| ⊃/(___
  / └-(____/
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         ふぅ一時間も無駄にしちゃったわよ
    <⌒/ヽ-、___
  /<_/____/

655 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 00:38:31 ID:???
ルフートヨコノカラヒツニミチヨカラヒツハドクシュノツボゴトクナレドクシュノツボハカラスノタマゴホドニマタガラムノメダマホドニモナリベッ…舌噛んだ

656 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 00:48:30 ID:???
なんでいつの間にか詠唱合戦になってんの?w

>>652-654
ワロタw

657 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 00:53:59 ID:???
巻き込まれてるのがいるなw

658 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 01:09:21 ID:???
Σ('ω`ノ)ノ
ノ(´ω`)ペン
┐(゚ω゚)┌

659 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 10:48:36 ID:???
>>644合掌

君に最期の騎士の称号を与えよう

660 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 21:51:06 ID:???
ほす

661 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 01:42:48 ID:???
>>659
なんか早死にしそうな称号なんですがw

ところでエルサガの世界で一般人も魔法を使う描写ってあったっけ。
立木をなぎ倒すのにヴィンボーデルスイクサを使うとか
水不足を解消するためにイースグラナートを使って氷塊を作ってそれを溶かすとか
そういう生活に密着した魔法の使い方ってできないのかな。

662 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 02:02:37 ID:???
アトリが子供用魔法を使ってたのしか覚えてないな

663 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 02:06:58 ID:???
使えたとしても2のヴァル程度なんじゃね?

664 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 02:37:44 ID:???
クーア数回使ってガス欠じゃ大した魔法使えんだろうしなあ

665 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 03:30:28 ID:???
戦闘中にも普通の兵士は魔法使わずに
「クーアにとっとけ」とか言ってた気がする。

666 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 11:23:13 ID:???
ヴァルはそれなりに魔法を使えていた気がする。
一緒にいたのが貴族ばかり、極め付きがヴァーリ級だったので目立たなかったけど。

2の時代では、弘法大師が水を湧かせたみたいな感じで、旅の魔道士がトンネル掘ったりため池作ったりした伝説はありそう。

667 :マロン名無しさん :2006/11/19(日) 21:23:02 ID:???
ほす

668 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 07:27:08 ID:???
誰かそのうちまたクラリオンのあらすじを投下してくれるに違いない

と思う反面みんなエスペリに移動したんだろうなと思ったり。

669 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 08:56:55 ID:???
新連載の話は作者スレと話題がかぶっちゃうからねえ

とりあえず今月からREX買い始めたーよ

670 :マロン名無しさん :2006/11/21(火) 15:46:25 ID:???
まだまだ

671 :マロン名無しさん :2006/11/22(水) 11:14:02 ID:???
ほす

672 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 02:27:04 ID:???
あらすじ書く気はあるんだが、今ちょっと忙しいんだな…

673 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 04:28:35 ID:???
2のあらすじは連載中スレ的にOKなんだろうか
もしOKが出たらやってみようかな

674 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 07:38:01 ID:???
せめて過去レス読んでくれよ

2の連載時期は既に2chにスレはあったから
一連のあらすじ連載スレの趣旨とは異なる為に書かないんだよ

だから書くならスターゲイザーや義経千本桜をですね

675 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 00:19:56 ID:???
義経やってくれる人がいたらマジ神。
片っ端からネットで探してみたがどこも売り切ればっかでカナシス

676 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 00:26:04 ID:???
義経ブックオフでさくっと買えた俺は幸運だったんだろうか

677 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 00:31:17 ID:???
幸運だな。
俺はいまだ五巻にめぐりあえん。

678 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 01:30:56 ID:???
そりはギャグで言ってるのか?

679 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 01:45:45 ID:???
>>677
奇遇だな

俺も義経は全巻持ってるけど5巻にはめぐり合えない
おかしいよね

680 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 02:23:26 ID:???
店頭で見かけたことすらない>義経

681 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 03:31:40 ID:???
俺本屋で買ったけど

682 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 10:21:42 ID:???
5巻をか?

683 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 15:03:28 ID:???
義経あらすじ1話だけ書いてみたりしたけど
2日に1話のペースなんて俺には無理だ・・・
あらすじ書いてる人みんな本当に凄いよ。

684 :677 :2006/11/25(土) 16:07:15 ID:???
間違えた、4巻だった
本誌では読んでたんだけど、単行本は発売直後を逃した

685 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 23:05:03 ID:???
>>683 俺も試しにスターゲイザーの一話を書いてみたけど、こりゃ連載は無理だわ。
まぁ元々3巻が無いから、やれるだけやっても未完なんだが。

686 :あらすじ精霊 :2006/11/25(土) 23:09:31 ID:???
久々にコテつきで失礼します

>>683
すぐ連載開始じゃなくて、書き溜められるだけ書き溜めてから連載開始すればいいと思いますよー
私も宣言してから2週間ぐらい準備期間戴いて、20話分ぐらい書き溜めてからスタートしましたし
書き溜め多分なくなってからは休載とか遅刻とかしょっちゅうでしたしw
義経は未読なのでやってくださるなら個人的にとても嬉しいです

687 :マロン名無しさん :2006/11/27(月) 13:07:52 ID:???
おお、あらすじ精霊さん(´∀`)ノとりあえずご挨拶

2を読みそびれた自分としてはやってくれる人がいると嬉しいけど

688 :マロン名無しさん :2006/11/28(火) 04:14:26 ID:???
2は、連載中スレの規定から外れるからねえ。
連載中スレから独立してスレ立ては可能かも知れないけど、
連載中スレってお互い支えあって参加しあってるから、
「エルナサーガ連載中」スレがうまくいったのであって
ファンだけで独立して、エルナ2やってもあんまり盛り上がらない気がする。

689 :マロン名無しさん :2006/11/28(火) 12:27:50 ID:???
やってみたいとは思うけどね
このスレのおかげで再燃したエルナ熱を保ったまま2読み直せばまた違う発見あるだろうし
ただ、>>688の言うとおり連載中スレってお互い支えあってるからね
エルナ2やりだしたらジョジョ6部とか初めていいのかって話にもなっちゃうし

690 :マロン名無しさん :2006/11/28(火) 22:15:03 ID:???
とりあえずこのスレでエルナに興味を持った人は2をとっとと買うんだ
スクエニだからまた手に入らなくなるぞ多分

691 :マロン名無しさん :2006/11/29(水) 01:32:18 ID:???
カラーページ&巻末マンガ完全収録の完全版出してくれマジで

692 :マロン名無しさん :2006/11/29(水) 02:29:23 ID:???
よろしい ならばたのみこむだ

我々は満身の力をこめて今こそ我が敵の上に降らさんとする神の業火だ
だがこの暗いマロンの底で数十年もの間 堪え続けてきた我々に ただの再販では もはや足りない!!

完全版を!! 天下一品の完全版を!!


693 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 01:54:50 ID:???
このままの流れで新スレ立ててスターゲイザーか義経を書くか
(誰かが)過去の読み切り作品のあらすじを書くか
本スレ庇護を無視して2のあらすじを書くか
落とすぐらいしかないと思うんだが

694 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 23:02:27 ID:???
今月真ん中ぐらいまでこのスレが残ってたら、
クラリオンのあらすじ書くことはできるよ俺。

695 :マロン名無しさん :2006/12/02(土) 00:52:38 ID:???
>>694
是非書いて欲しい。
できればつっつーのサイトに掲載されている絵の
宇宙船に乗った少年の話を。

696 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 13:45:08 ID:???
んじゃ17日ぐらいにクラリオンの子供たちと
3〜4日おいて、商業第一作としてザ・デイ・アフター・ケア投下するように頑張ります。
それまでに俺様がやるゼという方、やっちまってくださってかまいやせん。
また、ほかの作品のあらすじ化もどうぞ。
予定はずれるかもしれませんが、その時はすまんです。

697 :保守妖精 :2006/12/03(日) 14:36:41 ID:???
このスレの保守はお任せください

698 :マロン名無しさん :2006/12/04(月) 23:22:16 ID:???

  ∧_∧
 ( ・∀・)  楽しみに待ってるよ
 ( ∪ ∪
 と__)__)

699 :マロン名無しさん :2006/12/06(水) 01:47:26 ID:???
保守

700 :マロン名無しさん :2006/12/07(木) 00:17:29 ID:???
単行本未収録作品なんかもお願いしたい。切実。
誰かあらすじして下さい。

701 :マロン名無しさん :2006/12/08(金) 00:03:03 ID:???
ジブリが映画化すれば一気に今までのつっつー作品が復刻再版されるだろうに…

702 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 02:19:11 ID:???
>>701
まだその話題を振るか

703 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 02:31:58 ID:???
定期的にくるよなこの話題 まぁ皆なんのかんの言ってそうなったらいいと思ってるんだろう

というわけで保守

704 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 20:43:00 ID:???
エルサガ連載中スレで一番最初に言ったのは自分だw
ジブリでなくてもいいんだけどねー


705 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 23:22:44 ID:???
タツノコプロに頑張ってもらうか

706 :マロン名無しさん :2006/12/11(月) 16:42:58 ID:???
save

707 :マロン名無しさん :2006/12/11(月) 22:51:57 ID:???
なんてこった!

千本桜の一話を書いてるが、コマ1つ1つの中身が濃すぎて全然進まんぞ!
義経記とか調べながら読んでるとえらい情報量に!

月1ぐらいで連載とか怒る? 怒るよね?

708 :マロン名無しさん :2006/12/11(月) 23:56:17 ID:???
怒らないけど、何かほかの作品とパラレル連載しないとスレが持たないよ。

709 :マロン名無しさん :2006/12/12(火) 00:54:12 ID:???
義経をやるんならこのスレの残り300レス弱だけでは足りないのでは…

710 :マロン名無しさん :2006/12/12(火) 03:46:21 ID:???
月一だったら2年とかかかるじゃんw

711 :マロン名無しさん :2006/12/13(水) 04:04:54 ID:???
月一ってのは冗談だが、
週一ぐらいのペースになりそうな予感。
まだ荒筋にもなってないノベライズ常態だ。

解説とかも必要だし。(特に鮨屋は)

712 :マロン名無しさん :2006/12/14(木) 23:18:25 ID:???
保守

713 :マロン名無しさん :2006/12/16(土) 22:09:50 ID:???
もうそろそろクラリオンのあらすじが来るかなと保守

714 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 04:30:36 ID:???
クラリオンの子供たちを投下します。
これは初出は、同人誌のゲスト執筆で、後「COMIC BOX」に再録されデビュー作となりました。
後の作品にも出てくる表現やイメージもあります。
冒頭、199×年とありますが、これは作品の描かれたのが1980年代だからで、
確定はしないが近未来、という意味の、よくある表現です。


715 :1/6クラリオンの子供たち :2006/12/17(日) 04:32:31 ID:???
199×年、北同盟と南方連合国軍による第三次世界大戦が起き、
十余年の断続的な戦闘によって膨大な人命と互いの国力は失われ、
自然も破壊され地球は蝕まれていた。

そうした中、一人の北同盟の軍人が、森の中にあるシュタイン博士の研究所を訪れる。
彼の名はバダム中佐、右目を含め、顔の右半分と右腕はサイボーグ化しているようだ。

彼は、この前の博士の、軍での公開実験の失敗を責め、研究を急き立てに来たのだ。
「いったい何のために各地から子供たちを選び、この環境の良い場所に研究所を建て…」
そこまで言ったとたんに、彼のもたれていたガラス窓にヒビが入った。
彼はその時は、自分の使い慣れない義手のせいかと思った。
しかし…
「政府があなたに求めたのは気まぐれにスプーンを曲げたいするちゃちな手品師ではなく、
テレパシーで敵の情報をキャッチしたり念力で敵の基地を粉砕したりできる完璧なエスパーです!」
そこまで言ったとき、バダムが窓から離れているにもかかわらず、ガラスがはっきりと割れた。
バダムは疑問に思いながらも、博士に戦況を説明して、研究を急かせる。

「北」の機械文明を批判し、有機軍を自称する南軍が、気象兵器や生化学兵器で地球環境を破壊し
伝染病で市民を十万人も殺したこと。「北」は、小型の核兵器さえ使っていないのに。

博士の「子供たちを戦争には使わせない」との答えに
バダムは「前線の兵士たちの恐怖があなたにわかりますか?!」と声を荒げる。

そのとき、いきなり本が飛んで来た。
「子供たちを戦場に送るわけじゃないんです、例えばこのカップを手を触れずに浮かせるような…」
すると本当にそのカップが浮く。

「誰がやってるんだ?やめなさい」博士が立ち上がって別室に行くと、
一人の少年が頭を抱えて倒れており、その周りに子供たちが集まっていた。
「先生、シドがまた…止まらないんです…」

716 :2/6クラリオンの子供たち :2006/12/17(日) 04:34:22 ID:???
バダムが見上げると部屋の中のいろんな物が、子供たちの文具や、食器やカーテンまでもが
天井近くに浮いていた。「あなたはこんなすごい成果を隠して」
博士は答える。「成果?この能力が制御できればの話だ。」

安定した精神状態だと能力も安定するが、疑いの目で囲まれた公開実験などではまるで駄目なのだ。
その場に居合わせた人々の精神波、生命の場とでもいうべきものが大きく関与する。
共鳴するのである。
バダムは、自分の攻撃的な心がシドを暴走させたのだと思い当たる。
博士は言う。「とても戦争どころじゃないだろう?」

森の中を通りながら博士は生命の場と進化についての持論を語る。
ESPは人間の失われた可能性だ。言葉を覚えることでテレパシーの可能性を捨ててしまったように
どんなところにも進化の可能性はあったのに文明がそれを飼いならし封じ込めてしまったのだと。
生命の場によって共鳴する動物たちの方が、人間よりも文化的で平和ではないかと。

「僕はあなたの悲しみについてはよく理解しています」シドはバダムに言った。
彼はバダムの心を読んだのだ。
しかしバダムにはそのことに対する不快感は全くなく、むしろ心をゆだねた安心感を感じていた。

バダムは、博士の研究について、うまく取りはからわれるように軍に提案することを約束して
研究所を去ったのだが、
博士の、軍への失望は大きく、3週時間後に孤児のマークをつれて敵国に亡命してしまった。
ほかの子供たちもそれぞれの親とともに各地へ散って、消息もわからなくなってしまった。


717 :3/6クラリオンの子供たち :2006/12/17(日) 04:36:02 ID:???
その後、世界はさらに激しい戦闘に突入する。
北軍はいくつかの南軍の都市を制圧したものの、南軍の引き起こす異常気象によって
根底から揺さぶられていた。
自然界は激変し、いずれ人類の存続も危ういかと思われた。

そんなとき、北軍の将校たちは「例の計画」に思い当たる。
北の科学文明の粋として、15年も前から恒星間航行用に発案されていたモノ…
軍人たちの、サイボーグ化された手足のように、人類を救う人口惑星……

新たなる地球。

しかしすべての北同盟の人たちを運ぶわけにはいかず、
移住させるべきエリートがコンピューターによって選出される。
バダムはそのリストの中にあのESPの子供たちを発見した。
エスパーとしては不完全でも、あれだけ脳の訓練をしていたおかげで、
ほとんど全員、リストに入るエリートになっていたのだ。
バダムはそのリストをもとに、シドに会ってみようと、彼の母校でもある学校に行ってみる。
どんな青年になっているのか。あのころ何も力になってやれなかったこともあやまりたかった。

しかしシドはもう学校に在籍していなかった。
バダムの恩師でもある教師は、シドについて詳しく語ってくれた。
あまりに優秀なために、飛び級に飛び級を重ね、
すでに軍に在籍して、衛星軌道上のステーションで実習中だということ。
能力は優秀だが、周りのねたみもあって、協調性に問題があったこと。

バダムは、きっとそれはシドの心が閉ざされているからだろうと考えた。
あの森の中の研究所ではあんなに伸びやかだったのに、
この灰色の街の中では閉ざされた心に心を閉ざし憎む心を憎み返して不幸な共鳴を起こしている。
彼は人の心をうつす鏡のようなものだ。
人が憎みあい国と国が争いあうこの地球を、彼という鏡はなんとうつしているのだろうか。

718 :4/6クラリオンの子供たち :2006/12/17(日) 04:37:31 ID:???
宇宙ステーションの大きな窓のガラスに鏡のように自分の姿を映しながら、シドは地球を見ていた。

「ステーションの生活には慣れたかね?シド」ステーションの所長がシドに話しかける。
これから公転軌道上の基地オクト3にパトロールに行くのだと言う。
所長はシドを連れて行きながら、ステーションやオクト3の機能などを多弁に話しかける。
もう一人の実習生などはまるで無視だ。
「ちょっとばかり天才的だからってちやほやされやがって」そんな念がシドの心に届く。
「まただ…」シドは思う。いつもの状況、しかも宇宙に来て干渉力が強くなっているようだ。
気をつけないとまどわされる…

シドたちはシャトルに乗り込み出発した。
それにしてもなぜ、この非常時にこれだけ宇宙に力を入れているのだろう?
ステーションでは植民星開発にでも使うしかないような、200人乗りの宇宙船を作っているらしい。
小惑星からの資源採掘のためのオクト3も、ずいぶん地球から離れた位置なのはなぜだろう?

シドは疑問を感じ始める。どこかに何か秘密の計画でもあるのか。
秘密を隠し通そうとする大勢の人間の意志が、シドの透視を妨害していた。

シャトルは小惑星帯に入り、所長は相変わらず饒舌にシドに解説を続けていた。
「火星、木星間のアステロイド同様、惑星の残骸だなどと言われたものさ。
地球の軌道のちょうど裏側をまわるクラリオンって惑星だとかね…空想の惑星さ、知らんかね?」

やがて八面体をした宇宙基地オクト3が眼前に現れた。
ところが所長がオクト3に進入指示を仰いでいるとき、オクト3の一辺が光り…

爆発が起こった


719 :5/6クラリオンの子供たち :2006/12/17(日) 04:39:40 ID:???
オクト3の破片はすぐにシャトルの到達し、シャトルの外壁を破り、
所長ともう一人の実習生は一瞬のうちに船外に吸い出されて行ってしまった。
シドはとっさに別室に入りながら…これが誰かの念力の仕業だと気付いていた!
誰の?…誰だ?! シドの意識は地球までかけ戻り、ある青年のところに達した。

マーク!君かっ!

怒りと悲しみで涙を流すシドの強力な思念が、電流のように彼を撃つ。
マーク…それはシュタイン博士と敵国に亡命した、かつての研究所の子供たちの一人だった。
電流のような思念は、同じようにそこにいたほかの青年たちの体をも撃った。
「なんだ今の…」「電流が走ったような…」動揺する青年たち。

それをよそに、通信兵が「成功です。北軍の宇宙基地は20パーセント壊滅」と報告している。
マークはシュタイン博士亡き後研究を続け、
数人のエスパーで共鳴場を作る方法で、ESPを攻撃システムとして完成させたのだった。
上官はご満悦でマークを讃えた。

「でも…これは博士の意に反したことだ」マークはすっかり落ち込んでいた。
「向こうにもエスパーがいます。昔の研究所の仲間です。今直接彼の心に触れてしまった…
相手の心を知ってしまって、いったいどうしてその相手を撃てよう?
相手の顔も見ずにボタン一つで大量殺戮してゆく戦い方だからこそ今まで戦って来れたのに」

「相手もまた人間だということを思い出させてくれたな」
マークに賛同したのは司令長官だった。彼もまたシドからのメッセージを受け取っていた。
「そもそも我々は何のために戦い始めたんだ?守るためにか?滅ぼすためか?
考えなおす必要がありそうだ。」


720 :6/6クラリオンの子供たち :2006/12/17(日) 04:41:45 ID:???
シドの乗ったシャトルは救助のないまま流されていた。酸素はあと2時間しか持たない。
破れた外壁から、コンテナが飛んでいるのが見える。
目的地まで慣性飛行させて資源を輸送しているのだが、オクト3が爆発前に射出したコンテナに
シャトルが流されて追いついてしまったのだ。
ということはこの先に別の宇宙基地があるのかも知れない。助かるかも知れないぞ!
シドが計算したコンテナの回収先…それは宇宙ステーションにしてはやけにでかい代物だった。

ESP能力で目を凝らしてみた先には…
人工…惑星…クラリオン!


後日。バダムはシドが入院している病院に見舞いに来ていた。
シドはクラリオンの建設用シャトルに助けられたのだ。
あれから南軍はなぜか態度を軟化して来ており、講和を求めてくるかも知れない、という。
しかしクラリオンの計画は続行される。地球環境が取り返しのつかないところまで来ているからだ。

「僕はクラリオンには移住しません」とシドは言ってバダムを驚かせる。
選ばれた人しか移住できないのも問題だし、
病んだ地球でも、停止した機械文明よりは可能性があり、住む余地はある。
地球がこれだけかわってしまった以上、人間の方に種としての変化が現れるかも知れないが…
たとえばシドたちのように…
「人間は分化する時期に来ているのですよ」とシドは言う。
自然にかえり共鳴しあって総体として生きるか?
個と種にこだわり、自分の方でなく環境をかえてゆき、機械を新しい自然とするか?
どうかエリートだけといわずクラリオンを欲する人にはクラリオンを。
地球を欲する人には地球で生きながらえるように。

バダムは思う。
今度こそ私は彼との約束を果たせることだろう。 彼らならうまくやるに違いない。
たとえその結果、この地球が我々にとっての異郷(クラリオン)と変貌してしまったとしても。
それが地球の選んだ道なのだから。

721 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 20:42:07 ID:???
>>715-720

そしてこれがアダ戦記に繋がると

722 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 21:17:26 ID:???
ふうむ…やはりあらすじでは飢えを満たすことは出来ないな。
むしろかきたてられる。

エスパー研究関連はあまりグロいとこまではいってなくて、
終末戦争を描いている割には、狂気まではいっていない感じだな。
共鳴で説得されてしまう辺りも。基本的には普通人、イイ人だけか。
短編だからかな?

これで何ページぐらいなの?

723 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 22:06:04 ID:???
ハヤカワで出版されてそうなSFだと思った。
日本人作家じゃなくて、海外作家の翻訳。

724 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 22:52:50 ID:???
つっつーもよくこんなこと考えられる頭があるな。
骨の髄まで日本人の俺にはとても考えられそうにない すごいや

725 :マロン名無しさん :2006/12/18(月) 03:41:50 ID:???
>>722 これは32ページです。

726 :マロン名無しさん :2006/12/18(月) 21:58:45 ID:???
>>725 THX.

これで32頁か。かなり詰め込まれてる感じ。
その倍くらいはあってもおかしくない内容なのにな。

727 :マロン名無しさん :2006/12/20(水) 14:30:29 ID:???


728 :マロン名無しさん :2006/12/22(金) 10:48:02 ID:???
脱帽した

729 :マロン名無しさん :2006/12/22(金) 18:16:03 ID:???
ザ・デイ・アフター・ケアを投下します。
COMIC・BOXより季刊漫画誌リトルボーイが創刊され、その第一号から、堤氏が寄稿しています。
これは商業誌第一作です。リトルボーイ1987年冬号24ページ。
題名については、当時「ザ・デイ・アフター」という映画があったと記憶します。それが元かと。

730 :1/4ザ・デイ・アフター・ケア :2006/12/22(金) 18:17:40 ID:???
窓から青い空が見えている。
柔らかい風がカーテンを膨らませ吹き込んでいる部屋は子供部屋らしいが、
おもちゃやら雑誌やらで、たいそう散らかっている。
テレビやビデオ、CDデッキもあるようだし、棚にはプラモがぎっしり、
壁にも少年の好みらしいポスターがいっぱい貼ってある。

何かの映画(多分コマンドー)のビデオが流れている。
『こちらXレイ448、カービー将軍に緊急連絡。カービー将軍に。』
「将軍、緊急連絡が入ってます」
部屋にいた少年は、ビデオの次の台詞を言う。
『将軍、緊急連絡が入ってます』
ビデオの次の台詞は、はたしてそのとおりであった。

「ビデオの台詞もすっかり覚えたし、プラモやモデルガン、組み立てたり分解するのもあきたし、
かといって,CDデッキ分解するのはもったいないからといって自転車でやるんじゃなかった。」
少年は分解してしまった自転車を前に悪戦苦闘していた。

そのときビデオはアクションシーンに入ったらしく主人公が銃を乱射しだし
その大音響に「うるさいぞ」と少年はビデオのリモコンのスイッチをOFFにする。

これで集中できる…と思ったのもつかの間,今度は静寂のあまり時計の秒針の音が気になりだす。
チッ チッ チッ という音が迫ってくるような気がして、
「うわあーっ」  彼は思わず悲鳴を上げた!

ジリリリーン!それにかぶるようにいきなり電話の音が鳴る。
少年は急いで電話に出るが…
『中央コンピューターのHALですが定期チェックです。その後のお体の調子は。』
「またおまえか」
『また…って私のほかに誰が』
「くだらない用でかけてくるな」
少年は怒って電話を切ってしまう…が,また時計の音が気になりだし,今度はこちらからかけなおす。

731 :2/4ザ・デイ・アフター・ケア :2006/12/22(金) 18:19:01 ID:???
「悪かったよHAL、怒ったか?」
『別に』
「要するにまだ見つかってないんだな?」
『全都市を探索中なんですがまだ』

「僕以外の人間は一人も生き残っていないんだな?」

「あなたの場合は奇跡的ですよ。あなたと同様に未来の医療に希望を託して
人工冬眠(コールドスリープ)に入っていた人たちも配線のやられてる場合が多くて。
まあ比較的損傷の少ない死体ならお見せできるわけですが」
「死体じゃない、生きている人間だっ! 特に女の子だ」
だって子孫を残さないといけないだろう、と少年はちょっと照れながら言う。
『無理に子孫を残さなくても』とHAL.
『全く人類てのはコストがかかりますからね。
さんざ好き勝手しておいて、あげくの果てに最終戦争でみんな死んじゃうなんてね』
「僕のせいじゃないぞ!」
『私のせいでもありませんよ!』

少年は腹を立てて電話を切るが…また、時計の音が気になりだし、またかけなおす。
「怒った?」
『怒りましたか?』
「僕は別に…」

HALによれば、今探索中の都市の医療施設で、人工授精用の冷凍受精卵が見つかるかも知れないという。
「おおっ試験管で育てるわけだな」
そうではなく、少年の腹膜に着床させて、育てるのだという。
「ひょっとして、それって俺が妊娠するわけ?」
『そうですよ?』
「あと一週間考えさせてくれ…」


732 :3/4ザ・デイ・アフター・ケア :2006/12/22(金) 18:20:18 ID:???
同じように青い空の下、しかし木陰で、少年は目を覚ます。
隣ではガールフレンドの萠ちゃんも眠ってしまっていた。
その寝顔を見て…キスをしようとして、しかし思い切りがつかず、体を離す少年。
そのとき「くすっ」と少女が笑った。
「しないのね?」少女はコケティッシュな表情で少年を見上げた。

後日、少年は友人と、萠ちゃんが中学生とキスしてるところを目撃する。
「もうだめだ」とあきらめ気味の少年。そんな彼に友人は忠告する。
「おまえは! いつだってそうだ。 やってみないうちにあきらめる。
電話してみろよ、まだまにあうかも知れないぜ。」

少年はもとの部屋で目を覚ます。
「そうだ電話しなくっちゃ」彼は少女の家の電話番号を押す。

『ただ今おかけになった電話番号はつかわれておりません。もう一度お確かめの上…
なーんちゃってHALですよー。なーにねぼけてるんですか』
「このやろう、芸の細かいことしやがって…」少年はキレる。
「そんなことやってるヒマがあったら、新しいビデオでも持ってこいよ!」
「本はなんでこんなのしかないんだよっ!」
本棚を足で蹴り倒し、電話にボールをぶつける。しかしHALも負けてはいない。
『これだけ忠実に1900年代後半の家やら家具やら再現させておいて。あなたの時代の
あなたの歳で土地付き一軒家に住んでビデオもCDもパソコンも持ってるなんてねーっ』

「お前誰に作られたと思ってるんだ、人間様だぞ!」少年は激昂する。
『御自分の立場をおわかりですか?』とHAL。
『あなたは荒野に一人残された赤ん坊で、あなたが私を支配しているのではなく、
あなたの命を握っているのは私の方だ。
私は自分でもずいぶんあなたに寛大だと思ってるんですが。
いつだってそうでしたよ。地球だって自然だってずいぶん人間たちに寛大でしたよ。』

プツン…と、今度は向こうから電話が切れた。

733 :4/4ザ・デイ・アフター・ケア :2006/12/22(金) 18:22:37 ID:???
4/4ザ・デイ・アフター・ケア
ぐちゃぐちゃになった本棚の前で黙り込む少年…

そのとき。 家の外で、カタンと音がした。
少年は、一瞬、萠ちゃんが家に来て門塀を開けた音かと思い、あわてて駆け出す。
しかしそこには、HALの虫型のロボットの後ろ姿があって、そいつは地面の穴に消えて行った。
ふと気付くと郵便ポストに何か入っている。ロボットはそれを届けに来たのだ。
それは「NTT」の電話料金の請求書だった。
「怒ったのか?HAL ひまなやつ…」

少年は、ふう、とため息をつく。

空が青いな、この空だけ見てるとまるで…
あの時の木陰、その影を落としていた大樹の上にあった空とイメージがかぶる。
この空の下どこかで…まだ何も知らずに眠ってる少女がいるのだろうか。

「わるかったよHAL。やってみようともせずにおまえにばかりたよって。
一緒に探しに行こう。自転車が直ったらさ。」
少年は晴れやかな表情になって叫ぶ。
「よーし行くぞ! 少年は荒野をめざ…」
しかしコブシを振り上げた先は
ところどころクレーターがある以外は、地平線まで何もない、本当の荒野だった…
荒野の真ん中にぽつりと少年の一軒家が建っているのだ。

「とーいなー」少年は家の前でしゃがむ。
「妊娠した方がいっかな、はっは」

さっきの地面の穴からロボットが顔を出し、「THE END」の看板を出している。

734 :マロン名無しさん :2006/12/22(金) 20:54:38 ID:???
>>729-733


すげえ笑った。読みてえ!
男の子が妊娠だなんてまるで上連雀先生じゃないか!

735 :マロン名無しさん :2006/12/23(土) 01:27:53 ID:???
男が妊娠する話は、映画でもあったが、もちろんずっとあと
ジュニア/出演: アーノルド・シュワルツェネッガー 監督: アイバン・ライトマン/1994・米

736 :マロン名無しさん :2006/12/23(土) 02:09:46 ID:???
うーん、この一連の作品、明らかに読んだ記憶がある・・・
発売当時なにげなく立ち読みしてたんだろうな、多分
タイムスリップできたら「今すぐレジに行け!」と過去の自分に忠告してやりたい気分

737 :マロン名無しさん :2006/12/23(土) 02:11:47 ID:???
乙!ありがとう
おおお、良いな。
ファンタジーも好きだけど直球SFもまた読みたいなぁ。

738 :マロン名無しさん :2006/12/23(土) 02:11:57 ID:???
設定だけ見たら壮絶なのに、何だこの笑える話はw
多分この少年も目覚めた後はへこんだんだろうが、もう状況に適応しとるんだろうな。

739 :マロン名無しさん :2006/12/25(月) 05:41:19 ID:uCmvub+2
ブーブ

740 :マロン名無しさん :2006/12/28(木) 01:28:07 ID:???
1000レスになるまで落としてたまるかと保守。
クラリオンに収録されてる話ってあとどれくらいあるのかな?

741 :マロン名無しさん :2006/12/28(木) 14:07:22 ID:???
(´∀`)ノ

742 :マロン名無しさん :2006/12/29(金) 16:29:05 ID:???
クラリオンはあと二話です。俺で良かったら残りも書きますが、大晦日の投下になるかなあ。
それでも全然このスレは埋まらないわけで。
スターゲイザーとか、短いやつを、誰かやってくれないかなあ。

743 :マロン名無しさん :2006/12/31(日) 15:30:55 ID:???
なんだか誰もいないんですが(・∀・;)投下します。
リトルボーイにおける第二作です。
時間がなくて前半のみになってしまいましたが保守がてらには良いかも…?(自分勝手)
続きはお正月三日あたりに。

744 :1/4テクニカラー :2006/12/31(日) 15:34:59 ID:???
老人が散髪屋で、どのような髪型になさいますか?と聞かれて
「アインシュタインみたいにしてくれ」などと言っている。

テクニカラードリーム・マシーン

タカシと少女が歩いている。
「また塾さぼっちゃっていいの?」と少女が話しかけるが
タカシは「あの」変な科学者…秋葉原で出会った「親友」のところへ行こうとしていた。

玄関口についてみると、古いアパートなのだがそれにも増して植木鉢が割れたり、
なんだか荒れている。ドアの隙間からは何か光るものが見え…
ザク?のようなロボットがマシンガンを持って立ちはだかった!

と見えて、それはロボットの着ぐるみを着たアインシュタイン髪の老科学者だった。
この基地は侵略されつつあるという。
「侵略ぅ?」タカシは科学者のネタにはつきあうつもりはないらしく冷静にツッコミ。
「地上げ屋じゃよ。きのうはこの格好で出たら腰抜かして帰りおったが。」
理詰めでくるかと思えば泣き落としたり脅したり、
この辺り一帯がそんな調子で、ぼや騒ぎや、子供が誘拐されかけたこともあったという。
「わしがこんなボロアパートに甘んじているのは、そのうち金を貯めて
富士山麓に立派な研究所をたてるためなのに。」
「何か方法はないの?」
ないことはないという。科学者はそのことでタカシに重要な話があるというのだ。

ちょうどその頃、チンピラっぽいサングラスの二人組が、車で走っていた。
「ちくしょオあのジジイ、俺らあ、なめやがって!」
「だいたいお前が逃げるからだぞ」と痩せ形の方が、太った方を責め、
「アニキだって逃げたじゃないスか」と太った方が反論し、言い合いになっている。
二人は科学者が、理詰めで対抗したり、変な仕掛けで撃退してきたり、泣き落としたり
「お前たちの頭にコンピュータ端子をうえこむぞ」などと
脅したりしてくるので、手こずっているのだ。

745 :2/4テクニカラー :2006/12/31(日) 15:36:28 ID:???
「こいつはコンピューター端子でな」
と、科学者はタカシに羽のはえた虫型ロボットを見せていた。
超伝導を利用した磁気センサーと干渉装置が組み込まれていて、
これを頭につけると脳のどこが活動しているかわかるし、特定の脳細胞を活性化できるという。
彼らが眠りについたころ、これを送り込んで、彼らに悪夢を見せる。
暴力では太刀打ちできないので相手の精神に直接ダメージを与えるのだ。
押し入れのふすまを開けると、そこにはパソコンを始め様々な機器がぎっしり詰まっていた。
問題は、コンピューターに相手の脳に太刀打ちできる能力がないことで、
そこでタカシにも端子をつけてもらい、相手の脳に進入してほしいのだという。

躊躇する少年。しかしこれは子供にしかできない、と科学者は言う。
大人になるということは世の中の矛盾を認めてしまうこと、悪と妥協してしまうことで、
この作戦には子供の純粋な正義感が必要なのだ。

止まった車に乗ったままの太ったチンピラ、窓の外から話しかけるアニキ。
太った方は、何かを躊躇しているらしい。
「度胸がねえんだよお前は。あんな隠居ジジイのささやかな生活がどうしたっていうんだ。
町は生きてるんだぜ。俺たちはでかい仕事をしてるんだ。」

科学者の方はというと嬉々としてタカシにパソコン画面を見せていた。
タカシの脳に迎えに行くコンピューターのキャラクターをもう考えてあるという。
そこにはピーターパンのコスチュームの少女の画像が。ピーターパンは男の子だったと思うのだが。

もう一つ乗り気ではないまま、それでもタカシは、虫型の端子を肩に乗せて、
科学者に送られてアパートの外に出ようとしていた。
「あぶない!」科学者の体を押しのけるタカシ。
ちょうどその場所に、チンピラの太った方が運転する車が突っ込んで来た!
破壊されるアパートの入り口。
実験用に飼われていたマウスは二匹とも死んでしまっていた。
「奴らにとって、我々はこのネズミみたいなものだってことだな」
タカシは愕然とし、ようやく本気になった。

746 : :2006/12/31(日) 15:38:24 ID:???
題名は、ネーム欄にはいりませんでした。
「テクニカラードリーム・マシーン」です。

747 :マロン名無しさん :2006/12/31(日) 23:04:10 ID:???
ロボットの着ぐるみってw
こういうちょっと危ないじーさんと少年の組み合わせっていいなあ。
ギャグなのかと思ったが、最後の方はちょっと真剣な雰囲気だね。
後編の投下を楽しみに待ってます。

748 :マロン名無しさん :2006/12/31(日) 23:26:27 ID:???
不思議な印象
男性作家の絵を思い浮べてしまいます
あらすじ職人さん頑張って

749 :マロン名無しさん :2007/01/01(月) 07:03:18 ID:???
続き待ってます
…人が少ない

750 :マロン名無しさん :2007/01/02(火) 15:04:27 ID:???
保守がてら
おめでとうございます


751 :マロン名無しさん :2007/01/02(火) 22:01:39 ID:???
保守!

752 :マロン名無しさん :2007/01/03(水) 10:14:55 ID:???
スターゲイザーやっていい? はじめるまで少し時間をください。

753 :マロン名無しさん :2007/01/03(水) 11:08:23 ID:???
>>752
楽しみにしてます

754 :3/4テクニカラー :2007/01/03(水) 22:04:01 ID:???
夜中に窓を叩く音。
タカシが目覚めると、ミニスカの女の子のピーターパンが窓の外へと誘った。
「ちょっ、こっ、ここ二階」
しかし振り向くとタカシ自身はまだベッドの中にいて、虫型端子が顔にくっついている。
「あなたは今、心だけの存在なのよ。夢の国では飛べると信じたら、飛べるのよ、ほら。」
ピーターパンに手をひかれて、タカシは不思議な空間へ飛び出した。

「自分の正義を信じて意志を強く持つこと。そうしないとこの夢から覚めてしまう。
ここは意識の国よ。何でも信じた通りになるの。武器が欲しいと思えば、現れる。」
タカシの手の中に光が生まれ、剣となった。

二人は誰かの夢の中に入り込む。
そこには異様な形の木々が何本もあって、その中に体を丸めるように横たわる人影が見えた。
「彼はずいぶん深い夢を見ているわ。今のうちにあいつをやるのよ。」
タカシが近づくと、木の根元には巨人がいて、その木を切り倒そうとしている。
気付かれていないようなので、タカシはかまわず、夢の主を倒そうと木の穴に近づくと…
「それ」は子供で、ちょうど目を見開いていた。

「うわああああああっ」チンピラのアニキの方が叫び声をあげた。
「ど、どうしたんですアニキっ」太った方が目を覚ます。
彼らは部屋でビールでも飲みながら、コタツでうたた寝をしていたらしい。
見るとアニキの顔には変な虫型メカがへばりついて、アニキは苦しそうにうめいている。
太った方は虫型端子をはじき飛ばすが、そいつは彼の腕を伝わって彼の頭に取り付き、
彼はガクッと意識を失った。

タカシの視界が変わり、別の人物が現れる。
チンピラの太った方だ。「誰だお前は。アニキに何をしたっ」
「あれも敵の一味よ」とピーターパンに教えられるままに、タカシは剣をふるった。
剣は何度もかわされるが、太ったチンピラの立つ地面に剣の衝撃で割れ目ができる。
一度割れ始めると、チンピラが踏み込んだ圧力などでどんどん割れて行く。下は泥のようだ。
そしてその泥の中に、いくつもの目が光り始め…クスクスと笑い声がする。

755 :4/4テクニカラー :2007/01/03(水) 22:05:00 ID:???
チンピラの体は泥の中に沈み始めていた。
「その人の倒れる原因は必ずその人自身の中にあるのよ。」とピーターパンがタカシに言う。
泥の中からはいくつもの人の頭がせり上がって来た。
その中にはアニキの顔もあった。「お前は度胸がなくていけねえ」
ほかの女の顔が言う。「そうよ、あんたはろくでなしよ!」
「おまえのせいだ」という頭がいる。「おまえは何をやっても駄目だな」という者がいる。
罵声を浴びせられながら、太ったチンピラは、どんどん若返って子供になって行った。
「より心の奥深くへ退行してるのよ、今がチャンスだわ」とピーターパンに促され、
タカシは剣を突きつけるが…

「これじゃあ奴らのやってることと同じだ。」タカシは言う。
「これが正義か?! じゃあ悪ってのは何なんだ!みんな最初は子供だったんじゃないか!
僕だってこうやって大人になって行かなくちゃならないんだ。」
「タカシ、迷っちゃだめ!悪人に涙を流すなんて!」ピーターパンの忠告にも関わらず、
タカシは夢の世界から消えた…

科学者はパソコンの前でつぶやく。
「だめだ。彼は今大人になったんだ。」
タカシは、朝、何かとても悲しい夢を見たような気がして、目を覚ました。

「アニキは心筋梗塞で入院、俺は髪の毛が真っ白に」
ボスらしき人物の前で、太ったチンピラが説明している。
「同じ手で上まで脅迫が行くとまずいですね」ボスに助言する者がいる。
ボスは言った。「やむをえん、その爺さんはいくら欲しいと言っとるのかね。」
「そういうことじゃなくて…その…」太ったチンピラはもっと何か言いたげだったが、
「おまえはだまってろ」と制止されてしまった。

「こっちが何も言わんのにずいぶん立ち退き料くれたもんじゃ。
タカシには悪いことしたが、これでひとつ研究所建設に近づいたってわけだ。」
札束がぎっしり詰まった鞄の主は、あの科学者だ。なにやら、身なりも良くなっている。
「タカシよ、わしのことは忘れちまうだろうが…  いい大人になれよ。」
夜の街を見下ろす高台の道。彼は、彼の物らしい、停車させていた高級車に近づいて行く…。

756 :マロン名無しさん :2007/01/03(水) 22:32:00 ID:???
いい感じに黒い、SFショートショートだな。

757 :マロン名無しさん :2007/01/04(木) 07:45:23 ID:???
全米がブルっときた

758 :マロン名無しさん :2007/01/04(木) 17:45:58 ID:???
これって描かれたのはバブル期後半ってとこ?
地上げ屋とか、あったなあ、そんなの。

759 :マロン名無しさん :2007/01/04(木) 19:22:28 ID:???
何気にあらすじだけでも読んでて凄いな
女の子ピーターパンかと思いきや立ち位置はティンカーベルで
実は主人公がピーターパンでしかも少し大人に進歩するところなんて

760 :STARGAZER〜星に願いを〜 :2007/01/04(木) 23:25:23 ID:???

太古…全ての力は一つであった
神が「光あれ」と言えば光が生じたように
精神と物質の力一つだったのである
そして今再びそのころと同じ特性を持った力場が
地球に降り注ごうとしていた……

761 :第一話 星の降る夜 1/6 :2007/01/04(木) 23:30:09 ID:???
町を歩きながら少年はため息をつく。
「つまんねーことに…なった…」
学校でクラスメートに、密かに思っていた少女に対する想いを、
大勢の生徒の前でばらされてしまったのだ。
少女は怒ったような顔を赤らめて足早に去ってしまった。

……そんなことを思い出していたら、危うく電柱にぶつかりかけ、
咄嗟に避けたその足が出されていたゴミに突っ込んだ。

少年は予約していたゲームを買おうとゲーム屋に入る。
「えー、大空くん、大空友樹くんねー」
店員がソフトを探すのを待つ間、少年は横のテレビを見るともなしに見ていた。
テレビでは、今夜、今世紀最後、史上最大の大流星雨がくると報じている。

762 :第一話 星の降る夜 2/6 :2007/01/04(木) 23:30:55 ID:???
少年は予約していたゲームを買おうとゲーム屋に入る。
「えー、大空くん、大空友樹くんねー」
店員がソフトを探すのを待つ間、少年は横のテレビを見るともなしに見ていた。
テレビでは、今夜、今世紀最後、史上最大の大流星雨がくると報じている。

店員はふと、トモキが左腕に着けている妙な機械に気付いた。
小さなモニターがついており、ひじから手首にかけて、小手のように覆っている。
「ああこれ…親父がつけとけってうるさくて……
なんでも流星が…隕石が降って来た時にさ」
「全部よけて落ちる!! …ンだって」
トモキの突拍子もない言葉に、店員は虚を突かれた表情をするが、
トモキの父親は大学の天文だか物理の先生だからとわけのわからない納得の仕方をする。

「親父? 親父は……俺と同じでツイてないのさ。いつまでたっても講師だし……
母さんが死んでからは特になんだか……」
トモキはイライラを今から手に入るゲームで徹夜で遊んで紛らわそうと思う。
しかし、無常にも店員は友樹に渡すはずだったソフトを
間違えて売ってしまっていたらしいと侘びるのだった。
「んも〜、今日はほんっとにツイてねえ」
目の幅涙に筆文字で嘆くトモキだった。

店を出る彼の背後でテレビは、これだけ流れ星が多ければ
本当に願い事を叶えてくれそうだと話していた。

 もちろん これから起こったことを 
 自分のツキのせいなんかじゃあすませたくないが……

彼が空を見上げると、件の流星雨が降り始めたところだった。

763 :第一話 星の降る夜 3/6 :2007/01/04(木) 23:32:04 ID:???
星野のぞみは上気した頬のまま帰宅しながら学校で起こったことを思い出していた。
隣に住む少年は彼女のことが好きなのだと、突然聞かされたのだ。
隣の家の表札には彼の名前が書かれている。大空友樹。

家に着くと、飼い猫のミケが首の鈴を揺らして出迎えてくれた。
のぞみは自分のベッドに仰向けになり、嬉しそうにミケを抱き上げて話しかける。
「あのね。今日、学校でねーっ」

その隣の大空家では、友樹の父親、克樹が息子を探していた。
彼の部屋は所狭しと本が詰まれ、やっと通れるくらいの隙間しかない。
「この流星雨で人類は滅亡する。七千万年前の恐竜の時もそうだったんだ。
早くシェルターに入らないと……」
彼は流星雨を危険視し、その危険性を広く訴えてきたが、誰も耳を貸そうとはしなかったのだ。

彼は帰らぬ息子を探すのは諦めて飼い犬の陸王に手し出す。
すると散歩と勘違いした陸王は、首輪につけた鎖を引きずったまま
大喜びで飛び出していってしまった。
犬を連れ戻そうとした克樹は降り始めた流星雨を目にし、慌てて家へと駆け戻る。
その場に残された陸王は、空を見上げて流星を見ていた。


その時多くの人が天を見上げ、星が降り注ぐのを見た。
それは美しい天文ショーだった。
それらが本当に地上に落下してくるまでは。

764 :第一話 星の降る夜 4/6 :2007/01/04(木) 23:33:03 ID:???
同じく空を見上げていたトモキの間近にも、星は、隕石は降り注いだ。
無数の隕石は恐ろしい落下の勢いで町を破壊し、トモキは衝撃で倒れてしまう。
その頭上にも隕石は落下し、トモキはアームターミナルを装着した左腕で頭をかばった。

倒れたトモキの体を火花にも似た磁場のようなものが覆っている。
意識を取り戻したトモキの視界に、妙な生物が頭を出した。
それらは彼の悲鳴で驚いて逃げ出したが、全身針のような毛に覆われた化け物のようだった。

呆然と辺りを見回す彼の目に入るのは暗闇と瓦礫の山。
「な……なんだっけ…? そうだ、流星が落ちたんだ。父さんが言っていたことが本当に……」
呼びかけても返事はない。周りには人が何人もいたはずなのに死体も何もない。
ただ隕石が破壊したにしては建物の壊れ方もおかしい。まるで粉砕されたかのようだ。
瓦礫の影にはおかしな生き物が潜んでいるような気配を感じる。

トモキは自宅のほうに戻ってみた。
幸い家の原型は残っていたがやはり室内は滅茶苦茶になっている。
彼の父親が流星から身を守るためにと作ったシェルターも役に立たなかったようだ。
「コレと同じで電磁波で隕石を避けるって言ってたのに……こっちはうまく作動したのにな」
守ってくれたアームターミナルに視線を落とすと、機械にはいつの間にか宝石のようなものがついていた。
機械は傷だらけで、パネルも開かなくなってしまっている。
結局父親の姿は見つからなかった。

765 :第一話 星の降る夜 5/6 :2007/01/04(木) 23:35:17 ID:???
トモキは隣に住む少女、のぞみのことが心配になり、彼女の家に行ってみた。
だがやはりここにも人気はない。
仕方なく外に出た彼の目の前に、突然木の上から影が飛び降りる。
首に鈴のチョーカーをつけ、白黒メッシュの髪の少女。その顔に見覚えはない。
「トッ、トッ…トモキ!」
だが少女は友樹のことを知っているようだった。彼女は必死に訴えかけてくる。
「えと、のぞ…のぞみが…」
「のぞみのことを知ってるのか!?」
「連れてかれた!! ええと! トモキに言わなきゃって…星が降ってきて…えーと……
 ……あーん、わかんなーい!!」
「俺あもっとわかんねーよ!」
取り乱す少女に、思わず怒鳴るトモキだった。

突如少女の頭の三角の猫のような耳が何かを察知して動く。
少女は素早く屋根の上に飛び上がると、警告した。
「トモキ! 気をつけて! 犬!」
門を超えて何匹もの怪物が飛び掛ってくる。
それは犬の姿はしていたが、牛のように大きく、凶暴に歪んだ顔をしていた。
その牙には布切れが引っかかっている。人を食ってきたのだ!
「い、いったいどうなっちまったんだ。
 災いの星が降り、町は荒野と化し…そして誰もいなくなって
 一人で死ぬのか、ここで!!」

766 :第一話 星の降る夜 6/6 :2007/01/04(木) 23:36:26 ID:???
その時、瞬時にトモキと怪物犬の間に一人の男が割り込んだ。
男は怪物犬を鮮やかに叩きのめして追い払う。
礼を言いながらも戸惑うトモキ。この男にも見覚えがない。しかも男は何故か全裸なのだ。
突然その男は抱きついてきた。思わず凍るトモキ。
「トモキトモキトモキわーいトモキと話ができるオレずっと
 トモキ好きで好きで人間なりたかった」
全裸の男は、首に鎖のついたチョーカーだけを……否。
「あれ…りくお…おまえ、犬の陸王か?」
それは鎖のついた見覚えのある首輪だった。
「お手!」
男は「おすわり」をして、躊躇いなく右手をトモキの手に乗せた。

果たして男は犬の陸王だった。
彼曰く、人間になれば大好きなトモキともっと遊べると思ってお願いしたのだと。
「お願いしたお願いしたらねなれた人間なれたんだよなれた おれトモキいっぱい好きだから」
トモキは、ただの犬だった陸王が吼えまくっていたのはこういう内容だったのかと多少引きながら納得。
「トモキトモキ好きー」
「わーっ、いいからお前は服を着ろ服を!」
陸王はいまだに自分の姿が変わったことの意味を理解していないようだ。

「それにしても犬が人間に…じゃあ、あれは…」
屋根の上から飛び降りた猫耳の少女に、陸王が鼻を効かせる。
「クンクン。あいつはミケだ。のぞみん家のネコのミケ!」
ミケは、彼女は人間になりたかったわけではないのだという。
「ただトモキに伝えることがあって…でもそれが思い出せない…」

767 :第一話 星の降る夜 7/6 :2007/01/04(木) 23:37:12 ID:???
ミケのおぼろな記憶を頼りに、トモキは町へ出てみることにした。
のぞみを探しに、この世界に何が起こったのかを知るために。
壊れた服やで体に合う服を探す陸王を見て、トモキは考える。
願いの力が、ただの犬だった陸王を人間の姿に変えたのだとしたら。

「もしこの世界が人々の願った結果なら…
 人類はいったいどんな願い事をしたんだろう」

768 :マロン名無しさん :2007/01/04(木) 23:59:30 ID:???
最初はのんきな始まり方だったのに、スターゲイザー(星見る人)どころか
ほんとに降ってくるんだな。
物語の最後の方ならともかく最初に世界をとことん壊してしまうのは珍しい…
そりゃそうと、裸の体格のいい男が抱きついてきて、ウホッかと思いましたよ?

769 :マロン名無しさん :2007/01/05(金) 03:01:14 ID:???
うまく股間隠してるよなーw
でも犬が人間の格好になったら、あんなもんなんだろうなww

770 :マロン名無しさん :2007/01/05(金) 05:17:08 ID:???
読みきり版だと思ったら漫画版か!!まんまと騙されたぜ

771 :マロン名無しさん :2007/01/05(金) 07:58:32 ID:???
>>768
ああ、この作家が同人人気あったなら、陸王×トモキ本が出そうな勢いだな。

772 :マロン名無しさん :2007/01/05(金) 09:18:12 ID:???
犬に服を着るという感覚が理解できないのに、
猫が何食わぬ顔してしっかり着込んでるのには納得できない。

773 :マロン名無しさん :2007/01/05(金) 23:36:14 ID:???
そこは無頓着なお気楽わんわんと
おしゃれさんなぬこのキャラクターの差ということでひとつ
飼い主が女の子なせいで人間が裸を見られるのは恥ずかしい事と
理解している とかでもいいが

しかし陸王のセリフが可愛すぎるな

774 :第2話 力の星の下に 1/5 :2007/01/06(土) 23:14:00 ID:???
 強くなりたかった…呪いのように毎日そう思っていた…
 あの狂ったように星の降ったゆうべも…
 そして俺は望むものを手に入れたぜ

ひとりの少年が男を殴り飛ばす。既に二人が同じく暴行を受けて逃げ腰だ。
「よくも今まで好きなようにしてくれたな」
少年の腕の筋肉が、突然異様に膨張する。

 力だ!! 力!!

775 :第2話 力の星の下に 2/5 :2007/01/06(土) 23:14:34 ID:???
トモキは陸王・ミケとともに、町を歩いていた。
陸王は散歩だと浮かれているが、トモキの顔は険しい。

見慣れた町は破壊しつくされており、人はいない。
町の壊れ方は大災害でただ破壊されたものとは様子が違う。
もとから土で作られていたかのごとく崩壊した建物、
溶けてしまったかのように形を失った柱、
かと思えば外面は全く損傷のないビルもある。

道路脇で電柱にぶつかって止まっていた乗用車の中には誰も乗っていなかったが、
確認しようと覗き込んだトモキは、運転席とハンドルに
何か得体の知れない粘液が溜まっているのを目にする。
粘液はドアの隙間から流れ出し、下水へと流れ込んでゆく。
呆然とするトモキの頭上を何か翼あるものの群れが飛んでゆくが、
それもまた、ただのカラスなどではない異様な形状だった。

 これは…この世界は……俺の住んでた……俺の知っている世界なんだろうか

トモキは父親の言葉を思い出す。
流星雨が世界の全てを変え、人類は滅亡する。
「まさか……本当に……誰一人……」
絶望のふちにあった彼の耳に、人間の悲鳴が届いた。
「人だ!!」

776 :第2話 力の星の下に 3/5 :2007/01/06(土) 23:15:11 ID:???
何かから逃げてきたらしい男が二人やってくる。
生きている人間に会えた喜びで矢継ぎ早に問いかけるトモキ。
二人は昨日の夜、公園にいたと言う。
公園で流星雨に遭遇したが、周囲にあった外灯が倒れただけで、流星の被害はなかったのだ。
どうもその時、何かに守られたようだが……

話を聞いて、生き残った人間が他にもいるだろうことに表情を明るくするトモキ。
だが二人は、慌てた様子でその場から逃げ去ってしまう。
彼らを追ってきたものがすぐそばまで迫っていたのだ。

近づく気配に振り向いたトモキは、クラスメートの姿を目にする。
タケウチという少年で、しゃべったことはない。
タケウチはクラスでは孤立した存在だった。
特に騒ぎを起こすわけではないが、高校生のグループに入っていて、
クラスメートに対しては威張るが、グループでは結局パシリなのだという噂を聞いた。

777 :第2話 力の星の下に 4/5 :2007/01/06(土) 23:16:49 ID:???
タケウチは異様な笑みを浮かべ、一人の男を引きずっていた。
が、突如化け物じみた笑い声を上げて男を掴みあげる。
奇妙に変形した体と、異様に発達した筋肉。
男は涙をこぼして弱々しく謝っている。
「わ…悪かった。今までイジメてきたことは…」
「悪かっただあ? 力が逆転したとたんに……」
タケウチは、硬直するトモキのすぐ側の電柱に、男を片手で投げつけた。
「そこにいるのは大空だな? ヘナチョコのオタク野郎……」
タケウチは更に、直径一メートルもありそうな巨大な柱を抱え、男に振り上げる。
これは最早人間の力ではない。トモキは慌てて男を助けに飛び出す。
「やっ…やめろ、殺す気か。そのヒト友達なんだろう?」
「違うな! この世に友達なんていない! あるのは力関係だけだ!! てめーもだよ大空ァ」
間一髪、トモキは振り下ろされた柱から男を救う。

教室という狭い空間にあった、遠い心の距離。
「てめーもだ…てめーもだよ、大空…」

男をかばったトモキに襲い掛かるタケウチ。
タケウチは、腕だけではなく体全体が何倍にも膨れ上がっていた。
陸王が助けに入ろうとしたが……「おあずけ!」
抗議しながらも、身に染み付いたしつけに忠実に従ってしまう陸王。

778 :第2話 力の星の下に 5/5 :2007/01/06(土) 23:18:23 ID:???
トモキは目前に振り上げられた巨大な拳を見据えて叫ぶ。
「こいつは俺が止める! こいつは俺の…友達だから…!」
「トモダチ……」
タケウチの震える拳は、トモキの鼻先で止まった。驚いて目を見開くトモキ。
「誰も…誰もちゃんと俺を見てくれなくて…」
静かな言葉。タケウチの体は元に戻りかけているように見えた。
表情も先ほどの鬼気迫るものとは違い、穏やかだった。
「力さえ…力さえあれば…と……」

突如、タケウチの体が内側へ向かって激しくゆがみ、収縮した。
目をそらすミケ。陸王が叫ぶ。
「!? 戦うのをやめたから……?」
どうすることもできず、目の前の惨状を見るしかないトモキ。
「力が暴走しちまったってのか……!?」
「おおぞ…」
瞬間、タケウチの体は内側へ向かって爆発四散した。

タケウチの体は粉々に砕け散り、肉片すら残っていなかった。
交差点一面に飛び散った血の海の中、トモキは力なく膝をつく。

 なんてこと…なんてことだ。昨日の夜以来…
 何がおこりはじめてるっていうんだ……

779 :マロン名無しさん :2007/01/06(土) 23:53:55 ID:???
グロキター!!
明るいのは陸王だけで、基本的には暗澹たる話だ。

780 :マロン名無しさん :2007/01/07(日) 20:10:29 ID:???
むしろ滅亡しとった方が良かったんじゃないか…というような、
異形と化し、内に抱えた闇を暴走させる生き残りの人間達を
巡るストーリーかこれは?

最後の最後、絶望したトモキが全てを無に返す引鉄を引く壮絶な欝END。

二昔前のSF(広義)にはよくあったな。アニメ、特撮モノの原作orコミカライズでさえ。

781 :マロン名無しさん :2007/01/07(日) 20:30:35 ID:???
タケウチがAKIRAの鉄雄を彷彿とさせる。
みなさん、いよいよ世紀末っスよ?

782 :マロン名無しさん :2007/01/07(日) 22:24:46 ID:???
いきなり友達とか言われてもな!
しかし陸王可愛いなwヴィジュアルが知りたいよ

783 :マロン名無しさん :2007/01/08(月) 02:05:07 ID:???
>>781
志村ーーー!日付日付!

784 :マロン名無しさん :2007/01/08(月) 10:41:03 ID:???
>>783
志村ーーー!過去連載中スレ過去連載中スレ!

785 :第3話 絶望の星 1/4 :2007/01/08(月) 22:44:00 ID:???
トモキは、タケウチに追われていた男のために救急車を呼ぼうと、
電話ボックスから電話をかけ続けていた。だがどこも反応がない。

男は昨夜、人間だと思っていたものがどんどん違うものになってゆくのを目撃したのだと脅える。
トモキは陸王やミケのように、人間ではないものが人間になるのなら、
人間が人間ではなくなることもあるのかもしれないと思う。
今までに見た奇妙な化け物たちは、もと人間だったのだろうか?

「そういえばこんなのも見た…俺は夢かと思ったんだが
 何か…ボートを宙に浮かべたような乗り物に何人か乗って…
 いや乗せられてくってカンジだった。連中、顔に全然生気がなくてさ」
男は、連れ去られる人々の中に髪の長い少女を見ていた。
その言葉でミケが、のぞみが連れ去られたときのことを思い出す。
怖くて木の上から見ているしかなかったが、
全身を白いスーツか鎧のようなもので覆った、おかしな男がのぞみを連れ去り、
のぞみは何かボートのようなものに乗せられていったのだ。

「なんだって!? そいつはどんな奴だったんだよ!? しっかり思い出せっ」
思わずミケの肩に手をかけて問いただすトモキの顔を、彼女は触るなと引っかいた。
怒った陸王がミケを追いかけ、木に逃げたミケに向かって吼……叫ぶ。
「このバカネコ、前々から気に入らなかったんだっ。
 いつもいつも塀の上をオレ様を馬鹿にしながら歩きやがって。
 下りてきて勝負しやがれこのバカネコが
 下りてこい下りてこいこのクソクソバカバカネコこのやろーこのバカ」
「……いい。もういいから、陸王……」
以前、ミケが塀の上を歩くと陸王が吼えまくっていた理由を知るトモキだった。

786 :第3話 絶望の星 2/4 :2007/01/08(月) 22:46:23 ID:???
ミケはぶすっと呟く。
「だいたい人間にさわられんのなんて大嫌いなんだ…あたしにさわっていいのは…」
「……だから…だから一緒にのぞみを捜しに行こう! ミケ!」

トモキは、いまいち事情が飲み込めなくて呆然としている男に問いかける。
「すいません…その変な乗り物に乗ってた子、友達かもしれないんです。
 どっちのほうへ行きました?」
突然トモキの頬を舐めて真面目な雰囲気を見事にぶち壊す陸王。
「傷が早く治るようにね」
「いーからお前は離れて」
「ちなみにオレは好きなだけさわっていいから」
何か誤解を招きそうな会話はさておき。男は、乗り物が線路を越えて隣町へ行くのを見たという。

787 :第3話 絶望の星 3/4 :2007/01/08(月) 22:58:43 ID:???
先は長そうだ。トモキは家に戻って準備を整えるべきだろうかと考え、
男にも家まで送るから帰ったほうがいいのではと提案した。
男は表情暗く、家に帰っても仕方がない、どうせ死ぬのならどこへ行っても同じと呟く。
そして次の瞬間、男の絶望と不安と恐怖が爆発した。

「おまえ、よく平気だな! まわり見回してみろよ
 世界はぐちゃぐちゃになっちまって、友達だってお互い見捨てて逃げちまってばらばらだ
ふつー自衛隊とか助けに来んじゃないの!? こういう場合
 どっからも助けが来ねーのはなぜだ!? きっと全部どこもかしこもやられちゃったんだよ
 これが!! この静かなのが!!
 この世の終わりなんだ」

「そんな…でも現にこうやって生き残ってるんだから………助け合っていきましょうよ…」
トモキの言葉にも男は取り乱して終わりだと叫び続けるだけだった。

トモキは父親が言っていたことを思い出す。
ノストラダムスの予言、聖書にある最後の審判。世界の終わりが来る。
その時、ヒトの良い悪いを神が選ぶのかとのトモキの問いに、父は答えた。
「いや、違う……人間一人一人が、自分で選ぶんだ」

788 :第3話 絶望の星 4/4 :2007/01/08(月) 23:18:22 ID:???
恐怖に脅えて叫び続ける男の顔が、突如妙な具合に細く歪んだ。
驚くトモキらの目の前で、男は奇声を上げて骨ばって縮み、
ヒトではないものに変わってゆく。
再び空に流星が降り始めていた。慌てて隕石を避ける三人。
トモキの腕のアームターミナルが微弱な火花のようなものを放つ。

そうこうしているうちに男はハリネズミのような化け物になって
その場に服だけを残して逃げ去った。もう言葉も届かない。
「なんで……なんで……!! せっかく人間に会えたのに……!!」
陸王は、彼が人間になりたいと言う思いによって人間になったように、
あの男の恐怖が男の姿を変えたのではないかという。

人間はやはりトモキ一人だけなのか。
トモキはいっそのこと自分も変わってしまえたらと叫ぶ。
何故トモキの姿は変わらないのか。トモキが恐れていないから?
「違う!! 俺だって怖い!! めちゃくちゃ怖いよ!!
 なのに……なのに、なんで……!!」
座り込んで、もと男だったものが逃げ去った方を呆然と見つめるトモキ。
その激情のままに道路に打ち付けられた左腕のターミナルが、淡い輝きを放っていた。

789 :マロン名無しさん :2007/01/09(火) 02:42:14 ID:???
> その時、ヒトの良い悪いを神が選ぶのかとのトモキの問いに、父は答えた。
>「いや、違う……人間一人一人が、自分で選ぶんだ」

重いな…
トモキは、どうやらアームターミナルで守られているようだ。
あと公園で助かった人もいたな。何か電気的なもので防げるのかな?

790 :第4話 巨人徘徊 1/3 :2007/01/10(水) 22:51:40 ID:???
学校の校舎が破壊される。何か大きな存在が逃げ惑う人間を追っているのだ。
無数の目を持つように見える巨人は、人間達の背に手を伸ばして訴える。

 なぜ逃げる…苦しい。助けてくれ。なぜ逃げるんだ。

校舎の上にひとりの美しい女が立っていた。
女は嫣然と微笑んで巨人に答える。
「それがあなたの望んでいたことではないの?
 人から恐れられ、ひざまずかせて、支配したかったんじゃないの?
 あなたが何者かは知らないけれど、それがあなたの本当の姿……」
巨人は無言のままに女に手を振り下ろす。
ふわりと飛ぶように避けた女の背後で、校舎のみならず巨人の体も崩れる。
どうやら巨人は形を保つのがやっとのようだ。
その体には、幾人もの人間の輪郭が見える……。


トモキを元気付けようとしているのか、それともただ構って欲しいだけなのか、
とにかくトモキにひっきりなしに話しかける……かと思えば
電柱にご丁寧に片足上げてマーキングを始めようとしてミケに殴られる陸王。

そんな騒ぎはトモキの眼中にはなかった。彼は荒野と化した町を見つめる。
「もしも…流星の力で、考えたことと感じたことがすべて物質化するなら…
 どうしてこんなふうになっちゃったんだろう?」
人はきっとあの夜、いい願いを星に祈っていたはず。
幸せになりたい、何かがうまく行きますように……
その結果が何故こんな世界なのだろう。
ふと彼は、見慣れた世界である彼が通っていた学校が気になった。

校舎に近づいたとき、何人かの生徒が逃げてくるのに遭遇した。
偶然にもそのうち二人はトモキの友人の青木と中畑だった。
再会を喜ぶ間もなく、彼らは学校の中から現れた巨人を目にする。
生き延びた彼らはひとまず学校に集まってみたが、校舎の中から巨人が現れたのだ。

791 :第4話 巨人徘徊 2/3 :2007/01/10(水) 22:53:29 ID:???
近づいてくる巨人が呻き声をあげる。
その頭には無数の目、溶けて融合した人々の苦悶の顔があった。
巨人の臭いをかいだ陸王が、巨人を形作っているのは人間だと言う。
と、巨人に一人立ち向かう男がいた。それは勇敢か、無謀か。
「待て! 返せ、私の生徒を返せ」
「先生!」
巨人に掴みかかった教師は、服だけを残して巨人の中に溶けて吸収され、
その体の一部になってしまった。
巨人はこうして触れる人間を吸収して巨大化してきたのだ。
知っている人間の末路に呆然としてしまうトモキ。彼にも巨人の手が伸びる。

巨人の手が触れようとしたその時、黒マントの美しい女がトモキを突き飛ばしてかばった。
「ここは私が! あのビルへみんな避難しています。そこへ!」
トモキらに避難場所を指示し、そのまま囮となって巨人を誘導してゆく女。

「きれいな人だったなあ〜〜」
ぼーっと見送るトモキにずっこける犬猫コンビ。ミケが突っかかる。
「ちょっとォ、トモキはのぞみが好きなんじゃなかったの?」
「えっ……あっ……でもなんで、おまえがソレ知ってるんだよ」
ミケは、のぞみがトモキのことを色々話してくれたのだという。
「げーっ。なんでそんなこと家に帰ってネコにしゃべるかなあ」
学校でやらかした恥ずかしいことを色々バラされ、赤面するトモキだった。

女に教えて貰ったビルには何人もの人が避難していた。あの女に助けられたのだという。
人間がこれだけ生きていた。嬉しさで笑顔になるトモキ。
友人の青木と中畑もここに逃げてきていた。

792 :第4話 巨人徘徊 3/3 :2007/01/10(水) 22:54:25 ID:???
彼らは見ていた。今日二度目の流星雨の時、
学校に落ちた隕石を中心に空気が渦を巻き、周囲の人間を巻き込んでいったのを。
その時、彼らの友人の菊地も飲み込まれてしまった。
あの巨人はもともと、誰か一人が変身したものではなかったのだ。

巨人の核となった隕石は、隕石というよりも宝石のようなものだという。
「あっ、ちょうどソレ! それみたいなやつだよ」
友人は、トモキの腕のアームターミナルにいつの間にかはまっていた
大きな宝石のようなものを指した。

と、そこへ黒マントの女が現れた。
生き残りの人間を助けている間に、あの巨人にこのビルが気付かれてしまったというのだ。
巨人は人間の臭いをかぎつけてここへやって来る。

女の警告も終わらぬうちに、ガラス窓が破られた。
窓の外一面にあの巨人がのしかかっている。パニックに陥る人々。
そんな中何か冷静に考えをめぐらしている風な黒マントの女。

トモキは巨人を形作る人間達の顔の中に、見覚えのある顔を発見した。
「菊地……!!」
それはなんと、彼の友人の一人だった!

793 :マロン名無しさん :2007/01/11(木) 03:28:27 ID:???
トモキもまた、助かりたいという願いで助かってるのか?
変身する人としない人の境目は何なんだろ?

794 :マロン名無しさん :2007/01/11(木) 23:07:57 ID:???
病気が治りたいとか、前向きな願いが叶った人はいないのだろうか…

795 :マロン名無しさん :2007/01/11(木) 23:22:03 ID:???
悪い願いしか叶えない、とかじゃないかな

796 :マロン名無しさん :2007/01/11(木) 23:45:23 ID:???
何が悪で何が善?
ネズミやスライムとして生きるのも、実はそう悪いものではないかもしれんぞ。

797 :マロン名無しさん :2007/01/12(金) 18:20:50 ID:???
まぁ正直その辺はつっつーもまだ甘いよな 若かりし頃って感じで

798 :第5話 たちむかう勇気 1/4 :2007/01/12(金) 22:39:28 ID:???
巨人はどろどろと溶けながら生き残りの人間が避難していたビルへ覆いかぶさってくる。
割られた窓ガラスから、何本もの人間の手だけが室内へのびる。
「来い」「来い」「一緒に……」「整列して……」
「勝手な行動をするな」「苦しい、助けて」「ちゃんとしないと志望校に……」
意味不明の言葉を発する巨人。

女に誘導されて逃げる人の群れの中、トモキは巨人に向かい、
吸収されてしまった友人、菊地に呼びかける。
巨人の中に埋まりこんでいた菊地の顔は虚ろな表情だったが、
トモキの声にかすかに反応したように見えた。
が、黒マントの女がトモキを呼ぶ。
避難していた人のひとりもトモキを促した。
「何やってんだ。あの人の言うとおりにしてればいいんだよ」

黒マントの女は人々を自分の隠れ家へ案内するという。
救い主に安堵した人々は女の好意のままについて行った。
トモキらもまた女とともに行ったが、
陸王は女の化粧と香水の臭いの下に何か異質なものを感じていた。

799 :第5話 たちむかう勇気 2/4 :2007/01/12(金) 22:40:40 ID:???
案内されたのはあちこちが水に沈んで砦のようになった駅だった。
そこの駅長室にも、既に生き残った人々が何人か避難していた。
だが、ここも安全と言うわけではないという。
ここに避難していた人間の数が何故か少しずつ減ってゆくらしい。

トモキは巨人に吸収された菊地のことを考えていた。
「このまま……このまま逃げまわってていいのか?」

ロッカーコーナーで、黒マントの女は一人でロッカーを開けている。
その頬や口元には何かが付着しているようだ。何かを食べていたのか。
「あの男の子……あの子はほかの奴らと少し違う……
 羊は羊らしく逃げまわっていればよいものを……
 厄介なことになる前に……」

と、彼女は人の気配に慌てて、開けていたロッカーを閉める。
トモキはやはり菊地のことが気になって外へ出て行ったのだ。
彼についていったミケの後に、二人を追う黒マントの女。
そのとき彼女の背後から様子を見ていた陸王が、
彼女が今まで開けていたロッカーを開き、中にあるものを見る。
「これは……」

800 :第5話 たちむかう勇気 3/4 :2007/01/12(金) 22:41:54 ID:???
外に飛び出したトモキは、巨人の元へ向かっていた。
「放っとけない! やっぱり放っとけないよ! 友達なんだ、今度は助けなきゃ」
彼は、巨人の核となった隕石を取り除くことができれば、
巻き込まれて同化した人間を助けられるのではないかと思ったのだ。

巨人はもう人の形すらしていない。急速に溶け崩れて泥のようだ。
トモキの必死の呼びかけに、菊地が答えた。
「お…大空…もう、だめだ…。
 この体…動けば動くほどくずれていくんだ……
 あの女がさんざん誘導したせいで……」

トモキは巨人に手を伸ばす。
トモキも取り込まれるかという瞬間、左腕の宝石が輝いてトモキを守った。
左腕でならば巨人の体内にある隕石を取れる!
巨人の体の中へ入ってゆきながら手を伸ばすトモキを、背後から冷たく見つめる女の瞳……。

トモキには、巨人に取り込まれた人々の苦悶の声が聞こえる。
それに入り混じって、聞きなれた学校での会話も。
出席簿でトモキの頭を叩く先生。タケウチ。のぞみ。テスト。友達……
 これは「学校」だ……いやなことも楽しいこともいっぱいあったけど
 でも今はもう、ない……
学校でのさまざまな思い出に、涙がにじんだ。

801 :第5話 たちむかう勇気 4/4 :2007/01/12(金) 22:43:16 ID:???
あと少しで隕石に手が届く、その時女の手が彼の手に被さって引き戻す。
「はいっ、ここまでよ。いけないぼうや」
トモキの背を掴んて隕石から引き離す『何本もの』女の手。
ぎょっとして振り向くトモキの目にうつったのは、あの黒マントの女の顔だ。
「この怪物は私の……大事な道具なんだから」

限界を迎えた巨人は瞬時に溶け崩れ、
あっけなく、水のように道路に広がって下水へと流れていった。
「もう少し……もう少しだったのに……」
人間の痕跡すらなくなった残骸を見下ろし、呆然と呟くトモキ。

「あらあら。また怪物を見つけてくるしかないわね。
 怪物たちをあおりたて、隠れてる人達をいぶし出すために」
そのころ、陸王が開けっ放しで出たロッカーを、避難していた人々もまた見る。
ロッカーの中身は、行方不明になっていたはずの避難者の死体だった。

「人間たちをたくさん集めて私の牧場を作るの……
 そのためには、あなたのような羊になりきれないぼうやは先に……」

 先に食べておかないとね

 畜生……許さない……許さないぞっ……

802 :マロン名無しさん :2007/01/12(金) 22:55:36 ID:???
隕石外してたら助かってたのかね
もし隕石外して要がなくなったことでやっぱり崩壊してたら
精神的ショックは計り知れないな

>>795
つ陸王&ミケ

803 :マロン名無しさん :2007/01/12(金) 23:08:54 ID:???
やっぱ女は悪者だったか・・・
この女も変貌した人間か、それとも敵組織みたいなのがあってその尖兵なのか?

804 :マロン名無しさん :2007/01/12(金) 23:42:18 ID:???
あと二人の友達巻き込まれ鬱展開クルー?

805 :マロン名無しさん :2007/01/13(土) 01:07:16 ID:???
こういう世界でも、というか、こういう一度崩壊した世界だからこそ
最初に秩序を作って君臨しようとする奴はいるだろうな。
のぞみを連れてった奴とかもそうなんかな。

806 :マロン名無しさん :2007/01/14(日) 00:55:32 ID:???
しかしエルナ読んでても思うが、この作家はこの手のクリーチャーが大好きだなあ。
人間が変化した存在ってのが好きなのかね。

807 :マロン名無しさん :2007/01/14(日) 06:36:53 ID:???
人間の醜さを視覚的に表わせるからってのもあるんじゃないかな

808 :マロン名無しさん :2007/01/14(日) 15:49:02 ID:???
>>126
今更だが指しているのはエイリークとシグルーンで見てるのがカルルだろ?

809 :マロン名無しさん :2007/01/14(日) 19:42:45 ID:???
見てるだけなら、カルルがシグルーンの次の手にあんな大仰な
反応を示すのはおかしい。

810 :第6話 哀しき願い 1/4 :2007/01/15(月) 00:16:08 ID:???
 綺麗になりたかったの そう…誰よりもキレイにね
 もっと背が高くスマートになって……
 もちろんあの流星の夜に星にお願いしたことは……

駅前の陸橋の上、黒マントの女はトモキに語りかける。
流星が人の願いをかなえるのは、人がその粒子を浴びるから。
もっと大きな星の欠片を持っていれば、効果はより強く、より持続する。
女の胸元には、トモキの宝石に似た隕石のネックレスが輝いていた。

 あの時…本当に手足がするすると…見るまに伸びて
 そう…あの時誰かがクモみたいだなんて言いさえしなければ……

そこへ、陸王が駆けつけてきた。
女が人を食うために怪物を使っていたのだと警告する。

「だってクモなんだもの」
女のマントが内側からの力で横に広がった。
「生きた餌じゃないと食べられない!」
女のわき腹から、更に六本の腕が生えている!
「それに、わかったの。人を食べるとおハダにいいのよーっ」
女の口は大きく裂けて太い牙をむき出し、
マントに隠されていた首からは大きな顎のような突起が飛び出している!

811 :第6話 哀しき願い 2/4 :2007/01/15(月) 00:18:45 ID:???
「そんな…そんなことのために人々を……みんなを…俺の……」
トモキの脳裏に、何気なく過ぎていた学校の風景がよぎる。

呆然と立ち尽くすトモキを、陸王がかばった。
女の腕は長く伸びて鋭い爪を生やし、もう人のものではない。

怪我をした陸王の隙を突いて、女はトモキに襲い掛かった。
吹っ飛ばされ、右腕を引き裂かれて悲鳴を上げるトモキ。
彼の体は壁に激突するはずだったが、
左腕のアームターミナルについていた宝石が淡く光り、激突の勢いを和らげる。
トモキは自分に何が起きたのかよくわからず、混乱している。

「友達を助けるだの甘いことを言っていちゃだめよ、ぼうや。
 これからは、強い者、本当に美しい者が生き残ってゆく時代……
 弱い奴らは餌になってしまえばいい!!」

トモキに向かった女の攻撃に、陸王が捨て身で飛び込んだ。滴り落ちる血。
トモキの盾となり、腹に、肩に、突き刺さる八本の腕をおさえる。
「トモキを傷つける奴は、このオレが許さないっ!」

812 :第6話 哀しき願い 3/4 :2007/01/15(月) 00:20:07 ID:???
駅に逃げていた人々が戦いに気付いた。
しかし、ミケが助けを呼ぶと怪物を恐れて逃げ出してしまう。
女は逃げる餌を追うため、陸王を投げ捨てて人間を追おうとした。

陸王が追いついて犬全開で足に噛み付くが、反撃をくらってしまう。
傷だらけの陸王を助けようと飛び込んで左腕を出したトモキの、腕の宝石が再び光る。
光は襲い掛かろうとした蜘蛛女の攻撃をはじく盾となり、女の腕から嫌な音がした。
この宝石は自分を守るのだということに気付くトモキ。
それならば。

彼は左の拳を固め、蜘蛛女を殴った。
拳を光が覆い、触れた女の腕を千切って消し飛ばす。
しかし女は悲鳴を上げながらも残る腕で攻撃してくる。
このままでは、女の体に攻撃が届く前に攻撃を受けてしまう!

「何か、棒のようなものでもあれば……」
思った刹那、左腕の宝石からまっすぐに光が伸びて棒となる。
それは物理的な力となって女の咽を突いた。

813 :第6話 哀しき願い 4/4 :2007/01/15(月) 00:22:25 ID:???
一気に陸橋の手すりに叩きつけられる蜘蛛女。
「お…終わりね。もう人を、殺すこともない……」
女の髪がなびき、化け物じみた口を隠した。彼女は穏やかな目で呟く。
「よかった…ホントはわかってた。
 いくら星の力で奇麗になったって、私の本当の姿は…この…」
次の瞬間。
「ち…畜生ォッ!」
女は叫んで涙を流し、八本の腕でトモキに攻撃を仕掛けた。

「わあっ、来るなー!!」
その叫び声に反応したかのように、
宝石から伸びた光が更に長く伸び、女を一気に手すりの外へと吹っ飛ばす。

女は、堀の様に下に溜まっていた水に落ちた。
落下した体はもう異形ではなく、静かに目を閉じている。
胸元にかがやいていた隕石が消滅し、そして女の骸は水の中へ消えた。

トモキはいまだ淡く光り続ける左腕の宝石を見つめる。
彼はようやく、自分が得た力に気付き始めていた。

814 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 00:26:48 ID:???
おお?なんか必殺ワザが完成されて来た。
少年漫画ぽ
敵が単純に改心して終わらないのがイイ

815 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 00:32:30 ID:???
あっさり死んだな、お姉さん
死に際の良心と欲望との間での葛藤が深い

816 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 00:38:01 ID:???
お姉さんが、自分が人を食わなきゃ生きられないときに気づいたとき、
最初に食べたのは誰だったんだろうな…
牧場とでも割り切って自分と人は違うことにしないと耐えられなかったのかもしれない。

つか陸王今回ぐさぐさ刺されてたが大丈夫なのか?
薬とか手に入れるのも大変そうだってのに。

817 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 01:09:23 ID:???
アームターミナルにはまってる宝石みたいな奴=隕石のかけら、だよな?
偶然隕石を受け止めるような硬い物を装備していたからトモキは助かったのか、
それともあのアームターミナルじゃなきゃ駄目だったのか…。

818 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 03:24:24 ID:???
>そう…あの時誰かがクモみたいだなんて言いさえしなければ……

かわいそうに・・・
偶然化け物になってしまったんだな
他の化け物たちもそうなのか?

819 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 03:49:13 ID:???
星の粒子は、浴びた人が思った事を、即座に、本当に素直に、実現してしまうって事か。
「クモみたい」と言われて、思わず心の中で連想してしまったんだろうな。
そして「今のなし!待った!」は利かないと。

820 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 21:19:09 ID:???
やり直しが出来ないってのは怖いよね、
そういうところこの作者は本当にシビアだ。

ところでお姉さんが咽を貫かれた場面を
なんだか妙にエロいと思ってしまったのは俺だけか。
太腿から脹ら脛にかけてのラインが、こう、辛抱たまらんつーかなんつーか。

821 :マロン名無しさん :2007/01/16(火) 05:03:11 ID:???
>>820
そりゃ、やっぱりエロ作家アシスタント出身だしなw

822 :マロン名無しさん :2007/01/16(火) 10:20:23 ID:???
つっつーの描く脚のラインはマジタマラン
ミニスカエルナとかミニスカエルナとかミニスカエルナとか

823 :マロン名無しさん :2007/01/16(火) 12:55:15 ID:???
アダ戦記に出てきた娼婦のおっぱいも、服越しながらよかった
つっつー生乳描かないかな

824 :マロン名無しさん :2007/01/16(火) 16:14:07 ID:???
またこの話題かいい加減にしろよお前ら



エロいのを描いてサイトやりたくても
サーチにつっつーが居るので、登録できません><

825 :マロン名無しさん :2007/01/16(火) 17:54:06 ID:???
>>823
この(スターゲイザーの)蜘蛛姉さんは
なまちち上半分
露出してる


ぶっちゃけ既読のつっつー作品の中では一番エロい体をしてるとおもいます。

826 :マロン名無しさん :2007/01/16(火) 19:32:57 ID:???
よし、エルナをレイp(ry

827 :第7話 癒しの手 1/5 :2007/01/16(火) 23:17:47 ID:???
蜘蛛女を倒したトモキは、陸王とミケの元に戻った。
陸王は深い傷で倒れており、一人で立ち上がることもできない。
本人は「舐めていたら治る」と言うが、かなり酷い状態だ。

トモキはふと自分の左腕の宝石を使ってみようと思う。
さっき宝石はトモキの考えたことに反応して光の棒を出した。ならば……。
「ぬおお〜っ 陸王の傷を治せ〜」
いきなり怪しいポーズで回復ビームを出そうとするトモキ。
あっけに取られる二人をおいといて、
一応本人は赤面しながらも必死で宝石をこすってみたりしているが、
そんな都合のいい話はさすがになかった。

やがてミケは何か猛獣の鳴き声のようなものを聞く。
陸王の血のにおいをかぎつけて狼か猿のような怪物が集まってきていた。
怪物たちは元人だったのだろうか、衣類の残骸のようなものをまとわりつかせている者もいる。
「どうやら人を喰うようになった奴は、あの女だけじゃないらしい…」

828 :第7話 癒しの手 2/5 :2007/01/16(火) 23:18:56 ID:???
襲い掛かろうとする怪物を威嚇し、傷を追った陸王にトモキが肩を貸し、逃げ場を探す三人。
怪物どもを撒くため、ミケが猫だったときにいつも使っていた道へと二人を誘導する。
破れた壁の穴に頭をぶつけ、金網を乗り越え損ねて落ち、有刺鉄線で体中引っかかれ、
身軽な猫の道を散々な思いで通る怪我人とその付き添い。
トモキが文句を言うと、ミケは壁の上を走りながら、
いつも犬に追われたときなどにこうやって撒いているのだと答える。

とにかくどうにか怪物を撒けた頃、もう日は沈み、夜になっていた。
道路に仰向けになって呼吸を整えていたトモキは、満天の星空を目にする。
「……こんな…きれいな星空を初めて見た。町が死んだからだ……」
住む者がいなくなった町は真っ暗で静まり返り、ただ獣の吼える声が響くばかり。

「でもな…どうして世界がこんなになっちまったのか、少しわかった気がする…人間は……」
彼の言葉に、陸王が応えた。
「でもオレ…人間…好きだよ…」
言い終わると同時に血を吐いて動かなくなる陸王。名を呼んでもこたえはない。

そこへ、一人の娘が現れた。
「ケガをしてるの? ケガをしながらずっと……不安な夜道を来たのね…
 もう大丈夫だから、こちらへ……」
手を差し伸べてくれた娘の背には白い翼が見えた、気がした。
トモキはそのまま意識を失ってしまう。

829 :第7話 癒しの手 3/5 :2007/01/16(火) 23:19:35 ID:???
雀の声、湯が沸く音。目を覚ましたトモキは民家のベッドにいた。
隣のベッドには陸王が寝かせられている。
ミケは言葉少なに、あの娘が助けて手当てもしてくれたのだと言う。

「あーもー、あたし眠い。寝ていい?」
ミケの目にはクマができており、目はトロンとしている。
「ああ、ずっと看病していてくれたんだ。ありがとう、寝ていいよ…って、おい!」
ミケは寝ているトモキの上にのぼってきた。
当然焦りながら向こうのベッドで寝ろと言うトモキ。
「えー。こっちの方があったかそうなんだもん。ネコとしてー」
トモキの上で丸くなり、少し不機嫌そうな上目使い。
「触ったら殴るからね〜」
そのまま普通に眠ってしまうミケに、真っ赤になって混乱しつつ、
ネコとしての言葉なのだと自分に言い聞かせる青少年トモキだった。

830 :第7話 癒しの手 4/5 :2007/01/16(火) 23:20:13 ID:???
昨日の娘が様子を見にやって来た。
礼を言って自分の怪我の跡を見たトモキは驚く。傷が消えているのだ。
陸王も目を覚ます。あれほど大怪我だった筈なのに、彼も傷が消えている。


その家には大勢の怪我人がいた。ここは彼女の自宅らしい。
娘はここに集まる人々の怪我を治し続けているようだ。
彼女を頼る人は多く、家はちょっとした診療所の風情だ。

手をかざすだけで傷が治ってしまう、魔法のような不思議な力。
流星の夜、隕石で怪我をした父親を治したいと願い、それが現実となったのだ。
「すごいや! 正しい願いをもって祈れば正しく叶うんですね。
 滅びていくばかりじゃないんだ!!」
今まで願いの悲惨な末路ばかり見てきたため感動するトモキに、戸惑い気味の娘。
彼女は結局、一番救いたかった父親を救うことができなかったのだ。

831 :第7話 癒しの手 5/5 :2007/01/16(火) 23:20:45 ID:???
「あんな人もいたんだ…人間に…」
「えーっ。じゃあゴハンをいつでも好きなだけ出せるとかだったらいいなー」
元気になるなり、やはりシリアスな雰囲気をぶち壊す陸王だった。

「名前、真生(まお)さんっていうんだって。かわいいしなあ〜」
男としてつい鼻の下をのばすトモキ…を殴るミケ。
「のぞみはァ!?」
「のっ、のぞみもかわいいけど、真生さんも、ホラ客観的に見て」
「トモキ殴ったなあ!!」
浮気者にネコパンチをくり出すミケ、大好きなトモキを攻撃するミケに怒る陸王。
久しぶりに穏やかな時が流れていた。

その家を怪物が見つめていた。次第に数を増やしながら……。

832 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 01:48:30 ID:???
ようやくまともな願いを叶えた人間出てきたか
しかしものすごい勢いで死にそうな悪寒・・・

833 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 02:14:33 ID:???
陸王かわいいよ陸王
助かってよかった…なんか基本が犬だから単純だけど利口って感じだ

834 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 03:16:01 ID:???
よわよわな人たちがやられちゃって、回復役としてトモキのパーティーに参加…
なんてありがちかつ鬱かつおいしい展開にはならんかねぇ。
普通の少年漫画ならパーティーインはほぼ間違いない立場だけどなー。

835 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 04:27:25 ID:???
待ておまいら。
この作家はエルナサーガの作家でもある事を忘れるな!
あの漫画の欝っぷりを思い出せば、絶対この娘…。

836 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 10:08:54 ID:???
実は心の奥底にはものすごくドロドロした欲望が隠されてたりするかも知れんぞ

837 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 14:02:52 ID:???
>>836
自分もそう思ってしまった…

838 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 17:43:24 ID:???
白衣の天使or聖女願望みたいな感じか?

839 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 19:38:25 ID:rpYxPiRD
>>836
ありえる・・・


840 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 22:32:31 ID:???
ちょ、トモキ、回復ビームってw
トモキの願いを何でもかなえるってわけじゃないんだね

841 :マロン名無しさん :2007/01/18(木) 00:50:32 ID:???
>>836
じゃあこの女の子も蜘蛛姉さんみたいに
怪物化する可能性もあるわけか…

842 :マロン名無しさん :2007/01/18(木) 02:03:17 ID:???
絵に描いたような世紀末が訪れた世界だから…
平和だった時代に「本当の自分はこんな平凡じゃない、自分の中には秘められた力があって、いつか世界を救うんだ」とか思っていた人間が居たら?
平和な時代のままだったら中二病で済まされる痛痒い話だろうが…
この世紀末的世界は、渡りに船って奴か?

そんな風な女の子だったら、どうしよう。

843 :第8話 守りの館 1/5 :2007/01/18(木) 22:45:14 ID:???
真生の家に集まっている人々に、流星が降ってきた日のことを問うトモキ。
助かった人は携帯電話を使っていたり、コンピュータールームなどにいた例が多いという。
何か電磁波に関係あるのでは、とのことだ。
そして、ずっと西に救済者(メサイア)と呼ばれる人がいて、
世界を救う方法を解明したという。
 西…のぞみが連れ去られた方向と一緒だ……

トモキは、話してくれた人々に西へ行かないのかと訊いた。
人々は半端な笑顔で誤魔化す。
怪我や病気は治り、もうここを出てゆくことはできるが、
更に危険な西へ旅をするのを怖がっているようだ。
ここにいれば何かがあっても真生という守り神が治してくれる……。

 …じっとしていれば……安全なんだろうか?
 危険は向こうから攻めてくるかもしれないのに

突如、窓ガラスが外から破られた。
あの怪物たちがやってきたのだ!

844 :第8話 守りの館 2/5 :2007/01/18(木) 22:46:06 ID:???
人間を襲う怪物たち、逃げ惑うだけの人々。
トモキは咄嗟に椅子で、襲われた真生を怪物から守る。
怪物は何体も窓を破り押し入ってきて、彼一人ではどうしようもない。
だがトモキの呼びかけに振り向く者は誰もいない。
それどころか逃げる人波に押されて陸王が流されていってしまった。
悲鳴を上げながら観葉植物の鉢で怪物を叩き伏せるミケ。

掃除機やモップを武器として手に取ったミケは、真生にも身を守れと渡そうとする。
だが真生は戸惑っていて抵抗しようともしない。

襲われた真生の前に割って入ったトモキの左腕が再び輝く。
左腕の宝石に噛み付いた怪物の頭が瞬時に吹き飛んだ。
 ようし……来た…!! これで……!!
「のびろーっ」
蜘蛛女と戦ったときと同じように、宝石の光は武器となった。
だが、攻撃は僅かに外れてしまう。
トモキは咄嗟に「切れろ」と念じた。
彼の思考に反応したかのように光は形を変え、
腕から伸びる刃となって怪物の胴をなぎ払った。

845 :第8話 守りの館 3/5 :2007/01/18(木) 22:47:00 ID:???
戦っているのはトモキとミケのみ。
次々と侵入してくる怪物を抑えることはできない。
だが真生は、この怪物ももとは人間だったのだからと戦おうとしない。
「でも戦わないと、こっちがやられる!!」
「すべては! すべては星のせいなのです。
 この人たちも…隕石で傷ついた父も、みんなも…同じです」
真生にとっては姿を変えた者達も全て同じ人間だった。
確かにその通りだ。だが……

もう持ちこたえることはできない。
真生は裏口から逃げるようにとトモキたちに教える。
彼女は怪我をした皆を置いてゆくわけにゆかないからと留まろうとする。
「あーっ、もー、俺が運びますからっ」
トモキはなかばヤケクソで、
怪我人が横たわるベッドや老人を裏口のほうへ連れて行こうとした。
が、さっきの人波が戻ってきて押し返される。
ついでにまた流されて陸王が帰ってきた。

もうこの家は何十もの怪物に囲まれていて逃げ場がない。
しかも、怪物を追い払おうとして避難者が点けた火が、
家に燃え広がってしまったのだ!

846 :第8話 守りの館 4/5 :2007/01/18(木) 22:47:56 ID:???
「中は危険です、みんなで戦って突破すべきです」
トモキたちは戦い続けながら呼びかけた。だが……
「いやだ…もう外へ出るのはいやだ
「怖い…どっちにしたって生きてゆけない」
遅い来る怪物と炎と煙の中、脅えて身を寄せ合うだけの人々。
真生もその人たちについていて立ち上がろうとしない。

「真生さん! あなたみたいな人が生き残らないでどうするんですか」
真生の手を取って引くトモキ。
だが真生は立とうとせず、トモキの怪我に手を触れる。
癒しの光が彼の肩の傷を覆う。

「トモキ! 危ないぞ、もう崩れる!!」
燃えながら崩れ落ちる家。
最後まで真生の名を呼びながら、陸王に連れ出されるトモキ。
真生は穏やかな表情で瓦礫の下に消えていった。

847 :第8話 守りの館 5/5 :2007/01/18(木) 22:49:02 ID:???
怪物も、真生も、人々も、燃える家の下に消えた。
膝をついてトモキはつぶやく。夜空に両手を挙げて、悲痛に祈るように……
「星が…もし星がよき願いをかなえるのなら、今すぐ降ってくれ。
 俺が願う! あの人を助けてくれ!」

だが、それは空しい祈りだった。

「わかってる…俺は前へ進むさ……
 もしも西の地に救済者ってのがいて、何かだてがあるのなら……
 俺はそこへ行ってやる」


荒野に傾いた教会のような建物がぽつりと残っている。
風が激しく吹きぬけてゆく。
何か強烈な光を背にした人影が、椅子に腰掛けて何か報告を聞いている。
「生きて…いるのだな?
 ならばよい。やがてここに来るだろう。私を捜してな…」
その姿は影に沈んでよくわからないが、
何か宇宙服か鎧のようなもので全身を覆っている。

「いかがいたしますか」
「ほうっておけ……いや
 そうだな……監視だけは続けろ」
人影の背後にある巨大な光源、それは、直径10mもありそうな隕石……

848 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 00:21:35 ID:???
黒幕キター?
なんかやるせない話だな。

849 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 03:51:23 ID:???
これだけの絶望的な大災害となると、こういう事例はありそう…

850 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 19:38:47 ID:/ENPJMnr
しかしこの作品陸王がいないと悲惨すぎて読めないかも・・・

星が願いを叶えてくれるなら、エルナサーガをTもUもアニメ化してほしいよ。
(出来る事ならマッドハウスで、Gonzoはご勘弁)

851 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 22:59:45 ID:???
しかしその時、>>850の近くにいた者が一言余計な台詞を…

852 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 23:35:36 ID:???
「Gonzoってとこのアニメって面白いらしいね」

853 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 00:57:03 ID:???
真生さん追悼スレ立ててくるよ・・・

854 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 10:30:29 ID:???
サブヒロイン化するかと思ったらあっさり死んだよなー
ラストの黒幕はやっぱりパパン?
ダースベーダー化したのだろうか

855 :第9話 無邪気な王様 1/6 :2007/01/22(月) 22:53:25 ID:???
黒いコートをまといサングラスをかけた男が、
ビルの上から崩壊した町を見下ろして笑う。
「クク…ククク…みごとなものだな…人間どもの街が崩壊した…」

 森を切り開き 野生を追いたて
 あるいは飼いならしたと思い込んでいる人間の文明が……


破壊されたトモキの家の瓦礫の山から頭を出す陸王。
工具箱を発見して得意満面、四足で走ってゆく。
「おつかい、おつかい、おつかいーっ!」
彼の単独行動の理由はというと……

 ここでオレ様が説明しよう!! 実は昨日の夜のコト…

856 :第9話 無邪気な王様 2/6 :2007/01/22(月) 22:54:27 ID:???
トモキは左腕のアームターミナルを修理しようとしていた。
これは携帯用端末、つまりはパソコンだ。
モニタとタッチパッドはあの日壊れてしまったが、
本体は生きているので使えるはずだとトモキは言う。

壊れた部分はわかったが、修理するための部品と工具は自宅にある。
一度家に戻って旅の支度を整えてきたというのに、
また戻らなくてはならないのかと頭を抱えるトモキ。
「オレ…行ってこーか?」
「えっ!? ダメだよそんな…危ないし」
「へーきへーきへーき!」

 っとォゆうわけで、オレ様がおつかいに出たのだあ!!

嬉しそうに走り出す陸王を、サングラスの男が見下ろしている。

857 :第9話 無邪気な王様 3/6 :2007/01/22(月) 22:55:32 ID:???
トモキのところへ帰ろうと走り続ける陸王は、
川岸に何人もの人が集まっているのを見る。
みんな川にいる友達を呼びっこして遊んでいる。
面白そうなので混ざったら、睨まれてしまった。

昨日堤防が壊れて川が増水したせいで、
女の子が一人中洲にとり残されてしまっていたのだ。
「へえ、泳いでくればいいじゃん」
「無理だよ! この流れだし…彼女は衰弱してるし……助けに行くのだって…」
「オレ、行ってこーか」
「ええ!? 危ねーよ!」
「へーきへーき」

自信たっぷりに言うと、陸王は上着を脱いで颯爽と激流に飛び込んだ。
感心した男たちは一瞬後に呆気にとられることになる。
「あれ…犬かきだよなァ」
「大丈夫なのかな、あいつ……」

858 :第9話 無邪気な王様 4/6 :2007/01/22(月) 22:57:39 ID:???
女の子は中州に横たわったまま、諦めきっていた。
普段偉そうな事を言っている彼女の仲間たちは、飛び込むフリすらしようとしない。

 そんな奴はいない……
 ヒロインを助けに駆けつけるヒーローみたいな……

と、中洲にたくましい男性があがってきた。
息を切らし、全身ずぶぬれのちょっといい男。
彼は「助けに来た」とだけ言うと、彼女をお姫様抱っこする。
胸がときめいた。これぞ彼女が夢見ていたヒーローだ。
「こ…こんな流れの中……」
「うん、すぐ戻る」

男は水際まで寄ると、何か考えて彼女の顔に顔を近づけてささやいた。
「ちょっと、ごめん」
もしかしてこれは……顔を真っ赤にして焦る女の子。
 えっ、ちょっ、ちょーっ、ちょっとイキナリ

「あっ、あのヤロー! おいしいトコ取りやがって!」

だが、女の子含め見物人全員の予想を見事に裏切って、
陸王は女の子の服をがぷっと噛んだ。

予想外の行動に混乱して悲鳴を上げる女の子を、
陸王は運ぶため口にくわえ、激しい犬かきで川を渡るのだった。

859 :第9話 無邪気な王様 5/6 :2007/01/22(月) 22:58:20 ID:???
それはともかく、女の子は無事岸へと運ばれた。
「ありがとう………なんて…お礼を言ったらいいか…」
「うん、いいよ。じゃあオレ、行くから」
「あんたみたいな人が、いてくれたら……」
そこまで言って力尽きて眠ってしまう女の子。

運ばれてゆく女の子を見送っていると、リーダーらしき男が語りかけてくる。
「……我々の仲間に入らないか。
 我々はこの秩序を失った世界で、新しい共同生活を始めている。
 武装して魔物から身を守り……昔よりもっといい世界を創るために協力するんだ」

「えーっ。でもオレ、トモキんとこ戻らなくちゃあ。
 知んないか。…えーと、オレの飼い主で、これから一緒に遠くまで行くんだ」

「飼い主!?」
思わぬ言葉に唖然とする男。かろうじて勤めていた会社の社長と解釈し、叫ぶ。
「そんな旧世界の秩序に縛られることはなァい!
 確かに文明は崩壊した!! でも一面では我々は自由になったんだ!
 君だって今までいろんな抑圧を感じてきたろう」
熱く主張する男に、陸王はぽつりと答える。

「オレ…今まで…ずーっと楽しかったし。
 これからはもっと楽しい! だって−−」

860 :第9話 無邪気な王様 6/6 :2007/01/22(月) 22:59:51 ID:???
救出された女の子が目を覚まし、陸王が去ったことを聞いて微笑む。
「さすらいのヒーローってとこかな。
 こんな理屈ばっかのトコに残るわけないよね……」

心底嬉しそうな笑顔でトモキの待つ場所へ走ってゆく陸王。

 だって−−だって−−
 大好きなトモキと遠いトコへ行くんだーーッ


もとの場所ではトモキたちが帰りの遅い彼を心配して待っていた。
「もう〜〜〜〜っ。
 あんま遅いから化け物にでも食べられちゃったかと思ったわよ!」

「直る〜? ねェねェ」
「陸王、肩、重いよ」
「あーっ、モンプチはゴールドじゃなきゃやだなー」
焚き火を囲んでわいわいしている三人を、物陰から見ているサングラスの男。

「なるほど…あれが標的か…」
外したサングラスの下、男の右目にはあの隕石がはり付いている。

861 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 23:43:40 ID:???
なんか怪しげな男キター?
標的とか言ってるところを見ると、黒幕側の人間だよね。
友樹を監視しに来た下っ端かな。

しかし陸王は無邪気でかわいいなーw
家で飼っていた犬を思い出すよ。

862 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 02:04:33 ID:???
陸王がこのマンガ唯一の癒しだな

863 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 02:53:52 ID:???
>854
パパンって最初に出てきたっきりじゃんw

陸王がいると場が和むし、戦力になるし、ほんといい奴だ。
あれ、ミケって役に立ったっけ?

864 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 05:39:47 ID:???
何ですかこのエイリークとヴァーリを足して3で割ったような美形悪役は。

865 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 12:45:33 ID:???
>足して3で割ったような

うまいwワロタ

866 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 21:57:18 ID:???
目に隕石が張り付いてるって、めり込んでるって事か?
生体に馴染むのかこの隕石は。

隕石持ちって事は、この美形も石使い?
トモキのライバルになるのかな?

867 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 21:58:38 ID:???
攻撃するときは目から怪光線…か

868 :第10話 道を這う者 1/5 :2007/01/24(水) 22:51:46 ID:???
なんでもない日常。騒がしい街の中、トモキは夜空を見上げる。
空をよぎるひとすじの光。
「あっ…流れ星…一つ…」
その輝きは瞬く間に数を増やし、地上へと降り注ぐ!

街は破壊され、人々は悲鳴を上げる。その一部は異形へと姿を変えながら。
突然宙を舞うお札。振り向けば、舞う札を全身にまとわせて喜ぶ男がいる。
「この金は俺ンだ。誰にも渡さねーっ」
男は、異様に広がった口と、長く伸びた腕で、必死に金をかき集めている。
『金の亡者』を呆然と見下ろすトモキの背後では、
腕だけが異様に膨れ上がった男が破壊衝動に身を任せていた。
「みんなで俺を、馬鹿にしやがってぇ」
いつの間にか男は全身に長い突起物を生やし、
大きく開いた口からは牙がのびている。

男を止めようとしたトモキに、彼の父親が呼びかける。
「友樹、かまうな! 友樹、そんな奴にかまわずに『こっち』へ来い!」
叫ぶ父親の体が突然伸びて増殖し、異様な巨大な粘液状の化け物となる。
化け物の体には多数の人が絡めとられており、そのうちの一人は…
「のぞみ!」
のぞみは化け物に巻き上げられながらも、友樹に向かって手を伸ばし、必死に叫ぶ。
「友樹!! 早く!! 早く『ここ』に来て! でないと…」

869 :第10話 道を這う者 2/5 :2007/01/24(水) 22:53:12 ID:???
悪夢から飛び起きたトモキの隣で、陸王が暢気に笑った。
「ずいぶん早起きだなぁ…。
 そーか、今日から遠くへ行くから、ドキドキして早く起きちゃったんだー」
「そうだな…隣町を通ればおじさんの家もあるし、
 父さんの消息もわかるかもしれない……」
「メサイアってのに会って、世界を元に戻してもらうんだよね!」
トモキは陸王の楽観的な言葉には乗れない。

 そんなこと…ホントにできるのかな……
 そんなことができるんだったら、
 とっくにそのメサイアってのがやってるハズじゃないか。

「もし世界が元に戻ったら…
 俺もただの犬に戻って、トモキと話ができなくなるなあ〜」
空を見上げてつぶやく陸王。だが彼は、あまり気にした様子もなく続けた。
「でも世界がもとに戻った方がトモキが喜ぶんなら、それでいーや!」
少し遅れて目覚めたミケも、瓦礫によりかかってつぶやく。
「あたしも、のぞみが無事ならなんでもいー」
二人の背中を見つめ、トモキは何を思ったか。

870 :第10話 道を這う者 3/5 :2007/01/24(水) 22:54:20 ID:???
高速道路を歩き続けるトモキたち。
トモキは二匹に大幅に置いてゆかれてしまい、息が上がっている。
「このところちょっとは見直そうと思ってたのにさあ。
 家でゲームばっかしてるからだよ」
「なんとでもゆ〜てくれ。
 ふう〜〜、こんな時車でもあれば、ぶい〜〜っと」
彼の言葉に呼ばれたかのように、行く手から排気音が聞こえてきた。

「バイクでもいい、乗っけても…」
三人は瞬く間にバイクの集団に囲まれてしまう。
乗っているのは体格のいい男たちだ。
タバコをくわえた髭面のバイカーが話しかけてきた。
「おう、ちょっと顔貸してもらおうか」
暢気なことを言っていられない剣呑な雰囲気に、
陸王はトモキを守ろうとバイク集団を威嚇する。
だが髭面は、怪しい奴は連れて来いとボスに言われているという。

「このところ、ここいらでは妖怪が出るんだ。
 天をつくような怪物で、
 夜ごとあちこちのガソリンスタンドを食らいつくす。
 たまったもんじゃねえ。
 朝になると奴の歩いた跡が見える。
 道路を歩く分にはいいが、障害物があっても奴はおかまいなしだ」

 それが バイクだろうが 人間だろうが

話を聞いてトモキは、髭面について行くことにした。

871 :第10話 道を這う者 こっちが3/5 :2007/01/24(水) 22:56:20 ID:???
地に溜まるオイル、転がったタイヤ。壊れた機械たちの墓場。
サングラスの男はその中を歩きながらつぶやいている。

「早く走りたいとか、空を飛びたいとか
 そういった人間の欲のために文明は生まれた…その結果は……?
 流星は人間どもの滅亡を、ほんの少し早めただけだ……」

もう乗る者もいない廃車の山の向こう、
何か巨大な建造物のようなものが動いている。
様々な乗り物をめちゃくちゃに継ぎ合わせたような
小山のようなものだ。

「……まだ…増殖してるのか?」
機械の山を見上げ、サングラスの男は微笑む。
「行くがいい、怨霊ども。行って全てを破壊しつくせ」
巨大なタイヤがアスファルトを刻む。

872 :第10話 道を這う者 5/5 :2007/01/24(水) 22:57:46 ID:???
バイカーたちは、サービスステーションに
トラックのバリケードを作っていた。
ここにこの近く最後のガソリンスタンドがあるのだ。
奴は今夜きっと、ここにやって来る。
「…っとあぁっ! 怪しい奴にいっぱいしゃべっちまったァ!」
「僕ら別に怪しくありませんよ……」
「…みたいな気もするが、ボスが帰ったら一応見てもらうからな…」
「僕らはただ、この世界で何がおきているのかを知りたいんです」

髭面は、世界に起こったことなど知らないという。
好き勝手に走っていけばいい、
今のボスについていれば何とか生き延びてはいけそうだ、と。

ただ、このあたりの道には昔から不思議なことが起きていたという。
「知ってるか、首なしライダーの話…昔有名なバイク乗りが…」
怖がってトモキの後ろに隠れるミケに、
ご丁寧に懐中電灯で顔のライトアップまでして怪談を始めようとする髭面。

その時陸王が、何かが地を這うような音に気づく。
三車線いっぱいにわたる機械の化け物が、迫ってきていた。

873 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 23:03:41 ID:???
3と4を間違えてしまいました。

874 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 23:47:24 ID:???
乙。うまく段落で分かれているので気にならない。

こいつら、今は自分たちだけでハイウェイ中のガソリン使ってるから保ってるけど
そのうちガソリンなくなるだろうにな。
まあ、そんな先のことは考えてないっぽいが…

875 :マロン名無しさん :2007/01/25(木) 19:23:26 ID:???
バイカーたちが、日本の暴走族には見えない件。

それにしても陸王もミケもかわいいな
トモキが喜ぶんなら、それでいーや!
のぞみが無事ならなんでもいー
って、うちの猫は全然そんなこと思ってないだろうな…

876 :第11話 死神 1/5 :2007/01/26(金) 22:48:09 ID:???
遠雷に似た響きが迫る。
だが、まだあの怪物をしとめるための仕掛けが完成していない。
防火壁を立ててその向こうで爆破する算段だったのだ。

髭面はまだ戻らない仲間を助けるために
ガソリンを手にバイクに飛び乗った。
そんな無茶な。止めなければ!
だがトモキは止めるどころか、髭面のバイクの後ろに座っていた。
「ぬぁ〜〜〜〜〜んでおめェが乗ってんだよっ!?」
「修理したばかりでテストもしてないけど」
トモキは左腕のアームターミナルを見つめる。
「もしこいつが意のままになるなら……勝てるかもしれない」

陸王が慌てて追おうとするが、バイクには追いつけない。
「アレよアレ。アームターミナル直ったもんだから……
 変なトコで自信過剰なんだから…」

起動したアームターミナルは、
星の部分から光でディスプレイのようなものを表示する。
「おい、なんか字が出てるぞ」
「えっ…何か入力しろって? 何をどう!?」
使い方がわからないトモキは戸惑うばかりだ。
焦っていると、突然バイクがブレーキをかけ、
トモキはつんのめって髭面の背に顔を突っ込んでしまう。
バイクの目前に例の怪物が現れたのだ。
光るのもやめて沈黙するアームターミナルに愕然とするトモキ。

877 :第11話 死神 2/5 :2007/01/26(金) 22:53:12 ID:???
怪物は、逃げ切れなかった人間とそのバイクを、
巨大なブルトーザーの腕ですくい上げていた。
「ガソリンとパーツ、食らってやがる……」
そして、不要の部分を路上に落とす。
ぐったりした人間と、バイクの残骸を。
二人の目の前で「不要物」は巨大なローラーに粉々にひき潰された。
「畜生! 人間を…ゴミみたいに…」

このままあの怪物を基地に入れるわけには行かない。
髭面はトモキにしっかり掴まっているように言うと、
持ってきていたガソリンタンクを掲げてみせる。
「よォし怪物! こっち来な! ここにエサが40リットルはあるぜ!」
その言葉で真っ青になるトモキ。
怪物は人の言葉がわかるのか、
轟音を立てて二人の乗るバイクへ近寄ってくる。
何十メートルもの壁が高速道路いっぱいを塞いで
猛スピードで迫ってくるようだ!

「さっきの自信はどうした、坊主」
「だって……こいつがさっぱり…」
怪物の攻撃が二人のバイクのほとんど真後ろをえぐる!
思わず悲鳴を上げるトモキ。
「マジで俺らを殺す気だ! どんな野郎が運転してんだよ!」
「前に調べた奴がいる。
 運転手なんかいねえ! 奴は鉄の塊の亡霊だ!!」
 もしかして、コレも流星のせいで……

878 :第11話 死神 3/5 :2007/01/26(金) 22:54:42 ID:???
髭面はくわえていたタバコを手に、
エサとして持っていたガソリンのふたを開ける。
「くたばりやがれ」
怪物の足元へ投げられたガソリンに、タバコの火が燃え移る!

すさまじい爆発音が響き、機械の破片が飛び散った。
やったのか、そう思ったトモキの目に、
怪物が振り上げたコンテナ運搬用のアームがうつる。
怪物はまだ生きていた。この程度のダメージでは足りないのだ。

「最初の…爆破する計画って言ってたじゃないですか。
 ダイナマイトかなんかあるんじゃないんですか。
 なんとかしてこいつに取りつけて……」
「あいにくだな。
 発破は今日ボスが仕入れて来る予定だったんだよ」
攻撃から逃げ続ける髭面のバイクは、
道路を逆行して再び基地に近づきつつあった。
巨大なクレーンのフックが弧を描いて二人を襲う!
その瞬間、トモキの石がかすかに輝いたような気がした。

879 :第11話 死神 4/5 :2007/01/26(金) 22:56:35 ID:???
と、そこへ一台のバイクが飛び込んで二人を救った。
「おまえらは下がってろ。こいつは俺が殺る!」
フルフェイスメットにライダースーツで容姿はわからない。
髭面は、顔を輝かせた。
「ボスさえ来ればもう大丈夫だ!
 あの流星の夜以来ずっと俺らを助けてくれた
 誰も道でしか会ったことはなくて、
 メットの下の顔は誰も知らねーんだけど、
 いつも指示は的確だった。
 俺らが生きてこられたのは、あの人のおかげだ」

『ボス』は機械の怪物に単身立ち向かう。

 機械にも……心はある
 作った人間の心……使う人間の心……
 捨てた人間の心を映し込んで……
 俺も走ることしか知らなかったが
 今はともに走る仲間のために……

『ボス』は、怪物に向かって一直線に走り出す。

880 :第11話 死神 5/5 :2007/01/26(金) 22:57:20 ID:???
「おい! いくらボスってのがすごくても、バイク一台で勝てるわけない……
 仕入れてきたダイナマイトごとつっこむ気じゃないのか!?」
「なにィ!」
まさに捨て身の戦い。
だが怪物の腕が、無常にも男の首をもぎ取った!

あまりに凄惨な出来事に、思わず目をつむるトモキ。
怪物はそれに飽き足らず、
走り続けるバイクに座る首無しの躯から上半身をも抉り取る。
『ボス』の最後の姿に叫び声をあげる髭面。

だが、バイクは勢いを弱めることなく走り続けていた。
胴体から千切れたのに力強くハンドルを握り続けている腕が、
怪物の目前でバイクのスピードを上げた。

怪物へと飛び込んだバイク、
その抉られた無残な操縦者のいた場所に、
輝くものの存在をトモキはみとめた。
「隕石……」

『ボス』のバイクは怪物につっこみ、大爆発を起こした。
だが、怪物はまだ生きていて、髭面とトモキの方へバックしてくる!
「畜生! 畜生! 坊主、降りろ!」
髭面は無理矢理トモキをバイクから掴み降ろすと、
バイクを怪物のほうへ走らせた。
「奴は俺が、ぶっ殺してやる!」
「待て! 死ぬぞ!」

881 :第11話 死神 はりわすれ/5 :2007/01/26(金) 23:15:29 ID:???
 畜生 もっと俺に 力があれば…
強く願ったトモキの左腕が、左腕の隕石が激しい輝きを放つ。
光は長く伸びて彼の左腕を帯となり覆った。
 ……! こ……この光は……

882 :マロン名無しさん :2007/01/27(土) 03:02:07 ID:???
ボスライダーカコイイ!!
でも隕石の力って、そいつが死んでも意志を完遂するのか?

883 :マロン名無しさん :2007/01/27(土) 09:17:29 ID:???
あ、そうか。隕石の力でやられても生きてたって考えもありか。
なんかボスの独白の時に妙にバイクがアップにされてたのが気になるんだけど、
ライダーの存在感結構重いしなー。
隕石の力で、仲間を助けたいと願ったボスの意思が愛車に乗り移りとかそんな感じなんかね。

884 :マロン名無しさん :2007/01/27(土) 21:18:46 ID:???
なるほど、メカ同士の対決って線もアリかな?

885 :マロン名無しさん :2007/01/27(土) 22:49:40 ID:???
トモキがとうとう覚醒ですよ。とうとう出るか、回復ビーム

886 :マロン名無しさん :2007/01/28(日) 06:32:50 ID:???
頭もぎ取って、更に上半身まで持っていくか。えぐいな。
エルナサーガもグロい描写が時折あるが、この漫画も結構きつい。

887 :第12話 ハイウェイ・スター 1/5 :2007/01/28(日) 23:04:38 ID:???
 ど…どうなってるんだ。こんな光り方は初めてだ。

隕石の輝きはやむことがない。

怪物は『ボス』が乗っていたバイクを挟み持ち、
それをも破壊しようとしている。
「畜生! ボスばかりかボスのバイクまでっ! 許せねえっ!!」
鉄パイプを振り上げて怪物に突っ込む髭面。だが、到底敵うわけもない。
その後姿を見つめているしかないトモキ。
 だめだ!! 死ぬ!! 潰されちまう!

その光景を、標識の上からサングラスの男が見下ろしていた。
「……さて…どうするかな、友樹くん…」

そこへやっと陸王とミケが追いついた。
「トモキーっ、そのままこっちへ逃げてきなさいよーっ。
 もともとあたしたちには関係ないコトなんだからーっ!」
トモキはその声に反応しない。耳に入っていないようだ。
陸王は彼の左腕の隕石が激しく輝いているのに気づく。
「今までは直接トモキにピンチが迫らなきゃ光らなかったのに」

888 :第12話 ハイウェイ・スター 2/4 :2007/01/28(日) 23:05:53 ID:???
 なんで……!! なんでこれ以上死ななきゃなんないんだよっ
 あいつを…あいつを止めなきゃ

トモキは怪物のほうへと走り出す。

怪物は『ボス』のバイクを腕で破壊するのは諦めたのか、
道路へと投げ捨てると、そのまま進む。ひき潰すつもりなのだ。

トモキは左手を伸ばして怪物にむかって叫ぶ。
「止まれ! 止まってくれ、もう!!」
隕石の光は何枚もの小さなウインドウを形作った。

予想外の出来事にサングラスの男はつぶやく。
「アームターミナルのプログラムが発動している…これは…」

髭面が身長以上の高さがあるキャタピラに潰される、その寸前
トモキの左腕から強烈な光の帯が放たれた。

トモキのアームターミナルは、それ全体が隕石のように光り輝いて、
トモキの左手全体を覆う巨大な銃と化していた。
銃から放たれた光の弾丸は怪物の一部を跡形もなく消し飛ばす。
さしもの怪物もそれで完全に息絶えたか、動きを止めた。

「た…助かった……」
追ってきたらしい髭面の仲間が、トモキを称える。
トモキのアームターミナルは元の姿に戻り、再び沈黙していた。

889 :第12話 ハイウェイ・スター 3/4 :2007/01/28(日) 23:07:19 ID:???
髭面はうなだれる。
「みんな、すまねえ。ボスが…ボスが…」
死を悼むにも遺体すら残らなかった『ボス』。
だが、トモキの耳だけに声が届く。

『ありがとう。トモキくんというのかね。私からも礼を言おう
 私と、私の仲間を、助けてくれてありがとう』
声は、怪物に破壊されかけてタイヤもなくなってしまった
『ボス』のバイクから聞こえているようだった。
「まっ、まっ、まさか!」
『私の仲間たちは、私の乗り主をボスだと思っている。
 しかしあれは人形のようなものだ。本体は私なのだ』

『トモキ…機械にも心はある』
バイクは語りかけてくる。
『作った者の心、使う者の心が映りこむ。
 私は走るために生まれ、そしてそのことが気に入っていた。
 この道をずっと走っていたかった。
 だから、乗り主を失った私を星があわれんで、
 一人でも走れるようにしてくれたのだろう』
『ボス』は、あの怪物は
何らかの理由で人や道を憎んでいたのだろうという。
『ボス』の言葉は、ミケや陸王には聞こえないようだった。

『私は…私はまた仲間と走りたい………』
トモキは微笑んで答えた。
「大丈夫ですよ。その星の輝きがあるかぎり……」
バイクのエンジン近くには、小さな隕石のかけらがきらめいていた。

890 :第12話 ハイウェイ・スター 4/5 :2007/01/28(日) 23:08:30 ID:???
トモキは左腕のアームターミナルを見つめ、
これにも心があるのだろうかとつぶやく。
今日は派手に変形してトモキを救ってくれたのだ。
もし、トモキの星が、彼の願いではなくて、
アームターミナルの願いをかなえているとしたら?

「そうだ……これは最初父さんが…
 僕を守るために作ったんだ………」


標識の上からサングラスの男は全てを見ていた。
トモキが自分の星を使いこなし始めていることに少し驚く。
「まあいい……ゆっくり見せてもらおう」

891 :第12話 ハイウェイ・スター 5/5 :2007/01/28(日) 23:10:38 ID:???
トモキは、髭面たちに隣町まで乗せてもらうことになった。
その道行き、髭面はボスのことを語る。
あの死に様は、怪談に出てくる首無しライダーのようだったと。

「でも、ひょっとしたら、もとからそうだったのかもしれねえ。
 この道を愛したバイク乗りが、死んで守り神になって
 俺らを助けてくれたんじゃねーかな…」

ただひとり真相を知るトモキは、髭面の言葉に微笑んだ。

と、髭面の仲間の一人が向こう側の車線を慌てて指差す。
『ボス』が向こう側の車線を、彼らを追い越してゆく。
元通りのフルフェイスにライダースーツの影を乗せて帰ってきたのだ。
奇跡に涙ぐむ髭面。
「ボ…ボス!! 生きて……!」
『ボス』はこちら側へと軽く挨拶するように手を上げると、走り去っていった。
嬉しさで、トモキに笑顔がこぼれる。

バイクの群れは、スピードを上げて地平へ消える。
もう恐れるもののない果てしない道を。


892 :マロン名無しさん :2007/01/28(日) 23:48:02 ID:???
バイクタン…ちょっとうるっときた。

893 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 00:41:55 ID:???
まじめに感動した…人間に復讐したいっていう道具もあるんだろうなあ

894 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 01:49:35 ID:???
ボスがかっこよすぎる
つっつーの漫画なのでまさか戻ってくるとは思わなかった

895 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 02:24:39 ID:???
正体ばれたとしても仲良くやっていけそうな気がするな。

896 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 02:48:38 ID:???
正体がバイクだろうと、みんなを導いてくれた『ボス』であることには変わりがないもんなあ

897 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 04:08:54 ID:???
乗り物の癖にこんなにかっこいいとは

898 :マロン名無しさん :2007/01/30(火) 08:04:35 ID:???
付喪神って奴だろうか。
バイクのエンジンのCPUが隕石の力で意思を持つ…にしたって、バイク程度のスペックだもんなあ…。
乗り手に、本当に大事にされてきたからこその「奇跡」だと思うべきなんだろうな。
滅多にこんなバイクは居ないだろう。



ところで、大事にしてきた乗り手がえろい美女だったらいいなあとは思う。
ボディスーツでラインがびっちり見えてさ。

899 :マロン名無しさん :2007/01/30(火) 13:28:21 ID:???
そうなるとボスの乗り手人形はぴちぴちのライダースーツになるわけだな。

そもそもあの人形は何でできてるんだろ?
本当に影みたいなもので、存在感はあるけど実体じゃないのかね。

900 :第13話 雨の夜 1/5 :2007/01/30(火) 22:46:22 ID:???
曇天に遠雷が響く深夜、
トモキたちは廃墟と化したビルの中で眠っていた。
床に一緒に寄り添って眠るトモキと陸王、
そしてひとりデスクの上で丸くなっていたミケ。
彼女は暗いところに独りでいる怖い夢を見て目を覚ます。
寝付かれずにいると、窓ガラスを雨がたたきはじめた。
「そういえば、のぞみに拾ってもらった夜も、こんな雨だっけ」


真っ暗な闇の中、はるか上にかすかに見える暗い空から降ってくる雨粒。
細い空を見上げて、泥だらけの痩せた子猫がかぼそい声を上げていた。

ほとんど中も見えない段ボール箱の中から鳴いている声を耳にして、
のぞみは彼女を見つけた。
のぞみは自分が濡れるのもかまわずに汚い子猫をやさしく抱き上げた。

 −−その人間の手は……本当にやわらかくて、あたたかくて………

「うちにおいで、おまえ…。ね…」

 その時からずっとあたしは のぞみのものだ……

901 :第13話 雨の夜 2/5 :2007/01/30(火) 22:47:54 ID:???
だが、静かな時間は突然破られる。窓の外を走る物音。
雨の音かと思ったそのとき、雷光がはしった。
巨大な化け物鳥が影となって窓から中を見ていた。

ミケはトモキと陸王を起こそうとするが、
二人とも深く眠っているのか目を覚まさない。
「陸王! ちょっとォ、あんた、番犬の役にも立たないじゃん」

鳥たちは何羽もこのビルを旋回している。
「ねらってるんだ…あたしたちを」
それに思い至ったミケは、ある扉の向こうは天井が落ちかけていて
侵入口になりうることを思い出し、扉の向こうの様子をうかがいに行った。

扉を開け放った彼女の目の前には、
今にも扉を破ろうとしていた鳥の爪があった!

902 :第13話 雨の夜 3/5 :2007/01/30(火) 22:49:24 ID:???
慌てて扉を閉めると、轟音とともに扉がひしゃげる。
ミケは必死で助けを求めた。が、二人は来ない。
扉どころか壁ごと突き破って、化け物鳥は室内に首をつっこんでくる。
巨大なくちばしにくわえられて床にたたきつけられそうになるミケ。

 しっかりしなきゃ…のぞみに会いに行くんだから

窮鼠猫を噛む状態で、化け物鳥の顔に噛み付くミケ。
反撃は予想外だったのか、化け物鳥はひるんで口を離した。
ミケは必死で化け物鳥の顔に猫引っかきをくらわすが、
戦意を取り戻した化け物鳥の翼に腹を打たれて吹っ飛ばされてしまう。

 あっ、だめ…かも…
 のぞみに会いに行けな…

抱き止めるように両手を広げるのぞみの姿が、一瞬うかんだ。

903 :第13話 雨の夜 4/5 :2007/01/30(火) 22:50:50 ID:???
だが、実際に彼女を抱きとめたのはトモキだった。
わざとではないが、彼の顔に力いっぱい肘鉄を食らわしてしまうミケ。
転んでミケの下敷きになってしまうトモキと、
その横を駆け抜けてゆく陸王。

思わず泣き出すミケに、トモキが肩と頬に手を当てて語りかける。
「ごめん、一人で戦って…怖かっただろ」
「さわ…さわ…さわんないでよ。あたしはのぞみにしか…」
ミケは言いながらも、震えてトモキのマントをぎゅっと掴む。

陸王は化け物鳥の攻撃をジャンプでかわし、力強い踵落しを顔面に食らわした。
頭から血を噴出して悲鳴を上げ、逃げ出す化け物鳥。
その光景を見て、他の奴らも逃げていった。

「追い払った! 偉いぞ、陸王!!」
陸王は、トモキの言葉に精悍な顔を崩してにやけ…
「ンン? エライ?」
四足になって崩れまくった笑顔でトモキに駆け寄ってゆく。
「エライ? エライ? エライエライ!? ほめてほめてほめて」
力いっぱい抱きついてくる陸王に呆れながら、
首と頭をゴシゴシとなでるトモキ。
「ホラホラホラ、なてでなでなで! ったく、この甘ったれわぁ〜〜〜」
幻の尻尾をぶんぶんと振り回す陸王を見て、ミケは思った。
 バカ犬……

904 :第13話 雨の夜 5/5 :2007/01/30(火) 22:52:48 ID:???
 確かにのぞみはいないけど…
 あたしにとっては今はここが 一番安心できる場所なんだ…

ふと思った、そのことに自分で照れたのか、
ミケは少し拗ねたような顔をして二人から目をそらす。

 フン…しょうがないからこいつらと一緒にのぞみを捜すとするか……


彼女は思う。
いつかのぞみに会えたら…
おだやかに微笑むのぞみがいて、もとの猫の姿の自分がいて、
横から彼女をなでるトモキがいて……

 え? ちょっとオイオイ。
 なんであんたがあたしの空想の中に出てくるわけ?

うとうとしながらミケは思う。

 ……まあ、いいか……

のぞみとミケと、トモキと陸王。
四人がそろっている平和な時。

 そのうちこんな日もくるだろう。
 きっといつか−−きっとね−−

ミケは、トモキと陸王の間で、丸くなって眠りに落ちた。
いつの間にか嵐は去り、雨上がりの空に日が昇る。

905 :マロン名無しさん :2007/01/31(水) 00:23:13 ID:???
ぬおオ、子供のころのミケかわい〜!!
陸王の回があったから、これはミケの回ってやつだな。

906 :マロン名無しさん :2007/01/31(水) 01:05:22 ID:???
意地っ張り可愛いな!
最初離れて寝てたのに最後くっついて寝てるのが信頼関係できたみたいでほほえましい。
真央さんの家で思いっきりトモキの上で寝てた気もするがw

907 :マロン名無しさん :2007/01/31(水) 23:25:45 ID:???
ミケ…(つД`) 
早くのぞみに会えるといいなあ、本当に。
前回のボスの話に続きちょっと涙ぐんでしまった。

908 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 01:04:09 ID:???
さりげなく死亡フラグなんじゃないかと思った俺はエルサガで毒されすぎたのだろうか・・・

909 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 20:45:40 ID:???
陸王可愛すぎ
たまらんな

910 :第14話 覇をめざす者 1/5 :2007/02/01(木) 23:15:30 ID:???
隣町についたトモキたちは、おじさんの家へ行った。
だがやはりここも無人。どこかに避難しているのだろうか。

踏み出す陸王の足元で廊下の板がたわむ。障子もスムーズに開かない。
「ずいぶんボロだぞォ、この家…」
「この家を立て替えるのがおじさんの夢だったんだよ」
トモキのいとこの健はJリーガーになるのが夢だった。

「それぞれの街で、それぞれの人が、いろんな夢を夢見て平和に暮らしていたのに…
 どうしてこうなっちゃったんだろう。
 あの流星雨はいったい何をかなえたっていうんだ!」

突然陸王がトモキの頬をなめる。
怒るトモキに、陸王は痛いのが治るようにだという。
「トモキ…心が…痛い…」

「まだ町中捜したってわけじゃないんだからさ、元気出して頑張ろうよ、トモキ」
言ってからミケは、のぞみを捜してもらわなきゃいけないから、
いちいち落ち込まれちゃ困るんだ、と顔を赤くしてそっぽを向く。

 僕にはまだ…こいつらがいるから…

911 :第14話 覇をめざす者 2/5 :2007/02/01(木) 23:17:49 ID:???
街を歩く三人は、人の姿を見つけた。相手も三人を見つけ、近寄ってくる。
だが、様子がおかしい。
「よその町の者だなっ。来てもらおう」
古代のような簡素な布の服を着た男たちは、三人を捕らえる。
戦おうかと言う陸王にトモキは事情がわからないからと止めた。
「われらが大王(おおきみ)に会っていただく」
よそ者はみそぎが済んでいないからだ、
などとわけのわからないことを言う男たち。
三人は後ろ手に縛られて連行される。

三人は大勢の人が働いている街角へと連れて行かれた。
男たちと同じような簡素な服を着た人々が、
ビルの廃材や食料を運んでいる。
下に丸太を転がし、大きな板にコンクリのブロックを載せて人力で引く、
そんなピラミッド作りのような古い方法で。
ここでは人には二種類あるようだ。働かせる者と働く者。
何故か誰も彼もが憑かれたような光のない目をしている。

トモキの目の前で一人の老人が倒れた。
重荷を運び続けているのか、その肩は皮がむけて血に汚れている。
思わず駆け寄るトモキだったが、老人は
大王のために早く大神殿を完成させなければと立ち上がって荷を引き続ける。

912 :第14話 覇をめざす者 3/5 :2007/02/01(木) 23:18:39 ID:???
彼らの目の前には、神社を改造したのか、
高台がそびえ、その周囲にはビルが埋まりこむように寄り添い、
山の頂上に社がある、という異様な光景があった。
人々は誰もが「大王さまのために」とつぶやき、
死んだ目で仕事をし続ける。

大神殿の鳥居をくぐると、
神主のような格好をした男が抜き身の刀を手に立っていた。
どうやらこの男が大王らしい。

三人は神社の片隅に、同じように縛られた人々のそばへ座らされる。
ここで縛られている人はまともなように見えた。
「ここはひどいところだぜ。毎日ここで見せられることといったら…」

大王はひざまづく男の首に刀を振り下ろす。
「この世のどこかに巨大な隕石が落ちたという……
 必ず探せと言ったはずだ。
 なんの手がかりも見つけられずに戻ってくるとは……おろか者め!」
大王は怒りに任せて何人も斬首した。
「ばかな! なぜ逃げない!? しばられているわけでもないのに!」
ある男は斬首される前にうつろな目でつぶやいた。
「大王のために働き、大王のために死ぬのが私の至福…」

913 :第14話 覇をめざす者 4/5 :2007/02/01(木) 23:22:27 ID:???
大君は振り向くと、血に汚れた顔で微笑む。
「教えてやろうか? この街に何が起こったのか。
 星が俺様の願いをかなえたのだ」

あの大流星雨の夜、男は願った。
世界の支配者になりたい、全ての人々は自分を神とあがめ、
男のために働いて、男のために死ぬのだ、と。
あの時に、いろいろな願いを願った者がいただろう。
「欲のより強い者が勝つのだ!
 俺がこの街の連中のくだらぬ夢を食らってやった!」

家を建て替えるのが夢だと笑いながら語った叔父。
レギュラーになったんだと嬉しそうに言っていた従兄弟。
地面には、様々な願いを託された絵馬がいくつも落ちて壊れていた。
それらは全てくだらぬと、大王は断じたのだ。

914 :第14話 覇をめざす者 5/5 :2007/02/01(木) 23:23:57 ID:???
大王は言う。全ての支配を願ったのに、支配できたのはこの街一つ。
この世界のどこかに落ちたという巨大隕石を手に入れて強く願えば、
今度こそ全世界の支配者になれるのだ。
全ての人々は喜んで大王のためにかしずき、働いて死ぬだろう。


あまりに勝手な言い草に、怒りをおぼえる三人。
うなる陸王、ネコの体のやわらかさをもって縄を解くミケ。

ミケが自由になった手でトモキの縄を解こうとしたそのとき、
トモキは怒りを込めて大王に言った。
「大王さんとやら…言いたいことはそれだけか?」

トモキの怒りに反応してか、星が輝いて彼の縄を焼き切った。
立ち上がる彼の体を星の光が包む。

「そんなに星の力が欲しいなら、見せてやるぜ!!」

915 :マロン名無しさん :2007/02/02(金) 00:19:04 ID:???
友樹かっけえー!
つーか友樹って本当にいい奴だなと思う。
普通の子なんだけど、思いやりとそこから生じる勇気がすごい。
最初の方でも友達を救おうとして危険を冒してたし。

陸王、ミケもええねえ。ミケの縄抜けすごい。
おじさんと従兄弟の夢は切ないよ…。

916 :マロン名無しさん :2007/02/02(金) 00:29:13 ID:???
おじさんたちはどこへいったんだろうな。
奴隷たちの中に発見できないのは幸いか、それとももう殺されたのかな?

917 :マロン名無しさん :2007/02/02(金) 02:05:23 ID:???
トモキは勇者だな。力を得たことで自信がついたのか、どんどん精悍になってくし。かっこいいなー。
陸王も、なめられた方はたまんないけど、二人は二人でトモキを元気付けようとしてるし。いいパーティーだ。

918 :マロン名無しさん :2007/02/02(金) 02:06:46 ID:???
戦おうとしたトモキの目の前に、盾として現れる叔父夫妻と従兄弟。
なんて展開……ネーか。相手はトモキのことなんて知らんもんな。

919 :マロン名無しさん :2007/02/02(金) 11:27:22 ID:???
うおークライマックスきたー

920 :第15話 野望の果て 1/5 :2007/02/03(土) 23:13:58 ID:???
「くだらぬ夢と言ったな…愚民どもの願い…と…」
トモキの左腕が激しく輝く。
「な…なんで、この光は……まさか……あの石……!!」
「人の夢を馬鹿にし……人の意思を奪って…
 世界の支配者になりたいだとォ?
 てめェの夢こそなんだよ!!」

大王(おおきみ)に向かってゆくトモキ。
大王はタケルヒコという男を呼んだ。
呼び出されたのは体格のいい男だった。
男は大王の命令に従いトモキに襲い掛かってくる。
タケルヒコはかつて格闘王を目指した男。
いくら不思議な力が使えてもトモキが敵うはずがない。

タケルヒコの攻撃を星の力で受け止めたはいいが、
蹴りを頭に食らって倒れるトモキ。
とどめを刺そうとしたタケルヒコに、縄を解かれた陸王が襲い掛かるが、
軽く突きを止められて一撃の下に叩き伏せられてしまう。

921 :第15話 野望の果て 2/5 :2007/02/03(土) 23:17:45 ID:???
「格闘王…を…めざしたほどの男だったら…
 なんでそんな奴の命令を聞いてるんだよ!」
立ち上がって問いかけるトモキに、大王が笑って答える。
「人がいかなる夢をもって始め、
 いかなる苦労をもって手に入れた技も力も、
 すべて私のものだからだ!」

その言い草に怒って大王に殴りかかろうとするが、
タケルヒコが割り込んでくる。
トモキはタケルヒコとは戦いたくないのだが、
阻まれる以上仕方がないと殴りかかる。
しかし、やはり体裁きと格闘センスが違いすぎる。

やられながらも必死で攻撃をかわし、トモキは叫ぶ。
「思い出せよ、あんた自身のことを! 自分自身の夢を!!
 あんたがどうやって生きてきて、どうなりたかったのかをよ!」
タケルヒコのみならず大王以外の全員が彼の言葉を聞いていた。
そこに集まっていた人々、食料を運んできた人々……

922 :第15話 野望の果て 3/5 :2007/02/03(土) 23:21:35 ID:???
その間にもタケルヒコの攻撃は続く。
戦うことに慣れた男に、トモキは無茶苦茶ながらも何とかくいついていた。
ミケはかつてのぞみが言っていたことを思い出す。

 そうねえ、友樹くんはお調子のりで、おっちょこちょいのとこもあるけど
 いざという時、ゆずれない時には…

大王は焦っていた。彼の絶大な力を象徴する男が、子供一人仕留められずにいる。
そのことが、人々の心への支配を緩めつつあった。

また、トモキと戦い続けるタケルヒコもまた迷い始めていた。

 思い出せ……? 思い出せだと?
 何を言う。俺はずっとこの大王様の下で………
 いや、昔こんな戦いをしたことがある。

彼と戦う少年の瞳には絶対に負けないという強い意志があった。

 こんな目をした奴らと…

男の脳裏に、リングと観客の姿が浮かんだ。

 そうだ、めざすものがあった…俺は…

そのことが一瞬の隙を作ったのか。
トモキの左が顎にクリーンヒット!

923 :第15話 野望の果て 4/4 :2007/02/03(土) 23:23:41 ID:???
タケルヒコは倒れて目を回し、大王は役立たずめと吐き捨て逃げ出す。
「待て、どこへ行く。
 大王ィ、あんたと話つけんのが目的だぜ!」

大王は逃げながら、そこに立つ人々を盾にしようと命令する。
だが人々は大王の言葉には従わず、ただ黙って大王を見つめるばかり。
戦いもせず、ただ黙ってたっているだけの人々を邪魔に思ったか、
大王は怒りに任せて刀を抜き放ち、逃げながら人々を斬った。
その行為にトモキの怒りが爆発する。
「てめーは、倒す!!」

トモキの左腕がひときわ強い光に包まれ、
アームターミナルがまたあの輝く銃に変化した。
光の弾丸は逃げながら振り返った大王の背に当たる。

 俺の…俺の野望が…

瞬時に大王を貫いて粉々に撃ち砕いた光は、
急激なカーブを描いて天へとはしりぬけた。

はるか遠い地で、その光を目にしていた者たちがいた。
「救世主様、流星が天へ昇って行きます。
 あのようなことがあるのでしょうか」
「いや…おそらくは『彼』だろう」
救世主は天を目指す流星を見、うっすらと微笑んだ。
「楽しみなことだ……」

924 :マロン名無しさん :2007/02/03(土) 23:43:06 ID:???
うお〜、なんか少年漫画っぽいぞ!

925 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 00:53:07 ID:???
自分や他のものを守るための咄嗟の行動という訳でもなく、
酷い奴とはいえ人を裁いて殺したな、トモキ。

926 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 01:12:10 ID:???
え?奴は人を切りまくりながら逃げてったから、
トモキは人を守ってるじゃん?

927 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 01:55:48 ID:???
ジャンプっぽかった

928 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 03:44:26 ID:???
ていうか、ようやくガンガンらしい展開になった。

929 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 09:38:08 ID:???
作者はトモキに「倒す」じゃなくて、「殺す」って言わせたかったようにも思えるな。

930 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 22:25:51 ID:???
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931 :マロン名無しさん :2007/02/05(月) 07:15:49 ID:???
>>929
エルナの逆か

932 :第16話 まよいの森 1/5 :2007/02/05(月) 23:14:10 ID:???
大王と名乗ったあの男が死んだことで、
人々の心への支配は解かれた。

 ひょっとしたら、我々の心の弱さに
 あの男の野望がつけいったのかもしれない…

人は言う。トモキのような強い心をもって街をたて直すと。

「僕は、強い…わけでは……」

と、そこへトモキの叔父夫婦と従兄弟がやって来た。
彼らもまた意思を奪われていたようだ。
しかし、トモキの父克樹のことは誰も知らなかった。

叔父はトモキにしばらくここにいないかと提案する。
だが、トモキは友達も捜さなくてはならないからと、
陸王とミケを伴い再び旅に出た。
彼の表情はすぐれない。
そんな彼の後姿を、タケルヒコと呼ばれていた男が見送った。

 おまえはもっと強くなるはずだ……頑張れ

933 :第16話 まよいの森 2/5 :2007/02/05(月) 23:15:40 ID:???
そして日が暮れた。
おじさんの所に泊めてもらえば良かったんじゃないか、
そう思い始めた頃に、明かりがついた公衆電話が見えた。
明かり、つまり電気が生きているのだろうか。

トモキは携帯電話と公衆電話を試してみるが、どちらも通じない。
だが、通信ならばどうだろうか?
トモキは自分のアームターミナルと公衆電話をケーブルで繋いでみた。

すると、おかしなネットワークにつながった。
掲示板やチャット、データベースなどはあるが、
流星雨のことも一言も出てこない、
まるで別の世界のネットワークを覗いているかのような所。

その中を見ていると、地球の映像のようなものが見えた。
日本の一点に地球全体から線が集まっており、
その集中点には大規模な施設のようなものがある。
そしてそこには「NOZOMI」と記されていた。
おそらく施設内部中央に、コイルのようなもので覆われた球体。
球体……岩……隕石?

誰かがネットワークを乗っ取って勝手に書き込んだのか?
だが、それにしては情報の量が膨大で緻密だ。

突然、アームターミナルの画面が勝手に動き出し、
彼の意思とは関係なくコマンドを打ち込み始める。

新星都市……メサイヤ……メサイヤの予言……

934 :第16話 まよいの森 3/5 :2007/02/05(月) 23:16:55 ID:???
 やがて腕に星を帯びし者現れ
 東の地よりこの都に訪れて新しき世界……
 来たれ腕に星を帯びし者 その者の名は

突如、ウインドウの中から男の顔と手が描き出される。
トモキは知る由もないが、それは救世主と呼ばれている男だ。
男はトモキに向かって手を差し出し、にやりと笑った。

「来い 大空友樹」

トモキは驚いて後ろへ倒れこんだ。
その拍子にアームターミナルと公衆電話をつないでいた
ケーブルが壊れ、通信用のカードも抜け飛んだ。

「僕の名を呼んだ…どういうことだ
 この隕石と、この力と……何か関係あるのか……?
 誰かがじっと僕を見てるんだろうか…」

不安にさいなまれる彼を、
物陰からサングラスの男が見つめている。

935 :第16話 まよいの森 4/5 :2007/02/05(月) 23:18:35 ID:???
陸王とミケに元気付けられながら街を歩いていると、
行く手に真っ黒な壁のようなものが見えた。
それは、道路を突き破って異常に成長した植物たちの森だ。

ミケが微笑んで言う。
「わかった、きっとアスファルトの上に落ちちゃった種とか
 地中に張った根っこの願いがかなって、芽を出したんだねえ。
 いいこともあるじゃん、ほら」
トモキは道路を突き破り、ビルを抉って貫く木々を見上げる。
「木々の夢か…人間の夢を壊して…」

「よし、今日はこの森の中で休もう」
だが、陸王とミケはあまり乗り気ではないようだ。
中の様子は良くわからないし、登ったことのない木ばかり。
「でも、電話線来てないみたいだから、いいなーっと思って」
トモキはさっきの不気味な現象を気にしていたのだ。

言い訳を捜すように木々の中に人を見つけるトモキ。
実際、何人か木々の根元の霞に見え隠れしている。
ミケが止めるのにもかまわず声をかけると、
それは眼鏡の男。トモキの父親だった!

936 :第16話 まよいの森 5/5 :2007/02/05(月) 23:21:14 ID:???
「父さん!! 生きてたんだ!」
喜びのあまり駆け寄ろうとするトモキの腕を陸王がつかむ。
「おいっ、ちょっと待てよトモキ!
 どうしてこんなとこにいきなりパパさんがいるんだ?
 変だと思わないか」
「変? 変なものか。あれは父さんだよ!」
克樹は黙ったまま優しく微笑んでいる。

もしこんなところで無事なら叔父さんに連絡しているはずだし、においがおかしい。
だが、不安な時に捜していた人を見つけたトモキは冷静さを欠いていて、
陸王の言葉に耳を貸そうとはしなかった。
「陸王!! 飼い主を忘れたのか」

ミケは植物を見つめ、この違和感が森全体にあるのに気づく。
 そうだ、この森……さっきからこの森全体から嫌な感じがしてた…

全く聞く耳持たないトモキにごうを煮やし、
陸王は正体を暴いてやると克樹に殴りかかる。
「陸王、待て!」
トモキの絶対的な命令に従い、止まってしまう拳。
克樹は目の前の拳にも平然として反応を示さない。
だが、トモキは異常に気づきはしない。

「飼い主に逆らうなんて、どうかしちまったのか陸王! お座り!」
忠実に命令に従ってしまう陸王。
トモキは「そのまま座ってろ」と言い放つと、克樹の方へと歩き出す。
陸王はお座りしたまま、トモキにずっと呼びかけ続けていた……。

937 :マロン名無しさん :2007/02/06(火) 00:27:41 ID:???
お座りしたままトモキを引き止める陸王が可愛いなぁ。
あくまでもトモキには忠実なんだな。
それにしても、この父親って明らかに罠だよね。
ひょっとしてグラサン男が先回りしたか?

938 :マロン名無しさん :2007/02/06(火) 01:00:03 ID:???
不用意すぎだよな、トモキ
まあ本当はまだまだ子供なんだし久しぶりに親に会って気を緩めるなって方が無理なんだけど

939 :マロン名無しさん :2007/02/06(火) 01:00:57 ID:???
トモキヒドス。
そして植物の夢だの何だのいいもののように描いておいて
罠に使う気満々のつっつーもヒドス。
ところでトモキの一人称、いつの間にか「俺」から「僕」になってんだよね。

940 :マロン名無しさん :2007/02/06(火) 01:08:27 ID:???
隕石のある場所は…岐阜県のあたり?

英雄的な強さを見せたすぐ後に人間的な心の弱さを見せるってのがいいね

941 :第17話 追憶の街 1/5 :2007/02/07(水) 22:34:44 ID:???
「父さん…無事で…」
克樹に歩み寄るトモキ。後ろでは陸王が叫び続けている。
「トモキ! そんなヤツのとこなんか行くな! そいつはニセモノだ!」

克樹はトモキを森の奥へと案内する。
森の木々は所々が瘤のように膨れ、
その隙間から窓のように明かりが漏れていた。
中には人影も見える。木の中に家があるのだ。
「自然と調和したすばらしい街だよ。
 今日からお前もここに住むんだ。
 もう何も心配することはない……」
トモキは安心しきって克樹の言葉を嬉しそうに聞いていた。

焦る陸王が、克樹のニセモノを追い払おうと石を投げた。
はっとして振り向いたトモキは見ていなかったが、
ミケの目にはその石が克樹の姿をすり抜けていったように見えた。

「陸王! なんてことをするんだッ!」
トモキは怒りに任せて陸王の顔を平手打ち、叫ぶ。
「おまえなんて知らない! どっかへ行ってしまえっ!」
彼はきびすをかえすと、克樹と一緒に木の家に入って行ってしまう。
陸王は『おすわり』をしたまま後姿を見送った。

942 :第17話 追憶の街 2/5 :2007/02/07(水) 22:35:36 ID:???
トモキの行動に怒るというより怯えてミケが言う。
「なっ何よあれ。やってらんないわ。
 こっちから願い下げよね、あんなやつと旅をするなんて…」
陸王は少し寂しそうな顔をして立ち上がった。
ミケは陸王を気遣うように顔を覗き込む。
「元気出して。これで自由の身ってわけじゃない。
 まったく、ペットは人間のケライじゃないってのよねェ」

彼女は、トモキなど放っておいてこの不気味な森を抜けてしまおうと言う。
だが陸王は、トモキが何か危ない目にあったら助けなければならないから
まだしばらくここにいると答えた。
「ちょっとォ、あんなことされてまだ義理だてするわけ?」
「そんなこと……関係ないんだよ」
陸王は行ってしまった。

残されたミケは、一人で歩き出す。
森の中には何人もの人々がいて、笑いあっている。
もともとトモキは飼い主でもなんでもない。
止めても聞かなかったんだからどうとでもなればいい。
ミケはひとりで森を出てのぞみを捜せばいいのだ。

彼女の目の前にはいつの間にかのぞみが立っていた。
だが、優しく微笑み語り掛けてくるのぞみからは
彼女のにおいはしない。
「ちょうどあたしがのぞみのことを思い出した時に…
 これって…ひょっとして…」

943 :第17話 追憶の街 3/5 :2007/02/07(水) 22:36:53 ID:???
克樹に案内されて家に入ったトモキは思わず笑う。
新しい家でも父は家中に本を散らかしている。
「これじゃあ前の家と変わらな…」
いや、トモキが今いるのは昔のままの我が家だ。
大きな本棚に山積みの本、見慣れた家具…

克樹は何事もなかったかのように、
トモキが左腕にはめているアームターミナルの事を訊いてくる。
そういえば今少し隕石が光っている。
時々調子が悪いから、そのせいかもしれない。
言葉のままにアームターミナルを外して渡すトモキ。
壊れたなら父さんに直してもらえばいい……
克樹は何か意味ありげな顔をしてアームターミナルを持ち去った。

だが、トモキの意識はもうそこにない。
何しろ、滅びたはずの世界がそっくりそのまま元に戻っているのだ。
家、台所、玄関。扉を開ければアスファルトの道路に見慣れた町並み。
隣の家には今しものぞみが入ってゆくところで……
「のっ、のぞみ! 生きてたのか!?」
「え? 変なの。いったいどうしたの? 今日はちゃんと宿題やった?」

世界が滅びる前は当たり前のようにあった日常の会話。
「どういうことだ? こっちが現実なのか? 流星が降って街がこわれてってのが夢で…
 そうだ、陸王…陸王は?」
犬小屋の前には千切れた鎖があるだけだった。

944 :第17話 追憶の街 4/5 :2007/02/07(水) 22:37:38 ID:???
「どういうことだ? こっちが現実なのか? 流星が降って街がこわれてってのが夢で…
 そうだ、陸王…陸王は?」
犬小屋の前には千切れた鎖があるだけだった。

「やっぱり違う。陸王は流星の力で人間になって…一緒に旅をして、それで…」
この手で殴りつけた。
はっきりと思い出したとたん、家の中から窓を開けて克樹が言う。

「夢はさめない方がいい 安らかに眠りにつけるようにね」

瞬間、トモキの足がひざの辺りまで液体に浸かった。
街の景色が歪んで消える!


ミケはのぞみの幻の前で、周りの様子もおかしいのに気づいた。
ここに人はたくさんいるが、普通の人間の臭いがするやつとしないやつがいる。
人はお互い懐かしそうにしているが…

もしもこれがワナなら…
心を読み、会いたがっている人の幻影で人を招きいれて…

ミケの頭上で木の家が変形すると、
巨大なハエトリソウのように中の人を潰してしまった。
「食肉植物! しかも人食いの…」

 トモキ!


945 :第17話 追憶の街 5/5 :2007/02/07(水) 22:39:38 ID:???
トモキは異常に驚いて父親に呼びかけるが、その姿も消え去ってしまう。
幻影が消えると、彼は街の中ではなく、木の中の空洞にいた。
空洞内には液体が満たされ、部屋は少しずつ狭くなってゆく。
液体に触ったジーパンが少し溶けてしまった。消化液だ。

トモキは悟った。
自分が食肉植物の罠にかけられたことも、
自分を止めようとした陸王のほうが正しかったことも。

 陸王は止めてくれていたのに、あんなひどいことを…
 彼にひどいことをしてしまった……

液体に触れないように空洞内の瘤に手足を突っ張って耐えるトモキ。
だが、部屋はどんどん狭くなり、液体は無常に迫ってくる。
体にも力が入らなくなってくる。
「もう、だめだ…このまま溶けて死ぬのか
 誰か…助けてくれ…陸王…」

「陸王ーーーーっ!」

今更呼んだって来るわけがない。
トモキの頬を涙が伝った。

と、その耳にかすかに声が届く。
彼の叫びを聞きつけた陸王が、トモキのために駆け出していた!

946 :マロン名無しさん :2007/02/08(木) 00:42:46 ID:???
あああああ陸王かわいすぎ。
いやこれ絶対同人誌が出る。確信。

947 :マロン名無しさん :2007/02/08(木) 01:13:01 ID:???
大王ん時とうってかわって今回のトモキはダメダメだなぁ。
でも陸王かわいすぎるぞ! とくにトモキの声聞きつけたときの犬耳w
愛されてるな、トモキは。余程いい飼い主だったのかねえ。

948 :マロン名無しさん :2007/02/08(木) 08:32:43 ID:???
なんかすっごくありふれたエピなんですけど…
陸王が可愛いからいいのか

949 :マロン名無しさん :2007/02/08(木) 14:24:29 ID:???
ありふれた、というか、定石だろ。>信頼再確認エピ

950 :マロン名無しさん :2007/02/10(土) 12:23:12 ID:???
陸王は散歩に行けると思うだけでハァハァしちゃって静止も効かなくなったり、
(トモキにだけかもしれんが)すぐ人に飛びつくような馬鹿犬っぽい面がありながら、
一度出された命令には異常に忠実だな。

951 :第18話 永き闇の夜明け 1/5 :2007/02/12(月) 01:02:30 ID:???
トモキの叫び声を耳にして駆けつけた陸王は、
トモキが入っていった木のこぶが両手を組んだように
ひしゃげているのを見る。
隙間からは動物の体を溶かす消化液が漏れていた。
「トモキ…まさか…
 トモキ! トモキ! トモキーッ!」

「来て…くれたんだな……でももう、だめだ……」
中のトモキは、ほとんど天井に張り付くようにして辛うじて生きていた。
だがもう鼻先まで消化液が上がってきていて、落ちるのも時間の問題だ。
壁は殴っても蹴ってもびくともしない。トモキは半ば諦めかけていた。

陸王は木のこぶに取り付くと、力いっぱい蹴ったり、
首の鎖でこじ開けようとしたり、必死にトモキを助けようとし始める。
「陸王! もういい。僕が…自分が悪かったんだ。こんなワナにかかって…
 陸王が止めてくれたのに、信じることかできなかった……」
トモキがいる空間がまた狭くなった。前髪が消化液について少し熔ける。
「もういい…もういいよ、陸王。
 あんな仕打ちをしたのに、来てくれただけで…うれしかった……」
涙が滴り落ちて、水面に広がってゆく。

だが、陸王は諦めようとしない。何度も落ちて傷だらけになろうと、
首輪がすれて血が流れようと、疲れて息が切れようと。
「大丈夫だよ、トモキ。ゼッタイ! 絶対助けるから」
何度も木を傷つけようとする陸王の足元で、
木の表面がかすかに蠢き始めていた。

952 :第18話 永き闇の夜明け 2/5 :2007/02/12(月) 01:07:00 ID:???
ひとり別れてのぞみの幻影と向かい合うミケは、この森の罠に気付いた。
もちろんさっき誘い込まれていったトモキが危ないのにも思い当たった。
「……でも、なーんで頼まれもしないのに、
 あんなヤな奴助けにいかなくちゃいけないわけ?」

その時、彼女の目の前に立つのぞみの幻影が言った。
「どうしたの、ミケ。何か迷っている?」
「いっ……いーかげんにしてよね!! あたしの心を読むのは!
 いつまでもあたしののぞみの姿してんじゃないわよ!
 だいいちあんたたちがひどいのよ、人の思い出を食いちらかして!」
ミケの言葉にも、のぞみはただ黙って微笑んでいるだけ。

かっとしたミケはのぞみの幻影に殴りかかった。
「あんたなんてホントののぞみじゃないんだから……!
 ホントののぞみだったら…」

ただの幻のはずののぞみは真摯な顔でミケに語りかけた。
「友樹くんを助けに行ってあげて」
そのほんの一瞬、本物ののぞみのにおいがした。
ミケの手はのぞみの姿をすり抜け、幻は消える。

 −−そうだ、意地をはってる場合じゃない!
 もしホントにトモキに何かあったら……
 のぞみが悲しむことになる!

きびすを返して駆け出したミケは、
ある木の高い枝に輝くものを発見する。
トモキのアームターミナルだった。
「トモキ、あのバカ なんであんなトコにあんのよ!
 アレがないと本当にただのバカじゃない!」

953 :第18話 永き闇の夜明け 3/5 :2007/02/12(月) 01:11:45 ID:???
トモキは心も体ももう限界だった。
思考力はなくなり、彼の命を支え続けてきた腕も足もしびれている。

 ここで手を放したら楽になれるじゃないか?
 死ぬのはどんな感じかな…
 永遠に気を失うようなものだろうか
 いずれにせよ、もう…

指先が力を失って滑り落ちた、その瞬間、
外から光が差して陸王がトモキの腕をつかむ。
汗びっしょりで傷だらけの陸王は、嬉しそうに笑った。
「へへへ、ちょっと穴あいた」

何度も高いところから落下したせいで体中擦り傷と泥だらけ、
木を破壊するのに首輪の鎖を使ったため、
両手と首は傷だらけで流血している。
だが、陸王はただトモキを助けられることが嬉しそうに、笑っていた。

954 :第18話 永き闇の夜明け 4/5 :2007/02/12(月) 01:16:07 ID:???
まだ穴は小さくてトモキが出られるほどではない。
陸王はトモキを助けようと、穴の周囲に手をかけて力を込める。
が、そんな彼の背後から急速に膨れ上がった木の瘤が
大きな顎のようなものを作り出して、足に噛み付いた。
それは今しもトモキを食おうとしているものの小さなもので、
陸王の足に食らいついて溶かしてゆく。
陸王は顔を伏せて痛みに耐えた。

「陸王! 手を放せ! 今ならおまえは助かる!」
「いやだ! 今放したらトモキがその水に落ちるじゃないか!」

トモキは陸王に笑いかけた。
「いい! 陸王、よくやってくれた」
彼は言うなり陸王の手を自ら振り払う。

だがその瞬間、彼は少女の姿を見る。
彼女は離れそうになった陸王の手を、トモキの手に重ね合わせた。
その姿は透けていて、幻か幽霊のよう。
トモキは彼女の名を信じられない思いで口にした。

「のぞみ……!?」

955 :第18話 永き闇の夜明け 5/5 :2007/02/12(月) 01:18:26 ID:???
そこへ、ミケがアームターミナルを持って木の枝をわたって駆けつけた。
「落としモンじゃないのさ! このバカー!」
ミケは穴の中のトモキに向かって力いっぱいアームターミナルを投げた。
アームターミナルは光の粒子となって分解し、
瞬時にトモキの腕に装着される。

瞬間、隕石が光り輝いた。
隕石から放たれた無数の光の槍は食肉植物を打ち砕き、
トモキと陸王を解放する。
とっさにトモキは陸王をかばった。

隕石の光はトモキを助けるのみならず、
周囲の木々すら貫いて粉々に消し飛ばし、
森の一角を丸ごと吹き飛ばした!

木のかけらがばらばらと地に落ちる。
大地に放り出され、安堵の息をつく三人に、
闇を裂いて昇り始めた太陽の光が降り注いだ。

956 :マロン名無しさん :2007/02/12(月) 10:28:16 ID:???
陸王がもうただ一途にトモキを助けにいくのに対し、
ミケは、理詰めに結論を出して助けにくる(まあ読者に対する解説兼ね)ところが良いな。
そうやって信頼を重ねてきてる。
それにしても…奇跡?  のぞみはどういう状態なんだろう?

957 :マロン名無しさん :2007/02/12(月) 16:28:52 ID:???
ネットワークのことといい、のぞみも友樹も重要人物らしいけど、
何が基準なんだろか。星を操る能力とか?
のぞみが敵側の星使いとして出てきたりして。

958 :マロン名無しさん :2007/02/13(火) 10:42:20 ID:???
つか、のぞみ生きてる? ヤバくね?

959 :第19話 時空の扉 1/5 :2007/02/13(火) 23:26:34 ID:???
トモキの星のきらめきが食肉植物の森を破壊したとき、
あのサングラスの男もまたその光景を見ていた。

メサイアに呼ばれたとはいえただの子供、
この異世界で生きてたどり着くことはできまいと思っていた。
だが、力は確実に強くなってきている。

男はトモキを危険視し始めていた。


トモキは破壊された森の中で息をついてつぶやく。
この森にも悪いことをした。森は、ただ生きるために、
人をうまく捕まえる方法を手に入れただけだったのに。
だが、陸王が笑って答える。
「えーっ、でもこっちだって食べられちゃかなわないよ。
 とっさだったし……それにまた生えてくるよ」

 折られても……岩があっても……
 種がうっかりアスファルトの上に落ちちゃっても……
 失敗しても 失敗しても

「失敗しても、失敗しても……か…」
トモキはしばらく空を見つめていたが、やがて微笑んで立ち上がる。
だが、ミケがどこか沈んだ表情で言った。
「のぞみって本当に…どっかで生きてるのかなあ
 あたし、のぞみの幽霊みたいなの見ちゃった」
トモキはぎくりとする。
彼もまた見ているのだ、幽霊のように現れた彼女を。
そうこうするうち森を抜け、彼らはだだっ広い荒野に出た。

960 :第19話 時空の扉 2/5 :2007/02/13(火) 23:30:02 ID:???
「もし…もし…のぞみが死んじゃってたら…あたし…」
「大丈夫だ、大丈夫だよ、きっと」
トモキは、涙を浮かべるミケを慌てて慰めようとする。

「うん、そうじゃ。生きておる。生きておるぞよ」
唐突に、おかしな老人がミケの手を大きな虫眼鏡でのぞきこんだ。
どうやら手相を見ているらしい。
ミケは反射的に悲鳴を上げて老人の顔を引っかいた。

「すいません、すいません、この子触られるのが嫌いで…」
慌ててフォローに入るトモキ。
「う〜〜〜ん、レイディのおててをいきなり握ったのはまずかったかの」
老人はそんなとぼけたことを言うと、トモキに手を突き出した。
「見料!」
「えっ、いっ、今ので?」
「100円!」
「100円〜〜〜〜!?」
どうやら老人は占いをするらしい。
トモキはうろたえつつも荷物から手持ちのお金を出して渡した。
だが、こんな世界でお金なんかもらってどうする積もりだ?

「ほっほっほっ。これで久しぶりにコンビニでアンパンを買うのぢゃ」
「コッ、コンビニー? (やってんのか?)」
言葉だけで驚くのは早かった。
トモキからせしめた100円を持っていそいそと老人はある方向へ歩き出し、
その向こうにはぼんやりとコンビニが現れたのだ。

961 :第19話 時空の扉 3/5 :2007/02/13(火) 23:34:00 ID:???
老人は『コンビニ』に入って、アンパンを持って出てきた。
彼の背後で『コンビニ』は再び霞のように消滅した。
呆然と見守る三人の目の前で、老人は楽しそうにまたある方向へと歩き出す。
「そうじゃ、そろそろスペシャルモ〜〜〜ニングの時間じゃ。
 あそこのマスターはようできとる。
 食えるものはゴミと別にパックに入れて出しといてくれるからな」

老人の目の前で、なにもない空間が扉の形に切れて開いた。
その向こうからちょび髭のエプロンをした男が現れ、
ポリバケツとポリ袋に入れた食べ物を置いて『扉』を閉める。
老人はポリ袋の中から食べ物を出し、美味そうに食べ始めた。

「なっ、なんなんですか、いったいーーーーっ」
目の前の信じられない光景に口をぽかんと開けて、
トモキは老人に何者なのかと問いかけた。
老人はサクランボを口に含んで答えた。
「わしゃただのその日暮らしのジジイじゃ」

ホームレスだった老人はあの日町の隅っこで寝そべっていた。
 別にもう何もいらん。このまんまでええ。
 このまんまの暮らしがしたいと、あの夜も思うとった…
願いは叶った。老人はこの無人の荒野で、
あの街にいたときと同じような毎日を過ごしているのだ。

「おまえら、これから西に行く気じゃろう」
老人は西の荒野をさした。
ここから西はもっとも隕石が多く落ちた場所。
クレーターだらけの荒野だ。何がおきるかも解らない。
ところどころ時間や空間もゆがんでしまっているらしい。
だが、ここにいれば老人とともに暢気に暮らせるだろう。

962 :第19話 時空の扉 4/5 :2007/02/13(火) 23:34:49 ID:???
トモキはさっき『喫茶店の裏口』だった扉を見つめた。
「時間と空間がゆがんで…そうか、それであの扉……
 あの扉のむこうは……?」
「もちろん、そういう道もある。
 もとの…流星が落ちる前の世界に通じていると信じて
 その扉を通っていった者も何人か……」
「もとの…世界…」
「もっとも、ホントに戻ってきた奴はいないから、
 ホントはどうだったかは知らないがね」
トモキは吸い寄せられるように扉に近寄っていった。

 この扉…この扉を開けたら…
 喫茶店のキッチンなんかがあって…
 店の表へ出たら…あの喧騒の町があり…
 退屈だけど平和な、あの日々がまた始まるのだろうか?

陸王とミケは黙って見つめている。
トモキの指は今にも扉のノブに触れようとしていた。

だが、彼はノブには触れず、強い意志をもって振り向いた。
「いや…もしこの扉の向こうが本当にそうだったとしても…
 この世界の父さんやのぞみが僕を待っているなら……
 僕は探しに行こう」

963 :第19話 時空の扉 5/5 :2007/02/13(火) 23:36:21 ID:???
老人は笑っていた。
「よかったのォ。
 今までここに来た人間はみんなその扉をくぐってしまったが、
 わしはそいつらの夢をよく見るのじゃ。
 出してくれー、出してくれーとわしの頭の中で叫んどる夢をの」
「そっかー、これはおじいさんの夢でできた扉だから」
「えっ、でっ、でもそれって本当ですか!?」
うろたえるトモキに、老人は笑って「どう思う?」と問いかけた。

老人はかつて本当に易者だった。
よくあたると有名で、多くの政治家や社長の相談に乗り、大金持ちにもなった。
だが、老人が見た人々は皆、人より未来を見たい、
人より得をしたい者ばかりで、嫌になってしまった。

「じゃが今、あんたの未来は見てしんぜよう。
 なかなかよい目じゃ。わしにはわかっとったよ。
 つらいこともあろう。嫌になってしまうことも…
 でも誰にも…わしにも越えられなかった荒野を、あんたなら越えられる」

老人と別れて西へと向かうトモキたちは、
はるか遠くなってしまっても老人が手を振っているのを見る。
ずいぶん熱心に見送ってくれるものだ。

「しまったーっ! 今の見料もらっとくんだったーっ! おーい、戻ってこーい!」
……そんな言葉は、三人にはもう届かなかった。

964 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 01:01:58 ID:???
堤抄子はうさんくさい爺さんを描くのが何気にうまいと思った。
この爺さん、助言だけしてトモキたちとは別れちゃうんだね。
RPGにおける賢者ポジションな感じか。
手を握られて悲鳴を上げるミケがカワイスw

965 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 01:21:07 ID:???
結局頭の中に閉じ込められるってのは嘘で、
本当のところ帰れるかどうかはわからないのかな。

何もいらないと望んだことでそのままの暮らしを手に入れるってのが面白いな。

966 :マロン名無しさん :2007/02/15(木) 04:11:03 ID:???
この回はショートショート的にすごい良くできてるな。
フェイクもうまいし。

967 :第20話 ゲート・タウン 1/4 :2007/02/15(木) 23:14:39 ID:???
巨大な機械の一部のように座るメサイア。
「世界の設計は…完了した………
 これで…すべて……」

巨大な門に寄りかかり、サングラスの男はつぶやく。
「これですべて順調…か? いや、ちがうな。
 メサイア様ともあろう方がお気づきでない…
 一つ不確定な要素がある…
 我らが呼び寄せたあの者たち…」

 あの少年……あの少年が我らにとって
 吉と出るか、凶と出るか……


荒野を渡る長い旅をするトモキたちは、
獣人やリザードマンのようなものたちに追われていた。
「それだッ! その石をよこせ!!」
問答無用で襲い掛かってくる獣人を、
トモキの星の輝きが弾き飛ばす。

アームターミナルを銃に変形させ、身構えるトモキ。
「おまえら! どういうつもりだ!!
 命が惜しかったら失せろ!!」
だが、獣人たちはトモキの持つ星を欲しているようだ。
どうやら隕石には莫大な賞金がかけられているらしい。
「ぶっ殺してでも奪い取れ!」

トモキは敵に銃を向けることもなく光の弾丸を撃った。
弾丸はトモキの周囲をぐるりとまわり、
何体もの敵を一撃で貫いた。
トモキは完全に自分の星を使いこなしているようだ。

968 :第20話 ゲート・タウン 2/4 :2007/02/15(木) 23:15:45 ID:???
荒野の果て、クレーターの近くにトモキたちは町を見つける。
メサイアがいるというのはここなのだろうか。
町並みはまるで西部劇のよう。
そして、彼らの行く手にはカウボーイの格好をした
幼い少年がロバのような乗用動物に乗って現れた。
少年の目は何か覚悟のようなものを秘めている。

襲ってでもくるのか、という雰囲気だったが、
彼が乗る動物が大欠伸をぶちかまして雰囲気をぶち壊す。
気を緩めたトモキたちが少年に声をかけると、
少年は腰から拳銃を抜いた。
「おい! そこの! 左腕の星を渡せ」

こんな小さな子供まで賞金稼ぎとは、
この町は一体どうなっているのだ。
「そんなに星を使って望みをかなえたいのか!?」
といいつつも、トモキは少年と戦う気にはなれない。
いくらそんな格好をしていても、銃だって玩具かも知れないし……

バカにされたと思ったのか、
少年はトモキに向けて引き金を引く!

本物の銃から飛び出した本物の弾丸は、
トモキの頭てっぺんすれすれを焦がして天空へ消える。
ついでに少年は本物の反動で動物から滑り落ちて地面に落ちた。

少年の腰から小さな砂粒のようなものがこぼれ落ちて地面に散らばった。
少年はトモキたちのことは忘れ、小さな星のかけらを必死に集め始める。
「父さんのために集めた…父さんの星が…」
地面にはいつくばってかけらを捜す少年は、目に涙をためていた。

969 :第20話 ゲート・タウン 3/4 :2007/02/15(木) 23:16:46 ID:???
トモキたちは少年の事情を聞き、彼につれられて町へ行った。
崩壊後にもかかわらず、町には人が多い。
メサイアに願いをかなえてもらおうと思う人や、
メサイアに世界を救ってもらえると思っている人々が
集まってくるのだという。
だが、少年は表情を暗くする。

少年の家では、彼の父親がベッドに横になっていた。
だが、父親だという人は、体の半分を爬虫類のような鱗に覆われ、
人ではないものに変異しかかっていた。
もはや意識はなく、ただ変異への猶予を与えられているに過ぎない。
少年は父親を治そうと星を集めて祈っていたのだ。
それでも変化がゆっくりになった程度。
町にいるどの医者にも治せない……

「あの門! あの門のせいだ!
 父さんがあの門を通ろうとさえしなければ−−!」
この町にはメサイアに会いに来た人が大勢いるのに、
メサイアに会った人は誰もいない。
それは、町外れに立つ時空門(ゲート)が怖いからなのだ。

 正しき者だけが通ることができる…
 悪しき者が通ろうとすると怪物に変えてしまうという
 あの審判の時空門が!!

正しい者だけが通れる、という言葉に疑問を感じるトモキ。
少年の父親は、少年とともに田畑を耕せる豊かな地を捜すため
メサイアに会いに行ったのだが、その時にあのゲートに打たれて
このような姿になってしまったのだ。

970 :第20話 ゲート・タウン 4/4 :2007/02/15(木) 23:17:57 ID:???
「父さんが良くない人間だったから?
 悪い人間なの? …そうは思えない!
 そりゃあ完璧に正しい人間じゃないかもしれないけど……」

「完璧に正しくなければ、神様は助けてくれないのかよ!?」

それでも、門を通ってゆけるものもいる。
どこかから連れてこられたような人々だ。
門にはじかれて怪物になった者は、
人間の記憶も失ってしまっているので荒野に追放される。

 そのほうが父さんも生きながらえたのかもしれないんだけど…
 でも僕は、離れたくなかったから…

少年は父親に目覚めてくれと呼びかける。
だが、父親は爬虫類の目を見開いてヒューヒューと呼吸音を漏らすばかり。

971 :第20話 ゲート・タウン 5/5 :2007/02/15(木) 23:18:43 ID:???
少年はトモキの左腕に抱きつくように懇願した。
「あんた! こんなにでっかい星を持ってるんだったら、なんとか父さんを助けてよ!」
少年に何でもすると泣かれても、少年の父親を癒す力はトモキの星にはない。

「隕石は持ち主によって特定の力を発揮するんだ。
 きっと僕の心の一面なんだろう」
 これは物を壊したり怪物を殺したりする、破壊の星……!

それでもトモキは少年に約束する。
メサイアが本当に救済者なのかを確かめに、
少年の父親を助ける方法を探しすために、
門を抜けてメサイアに会いに行くと。

……と、見栄を切った直後にトモキは頼りないことを言う。
「でも本質が破壊者じゃあ、ゲートをくぐれそうもないなァ」
「えっ、じゃっ、どうするの」
「大丈夫」
トモキは自信のありそうな笑顔で応えた。

 「破壊者」が……ゲートをくぐる方法は一つ……

トモキの星が光となって銃へと姿を変えてゆく。

972 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 00:04:35 ID:???
少年が実は少女だったという落ちはないのか

973 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 00:05:49 ID:???
というか、何故に西部風なのだろうか

974 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 01:29:02 ID:???
メサイアの趣味。

トモキたち今回でいきなり戦い慣れてる風になってたけど、
占いジジからかなりの時間が省略されたんだろか。

975 :マロン名無しさん :2007/02/17(土) 15:40:27 ID:???
>>974
服装も前回とはがらっと変わってるね。
トモキは脚にゲートルみたいなのを巻いてるし、ミケも陸王もマントを羽織ってるし。
結構長い旅を続けてきたような描写になってる。

976 :マロン名無しさん :2007/02/17(土) 22:51:19 ID:???
前回来れなかったんで、一言。
占いホームレス爺さんの回、好きだあーー!
バイク乗りのボスの話と同じくらい気に入った。

自分の本質が破壊者だと言う友樹、覚悟があっていいな。

977 :第21話 審判の門 1/4 :2007/02/17(土) 23:14:01 ID:???
町外れに立つ、機械でできた門。
ただ門だけがそこにあり、意味を成すものには見えない。
だがそれは確実にメサイアの居る地と町を隔てている。

 その門は時空の門……ここを通らないと
 メサイアのいる神の塔へは行くことはできぬ。
 しかもまこと正しき者しかこの門をくぐることはできず
 そうでない者は怪物にかえられてしまうという……

「トモキはちゃんと通れるよなっ、きっと」
「いや…まやかしだ」
トモキは隕石の銃を門に向ける。
「神でもないこの世のものが、人の善悪を判断するなんて…」
「…でも、町の人たちが言うように、メサイアが本当に神だったら…」

門の周囲はただの荒野だが、門の中を見ると機械的な塔が見える。
その門の真下に、サングラスの男が立っていた。
「メサイア様は神…いや、神になるお方と言うべきかな。
 神の審判の門を壊しては困るよ、友樹くん」
陸王はこの男の存在に気付いていた。
前からトモキたちを影から見ていたのだと。
「そう…見守らせてもらった。君のお父さんのご要望でね。
 あともう一人捜しているだろう。のぞみとかいう少女…」
三人は思わぬ言葉に驚く。


978 :第21話 審判の門 2/4 :2007/02/17(土) 23:15:19 ID:???
男は二人とも塔の中に居ると言い、ゲートの下から三人を招く。
「会いたいだろう? さあ、この門をくぐって来るがいい。
 大丈夫だ、お前たちは神に選ばれた「善き者」だから……
 選ばれし者の力で、新しい世界を作るのだ」
男を見つめていると、なぜか視界がわずかに揺らいだ。

少年はトモキたちのことを思い出していた。
変異しかけの父の手を握り、語りかける。
だが、そこへ二人のメサイアの兵がやって来た。
少年が、集めた隕石をメサイアに差し出さず、
隠しているのを知って、奪いに来たのだ。

銃を向けて、すがる少年を突き飛ばして星を奪い取る兵たち。
「お前たちが何も願う必要はない
 すべてメサイア様が良いようにしてくださる」
兵は、殴り飛ばした少年に隕石集めの賞金として札束を投げ与えた。
「お金なんて…世界をたてなおすってなんだよ……
 僕らの欲しいのは……
 ちくしょう、その星のおかげで父さんはやっと
 生きのびてこれたのに…」
少年は家を出て行った兵を追いかけた。

男たちは奪った隕石を手に、
トモキたちの横を抜けて門をくぐってゆく。
彼らは追いすがってくる少年を背に、苦々しく吐き捨てた。
「しつこいガキめ。反逆罪で殺しちまっても良かった」
トモキの「この門はこんな奴らも通すのか」との問いに、
サングラスの男は答えない。

979 :第21話 審判の門 3/4 :2007/02/18(日) 00:00:28 ID:???
「返せ! 僕の星を返せよ! 父さんを殺す気かよ!!」
少年は男たちを追って門をくぐろうとした。
今まで無反応だった門は、少年に反応して作動する!
その瞬間、トモキは星の銃を撃った。
光の弾丸は審判の門を粉々に砕く!

「審判の門というのは真っ赤なウソだ…
 やっぱりてめーらの都合のいい奴通してるだけじゃないか」
トモキは門の残骸を越えて進む。
父親とのぞみを、こんなうさんくさい所から連れ帰らなければならない。
トモキは、少年に向かって振り返った。
「おい、ぼーや! 家で待ってな。
 君の星は必ず取り戻す!」

時空の門が破壊されたためか、
神の山と呼ばれる地を覆い隠していた時空の壁が晴れた。
町からも、天を貫く神の塔が見える。

サングラスの男はレシーバのようなものに命令を下す。
「侵入者が3人…ケガをさせてもいいが、殺すな」

塔に侵入したトモキたちに、大勢の兵士が襲い掛かる。
トモキは星の銃で兵士たちを退けて奥へと進んだ。
「くそう、なんで聖地にこんな武装兵士がいるんだよ」

980 :第21話 審判の門 4/4 :2007/02/18(日) 00:01:15 ID:???
サングラスの男は独白する。
いつものように精神を操作しようとしたのに失敗してしまった。
このままトモキを父親やのぞみに会わせるわけにはいかない。
「二人とも計画の重要な鍵となる者…
 まあ、いざとなれば…
 自分で手を下すなど私の趣味ではないが…な…」

塔の内部では、メサイアが何かを始めようとしていた。
「そろそろ設置を開始する。準備は良いか」

「トモキ、このまま走り回っていても二人は見つからないぜ……」
そんなことは解っている。だが、どこを捜せばいいのか……
その時、ミケはかなり離れた扉の前に、
白い服を着たのぞみの姿を発見する。
のぞみはある扉を指差しているようだったが、
見ている前で、その姿は消えた。

塔のある場所で、のぞみは手術台のようなものに横たえられていた。
腕に点滴が刺され、眠っているようだ。
彼女は眠ったままトモキの名をつぶやく。
「薬でこれほど深く眠らせているのに
 時折夢を見ているようなのです。不思議です」
「フム…では…始めようか…」
のぞみを見下ろすメサイア。
メサイアの計画が、始動しようとしていた。

981 :マロン名無しさん :2007/02/18(日) 06:20:08 ID:???
えええ? 急展開だよね? 最終回近いのかなあ?
とりあえずのぞみは生きていて、夢を見ることで、トモキたちとコンタクトとってるって感じか。

982 :マロン名無しさん :2007/02/18(日) 21:27:58 ID:???
ミケはいいんだけど、トモキにとってののぞみって、北斗の拳世界みたいな
荒野を渡って追い求めるほどの存在なのだろうか?
逆に、のぞみの側からも、薬漬けにされた夢の中でも傍らに寄り添うほど
トモキに強い想いがあるというのにも、疑問を感じる。
二人の関係って、互いに相手の好意を間接的に知ってる、お隣さんで
同級生ってだけだよな。ちょっと描写薄くね?

クライマックス、のぞみに再会して「のぞみ!」とか言って抱きつくトモキを
「ちょ、何すんのよ大空君」と拒絶するのぞみの図を危惧してたよ。
生霊と、今回の寝言を見るに、それは杞憂であった訳だが。

983 :マロン名無しさん :2007/02/19(月) 01:17:25 ID:???
のぞみの方はトモキのことすごい好きに思えるなあ。
トモキの好意をばらされる前から
トモキの些細な失敗なんかをことあるごとにペットに話しかけまくってんだし、
普通に自分からいいなーって思ってたんだろう。
だからこそトモキが自分を好きだってばらされて嬉しそうだったんだろうし。

984 :マロン名無しさん :2007/02/19(月) 16:08:13 ID:???
次スレどうするの?

985 :第22話 迷宮 1/4 :2007/02/19(月) 23:03:22 ID:???
倒しても倒しても兵たちはトモキたちを追ってくる。
通路を埋めるような数だ。
さっきのぞみの姿が見えたところへ行こうとする三人だが、
追われているため位置はずれ、上がる場所も見つからない。

と、前から突然現れた兵士の銃にミケが肩を撃ちぬかれる。
同時にトモキをかばった陸王も危ういところで弾丸が頬をかする。
とうとう動きを止められた三人を、何十人もの兵が取り囲んだ。
「よーし、そのまま左手を動かすな。
 お前以外の三人は殺してもいいと言われてるんだ」

トモキは腕を動かさなかった。が、左腕の隕石は強烈な光を放ち、
瞬時に銃と化して床下から地雷のように兵士たちを吹き飛ばす!
倒れて動かなくなった兵士たちは、中身が機械だった。
ロボットだから倒しても倒しても尽きることなく襲ってきたのだ。

三人は兵たちをまくため曲がりくねった廊下を走った。
しばらく逃げ続けると、相手はようやく三人を見失ったらしい。
三人はある十字路に座り込み、それぞれ壁にもたれて息を整える。

986 :第22話 迷宮 2/4 :2007/02/19(月) 23:04:42 ID:???
ミケは左肩のケガが深いのか、痛そうに押さえている。
「ミケ、大丈夫?」
「うん…平気。だってせっかくのぞみを捜してここまで来て…」
ミケが自分の傷をなめようとしたとき、
横から陸王が彼女の傷口をなめた。
「っきゃあ! 何すんのよコノ気色悪いー!」
悲鳴を上げて抗議するミケの肩に
自分のマントの切れ端で作った包帯を巻き、陸王は微笑んだ。
「ミケは偉いな。
 オレはずっとトモキと一緒だったし、遠くまで来ても平気だった。
 でもミケは違う。普通は猫はこんな旅はしない」

ミケはまつげを伏せた。
「あたしはただ、のぞみに会いたいだけで…」
「きっともうすぐ会えるよ」優しく微笑むトモキ。
「3人でがんばろー」いつもの調子で屈託なく笑う陸王。
ミケもかすかに顔を赤らめはしたが、素直に「うん…」と答えた。

そんな三人を、監視カメラが見ていた。
モニタに映る三人の姿を見つけ、サングラスの男は微かに笑う。
「見つけた……残念だな。そこにはしかけがあるんだ」

三人はちょうど、十字路のそれぞれの壁に寄りかかっていた。
そこへ、通路を分断するように、十字の隔壁が降りてきたのだ!
三人はとっさにそれぞれ近い通路へとさがって難を逃れたが、
三人はばらばらにされてしまった。

987 :第22話 迷宮 3/4 :2007/02/19(月) 23:06:34 ID:???
トモキは星の銃で壁を破壊しようかと思うが、
まだ気付かれていない可能性もあるのに、
ここで武器を使えば確実に居場所がばれて、
またあのロボット兵が押し寄せてくるだろうと思いとどまる。
壁の向こうの二人に呼びかけても返事はない。
それでも、この通路をぐるりと回り込めば合流できるのかもしれない。
「とりあえず、じっとしてても始まらない…」
トモキは隔壁に背を向け、通路を駆け出した。

最初にトモキが、そして陸王が移動を開始する。
監視カメラの映像を見て、サングラスの男は命令を下す。
「3人バラバラに処置しろ」

一人になってしまったミケは、隔壁を見つめて悩んでいた。
だが、そこへあの兵士たちが大勢押し寄せてきた。
囲まれて絶体絶命かと思いきや、
ミケは吹き抜けの周囲をはしる通路から飛び降りた!
四階分を軽く空中回転して華麗に着地するミケ。
何事もなかったかのように下の通路を逃げ出す彼女に、
さしもの兵士たちもあっけに取られてしまう。
「おい、あんな下へ下りたぞ! 基部へ行かせるな基部へ! 追え!」

988 :第22話 迷宮 4/4 :2007/02/19(月) 23:07:50 ID:???
逃げられたとはいえ、目的地やトモキたちとは大幅に離れてしまった。
ミケは逃げながら階段を捜す。
細い通路を走ってゆくと、少し向こうが広場になっていた。
その、かなり離れてはいるが前のほうを、
白い服の少女を抱いたメサイアが通ってゆく。
抱かれているのは、紛れもない、捜し求めたのぞみだ!

思わず立ち尽くすミケの背後から、
彼女を追ってきた兵の足音がする。
だが、ミケは目の前の光景に気を取られていて、
追っ手の存在など眼中にない。

のぞみを抱きかかえているメサイアを見て、
ミケの記憶がよみがえる。
「思い出した! あんた、あの流星の夜に……!!」

あの日、のぞみはベッドでうたたねをしていた。
彼女の部屋へ、ひとりの白衣の男が階段を上がってくる。
男は眠るのぞみに手を伸ばす。
「これほど近くで、これほど清らかな魂が見つかるとは…」
その手から隕石の輝きのように光が放たれ、
男の全身をボディスーツのように覆ってゆく。
ミケは威嚇したが、もちろん彼女に男を止める手段はない。
のぞみを抱き上げた男は、今目の前にいるメサイア。
そしてあの日、階段を上がってきたのは……

「あんたは、トモキの父さ…」

その瞬間、銃弾がミケの胸を後ろから貫いた。

989 :マロン名無しさん :2007/02/19(月) 23:35:08 ID:???
ミケ死んだー!!?

990 :マロン名無しさん :2007/02/20(火) 00:30:31 ID:???
まだまだ。ここにゃ星はたんまりあるし、逆転の鍵になりそうなのぞみもいるしな。
トモキが破壊者で、オヤジがメサイヤだっていうなら、のぞみにだって何かあるだろ。
眠り姫にも関わらず、既に怪しい能力も発揮してるし。
ラストにトモキ、のぞみ、陸王、ミケは揃ってなきゃな。願望もあるけど、物語の方向性
としてさ。…親父は死ぬしかなさそうだが。

991 :マロン名無しさん :2007/02/20(火) 01:03:03 ID:???
ミケー!
ここはぎりぎりでのぞみが目覚めて何とかする展開を期待。

親父なんかひどく歪んでる感じだな。
結局自作シェルターには入らなかったのか?

992 :マロン名無しさん :2007/02/20(火) 17:39:57 ID:???
8

993 :マロン名無しさん :2007/02/20(火) 21:25:36 ID:pXVLb4hA
ミケー!

994 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 01:21:08 ID:???
スレ残量がわずかなので、こちらで続きを行います。
以下少ないですが楽屋裏でお願いします。

短期連載作品連載中
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1162645200/l50

995 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 04:02:47 ID:???
あらすじさん、お疲れです。いつもうまいまとめ乙。
スタゲーは、やっぱ打ち切りなのかな。
ガンガン自体も隔週のどさくさの中、作者もエルナと掛け持ちで、
どうも今ひとつ感があるが惜しい題材だ。陸王のキャラは秀逸。

996 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 09:07:59 ID:???
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えっ…と、
糞スレはここかな…、と
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      ドスッ
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997 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 09:09:25 ID:???
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998 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 09:12:54 ID:???
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999 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 09:21:31 ID:???
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1000 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 09:22:53 ID:???
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