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短期連載作品連載中
1 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:00:00 ID:???
週刊少年ジャンプ平成7年42号より「PSYCHO+」という漫画が連載された。
この漫画について語ろうじゃないか。

尚、この漫画は超能力レベル8243931931の能力で、2日に1回の速度で連載されるようだ。
時々登校拒否になって変な時期に合併号となる場合もあるが気にしないでくれ。

ちなみに今日はH4年週刊少年ジャンプ51号の発売日だ。

2 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:00:59 ID:???
髪と瞳が緑色の少年に向けられる心ない言葉
「やだあ、あの人髪と目が緑色よ。悪趣味ーっ
 えー?生まれつきなの?ブキミよ!それって!」

平気だよ そう言われるの慣れてるから


STAGE 1 GAME START


あらためて ハイテクノロジーが世の中に蔓延していると感じる瞬間がある――

A.M 3:30
冬の夜、とある公園の中にある通り。緑色の少年が散歩をしている。
「センサー通り」と呼ばれるその通りは人が通ると木々がライトアップされるようになっており、
少年も例に漏れず木々を美しくライトアップさせる。

「キレイだな――木々の緑色は……」

緑丸は生まれつき緑色であることにコンプレックスを抱いており、
奇異を見る目や憐れみに言葉では慣れたなんて言ってみても心の中ではいつも傷ついていた。
こんな髪黒く染めて目にカラーコンタクトを入れてしまおうか――
そんなことを考えながら歩いていると、誰もいないと思っていた公園に人がいた。
ライトアップされた木の根元に座り込み、携帯ゲームをプレイしている少女は、息を呑むほどの美人だった。
視線が合い、緑丸と少女は言葉を交わす。
少女はどうしてあなた緑色なの?と問い、緑丸は生まれつきなんだと返答する。

3 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:01:30 ID:???
「綺麗ね」

染めたのと違って緑丸の髪はとても自然。染髪によって人は染髪料に負けるのだ。
そして少女は人工物に負けたくない。
だから今もセンサーの後にいてライトをつけさせないようにしているのだという。変な娘。
緑丸と少女は次に会えたら「ストリートバスター3」で対戦しようと約束する。
少女に教えてもらったセンサーの罠にかからない秘密の抜け道を使って緑丸は家路につく。

綺麗か――初めてだな あんな事言われたのは


私立の大きな学園の中等部2年の第一校舎、緑丸はそこに通っている。
登校途中に友達のセンパイと東田に出会う。
変なやつらではあるが、緑丸を偏見に囚われず、普通の「人間」として見てくれている――

一限目は自習になったので、早速「スト3」で緑丸と東田の対戦が始まる。
スト3大会優勝経験のある東田だが、緑丸には何度やっても勝てない。この日も例外ではなかった。
緑丸の「どんなゲームでも負けない」という言葉に反応したセンパイ。奴は窓から女子の体育を見物していたのだ。
その中に公園で会った人工物に負けたくない少女がいた。
彼女の名は水の森雪乃。あだなは電脳少女(コンピュータ・ガール)。
センパイの「秘密の花園メモ」によると最高ランクの美少女で恋人はいないらしい。
チャンスだと言う東田に連れられ、緑丸がやってきた場所はコンピュータ室。
中では雪乃に男が恋人になるように迫っていた。
しかし雪乃の恋人になるには試験を受け、それに合格しなければならない。
試験とはどんなゲームでも良いので雪乃と対戦し、勝てば雪乃を恋人にできるというものらしい。
噂は知っている、と男は「スト3」で一本勝負を持ちかけて来た。
男と雪乃の対戦が始まる。
この日のために指にマメを作って練習してきた男だが、簡単にボコボコにされて試験終了。
もう一回、と食い下がる男に雪乃はムダと言い放つ。

「あたしには誰も勝てないの」

4 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:02:01 ID:???
帰り道、緑丸は雪乃のプレイを思い返していた。
人工物に負けたくないのだから、ゲームにも負けたくないのだろうか、彼女はゲームの天才だ…
でも多分勝てるな…反射速度がまだ甘い!
ゲームマシンはしょせんは機械 全て電気で動く!
内臓されたCPUから命令が出されて画面に出るまで電気の速さの分時間がかかる!
その少しの時間の間隔を取るのが彼女は甘いのだ!

中古ゲーム屋に寄ろうとするセンパイと東田。説明書無しのゲームが安い。
緑丸は帰ろうとするが、ワゴンに山積みされたゲームの中に妙に気になるソフトが一つ…

PSYCHO+

手にとって値段を確認してみる。300円。安い。買っちゃおう。
ゲームを手に取り、緑丸はレジに向うが、緑丸の姿に店員が奇異の目を向ける。
おずおずとソフトをレジに出す緑丸。
雪乃に勝ったとしても緑丸の彼女になったら雪乃まで奇異の目で見られることになる。
「綺麗ね」
あの言葉も憐れな人と思っての言葉なんだろ?


その後も雪乃は毎日ゲームで戦い、どんな相手にも負けなかった。
しかし緑丸は思う。いつかは彼女も負ける日が来る、と。
あんなことをしているとフッた男のウラミを買うだけだし、なにより変な男に負けたらどうするのだ。とても心配だ。
そしてふとPSYCHO+をやっていないことに気付く。
最近は夜の散歩に行っていないな…水の森ちゃんにあんなことやめさせられないだろうか…

5 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:02:46 ID:???
秘密の抜け道を使ってセンサー通りに出る。
初めて会ったときと同じように雪乃は木の根元に座ってゲームをやっていた。
ゲームをやめて自分に向き直る雪乃に自己紹介をする緑丸。
雪乃に名前を確認した緑丸はおもむろにセンサーを作動させ、木と雪乃を照らし出すと、いきなりPSYCHO+で一本勝負を申し込む。
勝負に勝ったらゲームで恋人を選ぶのをやめてもらうという条件で、だ。
緑丸も自分と付き合いたいという人の一人かとうんざりする雪乃に
緑丸は自分のような変な男に捕まって雪乃が不幸になって欲しくないからだと伝える。
自分のことが好きなわけでもないのになぜ心配するのか?と問う雪乃に
緑丸は咄嗟に素敵な抜け道を教えてくれた人だから、と答えてしまう。
もぉイヤ!こんな性格!!!

しかしその甲斐あってか、雪乃は勝負を受けてくれた。
「でも手加減はしないわよ。あたしは冷血なコンピュータ・ガールなのだから」

PSYCHO+を取り出し、勝負の準備。
雪乃がゲームウェアにPSYCHO+をセットする。
RPGだったら時間がかかるわね――などと言いつつゲームを起動するが、
「YOU CAN'T PLAY THIS GAME.(あんたにはできません)」
という表示から動かない。きっと壊れているんだ、このゲーム。
しかし、ちょっと貸して、と緑丸がゲームウェアを持つと「OK!」という表示とともにゲームが動く。
勝った!
あっけない勝負に落胆する雪乃と喜ぶ緑丸。
そのまま緑丸が操作すると超能力レベル1木を動かしてみよう!というメッセージと共に画面に現在地と木の絵が表示される。
あやしい。即刻クソゲー認定する雪乃。
緑丸はとにかく木を動かしてみようとする。
ゲームウェアの十字キーを右に動かす。すると画面の木もスーッと右に動く。

するとメキョメキョという音と共に二人の側にあった木も動き出す――

科学が蔓延しすぎたせいか…ゲームで木を動かす時代が来たようだ

6 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:07:05 ID:???
超能力ゲームか
しかしずいぶん細い絵だこと
少女漫画かと思った


7 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:15:32 ID:???
これはラブコメになるんかな


8 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:32:22 ID:???
よくわかんないな〜、
これからどうなるんだ?

9 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:33:15 ID:???
この女の子すごくかわいい
まさしく最高ランクの美少女
てかセンパイは本当に中学生なんですかw

10 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:36:56 ID:???
ん、変わったトーンの使い方する漫画だな
超能力ゲームでどんな展開するのか…想像もつかんな

11 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:40:33 ID:???
漫画だといろんな髪の色の人間が出てくるけど、
この漫画の世界はそう簡単じゃないみたいだね
まあ確かに緑色の人間が歩いていたらぎょっとしちゃうだろうなあ・・・

12 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 22:40:46 ID:???
あからさまに怪しいゲームだな
なんか落とし穴あるんじゃないのか

13 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 23:11:30 ID:???
すごい独特の絵柄とテンションだな

14 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 23:37:00 ID:???
ちょっと少女マンガチックでない?
コンピューターガールか…この子かわいいね

15 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 23:45:34 ID:???
なんだこれ?
この先、凄く面白くなりそうな気もするが、
「なんだ、これ?」が続きそうな気もする・・・。
微妙だな。ある意味、楽しみ。

16 :マロン名無しさん :2006/11/04(土) 23:59:15 ID:???
これ10週打ち切りじゃね?

17 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 00:08:50 ID:???
まあジャンプから浮いてはいるけどな。
着眼点は結構好きだな。これからの展開次第じゃね?

18 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 00:09:51 ID:???
この作者、前に手塚賞取った人じゃなかった?
「WORLDS」っていうやつ。
今までの人生全てが夢だったって話・・・
けっこうトラウマものの内容だったからこの作品のオチももしかしたら・・・

19 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 00:21:02 ID:???
手塚治虫的な差別され暗い暗い話かな
それなら最高だ

20 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 00:36:34 ID:???
ゲーム機丸っこくてなんかいいなぁ。欲しい。
所でメモに載ってた幼女はいつ出ますか。

21 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 00:56:53 ID:???
東田・・・(笑)

22 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 01:09:53 ID:???
ゲームが現実に作用するってかなり面白い設定だと思うんだけど
これから木以外も動かしたりできるようになるんだろうな

23 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 03:02:30 ID:???
なんか昔ファミコンであった気がする。
超能力を身につけれるゲーム、とかいうの。

24 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 07:15:58 ID:???
テンポ良く一気に読めた。
『Lv1』って事は能力増えていくんだよな
空を飛ぶ位はっちゃけた事して欲しい。
今の黄金ラインナップに負けず頑張れ。

25 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 09:21:12 ID:???
何この劣化萩原

26 : :2006/11/05(日) 11:02:46 ID:???
こーいう設定嫌いじゃないな。
でも絵柄が好かん。


27 :マロン名無しさん :2006/11/05(日) 17:24:13 ID:???
>>18
最後眠ってる間に食肉として売られるんだよな…
てかジャンプでこの絵は間違いなく浮いてると思う。

28 :STAGE2 1/2 :2006/11/06(月) 22:00:01 ID:???
STAGE2 グリーン・コンプレクス
ゲームの動きに合わせて木が動いた…
緑丸は驚愕する。雪乃も驚愕するが、捉えかたが違っていた。
「木って動物だったのかしら…」
この娘はズレている…しかしそこがまた魅力。
しかし、さっきの木の動きが気になる。もう一度十字キーを操作する。
画面の動きにあわせて、さっきの木も動く。

何なんだこのゲームは!どういうからくりなんだ!!

驚いている緑丸に、木が動物なんてどう思う?と問いかける雪乃。
近くで雪乃を感じ、緊張する緑丸とそれを訝る雪乃。
しかし今の雪乃は樹木動物説に夢中だ。
緑丸は雪乃にゲームが木を走らせたらしいことを告げるが、雪乃に「変」と言われてしまう。
「変」という言葉に過敏に反応し、緑色なのが変と言われたと思い込んだ緑丸はその場を走り去る。

宇宙の生き物総てに不気味がられても…水の森ちゃんにだけはそう思われたくなかった…


翌朝――
学校へ行く時間が来るが、緑丸はカゼみたいだから休むと布団から告げる。
登校拒否はしばしばあるらしく、両親は平然としている。
昨夜、雪乃に「変」と言われたことがまだ堪えているようで、布団を被ってうじうじしている緑丸。
「変」という言葉でゲームのことを思い出す。
取り出して見ると、画面にはサボテンらしきマーク。部屋にはサボテンがある。
十字キーを上に押すと、サボテンが宙に浮く。

この動きは…まるで超能力みたいだ

29 :STAGE2 2/2 :2006/11/06(月) 22:00:34 ID:???
このゲームが他の人にも出来るのかを確かめるために、緑丸は学校へ向う。
その途中、男たちが雪乃のうわさをしているところに出くわす。
どうやら勝負に負けた男がうわさをしているようだ。
悪い噂が立っているではないか。だからあんなことするべきじゃなかったんだ。
もう知らない、と緑丸は校舎へ向う。
緑丸が去った後、雪乃に負けた男は、あんな女殺してやる、とナイフを取り出していた…

校舎に入ると、東田がホネのかぶり物をかぶって緑丸を出迎えた。何をかぶってるんだよ何を!
早速、PSYCHO+を東田にプレイさせ、持ってきたサボテンを横に置く。
しかし…
「YOU CAN'T PLAY THIS GAME.」
雪乃の時と同じ画面がゲームウェアには表示される。
センパイにもプレイさせてみるが、結果は同じだった。

余計変な人と思われそうなのでこのゲームのことは誰にも話さないでおこう…緑丸は心に決める。
そしてうなだれていると、「ノゾキ用新兵器ノビータくんズーム自動」で外を見ていたセンパイが雪乃を発見する。
背後からは怪しい男たちの影が…そこまで聞いて緑丸はセンパイからノビータくんを奪い取る。
変と思われていても、やはり気になってしまう。

雪乃は木を平手で叩いていた。昨日の樹木動物説を実証する気らしい。
しかし木は一向に動かず、動物説に無理を感じ始めた。
「スモウ部にでも入るかい?」
そう言って現れた噂をしていた男。しかし雪乃は覚えていない。
雪乃を威圧する男。
緑丸は異変を察知する。様子がおかしい。
あいつは第一話で雪乃にコテンパンにやられたやつだ!

これは…逆襲というやつではなかろーか!?

PSYCHO+を手に取り、緑丸は教室を飛び出すのだった。

30 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 22:38:27 ID:???
ゲームをどうするのかと思ったが
このまま電脳探偵にでもなるんかな


31 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 22:54:03 ID:???
>木って動物だったのかしら…

ちょwモエスwwww

32 :マロン名無しさん :2006/11/06(月) 23:21:19 ID:???
これはゲームが不思議な力を持ってるということ?
そのうちテレポーテーションとかも出来るようになるんだろうか

33 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 01:14:55 ID:???
来週の予想
植木鉢をナイフ野郎の頭にぶつける

34 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 01:15:37 ID:???
骨が良い!

35 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 02:31:50 ID:???
なんか話のノリが独特だな。
まぁまだ始まったばかりなんで保留

36 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 07:47:48 ID:???
どう動くか分からない話だな
とりあえず水の森ちゃんに萌えとく

37 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 09:10:58 ID:???
センパイ変わったモノ持ってるなあ
この世界ではこれは普通なのか

38 :マロン名無しさん :2006/11/07(火) 23:06:59 ID:???
緑丸…惚れちゃったな
しかし雪乃が心配だ
ゲームは無敵かもしれないけど腕っ節はどうなんだろう
度胸だけじゃどうしようもないこともあるしな

39 :マロン名無しさん :2006/11/08(水) 03:56:26 ID:???
きゃー助けて〜って感じのキャラじゃなさそうだし、水野森ちゃん普通に
この三人組み倒しちゃうんじゃね?

40 :マロン名無しさん :2006/11/08(水) 17:23:41 ID:???
ネガティブなだけかと思ったら
最後ちゃんと助けに行った所は見直した>緑丸
つかフられただけでナイフを持ち出す第一話の男って・・・

41 :STAGE3 1/2 :2006/11/08(水) 21:59:59 ID:???
STAGE3 悪魔の色
木に叩き付けられる雪乃。
少し痛がるが、コンピュータが痛みを感じるとは、と皮肉られ、強がってみせる。
そして男がナイフを取り出す―――

「その気の強さ いつまでもつかな?」
「死ぬまでもつわ」

緑丸は現場へ急ぐ。しかし、三人相手では分が悪い。
助けるには――この方法しかないかな?

死ぬまで?
雪乃は自分に対しても冷たいので抵抗しないという。
試してみる?と問われ、男は一瞬たじろぐが、意を決すると雪乃の服を裂く。
上着が裂かれ、雪乃の肌が露出する。
男たちはその姿に見とれるが、雪乃はそれに構うことなく肉を切れと挑発する。
男は殺人犯になりたくないから顔に×印をつけてやると、顔にナイフを近づける。
ナイフの先端が雪乃の肌に傷を付け、僅かに血が滴る。

ちょうどそこに緑丸が止めに入る。
男たちが緑色に驚き、ミュータントの話を始めた時――今だ!

      ミュータントじゃないよ
   この緑色はね……悪魔の色なんだよ!!

同時に緑丸のうしろに生えていた木が二本、宙に浮かび上がる。
男たちは驚愕し、雪乃は悪魔という言葉に反応する。
ブキミな笑い声を高らかに響かせ、緑丸は木を動かす。
もちろん後ろ手にPSYCHO+を操りながら。

42 :STAGE3 2/2 :2006/11/08(水) 22:00:30 ID:???
逃げようとする男たちの行く手を木が遮る。
殺してやろうか?と凄む緑丸。
すっかり肝を冷やした男たちは命乞いをする。
緑丸の後にいる雪乃はゲームウェアを見て、PSYCHO+を信じ始める。
緑丸は今日の出来事を他言しないことを条件に助けてやると言い、男たちを追い払う。
ウソみたいにうまくいったことに安心していると、雪乃に悪魔のことを聞かれる。
慌てるが、まず雪乃の傷を心配する緑丸。
男も強く傷つける度胸はなかったらしく、傷は浅かった。一・二週間でキレイにとれるだろう。
悪魔が傷の心配をするなんて変、と言われ、もうだめだーと頭を抱える緑丸。
木を動物だと思う女の子なのだ、悪魔を信じ込むくらい余裕だ。

上着を裂かれた雪乃は寒そうにしている。緑丸は自分が着ていたセーターを着せてやる。
これでよかったんだ…彼女を救えただけで満足だよ。
雪乃はこの間の勝負を負けにしておき、約束通りゲームで恋人を選ぶのをやめる、と告げる。
今度は演技の上手い人にしようか――

「いるでしょ?悪魔の演技の上手い人とか」

演技……ってことはこのゲーム「PSYCHO+」のことも信じてくれたみたい!

43 :マロン名無しさん :2006/11/08(水) 23:00:27 ID:???
おっと!急に良い雰囲気になってきたな

44 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 01:21:14 ID:???
プロローグ終了ってとこか?

45 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 01:58:27 ID:???
緑丸、結構ニブいな。
ここはゲームを信じてくれたって喜ぶところじゃないだろーに。

46 :マロン名無しさん :2006/11/09(木) 17:57:56 ID:???
この扉絵凄く好きだ。
最後のアレは、惚れたまでは行かなくとも
雪乃は緑丸に好意を持ったんだよな。

47 : :2006/11/09(木) 18:06:32 ID:???
いい展開になってきたなwktk

48 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 02:59:44 ID:???
もう嫌だとか言ってるわりにノリノリで悪魔やってる緑丸ワロスw

49 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 03:59:48 ID:???
ゲームも気になるがラブコメも楽しみだ

50 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 20:06:15 ID:???
後ろ手にゲームを操作するとはなんて器用な
それと緑丸よかったね緑丸
ちょっとなよそうな主人公だと思っててすまん


51 :STAGE4 1/2 :2006/11/10(金) 22:00:00 ID:???
STAGE4 LEVEL UP

こんなにいい天気なのに 天気予報は午後から雨…

事件の後、雪乃に頼まれて動かした木を元の位置に戻す緑丸。
戻し終えると雪乃は明日の休みに二人でPSYCHO+の謎解きをしようと提案する。
たぬき公園(別名センサー公園)で待ち合わせなのだ。

緑丸はメガネと帽子を付けて雪乃を待っている。
視線――雪乃が憮然とした表情でこっちをみている。
近づくと第一声に緑丸のメガネと帽子を咎める。
緑丸は雪乃が変に思われないように緑色を隠すアイテムとして装備していたのだが、雪乃によってむしり取られてしまう。

「もったいないじゃない
 せっかく綺麗なのに」

よかった、間違いなくキレイって言ってくれてる――

PSYCHO+を雪乃がプレイしてみる。しかし――
「YOU CAN'T PLAY THIS GAME.」
あの時と同じように文字が画面に現れ、プレイできない。
やはりこのゲームは雪乃にはできないらしい。
このゲームは木を動かすことしか出来ないようだが、雪乃には気になることがあるという。
緑丸に渡すと表示されるゲーム画面。

「超能力レベル1」

「木を動かす」はレベル1の能力。
レベル1、ということは当然レベル2も3もあるに違いない。
「木を動かす」を繰り返して経験値を上げればレベルアップするに違いない…と、雪乃は考える。

52 :STAGE4 2/2 :2006/11/10(金) 22:00:29 ID:???
「やるしかないわ」

雪乃の決意の眼差しに少したじろぐ緑丸。
この世にできないゲームがあったことが雪乃にはくやしいのだ。しかも300円のゲーム。
だからせめて緑丸に征服(クリア)して欲しいと願う。
少しは頼りになると思われたいため、緑丸は即答で「やる」と返事をする。
そして早速木をフワフワさせようとするが、雪乃に止められる。
緑丸が動かそうとした木は老齢なため、幹がもろくなっており、動かしたら死んでしまう。
木を心配している雪乃を見て、緑丸は冷血なのではなく、恋愛感情を持って近づく人間には冷たいことを悟る。

雪乃が持ってきた固定された木を使って、経験値稼ぎが始まった。
ひたすら木をフワフワさせる緑丸。
1時間…2時間…3時間…
不毛だ。ひょっとしてこんなことではレベルアップしないのでは?
とにかくこの気まずい雰囲気を何とかしようとして、緑丸は雪乃をゲームセンターに誘う。
ゲームセンター、と聞いた雪乃は表情が曇るが「行ってもいいわ」と承諾する。
そのときPSYCHO+は「LEVEL UP!」という文字を画面に映し出していた。

ゲームセンターに雪乃が入ると、その存在感に店内が注目する。
しかし雪乃の表情が硬い。ゲームセンターになにかあるのだろうか?
とりあえず緑丸は両替をしようとガマグチ財布を開けようとして、小銭をばら撒いてしまう。
不幸な人はよく小銭を落とす。
雪乃が小銭を拾うのを手伝ってくれる。
そこにもう一人、手伝いを申し出る二枚目の男。

雪乃、一太郎とお互いの名前を呼び合う二人。
雪乃は少し顔を赤らめて視線を逸らす。この男はいったい何者?


天気予報は当たりそうだ 空には雲が多くなってきた

53 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 23:26:21 ID:???
確実に元彼だな。
振られたけどまだ忘れられないと見た。

54 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 23:33:31 ID:???
三時間もぶっつづけでやってたのかよwww
LEVEL UP!ってなんだろ。木以外のものも動かせるようになるとか?

55 :マロン名無しさん :2006/11/10(金) 23:34:31 ID:???
レベル2は何を動かすんだろ?

56 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 01:01:16 ID:???
緑丸って髪が黒だったら2枚目だと思ってたんだが実はそうでもないのか?


57 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 03:43:56 ID:???
>>56
かっこいいかもしれないが、
少ししまらない感じがするんだよなぁ

58 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 04:08:20 ID:???
水野森ちゃん凄くいい子でと思うんだが、
正直服のセンスがわる…いやなんでもない。

59 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 04:30:20 ID:???
やっぱりラブコメなのか。
レベルアップしてどうなったかの方が気になるけどなー

60 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 08:59:22 ID:???
ジャンプでこれ読んでたら友達に「お前こんな少女漫画みたいなの
読んでんのかよw」といわれて腹が立った。
そいつをギャフンといわれるぐらいの人気漫画になってくれ!

61 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 09:38:39 ID:???
今更だが、なんで緑丸しかプレイできないのか気になる
元彼らしきヤツもプレイできたりしたらマジで少女漫画

62 :マロン名無しさん :2006/11/11(土) 14:01:16 ID:???
雪乃が顔を赤らめるなんて想像もしていなかった
反応からして元彼とかいうやつなんだろうか

63 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 07:14:49 ID:???
老木を労ったり、こういう時々見せる一面が
魅力的だな。
二枚目の兄さんは間違い無く元彼と見た。

64 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 14:57:16 ID:???
>>58
服もそうだけど、なんか全体的に近未来っぽくないか?
センサー道りとか学校にコンピュータ室とかさ。

65 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 18:07:33 ID:???
正直緑丸より雪乃の方が存在感があるきがする。
てか緑丸はちょっとネガティブすぎるというかね…
今後サイコプラスのレベルアップと共に精神的にも強くなってほしい

66 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 20:52:57 ID:???
もうそろそろ大きなアクションがほしいな。
この男の話しで今後ラブコメメインかアクションメインかが決まるとおも
個人的にはPSYCHO+を駆使したアクションを沢山入れて欲しい

67 :STAGE5 1/3 :2006/11/12(日) 22:00:00 ID:???
STAGE5 運の調節1

雪乃と一太郎はどことなくいい雰囲気。
小銭を拾い終わった一太郎は雪乃に小銭を渡す。
しかし、渡されたのは小銭だけではなく、手紙のような紙も一緒に渡されていた。
雪乃は紙のことを一太郎に問おうとするが、
一太郎は静かにするように伝えると、仕事に戻るとその場を去る。
去り際に雪乃は一太郎の右手に光る指輪を見たのだった。

よく見ると一太郎はこのゲームセンターの店員の制服を着ていることに気付く緑丸。
一太郎と雪乃はどういう関係なのだろう?

雪乃は一太郎のつけていた指輪が気になっていた。

雪乃の回想、雪乃は派手な耳飾りをつけて一太郎に見せている。
だが一太郎が装飾品は嫌いだというと、雪乃はつけていた耳飾りを踏みつけて壊してしまう。

「あたしは一太郎の理想になるの
 耳飾りが嫌ならつけないし完璧が好きなら完璧になるの」

ゲームセンターからの帰り道、一太郎のことが気になっている緑丸だが、雪乃に聞けないでいた。
二人をつないでいるのはPSYCHO+だけ、聞けるような関係じゃないような気がするから。
ふと何気なくPSYCHO+を開いてみた緑丸は、超能力レベル2と表示された画面を見つけた。

近くの公園、いつのまにかレベルアップしていたPSYCHO+を持って二人はベンチに座る。
運をコントロールできます、と表示されたPSYCHO+はどのボタンを押しても反応しない。
わけがわからない、と雪乃。ついに壊れたのかと緑丸が気を落とす。
緑丸がゲームウェアを閉じると、突然PSYCHO+がブザーのような音を発する。

『「危険レベル小」が近づいています!運を使いますか?YES?NO?』

68 :STAGE5 2/3 :2006/11/12(日) 22:00:30 ID:???
突然しゃべるPSYCHO+。
緑丸がゲームがしゃべったことに驚いていると、PSYCHO+は「YES?NO?」と大音量で繰り返す。
その音量に思わず「いえす」と緑丸が答えると、PSYCHO+は沈黙する。
なんだったんだ、とゲームウェアを見つめる二人。
そこにサッカー少年の蹴ったボールが緑丸めがけて飛んでくる!
当たるか、と思われたその時、緑丸はとけたアイスを踏んで足を滑らせ、体制を崩す。
間一髪、緑丸の頭のあった位置をサッカーボールが空気を切り裂いて通過する。あぶねー。
何気なく、ラッキーね、と雪乃が呟く。
その言葉に緑丸がもしや、とPSYCHO+を開くと、160あった運の残量が158に減っていた。
もしかしてこれは緑丸の一生の運の残りが158ってことなのだろうか?
もしゼロになったら一生不幸人間ってことじゃないか!!
しかし――

『「危険レベル小」が近づいています!運を使いますか?YES?NO?』

もう一度警告を発するPSYCHO+。
今度は「のお」と答える緑丸。
それと同時に飛び立つハトの群れ。緑丸にフンのお土産を残して。

上着を脱ぎ、涙ながらに不運だった過去を語る緑丸。
店のレジの前では金を落とし…電車は寸前で発車し…曲がり角では人にぶつかる…
三国一の不幸者!と嘆く緑丸を見て雪乃は笑顔を見せる。
緑丸は今ならあの男の事を聞けるかもしれない、と、何気ない風を装い、雪乃に聞いてみる。

「あたしあの人と付き合ってたの」

5億トンの分銅が落ちてきたようなショックを受ける緑丸。
しかし、一太郎には他に好きな女ができて一月も経たずに別れたらしい。
その好きな女というのが、ゲームの中の女、月子だった。

69 :STAGE5 3/3 :2006/11/12(日) 22:01:00 ID:???
パソコンの画面に表示された女性。それを取り囲むように表示される一太郎への愛の言葉。
指輪を伝わって一太郎へ流れ込む暗示、逃げようとすれば殺すという言葉…一太郎の目から意思の光が消えていく。

「俺も好きだよ 月子」

占いゲームの占い師が好きになった?
雪乃と会うときは月子は美人だとかゲームの中の女だとは思えないなどの話ばかり。
危ない奴。でもまてよ?
占いゲームの噂でそのゲームをやっている人が次々に自殺するというものがあった。
一時期新聞にも話題になっていた、今は販売中止になっているゲームだ。
どーして先にそれを言わないのよ!と無茶な言いがかりをつける雪乃。
急いで先ほど渡された手紙を開く。

   殺される.
   助けてくれ.

70 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 22:12:27 ID:???
五トンショックに笑った。
しかしゲームのキャラに恋をするとは変態もいいとこだな…

71 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 22:32:35 ID:???
水の森チャンの耳飾りが奇抜な件
しかし、運が調節できるのっていいかもな。
どうしてもという場面で使いたいという私は受験生。

72 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 22:33:43 ID:???
完璧が好きなら完璧になるの…か。
冷血な電脳少女いわれることになった原因の一つはこれだろうね。
しかしこの漫画家さんは読みきりの奴といい暗い話が好きだね。

73 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 22:38:01 ID:???
>>71
服装も含め結構ぶっとんだセンスしてるよなw
てかサイコプラスより月子のインパクトが凄すぎる。

74 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 23:22:54 ID:???
雪乃の人工物嫌いはこの辺に理由があるのかな。

75 :マロン名無しさん :2006/11/12(日) 23:38:30 ID:???
耳飾りをぐしゃぐしゃに踏み潰すとは、随分エキサイティングな性格してるな。

76 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 01:48:40 ID:???
あの程度で2消費するのに残り158ってかなり運がないと思う

77 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 14:56:38 ID:???
>>75
感情的すぎるとは思うけど、それだけ一途な性格ってことなんだろう。
といいますか一太郎って明らかに緑丸より年上っぽいんだけど
実際のところ何歳ぐらいだと思う?

78 :マロン名無しさん :2006/11/13(月) 21:38:53 ID:???
大人っぽく見えるけど、水の森ちゃんもまだ中学生だよね
一太郎もそんなに緑丸と歳離れてないんじゃないかな
せいぜい高校生くらいかと自分は思ったけど

79 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 17:21:40 ID:???
ダークな展開キター
緑丸が男を見せる好機なんだろうが
一太郎が死んだらネ申


80 :STAGE6 1/3 :2006/11/14(火) 22:00:00 ID:???
STAGE6 運の調節2

午後から出始めた雲がついに雨を降らせた。

自室で一人緊張する緑丸。
これから一太郎の家に侵入しなければならないからだ。

あの後、緑丸は自殺ゲームの事を雪乃に詳しく話した。
そのゲームは一年程前に発売された、金銭運や仕事運を調べるための占いのソフトである。
占いは通常一日一回調べれば事足りるはずなのに、そのソフトはなぜか何度もやってしまう。
そして美人の占い師を見ているうちに意識が薄れ、一種の催眠状態に陥り、ゲームと現実の区別がつかなくなりる。
ゲームの言いなりになり、死ねと言われれば死んでしまうとゆう…

一太郎の症状にそっくりだ。助けなければ。
そう雪乃は言うが、一度裏切った男を助けるのは変かな?と、戸惑っている。
緑丸は手伝うから助けてやろう、と迷う雪乃の後押しをしてやる。

以上が一太郎の家に侵入することになった運びだ。

一太郎を助けると、また雪乃とよりが戻ってしまうかもしれない。
緑丸としては、自分の首をしめる事になってしまうかもしれないが、それ以上に初めて見た雪乃の弱気な表情がつらかった。
それに、嫌な予感がする。
雪乃は、一太郎の家に侵入して月子をぶっこわすつもりだ…一人で行かせては危険だ。

土砂降りの雨の中、緑丸は家を出て、一太郎の家に向う。
雪乃は先に着いていて、緑丸を見るなり、その真っ黒な服装を気にする。
他人の家に入り込むのは初めてだから、ドロボーとかも真っ黒だからこの服装なのだ。

ドロボーに入るんじゃないわ、月子をぶっ壊しに行くのよ!
そういう雪乃は一太郎の家の門をひょいと飛び越える。やっぱりドロボウみたいだ。

81 :STAGE6 2/3 :2006/11/14(火) 22:00:30 ID:???
一太郎の親は仕事の関係で海外、一太郎は今はバイトでいない。
チャンスなので玄関から堂々と侵入。
鍵がかかっているが、雪乃が鍵の番号を知っているという。

8243931931(パンツのしみくさいくさい)

扉が開く。自動の扉だ。
この家はホームセキュリティ・システムを使っていて、人を感知して電気がついたりする。いわば機械づくめの家だ。

バタン

自動ドアがひとりでに閉じたことに驚く緑丸とその発言に呆れる雪乃。
そんな二人をカメラがとらえ、月子が誰かが進入したことを知る。

一太郎?…違う、一太郎ではない!
私たちの生活を邪魔しないで!!

廊下を走る緑丸と雪乃。
一太郎は恋人だった時に雪乃を二階の廊下の奥の部屋に入れてくれなかった。
きっとそこに月子がいる。
突如、緑丸の懐からブザー音が響く。

『「危険レベル大」が近づいています!運を使いますか?YES?NO?』

緑丸はPSYCHO+を持ってきていた。
こんな家の中で危険…?とりあえずいえすと答える緑丸。
あまり使ってはダメ、と雪乃は言うが、危険レベル大だ。命に関わるかもしれない。
…と、廊下の曲がり角からオパオパのような機械が出てくる。
しかしそれはオパオパではなく、警備ロボットだった。
警備ロボットが光を放つと、一太郎が立っていた…いや、ドロボウ対策の立体映像だ。
しかし、立体映像がかたちを変えていく。
二人の目の前に巨大な月子の顔が広がった。

82 :STAGE6 3/3 :2006/11/14(火) 22:01:00 ID:???
邪魔よ あなたたち!
  今日は大事な日なの
     邪魔しないで!

月子はホームセキュリティ・システムを乗っ取っているというの?

死んでもらうわ、という言葉とともにまぶしい光を放ち、月子は消えた。
腰が抜け、床に座り込む緑丸。雪乃はしょせん立体映像、何もできないと言い放つ。

この状態はもしや…?
ふせて!と雪乃を引っ張り、床に伏せさせる緑丸。
直後、オパオパ似の警備ロボットが自爆し、床や壁の破片が飛散する。
立ってたら危なかった…

緑丸はPSYCHO+が危険レベル大を知らせた後、自分が座った状態になったことで立っているのはヤバイと予測できたのだ。
自爆後の廊下と壁には大きな穴が空いていた。辺りは爆発の煙が漂う。
PSYCHO+がまた危険を知らせる。

『「危険レベル大」が近づいています!運を使いますか?YES?NO?』

雪乃が制止するが、緑丸は懐からPSYCHO+を取り出しながら「いえす」と答える。
PSYCHO+の画面を確認する緑丸。運の残量は108、と表示されていた。
今の自爆のように、緑丸が危険をキャッチすれば、雪乃も助かる。
緑丸を見つめる雪乃。

そんな雪乃の背後に人影…立体映像ではない、本物の一太郎が立っていた。

83 :マロン名無しさん :2006/11/14(火) 22:23:00 ID:???
みみみみずのもりちゃんが壊れた
いや、それもまた良い。
つーか緑丸は運をどんどん使って大丈夫かね?

84 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 04:58:24 ID:???
なんか二人ともボケキャラになってきたな。
後どうでもいいとこだけど、一太郎のPCに書いてあるPC98
って98年製ってことだよな?

85 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 17:37:51 ID:???
>>84
今始めて気づいた、てかお前目の付け所細かすぎだろw
しかし水の森ちゃんはどんどんキャラが崩れていくなぁ…

86 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 18:10:22 ID:???
>>84
NECのPC980xシリーズでは? 『一太郎』(ワープロソフト)あるし

87 :マロン名無しさん :2006/11/15(水) 19:08:59 ID:???
一風変わったラブコメかと思ったらなんかダークな話になったなあ
そして水の森ちゃん萌え

88 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 01:04:34 ID:???
運がなくなったらどうなるんだろう
とんでもなく不幸なことがおきて死亡とかだったらイヤだなあ('A`)

89 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 17:44:02 ID:???
月子ブッ壊したら一太郎は本当に元に戻るのか?
完全に洗脳されてる勢いなんだが
一太郎までブッ壊れたりして・・・・・・。

90 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 17:52:25 ID:???
まあそうなるだろうな

91 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 18:19:43 ID:OuGav97G
暗証番号になんかとても衝撃を受けた

92 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 20:07:10 ID:???
>>89
そこまで痛々しい展開にはならないと思うけど、
この作者痛い話好きそうだからなぁ…
てかそれより危険大で運がどれだけ減ったのかが気になる。

93 :STAGE7 1/3 :2006/11/16(木) 22:00:00 ID:???
STAGE7 運の調節3

雪乃の背後に現れた一太郎は、両手で雪乃の首を掴み、そのまま持ち上げる。
宙に浮いた形になった雪乃を救おうと緑丸は一太郎にむかっていく。
しかし、一太郎はそのまま緑丸めがけて雪乃を放り投げる。

「バカ力!!」

雪乃を受け止め、倒れこむ緑丸。
爆発でできた廊下の穴に落ちる寸前でなんとか踏みとどまった。
本物だ、と確認する雪乃。緑丸の目には切れかかった電気配線が映る。
もう少し慣性に任せて滑っていたらイナズマショックだった…ラッキー♥

一太郎にだけ聞こえている月子の声。

………一太郎、早くおいでよ……
「来たよ 急いで」

今日で月子と一太郎の関係も半年になるという。しかし所詮人間とゲーム、報われることはない……
かわいそうな私達のとるべき道は一つ………心中して!

緑丸たちへ向かって駆け出す一太郎……が、二人を無視して廊下の向こうへと消える。
去り際に雪乃は一太郎の指輪が妙な光を放っているのを目撃する。

あの指輪に何かあるんだわ…「追うわよ!」

94 :STAGE7 2/3 :2006/11/16(木) 22:00:30 ID:???
二階の奥の部屋。
部屋の中はスプリンクラーによって水浸し。そしてパソコンの傍らに一太郎がいた。
どうやらパソコンから電気が漏れて、水が帯電してるらしい。
入り口には鍵がかかっていて、容易に侵入できない。
扉を蹴破ろうとすると、うつろな目で一太郎が邪魔するな、と言ってきた。
さらに指輪も邪魔するな、と続ける。パソコンの画面には月子の姿。

私達はお互いに愛し合ってるわ。でも…しょせんは人間とゲーム…結ばれてはいけない。だから天国で一緒になるの。

一太郎に暗示で自分を好きにさせたくせに!と憤る雪乃。
しかし、月子は構うことなく、電圧を上げて心中しようとする。

雪乃がガラスを割って中に侵入しようとするが、中は電気でビリビリだ、と緑丸が雪乃を止める。
そして代わりに緑丸が行く、という。今度は雪乃が緑丸を引き止める。

「俺には運が味方についてるからね」

緑丸はガラスの扉に体当たりをかまして破壊、部屋に侵入する。
部屋の中はすでに水と電気の世界。一太郎はただ呆然とするだけ。
このショックでサイコプラスが壊れるのでは?というくらいの衝撃が緑丸を襲う。

あら?あなたも道づれになってくれるの?
お礼に電圧を上げてあげる。

パソコンに表示される「電圧アップ」の文字。
電圧が上がり、体へのダメージも強くなる。
上がった電圧に切れかかった廊下の配線がさらに脆くなる。

「サイコプラスの役立たず!ゲームなんか信じた俺がアホだったー!」

緑丸がそう叫ぶと、PSYCHO+のブザー音が鳴り始める。

95 :STAGE7 3/3 :2006/11/16(木) 22:01:03 ID:???
来た――
『危険レベ…「イエス!!」
PSYCHO+の言葉が終わらないうちに答える緑丸。

…ル「特大」です。運を使えば残量ゼロになりますが…イエスですね』

ZERO!?

目の焦点が合わない一太郎。
かたわらのパソコンにはもう月子は映っていない。電圧アップの文字が流れてるだけ。
やがてパソコンの画面が吹き飛び、一太郎のつけていた指輪も割れる。

そして…緑丸の意識は遠くなっていく。同時に廊下の配線も完全に断線した。

雪乃がこっちへくるのが見える…来ちゃダメだよ

雨は上がって、月が出ている
一太郎が緑丸を背負い、雪乃と歩いている。

「悪い夢を見ていた…長い長い悪夢」

一太郎は占いゲームを中古ゲーム屋で偶然見つけ、噂の「自殺ゲーム」がどんなものか知りたくて買った。
付属品の指輪を興味本位でつけたが、それは小型のマイクでそこからの声で催眠術をかけられてしまった。
しかし、一日に3分間だけ意識はあったので、その時に雪乃に手紙を渡せる日を待っていたのだ。

偶然一階の配線が切れなければ3人とも死んでいた、という一太郎。
それを「たぶん運が良かったのね」と事も無げに雪乃は返す。

一太郎は雪乃は昔とは違うことを感じ取る。

「そうよ…あなたは昔の恋人だわ」

96 :マロン名無しさん :2006/11/16(木) 22:54:53 ID:???
一件落着、だな。
雪乃と一太郎って、月子に支配されてた一太郎から別れたのかな。
だとしたら正気に戻った今、一太郎はまだ雪乃のことを…?
切ないな、一太郎。

97 :マロン名無しさん :2006/11/17(金) 02:55:33 ID:???
>>88
早くもゼロになったな


98 :マロン名無しさん :2006/11/17(金) 06:51:15 ID:???
小型のマイクで〜の一太郎の顔綺麗すぎ、ここだけ見るとジャンプじゃないみたい。

99 :マロン名無しさん :2006/11/17(金) 12:15:52 ID:???
綺麗な顔してるだろ? ジャンプなんだぜ、それ・・・。嘘みたいだろ?

100 :STAGE7 補完 :2006/11/17(金) 21:13:24 ID:???
>>95から

翌日サイコプラスにはこう書かれていた。


あなたが今までためてきた運は全部使い果たしました

LEVEL3に進みます

――これは今まで不運だった分幸運がたまってたという事……かな?

101 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 09:59:18 ID:???
運使い果たしてレベルアップかー
次は何がおこるんだろう?
つーか木は動かせるままだよね?

102 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 14:52:56 ID:???
緑丸にも一太郎にも損が出る事無く
綺麗に終わったな。
レベル3は・・・スプーンでも曲げられるんじゃね?

103 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 18:30:17 ID:???
そのうちギガデインみたいなのも出来たりしてな。
で、気づいたら超能力バトル漫画になってたりして。

104 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 18:34:22 ID:???
>>101
でも運はもう使えないだろ、多分。
ということはレベルアップしたら前のは使えなくなるんじゃね?

105 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 20:41:25 ID:???
登場人物ゲーム馬鹿ばっかだけど一太郎も相当なんだなあ
普通の好きくらいじゃ中古漁りまでしないって

106 :STAGE8 1/3 :2006/11/18(土) 22:00:00 ID:???
STAGE8 幽体離脱

死装束に身を包み、足のない緑丸。
見ての通り、幽体やってます。
なぜこんな姿になってしまったかというと、サイコプラスのレベル3の能力、幽体離脱のせいなのだ。

綿貫家の庭に設置されたブランコに緑丸は座っている。
片手にはサイコプラス。

超能力レベル3
幽体離脱ができます
スタートを押してください

またおかしな能力が…でも面白そうだ。
何の気なしにスタートボタンを押す緑丸。
意識がニョオニョオと肉体を離れ、空中を浮遊する。
急に空中に放り出され、緑丸は恐怖を感じ、いったん戻ろうとする。
ところが
肉体に近づくことができない。よく見るとバリアーが張られている。
なぜ?と目を凝らしてサイコプラスの画面を見ると…

元にもどるには3時間以内に肉体に強い衝撃を与えなければなりません
もどれたら―――→LEVEL4に進めます
もどれなかったら→成仏
  残り時間2:54

成仏!?
しかし、今の緑丸は物をさわる事すらできないので、誰かに体をなぐってもらうしかないようだ。
両親は仕事と買い物に行っていてどっちもいない。
となると、あいつらに頼るしかなさそうだ――まずはセンパイだ!

107 :STAGE8 2/3 :2006/11/18(土) 22:00:32 ID:???
センパイの家に壁をすり抜けて侵入する緑丸。
センパイはなにやら雑誌を怪しげな笑い声を上げながら食い入るように見つめている。
緑丸は助けを求めるが、全く聞こえていない様子で、センパイは涎を垂らしながら雑誌を見続ける。

だ……だめだ こいつ

センパイがダメなら今度は東田だ!
東田の家。
東田はマニアの間で噂のシリウス星人の骨を手に入れて狂喜している。
これは裏ルートを使わなければ手に入らない。権力者の息子でよかった。

東田のそんな姿を見て緑丸はこいつらとはいつか縁を切ってやると決意。
しかし東田も緑丸に気付かない。このままではまずい――
緑丸がうろたえていると、東田の部屋に東田の妹・魂美が入ってくる。
この部屋から霊の存在が感じられる、という。
動揺する東田を尻目に緑丸に近づき、緑色の幽霊など初めて見た、と魂美。
どうやら彼女は霊能力者らしい。助かるぞ!

緑色、と聞いて東田はその幽霊は名を緑丸というのでないだろうな?と問う。
緑丸は頷いて肯定すると、魂美が東田に伝えてくれる。

なんと!緑丸が死んだ!?
死んでねーよ!!

死んでいないことを説明しようとする緑丸だが、魂美にウソにされてしまう。
成仏こそは霊の幸せ、と幣を取り出し、構える魂美。そして呪文詠唱。

アブーダカダブーラ 悪霊退散イクイクアザラシ…必殺!!愛の成仏一本足打法!!

技をもろにくらう緑丸。しかし成仏はしない。
あれで成仏しないなんて…でも霊能力技術者国家試験第一種合格者の名にかけて…絶対成仏させてみせます!

108 :STAGE8 3/3 :2006/11/18(土) 22:01:04 ID:???
魂美の成仏と称した攻撃は続く。
そのドタバタを意に介さず、東田はセンパイに緑丸の死を伝えるべく電話を始める。

もうイヤ こんな生活

壁をすり抜け、緑丸はとんずらする。
それを追いましょう、と魂美。
「御学友の霊をおみ捨てなさるつもりですか!?いざ!LET'S GOでございまする!!」

一方、緑丸の体のところには雪乃が訪れていた。
この間借りたセーターを返しに来た、と緑丸に話しかけるが、当然返事はない。
目を開けて熟睡している、と思った雪乃はゆすって緑丸をおこそうとする。
手首に触れると――あれ?脈がない

そこへ追われる緑丸と、追う魂美一行。
雪乃がいることと、緑丸の死体に騒ぐセンパイと東田。

「死体!?」

これまでの(間違った)経緯を説明する東田。
魂美は緑丸に成仏(攻撃)の続きをしている。

冗談じゃない。あれだけ恩を売っておいて、恩返しもしないうちに勝手に…
「勝手に死んでんじゃないわよっ!!」

雪乃のサマーソルトキックが緑丸にキレイに決まる。
緑丸の座っていたブランコの板を真っ二つに叩き割り、緑丸は吹っ飛ばされる。
美しい着地を決めると、緑くんのドアホーっ!とセンパイに縋り泣く雪乃。

緑丸の霊体が消える。
それを見た魂美は緑丸が成仏したと思い込む。
みんな明後日の方向を向いて緑丸を偲び、緑丸は戻れたことに感涙を流すのだった。

109 :マロン名無しさん :2006/11/18(土) 22:44:54 ID:???
もどれなかったら→成仏

ひでえwwwwww淡々としすぎで笑ったwwww

110 :マロン名無しさん :2006/11/19(日) 00:58:12 ID:???
濃いキャラ多すぎw

111 :マロン名無しさん :2006/11/19(日) 11:42:18 ID:???
も霊能力技術者国家試験第一種合格者ってなんだよwww
今回はアホな話だったなwwでも好きだ。

112 :マロン名無しさん :2006/11/19(日) 12:45:00 ID:???
涙目の水ノ森ちゃんモエス

113 :マロン名無しさん :2006/11/19(日) 18:39:47 ID:???
いきなりギャグでびっくりした
でも笑ったwwwwww
センパイは役得だな

114 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 00:42:17 ID:???
レベル3は結構あっさりクリアしたな。
次はどんなゲームだろ。

115 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 17:21:18 ID:???
キャラが濃くて面白いなあ
東田が骨にハマった経緯とかセンパイの一日とか
番外編で読んでみたいものだ。

116 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 18:28:15 ID:???
こう見ると緑丸って髪以外は本当に普通だよな。

117 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 18:53:04 ID:???
雪乃がどんどんおかしくなっている(ほめ言葉)のは気のせいだろうか
最初はちょっと変わり者の女の子って感じだったのに

だがそれもいい

118 :STAGE9 1/3 :2006/11/20(月) 22:00:00 ID:???
STAGE9 サイコプラスと緑色の関連性についての考察1

最近……緑色で変とか言われても平気になってきた。
雪乃と出会ってから、緑丸はどんどんズ太くなっていく。授業前の礼もしないほどに。

そんな緑丸のクラスに転校生が紹介される。
高屋敷朱未。死語使いだ。ひーほー。

また変なのが出てきた…や、やるなあの女ァ…がひ…なかなかかわいい!
三者三様の感想を抱く緑丸たち。
自己紹介の締めももちろん死語。
「よろしく哀愁」

昼休みにもなると、朱未はすでにクラスになじんでいた。
東田がヤキを入れてやる、と騒いでいると、朱未の目が緑丸を向く。
「あの変な緑色のちんちくりんのキモチ悪い人って何者?」
近くの女生徒から生まれつき、と聞くと、さらに「サイテイッ!」などと追い討ちをかける。
これにはズ太くなったとはいえ緑丸傷付くが東田は逆に朱未を見直す。
東田に食って掛かる緑丸を朱未は見つめる。

(綿貫緑丸 じつにあざやかな緑色だわ!)

東田は話題を変え、緑丸にサイコダイバーはどうなった?と聞く。サイコプラスね。
変なんだ、と緑丸。
差し出した画面には

超能力レベル4
よくここまできました
中間レベルです
中間試験を行います

とだけ、表示されていた。

119 :STAGE9 2/3 :2006/11/20(月) 22:00:31 ID:???
中間試験とはなんなのだろう。なにかとてつもない事が起こりそうな予感……
そこへ朱未が近づいてくる。身構える東田。
次の授業は実験校舎506だから早く行ったほうがいいと忠告する朱未。
東田はテメーはどーなんだと突っかかるが、朱未は校内を見回るらしい。
険悪なムードの二人。緑丸は実験校舎への移動の準備を始めている。
ゲームウェアをカバンに入れ、教科書を持って東田、センパイとともに教室を出る。
朱未も続いて出ようとするが、出口で立ち止まり、緑丸のカバンを見つめる。
ひとりでに止金が外れ、口が開いたカバンから、ゲームウェアがふよふよと出てくる。
さらに朱未の合図で、ゲームウェアはいずこかへ消え去るのだった。

放課後、ゲーセンに寄る相談をする東田とセンパイ。
緑丸はカバンの中を漁るが、ゲームウェアが無い。もちろんサイコプラスもだ。

手分けして探し始める緑丸たち。
しかし教室を出るとすぐ、緑丸の前に朱未が現れ、探し物はこれ?とゲームウェアを緑丸にみせる。

屋上に移動した二人。
何故持っているのか聞く緑丸にあっさりとカバンから盗んだと吐く朱未。
しかしそれに続いた言葉は意外なものだった。

「さて、中間試験始めよっか」

緑丸に下を見るように促す朱未。
そこにはサイコプラスを探している東田とセンパイがいた。
突然、木々がざわめき、東田の背後の木が浮かび上がる。
東田とセンパイは超常現象だ、と騒ぎ、その騒ぎを通りかかった雪乃が目撃し、緑丸の仕業だと勘違いする。
咄嗟に逃げる東田とセンパイ。しかし木は追って来る。

木を動かす、はサイコプラスレベル1の能力。
朱未の仕業?しかし、ゲームウェアは閉じたままで操作できない。

120 :STAGE9 3/3 :2006/11/20(月) 22:01:04 ID:???
あたしのしわざ、と朱未はゲームウェアを屋上から落とす。
サイコプラスがなくてもあれくらいの芸当はできるらしい。そしてそれは緑丸にもできること。
緑丸に、暴走する木を止めてみて、と言い放つ。
緑丸は躊躇うが、その間に東田とセンパイの逃げるスピードが落ちてくる。
そしてついにセンパイは足をもつれさせ、転んでしまう。
そのセンパイを介抱する東田。二人めがけて木は突っ込んでくる。

「もォヤケだ!!止まれぇぇぇ!!」

緑丸が叫ぶと同時に木は停止する。俺ってスゲー!

本当は木を止めたのは朱未だった。止める力が少しは働いたものの、この程度では…

木から逃げ切った東田とセンパイの元に雪乃が近づいてきた。緑丸を探している。
雪乃に気付いた緑丸。それを見た朱未は追試、と称して木を雪乃の方へ倒そうとする。

グラリと木が倒れるのが緑丸に見えた。
その瞬間、木に大きな力が働く。
木は雪乃を避け、急激なカーブを描いて東田とセンパイのすぐ側に着弾する。

脱力する緑丸。しかしすぐに雪乃に何するんだ!と朱未に食ってかかる。
しかし朱未から伝えられたのは合格、の言葉だった。緑丸はその意味が分からない。
朱未は頭に手を伸ばすと、付けていたカツラを外す。

カツラの下からは、鮮やかな緑色の髪。

「ヒーホー あんたを緑色の仲間とみとめたげる!!」

121 :マロン名無しさん :2006/11/20(月) 22:18:30 ID:???
どっから感想をいっていいのか…
サイコプラスは緑人の素質(超能力)を開花させるゲームだったってこと?

122 :マロン名無しさん :2006/11/21(火) 00:19:38 ID:???
ヒーホーってなんじゃ?

123 :マロン名無しさん :2006/11/21(火) 01:06:42 ID:???
ヒーホー変なカツラ

124 :マロン名無しさん :2006/11/21(火) 01:15:35 ID:???
なんか急展開
もうちょっとコメディっぽい話が続くと思ってたのに
てか「緑色の仲間」ってことは他にも緑丸みたいなのがいるんだろうか

125 :マロン名無しさん :2006/11/21(火) 08:05:10 ID:???
緑色の髪にはちゃんと意味があったんだな
ていうかやっと面白くなってきた

126 :STAGE10 1/3 :2006/11/22(水) 22:00:00 ID:???
STAGE10 サイコプラスと緑色の関連性についての考察A

3年後に地球に接近するという小惑星の映像をニュースで流している。
NASAによると、この小惑星が地球に及ぼす影響はないらしい――


怒りの炎を燃やす雪乃。
肩に触れた東田が手を火傷するほどに彼女は怒っていた。
緑くんめ…このあたしを木でひき殺そうとするとは!!!

そして女王・雪乃から東田(骨プー)とセンパイ(オジン)に指令が下る。

「この飛ぶ木騒動の主犯は緑くんよ!探し出して八つ裂きにしましょう!」

こんなキャラだったかなあ…?
指令を受け、早速センパイが何かを見つける。真っ二つになった緑丸のゲームウェアだ。
まるで上から落ちてきたみたい…と上を見上げると、早速緑丸発見。

当の緑丸は自分以外の緑色の人間を見て、戸惑っていた。
朱未は眉毛とまつげには黒く色を塗り、目にはカラーコンタクトをしている、と片方のレンズを外してみせる。
片方の瞳が緑色になる。

緑色って…ホントにブキミに見える…

朱未が本題に入る。本題とは何か?
たぶん緑丸も知りたかったこと。
サイコプラスと緑色の秘密。

その言葉を屋上まで走ってきた雪乃にも聞こえ、咄嗟に身を隠す。
あとから東田とセンパイもやってくる。

127 :STAGE10 2/3 :2006/11/22(水) 22:00:31 ID:???
世界には、緑丸や朱未のような緑色の人間が12人いる。
その12人全員が、「超感覚的知覚、超能力」を持っていることが最近分かったのだ。
そしてサイコプラスは超能力を持った人間にしか扱えないゲーム。
なぜならプレイヤーから超能力を吸って動くゲームだから。
だから緑丸以外の人たちには動かせなかったのだ。

何故人間の指は長いのか?と朱未は問う。
緑丸の答えは道具を使うから、そうでないと生きていけない、と答える。
正解。人間だけではなく、鳥が飛べるのもキリンの首が長いのも生きるために進化したから。

朱未の体が音もなく宙に浮く。
この能力は何のためのもの?
人間が生き延びるために必要な力ならば…何が人間の敵なの?

その朱未の問いに雪乃は答えは自然現象だ、と考える。
「正解。答えは自然現象」
朱未は雪乃の心を読み、緑丸に向かって正解を告げる。
何も言っていないのに正解を告げられ戸惑う緑丸と心を読まれ驚く雪乃。
朱未は構わずに話を続ける。

この能力さえあれば火山の噴火さえ止めることができる。
でも、この能力が及ぶのは地球の中だけで、宇宙災害、隕石の落下などには手も足も出ない。
緑丸はピンと来ないが、大き目の隕石は年間500個くらい落ちているという。
3年後に地球に落下する小惑星も止められない。
もし小惑星が落下したら大惨事になることは間違いない…が、緑丸は話半分だ。
そんなニュースが報道されていないことをいぶかしむ緑丸に報道規制が行われている、と朱未。

「もし小惑星落下で人類が滅亡する、なんてニュース流したら一般人はどうすると思う?」
「きっとテレビ局にくじょーの電話をかけるよ、ざけんな!って」

128 :STAGE10 3/3 :2006/11/22(水) 22:01:01 ID:???
緑丸の手ごわさに手を焼く朱未。その背後に瞬間移動してくる人影。
緑色の人間が3匹増え、そいつらに助けを求める朱未。
緑色人たちは口々に緑丸を説得する。
協力することはサイコプラスを手にした者の義務であること、地球に衝突するまでもう僅かな時間もないということ…
緑色人は次々と増えていく。外国人、子供…様々な緑色人が。

「12人目の緑色人…我々はなんとしても小惑星の衝突を阻止せねばならない!協力せよ!」

朱未たちの計画はこうだ。小惑星の衝突前に、地球の公転を早めるのだ。
地球を動かすには一人でも多くの仲間が必要だ。11人では無理だが、12人ならば動かせるかもしれない。
そして緑丸は能力を制御できないので明日から2年間、アメリカで訓練を受けてもらうことになるという。

「やめてくれよ!信じられないよ!!そんな途方もない話……!!」

朱未以外の緑色人が、一人、また一人と消えていく。
この計画は世界中のお偉方の支持を得ている。
緑丸一人のわがままで計画をダメにすることはできないのだ。やるしかない。
しかし緑丸は未だに信じられない。朱未は続ける。
サイコプラスがただのゲームだなんて思っていたわけではないでしょ?
いつかはなにか起こると思っていたはず。それが今起こっただけの話だ。
どうすればいいか分からない、と緑丸。
今の生活が永遠にずっと続くと思っていた。2年も外国へ…?

迷う緑丸に、背後から雪乃が話しかける。

「何を迷ってるの?永遠の別れってわけじゃないのよ」

水の森ちゃん…2年もキミに会えないんだよ?

しかし雪乃は言い放つ。

「行きなさいよ」

129 :マロン名無しさん :2006/11/22(水) 22:14:56 ID:???
なんか緑色いっぱい来たああああ・・・・・・
いきなり話が広がったな
地球を救うとか何とか・・・

130 :マロン名無しさん :2006/11/22(水) 22:15:11 ID:???
おお!急展開だな!
緑の仲間が居た訳だ。
水の森ちゃん強い子だなー

131 :マロン名無しさん :2006/11/22(水) 23:33:31 ID:???
水の森ちゃんかっこよすぎだな。
てか緑丸2年もアメリカで修行すんのかよ、
これでしばらく先輩達ともお別れか…

132 :マロン名無しさん :2006/11/23(木) 01:19:39 ID:???
多分、これからアメリカでトーナメントだな。

133 :マロン名無しさん :2006/11/23(木) 01:20:29 ID:???
掲載位置がヤバすぎる

134 :マロン名無しさん :2006/11/23(木) 03:04:53 ID:???
話がでっかくなったな
うーん…今までの方が好きだったのに

135 :マロン名無しさん :2006/11/23(木) 07:01:56 ID:???
自然現象が人間の敵って言うのがいいな。
ジャンプっぽくない。

136 :マロン名無しさん :2006/11/23(木) 18:14:15 ID:???
この作者って不気味なものを表現するのがうまいよね

137 :マロン名無しさん :2006/11/23(木) 18:40:41 ID:???
この漫画、色々な意味で濃いんだけどなんか足りない
面白いことは面白いのに勿体ないな

138 : :2006/11/24(金) 07:47:02 ID:???
何この打ち切りフラグ

139 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 17:24:11 ID:???
ただのテコ入れなんじゃない?
これからトーナメントバトルが展開するんだよきっと。ジャンプだし。

140 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 17:27:29 ID:???
緑丸から視線を逸らしつつ
『行け』と言ってるのが切ないな・・・。
雪乃も一緒に連れていく事は出来ないのか?

141 :LAST STAGE 1/2 :2006/11/24(金) 22:00:00 ID:???
LAST STAGE GAME OVER
夜になった。行きなさいよ、という雪乃の言葉にショックを受ける緑丸。
小惑星や緑色人のこともどうでもよくなり、雪乃の前から消えてしまいたい、と思ってしまった。

行きなさいよ――その言葉の意味は俺なんかいなくなっても全然平気だということ
もし違う意味があるのなら――あの場所に来てくれるかな?
靴を履き、寒い夜に飛び出す緑丸。
あの場所にいて欲しい――秘密の抜け道を通って、誰もいない公園に一人だけ――センサーの後に!

…いた。雪乃が、出会ったときと同じように木にもたれて座っていた。

実は雪乃も寒くて寒くて最近はここに来てなかった。
でも今日だけは…どんと持って牛柄のポンチョ着てでもここに来なければならなかった。どうしても。
緑丸は雪乃に会いに来た。いなくなっても平気なのかを雪乃に聞くために。

「平気なほどあたし冷血じゃないみたい」

でも行かないと、緑丸は後悔するだろう。
もし本当に地球に小惑星がぶち当たるとしたら、行かないで、なんて言えない。

「この地球には幸せな人も不幸な人もいて、50億人いれば50億通りの考え方があって
そしてそのほとんどの人がまだ死にたくないはずだわ…そう思わない?」

そうか…そしてその50億人の中には雪乃も含まれてるんだ…センパイや東田も。
みんなが死ぬなんて考えたくない。緑丸は覚悟を決める。
そして雪乃に勝負を申し込む。あの時のように。今度は勝ったら恋人になるという条件で。

「……何のゲームでやるの?」
「何がいい?」
「そぉねー……サイコプラスなんかどう?」

その日、緑丸の家に高級車が3台やってきて、緑丸の両親となにやら話していた。きっと政府のおエライさんだ。

142 :LAST STAGE 2/2 :2006/11/24(金) 22:00:30 ID:???
緑丸がいなくても時間は過ぎるもので…
夏。東田の家のクーラーで涼むセンパイ。人の家で旅館のような浴衣装着だ。
そのうしろでは魂美がその醜さに涙を流す。
その部屋に東田、雪乃、一太郎が入ってくる。これからゲーム大会が始まるのだ。
一太郎のことをセンパイが尋ね、昔の恋人だと雪乃が答える。
センパイは動揺してギュルギュルと回転する。
一太郎を見た魂美は、いきなり一太郎に霊がとりついていると宣告する。
月子がまだとりついているのかと一太郎は動揺するが、雪乃と東田は構わず「ストW」で対戦を始めた。

みんな結構楽しくやってるけど、やっぱり何か物足りなさを感じている

早く帰ってきて、緑くん……


さらに時は過ぎて、あれから2年と少し、だいぶ雪の多い冬……
授業を受けるセーラー服姿の雪乃。
窓の外は雪だったのに、雲が去り、太陽の位置が変わり真夏の日差しがやってきた。
ニュースでは、2月なのに、日中の気温が30度を超え、その原因は地球の公転が6ヵ月分早く動いたためだという。

――緑丸が帰ってくる!

センサー通りのあの場所で待っていよう、と公園に走る雪乃。
しかしそこには先客がいた。天気がいいと人が多くて困る。

先客が帽子を取る。少し大人びて、髪と瞳が黒い緑丸がそこにいた。

「黒くなったんだ。 他の仲間もみんな……普通の色になった。きっともう必要なくなったんだ。
変?」

ううん…変じゃないよ

END

143 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 22:17:48 ID:???
え、終わり?
結構この漫画好きだったのに…てかこれよりつまんないエースを先に打ち切れよ

144 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 22:22:24 ID:???
サブタイトルがゲームオーバーって…
これが打ち切りじゃなく長期連載されてたら最後のサブタイはゲームクリア
もしくはエンディングだったんだろうな。

145 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 22:43:55 ID:???
間違いなく最終話が一番面白かった!
でもこの漫画もジャンプ読者の記憶には残らないんだろうな。


146 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 23:22:55 ID:???
打ち切りか…残念
最後の緑丸と雪乃の再会シーンの雰囲気好きだ

147 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 23:36:59 ID:???
「そぉねー……サイコプラスなんかどう?」
ここにグッときた俺はおそらく少数派なんだろうな…

148 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 23:42:10 ID:???
これで終わりなのか…!
ショック!おもしろかったのに。
地球の公転をずらすなんてすげーな。
農作物に被害出まくりなような…

149 :マロン名無しさん :2006/11/24(金) 23:55:58 ID:???
やっぱ絵柄が受けなかったのかな?
二十歳そこそこでこれだけ描ける人ってなかなか居ないと思うけどな。
才能ありそうなのにもったいないなぁ…

150 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 00:23:14 ID:???
うまくたたんだな。結構面白かった

151 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 00:59:10 ID:???
あんなに動かさなくてもよかったんじゃね?

152 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 12:58:06 ID:???
派手さは無くとも
凄く印象に残った。
黒く染めてしまったのが何か残念だったけど
緑丸なりにコンプレックスを乗り越えたんだな。
藤崎先生の次回作に・・・あると信じて期待。

153 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 14:22:31 ID:???
>>151
俺もそう思った。
北半球では2月が真夏になるのかしらん。

154 :マロン名無しさん :2006/11/25(土) 18:37:20 ID:???
>>147
俺も。
「好き」って言ったわけじゃないけど、告白ってはっきりわかる台詞。
なんか凄い。

155 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 08:25:06 ID:???
やっぱ打ち切りか・・・。
前回が急展開すぎてグダグダだったけど終わり方が綺麗だったからまあ良いか。

156 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 22:34:49 ID:???
それでは以後楽屋裏でお願いします。

稚拙なあらすじと度重なるミスをこの場でお詫びさせていただきます。
楽屋裏スレで人がいない、と言われていましたが
私としては予想よりレスが付いて嬉しかったです。

参加していただき本当にありがとうございました

157 :あらすじ丸 :2006/11/26(日) 22:37:01 ID:???
最後までコテ付け忘れますしw

ごめんなさい…orz

158 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 22:37:35 ID:???
楽屋裏でいいんだよな?
やっぱ桜テツ以降よりこの頃の絵柄の方が好きだな。
ベジタリアンみたいな絵でまた読みきり書いてくれないかなぁ。

159 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 23:24:34 ID:???
>>156
お疲れさまでした。

サイコプラスは短いながらもグッと来る作品ですねぇ…

160 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 23:28:35 ID:???
>>156
何はともあれ乙です

もう一回読み直してみた。そして買ってみたwやっぱり緑丸を送り出す水の森ちゃんがすごくいいわ。

161 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 23:55:40 ID:???
>>156
お疲れさまでした、とても面白かったです。
やっぱこの漫画の最終回は好きだなぁ、てか冗談抜きで「いきなさいよ〜サイプラなんて」
のくだりは打ち切り漫画の最終話とは思えないぐらいのクオリティだと思う。

162 :マロン名無しさん :2006/11/26(日) 23:58:51 ID:???
>156
乙でした!

サクラテツといいワクワクといいやっぱフジリューはまとめるのうまいな。
でも今更ながら改めてレベル5以降もみたかったと思った。

163 :マロン名無しさん :2006/11/27(月) 00:12:30 ID:???
>>158
確かにこの時の絵柄の方がスッキリしてて見やすいと思う。
いや最近の絵もいいと思うけどね。
あんま関係無いけどドラマティックアイロニーって加筆前と後じゃ
絵柄って全然違うのかな?

164 :マロン名無しさん :2006/11/27(月) 22:16:07 ID:???
できれば読み切りとか読みたいが我がままかな?

165 :マロン名無しさん :2006/11/27(月) 23:19:09 ID:???
>>164
この後には寒鰤屋が控えてるから無理じゃないか?

166 :マロン名無しさん :2006/11/28(火) 00:25:53 ID:???
>>164
その相談は楽屋スレでやっては?

167 :寒鰤やる人 :2006/11/28(火) 22:03:24 ID:???
かおす寒鰤屋 連載告知
 
第2回ジャンプ新人海賊杯でエントリーされ、めでたく入賞となった『かおす寒鰤屋』が ついに新連載スタート!!
骨董にまつわる悲喜こもごもを、寒鰤屋店主、『倉本駆馬(くらもとかるま)』が解決します!!
次号平成7年51号(11月30日)より、連載開始!!


168 :マロン名無しさん :2006/11/29(水) 01:50:44 ID:???
おう、新連載キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

しかし、骨董?
地味な話になりそうだな。
ジャンプ作品とは思えん。

169 :マロン名無しさん :2006/11/29(水) 06:36:50 ID:???
最近なんでも鑑定団とかのテレビでちょっとした骨董ブームだから便乗したんじゃね?

でも寒鰤屋は海賊杯で3位だったよな、普通一位の作品から連載するはずなのに。

170 :マロン名無しさん :2006/11/29(水) 22:07:49 ID:???
そういえばペンネーム変えたよね
以前の読み切りと違ったし

171 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:02:03 ID:???
週刊少年ジャンプ平成7年51号より「かおす寒鰤屋」という漫画が連載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
 
尚、この漫画は公儀隠密秘伝の跳速の技で、2日に1回の速度で連載されるようだ。
時々融通が効きすぎて変な時期に合併号となる場合もあるが気にしないでくれ。
 
ちなみに今日はH7年週刊少年ジャンプ51号の発売日だ。



172 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:03:16 ID:???
 "大きなノッ○ポの古時計 
 おじいさんの時計
 百年 いつも 動いていた 
 ご自慢の時計さ " 
 
【屋鰤寒(古美術 骨董一般)】 "鑑定無料"
その扉に手が差し掛かり、引き戸を引くと…
 
               「い ら っ し ゃ い ま せ 」
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
              お宝1 グランドファーザークロック
 
日本の骨董趣味は平安時代中国より伝来したと言われる
室町時代には武将、僧侶が中国伝来の品を収集するようになり、足利義政のコレクション「東山御物」はつとに有名である
戦国・桃山時代は茶の湯の流行とともに茶道具が大名のステータスとして収集された
庶民の間に骨董趣味が芽生えたのは江戸時代に入ってからといわれている
骨董といっても当時は茶道具が中心で、業者は「道具屋」と呼ばれていた
「骨董屋」とは江戸末期、中国の煎茶趣味が流行した時、煎茶道具を扱った業者が従来の道具やと区別する為に称した名である
煎茶趣味が廃れると共に骨董屋は、書画、茶道具、古民芸品等、扱う品の幅を広げていったのである






173 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:04:15 ID:???
お宝1 グランドファーザークロック(起)
 
あるうらびれた骨董屋を訪れたのは、一人のシスターでした。しかも美人なので、店番をしていた若い男もすぐに声をかけます
「本日は当古美術店『寒鰤屋』にようこそお越し下さいました ささ どうぞごゆっくり店内をご覧下さい」
その甲斐甲斐しいサービス振りに、逆に不安にさせられるシスターは、用件を切り出します。「実は鑑定して頂きたい物が…」
しかし、その若い店番の男、なんと自分が鑑定すると言い出します。店主はいないのか尋ねるシスターに
「私が当店六台目店主 倉本 駆馬(くらもと かるま)と申します 以後お見知りおきを」
それを聞いて、きびすを返すように店を出ようとするシスターをがっちり捕らえて話さない店主駆馬
しぶしぶ、シスターは事情を話すことにします
 
彼女の名前は江藤真理亜と言うそうです
実は彼女は正式のシスターではなく、隣町の教会に奉仕の身だといいます。そして、最近そこの牧師がなくなられたとか
それで、教会を閉める羽目になり、そのときに教会の古道具を処分するので見積もりをお願いします、とのこと
それを聞いて早速店じまいをはじめだす駆馬。融通が効かないほど繁盛しちゃいないといいますが、客商売なのに宜しいのでしょうか
若い店主に、閑古鳥の鳴く店舗。その様子にますます不安に駆られる真理亜さんでした…

 
教会に向かう道中、真理亜さんの身の上を聞きます(ちなみに二人とも健康的に自転車で移動です)
なんでも、母親が早くにお亡くなりになり、教職免許を持った父が東南アジアにボランティアで言ってるそうです
真理亜さんも、大学を卒業した後は、父の元に向かう予定です。やはり、教会の閉鎖も一つのきっかけになったのでしょうか
しかし、教会につくと、そこには先客が来ていました



174 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:08:11 ID:???
お宝1 グランドファーザークロック(承)
 
なんと、そのお客とはビル解体用の重機でした。あと作業員もちらほらいます。まるで今にも解体されるようです
あわてて駆け寄る真理亜さんの前に、趣味の悪いスーツと髪形をした、葉巻を手に持つあからさまな下衆の男が立ち塞がります
下垣さん、というらしいその男性は、どうやらこの教会を解体したいようです。聞くと彼はここの地主だとか
彼が言うには、ここの土地が借家で、地代がかなり滞ってて、立ち退きの期限はとっくに過ぎている、だそうです
しかし、真理亜さんは一週間待っていただく約束だ、と反論します。それに耳を貸さない下垣さん
あろうことか、真理亜さんに、今夜は二人の将来を語り合おうぜ、と言い出します。どうやら、ただの地主と店子ではなさそうです
 
真理亜さんに狼藉を働く下垣さんを見かねたのか、ねじ伏せる駆馬。真理亜さんに下垣さんの正体を聞きます
「下垣虎雄(しもがきとらお)さん ……大手建設企業社長の御曹司です "高級品"のコレクターでもあります」
その言葉を聞き、悲しいかな、客商売人のサガで急にへりくだる駆馬。それを足蹴にする下垣さん。醜い商人と若社長の姿です
その勢いで強引に真理亜さんを強奪しようと自分の高級車に押し込む下垣さんですが、駆馬も車に同乗しています
駆馬のふざけた態度にキレる下垣さんですが、逆にやり込められ物置に閉じ込められる始末
そして、その騒ぎの中、平然と作業員の皆様方に撤収を申し上げる駆馬でした…
 
結局下垣さん以外撤収させて、教会の整理をする真理亜さん。その間駆馬は下垣さんと真理亜さんの馴れ初めを聞きます
聞くと下垣さんはすでに五回もプロポーズしているそうで。もちろん全て断られたそうですが……
だが、不敵に笑う下垣さん。なにやら理由があって、彼女を自由に出来ると考えているようです。まさに外道です
そして、教会の古道具の鑑定が始まりました。しかし、全部合わせてたったの七万円。とても借金は返せません
駆馬に言わせれば全部量産物。7万はご寄付の意味を込めた精一杯の額だそうです
それを聞いて茫然自失の真理亜さん。逆に調子付く下垣さんは、なんとここで結婚式を挙げると言い出します


175 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:10:54 ID:???
お宝1 グランドファーザークロック(転)
 
勢いで礼拝堂へ行く一同は、あるものに目をつけます
「真理亜さん この時計は?」
「あ… それは生前牧師様が大事にしていた大時計です 確かこの教会が建てられた時寄贈された物だと」
結婚式の邪魔をされて怒り心頭の下垣さんを放って置いて、駆馬が商談を始めます。なんとこの時計に四百万だすといいます
その桁外れの金額に驚く下垣さん。収集家なのにご存じない? と駆馬が説明を始めます
「この時計はロングケースクロック…… つまり長枠時計と呼ばれ十七世紀半ば頃イギリスで作られたタイプなんです」
「一八七六年『My Grand Father's Clock』という歌が作られてから 
アメリカでは高さが約2mの長枠時計をグランドファーザークロック "おじいさんの時計"と呼ぶようになりました
 
【(寒)ノート】
因みに2m以下でやや小振りな物はグランドマザークロック(おばあさんの時計)と呼ばれる
 
なんにせよ、長枠時計は高級家具で大英博物館にも置かれるほど、しかもこの時計は傷も少なく手入れもされているようです
真理亜さんが言うには、不思議な時計だとか。なんでも昔託児所が併設されていた時期…

急に時間でもないのに普段より大きな音で鳴り出す時計に、牧師様が様子を見に行くと

なんと、そこには狂犬病に侵された犬が子供に襲い掛かるところでした
その場所には子供の頃の真理亜さんがいて、まるで時計が子供の危機を知らせてくれたものだと思っていました
ですから、この時計だけは処分対象にしなかったとか。それを聞きそんなの偶然だという下垣さんに駆馬が語ります
なんでも、人間も石コロも原子の集合体。現代物理学でも生物と非生物の境界はおぼろげなんだそうで
つまり、古道具が生命のようなものを宿らせても不思議でないとか、教会では無粋な話でしょうが、まあ結果よければ全て良しです
そして、この時計を買い取ることで借金の整理もつき、万事めでたしめでたし
 
とはいかないのが下垣さんです
真理亜さんに貸した借金は三百万円。十分お釣りが出ます。せっかく借金を肩に結婚しようと、牧師の入院費も払っていたのに…
そして、全ての原因になった骨董屋駆馬の始末を考えます



176 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:12:05 ID:???
お宝1 グランドファーザークロック(結)
 
深夜、コンビニ帰りの中、いい取引が出来たと、ほくほく顔の駆馬。
そこに暴走族の集団が襲い掛かってきます。おそらく下垣さんの手のものでしょう
それと同時刻。教会で時計の手入れをする真理亜さん。そこに、サングラスをかけた強面の男たちが現れます
取り囲まれて、引ん剥かれ、結婚衣裳を着せられる真理亜さん。礼拝堂には作業員とともに、下垣さんが待ち構えていました
どうやら、今から結婚式を始めるようです。問い詰める真理亜さんに、下垣さんは動じることなく誓いのキスをしようとします
そして、明日の取引はキャンセルになった、と告げますが、そこにあらわれるのが、駆馬です
怪我一つなく暴走族を片付けた駆馬に、五百万を渡して場を収めようとする下垣さんですが、駆馬に拒否されます
そこで、先ほどの強面3人衆(桃井、栗太、柿本)をけしかけますが、あっという間にのされてしまいます
その3人は征剛会館の黒帯。それを一瞬で片付けるお前は何者だ、と下垣さんは訪ねます。そこで駆馬は正式な自己紹介を始めます
 
「当家はその昔徳川家の陰で呪詛取り締りを仰せつかった公儀隠密の一族です」
「維新後は野に下り 伝来の秘術を用い骨董の陰のトラブルをサポートして参りました」

「私はその六代目 倉本駆馬と申します」
 
時代がかったその自己紹介を聞いて、水戸黄門の印籠を見せられた後の悪代官のように開き直る下垣さん
駆馬は彼を「イワブツ」と称します。骨董用語で素性の悪い品、転じて話がまるで通じない倣岸不遜な人間の事を嫌物と言うそうです
その発言で、ついに下垣さんの堪忍袋の緒が切れます。一斉に襲い掛かる作業員達をばったばったとなぎ倒す駆馬
その武器は、メンコやベーゴマ、そして体術は無刀取りの元祖、上泉神陰流(こういずみしんかげりゅう)。強い強い
しかし、下垣さんは大きなハンマーを持ち出し、腹いせに時計を壊そうとします。それを止めようとする真理亜さん。その時!
 
 ボオオオオォン
 
今まで鳴ることのなかった時計がいきなり鳴り響きます。それは時計の怒りの波動! その衝撃で教会が崩壊していきます
時計を守ろうとする真理亜さんを押しとどめる駆馬ですが、落ちてきた瓦礫にぶつかり気絶します。崩壊に巻き込まれる二人

177 :寒鰤やる人 :2006/11/30(木) 22:13:07 ID:???
お宝1 グランドファーザークロック(後日談)
 
「うーむ… 流石に風格だねえ 置いただけでロビー全体の雰囲気が柔らかくなった」
「寒鰤屋? ああ店主は若いが商売は確かだ あそこは」
さる大手物産会社のロビーに設置された教会の長枠時計。聞くとロンドンの大会社との契約もこの時計のおかげだとか
先方は大層な日本嫌いだったのですが、この時計に関心されて契約がスムーズにいったそうです
大事にしてやらんと、という重役の会話を、会社の入り口で満足そうに聞いていたのは旅支度をした真理亜さん
「さようなら 私のおじいさん 真理亜は今日日本を発ちます」
「時々おじいさんに会いに帰ってきます だからいつまでも 元気でいて下さい」
「そして 有難うございました 倉本さん………」
 
教会崩壊の寸前、再び時計が鳴り響きました。その影響は、二人の下に落ちてきた梁を真っ二つにしてしまうほどのものでした
最後の最後まで時計は真理亜さんを救うために動いてくれたのです。まるで孫を慈しむ祖父のような優しさで……
その逆に、命からがら逃げ出した下垣さんには、天罰とばかりに教会の天辺にあった十字架が直撃します
因果応報とはまさにこのことなんでしょう。めでたしめでたし……
 
「真理亜アアア」 おーん おんおん 病室に下垣さんの泣き叫ぶ声が鳴り響きます
その声は、病棟中に響き渡り入院患者をノイローゼにさせてしまう始末です。しかし泣く子と金持ちにはかないません
俺のどこがいけなかった、と泣き叫ぶ下垣さんに、全部だよ、と冷たく当たるのは、同室の駆馬でした
それを聞き、再び怒りの衝動をぶり返す下垣さん
元はといえば全部お前のせいだ、恨んでやる祟ってやる一生付きまとうとわめきながら、駆馬に怒りをぶつけます
精密検査の結果はまだですか!! と早く退院したい駆馬は先生に催促します。ですが…

(許せ…今 君を退院させてはその鉾先がどこへ向くのやら……)
 
どうやら、寒鰤屋の再開は当分先になりそうです……



178 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 00:41:05 ID:???
これは…格闘路線を混ぜて行くのかな?
この先どうなるかはわからんが、この作品がイワブツにならないと良いけど。

179 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 01:22:53 ID:???
まりああああああああああああ

180 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 02:03:55 ID:???
うーむ、べたな人情話だな。
まあこういうの好きだけど。

181 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 02:10:35 ID:???
呪詛取締ってのがよくわからんが、陰陽師みたいなこともするのかな?
そのうち料理対決とかも始まったりして…

182 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 03:35:56 ID:???
まりあさんはヒロインじゃないのか・・・
外国行っちゃったし・・・

183 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 03:37:41 ID:???
寒鰤屋って一番面白い話が2話だった気がする。
これだけ早いと住人が増えるまでに終わっちゃうな・・・

184 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 03:38:13 ID:???
し、しまった・・・
楽屋裏に書くつもりだった・・・
スルーしてください。

185 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 09:32:17 ID:???
ずいぶん毛色の変わったのが始まったね、俺は面白いと思うがジャンプにはどうかなあ
青年誌のほうが合いそう。ただ絵柄がちょっと子供っぽいか。
コミカルな話の転がし方はすき。格闘やらずに骨董に深みが欲しいな

186 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 19:26:23 ID:???
どうせジャンプ漫画だから、後でバトル展開になるんだろうが
「天下一骨董市」とかやりそうだ



187 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 19:32:24 ID:???
ふっふっふ、奴は骨董四天王のなかでも一番の小物。ってやるのか。

188 :マロン名無しさん :2006/12/01(金) 20:07:08 ID:???
骨董だけに小物・・・

189 :寒鰤やる人 :2006/12/02(土) 22:01:57 ID:???
お宝2 楽ノンコウ(起)
 
"…昨日 押し入った強盗に全身を殴られ意識不明の重体に陥った落語界の大看板 
三柳亭 楽柳(さんりゅうてい らくりゅう)師匠は依然危ない常態が続いています”
"家の中を物色した跡はあるものの現金は取られておらず 警察は遺恨がらみの線も捨て切れておりません……"



『三柳亭楽柳 米寿記念独演会』 会場には満員の客が集まってきています。午後一時、開演の時間です

                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝2 楽ノンコウ
 
果たして今日の高座、予定通り出来るのかと、客席がざわついています
そこに出囃子と共に現れたのは、なんと寒鰤屋店主、倉本駆馬です
どう見ても前座にしか見えない風貌の駆馬に、観客も楽柳の弟子も不安がります
そもそも駆馬は寿限無も語れない本物のトーシロ、いったい何の因果で高座に上っているのかと弟子達も疑問を抱きます
其処に居たお席亭(寄席の代表者)が語るには、楽柳師匠に孫同様に可愛がられていたとか
昨日も師匠が収容された病院に弟子より早く駆けつけたと語ります
 
―――明日の独演会、店を閉めてでも駆けつけるつもりでしたと、打ちひしがれる駆馬にお席亭がある物を見せます
その品は、"楽ノンコウ"!! 茶聖、千利休にも認められた楽焼の逸品で誉れ高き三代目道入の作品、箱付きの値打ち物です
参考までに明治三十六年、ノンコウの名品、銘「千鳥」が一万五千円にて落札されました(当時はもりそば一銭8厘の時代です)
師匠がこんな逸品を持っていたとはと驚く駆馬は、気がつきます
まさか賊の狙いは、このノンコウなのではないのか、と―――


190 :寒鰤やる人 :2006/12/02(土) 22:03:18 ID:???
お宝2 楽ノンコウ(承)
 
戸惑う観客達を前に、駆馬は説明を始めます。現在楽柳師匠が舞台に上がれない事情を

そのことを聞いた観客から罵声と物が投げつけられますが、駆馬は気にしていません
「しかし 師匠は病床にあっても高座への未練立ち難く 本日はいささか趣向を変えまして」
「 皆 様 に は " 口 寄 せ 芸 " を ご 披 露 さ せ て 頂 き ま す」
 
口寄せとは駆馬を霊媒として、師匠の魂を乗り移らせること。そんなオカルトまがいの説明に弟子達は混乱しますが
 
―――昨日お席亭の口から語れた襲撃犯の正体。それは関西から進出してきた暴力団、六点会だそうです
なんでも、師匠の所有するノンコウを代議士の手土産にして、勢力拡大を図ろうとしたらしく
けれどもあのノンコウは師匠の実家、茶道具屋から勘当された時に持たされた大事な品物なのです
ですが、例え賄賂代わりだとしても、渡しておけばこんなことにはと嘆くお席亭です
そこに、看護婦から師匠の意識が戻ったことが告げられます―――
 
駆馬の体に降りる師匠の霊。ですがハタから見れば物真似芸だろうと弟子は馬鹿にします
しかし、『火焔太鼓』 師匠の十八番を素人芸とは思えぬ語り口調で噺をする駆馬に、次第に心を奪われていきます
 
―――病床で口寄せ芸を依頼される駆馬。どうやら先々代の寒鰤屋から秘術のことを聞いていたらしいようです
この体では高座に上ることは不可能、さりとて楽しみにしてくれていた観客を裏切るのも忍びない
六点会はノンコウの腹いせに楽柳の名に泥を塗るためこんな事をした、だから、と涙ながらに駆馬に頼む楽柳師匠でした―――
 
舞台が始まって二時間、今では誰もが疑うこともなく噺に聞き入っています
こんな芸が素人の物真似でできたら、全員廃業だよ、と弟子に語るお席亭。間違いなく楽柳師匠がここに来ていると断言します
しかし、噺の語り口で、ふいにうずくまる駆馬。次に起き上がったときには、元の駆馬に戻っていました
「寒鰤屋でございます……… 三柳亭 楽柳師匠…… 只今お亡くなりになりました」



191 :寒鰤やる人 :2006/12/02(土) 22:04:37 ID:???
お宝2 楽ノンコウ(転)
 
その発言と同時に、楽屋裏に、師匠の凶報を告げる病院からの電話が…… 騒然とする弟子衆を一喝する駆馬
「楽柳師匠 この寄席においでになっています」
駆馬の元に再び、舞い降りる楽柳の魂。そして、最後の口上を駆馬の体を通じて客席に語りかけます
 
"楽柳でございます  誠にお見苦しい所を……"
"止むを得ぬ事情により 三柳亭楽柳 この一席を辞世の高座とさせて頂きます どうぞ皆様よろしくおつきあいを願います……"
 
"名工と呼ばれる方に甚五郎利勝という方がありました 十二の年に飛騨山添の住人 三代目墨縄という人に弟子入りをいたします"
 
(「三井の大黒」…… 昭和三十五年 末期ガンで正座もままならない三代目桂三木助が務め上げた 最後の演目)
 
"鳥の将に 死なんとする    その鳴くや 悲し"
"人の将に 死なんとする    その言や良し"
 
(そんな境地に至った 三木助に勝るとも劣らねえ出来だ  し か と  見 届 け た ぜ  楽 柳 ! )
 
泣き崩れる弟子と感激に包まれたお客様方の前で、最後の口上を述べる楽柳師匠
"皆様 そろそろ時間が参りました 今日の高座を冥土の土産にできる私は"
" 三 国 一 の 幸 せ 者 で ご ざ い ま す "
その言葉に、ついに感極まった客からの声援を受けながら
"では 皆様 楽流はこれにてお暇を申し上げます"
"本日は誠に"
"有難う……… ございました………"
 
その言葉を最期に、再び倒れこむ駆馬の元に、駆けつける観客と弟子の面々
そして、楽柳最期の寄席は幕を閉じました


192 :寒鰤やる人 :2006/12/02(土) 22:05:36 ID:???
お宝2 楽ノンコウ(結)
 
深夜、某所にある関東六点会事務所。会長と思われるグラサンを掛けた顔に傷のある強面の男が、電話で恫喝しています
「何ィッ? ノンコウは既に人手に渡ってるだと!? 相続人をマークしてたんじゃなかったのか 外部の誰かにだぁ!?」
とりあえず楽柳の弟子を締め上げるぞ、と車を準備させる会長。すると表には、高座から直接来たのか、着物姿の駆馬がいました
片手には和傘を、そしてもう片手には、あのノンコウがあります。それを見て目の色を変える会長
手下がそれを掴み取ろうとする瞬間、駆馬の鉄拳が炸裂します
「暴力は好みませんが よってたかって老人一人いびり殺すてえのは もっといただけませんね」
「 ほ し け り ゃ ぁ ゲ ン コ ツ で お い で な さ い 」
 
その発言を聞き、まるで時代劇の悪役のような台詞で部下をけしかける会長。しかし、悲しいかな、彼らは駆馬のことを知りません
 
「野暮でござんす………」






雨が降ってきました。手元の和傘を開こうとして駆馬は思いとどまります
「いいか…… この程度の雨なら」
 
                    ―――濡れるのも 風情だ―――
 
去り行く駆馬の後ろには、壊滅させられた六点会の無残な姿と、警察の姿が残されていました


193 :マロン名無しさん :2006/12/02(土) 23:14:56 ID:???
何このちょっといい話
初めて読んだけど独特の雰囲気あるね
ジャンプぽくない

194 :マロン名無しさん :2006/12/02(土) 23:23:42 ID:???
しかしなんでもこなすな
やっぱりバトル路線になりそうだが、このまま人情味あふれる路線も捨て難い


195 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 00:04:40 ID:???
次は侍の霊を憑依させて名刀を振るって戦うとかじゃないかな。
そういう能力者バトルになれば人気が出てアニメ化もされるかも。

196 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 00:57:00 ID:???
大業物の名刀備前長船!とかそんな感じか。

197 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 01:24:45 ID:???
( ;∀;)イイハナシダナー
なかなか絵でみせるねえ。

しかし、口寄せって骨董と全く関係ねー。
それとも大昔に成仏してそうな人も呼び出せて、骨董の真贋を本人の口から聞けるのか?

198 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 01:25:05 ID:???
ちょっと感動しちゃったじゃないか!
でもこの主人公は子供じゃなくて大人が憧れるようなタイプな気が。
やっぱバトル路線に行くのかね。

199 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 02:30:05 ID:???
立ち読みしてたのに泣いちまった・・・
だっていい話だよこれ・・・
名作誕生の予感。

200 :マロン名無しさん :2006/12/03(日) 19:06:21 ID:???
買って家に帰って読んで泣いた

いい話なんだが他の連載陣とは明らかに毛色が違う・・・ヤンジャンとかオールマン向けなのかな・・・

201 :マロン名無しさん :2006/12/04(月) 00:14:05 ID:???
霊能力もあってバトルも出来て何でもありだな。
つか今回の話、骨董品が絡まなくても成立したような…

202 :マロン名無しさん :2006/12/04(月) 01:31:28 ID:???
>>200
もうちょっと対象年齢の高い美術蘊蓄マンガとしてはゼロやギャラリーフェイクが連載中だからなあ。
差別化を図るとするとジャンプらしくミョーなライバルが出てきたり巨大な骨董窃盗組織と戦ったりす
る方にいくんじゃないかなあ。


203 :寒鰤やる人 :2006/12/04(月) 22:04:22 ID:???
お宝3 旧十円金貨(起)
 
郊外のとある神社の境内にて、今日は休日を利用した骨董市が開催されています
骨董といえば、われらが寒鰤屋六代目倉本駆馬の出番です。今日も今日とて、珍しい品物を探しているようです
「ピエロ服?」
赤の水玉で、袖と襟にひらひらのついた奴、と特徴を述べる駆馬に、平凡だなと露天のおじさんがいいます
なんせその品物は20年前に夜店で買ったごく平凡なものらしい、と駆馬がいいます。しかし何でも曰くつきだとか
「鳩山製紙の社長の親の形見なんだそうだ 使用人がうっかりゴミと一緒に出しちゃったのを探してくれって依頼されちゃったんだよ」
会社社長の親の形見がピエロ服、と聞いていぶかしむおじさんに、駆馬も困惑気味です。どうも依頼人はそれを話したくないようです
なんとか、蚤の市(骨董などを路地で売り買いする市のこと)に出たってとこまでは突き止めたという、駆馬に迫る影……
今回も一波乱ありそうです

                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝3 旧十円金貨
 
駆馬に手をかける怪しい人物、なんとその正体は下垣さんでした(誰この下膨れという方は第一話をご参照ください)
「や これは下垣のバカ旦那 いや 若旦那 こんち お日柄もよく……」
「さりげなく漏れいでた貴様の本音 心に留めとくぞ 骨董屋」
下垣さんはどうやら、鳩山製紙が絡んでいると知って興味をもたれた様子です
なんとか誤魔化そうと、ただのピエロ服だと言い張る駆馬ですが、下垣さんは反論します
「いや! 実業界じゃドケチで有名な "あの"鳩山社長がただのピエロ服に人まで雇うわけがない!!」
断言する下垣さんに、疑問を抱く駆馬。下垣さんは続けます。なんでも鳩山社長は、自分の遊びの時以外は実に財布の紐が固いそうで
「とにかく! そのピエロ服 かなりの値打ちがあると見た」
親の形見だとか、ナニワブシ的な話は大嫌いな人物だそうで、とにかく、何かわけありの商品であることには違いなさそうです
「骨董屋! そのピエロ服 コレクターの名にかけて俺様が手に入れる どうしても欲しければ買い取って貰うぞ!」
高らかに宣言をして、例の三人とともに去っていく下垣さんでした…

204 :寒鰤やる人 :2006/12/04(月) 22:05:58 ID:???
お宝3 旧十円金貨(承)
 
下垣さんの人となりに疑問を抱くおじさんに駆馬は涙を流し、事の次第を説明します
「よんどころない成り行きで 人生プラン砕かれた事 根に持ってるお金持ち」

ひとまず報告のために鳩山邸に戻った駆馬に、容赦のない社長の叱責が飛びます
ちょび髭の強面オヤジ、どう見ても俗物です(きっと下垣さんも十年ほどでこうなるんでしょうね)
手がかりもロクに与えず、一日遅れたら報酬を10%減らす、と値切りだす雇い主に先行きの不安を感じ始める駆馬
しかし商人にも五分の魂、と何とかしようと屋敷の住人に聞き込みを始めます

まず一人目は、メイドのお嬢さんです。ただし残念ながら、マニキュアを塗りながら寛ぐ姿は、勤勉さとは程遠い人です
社長の事をパパ呼ばわり(もちろん実の親子関係ではありません)ですが、一つ情報を得ます
どうやら、件のピエロ服、一度は社長自らが捨てる事を許可したと言います。やはり親の形見だと言う理由は眉唾物です
しかしメイドさん、サービス旺盛なのか、駆馬を誘惑しようと迫ってきます
今は奥さんが旅行で留守して、暇なんだとか。もっとも暇じゃなくても普通の仕事を一生懸命やるタイプにはみえませんが
そんな彼女が、ケチで評判な社長の下で、なぜかお給料を多く貰っているんだそうで、それはやっぱりアレですか?
いよいよ押し倒されそうになる、免疫のない駆馬。このままでは、少年誌の枠を越えてしまいそうです。するとそこに救いの手が!!

扉を開けて、部屋に入ってくる着物姿の老婦人。その姿を見ると、いたんだっけ影の薄いのが、といい捨てて立ち去るメイドさん
その老婦人は、駆馬にお茶を振舞いながら、先ほどの非礼を詫びます
そして駆馬に、あのピエロ服は夫の形見だと、言いどうしても見つけて頂きたい、と懇願します
どうやらこの人物は、鳩山社長のお母様らしいそうで、するとやはりピエロ服は親の形見?
すると、その辺の経緯を語り始める、奥様。やはり色々な秘密があるようです……

何でも先代の鳩山社長は、社長になる前、戦時中には大陸慰問団にも加わった軽業師、奥様も見習いの手品師だったそうです
戦後、生きるのに必死な時代、娯楽どころではない世の中で地味な仕事についたお二人

そして事業の発展と共に、芸事は忘れていったんだそうです

205 :寒鰤やる人 :2006/12/04(月) 22:07:15 ID:???
お宝3 旧十円金貨(転)
 
企業も息子に譲り、暇ができるようになると、主人と奥さんは昔取ったキネヅカで、慰問団にボランティアで入団しました
刑務所や養老院などで、かつての芸事を披露する。あのピエロ服もそのために買い揃えたものの一つだそうで
なぜ社長がその事を言わなかったのか、と尋ねる駆馬に、奥さんは苦渋の表情で声を絞り出します
「お恥ずかしい…… それはあの子がケチだからです… 」
「鳩山製紙の先代が慈善活動をしてると知れると 自分にも多額の寄付を求められるのではないか……」
「自分の道楽に費やす分のお金を削られやしないか心配しているんです」
どこで間違ってあんなふうに育ってしまったのか、と嘆く奥さん。無理な願いだったと謝礼を駆馬に手渡そうとしますが
「いえ 奥様 市場の価値はどうあれ 何物にも代え難い宝物を扱わせて頂くのも 私どもの商いでございます」
「そのピエロ服 どうぞ私にお任せください!」

それではとっておきの情報を一つ、主人のピエロ服は 私の手品のタネが仕込んであって 飾りボタンがずっしりと重いんです
奥さんからのヒントを頼りに、片っ端から渡り歩く駆馬ですが、どうしても該当するピエロ服は出てきません
しょうがないから、下垣さんの所に様子を伺いに行くと……!!
 
         ピエロ服を燃やして、キャンプファイヤーして、踊っていました…

 
さすがバカ旦那! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!
って言っている場合ではありません。聞くと五十三着も集めた時点で我に帰ったそうです
どうも、所詮安物と言うことで、それに消費した時間の仇を取る名目で始めたキャンプファイヤーだとか
なんにしても、あいつにだけは貴重な物は渡すまいと、固く心に誓う寒鰤屋店主、駆馬でした……


206 :寒鰤やる人 :2006/12/04(月) 22:08:52 ID:???
お宝3 旧十円金貨(結)
 
それらしいボタンはないのが不幸中の幸いと焼け跡を漁る駆馬の元に、露天のおじさんから電話がかかってきます
なんでも渋谷の業者が不自然に重い飾りボタンをつけたピエロ服を、代々木公園で大道芸人をしているアメリカ人に売ったそうで
急いで現場に駆けつける駆馬、その場のバンドメンの話によると当人はアメリカに今日帰国するため、もういないそうです
偶然撮っていたその男の写真を手に成田に駆けつける駆馬。人の山の中で、目ざとく発揮される鑑定ビジョン!!
ピエロの写真からメイクを除去、骨格を分析し、一人の男性に目をつけます
何とか駆け寄ろうとする駆馬を邪魔するがごとく、〜河原製作所ご一行様ツアーが、上州弁を吐きながら通路をふさぎます
最早これまで、無情にも飛行機は飛び立ち……



社長宅にて、ズタボロになりながらもピエロ服を届ける駆馬。どうやら間に合ったようです
その服を直接奥さんの下に届け出た駆馬のことを、メイドさんから報告を受けて、憤る社長さん
そんな風景を余所に、報酬をお渡しする、と言う奥さん。社長から頂くと断る駆馬に、あなたの取り分よ、と飾りボタンをあけます
そこにあったのは、旧十円金貨、しかも明治10年製。かつて、先代と二人で旧満州の華族のお座敷でご祝儀の品だそうで
現在の価値は八百万もする貴重品です。躊躇する駆馬に、夫の形見の品が戻れば満足だと、奥さんがいいます
そこに乱入してきた、鳩山社長。金貨に手を伸ばすものの、奥さんに制止されます
普段は温厚な奥さんも、堪忍袋の緒が切れたのでしょうか、長年培った手品業で鳩山社長をやり込めると
「お前は暇つぶしにお父さんの日記を読んでみるまで この形見の値打ちが分からなかったじゃないの!」
「寒鰤屋さんは金貨の事など一言も聞いていないのに足を棒にして探して来てくれたのよ」
「お前に金貨をとやかく言う資格があると思うの!?」
そして、今日から徹底的に教育し直すと張り切る奥さん。なんにせよ、合掌……

その後、下垣さんが事の顛末を尋ねにきましたが、駆馬は正直に、"十円"が報酬だと告げました
納得いかない下垣さんに問い詰められても知らん顔。その"十円"は今も豚さんの貯金箱に眠っています……ちゃんちゃん



207 :マロン名無しさん :2006/12/05(火) 00:19:27 ID:???
ふむ、じんわりと効くなぁ。
これからもこんな骨董ちょっといい話路線でお願いします。

208 :マロン名無しさん :2006/12/05(火) 00:27:58 ID:???
バカ旦那・・・・

209 :マロン名無しさん :2006/12/05(火) 01:52:13 ID:???
十円玉が八百万…
俺の持ってる十円玉も、いつか高値がつくのだろうか…。

210 :マロン名無しさん :2006/12/05(火) 15:49:06 ID:???
ヒント:金貨

211 :マロン名無しさん :2006/12/05(火) 18:17:42 ID:???
おんなが!おんなが足りない。
ご年配の方じゃなくてもっとピチピチムチムチしたのが!

212 :マロン名無しさん :2006/12/06(水) 00:40:11 ID:???
真理亜ちゃん再登場マダー?

213 :マロン名無しさん :2006/12/06(水) 12:20:13 ID:???
バカ旦那やばいな…

あの十円玉はやはり駆馬の死後に気付かれずに豚さん貯金箱ごと誰かに売られて
また捜索するはめになったりするのだろうか。

214 :マロン名無しさん :2006/12/06(水) 19:13:03 ID:???
バトル無しでも読ませる話を描くじゃないか。
このままギャグありのほのぼの路線で進んでほしいな。

215 :寒鰤やる人 :2006/12/06(水) 22:03:02 ID:???
お宝4 一乗歳寒二雅図鍔(起)
 
今日も今日とて平穏な日常。例えばコンビニ周りの自販機で屯している不良の集団など、ごくありふれた風景です
しかし、そんな日常を破壊する一人の男がいます
その男は作務衣を着た長身、長い髪を後ろに縛り、左目には眼帯をつけています
不良たちの前に突如現れたその男は、果たして何者なんでしょうか?
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝4 一乗歳寒二雅図鍔(いちじょうさいかんにがずつば)
 
不良たちを無視し、自販機にて飲料を買い溜めするその男
当然のことながら因縁をつけられます。なにシカトしてるんだよ、と。ちなみにシカトとは花札の十月札が語源です
それに対して動じることもなく、説明を始める長身の男。なんでも以前同じような状況で、注意したら因縁をつけられたそうです
だから、今日はなるべく目を合わせないように、と言い、お気に召さなかったのかと尋ねます
当然、怒り出す不良たち、余所の自販機で買えよと責めるも、どうやらお気に入りの飲料はここだけだと男はいいます
ツラを貸せ、と怒鳴る不良を無視する男に、ついに殴りかかる不良たち。そこに訪れたのは、誰であろう駆馬です

不良たちを塵箱送りにして、二人は森山公房と言う事務所に入ります。どうやらここが、長身の男の拠点のようです
製作中の仏像彫りに精を出すその男の世間知らずな面をたしなめる駆馬
だがそれもどこ吹く風。長さんと呼ばれたその男は、逆に聞き返します
「店を放ってまで俺を尾行とはご苦労だな それともこの鍔を見張ってたと言うべきか?」
どうやら長さんの眼帯の鍔はかなりの値打ち物なようです
駆馬としては貴重な芸術品を傷でもつけられたら切ないから、と管理を希望してるだけなんですが
「何か知らんがこれが一番俺の目にフィットするのだ」
そうのたまう男に、仏像の彫り過ぎて精神がいっちゃってると言い残し、駆馬は退散します
その駆馬と入れ違いに入ってきた黒衣の紳士。その男は無断で事務所に入ると、長さんに声を掛けます
「大胆にして繊細 静の中の躍動 平成の運慶 森山長蛇  なかなかのコピーじゃないか長蛇君」
「あんたか……」

216 :寒鰤やる人 :2006/12/06(水) 22:06:17 ID:???
お宝4 一乗歳寒二雅図鍔(承)
 
嫌味ったらしく長蛇を賞賛するその男は、今彫ってる不動明王像が楽しみだ、と笑みをこぼします
しかし、長蛇は辛らつに三百万円だと言い捨てて、辻堂と呼ばれたその男に金に汚くなったと言われます
ですがこの男、以前から長蛇の作品を二束三文で買い叩いては数百万単位で売りさばいていたのです
長蛇は、金のことより事実を隠していた事が不服だと言います
それを聞いて寒鰤屋に入れ知恵されたのか、と問い詰める辻堂
 
―――二ヶ月前、商品目録に載った仏像を見て、自分の作品だと認める長蛇に、これは四百万円の値がついたと報告する駆馬
売値が三万五千円、買った商人はぼろ儲け、それで寒鰤屋としても、ぜひ分けて欲しいと頼む駆馬に
「いいよ好きなの 持って行きな」
食えるだけ置いてってくれれば良い、と言う長蛇に相応の値段をと、値上げを要求する駆馬
駆馬にとって、長蛇の理屈は、職人のそれ、そして、商人の理屈からしますと、それは納得のいかないもの
「その眼帯になさってる鍔…… 先生の作品をお買い上げの美術商さんから 買取のお話一度でもありましたか?」
その問いに否定する長蛇。すると駆馬は鑑定を告げます。後藤一乗の歳寒二雅、おそらく本物、七百万は下らない、と―――
 
長蛇の回想を聞き、衝撃を受ける辻堂。どうやらまったくその価値を見抜けていなかったようです
ちなみに一乗は幕末の金工。衰退した装剣小道具の名流、後藤家の最後を飾った名工だそうで
それに気付かなかった辻堂を勉強不足だと言っていた、と長蛇は告げます
ですが辻堂はその話に対し、寒鰤屋はそれを目当てに長蛇の上京を手伝ったのだ、と言い放ちます
しかし、この話には続きがあります
 
―――「水が世界中を循環しているように 金にも流れがある」
「だから 長い間一ヵ所に大量の金が寝ていると流れがよどんで毒気を放つ」
「その毒気に脳ををやられると 金の為にどんな犯罪でもできるようになるんです いや マジで」
「数百万だろうと 食える分だろうと お金を受け取った以上 それは立派な商品です」

「ある意味で職人さんは 商人以上に己の作品に責任を感じて頂きたい」―――

217 :寒鰤やる人 :2006/12/06(水) 22:08:20 ID:???
お宝4 一乗歳寒二雅図鍔(転)
 
長蛇の口から出る寒鰤屋の商人の理屈に、辻堂は腹を立てます
そして寒鰤屋の口車に乗った長蛇を辻堂は激しくなじります
しかし、長蛇は言います。駆馬の魂胆は別として、あいつはツマラン嘘はつかない、と

そして買う気がないなら失せろ、と言い捨てます。ですが…
"その毒気に脳をやられると 金の為にどんな犯罪でもできるようになるんです"
駆馬が言った言葉どおり、長蛇に銃口を向ける辻堂。そして、立て続けに打ち放たれる銃弾に長蛇は倒れます

寒鰤屋の元に警察がやってきます。どうやら長蛇は救急車で運ばれた模様。ただし眼帯を盗まれていたそうで
そして疑われるのは寒鰤屋の店主駆馬です。日ごろから何度も長蛇に取引を持ちかけていたことが裏目に出たみたいです
警察に連行されそうな駆馬に、主婦に扮した下垣さん一味が、駆馬の評判を下げるべく露骨な噂話をします
どこまでいっても暇な人たちです。というかこのためにわざわざやってきたのでしょうか。ご苦労なことです
いよいよ連れて行かれるその時に、駆馬は警察の手を抜け、脱出します。公務執行妨害の現行犯で、警察に追われる駆馬
広域に、指名手配を持ちかける警察車両に、突然本部から連絡が入ります
その連絡を受けてきびすを返して去っていくパトカーに、不審なものを感じる駆馬は追いかけていきます

時を同じ頃、辻堂の経営する画廊にて、長蛇の眼帯を手に入れた辻堂はほくそえみます

寒鰤屋が疑われているうちに、この鍔を処分してしまえば証拠は残らない!
そうして後は長蛇が死ねば、彼の仏像の在庫は高騰するのは間違いない!
最期まで金のなる木だった、とにやつく辻堂の前に、撃たれたはずの長蛇の姿が!!
眼帯ではなくサングラスをかけた長蛇。弾丸は懐の鉈に当たって、致命傷を免れたらしいのです
かすったところからの出血で、たまたま死んだように見えただけ。そして辻堂に長蛇は自首を進めます
「辻堂さん あんたには一応 俺の作品を世に出してくれた恩があった だが それも ここまでだ」
「せめて自首してくれ あんたに返せる恩はその位だ」



218 :寒鰤やる人 :2006/12/06(水) 22:09:21 ID:???
お宝4 一乗歳寒二雅図鍔(結)
 
長蛇の勧告にも最後まで抗う辻堂。鍔を手に取り逃げ出しますが、長蛇はその怪力で、辻堂を追い詰めます
ドアを片手で突き破り、追いすがる長蛇を前に、辻堂は通りすがりの主婦を人質にとって抵抗します。が
その手には面子が突き刺さり、その隙を突いた長蛇の一撃で辻堂は、ショーウィンドウに叩き付けられます
駆けつける警察のパトカーのサイレンとともに駆馬がやってきます。どうやら先ほどの面子は駆馬の物のようです
長蛇の無事を喜ぶ駆馬に、一乗の鍔は無事だった、と長蛇は切り替えします。その皮肉に駆馬も流石に異を唱えます
「おい 長さん こんな時に野暮な事言うなよ 長さんが無事で良かったって言ってんだよ」
真剣な口調で文句を言う駆馬に、素直に非を認める長さん。何はともあれ、一件落着です

警察での事情聴取を終えて、家路に着く途中……
「え? 一乗売ってくれる?」
「お前さんとつき合うのに こいつは邪魔なようだ」
「有難う 有難う 長さん」
「ただし 条件がある」
「条件?」



「どうもしっくり来んなあ……」
「勘弁してよ〜〜 それだって三十万はするんだよ だから こーいう事に 使うもんじゃねーんだってば……」
新しい眼帯を捜し求めて鍔を試着する長蛇の姿に、苦笑する駆馬。やはり、ちょっとやそっとでは人は変わらないようです


219 :マロン名無しさん :2006/12/07(木) 00:35:27 ID:???
長さん・・・カッコイイ(笑)

220 :マロン名無しさん :2006/12/07(木) 01:08:08 ID:???
何この柳生十兵衛。
かっこいいからいいけど。

それはそうと、商人の理屈には感心した。

221 :寒鰤やる人 :2006/12/08(金) 22:00:12 ID:???
お宝5 リーバイスS501XX(起)
 
走る少女に追う駆馬。最近女性分が少ないぞ、と言う読者の声にお答えしてみましたがどうでしょうか?
何はともあれ機敏な少女に翻弄される駆馬。そこに訪れた子連れの男性。件の露天を開いていたおじさんです(三話参照)
その少女の履いているジーンズに目をつけたおじさんに、足止めされる駆馬。やはり今日も一波乱ありそうです
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝5 リーバイスS501XX(りーばいすえすごーまるいちだぶるえっくす)
 
古着の丸松氏とその息子さんである哲ちゃんに足止めされる駆馬は、憤りをぶつけます

ですが、一応この業界の先輩とその息子なだけに強く出ることもできません
肝心の彼女を見失ったことに腹を立てる駆馬に、丸松氏は彼女のジーンズを鑑定して見せます
「リーバイスS501−XX 股リベット廃止直前の30年代モデル 約百万円相当の品と見た!」
一目見ただけでそこまで見抜くとは、と感心する駆馬に、儲け話にでもなるのか、と食いついてくる村松氏
しょうがなく、彼女との経緯を説明しだします

彼女は京のハタ師で、陵 希鈴(みささぎ きりん)という名前だそうです
そもそもたまた今日寒鰤屋に訪れて品物を売りに来たそうで
「そしてナンパに失敗して逃げられたのか」
「シメていい? 保護者」
生意気な哲ちゃんはともかく

【(寒)ノート】 ハタ師
 早い話が、店舗を持たない骨董業者
 品物をプロから仕入れてプロに売る。財産は己の目利きと商才だけの、かなりロマンな商売


222 :寒鰤やる人 :2006/12/08(金) 22:02:46 ID:???
お宝5 リーバイスS501XX(承)
 
しかし、そんなハタ師も"一割商売"と言われるほど数こなさなきゃ食っていけない仕事

あんな若い娘でやれるのか、と尋ねる丸松氏に駆馬は彼女の所業を語ります
どうやら彼女の持ってきたものは全部スカ。狩野派の掛け軸やら井戸茶碗だの助平根性丸出しの贋物ばかり
聞けば彼女は京の旧家のしがらみから逃げ出して来たいいとこのお嬢様らしく
それがなぜ、あんな高級ジーンズを履いていたのかと言うと……

持ってきたガラクタを駆馬にけなされて、捨て台詞吐いて彼女が帰ろうとしたその後姿

そこに燦然と輝くGuaranteedの刻印入りの皮パッチとビッグEの赤タブが!!
知らない人にはなんだか良くわからないが、その皮パッチだけで40万円は確定する代物
なんにせよ彼女の持ち物の中では一番の高額商品
聞けば彼女自身は旅用に押入れで眠っていたものを引っ張り出してきただけで価値を把握していませんでした
結局のところ、駆馬は彼女にそのジーンズの価値を説明、めでたく取引にいたるはず……でしたが
なんと彼女は、ジーンズのほかにガラクタを合わせて百五十万円出せ、と吹っかけてきたのです
口論の果てに、行き着いた先が先ほどの追いかけっこ。希鈴の出した条件と言うのは……
「勝負や」
「今日の日没までに どんな手を使うてもええ うちからこのジーンズをひっぺがしたら あんたの言い値で売ったる!」
「チカンだの 暴行だのと 大声上げたりせえへん!」
「その代わり できんかったら二百万で全部 買うて貰うで!!」
その言葉にあっさりと乗っかってしまう駆馬
「おおっ 大きく出たな その言葉忘れるな!」
「ならば俺が勝ったら 相場の半額で頂くぞ!」
「その代わり 下が寒かろうから このモンペをサービスしたる!」
日頃の駆馬らしからぬその取引に疑問を抱く丸松氏に、駆馬は涙ながらに告白します
「男って悲しいスね 丸松さん」
「あんな激しく口論したのにナイスバディとはどっかで妥協点見つけようとしちゃうんスよ」 反則だよう
「で それを知ってるよな ナイスバディは」

223 :寒鰤やる人 :2006/12/08(金) 22:04:22 ID:???
お宝5 リーバイスS501XX(転)
 
男の悲しいサガを語る駆馬に同調する丸松氏。そんな大人たちを醒めた目で哲ちゃんは見つめます
そして、駆馬の背後に音もなく現れる希鈴は、駆馬を見下し、余裕の表情です
いつもの上泉流はどうした、と尋ねる丸松氏に希鈴はかわりに答えます
「その兄ちゃんも 何や使うとは初めは驚いたが うちの楠木流忍術の敵やないな  まして逃げは忍者の十八番やで」
それを聞いて、上泉流にも忍術はある、と再び奮い立つ駆馬。去っていく二人を見て、哲ちゃんは父に尋ねます
「父ちゃんもあのジーンズ欲しい?」
その問いに、あれを置けたら箔がつくと言いますが、寒鰤屋がてこずる相手だと分が悪いと丸松氏は諦め模様です
もちろん、百万二百万といった大金を動かすこともできませんし、何より丸松氏の趣味に合いません
子供が余計な心配するな、と言い家路につく丸松氏ですが、哲ちゃんは何か考えがあるみたいです

必死の形相で息を整える希鈴。どうやら駆馬の猛追に彼女も限界が近いようです。その彼女に背後から声がかかります
駆馬かと思って、強がる希鈴ですが、そこにいたのは哲ちゃんです
美人のお姉さんに用があると煽てておいて、ジーンズの取引を持ちかけます
大人顔負けの交渉術に、ムカつく希鈴ですが、とりあえず理由を聞いてみることに
ようするに競争意識のない父に代わって交渉しに来たのだと言う哲ちゃんに、希鈴は付録も引き取るのかと問いかけます
希鈴にとってハタ師として骨董を売らないと格好がつかない、ましてや家のジーンズが一番高価なんて目利きナシの見本だと
だからこそこの勝負に勝って二百万円手に入れないと関西に帰れない、そう力説する希鈴に何か間違ってる気がする哲ちゃんでした
そこに再び駆馬が現れひと悶着に。そのまままた鬼ごっこを続けます
二人ともいい加減になんでこんなことをやってるのかわからなくなっていますが、意地で走り続けています
そして日没間際、とあるビルの工事現場に追いめられる希鈴。ついに勝利確定かと喜ぶ駆馬です
しかし、まるで変質者のごとく希鈴に襲い掛かる駆馬に正義の鉄槌が下されます
「誰だっ!!」
「人が来ないのをいい事に 女の子をいじめる悪い奴!  夕日の忍者"隼" 成敗してくれる!」すこやか〜ん

224 :寒鰤やる人 :2006/12/08(金) 22:05:40 ID:???
お宝5 リーバイスS501XX(結)
 
隼、もとい変装した哲ちゃんにつっこみを入れる駆馬。ですが隼は希鈴に逃げるよう呼びかけます
膝を突いて逃げようとする希鈴に、膝で歩くな、と怒鳴る駆馬ですが、そこにハヤブサスカッド(スコップ)が決まります
それをきっかけに乱闘になる駆馬と隼、そしてその隙に逃げようとする希鈴。それを制止しようとする駆馬ですが
「ハヤブサキーック!!」
しかし隼は忘れていました。ここがビルの工事現場である事を。キックの衝撃で空中に飛び出してしまう二人
なんとか駆馬が手をかけるものの今にも二人して落ちてしまいそうです
気絶する哲ちゃんを抱えて駆馬は希鈴に休戦を求めます。なにしろ今日は一日中走り回り力が出ません
しかし希鈴も事情は同じ。何かつかむものはないかとあたりを見回しますが何もありません
いよいよもって一か八かと飛び移る事を検討する駆馬ですが、気絶から醒めた哲ちゃんが暴れて万事休す
ついに手が離れますがそこに救いの女神が!!
なんとそれは例のジーンズ。希鈴が脱いでロープ代わりにしたものです(当然のことながら希鈴はパンツ丸出しに)
喜ぶ駆馬。泣きながら上を見るなと罵声を浴びせる希鈴。ですがなんとか助かったようです
 
無事にすんで泣き喚く哲ちゃんを介抱しながら商談をする駆馬達。判定は微妙ですが希鈴は決心します
「このむき出しの脚線美とお宝を前にしておきながら そーやって子供の方を心配してる」
「あんた 気合の入った商人だけど 人として何が大事かちゃんと分ってんな  見直したわ」
めでたく商談成立。ですが希鈴はパンツ一丁ですのでしばらくズボンを貸してくれと頼みます
そんな彼女に駆馬が差し出したのはモンペです。当然の事ながら蹴り飛ばされ再び落下しそうになる駆馬
ですが今度の救いの手はジーンズではなくモンペ。ビリビリやぶれるモンペにつかまりながら助けを求める駆馬でした



225 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 00:27:21 ID:???
男の性か…哀しいもんだな。
だがそれを言うなら貸すのはモンペじゃなくミニスカとかにするべきだったな。

226 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 02:02:51 ID:???
久々に女性キャラキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

227 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 08:12:36 ID:???
次はビンテージもののランジェリーを奪う話にしてください。
小野小町着用のブラとか。

228 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 09:49:11 ID:???
>>227
バカ旦那が着込んでたりしてもOKですか?

229 :マロン名無しさん :2006/12/09(土) 21:20:03 ID:???
エロ路線キター…か?

230 :マロン名無しさん :2006/12/10(日) 03:12:19 ID:???
この女キャラは1話のと違って骨董に絡めやすいキャラだし、レギュラー化するのかね。

231 :マロン名無しさん :2006/12/10(日) 16:37:41 ID:???
さあ・・・どうだろ?
前回の長さんだって、あれだけキャラ立ってたのに
結局今回はちっとも出てこなかったじゃないか。

232 :寒鰤やる人 :2006/12/10(日) 22:03:42 ID:???
お宝6 絵唐津(起)
 
時刻は11時30分。何時も通り遅く起きた寒鰤屋店主駆馬です。意外に可愛らしいパジャマの柄で緊張感のない目覚めです
店を開けるか、と寝床から出る駆馬ですが、今日は何かが違います。どこからともなくおいしそうな匂いが立ち込めます
匂いの元を尋ね、雨戸を開けて見るとそこにはなんとテントと飯盒を炊く少年? そして自転車がありました
見覚えのない珍客にあわてて庭に飛び出す駆馬ですが、はたして彼? 彼女? は誰なのでしょうか?
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝6 絵唐津(えがらつ)
 
駆馬がやってきてもあわてず騒がず、その少年? は寒鰤屋の庭の広さを褒め称えます

いまどき東京でこんだけの庭は珍しいね、と感心しながらも朝食を駆馬にも分け与えます
その飄々とした態度に軟化させられる駆馬ですが、とりあえず少年? に事情を尋ねます
「今日からこちらでお世話になる水島 大魚(みずしま たいぎょ)と申します  どうぞよろしく」
突然の申し出に目が点になる駆馬ですが、聞けば長さんこと守山長蛇(お宝4参照)に紹介を受けたようです
当の長さんは何しろあーいう人ですので今の今まで駆馬に何も話していません

ともかくかつて長蛇が九州まで仏像研究に行ったときの知り合いだそうで
大魚は唐津の陶芸を生業としていたそうです
「新進陶芸家 水島大魚の東京進出! せっかくだから九州から自転車旅行とシャレ込んだんです」
それでついたのが明け方4時だそうで、そのまま居座ろうとする大魚に駆馬は改めて出直すように宣告します
「東京モンは鬼ンごたる!!  田舎モンは騙くらかされて遊郭に売らるったい!!」
いきなり九州弁で泣き付く大魚に駆馬も困惑します。そしてそのまま騒ぎつける大魚をやむなく店の中へ招き入れます

233 :寒鰤やる人 :2006/12/10(日) 22:05:02 ID:???
お宝6 絵唐津(承)
 
肝心の長蛇に問いただそうと電話するも仕上げのため留守電になっています
なんとかして追い出そうとする駆馬ですが大魚も負けじとオーバーリアクションで応戦します
堂々巡りで埒が明かないと悟った駆馬は、仕方無しに直接長蛇の仕事場へ出向くことに

その間のん気にも東京見物に向かう大魚に呆れますが、物陰から見張る謎の人物に気付くことはできませんでした

長蛇の仕事場に着いた駆馬が最初に見たものは巨大な手の形の像です
なにやら前衛的な方向を模索しているらしく、地蔵菩薩の手の他にも広目天の足、白衣観音の鼻、弥勒菩薩の尻だの……
微妙なセンスの長蛇の作品にあきれ返るも、駆馬は当初の目的どおり大魚の事を問い詰めます

のん気にアイスの食べ比べをする大魚の後ろにはサングラスの怪しい人影が……
そんなこととは露知らず、のん気な長蛇は木箱から何か取り出し駆馬に見せます
「絵唐津!!  この趣! この量感おそらく桃山時代……  愛陶家として一度は手に入れたいと思わせるこの素朴な味わい」
「これなら底値でも四百万………  ……て あれ?」
そう、それは最近の作品を古く見せかけた贋作、水島大魚の作品です

唐突に拉致されかける大魚。強力な蹴りを放ちその場から逃げ出しますが、再び追ってくる怪しい男達
その中には外国人らしき人間もいるようです。拉致される時にクロロフォルムを嗅がされた影響で逃げ足の鈍る大魚

長蛇が語るには大魚の焼いた絵唐津がある連中によって贋作にされてしまったそうで
本来あるべき大魚の印を削って流通させたその組織とは"裏のマイセン"と呼ばれるヨーロッパの一大贋作工房
そんな小細工の必要もないほどの大魚の作品ですが、悲しいかな実績のない陶芸家の作品は値切りの対象にしかなりません
それを利用して贋作で大儲けしようとするのが件の組織、と言うことで



234 :寒鰤やる人 :2006/12/10(日) 22:06:43 ID:???
お宝6 絵唐津(転・結)
 
「豪華な部屋と贅沢な食事で陶芸に打ち込めるというのに てこずらせると待遇もそれなりに変って来るぞ」
件の組織のリーダーらしき男が大魚の前に立ちはだかり、脅迫めいた勧誘をします
ですが大魚は真っ先に否定します。待遇は確かにいい話ですが大魚の作品をいじくって別物にしたこと
これは陶芸家にとって無礼極まりない、なにより断った時大魚の友人に手を出すような非常識な輩とは関わりたくない
そう宣言する大魚自身は琉球古武術の使い手で自分の身は自分で守れます。ですから……

組織は彼? (長蛇の回想では学ランを着ていますが九州には女子が学ランの学校もあるかもしれません)の友人を襲ったのです
それゆえに自分から学校を辞めて身の回りの人間から遠く離れる決意をしたんだとか

薬の影響か、九州から自転車で来た疲れが出たのか、何時も通りの力が出せない大魚に容赦なく暴力を振るう組織の人間

そもそもなぜ寒鰤屋かと尋ねる駆馬に長蛇は語ります。高校中退、特技は陶芸のみの少年? の下宿先
東京では大魚のような人間が安全に暮らせる場所はありません。長蛇の所は仕事上間借りは難しいと
常々駆馬が店番を欲しがっていたから紹介した、と言う長蛇になんで気配りできるのに報告を怠ったのか問い詰める駆馬ですが
「人が増えると訳わかんなくなってよ」
思わず若草物語を読み始める長蛇でした

そうこうしている間にも大魚は追い詰められていきます。窮鼠猫をかむのごとく最後の抵抗を試みますが、顔を殴られます
「酷いな……  顔は殴んないでよ……」
ついに倒れ、連行されそうになる大魚。そこに間一髪現れたのはやっぱり駆馬です

組織の人間を倒し、大魚をおんぶして家路へとつく駆馬。彼は迷惑だよねと大魚に言われますが、ビジネスを持ち出します
「家賃は三ヶ月につき大魚の絵唐津一つ三食付き  家事分担臨時店番門限十時 外泊する時は連絡すること」
その言葉を聞き思わず涙が出る大魚でした



235 :マロン名無しさん :2006/12/10(日) 23:33:51 ID:???
駆馬って結局お人好しなのな。だがそこがいい。

大魚って男かな女かな……わからん……
遊郭に売られるとか顔は殴るなとか言ってるところをみると女かな。
今度こそ新たなるヒロイン誕生の予感。

236 :マロン名無しさん :2006/12/11(月) 03:38:09 ID:???
大魚かわいいな。
だが、男かも知れんのか・・・

237 :マロン名無しさん :2006/12/11(月) 08:19:26 ID:???
え?普通に男だろ。
おぶわれたりしてるし男と同居するつもりだし。

238 :マロン名無しさん :2006/12/11(月) 19:52:23 ID:???
しかし毎回思うんだけど
これだけの内容をよくこのページ数で纏められるな・・・
きっとかなりの時間をかけて入念にネーム切ってるに違いない

239 :寒鰤やる人 :2006/12/12(火) 22:00:57 ID:???
お宝7 小野繁慶二尺四寸(起)
 
今日も閑古鳥が大繁盛な寒鰤屋、骨董の整理に余念のない店主、駆馬に食事の合図をする居候大魚
地方人と東京育ちが食文化の討論をしながら茶の間に出向きますが、例によってまた珍客が来ているようです
苦心の料理を平らげられてしまいうちひしがれる大魚ですが、駆馬は呆然と呟きます
「お…… 親父!!」
さて、どうなることでしょうか
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝7 小野繁慶二尺四寸(おのはんけいにしゃくしすん)
 
大魚に挨拶する駆馬の父、倉本韻雅(くらもといんが)と名乗る中年男性
てっきり…… と仏壇を見る大魚に駆馬は説明します
彼は大学の先生(といっても非常勤ですが)をやっているらしく、専攻は考古学
また奥さんも考古学者らしくイタリアで古代の町を見つけたとか。何故帰ってきたと問う駆馬を無視し、昔話をする韻雅
何でも、駆馬はしょっちゅう家を空けていた韻雅よりも祖父の方に懐いていたらしく
しかしその祖父の人柄も昔は凄かったようで、韻雅をつれて武者修行をして回っていたといいます
おかげで敵を多く作ったと遠い目で語る韻雅に、理由を話せと駆馬は言いますが、お土産とか言って誤魔化します
「ほれ 赤ん坊のミイラ!  日本じゃ手に入らん貴重なものだぞ」
大騒ぎする大魚を余所に駆馬はついに父に説教をかまします
「アステカの遺跡から貴重な副葬品ガメて来て外務省から呼び出し食らったのを忘れたのか―――っ!!」
説教にもノレンに腕押しの韻雅は駆馬に本題を見せます。それは一振りの日本刀
「繁慶!?」
 
【(寒)ノート】 小野繁慶 本名野田善四郎  江戸末期の幕府御用鍛冶 生没年不詳

その作刀は「繁慶のひじき肌」と呼ばれる独特の物 素人でも割と見分けやすい
江戸以降の作の刀では 横綱クラスの刀で千二百万円の評価額がつく

240 :寒鰤やる人 :2006/12/12(火) 22:02:08 ID:???
お宝7 小野繁慶二尺四寸(承)
 
「親父…… これをどこで?」
「ああ 今度の発掘プロジェクトに大手のスポンサーがついてな」
「 そ の ス ポ ン サ ー の 家 か ら ガ メ て 来 た 」  大 収 穫 
「ついに人様の物に手を出したかこの墓泥棒―――ッ!!」
「まあ 話しは最後まで聞け」

しかし、最後まで聞くことはできませんでした。何故ならいきなり銃を持った傭兵集団がやってきたからです
同行を強要する傭兵に、もう迎えが来たかとのん気な韻雅ですが、駆馬はもう一杯一杯です
「頼むからこういうトラブルつきのお土産はやめて パパ」

突いた先はとある邸宅。目つきの悪い館の主に丁重に挨拶する韻雅です
しかし、ゴミオカと呼ばれるその男(どうやら日系人らしいです)は家宝の刀を持ち逃げした韻雅をなじります
実の親の恥ずかしい行為を直面させられたからか涙を流す駆馬と、とばっちりを受け涙を流す大魚
当の韻雅はと言うと、どこからか持ち出したビデオカメラを再生します
そこには家宝の刀を前にへべれけに酔わされたゴミオカに、息子に刀を鑑定させるよう進言する韻雅の姿が映っていました
記憶にもないことに怒るゴミオカに開き直って逆に問い詰める韻雅
さらにこの刀はイギリスのコレクターの元から盗まれた事をばらします
今ひとつ事情の読めない駆馬に韻雅は語ります。もともとは南米のとある村で発見された小さな遺跡
これを発掘するためにスポンサーとしてゴミオカ氏が名乗りを上げたそうで
ですが彼はその村に大きな工場を建てて立ち退きを迫っていたらしく
そこで発見された遺跡がインカ帝国史の分岐点の時代の貴重なものと判明すると調査結果の改竄を要求してきたのです
まあ、遺跡が認定されると工場が建てられなくなってしまいますから。しかしなぜ、その場所にこだわるのかと言うと
「村のすぐ近くに一面に野生のコカが生えている台地があったのだ」
そうです、麻薬に使われるコカです。工場も麻薬の精製プラントにする予定だったのです
韻雅にとって途中でスポンサーを降りられるのも嫌だから協力するフリをしていただけです

241 :寒鰤やる人 :2006/12/12(火) 22:03:36 ID:???
お宝7 小野繁慶二尺四寸(転)
 
貴様、最初からと憤るゴミオカ氏に韻雅は追い討ちをかけます
刀を取られたのに警察ではなく施設軍隊を繰り出してきたのが脛に傷持つ証拠
考古学は体が資本、人体を害する薬作る計画には断固として乗れないな、と
こいつらの尻尾を掴む為にその刀を餌に、と感心する大魚ですが駆馬は断言します。ただ欲しかっただけだと
のん気なやり取りをする倉本親子にゴミオカ氏は軍隊に銃口を構えさせ、勝ち誇ります

しかし、次の瞬間、公儀隠密秘伝の技と琉球古武術の力(+考古学の要領のよさ)で壊滅させられる軍隊
平然と親父が帰ってくると何時もこうだ、と文句をたれる駆馬と呆れる大魚
そして勝ち誇って挑発する韻雅に、世界共通の悪役の台詞を放つゴミオカ氏
「やれ!!  生かしてこの屋敷から出すなっ!!」
「久しぶりに共に暴れるか 息子達!」
「仕切れる立場か この墓泥棒―――ッ!!」
「僕は息子じゃなーい!!」

なんだかんだで圧倒的な強さを誇る父と息子達(まあ大魚は息子でも娘でもありませんが)
一人逃走するゴミオカ氏は、自慢の刀を用心棒のカマイシと言う男に投げ渡します
刹那、その場に上がる悲鳴と血煙。カマイシの一刀で哀れ兵隊の一人が足を切断されてしまいます
何でもカマイシは居合い七段の実力者。その腕は下手に近づくと巻き添えを食らうほどです
可愛そうなので怪我を治療する大魚と遠巻きになる兵隊。そして一人ゴミオカを追いかける韻雅
カマイシの相手は駆馬にまかされます



242 :寒鰤やる人 :2006/12/12(火) 22:04:40 ID:???
お宝7 小野繁慶二尺四寸(結)
 
カマイシの剛剣は家具であろうと装飾品であろうと真っ二つになっていきます
なんでも斬人剣と称されるカマイシの太刀筋に駆馬もたじたじです
床にあった血糊に足を捕られ万事休す。しかし駆馬を真っ二つにするはずの刀剣は……

「日本の武器は破壊力より機能性に重きを置いて発展した」
「そしてそれを補ってきたのが数々の武芸であり武器はあくまでも人間の強さの補助でしかない」
「最近銃犯罪が増えてきて日本も欧米並みになったなどとたわけた事を言う輩がいるが」

「強さの究極とは武器を使うことなく敵を屈服せしめる事  それを証明したのが我が上泉神陰流…」
 
                    「無 刀 取 り だ ! ! 」
 
真剣白羽取り、そして足を蹴り上げ顎を打ち抜きカマイシを撃退する駆馬ですが、そこに銃声が
慌てて父の元に駆け寄る駆馬が見たのは、ゴミオカをド突き倒し陽気にウクレレを奏でる韻雅の姿でした

全てが終わり、韻雅もまた旅にでます。去り際駆馬を死んだジイさんに似てきたという韻雅
今年の暮れには帰って来いよと言う駆馬の声を背に受けながら夕日の下に去っていく韻雅でした

そして晩御飯にしようと家に入る駆馬が見たものは、粒よりの骨董品が持ち去られた店内でした
"遺跡発掘には少なからず金がかかる  偉大な人類史の発見のために多少 店にも融通を願う  父"
「 あ ん の 墓 泥 棒 〜 〜 〜 ! ! 」



243 :マロン名無しさん :2006/12/13(水) 00:27:39 ID:???
親が因果で子が業か……なんつーネーミングセンスだ。
しかし、上泉神陰流って強いなあ。
白羽取りやら口寄せやら、なんでもありなのか。
この調子だと駆馬の母親も何か技を持ってそうだ。

244 :マロン名無しさん :2006/12/13(水) 21:07:05 ID:8FM7gm/w
ST

245 :マロン名無しさん :2006/12/14(木) 20:40:35 ID:???
>>243
そのうち壮絶な夫婦喧嘩が見られるな。

246 :寒鰤やる人 :2006/12/14(木) 21:58:08 ID:???
お宝8 若沖軍鶏図(起)
 
深夜人気のない所にある橋、一人の少年が佇んでいます。その足元には脱ぎ捨てられた靴と遺書が置いてあります
意を決して川へ飛び込もうとする眼鏡の少年。あわやと言う所で救いの手が差し伸べられます
着流し作務衣を着て、洗面桶にシャンプーを詰めた長髪隻眼の男。森山長蛇です
さてどうなるのでしょうか
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝8 若沖軍鶏図(じゃくちゅうぐんけいず))

 
屋台のおでんやにて、その少年に事情を尋ねる長蛇。聞くところによると不良に苛められていて金を取られてるのだとか
自分の貯金はもとより親の財布からも合計して十万円にもなり、もう無理だというと強盗でもしろといわれる始末で
「ぼっ… 僕が… こ こんなに苦しんでるのに だ だ 誰も気付いて く くんないっ」
だから死んでやるという少年に、今度は賽の河原で鬼にいぢめられるのか、と容赦ない事を言う長蛇です
おでんやのおっちゃんに窘められても、だって本当のことだから仕方がないと言い張ります
仕様がないので、おでんやのおっちゃんがいつかきっといいこともあるとおでんを奢ってくれても、長蛇は追い討ちをかけます
「いい事があったとしても 悪い事は更に輪をかけて多いやな 実際」
「お前の命はお前のもんだ どうしようとお前の勝手だ」
「だが死ぬんなら山岳部も嫌がる山奥にしろ」
「あんなところに花が供えてあんのを見た日にゃあ あそこを通る人は一日中気が重かろうがよ」
この人に助けられたのは、果たして良かったのでしょうか……

247 :寒鰤やる人 :2006/12/14(木) 21:59:30 ID:???
お宝8 若沖軍鶏図(承)
 
深夜、とぼとぼと家路へと向かう先ほどの少年
とある骨董屋のディスプレイにある、鶏の絵が描いてある掛け軸を見て、長蛇の言葉を思い出します
"ニワトリを知ってるか 中学生"
鶏と言うのは生まれつき優劣が決まっているらしく、例えば数羽少しストレスのたまる環境で飼ってみるとどうなるか
その中の格上の鶏は格下の鶏を苛めてウサを晴らすらしく、その苛められた鶏はより格下を苛めて……
最終的に一番格の下の鶏まで苛めが続いてさあ大変。もう苛める相手のいないその鶏はどうなるかと言うと
"可哀想なその鶏は  ストレスで死ぬまでじーっといじめに耐えてるんだと"
それでその鶏が死ぬと、それまで下から二番目だった鶏が次のターゲットになるらしく

"その不良連中は なんでお前をしつこく苛めると思う  お前が消えたら次は自分達だって事を心のどこかで知ってるからだ"
"一つ聞くがお前は鶏か?"
そう聞かれて困惑する少年に長蛇は説教します。人間は脳を三分の一しか使えず、筋肉もまた自由に動かせるのは限られている
現状を何とかする為に使える一部分をフルに使う努力をしてみたか、と
"生まれる環境は選べないが現状に不満があるならそれを何とかしようとするのが人間の可能性ってもんだ"
せっかくいい事をいったのに、そこら辺を遺書に盛り込んで見てはどうだといらん事を助言する長蛇でした

じっと掛け軸を眺めている少年に、骨董屋の店主駆馬が声をかけます。しかし慌てて逃げていく少年
そして自室のベッドの中で、現状なんて何が変るもんか、このまま朝が来なければいいのに、と思いを募らせます
しかし、どんなに絶望的な人生にも朝がやってきます。その日も学校に行かず公園でたそがれる少年
ふとした弾みで昨日の骨董屋へ足を伸ばしますが、そこには掛け軸が無くなっていました
ショックで肩を落とす少年に追い討ちをかけるかのように怒声が鳴り響きます
どうやらその声は例によって下垣さんのもののようで、捨て台詞を吐いてお供と共に去っていきます

248 :寒鰤やる人 :2006/12/14(木) 22:00:57 ID:???
お宝8 若沖軍鶏図(転)
 
腰を抜かしていた少年に声をかけてきた駆馬。どうやら昨日の夜の出会いを覚えていたらしいのです
昨日の掛け軸はどうなったか尋ねる少年に駆馬は伊藤若沖の事を解説し、所蔵してある本物を見せてくれます
絵の迫力に打ち震える少年に駆馬は若沖の人となりを話します。江戸期の画人で青物問屋をしながら描いていたと
特に鶏は若沖の代名詞ともいえるものらしく、先ほどの下垣さんもこれを目当てに来店したらしいのですが
なにせ、あのバカ旦那。いつぞやのピエロ服焼却事件(お宝3参照)以降あの人とはあまり取引したがらないようです
「商人としちゃ あまり金持ちと喧嘩したくないけどね」
「こんなに誇り高い鶏を金持ちのアクセサリーにしたら若冲に申し訳ないだろう」

その値段を尋ねる少年に駆馬は事も無げにポルシェ2台分と答えます
表にあった見本用の複製品も表具代込みで20万円。とても手が出ないとショックを受ける少年に同情したのかコピーを渡す駆馬でした

思いもよらぬ宝物を手にした少年はホクホク顔で家路へとつきますが、そこに現れたのがくだんの不良グループです
人通りのない場所に連れ込むと何時ものように金を強要します。少年のなけなしの3千円も受け取ろうとはしません
年貢は5万円だといい、無理なら強盗でもしろといいますが、流石に応じるわけにも行かない少年
そんな少年をリンチにかけようとする不良集団ですが、少年の持っていた若冲のコピーに目をつけます
もちろん、彼らにものの良し悪しがわかるはずもなく、哀ればらばらにさせられるコピー

そして不良たちは少年を先頭の女風呂に放り込むとか、犬のウンコで化粧をしてやるとか言いたい放題です
絶望した少年。ですがその脳裏に問いかける声があります
 
"汝に問う!!"
"汝は人間か!?"
"全てを使い切れぬ脳 思うままにならぬ五肢の筋肉  汝はそれら最大限に駆使することに務めしや!?"
 
少年の脳裏に浮かぶ若冲の鶏。そして長蛇や駆馬の声に、導かれるかのように少年は声を上げます
「クオ〜〜〜ッ」

249 :寒鰤やる人 :2006/12/14(木) 22:02:21 ID:???
お宝8 若沖軍鶏図(結)
 
そのまま怪鳥音を放ちながら頭突きを放つ少年
涙を流しながらも必死に鶏の真似をして威嚇する姿を見て、襲い掛かる不良たち
しかし、その得体の知れない迫力に、徐々に攻撃の手が緩んでいきます
そして、うつろな目をしながら鶏そのものとなった少年に恐れを抱く不良たち
もしや殴りすぎてアレになったのでは、とたじろぐ所を少年の雄叫びで勝負あり
そのまま逃走していきました
後に残されたは血みどろになり精根尽き果てた少年の姿
ですが、何かをやり遂げたような表情で勝利の叫び声を挙げます
                        コケコッコ―――

その後、寒鰤屋を訪れた長蛇は若冲の絵が無くなっている事に気付きます
売れてしまったのか、との問いにいやまだあるという駆馬ですが、買い手がついたといいます
「まだ学生だったけどね  いつかきっとビッグになって本物を買いに来るから」
「それまで売らないでおいてくれって手付けに三千円置いていった  そうまで頼まれちゃ他の人にゃ売れないよ」
「は―――  珍しく骨のある若者がいたものだな」
その若者が自分が助けた例の少年だとは最後まで気付かない長蛇でした
そして少年の部屋にはあのコピー(破れたのをツギハギしてます)が飾られています
やがて本物を手に入れるまで、傷も癒えないうちから自己研鑽に励む少年でした

250 :マロン名無しさん :2006/12/15(金) 00:48:25 ID:???
これでよかったのか?
今度はニワトリ男とか言われていじめられるんじゃないのか?
心配だ…

251 :マロン名無しさん :2006/12/15(金) 00:55:53 ID:???
いやまあ、いじめられにくい様な気迫が付いたんだろう。
むしろ今回も主人公の影が薄かったほうが心配だ。

252 :マロン名無しさん :2006/12/15(金) 01:00:44 ID:???
直接いじめられなくはなるだろうが、誰も近づいてこなくなるのではないか?

253 :マロン名無しさん :2006/12/15(金) 01:21:23 ID:???
長さんw
笑って良いのか

254 :マロン名無しさん :2006/12/15(金) 01:35:47 ID:???
>>252
それまででも大して変わらんだろう。
心を許せる友がいるなら自殺なんて考えないだろうし。
数年もすれば卒業して環境も変わるはずだ。

255 :マロン名無しさん :2006/12/15(金) 08:51:44 ID:???
今度は違う奴がいじめられるようになるんだろうな…

256 :マロン名無しさん :2006/12/16(土) 19:56:09 ID:???
いや、話の流れからいって
少年がいじめられなくなったら今度は不良3人組の番じゃないの?

しかしなんか掲載位置が危ない気がする・・・。
まさかこのまま10週打ち切りだったりしないよな?
今回が第8話だから、少なくともあと2回は読めるはずだけど・・・。

257 :マロン名無しさん :2006/12/16(土) 20:39:24 ID:???
ジャンプ向きの話じゃないと思う
独特の雰囲気で俺は好きだけど

258 :寒鰤やる人 :2006/12/16(土) 21:59:04 ID:???
お宝9 オーパーツ(起)
 
「これの真贋を鑑定しろ 骨董屋!!」
今日も今日とて暇を持て余す下垣さん。例によって無理難題を駆馬に吹っかけているようです
遠く離れた寒鰤屋玄関先でほんの小さなバッヂ? らしき物体を掲げる下垣さんに駆馬も困惑します
「……はい 拝見しましょ  も ちょっと近くに………」
「貴様もプロならそこでやって見せろ」
「そんな小さな物をそんな遠くじゃ 贋作かどうかわからないでしょう!」
その言葉を聴くとにやりと怪しい笑みを残し去っていく下垣さん。一体彼の手にあるものとは?
 
                  【かおす寒鰤屋】
                  作:大河原 遁
                 お宝9 オーパーツ
 
下垣さんの手にあった物に心当たりのある駆馬。あれは"バロウズ洞のオーパーツ"では、と疑います
一八九二年 アメリカイリノイ州で発見された古代アメリカ文化と趣を異にする古代工芸品
そんな代物をなぜ下垣さんが、と思うと居ても立ってもいられずに太郎冠者を呼びます

太郎冠者こと大魚に店番を任せて下垣さんの元へと向かう駆馬です



259 :寒鰤やる人 :2006/12/16(土) 22:00:02 ID:???
お宝9 オーパーツ(承)
 
一方その頃、下垣さんの邸宅。そこでは何時も通り怪しい企みを抱く下垣さんの姿がありました
座敷牢に閉じ込めた女性に向かって僕の花嫁とかぬかしています
しかしその女性も負けじと罵声を浴びせます……って何やってるんですか、希鈴さん!!
暴れる希鈴に対し牢に電流を流して拷問する下垣さん。まさに外道です
そして、その手に持ったオーパーツ? を希鈴の望みどおり鑑定してやったと言い放ちます
どうやらそれは希鈴経由で渡ったものらしいのですが、当の希鈴もその価値を良くわかっていなかったらしいのです
先ほどのやり取りをテープにとってあったのか、駆馬の鑑定結果を希鈴に聞かせる下垣さん。しかし
「(そんな小さな物をそんな遠くじゃ) 贋 作 (かどうかわからない) で し ょ う 」
巧妙な編集…ではなく希鈴に訴えられますが気にしちゃいません。プロなら責任とって結婚しろと迫ります

まあ当然間に合った駆馬の手によって撃退されるのですが……
めでたし、めでたし



いやいやまだ続きますが。駆馬は助けた相手が希鈴だということに不満顔です
下垣さんによる下僕召喚も相手にせずオーパーツを分析します。どうやら純金製らしいです
希鈴によると半月前変なおっちゃんが売ってくれたとのことで
のん気な二人のやり取りに怒り募らせる下垣さん。今度こそ本当に下僕を召喚します



260 :寒鰤やる人 :2006/12/16(土) 22:02:12 ID:???
お宝9 オーパーツ(転)
 
「誰が誰の下僕だ」
出て来たのは長蛇です。何時もの3人は大学の期末考査だとかで。ボディーガードはアルバイトやめとこうよ、下垣さん
そこで雇い入れられたのが長蛇。どうも例の前衛仏像(お宝6参照)が失敗したらしく資金繰りが厳しいようです
そんなこんなで、意味もなく戦うことになった二人。高みの見物の下垣さんを余所にひそかに脱出しようとする希鈴
先手必勝とばかりに上泉神陰流の奥義で長蛇をぼこぼこにしますが、片手でつままれ池に放り込まれます
しぶとく連打を続ける駆馬をまたもや片手でぞんざいに放り投げる長蛇。まったく効いていません
ダメージを受けていないことを些細なことだ、と断言する長蛇にさしもの駆馬もピンチです
しかし馬鹿笑いする下垣さんは希鈴の手によって倒されました。あっさりと鍵を外すことができたようです
ですが、早く逃げようとせかす希鈴に駆馬は断ります。骨董屋の誇りにかけて、男の誇りにかけて戦いを望みます
その熱血ぶりに引く二人ですが、諦めて戦いを続けるようにいったのは希鈴です

「剣聖 上泉信綱が高弟 柳生宗巌 疋田文五郎にも伝えなかった 魔利支天の秘術」
「これを受けて立ってられたら 長さん あんたを尊敬するよ」
まさにこれから格闘漫画が始まりそうな駆馬の口上に行きを飲む二人。そのまま必殺と言い放ち駆馬が技を……
 
                                ドン
 
                           「召 喚 魔 法 か ! ? 」
 
いきなり現れたトラックに盛大に轢かれる駆馬。そこから降りてきたのはあの男!
そう駆馬の父、韻雅です。大魚に場所を聞いてきたようで、今回もまた怪しげな事に巻き込まれているようです
その場にあったオーパーツも北米東部の差別的教義を掲げる怪しい宗教の御神体のオーパーツをガメってきたと言います
そう、希鈴に売ったのは韻雅でした。しかしそれは半月前。今まで何をやっていたんでしょうか



261 :寒鰤やる人 :2006/12/16(土) 22:05:06 ID:???
お宝9 オーパーツ(結)
 
そこに現れる2台目のトラック。中から突如現れる謎の密教武装集団!! 例によって韻雅を追ってきたようです
乱戦に巻き込まれる一同。ですが長蛇は一人立ち去っていきます
「こら どこへ行く森山!!  この事態を何とかしろ―――っ!」
 
                 「 ア ニ メ の 時 間 は 守 る 主 義 だ 」
 
そうして自体は取り返しのつかない方向へ
「どう収拾つけんだ親父ー!」
「わははは 宿縁だな 息子―――!!」



今日も平和に寒鰤屋で陶芸にいそしむ大魚でした
 
"さまざまの
蜘蛛の巣のかかった
日本の奇事珍談"                                ――――――小泉八雲作品集 「骨董」副題
 
かおす寒鰤屋  完
 
追伸 なおこの十年後、パリを舞台に七代目寒鰤屋が跳梁跋扈するのだが、それはまた別のお話



262 :マロン名無しさん :2006/12/16(土) 22:43:41 ID:???
お、終わり・・・?
これはまたずいぶん開き直ったというか・・・

263 :マロン名無しさん :2006/12/16(土) 23:47:27 ID:???
終わり?

264 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 00:21:04 ID:???
打ち切りか…。
やっぱりジャンプの空気に合わなかったのか。

265 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 00:48:49 ID:???
いかにも最後らしくオールキャストで来たか。

266 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 09:03:42 ID:???
長さんこんなに強いのに、なぜ初登場時はあんなに弱かったんだ・・・

しかし、もう打ち切りか・・・
派手な面白さは無いけど、好きだったのになぁ・・・

267 :マロン名無しさん :2006/12/17(日) 17:03:23 ID:???
うーん、やはりちょっと渋すぎたか
読者層を考えたらもう少し派手にすべきだったろうな
嫌いではなかったんだけどなぁ

268 :寒鰤やる人 :2006/12/18(月) 22:02:16 ID:???
以降楽屋裏

269 :マロン名無しさん :2006/12/19(火) 00:48:36 ID:???
やっぱり知名度が低かったかな。
おれも始まる直前にブックオフで立ち読みしただけだし。
ともかくあらすじさん、お疲れ様でした。

270 :マロン名無しさん :2006/12/19(火) 09:13:26 ID:???
>>268
乙です

一話完結だと話の先を読むような話題がしにくくて、どうしてもキャラの感想
ばっかりになるなあ。

271 :マロン名無しさん :2006/12/19(火) 17:54:19 ID:???
>>270
おまえ酷いやつだなw

272 :マロン名無しさん :2006/12/19(火) 18:06:45 ID:???
ジャンプにこういう作品も載ってたことにちょっと感動
年齢層が合ってたらもっと続いたかも

273 :270 :2006/12/19(火) 19:34:20 ID:???
>>271
え、なんで?
特に誰を非難するつもりもなく、作品の性格上しょうがないなあって話なんだけど。

274 :マロン名無しさん :2006/12/19(火) 22:33:14 ID:???
>>273
楽屋裏スレへの移動を示唆する文章なのに
発言の意味を無視してこのスレッド上でレス付けてるからだろ。

275 :マロン名無しさん :2006/12/19(火) 23:26:08 ID:???
>274
連載中スレでは基本的に、次スレが立った時点でスレの残りを「楽屋裏」にする。
またスレの途中でも連載が終了すればあとは「楽屋裏」。
で、その際に「以下、楽屋裏で」などの宣言することがある
つまりこのスレは今の時点で「楽屋裏」だぞ。別に移動する必要はない。

276 :マロン名無しさん :2006/12/20(水) 01:57:56 ID:???
ピエロ服のあらすじ読んだ瞬間、この話読んだことある、とピンときたのだが
どうしても絵が思い出せない…

277 :マロン名無しさん :2006/12/21(木) 01:25:26 ID:???
当時は流し読みしてたけど結構いい話揃いだったんだなー。
なぜかテープつぎはぎの「贋作でしょう」のコマを覚えてる。

278 :マロン名無しさん :2006/12/23(土) 07:35:30 ID:???
YJかSJに移ってからは成功してるみたいだね

279 :マロン名無しさん :2006/12/23(土) 11:58:06 ID:Zubj+z3z
なな

280 :マロン名無しさん :2006/12/28(木) 02:53:37 ID:???
次の作品の連載は年明けでしょうねえ

281 :マロン名無しさん :2006/12/29(金) 14:29:20 ID:???
保守

282 :マロン名無しさん :2007/01/01(月) 13:29:16 ID:???
あけましておめでとう

283 :. :2007/01/04(木) 17:05:03 ID:G15cbZqx
.

284 :マロン名無しさん :2007/01/07(日) 18:18:44 ID:???


285 :マロン名無しさん :2007/01/08(月) 19:41:04 ID:???
保守

286 :マロン名無しさん :2007/01/09(火) 17:38:20 ID:???
てst

287 :マロン名無しさん :2007/01/10(水) 10:24:26 ID:???
保守

288 :マロン名無しさん :2007/01/13(土) 19:52:19 ID:???
来週

289 :マロン名無しさん :2007/01/14(日) 12:15:22 ID:???
トラックバック:http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1164032134/

290 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 22:19:09 ID:???
明後日より新連載
飛ぶ教室始めます

291 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 22:35:19 ID:???
みっちゃんのおしっこ飲んだりする話だよね。

292 :マロン名無しさん :2007/01/15(月) 22:37:39 ID:???
>>290
古い作品なんで、可能な限り丁寧、かつ、簡略に。
>>291
サトルのうんこ食って死ね。

293 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/17(水) 22:02:30 ID:???
週刊少年ジャンプ昭和60年24号より「飛ぶ教室」という漫画が連載されたわ。
この漫画について皆で語りあいましょう。
 
尚、この漫画は米ソ両国の緊張感からか、2日に一話連載されるようね。
このご時世だし、何が起こるかわからないということで、唐突に合併号になったり休載する事もあるかもしれないけど
そもそも、一度に載り切らなくて分割して掲載することも覚悟しておく必要があるけど

皆で力をあわせて、読み抜いていきましょう!
 
ちなみに今日はS60年週刊少年ジャンプ24号の発売日よ



294 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/17(水) 22:04:32 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(前編 その1(1/2))
 
平和な町並み。道を行く仲睦まじき男女。しかし、その頭上で凶報を告げる閃光と墜落音が鳴り響く
次の瞬間、衝撃と閃光によって破壊される町並み。人は生きながら灼熱の業火に身を焼かれる
ビルは壊滅し、水道ガス電気、あらゆるライフラインは破壊され、地割れに飲み込まれる人たち
そんななか先ほどの男女、オサムとみっちゃんの頭上にも倒壊したビルの瓦礫が迫りくる
機転を利かし、オサムを突き飛ばすみっちゃん。だが、彼女は間に合わず瓦礫の下へ……

彼女の名前を呼び、号泣しながら瓦礫を掘り起こそうとするオサム。だがその山はあまりにも重く……

目覚めるとそこはテントの中だった。フウ〜〜 ……なんだ、夢か…
だけどボクの毛布の中には寝巻き姿のみっちゃんがいて抱きついてくるじゃないか うぷぷ
寝ぼけ眼のみっちゃんに事情を尋ねると、妻が夫といっしょに寝るの、当然でしょ。ってちょっと待て
「夢だ 夢のつづきみてんだ オレ」
夢から醒めるようにテントの支柱に頭をぶつけるボクにみっちゃんは冗談だと笑い飛ばす。ひ、ひどいや、みっちゃん!!
 
まあ、悪夢にうなされていたボクを心配していてくれたようで(でも、いっしょに寝る必要はないよね、多分)
そんなみっちゃんに、夢の内容を語る。町が破壊され、自分が死ぬ夢と聞かされても、動じないみっちゃん
そこにもう一人テントに入ってくる少年。サトル君だ
「うう寒 サトル君 どこ行ってたの」
「ごめんよ 心配したかい ぐっすり眠ってたんで先にちょっと 調査に出てたんだ」
 
うん、テントの外は今日も変らず何時も通り。僕の側にはみっちゃんもサトル君もいる

さあ、出発だ!!

そう、テントの外は今日も何時も通り。雷鳴鳴り響く全天を多い尽くす暗雲。破壊されつくした都市の残骸
一面に降り積もる濁った雪面に腐乱死体が散乱している。あくまでも何時も通りの…
 
          ―――い つ も ど お り の 死 の 世 界 だ っ た―――


295 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/17(水) 22:05:56 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(前編 その1(2/2))
 
K市。かつては首都圏のとある小都市だったここも、今は酷い有様だ
サトルとオサム、そしてみっちゃんの3人は生存者を求めてさまようが、そこにあるのは物言わぬ死体だけ
死体に手をあわせ、冥福を祈るオサムと、世界の変りように絶望的なサトル。そんな二人にみっちゃんは声をかける
彼女の指差すのはかつてこの都市の中心だった東西デパート。そこを探索する3人だったが

一ヶ月前まではここも人と騒音であふれていたんだ…  溶けてなお笑顔をふりまくマネキンたち
人のいなくなったこの何万枚とあるレコードはいったい誰のためにあるんだろう―――

やがて、ボクはあるゲーム機を発見して、こらえきれずに涙を流していた
心配するみっちゃんに事情を話す。かつてこのゲームが欲しいため、泣いて母さんを困らせたことを……
センチな気持ちのボクにサトル君は展望台を見たら帰ろう、と提案してきた。でも、展望台から降りてきたサトル君はまっ青だった
 
三人ともむしょうに学校に帰りたくなった
そこにはわずかだけれども、喜びを悲しみをわかちあえる友だちがいる
 
   一九八X年九月三日
   何の前触れもなく突然東京に水爆が落ちてきたらしいんだ
   この町で…いやこの関東で生き残ったのはボクたち122人だけかもしれない
   なぜならボクたちが助かったのも本当に偶然その時シェルターにいたからなんだ

 
   放射能の濃度が下がるまで一ヶ月間シェルターで暮らして
   五日前学校に引越ししたとこなんだ
   校舎もあちこちこわれて大変だったけど
   みんなでなんとか住めるようになおしたんだ
                                             六年二組  安田オサム
 
 続く

296 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 22:17:10 ID:???
おお、新連載は世紀末ものか?
子供だけしかいないってことは十五少年漂流記みたいな話になるのか?

297 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 22:26:34 ID:???
あの女装した少年かわいいな
まさか自分のことボクとか言う女の子もいないだろうし


298 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 23:19:12 ID:???
なんか崩壊するときとか偉い迫力だな
まるで別人が描いてるみたいだ


299 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 23:48:03 ID:???
先行きが読めない…

300 :マロン名無しさん :2007/01/17(水) 23:57:37 ID:???
>なぜならボクたちが助かったのも本当に偶然その時シェルターにいたからなんだ

どういう偶然だったんだろ?

301 :マロン名無しさん :2007/01/18(木) 00:02:17 ID:???
これジャンプだよな・・?こんな重いストーリー、人気取れるか〜?
バイクに乗ったモヒカンが現れて「食料と水を置いていけ!」とか言い出したりしないだろうな?

302 :マロン名無しさん :2007/01/18(木) 01:25:11 ID:???
>>297
三つ目がとおるの和登さんとかキャッツアイの愛とか今時ボクと言う女性キャラも珍しくないだろ。

303 :マロン名無しさん :2007/01/18(木) 19:00:27 ID:???
どうせ、格闘漫画になるんだろ
水をめぐる争奪戦とか、変な虫に襲われたりとか

304 :マロン名無しさん :2007/01/18(木) 21:14:51 ID:???
いや無法地帯と化した関東で謎の大男に助けられつつ
成り上がっていくんじゃないか

305 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 01:40:40 ID:???
このタイトルは漂流教室の影響を受けてるのかな?
同じ路線なら・・・重くてリアルなのはジャンプじゃ長続きしないだろうな。
ブラックエンジェルズのように強引に終わらせて、壁の外へ出ないと。

306 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 10:06:27 ID:???


307 :マロン名無しさん :2007/01/19(金) 10:28:11 ID:???
>>305
実はこれがなんかの実験で、外の世界は別だったりするのか?

308 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/19(金) 21:59:36 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(前編 その2(1/2))
 
埼玉県立第八小学校。かつての学び舎を修復するのは、今はもう、小学生達だけのようだ
子供たちでやることなだけにトラブルも多い。喧嘩をしている子供の仲裁をする眼鏡の少年
そこに、調査に出ていたサトル達の帰還を知らせる声が届く。一様に歓声を上げる少年少女たち
さっそく眼鏡の少年、ノボルは三人におかゆを振舞う。その食事に涙ぐむサトルはお土産の砂糖を皆に振舞うように言う
一方、他の生徒達にも、今日は久しぶりにお米のご飯をたいて食べる許可が伝わる。どうやら彼らをまとめる教師がいるようだ
 
食後サトルは一人、彼らをまとめる教師に会いに保健室へ向かう。そこにはベットで横たわる若い女性教師の姿があった
どうやら病身の彼女。だが、勤勉に記録をつける女教師に苦言を呈するサトル
彼女はとある事故で一年生の生徒を守ったため怪我を負ったらしい。だが彼女以外大人のいないこの学校では貴重な存在だ
その彼女に、調査の報告を始めるサトルだった
 
一方のみつ子(みっちゃん)は他の女生徒たちと食事の準備に追われていた
しかしノボルともう一人、天然パーマの悪がきが盗み食いを働こうとする。だが当然のように見つかり、袋叩きにされる二人だった

いよいよ待ちに待った夕食の時間だ。みっちゃんが先生を連れてきて、みんなの顔に笑顔がこぼれる
―――なぜだろう 先生がいるだけで 心がやすまる
      先生がいるだけで みんなうれしいんだ―――
まあ、盗み食いの罰でつるされているノボルたちがうるさいけど……
一人真面目なサトル君が先生に会議のことを尋ねるけど今日は無礼講。お菓子とコーラで乾杯だ!
なんせ、コーラだけは腐るほどあるんだし。普通の飲み水の方が貴重なくらいだ
ところで、みっちゃん。ボクのクッキーだけ露骨に大きくしないでもいいのに。タロー(天パの悪がき)にからかわれちゃうよ

楽しい歓談が続く中、年少の子供達がサトルに旅の報告をせがむ
せっかくの楽しいひと時だから、と浮かないながらも話し始めるサトル。どうやらあまりいい話ではなさそうだ



309 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/19(金) 22:01:29 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(前編 その2(2/2))
 
「ボクと先生が探索の一番目にK市を選んだのは あそこの東西デパートがこのあたりで一番高い建物だったからだ―――」
「展望台から見た東京は―――」
 
                    「 死 ん で い た ―――――――――」

 
「昼でもうすぐらいモヤがかかり 時おり見える地表には廃墟が横たわっていた」
「まわりの都市もこれがあの と思うばかりのありさまだ」
「かっての騒音も音楽も今はない―――  ただ 時おり風がやさしく大地をなでていた―――」
「空を舞う何ものも 地をはう何ものも いなかった…  ボクからの調査報告はこれだけだ―――」

いったいどうしたんだろう サトル君はいつもどおり 静かに調査報告しただけだった

なのに 体の芯が震えて目頭が熱くなってきた
年少の子達は、先生にすぐに助けが来るっていったじゃないか、と泣きながら文句を言う
でも先生は謝ることしか出来ない。一年生をなだめようとした四年生も六年生も涙でくしゃくしゃになった
こんなありさまはもうすこしだけだ
もう少しがまんすれば父さんが… 母さんが…むかえに来る―――
みんなそう 思ってたんだ…                    今 すべての糸が切れた―――
ボクたちはこれからのきびしい冬をボクたちだけで生きていかなくっちゃならないんだ

この核の冬(ニュークリアウィンター)を―――
 
そして夜になって、皆が眠るベットルームではいつまでも泣き声がやむことはなかった

普段は強気なみっちゃんもさすがに涙が止まらないようで、ボクに眠るまで手を握っててくれるよう、頼むんだ……
いつまでも―――
いつまでも握っててあげるよ―――
そう―――
それでキミが安心して眠れるのなら―――――――――

310 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 00:02:36 ID:???
オサムかっこよすぎ
とても小6とは思えん

311 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 00:14:37 ID:???
本当に関東は全滅のようだな。
他の地域はどうなってるんだろう。

312 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 00:29:29 ID:???
他の大人はどこいったんだろう

313 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 13:09:49 ID:???
なんかニュークリアウィンターっていかにも小学生らしい英語だなw

314 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 13:25:31 ID:???
でも実際に英語じゃそう言うんでしょ。

若いうちから飲料水代わりにコーラばっかり飲んでたら糖尿病になりそうだな。

315 :マロン名無しさん :2007/01/20(土) 14:02:33 ID:???
このあと世界を探検するお話になるのか

316 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/21(日) 21:58:59 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(後編 その1(1/2))
 
なぜこんなことになってしまったんだろう こんな眠れない夜思い出すのは…  あの日のことばかりだ
九月三日―――  あの日はいつもと同じような晴れた日だった―――

まだ残暑も厳しい九月頭。よく晴れた空にツクツクボーシの声が鳴り響く
「オサム〜く〜ん  がっこ行こ〜っ」
安田家にみつ子の挨拶が響く。だがとうのオサムはまだ眠っているようだ
歯磨きをしながら呆れる父。よく出来た妹。そして料理をする母。些細なことで口論し、すぐ仲直りするおあつい夫婦だ
のん気に眠るオサムに秘密をばらす、と迫るみつ子。その秘密を母に尋ねられ、平然といずれお母様と呼ぶようになる、と言い放つ
純情な大人をからかっちゃ駄目だ、とみつ子をたしなめるオサム
朝食をとる時間もないオサムに妹のとも子特製のスペシャルサンドが渡される。本当に良く出来た妹だ
オサムは父にロビンマスクのプラモデルを買ってくるように頼む
この前のようにウォーズマンとキン骨マンを間違えないように念を押すのも忘れずに、二人は連れ立って学校へ向かうのだった

とも子のスペシャルサンドを見て、みっちゃんは今度弟に何かやらそうとたくらんでいる。まだ赤ちゃんなのに
通学路では、女の子たちがおろす、おろさないで騒いでいた。何のことかと思ったら髪形のことだったのね……
「オサム〜  ボクも堕したほうがいいかな」  みっちゃん!! 字が違うだろ、字が!!
学校に近づくと今日は何時ものように工事の音がしてなかった。どうやらシェルターとかが完成したらしい
ようやっと、埼玉第八小学校、僕らの通う小学校につく。いつものようにタローに仲をからかわれるけど
みっちゃん、人前でキスするのはやりすぎだよ〜〜  独身?のタローが拗ねて走っていちゃうじゃないか

今日も朝から機嫌のよい先生に、走ってきたタローが激突する。逃げ出すタローに怒鳴りつける先生
そんな彼女に、落とした荷物を拾い集めるのは今日も優等生のサトルだ。はい、北川先生、と手渡す
そんな彼に先生の信頼も厚い。ついでに伝言を頼まれ、教室に向かうサトル。今日は午前の授業をやめて大掃除をするらしい

317 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/21(日) 22:00:15 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(後編 その1(2/2))
 
掃除と聞いて何時ものようにサボろうとするタローとそれをとがめるみつ子。二人のケンカは放って置いて
サトルはグラウンドの草むしりとシェルター周辺の掃除だと説明する
聞きなれないシェルターという言葉に戸惑う皆に眼鏡をかけた博士キャラの少年が説明する
どうやら夏休みに校庭の西で工事していた地下室のようなもの
九月一日の防災の日、それから三日遅れになるが、シェルターへの避難訓練があるらしい
そこには埼玉では珍しい大型シェルターということもあって県の教育委員会からも視察に来るらしい
とりあえず掃除用に準備を始める生徒達に隠れ、タローはノボルを誘い、シェルターに忍び込む事を提案するのだった

ボクたち一斑はシェルターまわりの掃除だ。案の定タローの姿はどこにもない
そんななか、サトル君にシェルターに忍び込んだものがいる、と連絡が来る。やっぱりタローだろうな
みっちゃんに伝言を頼んで、ボクたち一斑でシェルター内に探しに出ることにしたんだ

中は結構広いみたいで、矢印が無ければ迷ってしまいそうだ。いったいタローたちはどこへいったんだろう?

みつ子の知らせを受け、先生は怒り心頭でシェルターの中に入っていく。同行したみつ子は何故こんなものを作ったのか尋ねる
「民間防災の充実っていうやつよ 関東に十ヵ所試作のシェルターを作ることになったの」
うちの校長(タコ)新しいもの好きだもんね、というみつ子に、先生はノスタル爺と切り捨てる。いまどき防空壕でもあるまいし
どうやら先生は一人、反対していたようで、それもあってやっと見つかったタローに女とは思えない口調で怒鳴りつける
だが、タローは慌てて言う。警報機がなっている、と。タローの指差す部屋の中では、なにやら不吉な音が鳴り響いている
その音を聞き、急に怯えだす先生。途端に何も出来なくなる先生の目の前で今度はカウントダウンが始まりだす
それをみてサトルは事故じゃないと断言する。これは緊急自動警報装置。どうやら自衛隊から直接指令がきているらしい
そうして、サトルはせめてグラウンドにいる子供達だけでもシェルターに非難させようと動き出すのだった

318 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 00:26:31 ID:???
サトルは冷静すぎ。先生より落ち着いてるじゃないか。
出木杉くんよりすごそうだな。

319 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 10:00:52 ID:???

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  常識的に考えればつくだろう
. |     (__人__)   ウォーズマンとキン骨マンの区別ぐらい
  |     ` ⌒´ノ   
.  |         }     
.  ヽ        }
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

   オサム

320 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 11:16:39 ID:???
しかし先生はイメージ違うな

321 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 15:03:53 ID:???
この後一人だけ大人が残った重圧のせいでオーバーワークになり病弱になるのかな。

322 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 15:06:00 ID:???
こ・・・、この動きは北川先生!

323 :マロン名無しさん :2007/01/22(月) 23:27:19 ID:???
しかし、なんつーかみんなマセガキだなあ。
俺が小学生の頃こんなエロい行動は意味すら知らなかった。

324 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 18:02:44 ID:???
>>323
フリーセックスで有名なスイスの小学校は
性教育がさかんだって、もっぱらの噂だよ
日本もこれからがんがん性教育しまくるよう制度改革してるみたいだし

325 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 18:33:34 ID:???
>>324
なにその自販機で売ってるビニ本で得たみたいな間違った知識

326 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 21:02:30 ID:???
え、違うの?
スウェーデンとか北の方は凄いことになってるのかと思ったんだけど。

327 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/23(火) 22:02:36 ID:???
災害の日(わざわいのひ)の巻(後編 その2)

タイマーのリミットまで後2分。手分けしてグラウンドにいる子供達をシェルターに連れて行くサトルと先生
いまいち緊迫感の無い年下の子供たち。何があったのか尋ねられ、サトルは答える
「他の警報装置が鳴ってないから何かの間違いだと思うけど 核戦争が起こったのかもしれないんだ」
「答えはすぐ出る!  あのタイマーがゼロになった時に―――!!」
 
そして、時は来た。轟音と共に天井に亀裂が走り、瓦礫が下に落ちてくる
下敷きになりそうな子供達を助けるべく身を挺した北川先生はその身に瓦礫を受けて気を失う
暗転する世界。核爆発によるきのこ雲が首都上空に浮かび、その衝撃が東京のみならず近隣の都市
いや、世界を包み、滅ぼした……
 

あの日からもう一ヶ月がすぎた―――
シェルターから出れば少しは気が晴れるかと思ったのに不安がますばかりだ
父さんは助かったろうか―
母さんは―――
とも子は―――
 
父さん母さん もし…もし生きてたらボクのこと… 心配しなくていいよ…
食べ物も少ないし寒いけどボクは大丈夫だよ…
だから心配…
しない…で
……

そしてオサムは眠りにつくのだった



328 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/23(火) 22:03:36 ID:???
特別付録 よくわかる核戦争の脅威
 
現在ソ連の極東に配備されている核ミサイルはIRBM(中距離ミサイル)・SS20である
イマン・ビギンの各基地から発射された核は―――東京にわずか8分30秒で着弾すると推定されている
米・ソ間の場合、発射から着弾まで27分かかり、その間に警報→非難→シェルター入りができるが
日本にはその時間はなくシェルター建設は気休めにすぎないだろう
運良くシェルターには入れても都市の大火災は千度以上になると予想され
地下5〜10メートルぐらいのシェルターではむし焼きにされてしまう
また100メートル以上深い所にあるシェルターでも出入り口の確保は難しく生き埋めの確率が高い
わずかに地方でもシェルターに生存の可能性があるが―――二週間後地上に出ても残留放射能と食糧難
さらには零下30〜40度と言われる核の冬を生き抜かねばならない―――
 
さらに現在米・ソに実戦配備されている核の威力は凄まじいものである
1メガトンの水爆の威力は広島型原爆約70倍、その被害は想像を絶する―――
東京に1メガトンの書くが投下された場合、落下地点(グランドゼロ)より半径2キロに100万度の太陽が出来上がる
この円内にあるものは気化蒸発 半径9キロ以内にいる430万人が即死 長期的には一千万人が犠牲者になると予想されている
 
全面核戦争が起こった場合
多数の核が日本を襲う
日本中が炎に包まれフォールアウト(死の灰)がフリ放射能は大地を長期に汚染する
果たして生存者はいるだろうか―――
 
それは決して起こしてはならない戦争である
が、すでに現在5万発 人類一人当たりTNT火薬にして3〜5トンの核兵器が存在し
今も確実に増え続けているのである―――

329 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 22:43:47 ID:???
核戦争やばすぎ
というかなんで日本に落とす


330 :マロン名無しさん :2007/01/23(火) 22:58:13 ID:???
在日米軍相手だろ。
海軍第七艦隊だっけ?横須賀に居るの。

331 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 00:36:53 ID:???
>>324
> フリーセックスで有名なスイスの小学校は

先生!
「フリーセックスで有名な」は、
「スイス」を修飾しているのですか、
「スイスの小学校」を修飾しているのですか?

332 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 09:35:06 ID:???
>>331
   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)  常識的に考えればわかるだろう
. |     (__人__)   「スイスの小学校」を修飾してることぐらい
  |     ` ⌒´ノ   
.  |         }     
.  ヽ        }
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

   サトル

333 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 15:07:08 ID:???
>>332
サトル、それ常識ちゃうで!!

334 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 16:33:18 ID:???
>>330
ってことは米ソ全面戦争になったってこと?
そしたら外出てられないぐらい放射能が増えないかな。

335 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 18:12:42 ID:???
>>334
いくらなんでも、事前に何らかの情報もなしに全面戦争なんてやらないだろ
少なくとも当日まではそういったニュースすら流れてないみたいだし

336 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 18:37:29 ID:???
実は秘密結社かなんかの陰謀で、日本だけ核爆弾が落とされたんじゃないの
シェルターの実用性テストとその後のシミュレーションとかで
どっかの死の商人が米ソ両国向けに日本を実験台にしたとかさ
じゃないと、何の前触れもなく戦争なんて起きないだろうし

337 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 18:53:23 ID:???
発射装置の暴発かソ連クーデターのドサクサとかかも知れないな。
警報が出るぐらいだから爆撃機じゃなくてミサイルで飛んできたんだよね。

338 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 19:17:12 ID:???
>>337
あー、クーデターか
その可能性はあるな

ところで、ソ連以外で日本に核攻撃しそうな国ってないよな?

339 :マロン名無しさん :2007/01/24(水) 20:56:06 ID:???
>>338
中国は70年から日本に核弾道ミサイルの照準あわせてたはず。
クーデターならこないだ就任したゴルバチョフのあたりに話をもってくのかな。

340 :マロン名無しさん :2007/01/25(木) 18:21:36 ID:???
できればあんまり戦争とか政治な展開でなく、オサム達のサバイバル
路線でいってほしい。
ジャンプじゃ難しい展開かなあ。

341 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/25(木) 22:00:48 ID:???
おかえりなさいの巻(1/2)

十月九日―――その日  ボクたちの多くは学校の外へ出て仕事をすることになった―――

4年生なんかは…はじめて町のようすをハダで知った
 
みんな自分の家の方向をチラチラ見ては…爪を噛んだり 石をけったりして帰りたい気持ちをおさえていた
みんなひっかかってるんだ… 先生の言ったあの言葉が―――

作業に出る前、北川先生は皆に貯蔵された安全な食料と灯油、服を集めるように指示を出していた
外に出ていた食料は汚染されている可能性があるから食べてはダメ、との注意にタローやノボルが不満を漏らす
先生に代わってサトルが皆に指示する。今は食料の貯蔵が一番大事だと
核の影響で冬は零下30度になる上、それが過ぎてもしばらくは農作物の収穫は望めない

おそらく世界中で水爆が落ちた影響で、大気に噴煙が噴き上げられ、陽の光が届かなくなっているからだ
(かつて江戸時代にも、浅間山の噴火で冷害で大飢饉が起きた例がある)
不安がる生徒達。そんな中ノボルは先生に、これから子供達だけで生き残れるのか尋ねる
それに対し、わたし達はこの日本で生き残った数少ない人間だから、死にもの狂いで生きる努力をすべきだ、と先生は言う
「わたしたちがいなくなったら日本の文化や文明――― 今まで築き上げてきたことが… 全て水の泡になるの」
「わたしたちは…死んでいった何億という人たちの最後の希望なの  どう ちょっとは元気出た」
だが、年少組はやっぱり家族の安否が気になるようだ。その子達に対し、今は自分の家へ帰ることはよしましょうと先生は語る
「つらいこと言うかもしれないけど今は両親はどこかで生きていると信じてがんばる時だと思うの」

駅前近くまで来たボクらの目の前に大きなビルの残骸があった。でもこんな大きなビルみたことが無い
なぜか看板が逆さまになっていたり、天井から人魚の像が生えていたりするけど…… そのときサトル君がなにかに気づいた
「これは……  サンシャインビル!!」
何言ってんの、ここは埼玉だよ、と言ったボクに爆風でここまで飛ばされてきたんだ、とサトル君が言う
あらためて核の恐ろしさがわかり、思わずぞっとしてしまう

342 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/25(木) 22:02:11 ID:???
おかえりなさいの巻(2/2)
 
農協が近づくにつれて…不安そうな子がいた  のぶちゃんだ―――
のぶちゃんのお父さんが農協に勤めてるのはみんなが知っていた
サトル君に心配そうに農協の安否を尋ねるのぶちゃん。学校と同じ鉄筋コンクリートだから、と慰めるサトル君だったけど
干上がった川を伝い、農協にたどり着いたボクたちの前には、見るも無残な瓦礫の山しかなかった
あまりのショックに泣きながら家へと走り出すのぶちゃん。それをみて他の子供達もつられて走り出した
自分の家に帰っちゃいけないって先生から言われてた。でもみんな走った。しかられてもいい…ぶたれてもいい
家に帰りたいんだ
みんな泣きながら走った―――  誰かが待っててくれる―――
父さんが… 母さんが…温かい食事を用意して待っててくれる…  みんなそう思ったんだ
(帰るよ…今…父さん…母さん…母さん!!)
家への道のりがこんなに長く感じられたことはなかった… この路地をぬければ―
そう、このカドをまがれば…赤い屋根が見えるはずだ
……だけどそこには、壊れた表札でしか区別がつかないほどのガレキの山、そしてとも子のぬいぐるみだけが待っていたんだ…

ひとしきり泣き、オサムは残骸を探索する。そこで偶然電子レンジに足を躓く。するとその中には……!!
銀紙で包まれたフランスパン、そして肌着。これはオサムの母の遺していたものだった。中に入った一通の手紙を読み始める
父も妹も連絡が取れず、東京から非難してきた人も次々に放射能で死亡。父の勤め先どころか東京はほぼ全滅という話らしい
小学校のシェルターに避難できなかった子供達も爆風で判別が出来ず、幼稚園も全壊。近所の人と山梨に疎開することを決意し…
『ズボン2本― 肌着3枚― フランスパン一本― お米10kg―
『以上が何とか持ち出せた品物です そしてあなたに残せるわたしのすべてです
『こんなことぐらいしかできないなさけない母さんをゆるしてね…オサム もう逢うこともないかもしれないオサム
『生きていてちょうだい…

母さん― ボクはもう泣かないよ…  ボクは母さんの子供だもん…
母さんボクは…がんばるよ  そしていつかきっと母さんに逢いに行くよ


343 :マロン名無しさん :2007/01/25(木) 23:06:04 ID:???
やべー
もう少年誌のレベル越えてる!


344 :マロン名無しさん :2007/01/25(木) 23:44:10 ID:???
サンシャイン60 キタ━━━━( ゚Д゚)━━━━ッ!!

あの絵は衝撃的だな。
なんとなく猿の惑星の最後を思い出した。

345 :マロン名無しさん :2007/01/26(金) 00:11:09 ID:???
カーチャン

346 :マロン名無しさん :2007/01/26(金) 12:04:30 ID:???
カチャーンもう亡くなってるんだろうな…。・゚・(ノД`)・゚・。

347 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/27(土) 22:05:16 ID:???
夏への扉の巻(1/2)

今日も外は吹雪が吹き荒れている。学校から出たボクは、周りの目を気にしながらシェルターの中に進む
奥にはみっちゃんがふくれっつらをしながら待っていた。せっかくの二人きりなのに、一日二食だからお腹が空いてムードが台無しだ
するとみっちゃんが超巨大なオニギリを見せてくれた。でもせっかくのオニギリだけど、みんなに内緒でボクが食べるわけには…
「思いちがいしてるんじゃない ボクが一人で食べるんだよ これ」 ひ、ひどいや!! みっちゃん!!
まあ、冗談なんだろうけどさ。でも一人で食べるのは大きすぎるから二人で一緒に食べよう

ひとごこちすんで、オサムは回想する。このシェルター内で生活していた一ヶ月の事を

あの時、先生は倒れ、泣き喚く児童たち。振動が収まって我先に外へ出ようとするタローたち
外は危険だと、押しとどめるサトルとオサムを跳ね除け、タローたちは出口へと向かうが、瓦礫で出入り口が埋まっている
すごすごともどってきたタローたちを見て、サトルはホッとする。出入り口はおそらく他にもある。今は危険だが……
苛立ちをオサムにぶつけるタロー。突き飛ばされオサムが壁に激突すると、いきなりシェルター内の電源が作動した
ついでに空調設備を作動させるサトル。灯と新鮮な空気で落ち着いたタローが、いつまでここにいるのか尋ねる
それに対し、最低二週間は必要だと断言するサトル。そして、みなで手分けしてシェルターを調べる事を提案する
シェルター内には、食料棚、床下には生徒全員分のベッド。トイレに水のみ場、そしてカラオケマイク?
どうやらマイクではなくガイガーカウンターらしい。その時先生が目を覚ました。サトルは説明書を片手に向かう
サトルから手渡された説明書を元に先生はてきぱきと指示を出す。やはり非常時でも先生は頼りになる存在だ
そして、一通り済ませた後、余裕を持って、2週間の倍の一ヶ月ここで滞在することを決めるのだった

348 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/27(土) 22:07:18 ID:???
夏への扉の巻(2/2)
 

一ヶ月間、先生のもとでみんながんばって暮らしていた。でも今は思い出に浸っている場合でない
みっちゃんを促してみんなの下に戻ろうとするボクらの前に扉がある。この扉を開けてからずっとつらいことだらけだった
いうなれば「冬への扉」、いったいいつになったら「夏への扉」が見つかるんだろう
ああ、夏への扉、というのはハインラインが書いたSF小説の題名で、その中に出てくる猫のピートはとても寒がりや
だから、いつも冬になると、夏への扉を探してるのさ。そうボクたちもピートみたいに手探りで夏を探す努力をしなくちゃ
「今度夏が来たらいっしょに海へ行こう」
「うん ボクが泳ぎ教えてやるよ  カナヅチじゃいっしょに泳げないもんね」
「せっかくカッコつけたのにこら〜っ それは言わない約束だろ」
 
その時――― ボクらの昇る階段の向こうに確かに   見えたんだ―――
 
夏への扉が

349 :マロン名無しさん :2007/01/28(日) 06:30:03 ID:???
「夏への扉」!
小学生なのにこれを読むとは、読書好きだったのかな。

350 :マロン名無しさん :2007/01/28(日) 18:18:35 ID:???
というか、オサムにしろサトルにしろ大人すぎ、タローとかの方が年相応に見える
そもそも、小学生の分際で恋人といちゃつくな!!
オレなんて未だに彼女いないのにorz

351 :マロン名無しさん :2007/01/28(日) 18:42:33 ID:???
カワイソス・゜・(ノД^)・゜・

352 :マロン名無しさん :2007/01/28(日) 18:51:48 ID:???
そういえば、ハインラインといえばガンダムの原作者だっけ?

実は宇宙人の侵略戦争とかの伏線か、今回のは

353 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/29(月) 22:01:57 ID:???
探検…失われた世界への巻(9号シェルター編)(1/2)
 
巨大なシェルターに潜入するボクとサトル君。内部は広いが酷く損傷しているみたいで、ボクの前にも瓦礫が落ちてきたり
正直今すぐにでも帰りたいんだけど、サトル君に引きづられて奥へ進む
ここは博物館地下のシェルター。どうやら混乱を避けるため今まで秘密裏に建造されていたらしい
その建設費用はおそらく50億から100億円。ボクらのシェルターが8億から10億だから、数倍から十倍以上の差がある
大掛かりな冷却装置があったり、十分な仕掛けが生きているようだから、生存者はいるかもしれない
だけど先へ進む僕らの前には天井を突き破るトラックと熱風でどろどろになった壁に埋まっている死体の山
やっぱり、もう帰りたい…… そんなボクとはちがいサトル君は前へ進み続ける。そしてついに扉が現れた!!
そもそも、ボクらがどうしてここにいるかというと、話は昨日にさかのぼる

その日、先生が提案したのは本格的な冬が来る前に、生存者を探すことだった
とりあえず、関東には十ヵ所設置されている民間のシェルターのうち、近隣のS市とO市、そこに3つのシェルターがあるという
例えわずかな可能性でも、子供達だけでいるよりは大人を発見できた方が有意義だ、と言い探索隊を出す事を決定
そして誰が言うまでもなく、サトルとオサムがそのメンバーに抜擢された
10月14日、二人はスクーターにのって、線路上を走行。3日分の食料を持って、まず一つ目博物館のシェルターへ向かう
そして、ついに二人はそのシェルターの扉の前までたどり着いたのだ

せっかくついたというのに、扉は固く閉ざされたまま。どうやら内側からロックされているみたいだ
ショックで落ち込むボクたちだったけど、ロックされている、ということは生存者がいる、っていうことだ!!
それに気がつくと同時に、中から物音が聞こえ、そして扉が開き始めた



354 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/29(月) 22:02:49 ID:???
探検…失われた世界への巻(9号シェルター編)(2/2)
 
ドアが開くと中からものすごい匂いを放ちながら汚水があふれ出てきた
そして、人の姿が!!  も の 凄 い 形 相 の 男 があらわれた
その恐怖の表情に怯えたまま何もできずにいるボクたちに、倒れこむその男の人
うめき声を上げ、背中から何本も鉄パイプのようなものを生やし、汚水につかり、そして死んだ……
でも、本当の恐怖はそんなことではなかった。だってボクらの目の前の扉の中では……

 
生 存 者 が 、お 互 い に 殺 し 合 い 、血 の 海 と 汚 水 に 埋 も れ 、全 員 死 ん で い た
 
ボクとサトル君は一瞬で理解した
ここで争いがあったんだ
食料を求めて血で血を争う戦いが
 
大の大人がどうして、というボクの疑問にサトル君が答えてくれた。ここはまだ未完成で食糧の備蓄が十分ではなかったと
中にいた人たちもおそらくここでシェルターを作っていた建設作業員たちだ
食料もなく、冷却装置も利かず、汚水と食糧難に見舞われたこの人たちは……
さっきの人は唯一の生き残りだったけど、それでもサトル君は廃人だったと言う
このなかでボクたちの想像もつかない悲劇が繰り広げられた、と
 
そして、ボクたちは次のシェルターへ向かうことにした
 
〜続く〜



355 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 22:30:48 ID:???
また少年誌のレベル越えてる残酷描写だな


356 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 22:33:54 ID:???
ここだけ絵のタッチが違うyo?

357 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 22:40:47 ID:???
うわぁ・・・俺子供の頃にこれ読んだら絶対トラウマになってるわ

358 :マロン名無しさん :2007/01/29(月) 23:06:01 ID:???
凄いなー。
一瞬北斗の拳のページかと思っちゃった。

359 :マロン名無しさん :2007/01/30(火) 23:13:58 ID:???
これ場所的には埼玉だよね。
O市は大宮市だと思うけどS市ってどこだろう?

360 :マロン名無しさん :2007/01/31(水) 00:14:29 ID:???
>>359
一番に思いつくのは「草加せんべい」の草加だな


361 :マロン名無しさん :2007/01/31(水) 00:47:52 ID:???
そうか。草加か。
しかし言っちゃあなんだがあまりシェルターが必要なほど発展してなさそうなイメージがあるな。

362 :飛ぶあらすじ書き :2007/01/31(水) 23:00:56 ID:???
探検…失われた世界への巻(6号シェルター編)
 
9号シェルターを後にした途端、さっきまでやんでいた雪が降り始め、ボクらはスクーターを押しながら雪道を進む
もう日本にはボクらしか生存者がいないかも…… そんなボクの不安に、可能性があるならと元気付けてくれるサトル君
道に散乱する死体の中から、なにやら日記帳を発見したみたいだ
そして、ボクらは「大○駅」前まで到達した。この近くに6号シェルターがあるみたいだけど
だけど、やっとの思いで到達したシェルターの入り口には、巨大な鉄骨が突き刺さり大きな穴が開いていた
確かめるまでもなく、この中に逃げた人は熱風で……  くそっ この役立たずシェルターめ!!

諦めて先へ進む二人だったが、東京方面へ進むとガイガーカウンターが反応し始めた
どうやら、まだ東京は放射能が残留しているようだ。その時、サトルの耳に何か物音が聞こえてきた
その音は機械音だ。誰か人がいるのか、と喜び音源の方へ駆けて行く二人だったが、現実は無情だった
そこはオートメーションの機械が動き続ける工場だったのだ。虚無の空間にねじを巻き続ける機械の手
二ヶ月前ならその滑稽さに大笑いできただろうが、いまのオサムには悲しさを誘う光景でしかなかった

まだ一日目だとサトル君は励ましてくれた。だけどごめんよサトル君。今日ボクが消極的なのはみっちゃんと喧嘩して……
昨日、屋上で探索に出ることをみっちゃんに告げたら、明菜の真似をして怒られた
みっちゃんがボクを案じてくれることはわかるけど、この探索はとても重要なことだから、とボクも引き下がらず
結局、見送りにもきてくれなかったんだ。そのことはサトル君も気がついてたみたいだけど、あえて誤魔化すボク
そして、お弁当を食べようとふたを開けるとそこには
 
                    オサムごめんね
                   毎日お祈りしてるから
                    元気で帰ってきてネ
                                みつこ
ちくしょう…やってくれる… 涙でよく読めないじゃないか…
 
みっちゃん、ボクは必ず帰るよ

363 :マロン名無しさん :2007/01/31(水) 23:39:52 ID:???
オサムうらやましすぎ
俺なんて未だに彼女いないのにorz


364 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 00:07:55 ID:???
>>363
イ`。核戦争下の極限状態に陥れば愛が芽生えるかもしれないから
それまで待つことだ。俺もなorz

365 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 01:01:32 ID:???
恐怖の大王が降ってくるまで待つかorz

366 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 20:01:16 ID:???
さて、大宮のシェルターはどっちも壊滅か
すると、後一つのシェルターにおそらく新キャラがいるんだろうな

367 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 20:08:08 ID:???
みつこのメッセージって
ゴマで書いてるんだよね
あの字数の多さありえなさすぎw

368 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 20:15:18 ID:???
>>367
実はご飯に直接マジックで書いてあって、食べれないオサムがひもじさと悔しさから涙を流してるのかもしれん
>>みっちゃん、ボクは必ず帰るよ(そして復讐してやる!!)

369 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 20:48:58 ID:???
>>368
鬼だな、そのみつこ

370 :マロン名無しさん :2007/02/01(木) 20:57:47 ID:???
頼むから、蠅の王みたいなお話はやめてくれよ
なんかこの作者、その手の小説が好きみたいだから怖いんだけど

371 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/02(金) 21:58:35 ID:???
核のボタンを押したのは…!?の巻(1/2)
 
ボクたちは最後のシェルターのあるS市へ向かっていた。だけど途中でガイガーカウンターが反応しだした
S市へ行くにはS山を迂回していかなくてはならない。だけどサトル君は、ついでにU市に立ち寄ろうと言い出した
なんでも前に拾った日記から戦争の原因を探るべくU市のコンピュータ会社IBNへ学者が向かったという記述があったらしく
ほかにも県の中枢でもあるU市には放送局や新聞社もあるから、もしかしたら戦争の原因が掴めるかもしれないらしい
残り少ない食料のことを心配するボクにサトル君は、できることはやっておこう、と強引にU市行きを勧める
なんだかなぁ
そうしてやってきたU市。ここにも生存者は居そうにない。まずは放送局だ
そこには死の寸前まで情報を流そうとしていた人たちの遺体と、アナウンサー用の原稿が残されていた
『関東に三つの悪魔舞い降る』
その記事からすると、関東に3発も水爆が落ちたらしい。ショックを受けるボクとは対照的にサトル君は機械をいじっていた
無線機をもってかえるつもりらしいけど、電気もないしEMP効果で壊れて動かないんじゃ……

だけどサトル君は平然と、部品集めが目的だといい、電気も将来的には風力発電を開発すると言い出した
4年生のアキラがハムの資格を持っていて、サトル君に進言したらしい
シェルターの無線を修理できるよう部品を集めてきてほしいと

二人は次に新聞社へ向かうが崖で到達不可能だった。しかたなくコンピュータ会社、IBNへと向かう
壊滅しそうなビルに怯えるオサムとは裏腹に、強引に内部へ進むサトル。ある部屋の土砂がどけてある床から隠し通路を発見する
まるで何もかも知っているように隠し通路を降りて、下の情報をつかさどるメインコンピュータルームへたどり着くサトル
そこにあった死体の顔をなぜか確認するサトルの真意をオサムはまだ掴めていなかった

372 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/02(金) 22:00:13 ID:???
核のボタンを押したのは…!?の巻(2/2)
 
周りを調べてみると、なんとコンソールに『ナポレオン』の血文字が遺されてた
どうやらこれがキーワードらしいとサトル君は平然とコンピュータを操作する
するとそこには、核戦争にかかわるメニューが現れ、その指示通りディスクをセットすると、核戦争の発生原因を発表し始めたんだ
『ケース1 欧州および中東での軍事紛争が元での使用 九月二日時点で核戦争を起こすほどの緊張関係ではなかった
『ケース2 人為ミス、機械故障、マニアによるハッキングでの誤爆 核兵器使用の安全機構の設定上、想定外
『ケース3 米国のSDIに対するソ連の悪魔の選択 SDIはSLBMや長距離巡航ミサイルに有用ではないので選択する意味がない
『ケース4 ……
 
なんだかわからない説明をするコンピュータに苛立ちをぶつけるサトル君。ついにここも倒壊しそうな雰囲気になってきた
どうも、現時点では核戦争になった理由はないらしい。実際起こっているじゃないかと怒りをぶつけるサトル君に
『答えは軍事関係ではなく、自然現象かもしれないということだ

コンピュータのはじき出した結論とは、核攻撃に対する報復装置が誤作動したことらしい
その原因は、なんと、『 隕 石 』 だった。隕石を核ミサイルと勘違いしたどちらかの国が、それにたいする報復として発射
そして、世界は核の炎に包まれた可能性が一番高いという
(ボクたちの平和な世界はいつ核戦争が起こっても不思議じゃなかったんだ)
感慨にふけるサトルだったが、ついに本格的な倒壊が始まった。だがサトルはある死体の前から動こうとしない
強引にオサムに引きずられ間一髪助かる二人。オサムはサトルに理由を問いただす
それに涙ながらに答えるサトル。あの死体はサトルの叔父の技師。今回の冒険は本当はその叔父の安否を確かめる為のものだった
謝るサトルをオサムは慰める。ボクがキミの立場なら同じ事をしてると思うよ、と
「だから これからは何でもボクに言ってくれたらいい ボクはどこへでもついていくよ」
「オサム…うう…ありがとう……」
二人はお互いに友情を確かめ合い、そしてまた先へ進むのだった



373 :マロン名無しさん :2007/02/03(土) 23:06:20 ID:wf6GLYjP
ほー。隕石か。
しかし報復システムで打ち合ったってことは米ソは崩壊かねえ。

374 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 12:59:36 ID:???
うーん。ドラマチック。
しかしサトルはともかく、よくノボルまでEMP効果なんて知ってたな。

375 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 14:06:18 ID:???
>>374
オサムですよ、オサム

376 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 15:50:19 ID:???
あ、ほんとだ。
みんな三文字のカタカナで似たような感じだからつい間違えてしまう。

377 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 17:55:52 ID:???
こんな人の自由質問にちゃんと答えられるコンピューターはいくらIBN(IBM?)でもないだろ。
21世紀頃になったらわからないけど。

378 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 19:20:04 ID:???
>>377
でもコンピュータの描写ってみんなこんな感じだと思う。

379 :マロン名無しさん :2007/02/04(日) 20:53:00 ID:???
>>374
核の冬を生き延びようと思ったら自然に話に出て覚えるんじゃない?

380 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/04(日) 21:59:46 ID:???
傷だらけの勇者たちの巻
 
吹雪が吹き荒れる埼玉第八小学校。何時ものように子供達が働いている。喧嘩を諌めるノボル。屋上の雪下ろしをするタロー
そして、男子に混ざって雪下ろしを手伝うみつ子。どうやらオサム達が帰還した時一番に発見できるよう志願したらしい
そのころ、サトルとオサムはついに最終目的地であるS市まで到達していた。被害のようすを写真に収めるサトル
そして二人はスクーターを降りて都市部を探索し始める。熱で溶けたアスファルトやロマンポルノの看板の先には公民館があった
地図の上だとこの先にシェルターがあるはずだと、勢いよく駆けて行く二人。しかしシェルターは瓦礫に埋まっていた
鉄パイプを手に取り、音によって内部に呼びかけるサトル。だが反応がない。諦めかけてその場を立ち去ろうとする二人
だが、その時、地下の奥深くから何かを叩いたような微かな反響音が聞こえてきた

ボクとサトル君は夜までかけて地面を掘り進んだ。必死になってやっとシェルターの出入り口を発見
だけど、その入り口は高熱で溶接されていて、手持ちの道具ではびくともしそうにない

人力じゃどうにもならないよ、と泣くボクに、サトル君はバイクでひっぱる事を提案したんだ
ロープをバイクと入り口にくくりつけ、サトル君はバイクのスロットルを全開にして走り出す
だけど、びくともしないでバイクの方が転倒する始末。だけど、サトル君は傷だらけになってもやめようとはしない
サトル君は言うんだ。明日やろう、では何もできない。子供だから、では通用しない、と

明日、もしここが開いても生存者が生きていないかもしれない。だから今日これを必ず開けるんだ
そういいきるサトル君の言葉に力強い希望を感じて思わず泣けてきちゃった。だからボクも協力するよ
そして、数時間の格闘の後、ついにシェルターの入り口が悲鳴を上げはじめ、ボクたちは感じていた
戦いの終わりが近い事を
 
勢いよく外れ上空に舞い飛ぶシェルターの出口。ついに開いた入り口に駆け寄るボクらが目にしたものは、想像もつかない
意外なものだった
 
続く



381 :マロン名無しさん :2007/02/05(月) 01:29:29 ID:???
いいところで終わるなあ。

二人の悲壮な決意とか、魅せるのがうまいね。
実はこれ結構名作じゃない?

382 :マロン名無しさん :2007/02/05(月) 11:03:59 ID:???
1960年10月5日、氷山が原因で第三次世界大戦が勃発し、
人類最後の日となるところだった。
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Ballistic_Missile_Early_Warning_System

警告システムのレーダーがキャッチした、
「アメリカに向かって移動中の攻撃物体(ミサイル)」
とは…月だった。

レーダーは月からの反射を受け、
地球から月までの距離を3000mileで割った余り、
2200mileを「ミサイル」までの距離として報告したのである。

しばらくの間、グリーンランド基地のメンバーは、
氷山が海底ケーブルを切断したため、
アメリカ本国と連絡が取れなかった。

383 :マロン名無しさん :2007/02/05(月) 21:46:28 ID:???
のび太の海底鬼岩城もこんな世界になりかけたんだな

384 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/06(火) 22:01:07 ID:???
希望の帰還・前編(1/2)
 
やっとの思いで開けたシェルターの中にはまだ学校に通う前の幼子の姿しかなかった
溢れる臭気。満足に換気もままならない状況で憔悴しきったその様子に疑問を抱くサトル
導かれるままにシェルター内部を探索した二人の前に、二人と同い年ぐらいの少女が現れた
ユウ子と名乗った彼女がどうやらここで一番年長らしい
彼女に病人がいるかどうか尋ねるサトル。だが、そこにいたのは病人ではなく衰弱した8人の赤ん坊だった
そもそもなぜここには子供しかいないのか、という問いにユウ子は九月三日、その日何があったのか話し始める
 
その日、彼女は風邪で、彼女の妹はもともと体が弱かったので二人で学校を休んで家にいた
すると、午前10時ごろ、外が騒がしくなり始めた。道行く主婦に事情を尋ねるとシェルターの警報が作動したらしいとのこと
そこで、妹カオルとペットのジローとともにシェルターへ向かった。最初は近くの子供達だけしか来ていなかったが
やがて、赤ん坊を連れた主婦達が入ってきて間一髪ドアが閉まり…… 世界が大変なことになったことがわかった
五日ぐらいはなんとか大丈夫だったのだが、ミルクの不足で一週間目、一人の主婦がミルクを探しに外へ出て行って
戻ってこなくなり、やがて不安と栄養不足から母乳さえ出なくなる母親が、一人、また一人と外へ出て
結局、誰一人戻らなかった…… しかも、諦めて外へ出ようとしても公民館が倒壊し、生き埋めに…
 
気丈にも話し続けるユウ子にサトルは、こんな時は泣いてもいいんだよ、と諭す
それを聞いて、やっと涙を流し始めるユウ子であった

そうこうしているうちにサトル君の指示の元、医薬品やミルクが集められ、換気が行われみんな元気を取り戻してきた
ただひとり、クミちゃん、という赤ん坊をのぞいて……
今夜が峠だ、と語るサトル君。必死の看病に周りの子供達も固唾をのんで見守る。長い長い夜だった
誰も一睡もせず生後間もない一人の赤ちゃんの顔色に一喜一憂した
そして、朝日が昇り……

385 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/06(火) 22:02:02 ID:???
希望の帰還・前編(2/2)
 
ニコッ
クミちゃんは最期の笑顔とともに息を引き取った。泣き崩れるみんな。サトル君も寄り道したことを悔やんでいるようだ
でも、泣くな…
クミちゃんはようやく苦しい世界から抜け出して、ママの待っている世界へ旅立ったんだ
これから先いろんなことがある…だから泣くなみんな…
このことを…今夜のこの事をしっかり胸に刻み込んでおけ!!
 
早朝、小さなお墓が作られた。ユウ子ちゃんはクミちゃんに、あなたのおかげで地上に出られたと感謝していた
そして一同はサトル君先導の元、ボクたちの学校へと進み始めた
赤ちゃんも含めて27人、帰途についたボクらの前に、空高く舞い飛ぶ凧の姿があった

先生が道に迷わないように目印としてあげていてくれたようだ
 
疲れ切った僕らを迎えてくれたのは
あたたかい あの―――
「お〜〜〜い 帰ってきたぞ〜〜〜!!」
あの一年生の歓声だった
 









386 :マロン名無しさん :2007/02/07(水) 20:54:30 ID:???
戻って来れて良かったなぁ…

387 :マロン名無しさん :2007/02/07(水) 23:10:51 ID:???
ちょwww視界がぼやけてきた・・・

388 :マロン名無しさん :2007/02/07(水) 23:22:10 ID:???
結構長いこと旅してたような気がするなあ。
数にしたら3、4話ぐらいだっけ?

389 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/08(木) 22:00:55 ID:???
希望の帰還・後編(1/2)
 
帰ってきた二人に学校中の生徒が出迎える。タローはオサムにプロレス技をかけ、ノボルはサトルを胴上げする
しかし、サトルは冷静に赤ちゃんを紹介する。急遽育児室を作り対応するが、タローは不満たらたらだ
やってきた子供達を足手まとい扱いするタローをみつ子が突っ込み、犬の飼い主を探してくるよう命令する
いやいや犬をつれて保健室にいくとそこには病弱な犬の飼い主、カオルが寝ていた
思わず一目ぼれしてしまうタロー。これからこの漫画はこの子とオレのラブストーリーだ(そんなわけない)と喜ぶ
お互いに自己紹介しだしたところでカオルの体調が悪化。後は先生に任せ赤ちゃん用のミルクの調達に向かうタローだった
 
食料庫では、ノボルがサトルとオサムに現在の備蓄状況を説明していた。思った以上に汚染されて無い食料は少ないらしい
灯油も水も残り少ない。明日からは食料調達にすべての労力をさこう、というサトル
そんな二人に今はひとまず休むようノボルは言って、自分は新入生用の着替えを持っていくのだった
サトルの能力に感心しながらもできる事をしようと決意するノボル。育児室に集まる新入生徒に挨拶をする
人懐っこい態度に徐々に警戒を解く子供達をつれて、着替えに向かうノボル。そこではじめて言葉を発する子供達
この子達の今までの境遇を慮りながら、ノボルはみんなの力になることを誓うのだった

 
そして、休息をとったサトルは皆を集めて探検の報告をする
7号シェルターの住人だった子供達を紹介。カオルを見て目がハートマークなタローに呆れるみつ子
赤ちゃんの世話や、年下の子供達の面倒を見る事を指示するサトル。そして、灯油が無いから薪暖房を提案する
さらに、生活をまかなうため勉強を中止し、食料調達と水を確保するための井戸を掘る事を提案
最後にハムの資格を持つアキラに機材をわたし、風力発電の設計図を見せる
それを見て、みんなの心に希望の光が湧いてきた
「しばらくは学校に閉じ込められそうだけど…無線で交信できれば…地方でほそぼそとくらしてる人たちと励ましあっていけるんだ」
サトルの激に一同が応じ、その日の会議は終了した

390 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/08(木) 22:02:17 ID:???
希望の帰還・後編(2/2)
 
夜、みんなが寝静まっている中、一人食器洗いをしているのはみっちゃんだ
そんなみっちゃんにボクは今日始めて声をかける。未だに気まずいままなんだけど
そして、お弁当ありがとう、おいしかった、といってその場を立ち去ろうとするボク
そんなボクにみっちゃんが声をかけてきてくれた
 
「ケガせず帰ってこれてよかったね」
 
僕は何も言わず、胸元にあった手紙を差し出す。それはボクの母さんが、ボク宛に書いてくれた手紙だ
ボクの母さんが生きていてくれたことをよかったね、と言ってくれるみっちゃんに、ボクは告白する
 
「いつか ここのくらしがおちついてきて余裕が出てきたら」
「ボクは…山梨の方へ母さんを…たずねて行くつもりなんだ…………    その時…」

 
「その時 君が一緒に来てくれたら」
「うれしいんだけど……」
 
みっちゃんは涙を流しながら、それでも何も言わず僕の手を握り
そして、お互い何も言葉を発せずに
 

二人はいつまでもお互いの顔を見つめあっていた


391 :マロン名無しさん :2007/02/09(金) 00:47:12 ID:???
それってプロポーズじゃん

392 :マロン名無しさん :2007/02/09(金) 19:15:29 ID:???
しかし実際、子供だけの大所帯じゃかなりきついだろ。
低学年なんかよくパニック起こさないな。

393 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/10(土) 22:00:16 ID:???
大統領選挙の巻(1/2)
 
その日、先生はみなの前でこういったんだ。今日までわたしがみんなに指示を与えてきたけど、あなたたちの誰かに役目をゆずると
そして6年生の中から選挙で公平に大統領選挙をする、と言い出した。投票は今日の夕食後だ
だれがなるか、大体決まってるというみっちゃんに、タローは自分がなるものだとばかりに照れまくっていたけど
食料調達のさいにもおおはりきりで、ボクの仕事までこなすんだ
しょうがないから、学校に戻ってみるとそこでは大統領選挙の話で持ちきりだった
一番はサトル君で決まりだとしても、2番目はノボルだそうで、次はきっとボクだよね……

でも、現実は非情だった
次はタローで、その次はなんとみっちゃんだって!! っていうかボクのこと忘れてない!?
そしたら、その次はオサムさんだって言う声が上がったんだけど
「え〜〜 オサムさんたよりないよ〜〜〜うん なんか なよなよしてるんだもん」 そ、そんな〜〜
「「「そうだよねー やっぱりダメだよねー」」」 ちょっ みんなで声を揃えて言うなんてあんまりだ!!
 
おもわずとおりがかったみっちゃんに泣きつくボク。そんなボクにやさしく気にすること無いといってくれるみっちゃん
でも一票も入らなかったら… そんなボクに自分のできる事を精一杯やればいいんよ、と送り出すみっちゃん
そんなわけで次の仕事場である理髪室に向かうボクだったんだけど……
 
うわ〜〜ん、みっちゃん、また失敗しちゃったよ〜〜
新入生の髪の毛を切ったら男も女も関係なく坊主頭にしちゃったんだ
そしたら今度はノボルたちと井戸掘りにいくよう言われた。よし今度こそがんばるぞ!!
 
でも井戸を上手く掘れないボクに周囲の目は厳しく、さっきの散髪の失敗も噂されて、馬鹿にされる始末
ボクなんか…… ボクなんか… ウッウッ……



394 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/10(土) 22:01:34 ID:???
大統領選挙の巻(2/2)
 
オサムが落ち込んでるその頃、先生は授業を終えユウ子を従え学校を見回りしていた
隙間を埋めたり薪を調達したり冬支度に余念が無い一堂。ユウ子は尋ねる。暖かい太陽が見られるのはいつなのか、を
そんなユウ子に、雪雲のおかげで、核爆発によって破壊されたオゾン層のかわりに太陽光線から身を守ってもらえるという先生
ひとり保健室に戻ると、いままで気丈に振舞ってきた反動からかベッドに倒れこみ血を吐く先生
どうやら彼女の身には何かが起こっているようだ……

一人離れて落ち込んでいたボクの耳にみんなの騒ぎ声が聞こえてきた。井戸が出たようにもないし、なんだろう
駆けつけてみるとそこにあったのは巨大な象の死骸だった。どうやら動物園から逃げ出してここで氷漬けになったらしい
核は何の関係も無い多くの動物を道連れにしたんや、と嘆くノボルの声を聞き、ボクは気づいたんだ
ボクが大統領選挙で悩んでいたことがいかにちっぽけなことだったのを……
 
その夜、投票の時間になって、皆が集まってきた。ふっきれたボクをみて不思議がるみっちゃん
そして開票がはじまり予想通りサトル君がダントツでトップだ。タローもみっちゃんも名前が呼ばれたけど
(フッ 今日はゼロ票でもいい… でも次の選挙では10票はとるぞ)
でも、そんな決意する必要は無かったんだ。ボクの名前が呼ばれたんだから。しかも3票も!!
 
結局サトル君がダントツでトップ。挨拶するサトル君に皆の歓声が飛ぶ。だけど誰も先生の様子がおかしいことに気づかなかったんだ
 
そして、夜、みっちゃんが告白してくれた。ボクに入れた一票はみっちゃんのものだったんだ!!
そしてノボルと、なんとサトル君もボクに入れてくれたんだって!!
「オサムはいろんなところで力を貸してくれたじゃないか ボクはたよりにしてるんだ  これからもよろしくたのむよ」
 
ビエ〜〜〜〜っ と泣くボクにみっちゃんが慰めてくれる。手間のかかるご主人呼ばわりでもかまうもんか!!



395 :マロン名無しさん :2007/02/11(日) 23:32:35 ID:???
( ;∀;)イイハナシダナー
まあ、オサムはリーダーより補佐役の方がむいてると思うからなにも大統領
目指さなくてもいいと思うけどね。

396 :マロン名無しさん :2007/02/12(月) 02:08:49 ID:???
みっちゃんと結婚したい

397 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/12(月) 22:00:01 ID:???
水を求めての巻(1/2)
 
その日もみんなは井戸を掘るために労力を割く。掘った井戸の数はもう8本にもなる
だが、いずれも不発。みんなの疲労も限界に達しようとしている

10月23日、雪。冬支度の忙しい物音が周りから聞こえてくる
ここでもわたしは一日中ベットの上だ。でも前とちょっぴり違うことは北川先生が近くにいること、それから―――
今日もタローお兄ちゃんがわたし、カオルとペットの犬のジロのためにお食事を持ってきてくれる
そんなお兄ちゃんに、学校の中を見学したいの、とわたしは頼んだの。そしたら、タローお兄ちゃんはわたしを背負ってくれて
お兄ちゃんと共に学校を回るとみんなが挨拶してくれた。いままで病弱だったわたしは、学校にいったことが無い
だから、みんなとこうして触れ合えるのも貴重な体験だ。給食室では今日もみつ子お姉さんが料理をがんばっていた
なんでも、食器を洗うのにビールを使っているんだって。真水は貴重だからだって言ってた
他にも薪を集めたり、みんながんばっている。でもわたしとジロだけは……何の役にも立っていないのね
そんな時井戸を掘っていたみんなが帰ってきたの。だけど結果はよくなかったみたいで、みんな緊急会議を始めたの……

みんなの前で雪を溶かして飲もうと提案するタロー。放射能の危険性を指摘するオサム

そしてサトルは実際実験してみる事を提案する。探索にでた時、無線機械のほかに放射能濃度測定装置を持ち帰ってきたのだ
結果はいまだ雪には残留放射能が含まれていることがわかっただけだった
仕方なしに全員で再び井戸を掘ることになるが、川底を掘っても水が出る気配もない
高まるフラストレーションに危機感を抱くサトルだった
だが、オサムがついに水源を掘り当てた。喜ぶ一同に残酷な現実が襲い掛かる。それはただ貯水タンクにたまっていただけだったのだ



398 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/12(月) 22:01:34 ID:???
水を求めての巻(2/2)
 
そのころ、わたしはみんなが苦労してることも露知らず、貴重な水をジロに与えてしまってました
その水はタカシちゃんが三日もかけて探してきたもの、注意したノボルさんは怒らなかったけど、逆につらかった
次の日は吹雪で井戸を掘ることもままならない様子で、もうジロに与える水はないと言われ、だから
 
10月26日 タカシちゃんがせっかく集めた水をダメにしてしまった…
学校中が水不足で困ってるのにわたしは…何の役にも立ってないのだから
せめてジロが飲む水ぐらい自分で…探さなくては…
 
雪道をジロとともにさまよい、水の瓶や水道の蛇口を調べてもダメで、もうわたしは諦めかけていました
すると、ジロは東京から吹き飛ばされたビルの瓦礫の下へ入っていったのです
「…うぅ……神さま…  神さま…ありがとうございます」
そこには巨大な池ができていました。ジロも水を飲んでもなんともない、きれいなお水がたまった池が……

探してきたみんなにカオルが池のことを話す。それは放射能汚染されていない。サンシャインビルによってできた巨大井戸だ
みんな、その日は2ヶ月ぶりに井戸の水を使ったお風呂に入ることができた
女湯を覗くタローの目に一人の美少女が写る。それは髪を下ろしたみつ子だった
オサムの前で生まれたままの姿をさらすみつ子。読者サービスも程ほどに
そして衣類の洗濯。取り合いになるサトルの服。そしてタローは自分の服を自分で洗っていた。それは母親の手編みの服だ
むかしは気弱だったタローのために、背番号1をつけて自信をつけさせようとした母の形見
そのことをタローから聞き、カオルは感激してタローにキスをする。あまりのショックにシェーーのポーズをするタローだった
 
そして、一年生をあらっていたサトルたちはもう一度風呂に入りなおす。そこで今までの困難なことを思い返す
今度は水を学校に引こうとサトルは提案し、そして最後にオサムにみつ子の風呂の接待をするよう命じて立ち去るのだった
後に残された二人。そして、夜は更けていくのだった



399 :マロン名無しさん :2007/02/13(火) 22:25:36 ID:???
これは……また一人乳児が増える伏線か!

400 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 01:22:07 ID:???
風呂の接待
風 呂 の 接 待
風 呂 の 接 待
風  呂  の  接  待
風    呂    の    接    待

401 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 01:42:04 ID:???
北川先生ヤバそうだな。
どっかで放射線浴びたのか?

402 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 02:09:23 ID:???
でも先生もシェルターの中に居たんだから
先生が被爆してるということは生徒も・・・

403 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 18:51:14 ID:???
シェルターでた後なんか放射能の付いてる物拾い食いしたんじゃない?

404 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 20:23:50 ID:???
風呂エロ杉

405 :マロン名無しさん :2007/02/14(水) 21:09:35 ID:???
>風呂
コミックス出たら買うわ俺

406 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/14(水) 21:58:56 ID:???
最後の授業の巻(1/3)
 
水が確保されてようやく平常どおり授業をする先生。だが、突如倒れてしまう
保健室でよく眠る先生を見て、今のところ大丈夫そうだ、と安堵するみんな。みつ子が言うには以前も倒れたことがあったらしい
先生の看病をサトルにまかせ、ベッドルームへ戻っていく一同。だが寝付けないので、みんなで先生の思い出話をする
そう、あれは1年前……

今日から5年3組に産休の山田先生に代わって新しい先生がくるらしい。女の先生らしいけど、どんな人だろう?
タローはすげぇババァだとかオールドミスとか好き勝手言ってるけど……って後ろに誰かいる!?
そこには花束を抱えた若い女の先生がいたんだ。颯爽と現れたその人は花束を女の子に活けるよう指示し
さらに当番の女の子に肩を揉むよう指示し……って、えー!? ついでにタローに黒板を綺麗にさせて、授業を始めだすんだ
まだ自己紹介もすんでいないのに……というみんなの気持ちを代弁して、名前とBWHのサイズを尋ねるサトル君
でもサイズの方は10年早いとばっさり切り捨てたその先生の名前は、北川ひろみ
そう、それが先生とボクらの出会いだったんだ

当然のように北川先生には男の先生も目の色を変えて、その中でも、学校のお金を使い込んで失職した田中先生は特に……

タローと職員室前を通ると、田中先生が北川先生にさっそくモーションをかけていた。忠告した方がいいような
でもそんな心配する必要なかったんだ。しきりに同じ大学を出たとか、2年後教頭になるとか自慢話をする田中先生
そんな彼に北川先生は父と話し合うといったんだ。なんと北川先生の父はこの学校創設者、北川グループの北川総一郎だって!!
それを聞いてびびる田中先生に、今まであなたに3人も女教師が泣かされたと過去の悪事を追及する北川先生
とどめの鉄拳制裁で一撃でノックダウンだ!! 早速そのことをクラスメートにしらせるボクとタロー
でもやってきた北川先生は、キョービ親の七光りでおまんま食べられないと、自分のことをひけらかさないんだ
そして、テストで100点取ったらキスしてあげるって!!


407 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/14(水) 22:00:41 ID:???
最後の授業の巻(2/3)
 
思い出話に花を咲かせている頃、サトルは先生を問い詰める。先生が過労で倒れたわけではないことを知っているようだ
しかたなく話をする北川先生。だが、それは残酷な現実だった
 
だがみんなはそんなことは露知らず、思い出話を続ける。そう、あれはタローの……

一人木の下でしょぼくれるタロー。そこに北川先生が通りかかり悩みがあるのか問い詰めた
すると、タローは先生に親が離婚しそうだ、と泣きついた。それを受けて無言で抱きしめる先生
先生には悪いけど、これはタローの作戦だ。実は先生の胸のサイズをはかるため、抱きしめる口実でいっただけ
結果は86センチ。クラスメートで賭けをしたんだけど、タローの一人がち。相変わらず嘘泣きが上手いや
 
そして、待ちに待ったテスト。タローもノボルも予習はばっちりだ。でも0点だったら大掃除だって……ってちょっと待ってよ
「何この最後の問題 微分積分ってこんなのわかるわけないよ〜〜〜」
「インチキ」  ……鬼だ、鬼がいる!!  でも先生の邪悪な企みは阻止されるんだ。サトル君の手によって!!
平然と微分積分をすべて解き満点をとったサトル君は、キスはホッペでいいですよ、と余裕だ。だけど先生は
「そういう中途半端もきらいなの」  って、うわー、本当の大人のキスをしてるじゃないか!!
興奮のあまり気絶するサトル君と、その光景を見て泣き出すサトル親衛隊の女子。でもみっちゃんはちがうんだ
って、タロー!! いちいち言いふらさなくていいんだってば。先生も結婚式呼んでねって言うけど、残念だな〜
実はボクたち宗教が違うんです。ボクの家がブードゥ教、みっちゃんが金目教……って冗談だけどね……冗談だよね、みっちゃん?
そんな一筋縄ではいかないボクらにさしもの先生も驚きを隠せないようだった。だけど、それぐらいでどうにかなる人じゃなかった

「何ですって!!  先生がもう…助からないですって〜〜っ」
「これが……… 運命よ…」
保健室での北川先生の告白。だが、その話を聞いたのはサトルだけ。他のみんなはさらに思い出話を続けるのだった……


408 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/14(水) 22:01:54 ID:???
最後の授業の巻(3/3)
 
「北川先生 井上先生を好きだったのかな……」
「うん 一緒にいると輝いて見えたもの……」
あのころはよく二人して歩いていた。無精ひげの井上先生と、北川先生。もし世界が平和だったら…どうなっていたんだろう
でも、みんな……そう、タローもノボルも多分サトル君も、北川先生に憧れていたんだ

先生はあれからもみんなにいろんな夢を見せてくれた
 
そんな時、サトル君が帰ってきた。思い出話に誘うタローだったけど、疲れていたのかすぐにベッドに入っちゃった…
 
まあ、それはともかく
 
運動会 ムカデ競争で倒れたタローたち4人を引きずって一位になった。すごいパワーだった!!
 
遠足 貧しいゴローに十段の重箱弁当を作っていった 先生の周りにはいつも笑いとやさしさにつつまれていた
 
臨海学校 肝試しでお化け恐怖症がばれて泣いていた…… あれはおもしろかった!!

 
家庭訪問 とある生徒の家で、母親と大喧嘩。ダブルノックアウトで引き分けたんだって、すごいや!!
 
いつまでもつきることのない思い出話でおおいに盛り上がったその夜
まさか、先生が大変な状況だったなんて、誰一人気づいてなかったんだ……サトル君を除いて……

みんなの思い出話に背をむけ、必死に涙をこらえながらサトルは祈っていた
(先生……  死なないで………)
それが決してかなわぬ祈りだとわかっていながら、それでもみんなに気づかれないように、必死になって祈っていた


409 :マロン名無しさん :2007/02/15(木) 01:07:26 ID:???
先生…死亡フラグだねこれ完全に…

410 :マロン名無しさん :2007/02/15(木) 01:07:32 ID:???
ちょっっBWHを尋ねるサトルと悲しみをこらえるサトルのギャップが…

411 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 01:19:32 ID:???
この展開はあると思ってた
もうすぐ先生と作品のデッドオアアライブ

412 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/16(金) 22:02:02 ID:???
明日への誓いの巻(1/4)
 
今日も朝から食料調達だ。でもサトル君はなんだかぴりぴりしておっかない。タローは大統領になるとすぐこれだ、と言うけど
そもそも、今の状況はこうだ。今まで一生懸命集めた食料が実は放射能に汚染されていたことがわかったんだ
だから必死に食料調達にあせる気持ちは良くわかる。今日は隣町までみんなで来ているんだし。でもそれだけじゃない
ノボルが言うにはサトル君が屋上で泣いてたらしい。なにかボク達にもいえない悩みでもあるのだろうか
するとそこに学校にいるはずのみっちゃんがやってきた。なんだか慌てているようだけど、どうしたの!?
「先生の容体が……おかしいの…  なんだか…とっても苦しそうで熱もすごいの」 大変だ!!
でもサトル君はかまわず作業を続けるよう指示する。さすがにおかしいと思ってタローがみっちゃんに詳しく話を聞きだす
どうやらかなりの重症らしく、サトル君に泣いて戻るよう頼むみっちゃん。だけどサトル君はかたくなだ
必死の訴えにも耳を貸さずに作業を続けるよう指示するサトル君。だったらボク達だけでも……
だけど、サトル君は必死の形相で、誰一人帰る事を許さないって言い出し、タローと喧嘩になっちゃったんだ
その時、サトル君の口から、帰ったって何もできやしないんだ、という言葉が発せられる
いったい、何を言ってるのかわからないボクたちに、サトル君は宣告した
「先生は……  おそらく今日一日―――もたない―――」
 
みんなで思い出話に興じていたあの日。サトル君が先生から聞いた話によると
先生は、シェルターに入って二日目早朝、皆が寝ている時を見計らって非常口が出入りできるか確認しにいったらしい
だけど、その通路には亀裂が走っていて、そこから外気と共に死の灰が先生に降り注いだんだ
衝撃を受けるサトル君に、先生は続けた
キミはみんなのリーダーに選ばれたのよ。上に立つ人間はどんな時も落ちついてなくちゃ、と

そして、この2ヶ月、生きるすべを教えてきたけどもうあなた達の力になれないの、と

先生の髪の毛は放射能で抜け始め、歯茎からは出血が止まらない。おそらくもってあと2,3日
「ごめんね…こんな…先生で…  ……  こんな…なさけない先生で…」

413 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/16(金) 22:02:57 ID:???
明日への誓いの巻(2/4)
 
その話を聞きみんな衝撃を受けた。タローは今すぐにでも帰りたがっていた。だけど、サトル君は続けたんだ
先生はこうも言った!!  と
 
「サ…サトル君…でもね…今は…今は…わたしの命より…今日を生きるほうが 冬支度のほうが…大切なのよ」
「わかるわね………  わたしの命が…短いと知ったら みんな心配して働く気力を無くすわ…」
「……だから…わたしは…大丈夫だって…言っておくのよ」
「わかったわね…サトル君…  最後の最後まで黙ってて…  いいわね…」
 
目の前がクラクラした…  思いっきり叫びたくなった  先生の思いやりが…熱い言葉が…ボクたちをクギづけにした…
死の恐怖にまさる 愛の姿に―――
 
最後に先生は、ユウちゃんとみっちゃんに…長い間…看病ありがとうって…伝えてって

それを最後にサトル君は押し黙った。そしてみっちゃんはその場で泣き始めた。ボクはそんなみっちゃんをうながす
「……帰ろう  …まだ……間に合うかもしれない」
そして、ボクらは学校へ戻った。廃墟の残骸が、山の白さが目の前を交錯する―――
この道は何時も通った道だ。その道をみんな飛ぶように走った―――
 
保健室の前では子供達が集まって泣いている。まさか、まさか、うう…うそだ…
 
そこには、安らかな表情で、横たわる先生の姿があった……



414 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/16(金) 22:05:07 ID:???
明日への誓いの巻(3/4)
 
就寝前サトル君から小さな子にまで一人一人先生からの手紙が配られた
手紙を配りながらサトル君は語りかけるようにみんなに言った
"今日は泣いてもいい  でも明日泣くのはよそう"―――と
 
先生からの手紙―――
それは辛い時苦しい時、ほんの少しでもみんなの励みになるように書かれたものらしかった

 
封を切って―――またボクは目頭が熱くなった  先生の字を見たからだ
……先生の……思いのこもった……文章を見た…からだ
 
オサム君
君はやさしくて
思いやりはあるけれど
少しおくびょうね…
もっといろんなことを
ためしてみたら
いいと思うわ………………
みっちゃんをよろしくね
女の子は口ではいろいろ言っても
弱いものなんだから……
 
まぶたをとじればあの先生の声が……あの元気な姿がよみがえってくる―
でも もう先生はいない―――



415 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/16(金) 22:06:24 ID:???
明日への誓いの巻(4/4)
 
翌日、小高い丘に先生を埋葬し、ボクらは冥福を祈ったんだ
サトル君がボクらを振り向いて見返すけど、大丈夫。もう誰も泣いていないよ
その場で、これからもがんばっていくことをボクらは心の底から誓い、決意した
最後にタローがお気に入りのおもちゃを墓前にそなえて、ボクらはその場を後にした
ボクはみっちゃんと、手をつなぎながら
 
飛ぶ教室 完



416 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 22:30:43 ID:???
うおっ、ナニコレいきなり最終回!?
面白いと思うんだがなあ、人気なかったのか…

417 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 22:37:45 ID:???
今のジャンプでバトル以外は難しいんだろう。
俺は行く末を見たかったけどな。
作者はどんな展開を考えてたんだろう・・・。

418 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 22:50:18 ID:???
うお!最終回かよ!!
やっぱりジャンプには合わない話だったのかなぁ

419 :マロン名無しさん :2007/02/16(金) 23:50:56 ID:???
>そもそも、今の状況はこうだ。今まで一生懸命集めた食料が実は放射能に汚染されていたことがわかったんだ

こんな状況で最終回で、この先、このコドモ達はどうなるんだ?
「俺たちの戦いはこれからだ」というより
「俺たちはもう負けそうだ」って感じだぞ

420 :マロン名無しさん :2007/02/17(土) 02:59:52 ID:???
打ち切りかよ・・・ひどいよ(つД`)

421 :マロン名無しさん :2007/02/17(土) 08:51:19 ID:???
ええっ?今回最終回かよ!
保護者がいなくなってこれからまた面白くなりそうなのにもったいないなあ。


422 :マロン名無しさん :2007/02/17(土) 22:03:41 ID:???
ええ?!唐突な最終回だな。
続きを知りたくなる…

423 :マロン名無しさん :2007/02/18(日) 00:50:54 ID:???
このあと子供達はどうなるんだろね。
冬を乗り越えれば救助隊が来るのかな?

424 :マロン名無しさん :2007/02/18(日) 04:17:57 ID:???
結局何故「飛ぶ教室」と言うタイトルだったんだろう?

425 :飛ぶあらすじ書き :2007/02/18(日) 22:06:48 ID:???
以降楽屋裏です

ちなみにタイトルはジュブナイル小説からとられたものです
また連載打ち切りの経緯は懐かし漫画の飛ぶ教室スレで言及されています

ご愛読有り難うございました


426 :マロン名無しさん :2007/02/18(日) 22:59:12 ID:???
乙。面白くなりそうなところで打ち切りだったんだな。
最後まで知りたかったな。

427 :マロン名無しさん :2007/02/19(月) 01:01:36 ID:???
とうとうコミックス間に合わなかったなー。
連載中とは別に2〜3年前から探してるのに。
ゆーても、ブックオフに寄ったついでに100円コーナー見る程度だが。

記憶にない風呂シーン見てえええ工エエェェ(´д`)ェェエエ工
新入りが勝手に水を使うシーンは記憶にあるのに、
なぜ風呂は覚えてないんだ俺は。

428 :マロン名無しさん :2007/02/19(月) 05:03:25 ID:???
あらすじさん乙でした。
全然見た事のない漫画だったけど、楽しかったです。
読んでみたくなりました。

429 :マロン名無しさん :2007/02/21(水) 01:18:53 ID:???
スターゲイザー -星に願いを- 堤抄子

少年ガンガンで平成八年より連載。
ある日願いをかなえる星が降り、世界は崩壊してしまう。
少年トモキは、犬の陸王、猫のミケとともに父や想い人を捜し、
世界崩壊の謎を解く旅に出る。

残りわずかながらスレ残量不足のため、こちらで投下させていただきます。
22日 第23話 / 24日 第24話 / 26日 最終話

第1話〜第22話はこちら。
聖戦記エルナサーガ連載中 第三章
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1158073457/760-

430 :第23話 メサイアの真実 1/5 :2007/02/21(水) 23:03:53 ID:???
「のぞみ……!」
撃たれたミケの胸から血が噴出す。

 せっかく会えた…のに……

ミケは力なく床に膝をついた。目に涙があふれる。
「のぞみを…のぞみを返してよ………」
メサイアは答えた。
「この娘は世界をたてなおすための大切な核となる…
 流星にいまだ何も願っておらず、
 流星の後の世界の絶望も知らぬ無垢なる魂…」
「世界をたてなおすって何よ!
 あたしからのぞみを奪っておいて!
 一番大切な人と幸せに暮らしたいだけなのに
 世界中の誰だって」
ミケの悲痛な叫びから、メサイアは軽く目をそらす。
「小さな…ことだな……」
そのまま背を向けてのぞみを連れ去るメサイアに向かって
ミケは走ろうとした。だが、その手は届かない。

431 :第23話 メサイアの真実 2/5 :2007/02/21(水) 23:05:01 ID:???
 だから人間なんてキライ−−
 わけのわかんないコト言うから……

ミケの体から力が抜け、彼女は前のめりに倒れてゆく。

 のぞみ……
あの雨の日拾ってくれたのぞみの手のぬくもり
「元気になったね」といったのぞみの笑顔
のぞみと一緒に歩いている学生服の少年
 トモキ…
一緒に荒野を渡ったふたり
 陸王………


走り続けていた陸王は、誰に呼ばれたような気がして振り返った。
トモキははぐれた二人を必死に探し続けていた。


扉の向こうから、メサイアが「処分しておけ」と言う。
広間の真中に倒れたミケはもう、動かない。


メサイアはのぞみを抱いて巨大隕石の前に立っていた。
巨大な球体の隕石を覆う殻のように六枚のパネルが設置されており、
その裏側も隕石で覆われている。
どうやら、各地から集めた隕石はこのパネルに貼り込まれているようだ。
その初期化は既に完了している。

432 :第23話 メサイアの真実 3/5 :2007/02/21(水) 23:05:50 ID:???
トモキは胸騒ぎを感じていた。
ようやくのぞみの幻が立っていた扉にたどり着き、
アームターミナルと扉のパネルをつないで強制侵入する。
どうやらそこはコントロールルームのようで、
機械が何機も設置された部屋だ。
何かがわかるかも知れないと、トモキはあるコンソールの前に立つ。

パスワードは前に謎の通信で見た「NOZOMI」を入力してみると、
前に見た謎の映像が見えた。
世界中から謎のラインが集中していた施設……
「そうか、今いるこの神の塔が…ここなんだ……」

ラインは以前より増えている。
そして、地球全体を格子のように覆う謎の構造物。
そこでは全世界の荒れ果てた様子を見ることができた。
「なんてことだ、メサイアは
 この天球のカメラから全世界の参上を知りながら
 ずっと放置していたのか!?」

もうひとつ、気になるものがあった。
地球を覆う構造物とは別に、宇宙のかなたから何か無数の線が、
誘導されるように地球へとのびている。

これだけのものをメサイアは隕石の力で作り上げたというのだろうか。
トモキは施設中央にあった大きな隕石のようなものを見る。
以前見たときよりかなり構造物が増えている。
そして今、何かが中に入ってゆこうとしているところのようだ。
ここでは三角形のアイコンで、実際何なのかよくわからない…

まさにその時、基部ではメサイアが
巨大隕石に眠るのぞみを入れているところだった。
のぞみの体は隕石の内部へと沈むように入ってゆく。

433 :第23話 メサイアの真実 4/5 :2007/02/21(水) 23:08:03 ID:???
「そこまでだ、友樹くん」
コントロールルームの入り口に、サングラスの男が立っていた。

「あなどれんな…やはりもっと早く気づくべきだった
 流星をその身に直接受けた者が無事なわけはない……」
 普通死ぬよな? そうだろう?
「私のような場合を除いて……」
黒衣の男はサングラスを外した。その右目には隕石が埋まりこんでいる。
「なんだ!? なんのことだ!?
 おまえらは一体ここで何をしようとしているんだ!?」
振り向くトモキの左腕で、星が反応して輝く。
黒衣の男は答えた。

「もう一度星を降らせるんだよ」

 かつて地上にふりそそぎ通過していった
 あの宇宙原初の星間物質を再び呼び戻し…磁場で誘導して…
 効率よく再び地表を焼き払うために…

「世界をたてなおすんじゃなかったのか」
「たてなおすさ。一からな」

人の願いは人を幸せになどしなかった。
全ての願いをかなえる星が降った後
大地は荒野と化し、町は滅び、人は化け物になった。

だからって全てを焼き払おうというのか!
怒って詰め寄るトモキに、黒衣の男は
これは自分の考えではなくメサイアの考えだという。
彼は少し耳元でささやいただけ……
エデンでイブにささやいた蛇のように。

434 :第23話 メサイアの真実 5/5 :2007/02/21(水) 23:09:26 ID:???
残すべき優秀な人間だけをこの塔に集め、残りは全て滅ぼす。
それでうまくゆくはずだった。

「だが、メサイア様がおまえを……
 大空友樹を呼び寄せると言いだした…
 今思うと甘かったが、私はそのとき、まあいいかと思ったのだ」

コントロールルームにメサイア本人が上がってきたが、
黒衣の男は淡々と続けた。

「だって、息子だからな」

その頃、陸王は一人トモキを探し続けていた。
彼はある死臭のたちこめた部屋にたどり着く。

そこには何体もの人の屍があった。
骨と化して乾いた人々が床に力なくくずれ、
壁には足だけが見える状態で
遺体安置室のように横たえられた人々がいる。

その部屋の中、ほとんど白骨化した白衣のミイラが
何本もの管で機械につながれて横たわっていた。
変わり果てた姿だったが、
陸王はその人が誰なのか気づき、愕然とする。

「パ…パパさん……!?」

435 :マロン名無しさん :2007/02/22(木) 01:05:03 ID:???
…ミケマジで死んだ?
陸王もヤバい気がする…
あいかわらず予断をゆるさねえマンガ家だぜ…

436 :マロン名無しさん :2007/02/22(木) 01:13:29 ID:???
スターゲイザーの癒し系が二人とも死亡って、
そんな酷い展開を……つっつーならやりそうで怖い。
まさかのぞみもラストで世界の復活と引き換えに死亡とか
そういうオチじゃないだろうな!

てか、パパはなんで選民思想になっちゃったかね。
そもそも出番がほとんどなかったから
もともとそういうヒトだったのかかもしれんけどさ。

437 :マロン名無しさん :2007/02/22(木) 03:02:48 ID:???
え、でも白骨に「パパさん!?」だろ?
じゃあメサイヤって誰よ?
グラサンBIKEIは「息子だからな」とか言ってるし…

あーもうワケワカンナイよニンゲンってきらいー

438 :マロン名無しさん :2007/02/22(木) 04:40:54 ID:???
ミケと陸王はある意味セットだから、片方だけ無事とかはあり得ないだろうな…ヤバス。

439 :マロン名無しさん :2007/02/22(木) 14:48:45 ID:???
陸王死んだらこのマンガ読むのやめる

440 :第24話 星に宿る者 1/5 :2007/02/23(金) 23:58:37 ID:???
「友樹。よくここまで来たな…」
メサイアの顔は口元しか見えないが、確かに彼は微笑んでいた。
「その声は……父さん!? まさか…」
驚いて振り向いたトモキの腕で、隕石が光を放つ。
黒衣の男は、トモキが星をつけたままで
メサイアに会ってしまったことが不都合のようだ。

メサイアはこの神の塔を、全ての叡智の結晶、
科学を超えて天空に届いたバベルの塔と呼称した。
克樹はあの夜星に願い、これら全てを作ったのだ。

「私を馬鹿にした学会や世間の誰もが
 想像もしえなかったこの理論と機構…
 友樹もこれで父さんを認めてくれるだろう?」
「父さん! 僕は!! そんな!!」

黒衣の男がつぶやく。
「そして愚かな旧世界の者どもは」
メサイアが続ける。
「滅びてしまえばいい」

トモキは父親がそのようなことを言うのが信じられない。
彼の腕では、彼の星が強い光を放ち続けていた。
まるで彼の意思とは関係ないように。

441 :第24話 星に宿る者 2/5 :2007/02/24(土) 00:00:04 ID:???
黒衣の男は、それは確かにメサイアの心の奥底に
あったもので、正しい。それが気に入ったのだと笑う。

 愚かなり人類
 母なる大地を破壊し
 また自らもお互いに傷つけあい殺し合い
 誰かが解決策を見いだしたとしても
 目先の利害に縛られて泥の中であがいている
「醜いできそこないども!」

「だから私が新しい神を据えて
 正しい世界を創ってやろうというのだ」
トモキは、黒幕はお前なのかと詰め寄る。
だが黒衣の男は、自分はあくまで力を貸しただけであり、
あくまでも克樹のしたことだという。

逆に男は彼に、本当に自分の意思で
この荒野を渡ってきたのかと問いかけてきた。
惑わされ、操られているのは、誰だ?

トモキの左腕の星が輝きを増し、勝手に銃へと変形した。
彼自身の意思と関わりなく、メサイアに銃口を向ける。
抵抗するトモキだが、操られた左腕は微動だにしない。
メサイアは電子音を発しながらもただ黙って佇んでいる。
黒衣の男は怒りをあらわに「アイツのやりそうなことだ」とつぶやいた。

442 :第24話 星に宿る者 3/5 :2007/02/24(土) 00:02:00 ID:???
 そうだ、私がアイツとの戦いに敗れ
 かつて人間たちに12枚の翼と形容された
 数多くの能力をすべてもがれて追放され
 はるかな歳月ののち…
 あの太古の物質が再び太陽系を訪れるのが見えた…
 あの すべての願いをかなえる物質が……
 私はもう一度アイツに戦いを挑もうと決心した

この男は何者だというのか。
トモキの問いかけは無視して男は淡々と続けた。

だが、アイツの手のものも同じように流星に乗って地上に降り、
新しきメサイアの左腕に宿った。
父と子が引き合うのを利用して、子に父を殺させるために。

「神(アイツ)の手段を選ばぬ残虐さがわかっただろう。
 いつでもこうだ。アブラハムとイサクの時も……
 この悲惨な世界こそアイツの似姿だ。
 神と世界は一からたてなおさねばならん」

黒衣の男は言う。
トモキの左腕に宿る天使は、彼の従属物として転生したので
トモキの心と同調できなければ力を発揮できない。
トモキがメサイアを愛し、神と認めて受け入れればいい。
新しい世界は素晴らしいものとなる……

443 :第24話 星に宿る者 4/5 :2007/02/24(土) 00:04:58 ID:???
新しい世界が素晴らしいかどうかなどわからない。
だが、今この破壊された世界でも
なお生き始めている人々を、殺すわけにはいかない。
トモキは、荒野を渡ってここまで来たのは自分の意思だと言い、
左腕を強い意志力で父から逸らし、呼びかけた。
「父さん。目を覚まして。一緒に帰ろう!!」

そこへ陸王が叫びながら走ってきた。
「そいつは元のパパさんじゃない! 全部機械なんだ!
 きっとすごいアタマが欲しくて機械に置きかえちゃったんだよ!」

メサイアがトモキの言葉に反応したか、電気的なノイズを発する。
黒衣の男は危険と判断し、メサイアにささやきかけた。
「メサイア様、設定を変更してください。
 どうやらこの少年は友樹くんではありません。
 処分します」
メサイアの全身を光の筋が走る。
「……ソ…ウ…ソウダナ……」

そのとき、トモキの銃が勝手に作動した。
銃口はトモキがメサイアから外していたが、
光の弾丸は今までのように大きく自然ならざるカーブを描くと、
メサイアの背中に向かって襲い掛かる。

トモキは父親の盾になろうと飛び込んだ。
同時に陸王も、トモキを守るために床を蹴っていた!

444 :第24話 星に宿る者 5/5 :2007/02/24(土) 00:07:13 ID:???
トモキのために身を投げ出した陸王は
光に体を大きくえぐられて血だまりの中に倒れた。
必死で彼の名を呼ぶトモキの背後で、
メサイアは明らかに異常な電子音を発し続ける。

「友樹! 災いをもたらす者よ、死ね!」
黒衣の男は友樹を殺そうと銃を撃つ。
だがその瞬間、メサイア……克樹が、
両手を広げてトモキの前に立った。
阻まれた弾丸がメサイアの頭を半分砕き、中の機械が露出する。

「まさか…こんなことが…」
驚愕する黒衣の男に向かって、克樹は手を伸ばし、
トモキの銃と同じ光線のような光を発して攻撃する。
黒衣の男は基部へ向かうエレベーターに叩きつけられ、
愕然とつぶやいた。
「こんな…こんなはずは…」

大事な人たちが犠牲になる光景を目の当たりにし、
トモキは倒れた二人の体を抱いて叫んだ。
頭を破壊された克樹はもう反応せず、
陸王は血だらけで怪我の様子もわからない。

陸王は黒衣の男が基部へ逃げていったと言う。
あの男は最後に何かするつもりなのだ。

「オレ見たんだよ。
 のぞみがこの塔のまん中、星のまん中、すべてのまん中にいるのを…」
横たわる陸王は穏やかで、今もなお強い意志に満ちた顔をしていた。
トモキの目から涙があふれる。

「トモキ……みんなで……帰ろう……」

445 :マロン名無しさん :2007/02/24(土) 00:58:13 ID:???
ミケに続き、陸王と親父(はとっくの昔に、だったようだが)も片付いたか…
このままだと、みんなでは帰れそうにないな。
奇跡の安売りはいただけないが、どうにかしてハッピーエンドに着陸してほしいもんだよ。

446 :マロン名無しさん :2007/02/24(土) 01:21:27 ID:???
陸王いつの間に基部に行ったんだ?

447 :マロン名無しさん :2007/02/24(土) 01:32:34 ID:???
なるほど、天使のこういう現れ方は好きだな。
ぱああっと、羽根つけて出てくるんじゃなしにさ。

448 :マロン名無しさん :2007/02/24(土) 18:57:34 ID:???
ルシファーかに天使に神か
聖書のそれとはまた別の存在ともとれるなー
「翼と形容された能力」って言ってるのも面白い

449 :マロン名無しさん :2007/02/24(土) 22:48:15 ID:???
こっちに話が進んでくとは思わなかったな
しかし陸王・・・

450 :マロン名無しさん :2007/02/25(日) 18:07:20 ID:???
次回最終回?
こんな絶望的な状況からどうやって終わるんだ?

451 :マロン名無しさん :2007/02/25(日) 21:06:20 ID:???
ところで「アブラハムやイザクのように」って、どういうこと?
聖書読めばわかる?

452 :マロン名無しさん :2007/02/25(日) 21:17:10 ID:???
ざっとググッたけど
ttp://www.nunochu.com/bible/01_genesis/gen29.html

ここには出てないけど旅の途中で確か悪魔が
「そんな命令ありえねー、ひどくね? You神に背いちゃいなよ」
と誘惑をかける。

453 :マロン名無しさん :2007/02/25(日) 22:57:49 ID:???
>>452
「息子を生贄として捧げなさい」って確かに酷いな。

454 :最終話 星降る惑星 1/5 :2007/02/25(日) 23:09:09 ID:???
黒衣の男は基部へ向かうエレベータに倒れたまま
呪詛のようにうめく。
メサイアが失われた今、新世界の完全な建設は不可能。

 こうなれば……!! 愚かな人間ども…この世界…
 滅ぼしてくれる……!!
見開いた目は爬虫類のものとなり、
皮膚の一部には鱗にも似たひびのようなものがはしっている。


倒れた陸王は微笑んで言った。
トモキと会えたから、この世界が好きだと。
悪い人間がいても、トモキを知っているから人間を信じられると。
「オレは…人間が…好…」

息絶えた陸王を抱いて、トモキは泣く。
この世界が悪いのか、滅ぶべきものなのか、
そんなことはわからなくてもいい。
彼にとって確かなのは、この世界であり、あの日常だった。

 そこにどんな過ちがあろうと、この世界からでこそ…
 きっと僕らは歩み出せる……!!

455 :最終話 星降る惑星 2/5 :2007/02/25(日) 23:11:01 ID:???
顔を上げたトモキはもう泣いてはいない。
陸王が言っていた、のぞみがいる巨大な星は
このコントロールルームからはるか下。
そこには巫女のように目を閉じて祈りをささげる風な
のぞみの姿が見えた。

だか、あの黒衣の男がすでにエレベーターで
下へ向かっている。普通に追ったのでは間に合わない。
どうすればいい、そう思ったとき、
トモキの左腕の星が輝いた。
トモキの体は吹き抜けを降りてゆく。
星の輝きで落下のスピードを和らげながら。

黒衣の男のエレベーターが着いたわずか後に
トモキは基部へと降り立った。
黒衣の男は巨大隕石の前に設置された
カバーのついたスイッチに拳をかざす。
「あとはこの起動ボタンを押せば
 のぞみの祈りの力で流星が地上を焼きつくす!」
「のぞみが祈るのなら、決してそんなことにはならない!!」

黒衣の男はあざ笑う。
のぞみには意識がなく、永遠に眠ったまま。
無垢なる巫女の祈りの力だけを利用するのだ。
トモキの叫び声にも、のぞみは反応する様子がない。
駆け寄ろうとしたトモキ。だが止めるには絶望的な距離だ。
黒衣の男は拳を振り下ろしてボタンを押した。
「終わりだ。この世のな」

456 :最終話 星降る惑星 3/5 :2007/02/25(日) 23:12:54 ID:???
隕石が引き寄せられ、地球へと近づいてくる。
のぞみが入っている巨大隕石を、
細かい隕石で覆われた殻が覆い隠してゆく。

「……っだったら、あの星をぶっ壊す!!」
トモキの左腕が彼の願いに反応して激しい輝きを放つ!
「もう遅い!! それに、のぞみにも当たるぞ!」
当てないと答えたトモキの目には迷いがない。

黒衣の男はかっと目を見開いた。
「させるかァ!」
男は変異しながら襲い掛かってくる!
大きく裂けた口に長い舌、鱗に覆われた長い体
その姿はまさに、神に背いた蛇……

しかし次の瞬間、蛇はトモキが放った光の中で
血肉は蒸発し、骨は砕け、消滅する。
そのまま光は巨大隕石を破壊した!

隕石のかけらとともに、目覚めたのぞみが降ってくる。
トモキはのぞみをしっかりと抱き止めた。

降り注いだ隕石は地球を覆う誘導装置に当たって破壊する。
その衝撃で神の塔もまた崩壊を始めていた。
トモキはのぞみの手を引いて神の塔を脱出する。
ミケや陸王の体は、瓦礫の中へと消えていった。

457 :最終話 星降る惑星 4/5 :2007/02/25(日) 23:14:18 ID:???
外の騒ぎに誘われて外へ出た少年は、空を見上げた。
世界にはあの最初の夜のように無数の流れ星が降り注いでいた。
だが、あの時のように
家が壊れたり、人間が怪物になったりはしていない。
星は地表に到達する前に消滅しているようだ。

町の人々に喜びの声が上がる。
人の怪我や病が治ってゆくのだ。
はっとした少年は家へと駆け戻る。
目覚めた彼の父親は、もとの人間に戻っていた。

崩れ落ちた神の塔の前、
手をつないでトモキとのぞみが立っていた。

のぞみはずっと夢を見ていたのだという。
「流星がたくさん降って……
 世界はめちゃめちゃに壊れちゃうんだけど
 みんな元気に大地を耕して暮らしてゆくの」
「それはかなう! その夢はきっとかなうよ」
「そばにはちゃんと陸王やミケがいて!」

トモキの目から涙があふれた。
陸王はトモキをかばって命を落とし、
ミケははぐれたままだが、恐らく、もう……

458 :最終話 星降る惑星 5/5 :2007/02/25(日) 23:17:14 ID:???
「あら、ミケ、こんなところまで来たの?」
首に鈴をつけた三毛猫がのぞみの足元にいた。

 まさか…まさか…

瓦礫をこえて走ってくる。
ぶっ千切ったままの鎖を首輪につけたまま振り回し、
尻尾をピンと立てた犬が、目を輝かせて飛びついてくる!

「陸王! 陸王! ミケ!」
トモキは泣きながら二匹を抱きしめた。
陸王もミケも、嬉しそうにトモキに頭をこすり付けている。
「不思議ねえ。ミケはあんまり
私以外の人に体を触らせないのに…」

空一面の流星雨は、まだ尽きることなく降り続けている。
「友樹くん、なにかお願いした?」
のぞみの問いにトモキは答えた。
「うん、今ね……
 でも、願いっていうか……僕の決意……」
トモキの左腕のアームターミナルから、
砕け散った星の欠片がわずかな輝きを残して消えてゆく。

「さあ、行こう−−」
二人と二匹は星降る夜空の下、大地を踏みしめて歩き出す。

 僕たちの足で歩いていこう
 そこに道はできるはずだから…



      STAR GAZER 〜星に願いを〜 おわり

459 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 00:41:19 ID:???
無法の荒野に少女と犬猫連れて、
星の力を放棄したトモキは無事にやってけるんだろうか?
てのは無粋なんだろうな。

のぞみの願いが世界を癒したに違いないということで。
…例えそれが優しさに満ちたものであれ、たった一人の願いが
世界を塗り替えてしまったとしたら、結果的にそれは親父や堕天使の思想と
大差ないものになってしまいそうだがな。

だめだだめだ、こんな風に考えては。

彼らの行く先に光あらんことを祈りつつ、さようなら。
ありがとう。

460 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 00:57:00 ID:???
>たった一人の願いが
>世界を塗り替えてしまったとしたら、結果的にそれは親父や堕天使の思想と
>大差ないものになってしまいそうだがな。

なるほどなあ。のぞみは意図して願ったわけではなかったのではあるけどね。
しかし今回どんな結果が出たのであれ
これから、人間の力で世界を作っていけるのならトモキたちは受け入れるんじゃないかな。

神でもなく悪魔でもなく、人間の力で、というのはいつもこの人のテーマだね。

461 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 01:37:06 ID:???
読み切り版スターゲイザーでは「星の効果は継続中で周りは人間が変化した化け物だらけ」と言う状況だったから、それよりはマシだろう。
或いは、神だか堕天使だかの希望通り、ある程度の間引きは出来てしまってるって事も言えるか。

何にせよ、これでエルナサーガ1本に集中出来るよな。楽しみだよ。

462 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 03:00:47 ID:???
北斗の拳みたいな核戦争後の世界でもないし
少数の核施設がどうにかなっているかもしれないが
人間が生きるために協力していけば復興可能じゃね?
覇権を巡って争うにしても共倒れしてしまってはどうにもならん。

文明を取り戻すには100年単位を必要とするかもしれないけど。
でもコンピュータが動いていたくらいだから
機械文明が完全に壊滅した訳じゃなさそうだし
技術者も生き残っているだろう。

と言うかこれって結局何ヶ月かけた物語だったのだろう。

463 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 03:04:33 ID:???
陸王、トモキ以外見えてなさそうだけど、ヨメさんさがしてファミリー作れよ。
あの世界で普通の犬猫がまともに生き残っているか疑問だけど、
あれだけ苦楽をともにしちゃったトモキのためにもさ。

それから、トモキの星は「壊した」んじゃなくて「開放した」だといいな。
思惑はともかく、今まで助けられてきた相棒なんだし。

464 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 03:05:54 ID:???
>462
全部で半年くらいかなと思っている。
じいさんからのすっ飛ばし分5ヶ月くらいでw

465 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 18:46:38 ID:???
>>463
> 陸王、トモキ以外見えてなさそうだけど、ヨメさんさがしてファミリー作れよ。
> あの世界で普通の犬猫がまともに生き残っているか疑問だけど、
> あれだけ苦楽をともにしちゃったトモキのためにもさ。
犬猫じゃあと20年は生きられんよな。人間化したままだったら長生き出来たのか?
しかし繁殖するのはいいけど、食い扶持をどうにかせにゃならんという問題もある。
でも、のぞみの願った世界なら、当面のところ飢餓とか干ばつなんてことにはならないだろう。

> それから、トモキの星は「壊した」んじゃなくて「開放した」だといいな。
> 思惑はともかく、今まで助けられてきた相棒なんだし。
親父射撃については完全に裏切られたし、その結果(復活したけど)陸王は死んじゃうし、
相棒というほどの感情はもう持てないのでは?

466 :マロン名無しさん :2007/02/26(月) 21:52:36 ID:???
>465
人間化したままトシのとり方は変わらずだったらきついなあ。
確かにトモキの星は裏切ったけど、
のぞみを開放したのもあの星の力だったわけで…やっぱ駄目かな。

冒険の途中でトモキが星の力を放棄しようとしても壊れなかったんだろうね。
最後の最後に意志の力で乗り越えたからこそあれだけの力が出せたんだろうし、
役目を終えた星は彼の願いに反応して消えていったと。

のぞみは、短編で言ってた「希望の星」とか、
途中で真央さんの時トモキが言ってた「よき願いをかなえる星」を
降らせたのかもしれないな。
まあ、いい悪いを誰が決めるのかなんて言い出したらまたきりがないけど。

467 :マロン名無しさん :2007/02/27(火) 00:57:00 ID:???
人間化したまま、陸王が、恋人(人間化した犬)を見つけなくて本当に良かった。
いきなり飛びついて抱きついたりして少年誌ではありえない事態に…

468 :マロン名無しさん :2007/02/27(火) 02:42:02 ID:???
むしろ人間の姿のまま普通の美犬みつけちゃって更に大変な事態に
って何の話してんだおいw

469 :マロン名無しさん :2007/02/27(火) 22:21:26 ID:???
以降、木曜まで楽屋裏とさせていただきます。
ありがとうございました

470 :マロン名無しさん :2007/02/27(火) 22:23:55 ID:???
>>469
乙でした
あんまりレスつけられなかったけど楽しかったです

471 :マロン名無しさん :2007/02/28(水) 02:13:12 ID:???
あらすじさん乙です。良いまとめだったと思います。

この漫画は短いけど、連載が長くなった場合は、あのホームレス爺さんのあとに
いろんなエピソードが入る形になったと思うので、全体としてはこれで良かったのかな…。
ガンガン隔週化に伴って始まった3本の新連載に数合わせ的?に内部作家から参加させられた感じだけど
3本の中では一番長く続いて、ちゃんと終わってた。

472 :ほし」をみるひと :2007/03/01(木) 23:58:06 ID:???
いろいろ不備もありましたが、いい経験でした。
これを読んでコミック買ってみようって方がいたらいいなと思います。
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

しかし……この漫画……リーダー……多かった……
あらすじ書いてみて……初めて……知りました……

473 :マロン名無しさん :2007/03/04(日) 20:24:42 ID:???
…… …… …… …… ……
…… …… …… …… ……
…… …… …… …… ……

474 :マロン名無しさん :2007/03/05(月) 02:03:40 ID:???
















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