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一清&千沙姫シリーズ連載中
1 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 22:24:49 ID:???
少女漫画LaLa平成5年9月号より「一清&千沙姫シリーズ」の第一弾
「お伽話を語ろう」という漫画が連載されました。
このシリーズについて思う存分語りましょう。
なお、この漫画は馬子が高速で走る事によって二日で一話ずつ連載されるようです。
千沙のわがままで変な時期に合併号になる事もありますが気にしないでください。
このスレの詳しい事は連載中スレの楽屋裏にて。

連載中スレの楽屋裏 第8幕
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1131819966/

柳原望作品を語ろう
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/gcomic/1043794406/

2 :お伽話を語ろう 1/2 :2005/12/15(木) 22:29:46 ID:???
時は戦国。その日、安住の一人娘・千沙姫は、加賀の殿様・一清のもとへ
両国の同盟関係を幾久しくするために嫁いでいった。しかし。

「花婿がいない?」

加賀の国境に敵方・下条軍が侵入したために一清は急遽出陣となったそうだ。
幼い頃から「お前は一清さまのお嫁さんになるんだよ」と言われて育ち、
長年文通してきた仲ではあるものの、千沙は一清の顔すら見た事無い。
しかも一清は千沙の長文の手紙に『元気です』とだけ返すので性格もよくわかっていない。
「帰ろうかな」つぶやく千沙に、双子の侍女のかえこときえこは言う。
か「当っ然っですっ!こんな人を馬鹿にした話がありますかっ!」
き「帰っちゃうんですかぁ すんごい美形かもしれないって期待してたのに…」
きえこの言葉に、千沙はやっぱり一清を待つことにした。
かえこは「政略結婚の相手が素敵な人なんてお伽話です」と言う。


一清が指定したという千沙の部屋は、かなり広い屋敷の中で何故か一番隅だった。

やっぱり嫌われてるっ どっどうしようすんごい意地悪な人かもしれない
  いないのだっていじわるかもしんない。この屋敷の真ん中に愛人が100人ぐらいいるのかも…!

加賀の使用人たちは、千沙たちに話しかけられるとすぐに逃げてしまう。
一清からの贈り物だという馬もやたらと暴れる。…やはり嫌われている!
本格的に帰ろうとする千沙。かえこは荷物をまとめだす。きえこは見つからない。
「きえこっどこにいるの?」きえこを探して襖を開けると、そこも千沙の部屋のはずなのに
やたらと散らかっている。こんなに使用人がいて何故片付けられていないのだと千沙は怒る。
「あの……千沙さまの部屋は以前殿様が使っていて…急な戦で慌てて引っ越して…」
おずおずと使用人が言ってくる。勝手に入ると怒られるとも言うが、千沙はかまわず中に入った。
中には武具に剣、兵法の本ばかりがある。他のものは放り込んだだけという感じなのに、
一つだけ大切にそっと置いたという感じの箱があった。中には千沙が今まで送った手紙が入っていた。
あくびが聞こえた。ふと見てみると、行方不明のきえこが呑気に昼寝をしていた。
「このお部屋、お館中で一番日当たりがいいの」だから一清はここを千沙の部屋にしたのだった。

3 :お伽話を語ろう 2/2 :2005/12/15(木) 22:32:12 ID:???
使用人たちがしゃべらないのは、安住の使者に訛りを馬鹿にされた事があり、遠慮したためだった。
馬は牝馬で、一清の嫁である千沙に嫉妬して気が荒くなっただけかもしれないという。
お伽話のように上手い事にはいかないかもしれないけど、一清を待とうと千沙は決意した。


加賀中の男たちが老人も含め戦に駆り出されるまでになった頃。
下条浩親は本隊をおとりに加賀軍を引きつけ、重臣の飯盛軍を加賀へと攻めさせようとしていた。
目的は千沙だ。千沙を人質にすれば、安住は援軍を出せず、加賀も潰せる。
安住の援軍と合流するよう西へ逃げる事になった千沙たち。
しかし、まだ婚礼もしていないし父のことだ、いざ娘が無事戻ってきたら加賀を見捨てるかもしれない。
逆方向の東へと向かう千沙たち。途中に見つけた廃寺で休む。
川で足を冷やしていたきえこは少数の敵軍に捕まる。
「女、案内(あない)せい」

戻ってこないきえこを探しに廃寺を出るかえこ。そこで加賀軍を発見した。中には一清もいた。
廃寺を挟んで相対する加賀軍と敵軍。敵軍は千沙一人残った廃寺に火をかけた。
一清は敵を斬り殺し、燃える廃寺の中に飛び込んだ。千沙は一清に抱きつく。

「死ぬのが火の中で良かった。こんなに明るいから一清さまの顔がよく見える……」
「何を言ってるんですか。逃げられますよ。逃げ道なんてつくるものです」
一清はそう言うと仏像を蹴って壁に穴をあけ、千沙を抱えて脱出した。

外へ出た途端いきなり生首を見せてくる一清。悲鳴を上げる千沙。
「敵の総大将の首ですよ?」千沙がそれを見て喜ぶと思ったらしい。
今からでも帰るのは遅くないぞーとかえこが言ってくるが、千沙はもう帰ると言わなかった。
「千沙殿」そう言いながら手を差し伸べる一清と、手を繋いだ。
まるでお伽話のようねと思いながら。

4 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 22:49:48 ID:???
かえこときえこの漫才が面白いw
絵は体がちょっとおかしいけどわりと好みだ
連載化するかな?

5 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:04:06 ID:???
国中の男が駆り出されるような戦なら殿が出るのも当たり前だろうに(一清は行動派っぽいし)、
いじわるだとか言う千沙は武家の娘(だよな?)としてかなり問題あるぞ。


6 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:11:33 ID:???
ちょwwwwなにこのおとぼけ姫wwwwww
つか室町後期くらいの時代かと思ったけどずいぶん鎧が古めかしいな・・・

7 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:15:17 ID:???
時代物好きだから期待
続き・・・はあるのか?

8 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:16:28 ID:???
生首ワロス

千沙と一清は何歳ぐらいなんだろう

9 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:21:34 ID:???
天然ボケっぽいこの二人の今後が気になる
続編キボン

10 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:34:08 ID:???
千沙は14歳ぐらい、一清は18歳ぐらいと予想

11 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:37:29 ID:???
なまくびは見せられたくないなぁ。いくら戦国時代でも。
これ続編はないだろ−な−。きれいに終わってるし。


12 :マロン名無しさん :2005/12/15(木) 23:56:19 ID:???
> 千沙がそれを見て喜ぶと思ったらしい。

そんなw

13 :マロン名無しさん :2005/12/16(金) 00:33:57 ID:???
当時の感覚はよくわからんが、若いおにゃのこでも敵の首を見たら
「よっしゃああああ勝ったぜ!」と喜ぶのが普通だったのかな?

14 :マロン名無しさん :2005/12/16(金) 02:23:34 ID:???
単に一清が女慣れしてないんじゃまいか
多分童貞だ

15 :マロン名無しさん :2005/12/16(金) 02:45:50 ID:???
引っ張って引っ張ってようやく登場した王子様がこんなすっとぼけたにーちゃんかいw
萌えるでないのよwww
連載キボン

16 :マロン名無しさん :2005/12/16(金) 07:07:59 ID:???
なんかほのぼの可愛い話だなあ
千沙の侍女二人もいい味だしてる
続編希望

17 :マロン名無しさん :2005/12/16(金) 14:16:19 ID:???
>>13
今よりも男が強かった時代だろうし、大将の首は今で言えば旦那の昇進の知らせみたいなもんだろうから、
一応旦那GJと喜ぶのが風習だったのかも知れない。まぁ、直に首見て喜べってのも何だが

18 :マロン名無しさん :2005/12/16(金) 18:52:40 ID:esr48GGP
かえこはツンデレとみた

19 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 02:40:27 ID:???
この人前平安もの描いてたよね??(←山の貴族)あれ結構好きだったw

っていう話題ふるのは桶?

20 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 11:15:43 ID:???
戦国ものには似あわないおとぼけな姫だなぁ。実家に帰らず殿のところに行くところはかっこよかった。
後々お伽話として語られるくらい幸せになるんだろうなぁw

21 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 18:44:00 ID:???
>>19
あれ面白かったなー
もしも姫が飢えに苦しんだら俺を食わせてやると天狗が言ったところがかっこよかった

22 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 21:59:37 ID:???
その短編の恋敵役が主役の漫画が好きだったな。鬼の仮面被った姫のやつ。
俺が一番初めに読んだ柳原本だった気がする。

23 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 22:07:46 ID:???
一鬼夜行だっけ?
あんな感じのたらしの悪役キボン

24 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 22:24:56 ID:???
あのボケ娘にあそこまで言われる
姫の父親がちょっと気になる。

25 :そうしてお伽話になる 1/2 :2005/12/17(土) 22:32:25 ID:???
一清は毎日外出する。どこへと聞いても笑顔で「外です」と言うだけ。
絶対に浮気だ。浮気に違いない。証拠を掴んでやると千沙は一清の後を追った。
一清は色っぽい姉さん・ふえと会っていた。「実家に帰ります!」と叫びながら走り去る千沙(口だけ)。
「追いかけなくてよろしいの?」「続きが先だ」一清は真面目な顔でいう。
先日の戦で下条家当主の浩親が討ち死に、弟の浩美が後を継いだ。
浩美は養子として安住家にいた。年は15ほど。「養子とはいっても人質同然。よく安住が返したな」
「あのお呑気姫の実家にしてはそーゆーとこ非情ですからね」
先代浩親の譜代の家臣全てが殺されたという。黒幕は浩美の母・お香の方。
お香は側室、言うなれば浩美は妾腹。その上ずっと安住で育った。
従わぬ者も多く出たようだった。斬殺の様子を浩美はただ震えながら見ていたという。
――よほどの腑抜けか………その逆か
いずれにせよ権力を集中させなにをしようとしているのか。

すねまくりの千沙に、明日の遠出に連れて行くと一清は言う。
「うれしいうれしいうれしいずっと一緒にいられるのね!」
下条の浩美の事を知っているかと訊ねる一清。
「ああ知ってるヒロミちゃんね!安住では男の子が生まれなかったから
 ヒロミちゃんみたいに色んな国から養子の子がきたのよ」
一清はふえが言っていた事を思い出す。養子と称して立場の弱い国から人質を取る…
『そのあたり千沙姫はご存知なのかしら』『知らないのなら知らないままのほうがいい』
浩美と千沙は仲がよく、今でも文通してるという。気が弱くても優しい子だったという。
「一清さまは小さな頃どんなだった?」「……子供でしたけど」

千沙は一清と共に馬子に乗り出かけるが、すごい速さで馬子に揺られ半泣きになり、機嫌を損ねていた。
今夜は国境の寺に泊まる事になっている。そこには双子とふえもいる。
実は下条の軍が動いているという情報があり、それを確かめる目的もあるのだった。
そこに、浩美が現れた。


残った双子に、ふえは自分を間者で、一清の幼馴染でもあると言い、昔を語る。
大国安住と加賀が対等に付き合い友好関係を持つのは、加賀から金が取れるから。
金脈は非常に掘り難い岩盤の下にあり、掘削の技術は加賀の者しか知らない。

26 :そうしてお伽話になる 前編 2/2 :2005/12/17(土) 22:35:24 ID:???
「そのおかげで強引な侵略はないと思っていました」
だが油断はいつも最悪な現実を引き寄せる。
突然襲ってきた軍。まだ子供の一清を農民に扮装させ逃がした後
一清の父母と兄は見せしめに斬首された。
技術者の頭である ふえの父もまた、服従を拒絶し殺された。
安住の援軍がくるまでに12人の民人が殺された。
「あの人は子供を育ててる。あの人は田を耕してる。あの人は鉱脈を掘ってる。俺はこの国を守るんだ」
失ったものが大きいからこそ一清はこの国を守るのが自分の全てだと思っている。
外出が多いのは、他国の情勢を常に知る事で悲劇を未然に防ぐため。
もしも千沙とこの国とを選ぶとしたら、一清はどちらを選ぶのだろうと きえこはつぶやく。

浩美は遠駆けに出てうっかりと加賀の領地に入ってしまったらしい。
国境に宿所をこしらえてあるので過ぎし日の禍根を流す意味でも一献どうでしょう、と
浩美は緊張しどもりながら言う。その姿は千沙の言うとおりの「気の弱い優しい子」だ。
一清は断るが、千沙が行きたがるので宿所へ。その途中、突然謎の集団に襲われた。
気付くと一清は緊縛されていた。目の前に尼僧がいた。お香の方だ。今は仏門に入り妙香尼と名乗っている。
「千沙姫はとても可愛らしい姫ですのね。私気に入りましたわ。姫をくださいな。我が子浩美に」
離縁状さえ書けば面目は保たれる。今ここで殺されて加賀の血筋を絶つよりはいいだろうと言う。
「断る。どちらも選ぶ気はない。千沙は絶対に渡さん。女一人守れなくて一国が守れるか」
目覚めた千沙。浩美は怯えた様子で「僕じゃ母上を止められない」と言う。
浩美に連れられ一清の元へ行くが、一清と共に部屋に閉じ込められてしまう。
「ごめんね千沙ちゃん僕やっぱり母上に逆らえないよ」とりあえず千沙は一清の縛めを解く。
部屋の中には一清が可愛がってる鳥一家の鳥子がいた。鳥子に手紙を運ばせようと千沙は提案する。

その事も読んでいる妙香尼と浩美。手紙を受け取り二人を救出しに来た加賀軍を待ち伏せして潰す気だ。
「家臣団の粛清も私の名で行わせておいて
 たとえ失敗しても自分だけ安全な場所にいるつもりだろう。
 いいさ お前の盾となって死んでいくなら母も本望」
「大丈夫母上。失敗はしないから。あの鳥が加賀へ急を知らせる。その時が加賀の最後だ」

27 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 22:47:56 ID:???
連載決定オメデトー

なんかシリアスな展開になってきたな。
「我らは加賀様以外に従う気はない!」
と言いながらぬっ殺されたふえ父にしびれる憧れる

28 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 22:52:10 ID:???
ヒロミ最悪だな
それにしてもこの人はやっぱりこういう黒い展開描かせると上手い

29 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 23:02:35 ID:???
悪役だけどたらしではないなー
キツネ目のキャラは大抵臆病系か
たくらみ系だが、その両方をそろえてるね

30 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 23:22:04 ID:???
オオいきなり続きものか!

31 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 23:27:11 ID:???
続編出たんだ。

一清いいなあ。
「馬子」とか「鳥父さん」とか、ネーミング最高。

32 :マロン名無しさん :2005/12/17(土) 23:34:55 ID:???
鳥父さん鳥母さん鳥太鳥子鳥江
テキトーすぎだろwwww

33 :マロン名無しさん :2005/12/18(日) 01:26:39 ID:0j0rQL7M
いや、殿さんはまじめに考えたんだよ

34 :マロン名無しさん :2005/12/18(日) 07:11:14 ID:???
続編ヤター!…と思ったら何ですかこの黒い話は。
戦国時代っぽくなってきたでないですか。

35 :マロン名無しさん :2005/12/18(日) 08:56:57 ID:???
時代背景いつ頃なのかねえ
信長とかはいそうにないけど

36 :マロン名無しさん :2005/12/18(日) 11:22:10 ID:???
「女一人守れなくて一国が守れるか」

一清様かっこいいな。2作目なのにみんなキャラがたってきてるね。
ふえにも期待。美人キター

37 :マロン名無しさん :2005/12/18(日) 12:49:16 ID:???
>>32
「一清さまは小さな頃どんなだった?」「……子供でしたけど」
といいボケボケだなー
でも「女一人守れなくて〜」はカッコイイ(・∀・)!

38 :マロン名無しさん :2005/12/18(日) 23:55:35 ID:tXYXU6vQ
あげてみる。


39 :マロン名無しさん :2005/12/19(月) 19:03:40 ID:???
千沙かわいいよ千沙

40 :そうしてお伽話になる 後編 1/2 :2005/12/19(月) 22:38:43 ID:???
一清は手紙をつけずに鳥子を飛ばした。浩美たちの考えはお見通しだ。
下条軍は来るはずもない加賀軍を待ち伏せに出ている。人が手薄な今なら逃げられる。
一清は火打ち金で窓の柵を焦がし破壊し、千沙をおぶさり、紐をつたって脱出した。
千沙は、一清の摩擦で裂けた手の皮に破った着物を巻いた。
一方、ふえと双子のもとへ鳥子が到着した。一清たちの帰りが遅いので心配していたが、
何かあれば手紙をつけるだろうから無事なようだ。もしくは危険だから動くなという事…
ふえは、初めは一清と妻の婚姻に反対していたと言う。安住の戦に巻き込まれる恐れがあるからだ。
「でも 本人があまりにお呑気だから拍子抜けしちゃって。
 それに一清様、姫君からの手紙を読む時だけは若者らしい表情をされるの。
 安住の姫を受け入れる事がどういう事かわかっているはずなのに。
 きっと、あの姫は、殿の唯一のわがままなんでしょうね」
それなのに浮気だなんだと騒ぐなんてわがまま姫め!と怒るかえこ。
「姫さま一清さまと一緒に居る時間が少なすぎただけで
そのうちちゃんとわかるようになるよ」きえこは笑顔でそう言った。

脱走に気づいた浩美。女連れなら逃げられないと思っていたが、
優秀な奪回者を引き入れた事になってしまった。大軍では身動きが取れないので、
共を3人と妙香尼を連れ後を追う。その道程で浩美は安住での生活を思い出した。
『けして逆らわず大人しく従順に 人質の身それが生き残る手段』
幼い浩美は年長の養子たちに罵声と暴力を奮われながらも、その母の言葉を守り続けた。
優しくしてくれたのは安住の唯一の実子である千沙だけだった。
やがて千沙は加賀へと輿入れした。その直後、下条が千沙を狙って戦を仕掛けた。
『浩美 お前は人質にもならぬ奴なのだな』安住内での浩美の立場は追い詰められた。
――許さない兄上もその家臣も いつか殺してやる
やがて下条は討ち取られた。安住では、使用人たちでさえも口々に言った。
『浩美殿はよくお手討ちにならずに』『殿は無益な殺生はされませんよ。家にも見捨てられるような者を』
千沙の父が、浩美を下条に帰そうと話しているのを浩美は盗み聞いた。
『裏切りが心配ですな』『あれは愚鈍の輩 裏切る器ではありませんよ』
今に見ているがいい そう思いながら浩美は下条へ戻った。

41 :そうしてお伽話になる 後編 2/2 :2005/12/19(月) 22:41:07 ID:???
追いついた浩美の部下3名を、一清は素早く斬り殺した。
あの優しい人が、どんな思いで剣技を見つけたのだろうと千沙は思う。
隠れて様子を見ていた浩美も見つかり、刀を向けられる。そこへ妙香尼が姿を現す。
「今回の事は全て私の一存でやったこと。引きかえるのは浩美の命と…この尼の命!」
そう言うと妙香尼は自害した。泣き真似をする浩美。実は、妙香尼は血のりで死んだふりをしただけだった。
油断した一清が近づいてきたら殺す気だ。しかし、一清は油断せずまた刀を浩美に向ける。

「俺は…殺さねばならん。お前が自分の国も治められぬ傀儡なら
 治められず結果として加賀に害を及ぼすなら たとえ非道と言われようと
 お前の本心からでなかろうと俺は あの小さな国を守るためなら お前を切る」

――この人は守る人だ 優しいのに 優しいから 自分の体と心を切り裂きながら
「大丈夫よヒロミちゃんはちゃんとやれるわ、だからもういいの」
言いながら千沙を一清を抱きしめた。一清は刀を納める。
浩美は、背を向けて歩き出した一清に小刀を向けるが、千沙が振り向いたので咄嗟に隠す。
「ヒロミちゃん頑張ってね」笑顔で千沙は言う。二人が立ち去った後、妙香尼は起きあがって言う。
今回の事は加賀を潰すためなどではなく、ただあの姫が欲しかっただけだろう、と。
図星を刺され赤面する浩美。「昔の…私の浩美の顔だ。お前まだ自分が15って事忘れていただろう」
母の教えを守り続け、好きな人の輿入れの時さえも何も言えずにいた事が苦しかった。
――力が欲しかった。誰よりも大きな力が。そうすれば今度こそ手に入るような気がした。

千沙は一清に問う。もしも本当に千沙か国かを選ぶ事になったらどうするかと。
一清は何も言わず困ったような顔をした後うつむいた。それだけで千沙は良かった。
これは聞いてはいけない事。でも迷ってくれてありがとう。

それから。相変わらず一清と千沙はかみ合っておらず、
一清は贈り物として孫子の兵法書を千沙にあげたりする。
しかし千沙の「実家に帰ります!」は「部屋に入ってますからしばらく来ないで!」に変わった。
「これから姫さまたちどうなるかなあ」つぶやくきえこにかえこは言う。
「お伽話の決り文句よ。――そうして二人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしました」

42 :マロン名無しさん :2005/12/19(月) 23:49:27 ID:???
いい話だー
ヒロミ最悪だと思ったけど結構泣けた
まあ千沙は諦めるしかないけど頑張ってかーいい嫁さん探せ

43 :マロン名無しさん :2005/12/20(火) 07:07:27 ID:???
浩美にはまだ15なのだと言ってくれる母親がいる。
きっと大丈夫だろうね。

それより主役二人の行く末に不穏なものがあるのが
気になって仕方ない。

44 :マロン名無しさん :2005/12/20(火) 20:19:17 ID:???
国か千沙か選ぶ展開キボンヌ

45 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 01:48:40 ID:???
武家の娘ってどう育てられるんだろう?
良妻賢母?ただの箱入り娘?
馬は乗れるんだよね?
でもいくら何でも飛び降りはこわいよな…


46 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 08:25:25 ID:???
浩美チャン切ない(つд`)゚*.。゚
戦国時代だと早く大人にならなきゃいけなかったんだね。

47 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 10:42:40 ID:???
>>45
ただの箱入りだと思われる。
馬に乗ってる時も双子か一清かがついてるし、
一人じゃ乗れなさそう

48 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 11:40:03 ID:???
君主の正妻を「お呑気姫」って言えるふえってなんかすごいな…。しかも一清本人に言ってるし。
千沙の実家ってどんなんなんだろうね?
千沙が無事に帰ったら加賀に援軍出さなそうだったり、近隣の国から養子として子どもを人質にとったりしてるんでしょ?
千沙ってそういや兄弟いるのかな?

49 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 12:08:06 ID:???
>48
直系男子がなかったから近隣国人・豪族から証人(質)の男子を取っていた・・ハズ


豊臣秀吉の養子になってた宇喜多「秀」家とか松平(結城)「秀」康がリアルの例ね
庇護を求めたい中小の国人領主は、むしろすすんで息子を質に出した家もあるかも
(本人は憤懣やる方なかったり、親の弱腰をなじったりしていたかもしれないけど)


50 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 15:14:37 ID:???
もしやとは思っていたが一清おまえかなりの


萌えキャラだな。

51 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 17:36:30 ID:???
一清、兄がいたならなんで名前に一の字がはいってるんだろう

52 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 17:51:27 ID:???
兄の名前には零の字が入ってたんだよ

53 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 18:19:58 ID:???
入ってねーよwww

54 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 18:43:46 ID:???
かずきよ じゃなくて いちきよ なんだな。
今頃飢餓付いた。

55 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 20:06:24 ID:???
> それに一清様、姫君からの手紙を読む時だけは若者らしい表情をされるの。

一清かわいいよ一清

56 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 20:30:48 ID:???
あれ?ヒロミちゃんもヒロミママも案外いい人。

57 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 20:35:43 ID:???
しかし贈り物に孫子て。
天然同士のカプールだな。
ラブラブな図を見る日はくるんだろうか。

58 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 21:28:57 ID:???
この姫が奥方として母として暮らしていく姿が
どうしても想像つかないんだが。

59 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 21:50:33 ID:???
小学生の恋愛ごっこを見てる気分になるからかな…。
そういや結婚してるん…だよね??

60 :加賀家の一日 :2005/12/21(水) 22:47:08 ID:???
単行本「そうしてお伽話になる」の巻末書き下ろし


これはまだ加賀家が健在だった頃。

暴れん坊な一清に対し、兄の一和は学問を愛する物静かな少年だ。
彼は鉱山頭・勘兵衛の娘のふえに密かに恋心を抱いていた。
本からふと目を外し、ふえが来ていた事に気づく一和。
『天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ をとめの姿 しばしとどめむ』
そんな句を思い浮かべながらふえに見惚れる。
そこへ泥だらけの一清が走ってきた。「ふえっその子つかまえて!」
一清たちの母・苗の方に頼まれて一清を抱きしめて捕まえるふえ。
一清…お前うらやましいぞっ∴齪aは心の中で叫ぶ。
泥だらけなのは、友人の鮎太と一緒に川に行っていたせいらしい。
一清は苗の方に風呂まで強制連行されて行った。

そこでふえが一和の方を見た。どきどきするが、ふえが口に出したのは一清のこと。
一清はふえときのこを取りに行く約束をしていたのに鮎太の所へ行ってしまった。
すぐに自分との約束を忘れる、自分といても一清は楽しくないのだろうかと ふえは言う。
「大丈夫。あれはまだ子供だから目先の事に気を取られるだけだよ」
一和は優しくふえに言った。

一清は風呂から上がった。そこへ、二人の父の和清がやって来た。
「ところで一清は誰が好きかな?」ぶっ飛ぶ一和。一清はみんなが好きだと言う。
「そうか世界はまだお前のものなんだな。
 世界はな、特別なものや特別な人ができたとたん
 自分のものではないことに気づくんだ」
和清は一和を見て「でも気づいてからの方が楽しいぞ」と言って笑った。

その日の夕食。一清はきのこが嫌いだといっては一和の皿にぽいぽい捨てる。
嫌がる一和だが「ふえが持ってきてくれた」との母の言葉に俄然食べる気になった。
「今日だけだからなっ」と言いつつ、父の言葉がわかったような気がする一和だった。

61 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 23:10:03 ID:???
斬首された人だと思って読むと切ない

62 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 23:34:07 ID:???
>  世界はな、特別なものや特別な人ができたとたん
>  自分のものではないことに気づくんだ

おい親父、なんかカコイイぞ

63 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 23:35:27 ID:???
ふえさんは一清狙いかしら。
一清ガキとはいえ色恋に興味まるでなさそうだな。そしてそのまま大人に・・・

64 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 23:36:18 ID:???
ふえは一清が好きなのだろうか?
だとしたらお兄ちゃんさらに切ないな・・・


65 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 23:38:24 ID:???
一和さま、イイ!
萌えました。
この一家の結末を知ってると切ないんだけどね…

66 :マロン名無しさん :2005/12/21(水) 23:55:05 ID:???
そうだよね、この一家斬首されちゃったんだよね。
悲しいなぁ。お母さんもお父さんも優しそう。
お兄ちゃんは「いい人」で終わりそうw
てか、よく一清様生き残れたなぁ。


67 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 00:34:18 ID:???
ロリふえハアハア
髪下ろした方がかわいいよ

68 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 02:29:55 ID:???
お兄ちゃん性格いいなー
これで片思いのままで殺されてってのはテラカワイソス

69 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 03:06:16 ID:???
>よく一清様生き残れたなぁ。

それちょっと思った。敵方だって顔はともかく(写真もない時代だし)家族構成ぐらい
把握してそうなもんだけど。まだ子供で公の場に出てないから、知られてなかったのかな

それはともかく、お兄ちゃんかわいいよお兄ちゃん

70 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 05:26:17 ID:???
>>67
確かにふえ、髪おろしたほうがカワイイね。美人だからもっと出張ってほしいw
一和 → ふえ → 一清 ←→ 千沙 (←浩美)だったのかな?
ほのぼのしてるっぽいのに実はドロドロ!?

71 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 10:05:27 ID:???
うわそれドロドロだなあ・・・
に見えないのが魅力なんだろうけど、この作者の作品は。

72 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 10:17:20 ID:???
一清兄弟と千紗がまぶしすぎるせいだろう。
汚れた心にしみ込んで痛いよママン。

73 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 11:04:57 ID:???
少年漫画みたいに実は兄は生きてて悪の組織のリーダーになるという展開コイ!

74 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 12:01:58 ID:???
それなんてラオウ?

75 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 14:06:19 ID:???
重大なことに気が付いた。なんか気に入ってしまってて当たり前のように続きを待っていたけど続きあるのか?これ…。
きれいに終わってるし。

76 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 14:11:45 ID:???
たしかに…。
膨らませようと思えばお実家や兄さんやふえとの三角関係でまだいけそうだが。

77 :マロン名無しさん :2005/12/22(木) 17:32:04 ID:???
ロリふえをもっと出してくれなきゃ死ねない

78 : :2005/12/22(木) 18:28:05 ID:???
一和?

79 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 00:16:43 ID:???
次男なら清二ってつけるべき

80 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 01:41:38 ID:???
いやー二清じゃね?ふたきよ。

81 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 21:58:44 ID:???
ふたきよってなんか可愛いな

82 :わがまま姫の反乱 前編 1/2 :2005/12/23(金) 22:33:07 ID:???
千沙が一清のもとへ嫁いで数ヶ月。そろそろ加賀での千沙の評判も決まってきた。
『安住のわがまま姫』人々はそう呼ぶようになった。それが千沙にとっては不満だ。
里に鉱山の者たちが下りてきた。その中には少女の姿もある。菊という名だ。
地脈師だった吉佐の養い子だという。菊に関心を示す行商人の男。
「地脈師?あの子が?養い子ってことはどこからかもらわれてきたのかい?」
こんなに細い腕で鉱山でよく働けるねと言いながら、男の目が光っていた。

地脈師は鉱山で岩盤の具合や地形から鉱脈の位置と掘削の方向を決める大事な仕事。
しかし千沙にとってそれはどうでもよくて、一清が菊と親しい様子である事の方が気にかかる。
「あの子は私の子なんです」一清の言葉に衝撃を受けひっくり返る千沙。
ふえが説明する。15年ほど前、一清が吉佐という男と共に赤子の菊を拾ったのだという。
見つけたのは私だから私の子です、というわけだ。

赤子のそばには、身なりの良い母親と思われる女性の亡骸があった。
妻子を亡くしている吉佐は赤子を育てたいと言った。
「わしらの仕事は秘密が多いだけに人との交流が少ないです。
 家族がないという事はどんなに孤独かおわかりですか?」
しかし、勘兵衛は反対した。吉佐のそばで育つという事はその技術を知るという事だ。
赤子は一人で産まれてきたわけではない。父母血縁者、その全てが敵か味方かはわからないのだ。
幼い一清は、吉佐が可哀相だ育てさせてあげてよと勘兵衛に訴えた。
「覚えておきなさい。生かす命とその為に奪う命があるという事。
 それを決めるのが加賀さま≠ナす。いいでしょう。あなたがお決めなさい」
泣き喚く赤ん坊を前に、あの子を助けてあげてと一清は言った。
「それは加賀さま≠ニしてですね? いいでしょうわかりました。その子は今日から吉佐の養い子です」
加賀さま≠ヘ兄上がなるんだよ、一清のその言葉に勘兵衛は悲しげに笑うだけだった。
赤子の腕には菊かゼニゴケのようなアザがあった。
「菊ちゃんかゼニゴケちゃん」赤子は菊と名づけられた。

83 :わがまま姫の反乱 前編 2/2 :2005/12/23(金) 22:36:04 ID:???
菊に話しかけた行商人の男――大谷は安住に情報を売りつけに行っていた。
15年前に安住は榊という一族と戦をした。赤子の姫一人を逃がしたままになっている。
「その姫が加賀で地脈師として生きていたら?」その証こそ花のようなアザ。
安住は一清のもとへ出向き、榊の残党を抑えるためにも一族の生き残りである菊を出せと迫る。
15年も前の戦に残党がいるはずもないのに。安住が実質的に欲しがっているのは地脈師である菊だ。
鉱山の技術の秘密を知ってしまえば、もう婚姻による同盟も必要ではない。汚い手だと憤る一清。
「その方の娘があなたの妻ですわ。いいのですか?あの姫で」ふえは問う。一清は答えない。

行商人に扮した大谷に既に確認されている。身代わりも無理だ。
菊を殺しその死体を渡すしかない。非情であるが、秘密を守るため皆もその意見に同意した。

――一清さまあなたは疑いがなさすぎます

かつて勘兵衛はそう言った。そうだ、あの時もっと疑っていれば菊は死なずにすんだ…
「菊ごめんな」悲しく謝る一清。菊はふえから黙って毒を受けとる。
「だ…だめよそんなの!菊ちゃんなにも悪い事してないのに!
 秘密だか何だか知らないけど、菊ちゃんより大切なわけないでしょ!?」
千沙の声に穏やかな一清が声を荒げ「あなたはなにもわかっていない」と怒鳴る。
「どおしてそんなに心を曲げなきゃいけないの?……みんな嫌い!出てって!」
泣き怒る千沙。千沙と菊を残しみんな一旦部屋を出て行く事にした。
菊は、仕方のない事だから死んでもいい、みんなに迷惑をかけてはいけないと言う。
「菊ちゃん一清さま好き?」どーしてわかるんですかと菊は露骨に反応する。
「じゃあなおさら死んじゃだめね。いいんだよ菊ちゃんわがままで。わがままで行こうよ」

翌朝一清がその部屋に入ると、そこはもぬけの殻だった。ただ手紙が残されていた。

『一清さま 千沙はかわいそうだから 菊ちゃんをつれて逃げます』

84 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 23:03:23 ID:???
こんなところで「続く」かいorz
どこに逃げたんだ…逃げてどうする気だ…

ていうかゼニゴケ…

85 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 23:16:19 ID:???
ちょっwwwww千沙wxwwwww

86 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 23:22:25 ID:???
取調べワロスw

87 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 23:25:52 ID:???
> 穏やかな一清が声を荒げ「あなたはなにもわかっていない」と怒鳴る。

これが上に立つ者の使命、てか。
つらいのー

88 :マロン名無しさん :2005/12/23(金) 23:27:56 ID:???
疑うこともしなさいと言われそうなろうと必死の一清に対して
疑うことなど考えずにまっすぐ突っ走る千沙。
それをわがままといえばまあわがままなんだが、それもカワユス。

89 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 00:11:38 ID:???
重くて暗いストーリーと能天気な主人公の対比がいい感じ
千沙タントーヘンボクなクセにオプティミストな一清サマを救ってやってくれ

90 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 01:34:31 ID:???
おー部屋に閉じこもって篭城作戦か

と思いきやカタコトみたいな置き手紙残して逃げちゃったよキタコレ。
なんの解決にもならないんじゃないかw

91 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 06:12:48 ID:???
確かに千沙の文章能力を疑うなw

92 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 08:24:49 ID:???
菊と千沙は同じくらいの年齢かな

93 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 09:11:01 ID:???
菊はまだ子供と思ったけど。
精神年齢は千紗のほうが(ry

94 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 15:17:39 ID:???
千沙の親父けっこう黒いなぁ…。
頑張れ一清!

95 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 16:00:30 ID:???
>加賀さま≠ヘ兄上がなるんだよ、一清のその言葉に勘兵衛は悲しげに笑うだけだった。

お兄ちゃん切ないよ・・・
多分、一清の方を跡取りにって思ってたんよなあ周りは

96 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 16:33:46 ID:???
かえことかえこは何歳ぐらいだろ。千沙よりやや背が低いから年下?

97 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 17:57:34 ID:???
ちょっwwwwwかえこときえこだおwwwwwwwww

98 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 18:05:45 ID:???
もののけの域に入ってきたなw<かえことかえこ

99 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 18:21:49 ID:???
かえこたちはせっかく双子なんだし入れ替わりネタやってほしい

100 :マロン名無しさん :2005/12/24(土) 22:07:16 ID:???
なにげにかえこときえこに萌えてる俺ガイル

101 :わがまま姫の反乱 後編 1/2 :2005/12/25(日) 22:46:44 ID:???
千沙は菊を連れふえのもとへ行った。知ってる人の中で一番しっかりしてるのはふえだからだ。
一清は辛そうな顔をしてくれた、それだけで自分はもういいですと尚も菊は言う。
「ばかねっ菊ちゃん死んじゃったらホントに辛いじゃない。そんなの一清さまかわいそうでしょ!」
呆れつつも仕方がないからとふえは協力する。下条との境目にある廃寺に姿を隠せと言う。
「菊 あれはまだ持ってるわね。情勢がどう転ぶかわからないわ。
 最悪の場合どうするかわかってるわね?」あれとは毒の事だ。

千沙が菊を連れ出した事を『菊を殺すと知って安住に連れて行ったのではないか』と
疑われ加賀内で不信感が広まる恐れがある。一清はその事を危惧していたが、
「困りましたね〜姫のわがままにも。菊に同情する気持ちもわかるけど」
とただのわがままで済まされていた。ずっこける一清。そこへ安住が現れる。
安住こそ信じはしないだろう。説明すると、供に控えていた大谷は一清を嘲笑った。
「高貴な姫君が? たかがその程度の同情で逃走? 父親も夫まで裏切って?
 ばかばかしい。我々に背くにももっと聡い手で来るものかと思っていましたがね」
しかし安住の反応は違った。「大谷 お前は知らぬだろうがあの娘はやるんだよ!こーゆー事を!」
地団太を踏む安住。あの権力者である安住を悔しがらせるとは実は千沙はすごい人なのかと一清は思う。
加賀の領内は一清が、他国は安住が探索する事となった。

安住は千沙が単独で菊と逃げ出したと認めた。菊を助けるための突破口となるかもしれない。
姫が菊を連れ出してくれて良かった、早まらなくて良かったと皆は口々に言う。
ふえは千沙が自分のもとに来ていた事を告げる。
「一清さまの気持ちを一番わかってたのは千沙さまって事かしら。
 千沙さまは一清さまがかわいそうだから菊を助けるんだそうですよ」
残された手紙は『千沙は一清さまがかわいそうだから 菊ちゃんを連れて逃げます』という意味だった。

ふえが教えた廃寺は前の戦で焼けており、白骨死体がごろごろ転がっている状態だ。
猪突猛進の千沙に『戻る』という選択は無いだろう。おそらくは山頂を目指す。
そこには滝がある。千沙たちが滝につくのは恐らく日没ごろ。
「よし。菊には観客たちの前で飛び降り自殺でもしてもらおうか」

102 :わがまま姫の反乱 後編 2/2 :2005/12/25(日) 22:49:12 ID:???
滝の頂上に千沙たちが来て、安住の援軍も着いた頃、菊に飛び降りてもらう。
それを下に待機した一清が受けとめるのだ。夕暮れの暗さで本当に落ちたかどうかは安住たちにはわからない。

――わがままに 我がままに生きる事 いつの間にやめてしまったんだろう
ふと一清は思う。しかし後悔はしていない。ただ、千沙を見ていると
空も土もなにもかもが澄みきっていた幼い頃を思い出させられるだけだ。
――怖がらなくてもいい菊 必ず受けとめてやるから もう死んで欲しいなんて言わないから

夕刻。頂上に着いた千沙たち、追いついた安住とふえたち、下に隠れる一清。
「そっかあ…最悪の時ってやつなんですねこれが」菊は毒を飲もうとする。
それを止めた千沙は、下に一清がいる事に気づく。しかし、菊は怖がって飛び降りない。
「いい? 菊ちゃんは千沙よ」千沙は自分の着物を菊に羽織らせ、菊のかわりに飛び降りた。
大谷は勘付き、菊に近づき確認しようとする。「無礼者!下がれ」
とっさに菊はそう言い大谷をはらった。高貴好きな大谷ははらわれた手を見て頬を染めた。

一清は無事に千沙を受けとめた。恐怖で号泣している千沙に一清は言う。
「…よくやってくれました ありがとう」
この姫でいいのですか? ふえの言葉を思い出す
――この姫でいいのです この姫がいいのです

お前のせいで菊は死んだのだと安住に言われ、千沙は嘘泣きする。
真に受け慰めようと手を伸ばした大谷は「ばかーすけべーっさわんないでよっ!!」と千沙にポカポカ叩かれた。
「無礼者!」と言いながら手を払う高貴な千沙(菊)にときめいていた大谷はショックを受けた。
その上、菊が死んだという事にされたので、その情報で雇われた大谷は安住に首にされてしまった。
(次はもっと高貴なところに仕えてやる〜〜〜っ)
菊の生死は安住も疑っていたが、今回は引くしかないようだ。

前よりやや仲良しになった千沙と一清。
以前は千沙が一方的に喋り、一清が相槌を打つだけの取調べのような会話だったが、
理想の会話が出来るようになったと千沙は喜ぶ。そんな二人を見て民人が言う。
「あれが安住のわがまま姫かい?」
「いいや、加賀のわがまま姫さ」

103 :マロン名無しさん :2005/12/25(日) 22:51:14 ID:???
> 千沙は菊を連れふえのもとへ行った

のっけからかましてくれるなw

104 :マロン名無しさん :2005/12/25(日) 22:52:10 ID:???
> 残された手紙は『千沙は一清さまがかわいそうだから 菊ちゃんを連れて逃げます』という意味だった。

ちょwwwwwそうだったのかwww
千沙よ下手な日本語だと笑ってすまんかった

105 :マロン名無しさん :2005/12/25(日) 22:54:49 ID:???
> 「ばかーすけべーっさわんないでよっ!!」と千沙にポカポカ叩かれた。

なんだこの菊との違いは・・・orz
大谷乙。

106 :マロン名無しさん :2005/12/25(日) 23:06:41 ID:???
大谷さんはもっかい出てくるんだろうか

>>100
いや むしろ萌えるべき

107 :マロン名無しさん :2005/12/25(日) 23:10:56 ID:???
おーこの話好きだなあ。
一清が忘れようとしていたまっすぐさを千沙は当たり前に主張してて。

108 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 00:04:12 ID:???
> 千沙は嘘泣きする。

何気にこういうの、バレバレなんだろうなw
安住はなぜ千紗を一清の元への輿入れを決めた(許した?)か
ふと思ってしまった。加賀は(というより一清?)は
もとから一目置かれていたか。

109 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 00:12:11 ID:???
金が取れるからじゃまいか?
特殊な技術がないと取れないなら、侵略するより手を組んだ方が楽。

大谷さんまた出てくるのかなー

110 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 02:16:44 ID:???
>108

ちなみに領内や周辺の事情・地形に無駄に詳しい(お忍び?野歩きが趣味)せいで
加賀や安住や近隣で戦したら少勢ながらあなどれないのが加賀勢・・と一清。

安住の大殿は大事な一姫(長女)の娘婿として囲っておきたいぐらい
その潜在力を買ってるワケで。
##織田信長と浅井長政(妹婿)くらいの関係だから、
 今後下手うって決裂したら浅井・朝倉の末路ばりに悲惨なことになりそうだ

111 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 09:21:45 ID:???
本当に菊は榊の姫だったのかな

112 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 10:00:44 ID:???
わがままに、われがままに生きること
幼いうちから一国を背負ってきた一清には難しかったんだろうなぁ。
千沙と会えてよかったね。
感動したよ

113 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 14:10:16 ID:???
ゲジ眉たれ目なのになぜか大谷がかっこよく見える

114 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 18:11:17 ID:???
一清も大谷も割と普通にまともな反応してるはずなのに周りからの浮きっぷりは何だw

115 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 19:03:05 ID:X5p1dXI4
ふえかわいいよふえ

116 :マロン名無しさん :2005/12/26(月) 23:08:19 ID:???
加賀の人々の訛りがなくなってるっていう…ゴホンゴホン
てかよく一清様キャッチできたなぁ。あの場所すごいぞ。



117 :マロン名無しさん :2005/12/27(火) 00:37:41 ID:???
あそこから千沙が落下してきたら、体重の何十倍もの重力がかかって
いくら千沙が軽いかもしれないと言っても
一清の体重+千沙の体重+落下の際にかかる重力で
尋常じゃない程崩れ落ちて一緒に落下の運命を辿る気がする。

118 :マロン名無しさん :2005/12/27(火) 02:15:13 ID:???
>>116>>117
それは言わない約束だろう。

今回も扉絵キレイだな。千沙より大人っぽくみえるけど。
大谷さんは今後出番あるんだろうか…。
いらないことしたけどかわいそうだよあの人。

119 :マロン名無しさん :2005/12/27(火) 18:32:27 ID:???
大谷さん頭良さそうだしゲジ眉だしまたでてほしい。

120 :お伽話がはじまる 前編 1/2 :2005/12/27(火) 22:23:30 ID:???
一清の父母と一和の墓の側には、それらと比べるとだいぶ小さな墓がある。
誰のものかと千沙は聞く。「……鮎太。鮎太の墓です」


時は遡り、加賀一家が健在だった頃。その日、安住は和清のもとへ来ていた。
「一和殿が加賀を継ぐ頃には仇敵 鷲尾の領地は全て儂のものよ。まあ見ていてくだされ」
そこへ一清が駆けてくる。客人の前だぞと一和に怒られながら一清は、
木の上に間者がいる事を指摘した。安住が即座に殺した。
一清は、自分と同じぐらいの年の子供が迷い込んできた事を知らせるために来たという。
子連れなら怪しまれずに入れるだろうと、間者が戦で焼け出された子供を引っ張ってきたようだ。
一清は傷だらけの少年の手当てをすると、名を訊ねた。「…鮎太」
安住は瞬時に間者の存在に気づいた一清を気に入り、千沙と娶わせると言った。

数年後。加賀では特産品の金を狙った盗賊が出没していた。
立ち向かう一和と護衛たち、しかし分が悪い。一和は死ぬぐらいなら引こうとあっさり言う。
そこへ、一清率いる少年集団が現れ投石で盗賊を退散させた。
その中には鮎太の姿もある。鮎太はすっかり一清の一番の友達となり、一清を『一』と呼ぶ。
「やったね鮎太ぁっ」手を叩き合う一清と鮎太。鮎太は左手を出した。
この一件で一和に悪評が立ってしまった。

「ふえ 幼なじみとしてではなく でっできたら一生俺のそばに…」
一和は真剣にふえに求婚するが、ふえはニコニコ笑顔で言う。
「ふえみたいな家臣の娘に手を出さなくても、一和様なら立派な国のお姫様がいっぱいお嫁にきてくれますよっ」
ふと気づくと、そのふられ現場を草葉の影から一清たちが見ていた。
ふえは立ち去り、一和の前から姿を消した後に、赤面した。
だめよ身分差を考えないと、と自分に言い聞かせた。
兄上ふられたの?と無邪気に聞いてくる一清。
お前みたいによく知りもしない決められた相手と結婚なんてしない、結婚相手は自分で決めると一和は言う。
よく知ってるよ、と一清は千沙の近況を異常な詳しさで語る。千沙は最近手習いをはじめたらしく、
日記同然の長文の手紙を頻繁に送ってくるのだ。
お前には身内以外で好きな人はいるかと訊ねられ、一清は鮎太の名を挙げた。

121 :お伽話がはじまる 前編 2/2 :2005/12/27(火) 22:26:23 ID:???
一清の親友とはいえ、身元不明のよそ者である鮎太への風当たりはなにかと厳しかった。
しかし一清はそんな事をまったく気にせず鮎太と仲良くしていた。
鮎太が言った訳でもないのに、鮎太が左利きである事も知っている。
金の輸送路は毎回変えているのに賊は必ず待ち伏せている。内通者がいるのだ。
よそ者の鮎太に疑いがかかった。一和は補佐に選ばれたふえと共に鮎太を監視する。
「鮎太はよっぽど一清が好きなんだな。顔をみればわかる。
 あの子は加賀を裏切ることはあっても一清を裏切ることはないだろうね」
加賀を裏切るという事は一清を裏切る事だと怒るふえ。一和は微笑む。
「国の為に働いている人間なんかめったにいないさ。
 戦場の兵たちだって国のために死んでいく者なんていない。
 その国に住む大切な人たちのために死んでいくんだ」
ふえは、一番国のために働くはずのお世継ぎの台詞じゃありませんわねと言う。
「だから俺は国のためなんかで自分の妻を決める気は…」
再度プロポーズに挑戦する一和。あたふたとしながらふえは話を変えた。

鮎太が裏切っているのではと言う噂は少年たちにも広まった。
前から一清に馴れ馴れしい鮎太に反感を持っていた少年たちは、口々に糾弾する。
「今回は鮎太抜きでいく。それでいい?」仕方なくそう言った一清を鮎太は悲しそうに見た。
実は今回一清に預けられた輸送図は偽物。そこに賊が現れたら犯人だというわけだ。
しかし鮎太は偽の輸送図を見ずに出て行ってしまった。とりあえず、一清たちには騙されてもらう。
偽の輸送路に賊が出たら鮎太は無実。
本物に賊が出たら別の人間が犯人か、鮎太が別のところから情報を得た事になる。

偽の輸送路に待ち伏せる一清たち。今回の荷は多いはずなのに何故こんな細い道なんだ…?
騙された事に気づき、本物の輸送路の場所に検討をつけ走り出す。案の定、荷とそれを奪おうとする盗賊たちがいた。
加勢する一清。その時、草の中に鮎太が隠れている事に気づいた。どうしてここに鮎太が…?
一清が油断した隙に賊は刀を向ける。鮎太は一清をかばい腕を負傷した

122 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 03:24:08 ID:???
一和は自分が言ったように好きな人を守るために死んでいったのか…

123 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 03:54:55 ID:???
あれ?お兄ちゃん実は両想いだったのか。
ふえはてっきり一清かと思ってたけどポーカーフェイスで隠してたのね。セツナス。

124 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 11:21:04 ID:???
兄ちゃんセツナス!
今回は話が重いなあ。
鮎太の墓があるってことは…orz

一清は兄ちゃんが亡くなってなかったら
安住の婿養子になる予定だったんだろうか?

125 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 11:37:19 ID:???
鮎太ってなんか聞いた覚えがあると思ったら川に遊びに行ってた子か

126 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 16:55:34 ID:???
清&鮎太がどうなるのかも気になる…んだけど、
それよりもっと和&ふえがどうなるのかが気になる!!
兄ちゃん両思いだったのか…。
嬉しいけど悲しいなあ。死亡がフラグどころか確定だし。
一回くらいは結ばれたんだろうか…。

127 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 18:32:56 ID:???
なんかその書き方だと鮎太と一清も恋愛関係にあるみたいに見えるwww

128 :マロン名無しさん :2005/12/28(水) 20:13:56 ID:???
>>127
Σ(゚Д゚;)ソ…ソンナ

そういやふえ以外に加賀の女の子はからんでこないなぁ。

129 :マロン名無しさん :2005/12/29(木) 12:59:17 ID:iDLE5GB8
この頃にはもう菊いるはずだが出ないかなー

130 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 01:15:08 ID:???
菊ちゃんは爺ちゃんに背負われて穴の中…… かな?

千沙の近況の手紙ワロス。
一清さま返事書くのは苦手なのに、読むだけなら面白かったのかな。

131 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 02:04:56 ID:???
異様な詳しさだから面白かったかもなw
しかし色気づいてなかったとはいえ
親の決めた顔も知らん奴なんて!とか思わない素直な一清かわいいよ一清

132 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 02:09:28 ID:???
> 安住は瞬時に間者の存在に気づいた一清を気に入り、千沙と娶わせると言った。

安住て利用しようと思って一清んとこに千沙をやったのかと思ってたけど
一清の賢さを気に入ったっぽい表情だよね。
だったらもっとかわいがればいいのにと思うけど、面白がって意地悪してんのかな。

133 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 08:07:49 ID:???
安住ツンデレ説

ごめん言って見ただけ。
マジレスするとどっちもだと思う

134 :お伽話がはじまる 後編 1/3 :2005/12/30(金) 22:46:36 ID:???
正しい輸送路を知っていた鮎太。自分をかばって怪我をした鮎太。
鮎太の真意がわからない。みんなの言うように間者なのか、仲間なのか。
一和は言う。鮎太を好きなら鮎太を信じてやれ、と。
「今回鮎太を仲間から外したの、一番当然の方法だと思った。でも…すごく心臓が痛かったんだ」
一清は流した涙をふくと、一和にそう言った。
「その気持ち大切にするんだ。国の為とか大義名分でする事はとても壊れやすい。
 誰かの為 大切な人の為 それが一番強い。俺はいつもそう思ってるよ」
一清が去った後、現れたふえは自分の立場を考えて発言して下さいと呆れたように言った。
「いいじゃないか。鮎太を疑うのはこっちの役目。一清にその義務はないんだから」
こういうところが後継ぎに向かないと言われるが、そこが一和のいいところでもある。
ふえはそう力説したいが、言葉を飲み込んだ。

鮎太を問いただそうとする勘兵衛。鮎太は怪我人だから今はだめだと一清は止める。
「治ったら聞いてもいいけど、鮎太は絶対に悪い事してないからねっ」
襖越しに鮎太はその言葉を黙って聞いていた。
夜中、部屋を抜け出す鮎太。一緒に寝ていた一清は後を追う。
引き続き監視をしていた一和とふえもこっそりついていく。
「最近疑われてんだ。あんまり報告できなくなるぜ」着いた先で、鮎太は男にそう言っていた。
5年前、安住が殺した間者は鮎太とグルだった。その死に鮎太は顔色一つ変えはしなかったが。
「盗賊騒ぎで加賀の注意をそっちに集める事ができた。
 おかげで見ろよ、ここまで軍が迫ってる事に誰も気づいちゃいない」
鮎太は金を奪うだけだと聞いていたが、軍は加賀一家を皆殺しにする気だという。
報告をしに引き返す一和とふえ。男は鮎太と手を叩き合う。
「ひねくれて左手出すなよ」男が去った後、俺は左利きなんだよと鮎太はつぶやく。
そこへ一清は姿を現した。責めもせず、無言で自分を見つめる一清に鮎太は叫ぶ。
「…あの日突然攻めてきたんだ 安住が。父ちゃんも母ちゃんも弟も妹も
 じっちゃんもおばちゃんも松吾も三太も犬も家畜も みんな死んじまったさっ
 そうだよ安住も…安住に味方する加賀も俺は大っ嫌いなんだよ」
鮎太の胸倉を掴み「裏切り者」と叫ぶと一清は戻って行った。
「…でも一は気に入ってたんだけどなあ」

135 :お伽話がはじまる 後編 2/3 :2005/12/30(金) 22:47:11 ID:???
すぐに皆は戦の準備をはじめる。鎧を纏った一和は和清に提案する。
「万が一を考え一清は農民の姿をさせ逃がしましょう。敵は我々を皆殺しにする気です。
 ここは一人だけでも血を残すべきです。私よりもあれが残った方が必ず国の為になりましょう」
苗に一清の支度をさせるよう和清は言った。
「一和私が言う前に言ったな。父の口から言わせない為か?」
その問いに一和は変わらない穏やかな微笑を浮かべるだけだった。その会話をふえは聞いていた。
ふえは一和を木の陰に連れ、泣きながら怒鳴った。
「一和さまはずるいっ!
 国の為は嫌いだとおっしゃったくせに
 こんな時だけは信条を変えないで下さい!」
「いいや。俺は弱虫のままだよ。国を守る為ならあんな事は言えないし、戦にだって怖くて行けないさ。
 でも、ふえ お前を守る為なら誰よりも強い武将になれそうな気がするよ」
ふえは涙をこぼしながらも言う。「わかりました。もう ふえは一和さまの信条に異を唱えません」
二人はくちづけを交わした。

「いいか! 加賀和清と妻それに二人の息子! 何としても首を取るんだ!」
逃げ惑う民人。一和の隣に並んだ和清は言う。
「これだけは言っておく。父はお前以外に後を譲るなど一度も考えた事はなかったからな」
そこに、逃げたはずの鮎太が現れた。一清の着物を俺に貸せと鮎太は言う。
「死体の数そろわなきゃあいつらずっと一を探す。俺なら年も背格好も似てるはず」
顔は知られていない。唯一知ってる男も今頃は逃げている。
いいんだな? と確認する一和に鮎太は笑顔を見せた。

農民に扮した一清と、ふえ。二人を含む民人は加賀一家の首を見せつけられる。
嫌がる一清。「しっかりして下さい。ここで正体がばれたらなんの為に…」
そう言って、もがく一清を抱き抑えながら、ふえは涙をこぼしていた。
一清は目を疑った。自分の首があるべき場所に、自分を裏切ったはずの鮎太の首があったのだ。

――あの子は加賀を裏切ることはあっても 一清を裏切ることはないだろうね

136 :お伽話がはじまる 後編 3/3 :2005/12/30(金) 22:48:42 ID:???
やがて安住の援軍が来た。安住は言った。
「これからこの国がどうなるか見せてもらおう」
安住から千沙の手紙を渡される。
戦の事を知らない千沙の手紙は呑気で、安住の浮気騒動について書かれていた。
テキパキと支持する一清を民人たちはしっかりされた方だと口々に言う。
「あの方が残ってくれて良かったよ」
だが一人の時は泣き続けていた。

自分を助けた鮎太に最後に言った言葉は「裏切り者」。
もっと一生懸命最後まで信じれば良かったと一清は後悔する。
元はと言えば鮎太の国を攻めた安住が悪い。千沙からの手紙を一清は投げつける。
だが、これでは安住への恨みを加賀に向けた鮎太と変わりない。手紙を拾う。。
あまりにも平和なほのぼのとした千沙の近況報告に一清は笑みをこぼしながら読み進める。

『結局お母さまはお父さまの浮気を許してしまいました。
 でも千沙はその時のお母さまの顔を見て二人は信頼しあってるんだなぁと思いました。
 千沙もお嫁に行ったらあんな夫婦になりたいです。信頼しあえる夫婦になりたいです』
一清はまだ見ぬ千沙に向かい思った。

――信じよう この姫だけは信じよう。
   たくさんの疑心 たくさんの不安 たくさんのすれ違い
   なにがあってもどんな事になっても 今度こそ 信じつづけよう
   そうすればきっといつか よかったと 思える日がくる


一清の長い沈黙に、聞いてはいけない事だった?もしや鮎太って名前の女の人?と悩む千沙。
「一清さまっ千沙は一清さまを信じてますから どーんと言っちゃって下さい!」
妙に気負った千沙の態度に笑いながら一清は言う。
「鮎太というのはね 私の親友の名前です」


137 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 22:51:45 ID:???
いやいやいや、鮎太って名前で女は無理だろ、落ち着け。

138 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 23:01:44 ID:???
今までがほのぼのしてただけに、今回は重いな…

一清に千沙がいて良かった、本当に

139 :マロン名無しさん :2005/12/30(金) 23:10:45 ID:???
村人たちにてきぱき指示するシーンに今よりやや髪が短い菊がさりげなくいたね。

てゆーか一和は童貞だったのか
キスできただけでも幸せだと思うべきか?

140 :マロン名無しさん :2005/12/31(土) 00:07:24 ID:???
鮎太も一清もふえも一和もみんな重いもんしょってんだな・・・テラセツナス・・・orz
そしていつでも千沙だけはのん気だ。
恵まれて平和に育った箱入り娘。
こいつわかってねー、と思うのになんか救われちゃってるんだな、みんな。

141 :マロン名無しさん :2005/12/31(土) 00:09:06 ID:???
このマンガ読んでると、他人と自分の境遇比べて自分の不幸に酔うことの馬鹿馬鹿しさを痛感する

142 :マロン名無しさん :2006/01/01(日) 09:29:50 ID:???
一清はあそこまでされてもそれでも鮎太を親友と認めてるのか

143 : 【大凶】 :2006/01/01(日) 10:56:50 ID:???
さらし首から悟って親友認定かな。
いろいろ悟って納得できたのは大人になってからかもしれないけど。
しかし一清ってあまりそうは見えないけど
恐ろしく孤独な人間じゃないか…
ふえは一清を守るって気持ちが支えになっただろうけど
子供の一清に国を守るとか民を守るって考えが心の支えになったとは思えんし。
ふたりで幸せになってほしいもんだ。

144 : 【大吉】 【1241円】 :2006/01/01(日) 14:13:33 ID:???
この夫婦の運命やいかに

145 :マロン名無しさん :2006/01/04(水) 02:59:39 ID:???
ロリふえ可愛いよ

146 :マロン名無しさん :2006/01/04(水) 15:51:32 ID:???
一和兄・・・。切なすぎる。
いや、鮎太も一清も両親もみんな切ないけど。
もし一和様が領主だったら加賀は
今より更にもっとほのぼのした国になってそうだな。
ふえは今も一和のことを思ってるんんだろうか。かわいそうだな。

147 :マロン名無しさん :2006/01/04(水) 16:56:45 ID:???
ふえは一清より年上っぽいなー

148 :マロン名無しさん :2006/01/04(水) 19:16:30 ID:???
>>146
> ふえは今も一和のことを思ってるんんだろうか。かわいそうだな。

あんな別れ方したら忘れられそうにないな・・・
しかも誰にも云わずに胸にしまっているという。


149 :マロン名無しさん :2006/01/04(水) 20:24:42 ID:???
>>148
誰にも言わずに‥‥ だったけど、大人の目から見たら一目瞭然だったんじゃないかな。
一和にーちゃんは態度バレバレだったっぽいし、微笑ましく見守られてた気がする。

だからその後、縁談が持ち込まれにくい‥‥ のかも。

150 :マロン名無しさん :2006/01/05(木) 00:35:40 ID:???
なんか一清って子供の頃が、今の性格とかから考えると
無邪気すぎるなーと思ってたんだけど
この事件を境に急いで大人にならざるをえなかったのかな、と思った。
同年代の子ども達はみんな殿の子どもとして一清を特別に見てたから、
唯一対等でいられた鮎太がいなくなったのはそれだけで悲しいね。

151 :マロン名無しさん :2006/01/05(木) 02:04:20 ID:???
一清、今でも基本的にほんわか優しいかんじだからのん気に見えるけど
かなり重いもんしょってるな・・・

152 :マロン名無しさん :2006/01/05(木) 08:24:32 ID:???
ふえが背伸びして一和とキスするところがどうにも切なかったお

153 :お日さまとお月さま 第1話 1/3 :2006/01/05(木) 22:35:22 ID:???
安住は妻の膝に頭を預けながらつぶやく。
「今宵は満月だな千絵。月は満ち時も満ちる…か」

一清は毎日忙しく外に出てばかりいて千沙と会話をする事が少ない。
なのでせめて出かける時は「いってらっしゃいませ」「いってまいります」と
挨拶を掛け合う事に決めた。帰ってきた時も同様に挨拶をしあう。
「まるで太陽のような姫君ですこと。両親に愛されて育ち 何の苦労も知らず
 嫁いだ先でも愛されて そんな完璧な人生を歩む人もいるんですね」
ふえはそうつぶやくと慌てて別にひがんでいるわけじゃありませんと言い、
道端のたんぽぽを一清に渡す。千沙ならば喜ぶだろうから贈れと。
帰宅した一清はタンポポを渡されはしゃぐ千沙を見ながら考える。
千沙が嫁いでから安住からの金の要求額が増えている。
鉱山に人を取られ田畑は老人と子供ばかり。嫌な予感がした。

近頃、安住が渓江に接触しているという報告がふえに入った。
今でこそ安住は勢力を広げているが、元々はこの地方の守護職・鷲尾の分家だ。
鷲尾が都に参内し国を留守にしている間に安住が着々と勢力を伸ばした。
安住の目標は恐らく本家の乗っ取り。そこで問題になるのは二つの国の間にある渓江の荘。
渓江は元々公家の荘園であっただけに、権力を絶対視している。
正式な守護職である鷲尾以外にはつかない気だ。
安住は鷲尾を討つために渓江に味方につくよう迫っているのだろう。
かつて鷲尾が加賀に攻めてきた時に前触れを読み損ね加賀には多大な犠牲が出た。
二の舞を踏み戦に巻き込まれないためにふえは引きつづけ調べさせた。

千沙のもとへ、千絵が急病だと知らせがあった。その手紙の文字は母のものではない。
手紙さえ書けないほど酷い状態なのか、変わり者の母のからかいなのか…
一清は千絵との面識がない。安住と話す事もあるし、千沙と共に見舞いに行く事になった。
「お前やっぱり出戻ってきたの?あと3ヶ月がんばってくれれば私賭けに勝ったのに」
面会した母はいたって元気な様子。さすが千沙姫を産んだ方だと一清は関心する。
千絵は病気の手紙の事を聞き不思議そうな顔をする。そこへ安住が現れる。
安住の目配せに母は冗談でしたと言う。千沙たちの会話が盛り上がり、一清と安住は退室した。

154 :お日さまとお月さま 第1話 2/3 :2006/01/05(木) 22:37:43 ID:???
「今度は何をたくらんでおいでですか?」
手紙は一清を呼び出すために安住が仕掛けたものだった。
鷲尾程度、力で簡単に落とせる。しかし渓江の段階で鷲尾に知られ、
都に助けでも求めて公家や将軍が出てきたら面倒な事になる。
渓江を味方にするための金を渡せと安住は言った。これ以上は無理だと答える。

「鷲尾を滅ぼしたくないか?そなたの父を母を兄を手にかけたのはどこの者だ?思い出してみよ」
安住の目的はたかが一地方の雄となる事ではない。才覚次第で全てが手に入る世の中だ。
「覇者になる気はないか?金が出るだけのあのような土地にしがみついてどうなる?
 儂とともに都まで駆け上れ。もう加賀に戻る事はない。儂はぬしがほしいのよ」
一清を後継ぎにしたいという。先日の菊の件は一清の反応を見るための茶番だったのだろう。
一清が立ち去った後、安住はやって来た渓江の使者と面会した。
「運命の流転とはわからぬものですね。再びお目見えする事があるとは。
 渓江の使者として参りました 大谷源十郎でございます」


動向を気にして安住まで来ていたふえに、一清は安住からの話を聞かせる。
ふえは安住の考えに賛同する。本来一清は守りよりも攻めを得意とする。
他国からの侵略におびえるだけの日々をすごす事はなくなる。
加賀という名前はなくなるかもしれないが、やがては一清が再び治めることになるだろう。
一清の考えならば民も同意するはずだ。「ばかにするな ふえ」一清はふえを睨んだ。
「あの時――両親が殺された時 皆が犠牲になって俺を生かしてくれたのは
 それは 決して俺にそんなことをさせるためじゃない」
加賀≠守れ。それは勘兵衛の最期の言葉だった。
それに加賀一つ満足に守りきれない自分にそんな大きな物を背負えないと一清は言う。
「俺は嫌なんだ。一人でも泣いてる事に気づかず通りすぎるのは」
拒絶の意として千沙を安住に残して加賀に帰る事にした。
「太陽をわざわざ月に格下げする事はあるまい。諦める事には慣れてるさ」

155 :お日さまとお月さま 第1話 3/3 :2006/01/05(木) 22:39:09 ID:???
物憂げな表情でいるふえを見つけた大谷は
高貴(大谷にとってのあらゆる誉め言葉)な顔のふえを一目で気に入りいきなり押し倒してきた。
ふえは木の棒で大谷を殴りつけ去っていった。
大谷によれば、今のところ渓江は安住に傾く気がないらしい。

その晩。一清は安住で千沙たちと和やかに過ごした。
はしゃぎつかれて眠った千沙の寝顔に最後の接吻をし、立ちあがった。
「あ、いってきま…」いつもの癖で言いかけ、口をつぐんだ。
今ならまだ忘れ物を取りに行く時間はありますよ、とふえは言う。
「…情けないよな慣れてるなんて言っておいて――行こう」
夜の闇へと消えて行く二人。

千沙が目覚めた時、隣にもう一清はいなかった。

156 :マロン名無しさん :2006/01/05(木) 23:56:35 ID:???
あっ、大谷さん出てきた。
ふえさんに目つけてるよ。一和に怒られるよ。

157 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 01:35:46 ID:???
怒られるっつーか呪われる?

158 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 01:47:41 ID:g20UQpHe
大谷さんは兄さんと比べて分が悪いな。顔が

159 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 03:48:39 ID:q892Ft1s
>>158p


160 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 07:27:27 ID:???
大谷さんについてしかレスがついていない件w

千沙の母上がなんともすてきー

161 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 12:43:57 ID:???
一清ー忘れ物を取りに帰るんだー!
切ない展開…しかし相手を思うがゆえに別れるという自分は展開に弱いらしい。
ちょっと萌えます。

162 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 12:58:57 ID:???
直垂に髪を結った一清…いいじゃないか(*´д`*)ハァハァ

163 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 13:05:41 ID:???
うん母さまナイスキャラw
きつく結ってるとハゲやすいてww

164 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 13:08:46 ID:???
「でもね好きなの」
千沙、ある意味すごいなぁw
千絵だけに言うならともかく本人も父親もいる前で言えないよ。
それにしてもみんながシビアにシリアスに物事を考えてる中、主人公だけのほほんとしてるなあ。

165 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 13:17:13 ID:???
ふえの最初の台詞がなんか切ないぜ。
親父も好きな人も殺された身としては辛いだろう

166 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 13:28:03 ID:???
一清案外天下取りに向いてる気がするんだけどなあ

167 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 13:33:31 ID:???
千紗もあの母のようになる…かと一瞬思ったが
あんなに機転が効くようになるとは思えんな。

168 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 17:06:36 ID:???
>>166
そうかー?
「俺は嫌なんだ。一人でも泣いてる事に気づかず通りすぎるのは」
と言っちゃう一清には無理そうな気もする。
敵をあっさり斬り殺したりはするが、仲間の死には立ち直れなさそう

169 :166 :2006/01/06(金) 19:29:17 ID:???
>>168
あー性格を考えると厳しいか。
単に器量という面で考えた。
先を読む目が鋭いから、少ない人数、少ない犠牲、少ない時間で相手をまるめこめそうだな、と思って。
いずれにしても力のある仲間がいないと無理だな。
千沙の父いまんとこ腹黒い面が強いし。

170 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 21:39:14 ID:???
一清は天下とっても重みに耐えきれず壊れちゃいそうだ
もうちょっと楽に生きる方法覚えて欲しいよ一清・・・

171 :マロン名無しさん :2006/01/06(金) 23:40:35 ID:???
私も器量的には行けるんじゃないかと思った>一清天下取り
断って茨の道を行くよりはそっちのがまだ楽なんじゃないかと…
千沙パパンも黒いなあ…

172 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 01:16:52 ID:iNPLQYF1
しっかしこの父とこの母でよくもああまでのほほんとした性格に育ったなあ千沙
…反面教師?w

173 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 01:18:05 ID:???
ごめんsageチェック忘れてたorz
申し訳ない

174 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 02:41:33 ID:???
おかんも方向性こそ違うもののほのぼの系かと思ったらそうでもないしなー
千沙のほのぼの性格は一体どこから。それとも素質(?)はあるのか。

別にsage進行じゃないしageてもいいんじゃまいか?


175 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 16:46:44 ID:???
千沙の方が天下取れそうだ
運が異常に強そうだし

176 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 17:55:01 ID:???
あののほほん菌が全国に広まったら戦は二度と起こらないだろうなw

177 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 18:56:33 ID:???
生まれたときから銀製のナリタサンのあみゅれっと装備な感じだよな
作者の愛装備かもしれんが

178 :お日さまとお月さま 第2話 1/2 :2006/01/07(土) 22:37:21 ID:???
一清を探しに城中を歩いていた千沙は、父母の会話を聞いてしまう。
母の手紙は偽りのもので、父が一清に加賀を捨て安住の後継ぎになれと言ったという。
「今宵の一清の様子見ておったであろう。あれぞ承諾の印。
 万が一不満があれば単身姿を消したであろう」
拒否は即ち安住への離反。千沙を愛しく思っていればなおさら連れて行けないはず。
一清を追おうと走り出した千沙は、渓江に帰ろうとしている大谷に遭遇した。
千沙の勢いに押され、千沙を乗せて馬を走らせる大谷。道中で千沙は事情を説明する。
「姫さん あんた生まれは高貴なのに頭は高貴じゃないねェ
 このまま突っ走るって事はさあ この先事態がこじれて
 あんたの親父と旦那が殺し合う事になっても旦那につくってことだぜ?
 そこまで覚悟あんの?二度と安住へは戻らないってさ」
しかし千沙は行ってと叫んだ。「なっかなか高貴じゃん。気に入った」

やがて千沙は一清に追いついた。
「千沙を忘れていくなんてひどいじゃないですか!」
一清は悲しげに事情を説明しようとするが、千沙は止めた。全部知っていると。
「いつも千沙が追いかけて行かなきゃいけないんだから…手間のかかる人ですね、一清さまは!」
一清は千沙を抱きしめると、耳元でつぶやいた。ありがとう、と。
そこへ、ほとんど馬にしがみつき状態の双子も千沙を追ってやって来た。
「きえこから大体聞きましたっ言わないで下さいよ!何か言ったらかえこはぶち切れますからねっ!
 手間がかかる姫さまの世話かえこ以外のだれに出来るってゆーんですっ!」
千沙と似たような台詞なのになぜかニュアンスが大分違う。その様子を見て大谷は笑う。
千沙を気に入ったし、高貴な姉ちゃん(ふえ)もいるし加賀が気に入ったと言う。
「俺さ安住クビになって 今渓江にいるんだけどさ
 腕はいいし頭もいいし顔もいいし性格もいいし雇わない?」
お前が渓江よりも加賀を選ぶのならそれもいいよと一清は笑った。
はだしで駆け出していた千沙は川に足を洗いに行く。ふえは千沙を見ながら言う。
「太陽ってただ能天気に輝いてるだけかと思いました。でも、違いますのね」

179 :お日さまとお月さま 第2話 2/2 :2006/01/07(土) 22:39:54 ID:???
そこに安住が現れる。「まつろわぬ者にくれてやる娘などおらぬわ!」
千沙の首に安住は刃を向ける。一筋の血が流れる。一清は千沙を残し退いた。
「――姫 いってまいります」「いって…らっしゃいませ」
一清が去ってから、安住は千沙の首の血を袂で拭いた。
千絵の部屋で謹慎する事になった千沙。今度は嘘泣きではなく本当に泣いている。
安住が加賀を敵と認識した以上、千沙は一清にとって敵側の人間だ。
自分の気持ちだけで加賀に行くのは一清にとって不幸になるかもしれないと千絵は諭す。
「でも言ったのよありがとう≠チて。その言葉を信じてはいけないの?」
半泣きで嫁いでいった千沙とは思えない、随分大人になったのねと千絵は微笑む。
「それじゃあ いつ迎えに来てくださるかお母様と賭けましょうか」

安住は重臣たちと会議をしていた。渓江は無位無冠の安住につかないと言うが、
そんなもの必要なら買えばいいだけだ。金さえ積めば買えぬ位などない。
そのための金は加賀を取る事で得るのだ。
「わかっておる 力では従わぬ民だ。だが逆に考えれば一清一人ではないか。
 あの若造 捕まえて民の前で指を一本ずつ切り取ってやろう。あの国の者喜んで従うだろう」
差し伸べる手は一度きり。二度目はない。

加賀でも会議が行われていた。一国の殿としてではなく、私的に千沙を迎えに行きたいと一清は言う。
「どんなに莫迦と言われようと我々はあなた以外に従う気はありませんからなぁ」
申し訳なさそうな一清に対し、皆は至極明るく千沙奪還に賛成した。
――たとえどんなに莫迦と言われようと確かにある。
   選んでしまう事 選んでしまう人

安住に帰って来た双子は千沙に伝言をする。
『10日待ッテ下サイ ミンナアナタヲ待ッテイマス』

大谷はぶらぶらと渓江の町を歩いていた。小さいが歴史のある国だからきたが、高貴じゃない。
大谷にとっての高貴とは家柄やそんなものではなく……「あっ高貴な姉ちゃん!」
何故か渓江にふえがいた。どうも隠密活動中らしく、すぐに大谷を連れその場を逃げ出した。
「また加賀の殿さんよからぬ事たくらんでるんだろ?俺手伝ってやろーか?」
言いながら大谷はふえを再度押し倒したがまたしても木の棒で打ち倒された。

180 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 22:41:04 ID:???
千沙おっかけタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!GJ!!!




と思ったらあっさりとっ捕まったよパパン・・・・orz

181 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 22:43:55 ID:???
母さまやっぱ(・∀・)イイ!!

182 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 22:47:32 ID:???
大谷→千沙フラグ発生か?

183 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 22:53:35 ID:???
なんでだろう。安住の腹黒殿が好きになってきた。

184 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 22:57:25 ID:???
髭が渋いよな

185 :マロン名無しさん :2006/01/07(土) 22:58:07 ID:???
おー能天気な千沙が加賀の民に受け入れられているw

186 :マロン名無しさん :2006/01/08(日) 00:30:52 ID:???
パパ、めちゃくちゃ黒い役なのに嫌な人に思えない。
妻と嫁に弱かったり、信念みたいのがちゃんとあるからかなぁ。
にしても一清様かっこいいw

187 :マロン名無しさん :2006/01/08(日) 11:27:24 ID:???
千沙っていざという時「加賀」を取るね。
けっこう覚悟がいることなんだろうな。
「知ってます」って言う千沙がかわいかった。
早くお迎えきてください。

188 :マロン名無しさん :2006/01/08(日) 13:59:58 ID:???
>>187
その言い方千沙に天国から使者が来そうだw

189 :マロン名無しさん :2006/01/09(月) 01:36:45 ID:???
大谷さんこりないな

190 :マロン名無しさん :2006/01/09(月) 02:06:04 ID:???
場違いかもしれないが、ふと
濃姫が信長の下に輿入れするときのエピソード
(この短刀は、……お父上を刺すお刀になるやも知れませぬ、ってヤツ)
を思い出した…

千沙はそう言ったことはいわなそうだが
結果的には同じことになったな


191 :マロン名無しさん :2006/01/09(月) 18:55:23 ID:???
少女漫画に言ってもしょうがないけど千沙ママン異常に若いよなぁ。
ヒロミちゃんのおかんより10歳は若く見える。
パパンは貫禄あるのにな。

192 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 01:37:27 ID:???
>>191
パパンが老いた女が嫌いだから、女は化け物なのさーw

193 :お日さまとお月さま 第3話 1/3 :2006/01/10(火) 02:35:55 ID:???
安住は鷲尾に仕掛ける準備が出来ている。しかし通過地点の渓江は門を開かない。
だがもし渓江が門を開けば、安住は鷲尾攻めで加賀に構う暇などなくなる。
「でもどうやって」 「火のないところに煙を立たせる」

渓江での人の出入りの多い月例市に加賀の者たちは商人として潜り込んだ。
「渓江こっそり安住と通じていたらしくて鷲尾は怒って渓江に攻め込むつもりらしい」
「仕入れ先の農家が兵糧米を徴収された」「武具の注文が急に増えた」
そんな噂を流していると、市中見まわりの男が咎めてきた。
「嘘は申しておりませんわ。私はこの耳で聞きましたから。
 殿方という者は床の中では口が軽くなるようですねェ」
そこに遊女姿のふえが現れる。ふえは男を引き連れ侍大将から聞いたと
偽りの話をすると木の棒で殴って逃げた。渓江で噂についてすぐに会議が行われた。
侍大将から直接聞いたという者に会ったとの報告に皆どよめく。
「私は市中にどう見ても平民には見えない者がいたという噂を聞きました」
大谷が高貴な姉ちゃんと叫んだせいだ。
一連の話をつなぎ合わせる。鷲尾は渓江の動きを不審に思い探っていた。
その結果、安住との間に使者の行き来がある事が判明し、
渓江が鷲尾を裏切り安住についたのではないかと判断し、渓江を攻めに出る気らしい。
恐らくそういう事だ。「らちが明かぬ。鷲尾に使者を立てるべきだ」
噂が本当なら使者は臨戦体制の鷲尾に殺される。新人の大谷が使者に選ばれた。

加賀の者たちは大谷を生け捕りにしようとする。ここで渓江の使者が帰ってこなければ、
渓江の鷲尾への不信感は決定的になる。しかし、大谷は腕が立ち逆に返り討ちになりそうだ。
飛び出すふえ。「なるほど…噂を流したのはあんたたちってわけか」大谷はふえの刀を奪い、
こんな事をしても一段落つけばまた加賀に矛先が向かうだけだろうと言う。
「わかってるわよ。その場しのぎのためにやってるのよ」
千沙を手に入れることのどこにメリットがあるのだと大谷は訊ねる。
ふえはキッパリ、そんなものはないと答える。だが、うれしい楽しいと思える事は正しいはずだとも。
「やっぱ楽しくなきゃ高貴じゃねぇな」大谷は自分の髪をばっさりと切った。
髪の房を持っていけば渓江は確実に大谷が殺されたと思う。協力の見返りに雇えとねだってきた

194 :お日さまとお月さま 第3話 2/3 :2006/01/10(火) 02:37:30 ID:???
千沙は双子たちに頼んで、一清が来たらわかるようにとたんぽぽで道標をつくってもらった。
一清にもらった大切な花だから。

大谷を押えてから一日半。そろそろ渓江が安住へ寝返る頃合だろう。
安住の城は攻められた時平地側に敵を集める構造。
一清が想定した通り、山側に抜け道を見つけた。そこから単独で乗り込む。
たんぽぽの花に気づいたものの本当にそこにいるのか確信がもてなかった一清は
堂々と「千沙姫そこにいますかっ!」と叫ぶ。千沙の応答を聞くと、一清は斧で扉を壊して入ってきた。
「ただいまです姫君」待ち伏せされるよりは出てきてもらった方がいいからと派手な行動をしたと言う。
「お…おかえりなさいませ」そこへ部下を大勢引き連れた安住がやってくる。
「自分の妻を迎えにくるのにコソ泥のような真似をする
 必要はありませんから堂々といただきに参りました」
一清は笑顔で刀を抜く。安住と一対一で斬り合いになった。
二人とも本気ではない。少なくとも、安住は楽しんでいた。
「挑発に乗ってやったぞ。次はどうする?」
安住がそう言ったところに、部下が報告にやってきた。
渓江からの使者が、正式に安住と同盟を組みたいと伝えにきたのだという。
一清は加賀が渓江に対して仕掛けたからくりについて説明した。
安住を煽ったのは和議の使者が届くまでの時間稼ぎのため。
そして、全てを知った安住の悔しがる顔を見るためだ。
「茶番は終わらせよう。渓江との和議には礼を言ってやろう。しかし貴様は逃がさん」
渓江の使者(大谷)は逃がさず捕らえてある。一清になにかあれば開放する事になっている。
謀られた事を知った渓江の門は二度と安住に向けて開かれる事はないだろう。
興奮してそれでも逃がさぬと叫ぶ安住。千絵は千沙に一清のもとへ行けと言う。
「あなたの負けですわ。もしも私が千沙であなたがこの殿ごだったら
 私 迷わず あなたのもとへ走りましてよ」
一清と共に去っていく千沙。安住はもう追えとは言わなかった。

195 :お日さまとお月さま 第3話 3/3 :2006/01/10(火) 02:38:47 ID:IDB+glpw
疲れた様子の安住はつぶやく。
「あやつ一本の刀も使わず渓江を動かしおった」
安住は千絵の髪に接吻しながら言う。
「何故そなたは男の子を産まなかった。あの加賀の若造のような」

いつか安住と戦になるかもしれない。ならないかもしれない。
もしなった時のために加賀では砦を幾つも築く事となった。
その事を報告する一清に、千沙も報告があるという。
一清からもらった花がしおれてしまったのだという。花が戦と同レベル扱いされてしまった。
「太陽のようだったのにこれでは三日月だ…姫は月より太陽がお好きですよね」
千沙は否定する。ギラギラして節操ないという感じの太陽より、
ろまんすな感じのする月の方が大好きだという。
「じゃあ…今度は月になぞらえて何か差し上げましょう。なまずとか」

一清は千沙の隣で思う。
――安心する。うれしいと思う。だから大丈夫。間違ってない。

196 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 04:42:04 ID:???
大谷さんはやっぱりイカしてる

197 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 06:42:56 ID:???
なまず……

198 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 07:02:28 ID:???
なまず…

それはともかく背中の切ないパパ萌え

199 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 09:51:11 ID:???
一清案外無鉄砲w
あれが本来の一清なのか千紗に感化されたのか

200 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 13:31:36 ID:???
負けずぎらいなところいいと思ったよw
殿の悔しそうな顔見たかったのか…
ロマンスわからないくせにツボは心得てるんだなあ。

201 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 20:11:16 ID:???
そこらの少年マンガよりよっぽど熱いな

202 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 23:01:49 ID:???
もしも安住殿と千絵ママの間に男の子が生まれてたとして
千沙みたいなお呑気若様だったら……と想像してみた。

……なぜだろう、一清より簡単に天下取っちゃいそうな気がするw

203 :マロン名無しさん :2006/01/10(火) 23:27:59 ID:Tu15WtFO
ものすごい平和な世の中築きそうだな、それw

ふえさま遊女の真似なんであんな手慣れてるんだ。
身持ち堅いらしいけど一和兄ちゃん喜んでいいのか悲しむべきなのか。

204 :マロン名無しさん :2006/01/11(水) 19:01:09 ID:XxiQuVoo
ふえは一和に操を立ててると信じてる

205 :マロン名無しさん :2006/01/11(水) 20:50:47 ID:???
傷心を抱えかたくなな様子のふえを果たして大谷はgetできるのか

206 :名前を呼ぶ声 1/2 :2006/01/11(水) 22:25:02 ID:???
どっちでもいいから@p事を言いつけられる時はいつもそう。
双子だから仕方ないと思ってきたけど本当は少し悲しかったの。
きえこはきえこ かえこはかえこ なのにね。


双子が千沙に仕える事になったのは、同じ顔が面白いと安住が拾ってきたからだ。
全然わからないや、本当に同じだねとの千沙の言葉に、かえこはくちびるを噛む。
「不便だから髪を変えよう」そう言って千沙はかえこの髪に手を伸ばした。
「自分でやります!」反射的に手を振り払った後に姫相手にやばいと思ったが、
千沙は気にした様子はなく「自分で髪結べるなんてすごいね」とにこにこしながら言った。
かえこは一つ結び、きえこは二つ結びにして区別する事になった。

「きえこ かえこ どっちでもいいから姫さまを起こしてきておくれ」
起こしにいったかえこは、扉のすぐ近くまで転がっていた寝相の悪い千沙の顔を踏んづけてしまった。
目覚めた千沙は顔が痛いと訴えるが、早起きを千絵に誉められすぐにその事を忘れた。
他の使用人は姫だからと遠慮して起こすので、いつも千沙は起きるのに一時間ほどかかるらしい。
「大したもんだ。これからは毎朝かえこに頼むとしよう」
どっちでもいい≠ナはなくかえこ≠ノ侍女頭はそう言ってくれた。

「お父さまが怒ってらしたわよ。せっかく双子を見つけてきたのに区別をつけてはつまらないって」
千絵が千沙にそう言っているところを かえこは見た。
だって見分けがつかなきゃ名前を呼べない、人にお願いする時は名前を呼ばなきゃと千沙は言う。
「かえこはね どんなに忙しくても一生懸命きちんとやってくれるの。
 きえこはね どんなに忙しくてもにっこり笑って慌てないでやってくれるの」
話している二人のもとへ、迷い込んできた野犬が現れた。
悲鳴を上げ、転げる千沙。悲鳴を聞きつけたきえこがやってくる。
そこで、千沙は離れたところにかえこがいる事に気づいた。
「かえこ助けて!」千沙のその叫び声に、かえこは同じように怯えていたのに
飛び出して持っていた竹箒で野犬を追い払った。
きえこの方が近かったのに千沙はかえこを頼ってくれた。それが嬉しい。
と思ったら「あ☆ 手すりむいてる きえこ手当てしてー」と千沙はすたすたきえこの所へ行ってしまった。

207 :名前を呼ぶ声 2/2 :2006/01/11(水) 22:25:57 ID:???
もし髪型を取り替えたらどうなるだろう?
きえこの言葉から、双子は髪型を取りかえる事にした。
それを見た侍女頭はすぐに髪型が逆だと見ぬいた。
何故わかったのかと訊ねるかえこ。
「なんでって言われても雰囲気かねえ。双子っていっても区別して見ると違うんだね」
髪を変えようと、千沙が見分けてくれた。
千沙が名前を呼んでくれた。だからもう誰も間違えたりしない。
かえこは笑顔で千沙を起こしに行く。寝ぼけ眼の千沙は言う。
「あっれー今日はきえこなの?じゃあもう少し寝てよーかなぁ」
肝心の千沙が間違えた。ぶち切れるかえこ。
「千沙さまっちゃきちゃき起きないと放り出しますよっ」
その怒鳴り声とどかっという音が屋敷中に響いた。

御主人様相手にあそこまで出来るのはかえこだけだねと侍女頭は関心した。

208 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 01:18:50 ID:???
いー話だ
いー話のはずなのに・・・ちょっと千沙www

209 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 01:21:18 ID:???
千沙よそれでいいのかおまえと小一時間w

210 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 01:49:24 ID:???
どかって効果音は殴っちゃったのか?
おい、相手は姫だぞ

211 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 01:58:26 ID:???
かえこきえこは双子だったのか
まー名前も似てるし不思議はないんだけどちょっとビックリ

212 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 10:31:53 ID:???
殴られてもお咎めなしが当然と思われる姫。
千紗クオリティテラタカス

213 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 18:51:02 ID:n40eZ/Tv
かえこはやっぱり萌えキャラ

214 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 18:55:32 ID:???
これは…お局様が主役で千沙が悪役な話ですかw?

215 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 21:32:40 ID:???
みんな陰がある中で真性陽性なのは千沙だけなんだろうか。

216 :マロン名無しさん :2006/01/12(木) 22:44:52 ID:???
>>215
きえこがいるじゃないか

217 :賭けの行方 :2006/01/13(金) 22:34:26 ID:???
単行本「お日さまとお月さま」収録巻末読み切り



「今度は大店の娘のところに通ってるらしいぜ」
「え? 軍目付殿の姫君はどうなったんだよ」
浮名を流しまくる安住はその日も出かけようとしていたところ、
幼い千沙が千絵と話しているのを聞いてしまった。
「じゃあ母さまの許婚父さまじゃなかったの!?」
「そうね千沙は生まれてなかったわね。
 あの時父さまと話さなければ」
安住は足を止め、千絵の昔語りを聞いた。

「賭けはお好きかな?」
若き安住は初対面の千絵にそう話しかけた。
「賭けは面白い。一度勝てば病み付きになる。
 一つ必ず勝てる賭けを紹介しよう」
安住は千沙の髪にくちづけしながら言った。
「そなたの人生儂に賭けよ。奴のもとへ嫁くより幸せになるぞ」
その言葉に千絵は許婚よりも安住との結婚を選んだ。

「かっこいい!千沙も婚約者無視して誰かと…」はしゃぎまくる千沙。
でもは賭けは特別。大抵の事は自分の力で着実に作り上げて行く物だと千絵は諭す。
じゃあ母さまは賭けに負けたの? と千沙はたずねる。
その問いに動揺する安住。千絵は安住が隠れていた事に気づいた。
ニヤリと微笑みながら千絵は「……さあ」と意味深につぶやいてみせた。

安住はその日の外出を取りやめた。

218 :マロン名無しさん :2006/01/13(金) 23:48:57 ID:???
わかっちゃいたけど、やっぱり母さま最強w

219 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/01/14(土) 01:17:07 ID:???
???
どこかで再載とかしてるの?
途中からリアルタイムで読んで、コミクスも全巻揃ってるから、
なぜストーリーをきれいな文章でここに書き込みするのか、
今スレを発見したから判らないのだが?
???

220 :マロン名無しさん :2006/01/14(土) 02:18:29 ID:???
>>219
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1135224200/3-5

221 :マロン名無しさん :2006/01/14(土) 03:11:39 ID:???
正直スマンかった!
サロンは初めてで、しかも柳原さん初めて。
ワタクシ千沙で、アネが千絵の姉妹なのです。
いちきよさまに名前を呼ばれる度にドキドキしてたり。
当分ROMります、お邪魔しました!

222 :マロン名無しさん :2006/01/14(土) 11:29:52 ID:???
orz

流石だな、母者
安住かわいいよ安住

223 :マロン名無しさん :2006/01/14(土) 14:11:30 ID:???
若い頃の安住は普通にかっこいいな
今は民の前で指切れとか言う鬼畜だが

224 :マロン名無しさん :2006/01/14(土) 17:25:34 ID:???
安住に萌えてしまった…
かっこいいじゃん

225 :マロン名無しさん :2006/01/14(土) 20:38:47 ID:???
つーか、なんでこの二人から千沙みたいなのが生まれたんだ?w

226 :マロン名無しさん :2006/01/15(日) 01:27:53 ID:???
父上の強引さと
母上のマイペースさから

227 :マロン名無しさん :2006/01/15(日) 02:01:22 ID:???
>226
両方あわせて蝶マイペース、か。


228 :マロン名無しさん :2006/01/15(日) 02:27:15 ID:???
蝶マイペースw
一瞬軽やかに空を舞うパパンとママンと千沙たんが浮かんだ

229 :マロン名無しさん :2006/01/15(日) 19:11:38 ID:???
腹黒キャラでありながら家庭内では一番立場の弱いパパンに萌え

230 :1/10のないしょ話 1/3 :2006/01/16(月) 22:25:26 ID:???
実家と絶縁状態になった事で、流石の千沙も元気がない。
結局自分はやっかい者。皆に期待をかけられている大谷がうらやましい。
他国に嫁いだ姫ができる国への貢献といえば、後継ぎを産む事だ。
「一清さまの赤ちゃんが欲しいです」重大な議論中にぽつりとつぶやく千沙。
場違いである事に気づき退場する。後に残った一清とふえに気まずい雰囲気が流れる。
「…話を戻そう。問題は大谷源十郎の目的だ。報酬か名声かそれとも…」

「ここが加賀か。何考えてこんな田舎来たんだ?源兄ぃ」謎の大男が加賀に来ていた。

病気の母がいる倉庫番に、代わろうかと大谷は言うが断られる。
中には金が保管されている。気持ちはありがたいが、余所者には任せられない。
(大谷さんも苦労してるのねェっっ 大丈夫っ千沙だけは気持ちわかるからっ)
勝手に連帯感を持ち、千沙は大谷の後を追う。大谷のもとへ、巨男が現れた。巨男は保という名だ。
「頼むっ俺と来てくれっ!」偉い人が大谷を連れてくるならば、大谷と共に保を雇うと言ったのだ。
「なあ源兄ぃ岬♂散する時言ったろう? 俺は高貴な人に仕えて高貴になるんだって。こんなド田舎より何倍も高貴だぜっ」
早まっちゃだめよっと千沙は叫んで引きとめる。がんばれば倉庫番だっていつかはやらせてもらえる。
「倉庫番? 潮浜岬の酒呑童子って言われてた兄ぃが?」
意味がわからない千沙。保は大谷に鋭い眼光を向けられ、その場を去って行った。
先輩だと思ってなんでも相談してと熱血に迫る千沙に大谷は呆れながら言う。
「あんたの質問に十だけ答えてやる。あとは放っておいてくれ」

酒呑童子というのは昔の偉い人の名前。大谷はその人のように
子分を大勢引き連れ商売≠していた。保は当時の子分の一人。
大谷からそう聞いた千沙は一清に酒呑童子って知ってますかと訊ねる。
物語に出てくる人らしい。そんな有名人に喩えられるなんてすごい人なんだと関心する。
「酒呑童子か…かつてそう呼ばれた男がいなかったか?」一清はつぶやく。
その男は確かにいた。隣国の潮浜岬を根城に100人からの猛者を従え
5〜6年前に突然姿を消した首魁は、まだ10代の少年だったという。
平安時代に都を騒がせた鬼・酒呑童子の名を冠する通り、泣く子も黙る大盗賊だった。

231 :1/10のないしょ話 2/3 :2006/01/16(月) 22:29:05 ID:???
9つ目の質問。「商人さんだったのにどーしてお侍さんになろうとしたの?」
大谷が9歳の時、名主の荷物が盗まれ、日ごろから盗みを働いていた大谷が疑われた。
そこに領主の友人だという高貴な人が通りかかった。『どうだこの子を許してくれぬか?』
彼の発言で大谷は解放された『いいもんだな高貴ってのも』
それから高貴≠ェ気に入ったがどうすればなれるのかわからない。
とりあえず人を大勢使える立場になってみたが、育ちの悪い者が何人集まった所で程遠い。
それで商売≠やめてあちこち仕えてきた。
「でもなぁ どうもいけねェ 高貴じゃねェあの時の気分になれねェってどこも長く続かなかったな」
あの時って? 千沙はそう訊きたかったが最後の質問を使ってしまうのはもったいなくてやめた。

毎日のように会っている千沙と大谷。大谷が千沙をたぶらかしているという噂が流れた。
外出が多いが気に入りの場所でも見つけましたかと一清は内心噂に嫉妬しながら訊く。
大谷と皆の綱渡しを考えている千沙は、ここで計画がばれてはいけないと
「夫婦といっても多少の秘密はあるものです。そう…10個中1個くらい」と言う。
あの様子なら大事ないだろうと言いつつ一清は動揺して襖にうっかり穴を空けた。

皆に料理を振る舞って仲良くなればいいんだと千沙は双子に鍋を作らせ、大谷に振る舞わせる。
しかし、腹痛を起こす毒キノコを混入してしまい、館の3/4がダウン。
「いいか。はっきり言っておく。あんたのやる事は全部  迷  惑  なんだよ」
一連の話を聞いた倉庫番。こそこそするのが一番悪い、皆が回復したら正直に謝りなと微笑む。
「おっ母の具合まだ悪くてさ。俺も鍋に当たったことにして様子見に帰りたいんだ」
倉庫番は大谷に倉庫の鍵を預けてくれた。
――こそこそするのが一番悪い
倉庫番の言葉に、大谷が偉い人だと知ったら皆見直すはずだと千沙は思う。
「みっなさーん!実は大谷さんは潮浜岬の酒呑童子って呼ばれた人なんですよーーっ!」
あの大盗賊の!? 驚き叫ぶ人々。全ては大谷の謀略だと勘違いした保が現れる。
「手伝うぜ兄ぃ! みんな動けなくして蔵の鍵を取る! 流石だぜ兄ぃ!」
保は倉庫番を羽交い締めにする。大男相手に皆手出しが出来ない。
こうなったら保の言う通りにしちまうかと投げやりに大谷はつぶやく。

232 :1/10のないしょ話 3/3 :2006/01/16(月) 22:33:21 ID:???
「違いますっ大谷さんは違いますっ千沙は全部見てましたっ
 きのこも千沙が間違えせいだし 鍵は大谷さんが盗ったわけじゃありませんっ」

千沙は泣きながら叫ぶ。一清はお前が一番近いからと刀を大谷に向かい投げた。
その一清の顔に、大谷は高貴≠ネ人に助けられた時の事を思い出す。
『違うと言っているようだが 苗どう思う?』
『和清さま私この子は違うと思いますわ』
『お前がそう言うのならそうなのだろう。どうだ許してやってくれぬか?』
――高貴な人ってあんな簡単に許してくれるのか?
   俺みたいなのでも信じてくれるのか?

大谷は保に刀を向けた。「馬鹿野郎勝手な事しやがって」怯えて逃げ去る保を追い、大谷は殴った。
「俺の高貴≠ヘどうやらここらしい。お前はお前の高貴に仕えな」尚も反論する保。
「潮浜岬の酒呑童子に同じ台詞聞いた奴いたっけな。いねェよな。二度目はみんな死体になってたもんなぁ」
大谷の言葉に保は逃げて行った。大谷のもとへ来た一清は大谷をいきなり殴った。
その怪我を皆に見せ「大谷もこの通りがんばったが手強くてね」と言うが殴った理由はそれだけとは思えない。
皆は口々に大谷の心配をする。すっかり信用されているようだ。
自分のせいだと泣く千沙に大谷は言う。「一応あんたのおかげかな礼言っとく」
意味がわからず、最後の質問として「どおして」と訊ねる千沙に大谷は秘密と答えた。

すっかり以前のように駆け回るようになった千沙をみながら大谷はぼやく。
なんであそこまで千沙の言葉が皆に信用されるのだろう。
「そりゃ疑いようがないからでしょう」ふえは答える。
「でも妬いてたんだぜ殿さん」その言葉に一清はずっこけた。

233 :マロン名無しさん :2006/01/16(月) 22:35:39 ID:???
> 「一清さまの赤ちゃんが欲しいです」

ちょwwww千沙wwwww
こいつのクォリティ想像をはるかに飛び抜けてテラタカスww

234 :マロン名無しさん :2006/01/16(月) 23:53:08 ID:???
大谷さんはただの垂れ目のゲジ眉じゃなかったんだ

235 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 00:07:06 ID:???
> 「一清さまの赤ちゃんが欲しいです」
千沙が言うとおのんき発言でも、字面だけ見るとすごいこと言ってるよ…w
一清が現代のスレた若者だったら、その晩はかなりのハッスルマニア。

236 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 00:37:18 ID:???
お父さんお母さん、いい人だったんだな・・・

237 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 00:37:18 ID:???
ってか二人の夜の営みが俺には想像できない

238 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 01:16:48 ID:???
どちらかがリードするというよりは二人三脚タイプなイメージが。
でも千沙のほうが性教育を受けてそうなのではじめは一清様に任せるも、
もどかしくなって結局千沙が、という感じとか…。

やっぱり想像できんわ。

239 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 01:31:31 ID:???
やはり夜這いじゃないのか?





千沙が。

240 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 03:18:22 ID:???
千沙の夜這いは…
夜中に一清の布団に潜り込んできて、一清が慌てつつ「どうしたんですか?」
とか聞いたら「夜這いです♪大谷さんに教わったんです」とか答え、
一清赤面でさらに大慌て。
でも千沙は一清の手をにぎっておやすみなさいと寝てしまうという
肩透かしパターンになりそうw

241 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 05:24:12 ID:???
この二人に赤ちゃん作れるのか!?どうやって作る気なんだ千沙!!w

ほんとに想像できねぇよ。

242 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 07:01:45 ID:???
じい、速太鼓を打てい

243 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 07:15:31 ID:???
ていうかやってたんか…
ちらっとも考えたことがなかった

244 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 09:36:50 ID:???
まあ普通に考えればやっちゃってるだろう。
時代的にも儀式的というか義務感みたいなのもありそうだし。


ただし普通じゃないってのが問題なわけだが。

245 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 12:40:16 ID:???
大谷さんメインなのになんでみんな二人の子づくりの話ばっかしてんだ?
大谷さん報われねえw

246 :マロン名無しさん :2006/01/17(火) 13:14:57 ID:???
爆弾発言のあまりの衝撃に忘れてたw

247 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 00:16:39 ID:???
一清に「寝ている千沙にキス(お日さまとお月さま)」以上のことができると思えない…。

大谷さんはこれからも千沙に振り回されそうだな。

248 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 00:21:44 ID:???
というか千沙に振り回されない人間がいるんだろうか・・・
しいて言うなら母さまくらい?

249 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 02:10:43 ID:???
一和兄さんや一清の両親が
今の千沙と一清を見たら
なんて思うんだろうな・・・

250 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 11:24:08 ID:???
両親も兄ちゃんもあの安住さまの娘がこんなお呑気姫とは思ってなかっただろうなぁ。

251 :言の葉の種 1/3 :2006/01/18(水) 21:51:02 ID:???
大谷を連れて来れなかった保は、手ぶらで御前に出るなどふざけていると怒鳴られていた。
そこに少年が現れる。「その男さぁ、殺せって。役立たずは用はないって峯月さまが」
峯月の目が不自由だからと侮ってはいけない。ぼやぼやしているとあんたまで始末される。
その言葉に皆は怯え、保は連れて行かれた。
少年・泉丸に僧衣の美青年・峯月は言う。
安住が後継ぎにと選んだのも、それを断ったのも一清。
「そして此度 我々の誘いを蹴って大谷が選んだのも……一度会ってみるか」

一清は夢を見る。千沙との子供を抱きかかえる幸せな夢。
「こんな風に暮らしていくのが夢だったよ。
 だけど手に入れるにはたくさんたくさん戦わなくてはならないだろうね」
あんな風に? 子供の指す方向には無数の死体があった。
うなされながら目覚めると心配そうな千沙の顔が。
「夢は口に人に言えば現実になりませんよ?」
「…逆なんです。言葉にしてしまえば現実になってしまう。そんな気がしてならないんです」

安住は鷲尾攻めで加賀に構う暇がないとはいえ、いつ戦がはじまるかわからない。
加賀中に柵や砦を建てる。が、兵力から見て持って2,3日程度だ。
「それは守りに徹した場合でしょう? いつ攻めのご指示をいただけるのでしょう」
敵も味方も死ぬだろうと思うと、一清はためらっていた。
そこに安住からの使者がくる。が、会ってみると使者らしくない柔和な顔の少年だった(泉丸)。
泉丸は、自分は正式な安住の使者ではなく、安住に縁のある僧からの使いだと言う。
その僧・峯月は今の事態を憂いており、二人の仲介役をしたいという。
場所は近場の庵で、兵を隠す場所もないという。一清は承諾した。
話を終えてから、千沙が泣きながら現れた。「やっぱり千沙を帰すんですかぁ」
限りなく最悪な想像をして泣きまくる千沙に、一度もそう考えなかったわけではないと一清は言う。
「不安でならないんですよ。このまま戦になって自分の力が足りなくて
 みんなを死に追いやってしまったらどうしようと。あなたを帰してもとに戻るなら
 何もなかった事になるのなら…せっかくあなたが追いかけてきてくれたのに 臆病ですね私は」
この状況はもしかして頼られているのかと千沙はでれでれする。

252 :言の葉の種 2/3 :2006/01/18(水) 21:52:28 ID:ArFx/gc3
ひとしきりでれでれした後に、千沙は一清の手を握る。
「何かあったら どうしようもなくなったら みんなに迷惑がかかる前に
 一緒にいちにのさんで責任とって死んじゃいましょう。こんな風に」
千沙なんかじゃ嫌って言うなら今のうちですよと言う。
夜も更け、うとうととする千沙。一清は峯月と会う事を知らせる。
峯月は、安住の重臣の土岐の長男で千沙曰く「すごーい高飛車でやな奴」らしい。
一清にもたれて眠る千沙の鼓動を聞きながら、けして死なせるものかと一清は誓った。

庵で一清と峯月は対面する。峯月は僧服こそ纏っているが総髪のままだ。
視力の萎えている峯月は気配で人の感情を測り、指先で物の形を知る。
峯月は一清の顔に触れると、私情で国を滅ぼしたと世の誹りを受けるよりも、
姫を安住へ返すべきだと言った。一清は手がすべったと言って茶を峯月にかけた。
「…安住さまは貴殿を後継者に望まれたとか本当でございますか?」
断った、興味がないと一清が答えると、今まで微笑を浮かべていた峯月の表情が変わった。
一清ははじめの峯月の真似をし、悔しそうな表情を浮かべる峯月の顔に触れる。
それでいい本心が知りたい。安住が坊主の言など聞くわけがない。本当の狙いはなんだ。
問う一清に、峯月は突如刀を抜いた。すぐに一清は鞘で防ぐ。
「好きで僧などになったわけではない。私は盲人ではない弱視よ。
 こうすればお前の顔とて見える。気配に鋭敏な分だけ常人より秀でていると思わぬか?
 それを父は全くわかろうとせず私を見離した だが安住さまは認めてくださった!」
床下から刀を持った男たちが現れる。事前に床下を掘ってあったのだ。
「此度 安住さまの留守居役を任せられ お前を討ち取れと命じられたのはこの峯月よ。
 こんな所までおめおめとやって来る愚物に何故安住さまが後継ぎを望まれたのかわからんね」
一清はつぶやく。「お前が後継ぎになりたかったのか」
斬れと叫ぶ峯月。一清は戸を開ける。外には峯月を狙い弓を引く大谷がいた。
「弓の音がわかるか? あの男腕はいいぞ」峯月たちは身動きが取れなくなる。

253 :言の葉の種 3/3 :2006/01/18(水) 21:53:32 ID:ArFx/gc3
――言ってしまえば 言葉にしてしまえば運命は廻り出す 恐れるな

「のこのこやって来てよかったよ。当面の敵の姿が見えた。
 誰にも指一本触れさせない。国も人も姫も」

去って行く一清たち。確かに誇り高くはあったが嫌な奴ではなかったなとつぶやく。
「ふえ この周辺の国は多かれ少なかれ安住に不満を持っている。
 彼らと手を結ぶ。安住に対抗するために。至急情報を集めてくれないか」
大谷も昔の仲間に声をかけてみると言った。

峯月は泉丸に言う。最初からあれしきで殺せるとは思っていないと。
「討ち取る時は正々堂々とだ。誰の目にも明らかなようにな」

帰宅した一清にいきなり千沙は謝ってきた。いちにのさん≠フ約束は果たせないと。
なにがなにやらわからない一清に、千沙はとたんにでれでれしながら言った。
「実は赤さんがお腹に来てくれたって今日わかりまして」
一清は腰を抜かした。


――願わくば いい夢だけが現実(ほんとう)になるように

254 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 22:45:12 ID:???
しっかりと、   子作りやってたんだ……


まったく想像がつかない。コウノトリが運んできたとかの方がまだ納得できる。
ところで両親のどちらに似た子かで加賀の明暗が分かれそうな予感がする。

255 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 22:48:24 ID:???
> この状況はもしかして頼られているのかと千沙はでれでれする。

脱力・・・w

256 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 22:49:45 ID:???
こっちが腰ぬかしたわ

257 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 23:25:42 ID:???
ドラゴンボールの悟空に子供ができたとき以来の衝撃だ・・・

258 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 23:29:48 ID:???
峯月さま、キター!!

259 :マロン名無しさん :2006/01/18(水) 23:32:50 ID:???
新キャラが出てきたってーのに
子作りしてたっつー衝撃で全て吹っ飛んだな
でも家来に間違われる一清ワロスw

260 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 01:31:09 ID:???
峯月さまを狙ってる時の大谷さんのぼやき、萌え。

泉丸くんはちょっと弘美ちゃんに似てるよね?
狐目(細目)なとこ。
性格は知らないけど(笑)。

結構純粋に続きが気になる!

261 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 01:54:14 ID:???
浩美は今頃どうしてるんだろう。

262 :260 :2006/01/19(木) 02:01:57 ID:???
「浩美」でしたな、失礼。
下条の国の建て直しじゃないか?
兄寄りの御家来集、皆殺しにしたんそ?
国の建て直しせんことには始まるまい。
頑張れ、浩美ちゃん!

263 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 07:15:14 ID:???
千沙に子供ができる展開が待ってるとは…

すっかり部下になってる大谷さんいいねー

264 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 07:38:54 ID:???
千沙が妊娠(゚д゚)

語りたいこと盛り沢山なのに、衝撃が強すぎてこれ↑以外の感想がすぐには出てこない。
千沙の両親も浩美ちゃんもびっくりするだろうな。
作った本人が腰ぬかすくらいなんだから。

265 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 10:13:31 ID:???
>>426
両親はともかく、浩美ちゃんは泣きそう(笑)。<千沙ご懐妊
これからドタバタしそうなのに、妊娠してて平気かね、千沙。
普通の姫君(奥方)なら、屋敷に篭もってる筈だが、
お暢気なくせに、結構アクティブだからなぁ。

いつまで姫って呼ばれるんだ?

266 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 10:20:27 ID:???
周りも腰抜かした人多数いたりして。
「おまいらほんとにやって(ry

267 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 10:27:40 ID:???
峯月かっこいいけどなんか弱そうだ

268 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 11:49:53 ID:???
ありえないけど加賀に2chがあったら色んなスレがたちそうだ。

「【♂】赤さんの性別予想スレッド【♀】」
「姫様の妊娠をきいて腰を抜かした奴の数→」
「お世継キタ━━━(゚∀゚)━━━」
とか色々。

269 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 12:08:06 ID:/pSHQ2d0
>>254
一清に似たほうが明?でも千沙に似たほうが明るそうだしなぁ。
あの二人から千沙パパみたいなこども生まれたらおもしろそうだ。


270 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 12:09:14 ID:???
        ∧∧  ♪           
       ('(゚∀゚('ヽ お世継ぎ お世継ぎ〜  ♪               
   ♪  ('ヾ,  ` )  
       ` 、,, /
         (_,/  アソレソレ マツリキターーー



271 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 13:28:26 ID:???
美形敵役キタ━━━(゚∀゚)━━━

…なのに赤さんショックでそれどころじゃない…

272 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 13:31:02 ID:???
やることやってたんだなあ。
いや時代背景的に至極当然なんだけど凄いびっくりした。

273 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 17:11:09 ID:???
【想像】お世継ぎショックから立ち直れない人のスレ【不可能】(746) λ.........

274 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 18:23:41 ID:???
妊娠騒ぎにはびっくりしたけど今回の話で一清が幸せになれるような気がしてうれしかった。
今までが不幸とは思ってないだろうけど悲しい過去があった苦労人だから(ノд`)
どっちが親馬鹿になるかなぁ?

275 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 20:05:12 ID:???
多分両方

276 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 20:11:28 ID:???
処女懐胎ですよ!きっとそうですよ!

277 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 23:41:32 ID:???
赤さんがお腹に来てくれましてって言ってるじゃん!
突然コウノトリさんが運んで来てくれたんだよ!

278 :マロン名無しさん :2006/01/19(木) 23:42:40 ID:???
おまいら現実を見ろ!






漏れも信じらんねえ・・・orz

279 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 00:14:31 ID:???
はいはい!先生!!
シュテンドージを連れてきたら保を仕官させるって、
そのシュテンドージはこないだおたく(安住)をクビになった大谷ですよーーーー
わかって言ってるみたいだけど首にしたのにやっぱりほしいのか?それほどの男か?

つか
 や り 方 知 っ て た ん で す ね    一 清 さ ま 。

280 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 00:19:15 ID:???
ふえ画手取り足取り仕込みました

とも思ったが、ふえもああ見えて案外ウブそう(希望的観測)だからなあ

281 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 00:19:34 ID:???
泉丸は稚児なのか?
坊さんってそっちの気あるらしいじゃまいか

282 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 00:29:03 ID:???
いや坊さんもああ見えて案外ウブなんですよ。



…皆、ウブなのかと思ってたのに……orz

283 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 01:35:45 ID:???
千沙に生理がきてたことにまずビックリだ
いや、そりゃあ生理来てなかったら嫁に出したりもしないだろうってのはわかってるんだけどさ・・・

284 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 01:58:15 ID:???
>>283
そこまでガキ扱いかw

285 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 02:22:49 ID:???
なんかもう、大きくなったことが奇跡みたいなかんじですかw

286 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 02:35:28 ID:???
>>279大谷さんをクビにしたのは安住様だから峯月が大谷さんを仕官させるのとは関係ないんじゃない?
峯月は安住側の人間ではあるけど人質的な養子ってわけでもなさそうだし…。
まぁ、安住様も大谷=呑天童子とは知らないだろうが。

287 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 10:26:29 ID:???
ウブじゃないのは大谷だけでいいよ

288 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 13:54:53 ID:???
実は女の人にもてたりして大谷さん
扱いとかそれなりに上手そうだよね。ふえさまには通用してないがw

289 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 16:26:22 ID:???
千沙懐妊のニュース聞いたらふえさま複雑かもな。
自分は好きな人の子供身籠ることできないから。
って今も和兄ちゃんに操をたててることが前提ですが。

290 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 17:42:35 ID:???
話しぶったぎるけど
加賀が鷲尾(だっけ?)に攻めてこられなかったら、一和さまが生きてたら、一清が安住に婿養子に行く予定だったんだろうか?
千沙一人娘だし、一清、普通に跡継ぎに誘われてたし。
それでもやっぱり元から女の子はお嫁に行くものだったのかな?
誰か教えて。

291 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 17:57:30 ID:???
じゃないかな。お兄様は生きてたらそのまま跡継ぎになってたんだろうし。
もし一清様が安住様の婿養子になってたら「一清&千沙姫の天下統一への道」みたいな
話になってたのかしらんw
それはそれで面白そうな気がする

292 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 18:11:39 ID:???
安住が賢い一清に目をつけた理由を考えてみた

・加賀の資源を考えると敵にしたくない→千紗を加賀へ(役に立つのか?)
・跡取りにしたい→婿養子
・おもしろそうだからなんとなく

嫁に送る=人質の意味もあるはずだから一番目はちょっと疑問かなあ。


一和が生きてたら…父親は一和を跡継ぎに考えていたがそれを口にはせず、
一和は内心一清が向いていると思っている。
けどそれも含めて一和が主となるべく成長して
一和は案外優れた主になりそう。
一清は兄を支える優れた家来に。

で、資源と後継者が欲しい安住は一清を欲しがるんだろうな…
圧力をかけてくる安住を見た一清が
自分が行きます、加賀を攻めることがないような国にします
とか言って行きそうな気がするがどうだろう。

293 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 18:34:15 ID:???
>>292
・千沙の教育は一清と加賀の人々にまかせる

で嫁入り。これだと・おもしろそうだからなんとなく も含まれるかね。

294 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 19:31:10 ID:???
育児放棄ですかw

295 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 19:45:22 ID:???
ちょwwww

296 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 20:43:32 ID:???
千沙ならどこでもどんな境遇でもなんだかんだでやってけそうな気がするw

297 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 20:53:04 ID:???
>>293
なぜだろう。一番納得できるw

298 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 21:07:24 ID:???
安住様が千沙を加賀にやったのは「一人娘を嫁にやるくらい友好的」なことをアピールして金を搾り取るためなのかと思っていた。

って書くとパパンひどいな(・ω・`)


299 :言いそびれた言葉 前編 1/2 :2006/01/20(金) 22:46:57 ID:???
下条へは加賀と安住の使者が度々来ていたが、浩美は頑ななに会おうとしなかった。
他の国とは違い、下条は安住に人質を取られていない。
加賀の話に乗ってくれてもいいはずだが…一清は千沙の手紙を持って再度下条へ向かう。
手紙の中にはおそらく赤ちゃんについての事が山ほど書かれているだろう。
つわり中の千沙は「一度でいいから好きだよvとか愛してるよvとか言って欲しいな」と双子にこぼしていた。

幼い浩美は、他の養子たちや峯也(還俗前の峯月)に剣の稽古と称してはいじめられていた。
それをいつも千沙が止めていた。『哀れな奴だな。女にかばわれて恥と思わぬとは』
千沙は浩美の顔についたよごれをふきながら、ヒロミちゃんは優しい、
ダンナ様になる人もヒロミちゃんみたいだといいなと微笑んだ。
――千沙ちゃん好き 一番好き なのに千沙ちゃんは僕じゃなくって

妙香尼に言われ渋々一清(とお供のふえ)に会う事になった浩美。
加賀と下条の同盟については、一清と千沙が別れたら考えてやると言う。
「我々と安住が裏で繋がっているのではないかという懸念は全く不要です」
あくまでも真面目な一清に苛立つ。そこへ、安住からの使者・峯月までやって来た。

その頃の加賀。大谷は峯月について双子に聞く。
「学問武術歌舞音曲なんでも出来て特に浩美さまイジメには天才的との異名をとったとか」

加賀が不穏な動きをしている、安全の為に妙香尼を人質に出せと峯月は言ってくる。
「お前 千沙姫の事を慕っていたな。くやしかろう一清にとられて。
 加賀が窮地に陥れば千沙姫はきっと後悔するぞ。お前を選べば良かったとな。
 どうだ? 気分がいいだろう? 明朝出発と妙香尼殿に伝えろ。いいな?」
加賀からも安住からもごり押しされ「どうして僕ばかり」といじけながら浩美は部屋を出る。
そこに、侍女が通りかかった。客たちの部屋の灯りを換えに行くのだという。浩美は妙案を思いつく。

一清の相手をしていた妙香尼は、異変に気づき浩美のもとへ行く。
「この中にいる者には気づかれないよう外へ出るんだっ
 明かり取替えは無用! 客のいる部屋以外の明かりも取るんだ!
 出入り口には鍵をかけろっ窓は外から固定しろっ!」
浩美はそう使用人たちに命令している。

300 :言いそびれた言葉 前編 2/2 :2006/01/20(金) 22:49:22 ID:???
「どうですっこれで僕の大嫌いな物が一気に消えます!」
あとは火をかければ大勝利。浩美は高笑いする。
が、外には百騎ほどの峯月の家臣がいる。火をつければその場で騒ぎになる。
無論加賀も黙ってはいない。その辺の事をどうするつもりかと妙香尼は問う。
なにも反論できずに浩美は妙香尼に泣きついた。

浩美が千沙に好意を持っているのではないかとふえは一清に言う。
わずかしか会ってないから一清は気づかなかった。
「あら回数じゃありませんわ。例えば…あの峯月さま
 ふえにはある方を思い出させてとても可愛らしく思えましたけど」
何故かふえに後光を見る一清。ふえは随分大人なんだといじける。
「とんでもない。外へ出る言葉が全てではありませんから。
 言いそびれた言葉を見つけられるように いつもそう思ってますわ」

一方峯月と泉丸。泉丸は浩美の惚れている千沙を美人だと想像しわくわくする。
その時、明かりが消えた。同時に、一清のいる部屋の明かりも消えた。
明かりをもらいに出て行った泉丸とふえは遭遇してもめる。
部屋に残った一清は、窓が開かない事に気づく。もしかしてまた閉じ込められた?
何やら騒がしい音(ふえたち)も聞こえるし、見つけた隠し扉から外を目指そうとする。
だが外への出口はなく、上へと続く階段があるだけだ。登って行くと、峯月がいた。
声でばれてはならないと無言の一清に「お前もしかして口が…?そうか、大変だな」と峯月は微笑んだ。
意外な表情に驚きながら、流れで峯月に酌の手伝いをする事になった。
「人間はな多少の不利があったとしても卑屈になるべきではない。
 努力次第で人並み以上の事ができるようになる」
峯月が目の異常に気づいたのは7つの歳。だが16になるまで周りは気づかなかった。
教えてやると言い寄って、書物は自分が暗記するまで何度でも読ませる。
武術も一番身近な者から相手にしていけば感覚はつかめる。
どうしても目でしか判断できない時は毅然とした態度でこう答える。
「答えたくない」と。それじゃただのイヤなやつだと一清は脳内で突っ込む。
「自尊心を持て傲慢だと思えるほど。人事を尽くして天命を奪い取れ。
 待っていてはだめだ。せっかくそれが下されてもむざむざそれを蹴る輩もいるがな」
安住の申し出を断った一清の事だろう。

301 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 22:55:43 ID:???
いたのか浩美ちゃん!

302 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 22:59:48 ID:???
大谷さんがみんなの気持ちを代弁してくれたな
ふえに石投げられてるけどw

303 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 23:08:04 ID:???
一清のそっちの知識はふえが手取り足取り教えたんだよ

304 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 23:17:50 ID:???
峯月の意外な一面にときめいた

305 :マロン名無しさん :2006/01/20(金) 23:57:42 ID:???
笑顔の峯月ヤバイな・・・鼻血吹くかと思った・・・

306 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 00:12:04 ID:???
既に吹いた

307 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 00:48:24 ID:???
格好いいな峯月。
しかしふえは誰を連想したんだろう?
ふえがそんなことを言い出すということは、一和兄ちゃんかなあとは思うけど、
でも似てるとは思えない。

308 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 01:11:27 ID:???
「あの人に似てるわ」
系の台詞を口に出すと大抵その相手に惚れちゃうんだが、
峯月とふえのロマンスなんて想像できねーし接点なさ杉

309 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 02:27:05 ID:???
浩美ちゃん幼くなった?

310 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 13:23:53 ID:???
15歳らしくなったんだよ
千沙と比べれば大丈夫

311 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 15:58:19 ID:???
「学問武術歌舞音曲」ってスゲ-(゚д゚)歌って舞える坊さん峯月。

その中からかえこにピックアップされるのが「浩美いじめ」ってw

312 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 16:08:49 ID:???
「人事を尽くして天命を奪い取れ」ってかっこいいな。
自分にできることを全てやってる人にしか言えない言葉だ。

313 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 16:26:47 ID:???
弱視って眼鏡かけてれば大丈夫なのか?よくわからんが

314 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 17:03:39 ID:???
>>309,310
幼くなったというか・・・前はもっと悪知恵の回る子だった気がするんだが。
あくどさが薄くなって短絡的になったって事は、
やっぱ実のお母さんがそばにいる影響なのかな?

315 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 17:37:43 ID:???
本当に火つけてたら見直したw

316 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 18:43:25 ID:???
>>345
視力0.001の世界とか?よくわからんが。眼鏡がない時代だからね−。

317 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 18:51:45 ID:???
>315
まだ火をつけるチャンスはあるさ。
火で峯月に顔をみられて炎の中での一騎打ちとかもかっこいいな。
妙香尼の言った通り大変な事になるだろうけどw

318 :マロン名無しさん :2006/01/21(土) 19:07:33 ID:???
316だけどアンカー間違えてましたorz
未来にレスしてしまった。
>>313が正しいです。

319 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 01:49:03 ID:???
「好きだよ」とか「愛してるよ」
絶対言わないような、案外あっさり「好きですよ」とか言いそうな。どっちだろ?
手紙書くの苦手っぽいし、口ベタかもなぁ。

320 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 02:03:22 ID:???
他人には言えるが
本人には言えなさそう

321 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 02:05:31 ID:???
千沙が「でもね、好きなの」って言うの聞いて赤面してたし、そういうの口に出せなさそう。

322 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 06:59:52 ID:???
浩美クンは典型的なイジメテくんですねw

323 :言いそびれた言葉 後編 1/2 :2006/01/22(日) 22:38:38 ID:???
扉の外で浩美が悶々としている間に中の騒音はひどくなっていった。
いずれは開かなければならないが、その前に下条の領主としてどちらにつくかと妙香尼は聞く。
「不憫な子。お前にはゆっくり大人になる時間がないのですね。
 他人と自分と まわりと自分と 本当は少しずつ折り合いをつけて大人になっていくのに
 状況はお前にそうさせる時間を与えない。気持ちがついて来ずに動くのは苦しいでしょう。
 いいのですよ浩美。お前が決めたのなら人質にだって喜んで参ります」
そこまで言われても浩美は思い切れない。

ふえから逃げて部屋に戻った泉丸は一清たちがいる事を告げる。
一清はふえと共に隠し扉から逃げ、鍵を占める。
騙したなと憤る峯月に一清は扉越しに言う。
「悪意からではないんだな。悪意は存在しないんだな」

『峯也 お前は優秀だ 儂は天から最高の嫡男を授かった』
このまま安住に男の子ができなかったらお前が後継ぎになれるかもしれない。
父はそう言って峯月に期待をかけつづけた。だが、やがて目の事を知ってしまった。
『この子はもう武将としてはだめだ。寺へ預けよう。それがこの子の為だ』
――私は10年間諦めませんでした 父上は一瞬で諦めるのですか?
剃髪にしようとした僧たちに、峯月はせめて断髪にしてくれと言った。

一清は訊ねる。「その髪はいつでもたぶさを結って武士に戻れるようにか?」
「きさまには人を怒らせる才能だけはあるようだな。ならば私も断言してやる。
 未来永劫きさまには側室をかかえる器用さはない!」
話が地すべりを起こしている。一清の雑な神経を例えて言ったらしい。
関係ないだろうと一清は言う。
「ああ関係ないね。だからこちらの事情など知る必要はない。
 私はね、お前が嫌いだ。だからお前を殺す、それで十分じゃないか?」
一清はふえにあいつが誰に似てると思ったのかと聞くが、秘密と答えられた。

324 :言いそびれた言葉 後編 2/2 :2006/01/22(日) 22:41:18 ID:???
最上階の窓は閉ざしていない事に気づき、梯子に登り閉めに行く浩美。
すると、丁度脱出しようとしていた一清と遭遇した。
たとえ人から見てどうであろうと、この少年にはこの少年なりの気持ちがあり、
それが彼を動かしている。一清は浩美を肩に抱えて梯子を降りて行く。
「まずは教えてください貴方の気持ちを。千沙姫にお会いなさい。
 今すぐじゃなくてもいい、ゆっくりでいいですからご決断なさい」
浩美は心配そうな母に、加賀殿と出かけますと告げた。
最大の面倒である峯月は妙香尼が年の甲で穏便に帰した。

一清は赤ちゃんの事が書かれまくった千沙の手紙を渡しそびれていた。
いきなり千沙本人から「今ねお腹の赤ちゃんの事ばっかり考えてるのv」と言われ
浩美は深く傷つくが、拳を握りしめながら千沙ちゃんが幸せだと僕も嬉しいよと言った。
「やさしいねヒロミちゃんは。生まれてくる赤さんもヒロミちゃんみたいだといいな。
 昔みたいにもっといっぱいヒロミちゃんに会えるといいのに」
泣きながらも浩美は、加賀との同盟を決意した。
話が終わってから、浩美は池のそばでさめざめと泣いた。
昔から言いそびれていた言葉を今度こそ言おうと思っていたがそれすらかなわなかった。
「そうやってすぐ泣くからいつまでも子供扱いなんですよ」現れたかえこが言う。
「でもまぁ姫さまの前ではご立派だったから泣いてた事は秘密にしておいて差し上げます」
去って行くかえこを振りかえって眺めながら、浩美は涙をぬぐった。

「あ〜〜あ一度でいいから誰かから好きだよとか言われてみたいな」
一清の方をちらちら見ながら千沙は言う。
「えっ(浩美の他にまだ)誰かいるんですかっ?」
驚いて叫ぶ一清。

気分が悪いので部屋に入らないで下さいっと張り紙をして千沙は部屋に立てこもった。

325 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 22:50:23 ID:???
浩美ちゃん、不憫な子(涙)。

326 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 23:25:30 ID:???
かえこと浩美にフラグが立ったな。
きえこは誰と…大谷さん?保?峯月?泉丸?はたまた安住?

327 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 23:34:48 ID:???
きえこには泉丸が結構似合いそうだな。
縁側で一緒にお茶とかしそうだ。

ふえが秘密って言ったのも気になるな。
一和兄さん吹っ切って新しい相手でもいるのかね。

328 :マロン名無しさん :2006/01/22(日) 23:45:25 ID:???
一清か?
一清もぼけーっとしつつ敵に対しては黒いところあるし
三角関係説をいまだに捨てていないオレ

329 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 00:59:17 ID:???
千沙の無邪気さが最高に残酷だ…涙なしには語れませんぜ…
まあ、浩美ちゃんにはかえこがいるんで良しとするってことでさ…


一清が側室持ったときの周囲の反応や行動が気になる。

330 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 01:09:36 ID:???
一清本人が一番驚きそうだな

331 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 01:23:22 ID:???
側室なんて持てないだろ一清には
むしろ千沙の方が男はべらせそうとか言ってみるテスト

332 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 03:08:20 ID:???
浩美ちゃん本当に幼くなったなぁw
かえことの間にフラグが立つとは思ってもみなかったよ。
成就したら尻に敷かれそうだ。

333 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 12:28:35 ID:???
千絵さまと妙香尼を対面させてみたい

334 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 12:39:24 ID:???
表面上は物凄く穏やかだろう
だからこそ恐ろしいが
お付きの人間がいたら(((( ;゚д゚)))ガクガクブルブルだろうなw

335 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 12:52:14 ID:???
その間に一清のお母さん(名前忘れた。)が入ったらどうなるかな?

336 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 15:43:05 ID:???
一清の母さまは、苗の方さまじゃないっけ?

337 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 19:29:15 ID:???
>>335 一清ママンは水面下の攻防に気づかずニコニコしてそう。
  それで空気に合わない発言をして千絵さまと妙香尼の戦意を喪失させそう。

パパンたちの集いも気になる。国力は関係なく同じ立場でやり取りしたらどんな感じになるのだろう。
浩美パパンはどんな人か分からないが。

338 :マロン名無しさん :2006/01/23(月) 23:41:46 ID:???
大谷さんの一件を見るかぎり一清ママも鈍くはない気がする。
いろんな事に気付いてるけど波風たてずまとめちゃうとかそんなイメージ。

そういやお香の方は側室らしいけど旦那も正室も出てきそうにないね。

339 :マロン名無しさん :2006/01/24(火) 00:03:45 ID:???
旦那も側室もあぼ〜ん済みかな

340 :マロン名無しさん :2006/01/24(火) 00:04:47 ID:???
側室じゃなかった。正室だ。

浩美の兄貴が当主だったし、旦那はだいぶ前に死んでそう。
正室はその時点で生きてたとしても妙香尼にあぼ〜んされてそう

341 :マロン名無しさん :2006/01/24(火) 08:28:09 ID:???
妙香尼最強説浮上中。

342 :言いそびれた言葉 1/2 :2006/01/24(火) 22:18:01 ID:???
 いっしょうけんめい正面から立ち向かって行く人
 好きになるなら そんな人だってずっと思ってた

「突然でなんだけど…ふえ」
苦節十何年、遂に一和はふえに告白しようとする。
そこに、物音がした。誰かがその様子を見ていたようだ。
「みんながみんなふえみたいに冗談って思ってくれませんよっ」
冗談か…と一和は力なく笑う。その様子に、やっぱり冗談かとふえは思う。

一和がふえにご執心だという噂はすぐに広まった。
「へぇ遊びなら手ごろなとこだな」
「いや真面目な方だ 案外本気なんじゃないか?」
「弟君の許婚者は大国の姫だろ? 後継ぎの君がそれじゃまずいだろ」
民人がそんな話をしている。みんな信じちゃいましたよ、とふえ。
どうして当の本人が信じてくれないんだろうと一和は落ち込む。
「まあ気弱な一和さまより弟の一清さまを推す声もあるし
 何だかんだで一清さまが後継ぎになった方がこの先いいんじゃない?」
そこに現れる一清「なんでぇ? この先どーしていいのぉ? ねぇ兄上どうしてぇ」
無邪気にそう言い、一和とふえが隠れて聞いていた事を知られてしまう。
叱られると怯える民人に、一和は咎めるどころか笑顔を向けるだけだった。
民人が去ってから、ふえは一和に掴みかかる。
「どうして怒らないんですかっそういう風だから気が弱いだの頼りないだの言われるんですっ
 一清さまの方が後継ぎにふさわしいってまたみんな言うじゃないですかっ」
兄上の方がずっと字が上手いのになんでと一清はボケた事を言う。
「こうなったらふえが釈明してさしあげます!
 一和さまとふえは無関係だってただふざけてただけだって言うんですっ」
「わかった! 兄上とふえは全然全くきれいさっぱり無関係だって言えばいいんだねっ」
なんだか盛り上がってる二人に、後継ぎは父上が決める事だし
みんなに悪気はないんだからいいよと一和は言う。
「逃げるんですか? くやしくないんですか? あんな風に言われて。
 なんにもしないなんてただの弱虫じゃないですか! せめて一和さま怒るくらいすべきですっ」
ふえは走り去る。

343 :言いそびれた言葉 2/2 :2006/01/24(火) 22:20:21 ID:???
 正面から立ち向かって行く人が好き 闘う人が好き
 逃げる人は嫌い だからよこんなに腹が立つのは

一人になったふえは、また自分たちの噂を耳にする。
「案外 勘兵衛が出世狙って娘近づけたのかも」
「まさかあの勘兵衛が」「でも人は見かけに寄らねぇっていうし」
「いやぁ確かにふえの奴 年の割にゃあ色気あるよな」
ひどい侮辱だ。一和とは違う、出て行って怒鳴ってやる!
しかし、図星を指されて怒っただけだと思われバカにされるかもしれない。
もっと勘ぐられて酷い噂になるかもしれない。でも、このままにするのも悔しい。
一和の笑顔が浮かんだ。そうだ、笑えばいいんだ。
悠然と堂々と何をばかな何でもないと、にっこり笑って立ち去るのだ。
そう思って彼らの前に姿を現したが、思考とは反対に自然に頬には涙が伝っていた。
そこに、追いかけてきていた一和と一清がやって来た。
「お前たちなにをしたんだっ!」
一和はいつもの穏やかな表情からは想像できないような怒鳴り声をあげた。
追求する一和に、いいですとふえは言う。男達は逃げていった。
――あたし笑えなかったのに いっしょうけんめい笑ってたのね そういう闘い方もあったのね
「ふえ?」「もう…自分の事じゃ怒らないのに」なんだかいい雰囲気な二人。
一清に目をつむらせ耳をふさがせ、今度こそキッパリと告白しようとする一和。
しかし、我慢しきれなくなった一清が目を開けたので、ふえは離れてしまった。
「じょっ…冗談もいいかげんにしないと怒りますよっ一和さまっ」
結局一和はまた告白のチャンスを逃してしまった。

 ごめんなさい やっと気持ちに気付いたのに
 好き≠ェまだ恥ずかしかったの

ふえは花を持ち一和の墓前に立つ。

  それは 素直になれるまで
  あなたは待っていてくれると
  疑いもしなかった頃の話

344 :マロン名無しさん :2006/01/24(火) 23:04:23 ID:2scIXKsL
タイトル、「ほほえんだ瞳」ですよね?



345 :マロン名無しさん :2006/01/24(火) 23:59:41 ID:???
切ねえ…ふえはいまだに一和を思ってるんだな

346 :マロン名無しさん :2006/01/25(水) 07:03:56 ID:???
ボケボケ次男カワイス

347 :花と名無しさん :2006/01/25(水) 12:33:45 ID:???
一和さま、可哀想すぎ……。
ふえさまも幼かったのねぇ。

348 :マロン名無しさん :2006/01/25(水) 16:53:25 ID:???
兄ちゃんなんで死んじゃったんだ(ノд`)
ふえさま切なすぎるよ

349 :マロン名無しさん :2006/01/26(木) 00:06:55 ID:???
兄さんはみんなの心のなかに生きてるさ

350 :マロン名無しさん :2006/01/26(木) 05:01:36 ID:???
次からまた連載らしいね。今度は何回くらいの連載なんだろう?
今までは3回が最長か。

351 :お伽話現代版 ざ・あらすじ :2006/01/26(木) 21:45:25 ID:???
(お伽話が聞こえる一巻 巻末書き下ろし)

大会社安住グループの一人娘・安住千沙はセーラー服の似合う女子高生。
わがまま世間知らず乙女チックと3拍子そろった完璧なお嬢様。
メイドには双子のかえこときえこがついている。
親の決めた婚約者に期待半分不安半分だったが、会った途端に一目惚れ。
相手の加賀一清(何故かつなぎを着用)は両親亡き後町工場を守り続ける好青年。
幼馴染のふえは経理・総務を担当。一清はその不幸な生い立ちのためか
「終身雇用行きづまり等日本型経営崩壊後の人事労務管理における
 新たな評価基準はいったいなんだと思いますか?」
と千沙に向かって真面目に話すぐらいに女の子の扱いを全く知らない。
そんな一清に千沙は「あたしって愛されてないの?」とレースのエプロン姿で涙する。
そこに登場したのは千沙の幼馴染で取引先の令息・下条浩美(妙香尼はセレブな奥様)
千沙に恋する浩美は一清から千沙を奪おうとするが、一蹴され火に油をそそいだ事に。

策略家の安住は小さいながら様々な特許を持つ一清の会社が欲しくてたまらない。
一清はそれを断り、千沙を置いて朝日の差す帰路を歩いた。
「いっつも千沙の事忘れていっちゃうんだから…手間のかかる人ですねっ一清さまは!」
そこにネグリジェ姿のまま千沙が追ってきた。二人は抱き合う。
やがて待望の二世が千沙のお腹のなかに。

加賀を乗っ取れず娘を奪われ、腹の虫がおさまらない安住。
どうにかしてやりたいが大会社の社長だけあって時間がない。
留守中用にわざわざお邪魔虫役を手配した。
その峯月(サングラス着用)は、目が不自由なものの、
頭脳明晰文武両道、セコいがどこか抜けた人物。
彼は明晰な頭脳でまず一清を孤立無援にさせようと考え、
浩美に寝返るなと釘を刺しに行ったものの、いじめすぎて逆に一清と仲良くさせてしまった。
浩美は千沙に満面の笑みで母子手帳を見せられ仲良くなるんじゃなかったと後悔した。

そして物語は、不良青年大谷、ふえの昔の恋、浩美の玉砕と新たな恋など
いろんな脇キャラを横軸に一清&千沙を縦軸に展開していく。

352 :マロン名無しさん :2006/01/26(木) 23:40:55 ID:???
現代版だと話の流れが昼ドラみたいだw

353 :マロン名無しさん :2006/01/27(金) 01:05:09 ID:???
千沙と一清に年の差があること今気付いた。
ふえさんの昔の恋とヒロミちゃんの新たな恋が気になります。
てか戦にまで話発展してるのに縦軸はおままごとのような夫婦w

354 :マロン名無しさん :2006/01/27(金) 01:34:57 ID:???
現代版もやってほしい

355 :マロン名無しさん :2006/01/27(金) 02:29:04 ID:???
そーか一清、ネグリジェに負けたのか。
ナル入ってる峯月さんはカコイイけどワロタw

356 :マロン名無しさん :2006/01/27(金) 23:38:07 ID:???
ちょwwwwwなんで急にパロw

357 :マロン名無しさん :2006/01/28(土) 20:21:05 ID:???
メイド喫茶だよなー

358 :お伽話がきこえる 第1話 1/3 :2006/01/28(土) 22:21:06 ID:???
  お伽話がきこえる 心の一番深いところからきこえる声
  お伽話のようにあまりにもきれいで とても不可能に思えてしまうけど
  信じてみようよ 願いは叶うよ


千沙はもう数ヶ月で母親になる。千沙がうろうろするたび一清は心配する。
「大丈夫です。ここまできたら適度な運動をした方がいいです」
奥向きの事全般を取りし切っている克乃はそう言うが落ちつかない。
大谷は、昔の仲間だという男たちを戦力として連れてきた。
「要するにここの殿さんが安住の姫さんもらっておいて
 安住に従わねェなんて言いだしたから戦になったんだろ?」
「何にしても上の色恋沙汰に巻き込まれる下の人間はいい迷惑だよなぁ」
好き放題に言う彼らに苛立つ双子。だが、端的に言ってしまえばそうなのだ。
「わかってるもん。だから泣いてないもん」

その夜。
僧籍に入っていた峯月には実践例がない。一清たちは、峯月が
どうやって軍を進め、どんな戦を好むのか、人物像から推察しようとしていた。
千沙は訊ねられるがもちろんわからない。ふえは山側から攻めるだろうと言う。
「平野側から一気にくる性質ではなさそうです」「大胆そうに見えたが」
「そう装ってるだけで実は慎重でねばり強い方ではないかと」やけに確信的だ。
以前言っていた、峯月が似ている相手とは誰だろうと一清は気にする。
「男か!?俺がっ毎晩あんたのとこ忍び込もうとしてるのに
 ぎっちぎちに鍵かけときながら実は中で…」迫る大谷。逃げるふえ。
女の子同士ならわかりやすいはずですと、千沙は調査に行く事にした。

「陰険で性格悪くてふえさまの恋人 心あたりあったら教えてねっ」
そう言いながらうろうろする千沙。しかもその道程で一清の事を
「どんなお姫さまだってすぐ好きになるわ!だって千沙がこんなに好きなんですものっ」
と言い、ふえの話もあって戦気分が一掃され加賀は色恋話でもちきりになった。
大谷が連れてきた仲間たちもその話ですっかり加賀の民と打ち解けていた。

359 :お伽話がきこえる 第1話 2/3 :2006/01/28(土) 22:24:15 ID:???
「あんたの嫁さんはあの姫さんが一番って思うわけで」「俺だってそう思ってるよ」
しかし一清はそのことをはっきり口でいった事はないという。
大谷は一清を連れ千沙を探す。
この非常時に言う事じゃないだろうと拒む一清に、
女をくどく時と押し倒す時は状況を選んではいけないのと大谷は言う。
千沙はふえを追って岩場に言ったという。
「岩登りは妊婦に適度な運動なのか?」「過度な運動なんじゃねェ?」

ふえに追いついた千沙と双子。ふえは一清に気にしてもらえていいなと千沙は言う。
千沙にもいいところはいっぱいあると双子は言うが、具体的に訊ねられると答えられない。
代わりにふえが言う。「素直に好き≠チて言えるところ」
そんなの誰にでもできるでしょうと言う千沙に、
「いいえ すごいことですよ。私には出来ませんでしたから」とふえは笑んだ。
そこに一清が来た。よほど心配したらしく、千沙を怒鳴りつける。泣く千沙。
「姫 何を言ってほしいんですか? 全部言いますから教えて下さい」
いつのまにか集まったギャラリーに囲まれながら千沙は言う。
「いいです。千沙は全然言ってくれない一清さまが大好きだったんですね」
観客大拍手(するしかない)。そこに、狼煙が上がるのが見えた。
すぐに召集をかけ、下条にも伝達を。ふえは山側を見に行く。平野にも人を配置する。
「千沙さま出番です。今晩一清さまに急速を取らせて差し上げてください。
 千沙さまにしか出来ませんからね」ふえに言われ大興奮の千沙。
その夜は一清が眠るまで膝枕をすることにした。

翌朝。
ここで一発雰囲気を和ませる日常会話を投入しようと千沙は考える。
「最近千沙胸がおっきくなったんですよ」互いに赤面し大はずしだった。
山側の偵察に来たふえ。峯月たちが歩いている。思いきりカンが当たってしまった。
――やっぱり似てるって事じゃない


360 :お伽話がきこえる 第1話 3/3 :2006/01/28(土) 22:25:38 ID:???
克乃は双子に、ふえと一和との悲恋を語る。だが一和は全然陰険じゃない。
「気が弱いって思えるほど慎重でねばり強くて…いつも微笑んで怒ったことのない方だった」
慎重でねばり強い。確かに峯月と似ているようだ。

ふえは一和を思い出す。
いつも笑顔の一和に、たまには怒らないと壊れますよとふえは言った。
『怒りで人を諌める力も 力で人を圧倒することもできないからね。
 だから笑うんだ。怒ったら負けだと思ってる』非常時なのに思わず浸ってしまう。
見ていると、泉丸がこけた。峯月は手を差し伸べかけ、引っ込めた。
「そーかそこは滑りやすいか。覚えておこう」と笑う峯月。
少しぐらい優しいところを見せないと誰もついてきませんよと抗議する泉丸に
「情けなど見せたら負けじゃないかね?」と峯月は言った。ふえは驚く。
(どうしてこう世の中の男は意地っ張りばかりなのよっ)
そこに、追いついた大谷が現れた。大谷は弓を持っていた。
「今なら殺れる」後続もおらず、総大将である峯月はこちらに全く気づいていない。
一和の姿が脳裏に浮かぶ。「やめてっ」咄嗟に大谷を止める。
矢は峯月からそれた。「誰だっ」泉丸たちは間者の存在に気づいた。

361 :マロン名無しさん :2006/01/28(土) 22:39:38 ID:???
急速って何か考えちった。
休息ね。
つっこんですまんね。

362 :マロン名無しさん :2006/01/28(土) 23:06:37 ID:???
峯月×ふえフラグキタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !! 

しかし大谷さんはどうなるんだ

363 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 00:28:24 ID:???
>「怒ったら負けだと思ってる」
>「情けなど見せたら負けじゃないかね?」

ここ大好き。なぜか「諦めたらそこで試合終了ですよ」を思い出す。
ふえさん色っぽいなぁ
哀しみを秘めた人って色っぽいのかしら

364 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 00:33:24 ID:???
千沙役に立たなくて不憫だな・・・と思っていたら

> だって千沙がこんなに好きなんですものっ

やはりなにかしらやってくれるなこの姫w

365 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 00:41:01 ID:???
> 「最近千沙胸がおっきくなったんですよ」

・・・・orz

366 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 00:49:07 ID:???
大谷もいじっぱりな面を見せたらふえさんも傾くかも

367 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 00:57:23 ID:???
大谷さんにがんばって欲しい気持ちはあるが
一和さまに峯月・・・あまりにタイプが違いすぎて(´・ω・`)カワイソス

368 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 00:57:29 ID:???
ふえさん見た目よりか弱いのに、
大谷さんはそこにずかずか入っていこうとするから拒絶されるんだよね

でもそれくらい強引にいかないとふえさんはずっと一和一和思ってそうだから
それくらいが丁度いいのだろうか

369 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 01:15:15 ID:???
いっそ誰ともフラグの立ってないきえこと百合に…




すまんorz

370 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 01:18:28 ID:???
ふえさまが新しい恋が出来るとしたら
やっぱり一和兄さんのことをある程度吹っ切らなきゃいけないわけだから、
一和に「似ている」峯月さんが相手じゃ泥沼にはまってうまくいかなそうな気もするなあ。
そう考えると全然タイプの違う大谷さんの方がまだ分がある・・・かも。

371 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 01:28:10 ID:???
私も大谷さん×ふえがいいな
ドタバタ明るい家庭になりそうだ

>>369
百合って誰だっけ?

372 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 01:53:21 ID:???
>>370
同意。
峯月さんが相手だと、無意識に峯月さんに一和の影を追い求めちゃいそう・・・
峯月さんが、それを承知の上でふえと付き合えるというならば、それでもいいのかもしれないけれど・・・
お互いに傷つけあうことの多いカップルになりそうだ

373 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 08:15:12 ID:???
千沙はどこまで行っても千沙だな
どんなこどもが育つやら

374 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 08:59:36 ID:???
峯月とは現段階だと敵だし、大谷は絵的に美しくないからふえは一人身で。

375 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 09:14:36 ID:???
>>373
きっと千沙そっくりな子がごろごろと4人ぐらい生れるんじゃないかと
それぞれ、春夏秋冬とか

そういや、戦国時代に千沙が一人娘というのも不思議だな、このあと弟やら妹やら生れる展開もありかな

376 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 13:11:32 ID:???
御伽話がはじまるかどこかで
「両手の数ほど側室が居るのに子供は千沙一人」って安住様笑ってたよね
とんだ不妊症だったのね安住様

377 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 17:03:31 ID:???
新連載キターーーー(゚∀゚)ーーーー!!
ふえさまやっぱ一和兄ちゃんのこと吹っ切れてないんだな(ノд`)
大谷さんはふえさまのことどのくらい本気なんだろう?何だかんだで大谷さんいい人だからふえさま幸せにしてあげてほしい。

378 :マロン名無しさん :2006/01/29(日) 21:07:09 ID:???
不妊症っていうと安住が産むみたいじゃないかw

379 :マロン名無しさん :2006/01/30(月) 03:50:17 ID:???
>>375
もともとの体質もそうだろうけれど、
戦国時代は幼児死亡率も高いから、
産まれても育ちきれずに亡くなっちゃってたんじゃない?
豊臣秀吉も、実子は一人だよ。

380 :マロン名無しさん :2006/01/30(月) 19:31:21 ID:???
へえ そうなんだ!
なんかそういう歴史のエピソードってワクワクしちゃうわ

381 :マロン名無しさん :2006/01/30(月) 22:54:56 ID:???
>「俺だってそう思ってるよ」
なんか気付いたら夫婦の絆がしっかり形成されててちょと嬉シス。
相変わらず一清にラブラブな姫さんワロス

382 :お伽話がきこえる 第2話 1/3 :2006/01/30(月) 23:56:36 ID:???
 強くなりたいと いつも願っていた
 そんな どこにでもいるような普通の人でした


千沙は無口な一清から兄の話を聞いた事がない。克乃が代わりに語る。
どう聞いてもあの陰険の帝王・峯月とはかぶらないと千沙は思う。
「もう詮索はやめようよ姫さま」きえこは言う。
ふえがなにも言わないのはきっとむし返されたくないから。
常識あるふえの事だから、きっと放っておいても変な事にはならないだろうと。

ふえは大谷と共に逃げると、すぐに平静に戻った。
役目は偵察だけだからそれ以上の真似をする必要はないと淡々と言う。
「がっちがっちの考えだな…あんた常識だけで生きてきて後悔した事ない?」
カッとしてふえは大谷に手をあげる。すぐに謝るふえに大谷は、
「いっつも冗談で流すのに感情見せるの珍しいじゃん。あんた俺に惚れてきたろ」
と迫ってきた。ふえは大谷を殴り倒し去っていった。

一清に鎧を着せる克乃を見て千沙は「いちゃいちゃしてる〜」といじけていた。
帰ったふえは峯月の軍が加賀の5倍はいると告げた。「…なんとかするさ」
「この兵力の差なら逃げ出しても笑う人間などいないでしょうに」
ふえはそうつぶやいた。様子がおかしい。そこへ、浩美がやってきた。
浩美は千沙の大きくなったお腹にショックを受けた後、かえこに突っかかる。
「僕はすごいんだぞっすっっっごい大男家来にしたんだっ僕の直属だぞっ」
現れたのは保。噂では、保は安住でヘマをして処刑された事になっていたが…
確かに保は殺せと牢に入れられた。だが、短髪の僧が助けに来たのだという。
『いいかお前は死んだのだ この事は他言無用だ』と言って。
大谷は保を峯月のスパイだと疑うが、千沙は素直に峯月をいい人だと誉める。
会話から保が頭も気も弱く加賀で強盗未遂をした事もあると聞き、浩美は保を即クビにした。
大谷にめでたい性格と言われた千沙はすねる。常識で考えれば疑うのが当然とかえこは言う。
「もぉ常識なんてだいっきらいっ」そう叫びながら千沙は大谷への悪口を書きまくる。
ふえは訊ねる。「あなたのような方は戦に出て行く夫になんと声をかけるのでしょうね」

383 :お伽話がきこえる 第2話 2/3 :2006/01/30(月) 23:59:10 ID:???
「千沙はお帰りになったらいちゃいちゃしましょう≠チて言います」
本当は行っちゃやだと言いたいがそれは困らせるだけ。
がんばってください、勝ってくださいというのも千沙の立場からは言えない。
いつもの行ってらっしゃいませではだめだ。後世に残るような名言でなければ。
「だからこう思ったの。千沙はどうしてここにいるのかしら。
 いろんなつらい思いしてどうしてここにいるのかしら。
 なにが幸せでここにいるのかしら。それはやっぱり
 一清さまとおしゃべりしたり髪結ってさしあげたりひざまくらしたり(エンドレス」
呆れる双子。だがふえはその言葉に感銘を受けたようだった。
「そう…ですね。そう言えばよかったんですね」
一和さまにですか?千沙は訊ねる。克乃から聞いた話をする。
話し終え、一和を立派だと言う千沙にふえは「普通の人でした」と言った。
「でもご自分を犠牲にして…」
「だからですわ。あの時…口に出さなくても 
 誰もが同じ事を考えていたんです。まるで、常識のように」
 …そうして送り出してしまったんです。
 私も常識(それ)しか見えていなかったんです」
ふえは涙を流す。

『国を守る為ならあんな事は言えない
 でも ふえ お前を守る為なら誰よりも強い武将になれそうな気がする』

本当は一和も怖かっただろう。ふえのためと思わなければ踏み出せないほど。
『ご立派な方だった』『穏やかな方だった』皆が誉めた。どこか間違ってる気がした。
(どうして誰も言わなかったの? 国なんか人なんかどうでもいい、行かないでって。
 私…?私にだけは見せてくれた。私が言わなくちゃいけなかったんだ)

384 :お伽話がきこえる 第2話 3/3 :2006/01/30(月) 23:59:55 ID:???
 立派じゃなくてもいいじゃない いてくれるだけでいいの
 私が大切に思うのは 手をつないだりふざけあったり
 一緒にいるのがあたりまえのような そんなとりとめのない時間
 そう伝えていたらなにか変わったかしら 生きていてくれたかしら


峯月の事もそう思っているのか、でも峯月は昔からいじわるだったと千沙は言う。
「一和さまももともと優しい方でしたよ。でももっと優しくなろうとして
 そして壊れてしまわれました。あの方はそんなところが似ているのです」
誰かわかってあげられる方がいればいいのにと ふえはつぶやく。
千沙はふえを見上げる。「そこまで愚かではありません」
もう大丈夫だとふえは言う。気にしていたもう一人の手が離れたから気が抜けていただけだと。
「心を曲げてそうでなければならないと自分を曲げてしまう人。
 あなたにお任せしましたから姫君。守って差し上げてくださいね」


上機嫌な大谷。一清に先陣を任されたのだ。
「俺が探してたのはこの国だったのかな」とつぶやく。
一方、一清と浩美。
兵の差を考え一時は寝返りまで考えたが、上手く考えたねと浩美は言う。
「それで大谷たちには知らせるの? 自分たちが囮だって」
いいえと一清は答える。囮は真剣でなければ、死に物狂いでなくては敵に気づかれる。
「でも峯也さん差し置いて安住さまが欲しがるわけだよ。あんた、恐い人だね」

385 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 00:04:18 ID:???
盛り上がってきましたね

386 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 00:25:14 ID:???
ふえさま、切ないなぁ。

387 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 00:31:13 ID:???
うん。切ない。
なんで死んじゃったの一和様

388 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 00:40:51 ID:???
自殺したわけじゃないんだからよw

もしも一和じゃなく一清が死んでたらどうなったんだ

389 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 01:53:48 ID:???
一清様、段々一和様に似てきてる気がするんだけど

390 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 02:28:12 ID:???
体乗っ取られてるんじゃね?

391 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 03:17:48 ID:???
どんな物語だよw
やっぱ兄弟だねぇ

392 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 07:14:21 ID:???
大谷さんあんなに喜んでるのに囮…
大丈夫かいな

393 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 08:49:54 ID:???
ブラック一清の登場ですな

394 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 09:32:53 ID:???
大谷さん、いい感じにふえとの距離を縮めてると思ったら死亡フラグ立っちゃった?
タイトルにお伽話なんて入ってるからどっかで安心しちゃってて実感わかないけど、
これから戦なんだし、そもそも一清以外の加賀一家惨殺からこの話が始まってるんだよね。
う〜ん、大谷さんには是が非でも生き残って見事ふえを口説き落として欲しいなあ…

395 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 10:13:35 ID:???
まさか大谷さんが死ぬとふえさんが一人になっちゃうから
その代打として峯月は登場したのか?

396 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 12:39:07 ID:???
ふえさまっっ(ノд`).。*゚・
もしふえさまに「おかえりになったらいちゃいちゃしましょう」って言われたら一和さまなにがなんでも生きて帰ってきただろうな…

397 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 16:08:11 ID:???
> ふえさまに「おかえりになったらいちゃいちゃしましょう」って言われたら

村中騒然となってふえさま隠れちゃうよww

398 :マロン名無しさん :2006/01/31(火) 18:36:53 ID:???
いちゃいちゃするならどのみち隠れなきゃならないしw

399 :マロン名無しさん :2006/02/01(水) 01:11:03 ID:???
大谷さんどうなるのかな?
一清さまーーっ!!て感じだね。
ヒロミちゃんの黒い顔を久しぶりに見た。

400 :お伽話がきこえる 第3話 1/2 :2006/02/01(水) 23:59:44 ID:???
千沙は保を雇ってと大谷に頼む。間者の疑いがまだあるからと大谷は断る。
「俺たちゃ戦に行くんだぜ? あんたのおままごと付き合って
 落とす命こちとら持ち合わせちゃいないんでね」
大谷は千沙が死を理解していないと言う。他人の命を預かる事がわかっていないと。

千沙の周りでは幼い頃から戦の事が話題にならなかった日はなかった。
でも誰も千沙の周りからはいなくならなかった。どんな戦でも父は帰ってきた。
「いってきます」があったら必ず「ただいま」があった。
大切な人を亡くしたふえ。おかえりないと言えなかったふえ。

――本当はすごくどきっとしたの 大好きな人いなくなるのってこういうことかしらって
   そういえばおかえりなさい≠チていう母さまの瞳 いつも潤んでいなかったっけ?

話しかけてきた克乃に、大谷に言われた事を伝える。
「大谷もわかってませんわね。姫君だって預かってますのに」
そういってぽんと千沙の腹を叩く。赤ん坊は泣いたりわめいたりで
どんなに出来た人間でも一度は癇癪を起こすという。
「でもね抱き上げてやるとことんって全体重を預けるんですよね。
 ああ自分がいないとこの子は生きていけないんだなぁって
 その重みとぬくもりで姫さまもきっと実感しますよ」
克乃は八人の子持ちだという事で、説得力があった。
早速、千沙はかえこの頭を赤ん坊代わりに抱きかかえる事にした。

地の利は加賀にある。戦場はこちらで設定したいと峯月たちは一旦陣を張る。
泉丸は、戦に出る前に安住の言った事を気にかけていた。安住は峯月は勝てないと言った。
『あれはまだ自分の手を汚した事がない。
 失敗したものに死を言い渡して後で逃がしたと忍びが報告してきた。
 虚勢を張るなら張り通せばよいものをまだまだわかっておらん』
饅頭が三つあり、目の前に飢えて死にそうな侍女が四名いたとする。一つは分けられない。
一清ならば三人を選ぶ。だが峯月ならどうだろう?
『主に伝えるか。それもよかろう。ならこれも伝えておけ。儂を退屈させるな、と』

401 :お伽話がきこえる 第3話 2/2 :2006/02/02(木) 00:00:50 ID:???
出陣前。新顔の鳥が餌を求めてやってきた。
「そのあぶれた鳥 大谷みたいだね」浩美のつぶやきに一清は動揺する。
わざと仲間外れにしたんじゃないし後でごはんをあげますと
慌てて言う千沙にまた一清は笑みを浮かべた。
「あ…あのっ…お帰りになったらいちゃいちゃしましょうねぇっ!」
一清は笑みを浮かべたまま「いいですね」と一言だけ言った。
なにやらおかしい。ギャラリーたちも心配する。

ふえも敵方の動きを報告する役目を負い、続けて出ていった。
とりあえず千沙は鳥にごはんをあげることにした。

合戦がはじまる。大谷たちは敵を西側の森に誘導する事になった。
「えへへー俺きちゃったー」そこに保もやってくる。飽きれる大谷。
峯月の軍が大谷に目がいっている間に移動する浩美たち。
(あいつ…死ぬのかな)

402 :マロン名無しさん :2006/02/02(木) 06:22:22 ID:???
なんか…誰かが死にそうなんだけど誰が死ぬかがわからない…。
個人的に大谷さんが死んじゃったら号泣する。

403 :マロン名無しさん :2006/02/02(木) 22:29:19 ID:???
大谷死亡→また素直になれなかったといつのまにか惚れてたふえ号泣→そこに峯月とフラグが

404 :マロン名無しさん :2006/02/02(木) 22:49:21 ID:???
大谷さん死ぬのはすげーありそうな気がする・・・
実は一番好きなんですけどこの人・・・

405 :マロン名無しさん :2006/02/02(木) 23:25:06 ID:???
大谷じゃなくて一清が死んだりして

406 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 00:43:33 ID:???
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

407 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 00:57:04 ID:???
「戦なんてやっぱだめです〜〜」
千沙の祈りで世界は平和になりました おしまい

408 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 01:17:51 ID:???
一清は人々を苦しみから解放するため敢えて全国統一を
目指します
が、志半ばに倒れます

一清の意思を継ぎ千沙は女武将となり全国統一を
すすめるのであった


409 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 01:28:25 ID:???
ふえさまの気持ちって生きてる人だと今誰に一番あるんだろうね?
そんなに関わってないのに峯月に思い入れが強いのがちょっと違和感。

410 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 21:25:47 ID:???
峯月に対してはあくまで一和さまを重ねてるだけだと思う

411 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 21:34:39 ID:???
ところで克乃さんってすごいかっこよくないか?
個人的には、千絵さま妙香尼さまに対抗できる第3の強い女って感じなんだが。

412 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 23:16:31 ID:???
8人の子供の行方が気になる。
めちゃくちゃ偉い武将になってそう

413 :マロン名無しさん :2006/02/03(金) 23:42:55 ID:???
実は大谷が克乃さんの生き別れの息子だったりして

414 :お伽話がきこえる 第4話 1/2 :2006/02/03(金) 23:53:59 ID:???
大量の鳥たちにごはんをあげる千沙。そこにかえこが代表で苦言を呈する。
「戦場でとても不自由してる方がいるんです。そんな時に貴重な食糧
 鳥さんのごはんに使うのはどうかという意見が出ているそうです」
鳥は虫も食べる。虫ならいくら取っても誰も怒りはしないだろう。
千沙は戦場の夫を思いながら虫取りに励むのだった。

雨の中戦う大谷たち。敵の本隊は中々出てこない。「せめてこの雨さえなきゃな…」
一方、一清と浩美。浩美は恵みの雨だと天を見ながら言う。
一清は後を浩美に任せ、大谷のもとへ行く。「ついて来い!」
打ち合わせとは逆の方向に行く一清に戸惑いながらも大谷は指笛で皆に合図をする。
事前に話を聞いていなかった保は合図の意味を知らない。
「え…?合図って…?」背後から現れた敵が保の体を槍で貫いた。
大谷は文句を言いながら保を背負うが、保はもうなにも言わなかった。
一清はこの先にある沢を突っ切れと言う。偵察をしていたふえは思う。
――この戦 加賀が勝つわ
加賀軍が沢の向こう側につき、峯月の軍は沢に踏み込んできた。
そこに、鉄砲水が流れ込んできた。水圧に敵軍の半数はあっという間に流された。
水門を開いたのだ。敵が動揺した隙に弓隊が矢を射る。
こうなったら我々も弓を使おうと言う泉丸。
「…引こう。兵の動揺がひどすぎる。これ以上戦っても犠牲が増えるばかりだ」
去っていく峯月の姿を見ながら一清は英断だと評した。
もう動かない保を仲間に預け、大谷は一清に掴みかかる。
「聞いてた話と違う」 「ああ」
「騙したのか 騙したんだな!」 「……そうだ」

一旦陣に戻って立て直すのか、引き上げるのか。
いまだ雨の降る中を、ふえは続けて峯月の偵察をする。

415 :お伽話がきこえる 第4話 2/2 :2006/02/03(金) 23:56:25 ID:???
大谷を囮にする事を、一清は自分にさえ話してくれなかった。
昔の事を思い出す。ふえはよく一清たちと戦ごっこをした。一清は大将役をすると、
全て自分で仕切る。勝てるからいいものの、まるで一清一人で勝ったみたいで嫌だった。
『仮にさ負けてごらんよ。悪者は自分一人になるだろ?あいつの優しさだと思ってほしいな』
一和はそう言う。ずいぶん仲のよろしい兄弟です事、と言ったふえに一和はいつもの笑顔で言った。
『我が弟ながら強い奴だと思うよ。たまにねたましいけどね』
ふえは聞こえなかったふりをした。浸るのを自制し、偵察に集中する。
泉丸は先頭の者への伝令のために場を離れた。峯月の事を気にしながら。
仲間に肩を借りながら男が歩いてきた。「お前たちで最後か?」
「いえ後ろにもう一人」「もう死んでるよ奴はっ!」
男の乱暴な言い方を、一方の男が咎める。
「いいんだよっどうせ誰が言ったかわかりゃしねえさ
 大体あの方に大将なんて無理だったんだよっ
 ……弟…水に流されたんだ、ちくしょう」
男たちが通りすぎた後、峯月は後方の死んだ男に突き刺さっている矢を抜き、
その先を自分の首に向けた。ふえは木の棒で峯月をぶん殴る。
「ばっかじゃないの!?なに考えてんの?」
声に峯月は相手がふえだと気づく。
「戦なんだから勝とうが負けようが犠牲は出るわよ
 あなたそれでよく大将なんて偉そうな顔できたものね
 本っ当口先ばっかりのおぼっちゃんなんだからっ
 大将だから責任取るの? なんて楽な選択笑い話にもならないわね
 そういう大甘のいい子だから負けるのよもっとずるくなんなさいよ
 極悪人になりなさい なんでもいい…ともかく生きなさい」
ふえは一気にそう言うと、峯月の肩を強く掴んだ。

虫採りに精を出す千沙。侍女たちは鳥のごはんにと自分のご飯を少しだけ持ってきてくれた。
その中には克乃の姿も。鳥さんのごはんを上げる事は上手に出来るようになったと千沙は笑む。
――なんかね なんでもこんな風に上手くいくような気分になっちゃう

戻ってきた泉丸は、ふえの手首を捕らえる峯月の姿に間者を捕まえたのかと騒いだが、
峯月がもう片方の手でふえの顔に触れている事に気づき、沈黙した。

416 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 00:58:14 ID:???
終わり方が大変気まずい
いつものように千沙の能天気さで中和されるどころか
むしろ鬱さが引き立てられてる

417 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 03:10:03 ID:???
おもしろい。文句なしにおもしろいんだけどなんか色々切なくて…。

418 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 11:16:12 ID:???
戦国時代だから、戦が起きるのも人が死ぬのも当たり前なんだが
なんだかなぁ、シビアだよ。

419 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 13:55:11 ID:???
保はきっと生きている!
あんな呑気でほのぼのとしたキャラが死ぬわけない!

最後、峯月はふえの顔を知ろうと触ってただけ?
キスしたようにも見えるがそれはないよな?

420 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 15:41:51 ID:???
いやいやwwwふれただけでキスはしてねーだろwwww

421 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 17:00:35 ID:???
そんな手の早いぼ−さんはだめだろうw


422 :マロン名無しさん :2006/02/04(土) 23:56:25 ID:???
10代で還俗した峯月はおにゃのこにキスなんてした事もないしできません!

423 :マロン名無しさん :2006/02/05(日) 00:34:11 ID:???
文武両道歌舞音曲なんでも出来るなら十代でも取っかえ引っかえじゃね

424 :マロン名無しさん :2006/02/05(日) 03:17:15 ID:???
>>422
還俗したなら、キスしたって構わないぜぃw

425 :マロン名無しさん :2006/02/05(日) 03:25:36 ID:???
出家中なら男女とわずなので…

426 :マロン名無しさん :2006/02/05(日) 18:03:33 ID:???
泉丸が離れる時に心配そうだったのは峯月が自害するかもしれないと思ってたんだろうな

427 :マロン名無しさん :2006/02/05(日) 18:27:47 ID:???
泉丸、実はいい子なんだな

428 :マロン名無しさん :2006/02/05(日) 22:22:57 ID:???
自覚のないドジッ子の峯月を密かに支援してるんだろうな。


429 :お伽話がきこえる 第5話 1/3 :2006/02/05(日) 23:59:26 ID:???
大谷が囮に使われ保他大谷の仲間が大勢死亡、ふえが行方不明。
なんだか泥沼な状況。出迎えにいく千沙を心配するかえこ。
「男のいいわけは女がしてやるもんなんですよ」克乃はにっこりと笑った。

戦に勝って喜ぶ民人たち。犠牲になったのは結局大谷たちだけだ。
当然の事だ。逆だったら領主ではない。一清は自分のやるべき事をやっただけだ。
「兄ぃは殿さんのやるべき事に入ってなかった。そーゆー事だな」
大谷は加賀を出ると一清に宣言する。使い捨てのコマだと大谷を評する浩美。
「囮はね自分たちにとっても大切な人間でなくては失敗する確率が高いんです
 使い捨てでは相手を騙す事はできません」そこに千沙が出迎えにくる。
一清の無事な姿にまったりした微笑みを見せ、状況わかってるのかと大谷は怒る。
「あ…大谷さん聞いたわ。大変だったわね。でもよかったv
 大谷さんあんまり変わった様子なくって」満面の笑みを向ける千沙に、
所詮上の者は勝手だ、自分さえ良ければいいのだと大谷は憤る。
「え?ダメなんですか?だってすごくすごく心配したんですよ。
 帰って来て下さってうれしくなかったら嘘じゃないですか。
 ただ大谷さんの事とかふえさまの事とか考えると
 幸せに浸りきれないのがくやしいです。
 他の人がつらい思いしているとどっぷり幸せになりたくても
 どっか一か所欠けちゃうじゃないですか。
 だから ね? 大谷さん早く元気になってくださいね」
千沙と大谷はいつものような言い合いをし、場に和やかな雰囲気が。
しかし大谷はあくまでも加賀を出るつもりだと言う。出立は明朝。

その夜。深刻な一清に対しても千沙は喜びの笑みを抑えられない。
「ごめんなさいはしゃぎすぎだってわかってるんですよ。
 でもね目の前に喜びがあると顔が〜〜〜」
その様子に一清も笑う。「あなたはまず笑うんですね。何よりも先に」
――わがままに 我がままに そんな生き方もあるのだと姫君は言う
   やり直しはできるのだと姫君は言う そして
   まわりの幸せを願うのは自分が幸せになりたいからだと
   まず自分が幸せになろう

430 :お伽話がきこえる 第5話 2/3 :2006/02/06(月) 00:00:59 ID:???
昼間、大谷の件にかかり切りのかえこに完全スルーされた浩美。
「囮まかされたからっていい気になるなっ
 僕がもっと早く来てれば任されてたのは僕だったんだっ
 おっ…お前なんかが僕より頼られてるなんて信じないからなっ」
酔って絡んでくる大谷にそう泣き叫びながら去っていった。
ずいぶんと皆に気に入られてるのに何故出て行くのだと仲間が大谷に聞く。
保の事を気にしているわけではない。
「…ただ保は俺の事を恨む権利がある。
 姫さんが殿さんの無事喜ぶ権利があるように。
 そして 俺には殿さんを怒る権利があると思わねェ?」
例えば、女が浮気をしたとする。男は怒って明日家を出るという。
でも本当に怒っていたなら明日などと言わずその場で立つはずだ。
「この場合泣いて引きとめるのが女の義務ってモンじゃねえ?」
その会話をこっそり聞いている浩美。

翌朝。浩美は千沙に昨夜大谷が言っていた事を知らせる。
すぐに大谷のもとへ走る千沙。追うかえこを浩美は引きとめる。
「覚えとけっ僕だって頼りになるんだからなっ!」

その頃一清は大谷を引きとめていたが、回りくどすぎてあまり通じていなかった。
「言いたい事があるならはっきり言え!」とうとう大谷は怒り出す。
そこにやって来る千沙。「大谷さん行っちゃだめです! いなくなったら泣いちゃいますよ!」
あれっくらい言うもんだろうと大谷は怒鳴る。「やっぱりそうです!泣けばいいんです!」
千沙に言われ、泣こうとする一清。泣くの前の台詞だよと大谷は突っ込む。
「引きとめられたな、兄ぃ」仲間は大谷の肩をぽんと叩く。
仲間たちはまとまった金も手に入ったしとりあえずは出て行くという。
大谷は去っていく仲間たちに手をふる。加賀に残ることにした。
狙った女を落とさない事には出て行けないと大谷は言う。
「わあ!じゃあ大谷さん一生ここにいてくれるんだ」
空気のよめない千沙は双子に連行されていった。

431 :お伽話がきこえる 第5話 3/3 :2006/02/06(月) 00:01:51 ID:???
「とゆー事で俺もふえさん捜索加わっていいだろ?」
囮作戦の事で良心が痛んで隠れているのではという大谷に、
ふえは何も知らなかったと一清は言う。恨みを買うのは自分一人でいいからと。
「あんたの責任感には感服するけどさ それって何て言うか知ってる?
 誰も信じてないってゆーんだぜ。な
 んだ俺だけじゃないのか
 あんた実は心底誰の事も信じちゃいねェ
 ヒロミちゃんもこの国の人もふえさんも 姫さんさえも」
そんなこと…一清は息を荒げ否定しようとした。


その頃ふえは、牢の中に入れられていた。
なんであんな事をしたんだろう人生最大の失敗、一生の不覚と後悔する。
そこに、牢の鍵をあける音がした。牢の外には泉丸と峯月がいた。

432 :マロン名無しさん :2006/02/06(月) 01:09:14 ID:???
気のせいかふえの髪型が乱れている。ハァハァ

433 :マロン名無しさん :2006/02/06(月) 07:41:08 ID:???
ヒロミちゃんカワユスw
千沙ひでーw

434 :マロン名無しさん :2006/02/06(月) 07:51:57 ID:???
大谷さんあの状況でよく残ったな
よっぽど加賀が好きなんだな

435 :マロン名無しさん :2006/02/06(月) 20:39:33 ID:???
最後ホウゲツ達、ふえさまに何するつもりなのかしら
ぶっちゃけホーゲツはふえさまが好きなのか?

436 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 01:25:39 ID:???
フラグが立ったように見せかけてあっさり殺されたり…

437 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 01:53:58 ID:???
保も「まさか〜w」とか思ってたけど死んじゃったしね
でも峯月にふえは殺せないだろう
殺しちゃったら本気で出家して一生引きずりそう

438 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 02:47:01 ID:???
ヒロミちゃんカワイイなw
やればできるところをもっと見せるんだ!


439 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 03:06:20 ID:???
エッチ!僕のどこをみせろって?

440 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 04:06:36 ID:???
艶かしい肩……ゲフンゲフン

峯月はふえを生かそうとするが、
世間の目があるし加賀軍の前で見せしめに殺すとかいう展開に…

441 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 11:06:31 ID:???
保を殺さなかった峯月がふえを殺せるとは到底思えない…

442 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 11:21:25 ID:???
峯月はふえさんをどうするつもりなんだろう。
加賀の家臣の一人でしかないふえさんには
人質としての価値は無いのかな。

443 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 12:27:03 ID:???
でもふえさんてかなり加賀に重要だよね
bQじゃない?間者だし
加賀って若造ばっかりで政してるけど年寄衆はいないのか?

444 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 12:32:46 ID:???
使えそうな年寄りは以前に皆殺しにされてるんじゃないか

445 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 12:58:40 ID:???
bP 一清
bQ ふえ
bR 大谷  かな?
うっすいな〜戦国時代によう生き残れてるな

446 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 14:57:49 ID:???
他の国から見ればNO.2の位置には千沙が居るんじゃないかと言ってみる。
……一応言ってみただけですw

それはそれとして浩美ちゃんとかえこが可愛いー。
シリアスな展開の中、今回ばかりは千沙のボケよりこの二人に癒された。


447 :マロン名無しさん :2006/02/07(火) 18:38:51 ID:???
浩美ちゃん、初登場時は言うこと聞かない家臣を殺すくらい
かなり黒かったのに
さいきんギャグ体形ばっかりね

448 :お伽話がきこえる 第6話 1/2 :2006/02/08(水) 00:02:02 ID:???
牢の中に入って行く峯月。尋問は中に入らなくても出来るのに。
もしや口では出来ない尋問かと泉丸は一人で赤面する。
「安心しろ私は僧籍だ」峯月は何故か泉丸の心を見通している。
「何を考えているのかわからないのは好きじゃない。この女といい安住さまといい」
峯月の顔には傷がついていた。安住に殴られたのだ。
『ずいぶんと情けない敗北だな。悔しかろう。腹か? 頭か? 心の臓か?
 怒りで締めつけられんか? 骨が軋むだろう? その痛み忘れるな』
処分を下さないのかと訊ねる峯月に安住は好きにしろと言った。
『自分の失敗の清算を他人に求めるな。
 ただ死をもって清算するなどと儂をあきれさせる事はするなよ』
雨の中、峯月は矢で喉を突こうとした。それをふえが止めた。
こちらに取り入って何をする気だ、寝返りかと峯月は詰問する。
「違うわよ」「敵を助ける間者がどこにいるっ」ふえは髪の結い紐を解き立ちあがる。
「間者は廃業! もう帰れないわね。それでもいやだったのよ どうしても
 当たり前みたいに死ぬのを見るのが」
愚かだと言う峯月に、それでも悪い気分じゃないとふえは言った。
使い道は後で考えると言い残して去って行く峯月と泉丸。
『助ける』とはどういう事だと泉丸が聞いてきたが、峯月は答えなかった。
男たちが峯月について話していた。
「身を引くなりして自分から責任取ろうなんて思わないのかね」
「あの体じゃあ無理だって事はっきりしたじゃないか」
心配そうな泉丸に峯月は言う。「勝てばいいんだな、どんな事をしても」

峯月で遊んで愉快な様子の安住に、何が楽しいんだかと千絵は訊ねる。
「見所はむしろこれからよ。身体の記憶が人を変える。
 鎧の重さ 足のぬかるみ 血の臭い 胃に澱むような敗北感
 人々の蔑む視線 耳につく噂声 皮膚感覚は知識より強い
 あれがどう変わるかなかなかの見物だと思わんか?」
年は取りたくないものだ、人をここまで妖怪変化にさせるとは。
飽きれたようにつぶやく千絵を、年月を経ても変わらぬ美しさだと安住は褒め称える。
「だってあなた老いた女はお嫌いですから」どっちが妖怪変化だ。

449 :お伽話がきこえる 第6話 2/2 :2006/02/08(水) 00:03:25 ID:???
朝起きて、隣に手を伸ばせば一清のぬくもりが…
そんなシチュエーションに千沙は憧れていたのだが、本日も敗退だった。
はじめは『目指せ!寝顔』だったのだが段々目標が下がってきている。
「だからね鳥さんの教訓≠ネのよこれが」
鳥に少し残したごはんをあげる事から、自分に出来る事から
コツコツやるのを『鳥さんの教育』と最近言うようになったのだ。

大谷が保の墓参りに行ったので千沙もついていく。
保が死んだという実感が千沙にはない。もしかしたら拗ねてどこかに行ってしまっただけでは…
「姫さん。死体ってのは生きてる人間より重いって知ってた? 保はでかかったから運ぶの大変だったぜ」
大きな体の保の顔を見るには、首がくんっとなるぐらい見上げなければならなかった。
その時のように首をくんっとしたら、なんだか急にぽっかりした気分になった。
――そっか いないんだ もう
そこにやってくる一清。ふえは行方不明のままだと大谷は告げる。
もしもふえが敵に捕まっていた場合は、敵は人質と交換に降伏を要求するだろう。
もしそうなったら、ふえを見捨てるのだろうと大谷は言う。
「あ  動  い  た  」 空気を読まずに千沙がお腹をさわりながら言う。
これがおっきくなるとこうなるのかなーと千沙はかえこの頭を抱きかかえる。
一清は真似して大谷の頭を乱暴に抱えた。「なめるなっ誰が見捨てるか」
ともかく、ふえの捜索は続けられる事となった。
「あの…動いたんですけど」千沙は一清の着物の裾を掴んで言う。
いつの間にやらギャラリーが集まっているのでひとまず退散する事に。
最近館中が姫さま化していて恐ろしいと双子は語り合った。

そして数ヶ月後。
千沙のお腹はだいぶ大きくなり、ちょっとした行動にも一清はあたふたとしていた。
千沙は千沙でそんな一清の態度を面白がり遊んでいた。
訪ねて来た浩美に千沙はお腹をさわらせる。
「姫さま初恋を粉砕してるね」「石臼で粉にしてるんじゃない?」
田んぼが忙しい時期も終わったし、また戦がはじまると浩美は笑顔でいう。
千沙はその言葉に凍りつく。
「すっごい武勲立ててやるからね 僕 見てて千沙ちゃん」

450 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 00:22:44 ID:???
ちょっと千沙が呑気すぎてイラついてきたかも
保死んでんだぞ
ふえさま行方不明なんだぞ
空気よめよ

451 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 00:25:44 ID:???
千沙が不幸になる前振りかも。
昼メロのように流産しちゃったりとか


いやいや、あまりにも状況が暗すぎるから
千沙だけはイラつくほどに呑気でいてほしい

452 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 00:48:27 ID:???
確かに少女漫画と思えないくらい暗いよね
千沙が呑気すぎて忘れてたわw

千沙イラつくけど、「お前も不幸になれ!」と思わせないところが
彼女の魅力だな

453 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 01:10:29 ID:???
峯月がどんどん可愛くなっていく件について

454 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 01:20:29 ID:???
>もしや口では出来ない尋問かと泉丸は一人で赤面する

私もおんなじこと考えてたよ泉丸

455 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 01:49:08 ID:???
>どっちが妖怪変化だ。
この夫婦いいなあw好きだ。

456 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 09:14:46 ID:???
安住夫妻の若い頃って想像できないな
一清と千沙も年を取ったらあんな風になってしまうのだろうか((((´・ω・`))))

457 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 09:53:34 ID:???
やっぱりパパが好き

458 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 21:37:39 ID:???
とりあえずのところ、ふえさんに身の危険はなさそうだな。


459 :マロン名無しさん :2006/02/08(水) 22:59:19 ID:???
>「なめるなっ誰が見捨てるか」

やっぱふえ様は特別なんですね、一清様。
大谷さんは捨て駒にしたのに

460 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 00:28:26 ID:???
その言い方だとふえが愛人かなんかみたいじゃまいか

大谷さんの事を後悔したりした上での発言だと思う

461 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 00:42:06 ID:???
なんとなく一清の筆おろしはふえがしたのだと邪推する
嫁もらって初めてじゃ殿様として恥ずかしいし
そこらへんの娘よりやっぱふえねえさまでしょ

462 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 00:50:42 ID:???
いやーそこらへんの娘じゃないのか?
ふえさま完全に家来化っぽいし
一和さまの弟じゃ生々しすぎる。

463 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 01:01:25 ID:???
全く性の香りがしない漫画のそういう部分て
本当に未知。

464 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 01:14:06 ID:???
ってかふえさまって処(ry


465 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 01:16:51 ID:???
主要人物で確実に「済」なのは大谷さんと一清と千沙ぐらいだろう
峯月は…微妙。女より「自分」が好きな少年時代をおくってそうだし

466 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 01:59:44 ID:???
一清のはじめての相手は千沙です!
少女漫画だからそこは譲れません!
ふえも一和に操を捧げています!



峯月は浩美に…

467 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 02:39:16 ID:???
いや−峯月は済でしょ−。知らない自分は許せなさそう、若い頃の峯月。

一清の初めてが千沙、はいいと思うんだけど誰か知識を教える人はいたんだろうか…?

468 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 02:55:19 ID:???
兵法書で学んだ時のようなノリで本で性知識を学んだんだよ。

469 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 03:08:50 ID:???
性愛奥義 とかそんな本か。
重要文化財だな。

470 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 03:12:50 ID:???
「でも気分は悪くないわ」
のふえさまカコイイ(・∀・ )!!

471 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 04:48:17 ID:???
大谷さんの女性遍歴どうなんだろうな。
確実に女より男にもてる(変な意味ではなく)タイプと思うんだが。 
大谷さんの過去話読みたいな−。

472 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 10:24:16 ID:???
>>468
そうかもw

大谷は岬の頭だったんだから、常に女はべらせてたイメージ。
でもやっぱ女は高貴なのがいいな、と

473 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 13:23:03 ID:???
安住のサドっぷりに唖然
どうやって千沙みたいな娘が育ったんだ


474 :マロン名無しさん :2006/02/09(木) 19:21:45 ID:???
「遊び」にしてはひどすぎるよね安住様。
国と国の問題だぞ

475 :お伽話がきこえる 第7話 1/3 :2006/02/10(金) 00:12:36 ID:???
過日の勝利により、加賀にはかなりの援軍が集まっている。
峯月の軍は以前のような数の有利は期待できない。
「条件が同じなら私に勝ち目がないと皆が噂している事は知っています。
 お任せ下さい。私を見くびっている者たちに必ず目にものを見せてやります」
そう誓う峯月に向かい、安住は「つまらん」と連呼する。
「貴様おもしろくなるどころかますますつまらなくなったわ。
 結局貴様の目は己すら映さんのか。せめて言葉通り勝ってこい。
 さもなくばその僧服が一番似合うところに叩き返してやるわ」

ふえは捕らわれてから数ヶ月、すっかり柵越しに泉丸と茶を飲むのが日常となった。
峯月を助けたふえを、泉丸はすっかり気に入ったようだ。
自分のやった事は全く間違っているというわけではないんだとふえは安心する。
道ならぬ恋ですか〜とからかいつつ、峯月さまはお勧めですと泉丸は言う。
「だってお姉さんに尋問はしても拷問とかはしなかったでしょ?
 恐そうに見えるのは人から哀れみをかけられるのが嫌いなだけなんです」
和やかな雰囲気の二人のもとへ、峯月がやって来た。
「この女を戦場に連れて行く。杭にでもくくりつければ矢よけの盾になる
 ならなくても敵の士気を削ぐくらいにはなるだろう」
正気かと泉丸は問う。そんな正真正銘悪役みたいな事はやめようと訴える。
やっぱり峯月は重箱の隅をつつくようなセコい手じゃなくちゃいけない。
例えば士気を削ぐならふえの裸の絵をばらまくとか、戦場でふえと婚約発表するとか。
きっとセコすぎてみんなメロメロに……「やめんか。泉丸こんどはいくら欲しいんだ?」
そう言う峯月を、ふえは「つまらない人」だと言った。
「頭ががちがちだって言ったの。泉丸くんの気持ちがよっくわかったわ。
 自分では強がって見せててもそれって傍から見ればとても もろく見えるのよね」
ふえは持っていた茶碗を床に落とす。茶碗は割れる音が響く。

「あの女本当に加賀の名の知られた間者か?
 寝返る気もなく敵を助ける 脱走する気配も見せない
 戦に利用されて当然の事だろうにそれさえ非難する
 支離滅裂じゃないか …なのに何故 安住さまと同じ事を言うんだ?」

476 :お伽話がきこえる 第7話 2/3 :2006/02/10(金) 00:15:33 ID:???
「戦なんて やらない行かない起こらない そういう用なら帰ってよヒロミちゃん」
千沙の暴言をかえこは激しく批判する。千沙は泣き出す。
「…わかってるけど…やなんだもん だってふえさま帰ってこなかったんだよ?
 保さん死んじゃったんだよ? ねェやじゃないの? どうして同じ事またするの?」
千沙の泣き声が館中に響く。浩美がどんな言葉をかけようと千沙は泣き止まない。
浩美に呼ばれてやって来た一清。
「なんとかしろよっお前を心配して泣いてるんだからっ」
だいぶ慣れた様子の一清は、千沙の頬に触れ泣き止ませた。
例の如くギャラリーが集まってきているので、館の外に千沙を連れて行った。
新展開だとついていこうとする大谷たちに、ついて来るなと一清は睨みをきかせる。

残された浩美はしゅんとする。自分だって頑張っているがなにも出来ないと。
かえこ「出番じゃないんですよ」 きえこ「まだ 浩美さまの出番じゃないんですよ」
か「大丈夫 昔よりずっとましですから」 き「昔よりずっとしっかりされてきてるよね」
か「浩美さまの出番はきっと来ますって」 き「その時思いっきりがんばればいいんですよ」
双子にはさまれそう言われ、照れる浩美。両手に花かよと大谷はぐれた。

ようやく人気のないところまで辿りついた一清と千沙。
道程で一清は千沙のお腹の子供を心配しまくる。代わりに身篭れたらいいのだがとまで言い出す。
腹の大きい一清を一瞬想像して千沙はぞっとする。
「苦手なんですね 人に任せるのが。なにかあった時慰め方を知らなくて。
 昔…自分のせいで自分をかばって人がたくさん死んでしまった事があって…
 それからは自分がやらねば自分がしっかりせねばとそればかりで…
 …だから決して信じてないわけじゃないんですが。」
子供だけはどうにもならないので、もどかしいやら何やら。
ちょっと遊びすぎたかもしれないと千沙は反省する。
「任せるの苦手って他人にでしょ? 千沙は他人じゃないですから」
一清は千沙を抱きしめる。腕の中で、戦をやめましょうと千沙は尚も言う。
わがままだけど、小さい子に逆戻りしたみたいだけど、すごく嫌なんですと泣く。

477 :お伽話がきこえる 第7話 3/3 :2006/02/10(金) 00:17:21 ID:???
「逆ですよ。思いを実現する為に大人になるんです。
 大人になるために思いを殺すんじゃないんです。
 いろんな事を見ていろんな事を知って形になった思いはなにより正しい。
 だからその思いは本当なのでしょう
 …ただ国も人もそのままで戦をやめられるか今の私にはわからない」
まだ子供という事でしょうか、と一清は言う。
――気付いていますか あなたの言葉です あなたが教えてくれたんですよ
「じゃあ千沙がわがまま引っこめなきゃだめじゃないですか。
 お父さんもお母さんも子供じゃあ 赤さん可哀相です」
名前を決めなきゃいけませんね、そう言う一清に宿題にしますと千沙は言った。
帰ってきて下さい、それまでおあずけですと。

 不思議でした
 みんなを困らせる千沙のわがままが いつの間にか
 一清さまの中でとてもきれいな言葉になっていました
 千沙は 一清さまの奥さまの場所に ちゃんといるんだなぁと思いました


戦の日。
あれからどうなったんだと大谷に聞かれるが一清はノーコメントを貫く。
絶対また怒らせたんだと浩美は言う。
「だってさっきあいさつ行ったら千沙ちゃんなんて言ったと思う? ご武運をお祈りします だよ?」
それが普通なのだが、千沙の場合は別だ。相当怒ってるなと大谷は言う。
そこに侍女たちが走ってきてコーラスした。
「姫さまからの伝言でーす お帰りになったら  ま  た  いちゃいちゃしましょうねーっ ですって」
すっ転ぶ一清。おおーとどよめき人々は拍手した。

一清がすっ転んでたと聞いて千沙は喜んだ。前回みたいに無理はしてないようだ。
兵の士気を考えた事はあるのかと克乃は呆れながら、館の姫君化を実感した。
千沙が腹に痛みを感じた。陣痛だ。これからどんどん間隔が狭くなり痛みも増してくる。
「えっやだっ」克乃の説明に千沙は飛びあがった。

478 :マロン名無しさん :2006/02/10(金) 00:33:14 ID:???
今まで千沙よりも一清やふえの方が主人公っぽいと思ってたけど
ちゃんと千沙も主人公なんだと実感した。

479 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 00:52:32 ID:???
ふえさまー逃げて逃げて

480 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 00:59:53 ID:???
イチャイチャしてる二人セツナス…
一清様、死んだらいけえぇぇえん(男たちのYAMATOより)

481 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 01:03:45 ID:???
> 一清がすっ転んでたと聞いて千沙は喜んだ。前回みたいに無理はしてないようだ。

なんつー計り方w

482 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 02:55:26 ID:???
「宿題にします」
可愛いこと言うなぁ千沙。一清、ちゃんと無事に帰ってくるんだぞ。
自分の父親と旦那の戦いか…。考えてみると千沙も辛いんだよな。只でさえ妊娠中で情緒不安定にもなるだろうに。
幸せになってもらいたいなぁ。
そしてやっぱりなごませてくれる浩美ちゃんw

483 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 03:26:27 ID:???
でも「帰ってきたら子供に名前をつける」系の発言をしたキャラって死ぬのがセオリーじゃね?

484 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 06:52:15 ID:???
そんなキャラがそんなにおもいつかないんだが…

485 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 12:28:20 ID:???
www

死ぬのはやだよー
一清様死んじゃったら何もかも終わりな気がする

486 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 12:53:09 ID:???
浩美ちゃん、両手に花?
かえこフラグ確定だと思ったんだけど・・・

一清さまちゃんと帰ってきてー。

487 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 13:26:17 ID:???
確かに一清さま死亡フラグ?とちょっと思ったよ。
この作家、ほかの作品知らないんだけど死なせたりもありなの?((((;゚д゚)))

488 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 13:54:03 ID:???
今のところ死んでないと思う。
タイムスリップしたまま帰ってこなかった話はあったなあ


489 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 15:50:32 ID:???
なんだかんだで戦国時代だからね

490 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 17:02:14 ID:???
>>488
時間旋律も悲しくない、ハッピーエンドって言っていい気がするのにすごく切ないよな。大好きな話だ。

重要人物はまだ死んだことない気がするけど「一鬼夜行」での舎人の殺し方を見ると、誰か死んでもおかしくはないかも。
超脇役をあんな効果的に殺した漫画はなかなかないぞ。

491 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 20:26:20 ID:???
安住様やふえ様の言う峯月の「つまらなさ」がイマイチわからないんだが
どーいうこと?

492 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/10(金) 23:17:49 ID:???
>>491
思考がガチガチに凝り固まってて周りが見えてないところじゃないだろうか。
人それぞれ解釈は違うと思うけど。

493 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 01:09:00 ID:???
あの時代じゃそれが当たり前なのにあちこちから
パコパコ叩かれる峯月テラカワイソス

494 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 06:46:03 ID:???
むしろ他のキャラの思考が柔軟すぎるんだよな
しかし天下の窺う男の周囲なのだからそれが当然なのかも知れん

495 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 12:32:35 ID:???
でも殴ってくれた安住様に愛を感じた

496 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 14:15:49 ID:???
陣痛か…想像妊娠じゃなかったんだな

497 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 18:22:11 ID:???
想像妊娠ww
しかもありそうなキャラだしw

498 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 22:48:38 ID:???
子ども男の子女の子どっちが生まれるのかなー?
双子ってことはないよな。
そして素敵なネーミングセンスの一清に「菊」以上にまともな名前はつけられるのか・・・。

499 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 23:00:43 ID:???
男のほうが国としては喜ばしいんだろうね
お世継ぎという面でも、千沙みたいな娘になったらという恐ろしさから考えても・・・

500 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 23:18:19 ID:???
女で泉丸の嫁になる

501 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 23:23:39 ID:???
ええ?

502 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 23:32:49 ID:???
生れるのは三つ子の女の子ですよ
小夏、小秋、小冬と名付けられます


503 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/11(土) 23:54:17 ID:???
なぜ小春がいないのか

504 :お伽話がきこえる 第8話 1/3 :2006/02/11(土) 23:56:43 ID:???
縄で拘束されたふえは馬に乗せられる。兵たちはふえを見ながら口々に言う。
間者なら人質にもならないはずなのに、同じ殺すなら敵の前でという事か。
「悲惨だな そこまでするか」「なんかやだよなあ あの坊さんの下で動くの」
その夜。待機中下ろされたふえは茶碗のかけらで縄を少しずつ切っていく。
一清に迷惑はかけられない。逃げなければ。だが、逃げてどうすればいいのだろう。
――あたしのした事は傍から見れば裏切り行為だもの 今更帰れない
   あたしは間違った事をしたんだ 何一つ変わらない無意味な事を
泉丸が近づく。ばれたかと身を構えるふえに、泉丸はにっこりと笑った。
「…お姉さんは自力で逃げるんです。オイラ気付かないだけです。
 別にこんな卑怯な手使わなくたって峯月さま勝てるんです」
常識で考えたら裏切りよ、そう言うふえにお互い様だと泉丸は笑う。

 気持ちは常識と相性が悪い
 こうしたい こうだといいな 世界はいつもそんな思いと逆を示す


明朝。一清たちの兵は援軍と合流しようとしていたが、その前に敵が近づいてきた。
左右に分かれ弓で敵をかく乱させ、敵を分散させた後に合流地点に行く事にした。
その最中、ふえがとうとう縄を切り逃げ出した。弓の攻撃のせいもあり敵は浮き足立つ。
「惑わされるんじゃないっ兵力ではこちらが上だっ
 ニ陣三陣は右を残りは左っ挟まれてると思うな目の前の敵を相手しろっ」
峯月の指示で落ちつきを取り戻す。見直したと口々に兵たちは言う。
やりましたね、と誉める泉丸を峯月は鋭く睨みつけた。
大谷はふえを保護しようとするが、ふえは泣きそうな顔を見せ逃げ出してしまった。
ふえの後を追うのは一旦諦め、敵の足並みがそろってきたので引くことにした。

「見えないと思ってお前まで私を愚弄していたんだな」
峯月は泉丸を殴った。そこに、また捕まえられたふえを連れて兵がやってきた。
ふえは腫れた泉丸の顔に目を見張った。


 世界は思いを拒絶する

505 :お伽話がきこえる 第8話 2/3 :2006/02/11(土) 23:58:47 ID:???
『戦なんてやです 死んじゃうのなんてやですね』
一清は敵を斬りながら千沙の言葉を思い出す。
――そうですね 敵であろうと味方であろうと嫌ですね
   思いを殺さないと 生きてはいけないんでしょうか
下の方に、ふえがいた。傍には峯月と数人の兵も。
一清は鎧を外す。勝負は一瞬になる。身は軽い方がいい。
「どうしたんだよ今そんなことしてる場合かよ!
 千沙ちゃんだって気にしてたけど…でも所詮たかが間者だろ!
 お前は君主だぞ代わりはいないんだぞっ」
そう叫び引きとめようとする浩美の耳元に一清は囁きかけ、そしてふえを助けに行った。

峯月は、ふえに泉丸をいくらで買ったのだと聞く。
「欠けたところがあると誰でもそこに付け込むものなんだな。
 拾ってやる前はただの寺の小僧だったこいつでさえ」
どうして泉丸を信じないのだと叫ぶふえ。
「お前を逃がしたという厳然たる裏切り行為を前にしてか!?」
「…それでも信じるってしないから…あなたに欠けてるのは気持ちだわ!」


 どうして? 思いは事実は勝てないの?


そこに飛び込んでくる一清。峯月と一清は刀を向け合う。
「右です 後ろ三歩まで足場行けます! 左そこまで雑木です障害なし」
泉丸の言葉を聞きながら戦う峯月。一清は言う。
「…いい目を持ってるな」



506 :お伽話がきこえる 第8話 3/3 :2006/02/12(日) 00:00:50 ID:???
その頃加賀では、千沙の出産に皆が浮かれていた。子供は女の子だった。
浩美さまどんな反応するかなと呑気に言うきえこ。呆れるかえこ。
双子はじゃれあいながら、一清さまが帰ってきたらびっくりするだろうねと笑いあう。


逃げたふえに斬りかかろうとする男に気を取られ、一清は峯月に肩斬られた。
血がこぼれ落ちる。
「は…しくじった」


この国を守るのがあなたの仕事ですよ
 その日からひとりになった 人を欺いたり犠牲にしたり
 運命に思いを喰まれるのは一人で十分だと思っていた
 苦しかったよ ずっと けど…


千沙の顔が脳裏に浮かぶ。
「伝言…浩美殿に…役…立つな…」


 一人では嘆くしかないけど 二人なら立ち向かえる
 恐いけど 苦労かけるのは苦しいけど あなたなら受け入れてくれる
 そのかわり なにがあっても どんな事になっても
 あなたの選んだ道ならすべて受け入れよう それが信じるという事


「姫君にすべて…任せます」
一清は倒れた。浩美は青ざめながら見ている事しかできなかった。
鬨の声が上がった。


507 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:02:39 ID:???
え?一清さま…?

508 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:06:55 ID:???
一和さまと天国で仲良くしてね(;Д;)

509 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:08:29 ID:???
あーん!一清様が死んだ!
一清さまよいしょ本&一清さまF.Cつくろー!って思ってたのに…
くすん…君主薄命だ…

・゚・(ノД`)・゚・うっうっう…ひどいよお…ふえーん!!
この間「今、時代は加賀だ!」の葉書きを出してまだ2週間じゃないですか!
どーして、どーして!?あれで終わり!?嘘でしょ!?
信じられないよおっあんな坊主ごときに殺られるなんてっ!!
一和様と差がありすぎるわっ!!生き還りますよね?ね?ね?
……泣いてやるぅ・゚・(ノД`)・゚・

私はあのおそろしく鈍い彼が(たとえ口下手でもさ!ヘン!)大好きだったんですよっ!!
一清さまあっ!死んじゃ嫌だああああああっ!!
先生のカバッ!!え〜ん・゚・(ノД`)・゚・

510 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:19:56 ID:???
読んだ直後は切なかったのに>>509にわろってしまった

511 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:26:14 ID:???
浩美ちゃん、何やってんのじゃ!
助けにいかんかい!

512 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:27:46 ID:???
浩美はマザコンっぽいからなあ…ママンがいないと役立たずなんじゃね?

513 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:33:36 ID:???
一清死亡確定なのか?そんなことないよな…?

514 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:36:05 ID:???
私、浩美ちゃん嫌いだ


515 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:53:48 ID:???
こんな時になんですが、無事ご出産おめでとうございます。

516 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 00:57:06 ID:???
 一人では嘆くしかないけど 二人なら立ち向かえる
 恐いけど 苦労かけるのは苦しいけど あなたなら受け入れてくれる
 そのかわり なにがあっても どんな事になっても
 あなたの選んだ道ならすべて受け入れよう それが信じるという事

(ノД`)・゚・
ごめんよ一清様・・・。ふえ様助けに行ったとき「千沙よりふえかよ!!!」って思ってしまったよ・・・。
とりあえずパパになったんだから死なないでください。
そして浩美ちゃん、早く助けに行けよ。






517 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:03:51 ID:???
>>515

お前冷静だなw
そうだね、おめでとう姫。
女の子でしたか。

518 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:08:05 ID:???
「は…しくじった」

案外余裕な気がするから死んではないと思う。
この後峯月にとどめをさされなければの話だが。

519 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:12:00 ID:???
>>517
いや、一清様死んじゃったかもしれないことにびっくりしたけど、
姫生まれたのはめでたいし!
と思ったら変に冷静な書き込みになっちゃったんだよ。

鬨の声あがったってことはこの後一清の首がとられてもおかしくはないわけで・・・ガクガクブルブル


520 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:14:19 ID:???
出会った時は生首をもっていたあの人が、最後には生首になっていました

521 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:16:31 ID:???
峯月に一清さまが殺せるだろうか
目の前で殺しちゃったらふえ様この後ブチ切れるだろうな

522 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:24:18 ID:???
たしかにふえ様のほうが浩美ちゃんより役にたちそうだ!がんばれふえ様!

523 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:33:43 ID:???
でもこの事態を招いたのはふえ様とも言えるわけで
誰でもいいから一清様を助けてくれ・・・

524 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 01:43:12 ID:???
背中側斬られてたからまだいけそうな気もするが
鬨の声が気になるよね…
あれ「敵をやっつけたぞー」ってことでしょ?

525 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 02:13:18 ID:???
一清さまはふえさん取り戻して帰ってくるつもりだったんだろうか?

526 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 03:06:18 ID:???
一気に読んだら>>515で噴いた

527 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 03:07:42 ID:???
>>524
でも時代劇なんかじゃ背中ばっさり=死亡だよ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

528 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 03:34:18 ID:???
あんな男だらけの場所に縛られた美女がいるなんて
イケない事を想像してしまう俺ガイル

529 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 09:43:15 ID:???
それはだめ

530 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 10:54:39 ID:???
いまジャンプでは敵ですら殺さないという風潮ができ、
なんだか最近それが悪い方向に行って生温い展開になりつつあるけど
このマンガはバッさバッさ人をきってて現実的だ

531 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 11:00:03 ID:???
今年のバレンタインは生首チョコレートで彼のハートをげっと♪

532 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 11:18:24 ID:???
まさか少女マンガだし死なないよなあ、とタカを括りながらも、
時々少女マンガらしからぬ黒い展開を見せるこの作者さんのことだから信用ならない、とガクブルする俺ガイル。

533 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 11:45:11 ID:???
加賀の国は一清様が一人で支えているようなものだから、
一清様死んだらこの話もおわっちゃうな。千沙に政治ができるとは思えないし。

534 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 11:54:07 ID:???
まあ、実務自体はふえ様と大谷さんがいれば何とかなるだろうけど
この二人がパパンに対抗できるとはとても思えんな

535 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 12:07:15 ID:???
みんな「加賀様」に仕えてただけだから
一清様いなくなったら終わりでしょ

536 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 12:32:44 ID:???
そこは今流行の女系天皇…ゲフンゲフン女性領主ってことで赤さんが加賀さまに。

537 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 12:43:31 ID:???
>>534
実務にはお局様も必要です。

538 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 12:54:37 ID:???
赤ちゃんが男の子なら新展開も望めたが
女の子じゃなぁ

539 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 13:08:05 ID:???
でも男だったら物凄い勢いで安住様に奪われそうジャマイカ?
直系の後継ぎ万歳って。

540 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 15:53:43 ID:???
次回は15年後。
千紗ばりのおてんば姫が男のふりをして
日本を治める第二部が始まります。
背後には嘘みたいに落ち着いた尼様…あれは千紗か?!

541 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 17:09:02 ID:???
千紗と一清との間に生れたのはかわいらしいお姫さま
でも、生れるときに神様の使いが間違って男の子の魂を渡してしまったから
さあ大変
これからどうなるのかしら

てなノリだろか

542 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 17:24:12 ID:???
えっ・・・みんな一清死亡確定で話してる!?

543 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 18:21:17 ID:???
>>540
>>541
これが少年漫画ならそんな展開で第二部の幕開け、
単行本は32巻までいくな

544 :@自治スレにて板設定変更議論中 :2006/02/12(日) 18:21:35 ID:???
死んでないと思ってる
峯月が迷わず首を取れるような男だと思えない
相手がパパだったら一緒にあーん(ryしてたけどな

545 :マロン名無しさん :2006/02/12(日) 23:50:31 ID:???
一清は生きてるよ みんなの心の中に

546 :マロン名無しさん :2006/02/13(月) 05:08:00 ID:PLG4mf/o
ふえが敵を気絶させ一清を連れて逃げてくれるはずだ

547 :マロン名無しさん :2006/02/13(月) 19:47:31 ID:???
>>545
ワロス

548 :マロン名無しさん :2006/02/13(月) 22:05:48 ID:???
長期連載に必ずある「記憶喪失」になって再登場の悪寒

549 :マロン名無しさん :2006/02/13(月) 22:06:59 ID:???
>>548
(σ゚д゚)σソレダ!!!

550 :マロン名無しさん :2006/02/13(月) 22:14:16 ID:???
ベタ〜w

551 :高貴なる人生 1/3 :2006/02/14(火) 00:05:28 ID:???
「……そう 小谷って村にいたの。じゃあ姓は小谷」
「……どういう意味?」
「小さい谷」
「俺でっかい名前がいい」
「じゃあ大谷だ。大谷…源?」
「十とか百とかでっかいのつけてくれよ」
「源十郎ってのは? 大谷源十郎」


盗賊だった大谷の名の由来を千沙は訊ねる。
「ふっ 女……につけてもらったのさ」
10歳の頃だったか、旅屋(宿場)で下働きをしていた事がある。
街道ではちょっとした名の知れた旅屋で、
わざわざそこによるために旅程を組む客がいたほどだ。
鼓という名の遊女に会うために。

鼓の部屋で目覚めた大谷は、化粧をしていない鼓の顔に悲鳴をあげる。
高貴な顔だと思って仲良くしてたのに詐欺だと叫びながら、
部屋に飾られていた壷を足で転がす。
悲鳴を聞いてやって来た旅屋の主人の藤井は、
家宝の壷を足蹴にした大谷に怒り、他の使用人諸共今日は飯抜きにすると言う。
大谷は今日から自分の名前は『大谷源十郎』だと皆に報告する。
鼓につけてもらった名だ、高貴だろうと自慢げに。
「馬鹿だねェ 名前ってのはやんごとない方からも頂いてこそ価値があるのさっ
 この藤井って名はねっかのお公家さまから頂いたものさっそれを遊女にっ」
たかが遊女とはいっても、その気になれば買い受けようと言うお偉い方が大勢いると鼓は言う。
あの旦那とかあのお武家とか頼んでみようかな、とつぶやく鼓に、
お前が出ていったら旅屋が潰れるよと藤井は泣いて土下座した。
「冗談でもそんなこと言わないでおくれっ」「はいはい」
二人の会話を大谷は複雑な思いで眺める。
下働きは飯抜きになった事を「源のせいだ」と責める。
だから源じゃない、名前は変わった……大谷はそう言いかけて口をつぐんだ。

552 :高貴なる人生 2/3 :2006/02/14(火) 00:08:08 ID:???
今夜は鼓は外での仕事だという。
「…俺やっぱあの名前やめる。高貴じゃねェもん。
 化粧しなくても美人で…遊女じゃなくって本物の高貴な人に名前をもらうんだっ」
やけに高貴にこだわる大谷に、呆れながらも鼓はなんでだと聞く。
小谷村にいたころ、盗人と間違えられたところを高貴な人に救われたからだ。
「一度盗めば盗人 一度商売すりゃ商売女 世間様ってのはそういうもんだろ?」
「でも高貴な人は違うんだ ちゃんと信じてくれるんだぜ」
鼓の布団に寝転がりながら、大谷は微笑む。
「名前なんかうわっつらさ
 まずあんたが高貴な人生歩まなきゃね
 そしたらきっとアンタの望むもんが手に入るよ」
そう言いながら鼓は去っていった。
顔はニセモノでもいい女だぜと大谷は再確認した。


仕事から帰った鼓は、灯りで照らしながらまだ仕事をしている藤井を見た。
「私は世間知らずだからねェ 商売やっていこうと思ったら色々とね」
実際、鼓がいなければここまで出来なかっただろう。
死んだ母の欲しがっていたしっかり者の嫁さんとは鼓みたいな女の事だ。
「ああ 鼓を嫁にしたら商売やってけない
 何言ってるんだろう 忘れておくれよ」
慌てる藤井の姿に鼓は笑う。そこに、なにかが割れる音が響いた。

553 :高貴なる人生 3/3 :2006/02/14(火) 00:10:31 ID:???
音に目覚める大谷は、下働き仲間が青い顔をしている事に気づいた。
サボっている大谷を藤井が戻る前に起こしにきたその少年は、
誤って藤井の大事にしている家宝の壷を割ってしまったのだ。
怒鳴りながら現れた藤井に、少年は大谷を犯人として差し出そうとする。
鼓は藤井を殴りつけ、意識を失わせた。
「……まず どっちがやったんだい 正直にお言い」
泣き出す少年を前に、大谷は自分がやったと言い出した。
「ここ逃げ出そうと思ってさ だってこいつ高貴じゃないもん
 こーゆー奴は一生高貴にならないよ…だから鼓…鼓も…一緒に行かない?」
鼓は意識のない藤井に無言のまま目を向ける。
返事はそれだけで十分だった。「じゃっ俺逃げるからな」
一人で走り去る大谷。
「源っ!?」
呼びかける少年に振り向いて大谷は答えた。
「おっと間違えんな 俺の名前は大谷源十郎さ」


勘違いすんなよ、俺はふられたわけじゃなくて鼓は化粧がなければ
十人並の顔だし返事をぐずるからこっちから願い下げしただけだと大谷は言う。
「……でも高貴な女性だったんだろ?」
「おっ殿さん話がわかるねェ 女は顔じゃねェよな」
一清は、いいえと言えば主義に反するし
はいと言えば千沙が怒るしで冷や汗をかきながら返答につまった。

554 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 00:34:56 ID:???
鼓にふられた後苦笑いする源、カワユス

555 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 00:38:25 ID:???
鼓の部屋で寝てた大谷、いやに服が乱れてるが……
いや、10歳だし…でも遊女と大谷だし…………

556 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 00:41:53 ID:???
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やっぱり大谷さんは「済」だね

557 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 02:04:05 ID:???
大谷さんと遊女何才差!?


558 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 02:17:16 ID:???
10歳以上はあるんじゃないか?

559 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 03:03:23 ID:???
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leww;lewe;lew;




;rlrkeke




fg,fd,derklr







560 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 17:58:12 ID:LXxopt2N
この子供がやがて大盗賊になるのか……

561 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 19:44:46 ID:???
そんなにすれてる感じじゃないのにねぇ

562 :マロン名無しさん :2006/02/14(火) 20:38:56 ID:???
10歳か…

563 :マロン名無しさん :2006/02/15(水) 00:04:40 ID:???
大谷さんの言う「高貴」は「器のデカさ」のことだよね

564 :マロン名無しさん :2006/02/15(水) 18:33:50 ID:???
でも鼓18〜20歳くらいでもありえることない??千沙が16〜18くらいでしょ?
まぁそれでもかなり年上ですが…
それにしても大谷さん作者に気に入られてるねw

565 :マロン名無しさん :2006/02/15(水) 20:22:11 ID:???
色々イケナイことを教わったろうが本番はなしだろう

566 :今日も明日も明後日も :2006/02/16(木) 00:00:43 ID:???
一清と大谷は侍女の噂話を聞く。
なんでも、克乃の8人の子供の父親は全部違うらしい。
死別した相手もいるがほとんどは克乃から別れたという。
「へェ8回ねえ それだけ経験豊富な女ってのも挑戦してみたいねェ」
「8回かぁ…それだけ経験豊富でも別れたりするのかなぁ」
つぶやく二人の後ろにいつのまにか克乃がいた。
克乃は相手の子供が欲しければ添い遂げる気になるという。
挑戦してみるかと問われ、大谷は即座に辞退した。
「別れる原因は大抵  男 の 怠 慢  」
慣れてくると男は会話する努力すら怠る。
3番目の夫など、最後まで「行ってくる」「戻った」しか言わなかったらしい。
身に覚えのある一清は少し焦る。
できるだけ館にいようとするが、用事だらけでなかなか帰れない。

一清の帰りが遅いので先にごはんを食べる事になった千沙。
「先に食べちゃっていいの?」
「いつ戻るかわからないから先に済ますよう言われましたから」
「せめて朝ちゃんと起きなきゃ」
「起こしに行ったら寝かせておいてあげて下さいっておっしゃったの一清さまだよ?」
いろんな用事がある中でちゃんと千沙の事も考えてくれてるんだ、と
千沙は満面の笑みを浮かべる。そこに一清は急いで帰ってきた。
「おかえりなさいませ」「はい ただいま」
笑顔で二人はそう挨拶を交わした。

俺の子供欲しくないー?と軽口を叩く大谷。
その横で、別にマメにかまってほしいわけではなく、何らかの意志表示が必要だと語る克乃。
もしかしたらちゃんと表現してたのに克乃さんの方が気付かなかったという
場合はどうなんでしょうときえこ。「その場合は縁がなかったと言うんですね」
女って自分勝手な生き物だなあとかえこは思った。

567 :マロン名無しさん :2006/02/16(木) 00:05:19 ID:???
> 克乃の8人の子供の父親は全部違うらしい。

工エエェェ( ゚д゚)ェェエエ工工

568 :マロン名無しさん :2006/02/16(木) 00:07:27 ID:???
その中には和清や一和や一清が

569 :マロン名無しさん :2006/02/16(木) 01:30:54 ID:???
やるなぁ さすが克乃さん

570 :マロン名無しさん :2006/02/16(木) 02:11:29 ID:???
>「その場合は縁がなかったと言うんですね」

こういうさっぱりさカッコイイ
私が今まで出会った人も縁がなかっただけなんだろうなぁ
そんなサッパリ諦められんけど

571 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 11:20:13 ID:???
早売りネタバレ



肩の傷は致命傷に至らなかったが、一清は雑魚兵Aに殺される。
峯月は呆然とするが、すぐに気を取り直し一清の首をとる。
一和の首を斬られた時を重ね合わせてふえは倒れる。
戦には勝ったのに罪悪感を感じる峯月を泉丸は励ます。
峯月は倒れたふえを抱えて去って行く。浩美は相変わらず見てるだけ。
報せを聞いた千沙はなにもしなかった浩美を責める。
千沙と同じように泣き出す浩美。双子も今回は声をかけられない。
大谷は単身ふえを助けに安住に乗り込んだ。

572 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 12:34:36 ID:???
ひえぇぇぇぇぇ

573 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 12:36:01 ID:???
。・゚・(つд∩)・゚・。く、くびぃぃ

574 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 17:35:44 ID:???
嘘バレだよね!?マジッ?

575 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 19:58:45 ID:???
だまされんぞ

576 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 20:05:25 ID:???
大谷&ふえの第二部開始って噂マジだったんだ

577 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 20:54:39 ID:???
しかしその頃にはふえは安住の兵たちに慰安婦にされ廃人状態…

578 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 21:07:02 ID:???
お客さん、これ少女漫画だから

つかこの絵柄では想像できません

579 :マロン名無しさん :2006/02/17(金) 22:10:45 ID:???
嘘だろ!?救いがねーよ。
本当だったらある意味柳原さん神だな。

580 :お伽話がきこえる 第9話 1/3 :2006/02/18(土) 00:00:36 ID:???
加賀は騒然としていた。一清が敵に背をばっさりと斬られ消息不明となったからだ。
鬨の声が上がった後、追ってきたものたちは急に引き上げて行ったという。

『姫君にまかせます』千沙は一清の言葉を伝えられる。赤さんの名前はどうすればいいんだろう。
「確かに重要な問題だけどさ こっち先に考えてくねェかな
 殿さんはいねェ 兵も残ってねェ こっちはお手上げ状態だ
 道は二つに一つ負けを認めて姫さんが安住に帰るか徹底的に抵抗するか」
それを決めるのは千沙だ。だが千沙はあまりにも頼りない。
「殿さんの伝言 言葉の綾ってことにしといた方がいいんじゃねェか?」

千沙一人ではなにも出来ない。安住は戦場近くに待機させた峯月の軍を
整え次第攻め込ませるつもりだ。もちろん千沙だけは無事に安住に帰す。
「上機嫌ですこと たとえ女の子でも初孫は嬉しいのね」
安住夫妻は子供の性別を賭けていた。千絵は勝ったからと安住の高級茶碗を取り上げた。
「…男か女かは神仏の領域 この世の範疇ではないわ」
人の生死もだ。一清の事もあるし、出産後の弱ったところにひどい仕打ちを加えたら
心労でもしかしたら…精神的にも弱っているのだ、思いあまって自ら命を絶つかも…
せめてしばらくそっとしておけば冷静な判断も取れるかもしれないが。
千絵の言葉に安住は攻め込むのは後伸ばしにすることにした。
去って行く安住。千絵は安住の言葉を回想する。『千沙一人なにもできん』
自分と安住の子供がそんなわけないと千絵は思う。
少しだけ千沙には時間をあげる。悔いのない選択をするようにと。
母としては今すぐにでも飛んで行って連れ戻したいところだが。
そう思いながら茶碗を割った。

兵は引いていったが気を抜くにはまだ早い。
安住は、安心して加賀に近づいてきた他国をいぶり出す気だろう。
だから援軍も期待できない。このまま戦うとしたら全滅は必至だ。
大谷はいまだに千沙が子供を産んだという実感がない。
母になった第一感想を訊ねる。「…えっと 痛 か っ た 」
大谷は呆れ笑う。今千沙に出来る事は実家に帰って
出きるだけの事を安住に頼むくらいの事だけだろう、帰れと言う。

581 :お伽話がきこえる 第9話 2/3 :2006/02/18(土) 00:02:46 ID:???
「………そうだ 一清さまを待てばいいんだ」
誰も一清の首を見ていない以上、一清はまだ生きているかもしれない。
「そう思いたきゃそう思いな あんたの勝手だ でも帰ってこねェぜ
 今すぐ必要なこの時 帰ってくることは絶対ねェ 絶対だ」
千沙は泣きそうな顔で襖をピシリと閉め引き篭る。去って行く大谷。
残された双子と浩美は泣く。なにもできなくて悔しいと。

悪役ご苦労様と克乃は大谷に言う。盗賊上がりだから地だと大谷は答える。
だからこそこんな時真っ先に逃げると思っていたのに。
大谷は双子たちのいる方向をさす。
「見ろよ 姫さんの力になれないって泣いてる
 馬鹿だよなあ 他人のことなのに まるでお伽話だぜ
 みーんな善人で最後は幸せになってめでたしめでたし
 誰でも寝物語りに親から聞いてるそんな話
 …俺は物心ついた時から一人だったから
 憧れてるんだろうよ そんなお伽話」
せめてこんな時ふえがいれば。そう言う克乃に、ふえは生きていると言う。
なにかとんでもない事があったような顔をしていたが、裏切ったという顔ではなかった。
今は無理だがそのうち迎えに行かなければ。
「あなたも十分お伽話の住人ですよ」克乃はそう笑った。

赤ちゃんを連れて歩く千沙。まかせられてもなにをすればいいかなにもわからない。
突然赤ちゃんが泣き出した。いきなり明るいところに出てきたからだろう。
「姫さまも眩しいの? 泣いてるよ? なにしてほしいの?」
一清を思いだし泣き出した千沙に、女の子がそう聞いた。
そこに追いかけてきた浩美たちがくる。
――どうしたらいいじゃなくって 一清さまがなにをしたかったか
「ヒロミちゃん 千沙がしっかりしなきゃいけないんだよね
 役立たずだけどね ちゃんと言うからどうしたいか言うから
 それならできるから そしたら助けてくれる?」

582 :お伽話がきこえる 第9話 3/3 :2006/02/18(土) 00:04:04 ID:???
  「 と ん ず ら し ま し ょ う 」
千沙はそう提案する。帰るのも戦もみんなを見捨てるのも嫌。
だから国中みんなでとんずらするのが一番だと一晩考えた結果千沙はそう結論を出した。
大谷は即却下する。逃げるといっても一人二人の話ではない。老人も子供もいる。
逃げる間の水・食糧・寝床は? 土地を奪い合うこの時世に土地を捨てるなど聞いた事がない。
「大谷さんっ前例はつくるものよっはじめがなけりゃ次もないわっ」
二度とないかもとかえこは思う。浩美は手伝うと言い出す。
「母上に相談してくる。僕はっ頼りないから頼りないけどっ
 母上なら何かいい知恵出してくれる! きっと反対するけど僕が説得するから!
 怒られても説得するからっそれならできるからっだからっ……」
この中では一番常識のありそうな克乃に大谷は意見を求める。
「私の産んだ8人の子供 2人生まれてすぐ 3人は病で
 やっと成人させた3人も戦で亡くしましてね
 戦やめるって話 私が反対するはずありませんわ」
わーったよ考えるよ、その代わり泣き言言うなよと大谷は降参する。

「ねえ かえちゃん浩美さまさぁ さっき」
「うん かっこよかったね」
同意するように赤ちゃんが笑った。


安住の書状を持ってきた使者2人は、加賀に民人が一人もいないことに気付いた。

583 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 00:23:30 ID:???
本当にとんずらしたのかよwwww

584 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 00:39:07 ID:???
ダイターンw
どんだけ大移動したんだろう

でも怖かったよな。千沙よく判断したな。えらいぞ

585 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 01:16:47 ID:???
千沙はがんばって決断したし、双子はいじらしいし、浩美ちゃんはかっこいいし、克乃さんはたのもしいし、
大谷さんはお伽話の住人だしw(いや「あなたも十分お伽話の住人ですよ」のシーンはすごく好きだけど)

……残された人がこんなに頑張ってるんだから、一清やふえさんが死ぬわけないよね?
ちゃんと再会して、元気な顔を見せて、赤さんの名前を決めてくれるよね?
強引にでもそう思いこまないとやり切れない……

586 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 01:25:16 ID:???
ヒロミちゃんのモテモテぶりに嫉妬

587 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 01:27:17 ID:???
嘘バレで良かった…
でも一清死亡やら大谷編はじまるとかはありそうで怖い
大谷さんは好きだがやっぱり主人公は一清で

588 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 01:33:36 ID:???
ちょwwwwとんずらwwwwwwwww
でも千沙じゃなけりゃ思いつかん大胆な発想で案外いいかも。

589 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 08:51:03 ID:???
ちょっと感心したよ
ただの呑気な姫じゃなかったんだな、千沙
でもどこにどうやって逃げたんだ?
安住も国境の監視ぐらいはしてただろうに

590 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 10:52:21 ID:awY+Dj0t
とんずらって斬新すぎるな。遊牧民にでもなるつもりか?

そこは置いといても、一清様が帰ってこないことにびっくりした・・・。
前回斬られたのも鬨の声もそんなに大ゴトと思ってなかったんだ。ごめんね一清・・・

591 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 10:53:43 ID:???
ごめん…sage忘れたorz

592 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 12:11:38 ID:???
test

593 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 12:34:39 ID:???
あー。・゚・(ノД`)・゚・。ん……ってあれ?一清さま生きてたの?

594 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 14:37:56 ID:???
とんずらした加賀の人もだが、一清とふえさまは
どこにいってしまったづらか

595 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 15:15:48 ID:???
 白川郷や祖谷峡みたいなかくれ里にこもるか、

国境を超えて安住の殿様の影響力が及ばないところに逃げるか

はたまた芸人や職人・ワタリ人となって定住せず生活するか >るそんとかに船で行くのもアリか?

596 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 17:46:45 ID:???
資源をたてに脅せば耐えられるんじゃないか?
千沙にそんな知恵があるとは思えんが…

597 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 18:52:00 ID:???
千沙は単身、一清を救出に向かいます
戦いの中で自身の戦士としての資質と喜びを自覚します
一清を救出したのち大陸に渡りジンギスカンになりました

598 :マロン名無しさん :2006/02/18(土) 20:06:55 ID:???
工エエェェ('A`)ェェエエ工工


案外近くに居るんじゃない?裏山とか
小国とはいえ国一つ分の住人が動くのにそんな遠くにいけるだろうか
船で大移動とか思ったけど加賀って海沿いじゃないよね?


599 :お伽話がきこえる 第10話 1/3 :2006/02/19(日) 23:58:39 ID:???
何日間も一清は高熱のまま意識不明だったが無事生還した。だが囚われの身だ。
一緒に囚われているふえにはなにも聞いていない。なにはともあれ生きているのだからいい。
「どうだ? 己の愚かさゆえに死にかけた気分は」
嘲笑う峯月に一清は答える。「 痛 か っ た 」
そこに安住がやって来る気配がしたので峯月は隠れた。
安住は千沙が加賀の者を連れ失踪したと告げる。
指示を与えたのはお前だろうと迫る安住だが、すぐに千沙の独断と知る。
「蓋を開ければたわいもない なのに何故かな
 きさまが関わってると知るとなにかあるような気がしてならん
 おもしろいよ 儂を怒らせんが楽しませる事もない
 傀儡のような奴らとは違う…殺すにはおしい」
千沙が行方不明の間はまだ利用価値があるから生かすという。
ずいぶん自分勝手な言い分だ。「くそじじい」と去って行った安住に向かって言う。
自分勝手というなら一清だってそうだと峯月は言う。
こうなる事は理解できたはずなのに何故姫を娶ったと。
「年をとって昔のこと聞かせてって孫にでもせがまれたら
 いったいいつの自分から話をする? 俺はたぶん
 姫君が嫁いできた日からのことを話すよ
 自分勝手の…説明にはなってないな」
峯月は千沙が無事女の子を産んだ事を教えた。
孫の心配をする前に嫁に出す心配でもしろと言って場を去った。

峯月はふえに、一清の怪我の手当てのための薬を渡した。
勝手にこんな事していいのかと聞く。「私は安住さまの傀儡ではない!」
そうね一清さまを殺さずにいてくれた、そうふえは笑う。
微笑むふえの顔にふれようと伸ばした手を峯月は寸前で止めた。
その様子を覗き見ていた泉丸の存在に気付く。
常識で考えて一度裏切った者をまた雇うはずがないのに、
相変わらず泉丸は峯月についてくる。ずっと仕え続けて行くつもりらしい。
「もういいっついて来い泉丸っきさまがいないと不便でたまらんっ」
常識がなんだろうと『わたし』が良ければそれでいいのだと峯月は清々しく笑んだ。

600 :お伽話がきこえる 第10話 2/3 :2006/02/20(月) 00:01:17 ID:???
妙香尼は海賊の頭領の娘で、下条は海の民と関わりが深い。
鉱山の者を優先的に、加賀の民は離れ小島に移る事になった。
しかし全員を収容する事は出来ず、大抵の者は寺や親戚を頼り、野宿の者もいる。
どこかから助け手でもない限り、どうにもならない。

『まだ出番じゃないんですよ』 『その時が来たらがんばればいいんです』
その時がいまだ。一時加賀についた事の詫びに浩美は安住のもとへ行く。
安住は千沙を隠したのは浩美に違いないと確信しており、
すごい勢いで問い詰めるが妙香尼から隠し場所を聞いていないし言わずにおけた。
それに峯月が珍しくフォローをしたので安住は一早く詫びに来た心根を汲むことにした。
「峯月 浩美の監視を兼ねてしばらく下条へ行って来い」
からっぽでは話にならないからと、加賀もどうにかしてこいと言う。
「道中せいぜい宣伝してな 一清が生きて我が手中にあると」

安住を出し抜いてみたいと、峯月は一清を逃がす事にした。
だが一清はまだ体調が万全ではなく難しい。しかしこのままにしておけば、
一清生存の話を聞いた千沙たちが飛び込んできかねない。罠だと知りながらも。
時間が経てば警備にも隙ができる。もう少し待てと伝えてくれといわれる。
「しつこいようだが お前たちに寝返ったわけじゃないからな
 ただあっさり殺されるのががまんならん…」
ふえが峯月に言ったのと全く同じ台詞である事に気づいた。
もしも年をとって昔の事を語る時は、ここに来た時の事から話すとふえは言う。
「大好きな人がいたの いかないでっていえなくて そうして死んでしまったの」
もし止めていれば、今の峯月のようによかったと思ってくれたのかもしれない。
この半年間、その時できなかった事を清算していたのかもしれないとふえは言う。
要約すると『別にアンタは眼中にないわ』
見方を変えればこれでふえはフリーになったわけで、ここで一押しすれば落ちるかもしれない。
そう泉丸は思ったが、峯月にそんな高等ワザは無理そうだ。
峯月は苛立たしさを浩美いじめで晴らしていた。

601 :お伽話がきこえる 第10話 3/3 :2006/02/20(月) 00:02:03 ID:???
夜。
千沙が泣いているだろうなと一清はつぶやく。
「もう一ヶ月以上たってますもの 落ちついてらっしゃいますわ」
「涙ってさ後で出ると思わないか? 騒ぎが一段落してひとりになってやっと」
実際、家族を失った時の一清がそうだった。
遠く離れてなにもできない自分は役立たずだと一清は落ち込む。
ちょっと前の、なにか役立とうと走りまわっていた千沙を思い出してふえは笑った。


 過去(むかし)の自分も 今の自分も
 どうしてだろう 思いがみんな あの人につながっていく



602 :マロン名無しさん :2006/02/20(月) 12:34:17 ID:???
生きてたですか…

603 :マロン名無しさん :2006/02/20(月) 12:54:24 ID:???
よかった、生きてたか

604 :マロン名無しさん :2006/02/20(月) 20:16:12 ID:???
なんでホウゲツは殺さなかったんだ?

605 :マロン名無しさん :2006/02/21(火) 05:49:34 ID:???
坊やだからさ

606 :マロン名無しさん :2006/02/21(火) 13:52:59 ID:???
ホント坊やだな
殺せば安住様は自分の方を向いてくれるかもしれないのに
甘ちゃんね

でもふえのおかげで大分素直になったんじゃない?
泉丸許すし逃がしてくれようとするし。
女の力はすごい。

607 :マロン名無しさん :2006/02/21(火) 18:04:48 ID:???
今回で、峯月に女性経験がないことが確定しますた

608 :マロン名無しさん :2006/02/21(火) 19:18:16 ID:???
ワロスw

やっぱそういうことなのかな、あれは

609 :マロン名無しさん :2006/02/21(火) 21:42:56 ID:???
「痛かった」

出産後の千沙の感想と同じか…

610 :マロン名無しさん :2006/02/21(火) 23:40:45 ID:???
ふえ様気持ちリセットできたのね
よかった
峯月だめなら、マジで大谷さんチャンスじゃね?
カッコよく迎えに来て〜大谷さん!

611 :お伽話がきこえる 第11話 1/2 :2006/02/22(水) 00:08:21 ID:???
安住にいる浩美からの一清生存の報せに加賀の人々は喜ぶ。
千沙たちは浩美の城にいられるものの、民人の大半は野宿だ。
冬になり雪が降る前に、安住に攻め入り一清を取り返したいと意気込む。
飢えと寒さに戦いつづけるも安住に一戦仕掛けるも、生き残る人数に変わりはないだろう。
それじゃ何のためにとんずらしたかわからない、と訴える千沙。
「その時はその時 すごろくだって何回もサイコロ振るもんだ
 さあ決めなよ 今度はどっちを選ぶ?」
大谷の質問に千沙はすぐ答える事が出来ない。
考えるからもうしばらく待ってと皆に告げる。
「先延ばしにしたって悪い方にしかいかねェって
 自分に都合良く世の中回ってくれねェからな
 そろそろわがまま引っ込めてもいいんじゃねェ?」
千沙は無言で大谷に舌を出した。

夜、千沙は手紙を書いている途中で眠りに落ちた。
一清がいなくなってから、毎日一清宛ての手紙を書いていたのだ。
朝。「いきなり桃源郷が現れてみんな幸せになって暮らすってのは?」
いい考えが浮かばなくてしまいには泣きながら千沙は言う。
そこに浩美が帰ってきた。峯月と泉丸と共に。
浩美と峯月の会話を盗み聞く千沙たち。
「消えた住人の穴埋めをどうするか――浩美お前のところから出せ」
加賀の始末を任されたが、離散した住民を探せとは命令されていない。
一人一人探す労力をかけるつもりもないし、浩美のところから工面しろと言った。
隠れている加賀の人々を名目だけ下条の者にして帰せばいいのだ。
喜ぶ千沙たち。でもそしたら一緒に一清を助けに行ってくれる人がいない。
「いいの千沙が千沙のダンナ様迎えに行くの 千沙がいればそれいいの」

 いろんなことあったけど 気持ちは曲げなかったよ
 はやく千沙を見てください 千沙はちゃんとした大人になってますから



612 :お伽話がきこえる 第11話 2/2 :2006/02/22(水) 00:10:53 ID:???
離れ小島にいった鉱山の手勢以外は皆加賀に戻った。
世の中自分の思い通りにはならないからあまり期待するなと大谷は赤ちゃんにでこぴんした。
響き渡る泣き声。峯月のもとにも思いきり泣き声が届いている。
「どうします?」 「気のせいだと思え」
そんな会話を交わす峯月と泉丸のもとへ、小太刀を持った大谷が乗り込む
浩美に一清生存を教えたりと、なにを企んでいるのだと刃を向ける。
「逃亡した加賀の民の足取りも掴めず 罠をはったのに千沙姫はまるで姿を現さない
 安住さまの皺顔が呆けたところを想像すると楽しいな」
バカにしてるのかと聞く大谷。希望に添える陰謀がなくてすまないなと峯月は笑う。
「あの人全力で疑ってますね」
「当然だ 私も逆の立場なら絶対に信じない
 世の中自分に都合良く回るなんてありえないからな」
大谷は刀をしまいながら、たまにならいいんじゃねえのとつぶやいた。
一清は生きているが、まともに動けるようになるには一月ほどいるという。
「……なにかありそうだな 教えてくれよ
 そうしたら姫さんアンタに渡すよ? ただし一月後だけどね」
「…は 唯一の誤算だな お前のような男が姫君についていたのが」

「次会う時はおとーさまと一緒だからねっ」
赤ちゃんを双子に預け、千沙は峯月と共に安住に向かった。
千沙一人で帰るより、峯月に捕まったという事にしておいた方が自然だからだ。
不安がる双子に大谷は言う。ここまで来たらなるようになれだ、と。
「あの姫さんに関しては世の中すげー甘く回ってるみたいだし」
千沙は、なにかの拍子に計画を悟られてはいけないからおしゃべりはしませんと宣言する。
「…計画ですか 姫さまたち残った手勢は鉱山の人たちでしょ?
 穴掘り専門の人ばかりだから新しく抜け穴でも掘ってるとか」
泉丸の言葉に動揺する千沙。態度だけで十分ビンゴだとわかる。

その頃一清は三回目の脱走に失敗していた。
体はだいぶ治ってきたが、走るのはまだキツイ。
「千沙姫がご帰還したぞ!」どこかからどよめく声が聞こえた。

613 :マロン名無しさん :2006/02/22(水) 00:18:40 ID:???
うまいこと住民は帰れたんだね
でもいいのか?「下条の者として」ってことは本当に加賀なくなっちゃうの?

614 :マロン名無しさん :2006/02/22(水) 05:45:47 ID:???
安住様の気持ちがちょっとだけ分かる。一清は確かに面白い。


615 :マロン名無しさん :2006/02/22(水) 09:27:35 ID:???
一清さまと結婚したら食いっぱぐれることだけはなさそう。
なんつーか生命力が強いよね
「山の貴族」の天狗みたいな。
絶対二ートとか引きこもりにはならないタイプだろう

616 :マロン名無しさん :2006/02/22(水) 09:44:33 ID:???
大谷さんかっこよかったよー

617 :マロン名無しさん :2006/02/22(水) 23:15:38 ID:???
>千沙はちゃんとした大人になってますから

表に出ろ

618 :マロン名無しさん :2006/02/23(木) 18:46:11 ID:???
明らかに峯月よりも一清よりも千沙のほうがおもしろいな。
とんずらの次は穴掘りかよw

619 :マロン名無しさん :2006/02/23(木) 19:35:06 ID:???
一清は「おとーさま」と呼ばれるのか・・・
時代から考えればおとーさまだのととさまだのが普通ってのは頭じゃわかるんだが
心はパパりんとかそっちじゃねーのかと思ってしまう

620 :マロン名無しさん :2006/02/23(木) 19:39:46 ID:???
一清よりも千沙ぱぱをパパりんって呼んでほしいなー。
激しく似合わないがあの人なんだか可愛いんだもん。

621 :マロン名無しさん :2006/02/23(木) 21:45:23 ID:???
なんつうか、こんな時代に生まれなくてよかったなぁと
シミジミ思う

622 :お伽話がきこえる 第12話 1/3 :2006/02/23(木) 23:54:55 ID:???
「お父さまの陰っ険 ばか いじわる ろくでなし」
帰ってすぐに楯突いた千沙は軟禁される事になった。
連行される千沙の前に現れた千絵は「孫は?」と開口一番訊ねてきた。
千絵は、父さまを嫌わないでねと言ってくる。
高慢な態度も強引なやり方もそうでなければ生きてこれなかったのだと。
話しながらさりげなく牢の鍵を渡し、一清とふえの居場所を教える。
「父さまの生き方認めてくれたら 母さまも貴方たちの生き方認めてあげるわ」

その頃、菊をはじめとする鉱山の手勢たちは安住への抜け穴を掘り終えていた。
地盤が弱いためにすばやく掘り終えれたが、反面補強も十分でないし崩れる恐れがある。
浩美に山の方に火の手をあげてもらい、その間に抜け穴から侵入する。
行くのは大谷と、再び召集したその仲間たちだ。

騒ぎの中、泉丸は峯月に言う。
「この騒ぎならもうちょっとくらい動いてもバレませんよね」
合流した千沙と大谷。千沙はふえの居場所を知らせる。
「鍵あるけどどれかわかんないから…大谷さんなら牢の一つや二つ壊せるよね」
千沙は一清を助けにすぐに走り出て行った。
大谷は仲間たちに、金目の物を適当に盗めと指示する。
それが今回の報酬だ。城内を金目のもの目当てに暴れる元盗賊たち。
妙な迫力に気圧され、安住の軍はてこずる。
(俺ぁてめェらのそーゆー高貴じゃねェとこも好きだぜ

峯月はふえの牢を開ける。まずくないのと苦笑するふえ。
逃げられても、今更戻るところはないとふえは言う。
「すっきりしないなお互い 別に私利私欲で動いてるわけではないのに
 何故なんだろう どうしたらこれは正しいと確信を持って堂々と走れるんだろう
 女 もしお前行くあてがないのなら………」

623 :お伽話がきこえる 第12話 2/3 :2006/02/23(木) 23:57:24 ID:???
そこに壁を破って現れる大谷。ふえの手を引き走り去ろうとする。
帰り難いふえに、理屈はどうでもいいからごちゃごちゃ言うなと大谷は言う。
「この俺サマにこれだけ探させたんだ
 アンタいい女なんだよいい女はな 高飛車に堂々としてな
 アンタが帰りてェならそれが正解 いい女の特権ってやつだ」
大谷はふえを連れ、峯月に手をふり素早く去って行った。

自宅なのに奥しか知らない箱入り娘の千沙は道に迷うが、なんとか一清と再会した。
暗い牢から抜け出し、月夜の下の久しい一清の顔に笑顔を向ける。

 感情(きもち)がすべてを説明する
 真っ暗な闇を歩いている そんな気分の時
 なにが正しくて なにが間違っているか わからない時
 感情(きもち)が真実を確信させる
 こうしているのは正しいのだと

抜け穴の出口の辺りが騒がしい。安住の者に見つかったようだ。
双子は慌ててこういう時に見ろと大家に渡された文を開く。
『←殴れ』
菊は書かれている通り、丁度そこにいる赤ん坊を思いっきり殴る。
響き渡る泣き声。これが撤退の合図だ。しかし、安住の軍がそれを阻む。
「父さまなんて大嫌いっ! どーしてそうイジワルするの!?
 千沙はただ…一清さまといちゃいちゃしたりいちゃいちゃしたりいちゃいちゃしたり…」
 あったかのほのほ家族したいだけなのに! どーしてよ」
ノリに慣れておらず固まる安住の軍。
大谷は、安住も千沙と同じ気持ちなんじゃないかと言う。
そこに進み出る千絵。
「もう15年? 16年そんなになるかしら 父さまがね
 それはうれしそうな顔をして帰ってらしたの 今でもはっきり思い出すわ」
それは加賀で一清を見つけてきた日。千沙の婿にすると笑顔で安住は言った。

624 :お伽話がきこえる 第12話 3/3 :2006/02/23(木) 23:58:46 ID:???
千絵にでしゃばるなと叫び、どちみちこれ以上させぬと安住は憤る。
「十人いれば十通りある思いなど 何の意味も持たないようだ
 実際決めるのは やはり力ということか」峯月はつぶやく。
「願いを叶えたくば力を持つ事だ そして今権力者は儂だ」

安住の軍が来てはまずいからと、菊は支えを崩し抜け穴を壊した。
これで千沙たちも逃げられない。大谷は逃がさなれば放火すると言う。
既に油は撒いてあり、派手に燃えるだろう。そうなれば大谷たちの命も危ういが。
「大谷さん暗いっ!」千沙の言葉に、じゃあどうやって逃げるのかと大谷は問う。
今度ばかりは「待って」も聞かない。3数える間に言えと迫る。
「いーち にぃ さ……」
突如地崩れが置き、塀が壊れた。あっという間に大きな逃げ道が。
地盤が緩い上にあちこち試し掘りをしながら抜け穴を掘ったため、
くずれる時に昔からあった抜け穴も連鎖反応で一気に崩れ地盤沈下したのだ。
逃げ出す人々。千沙もあっかんべぇをして逃げ出す。
安住は峯月に捕まえろというが、峯月は横をすり抜けて行く千沙をスルーした。
「……ふん 舌を出す事だけかもしれないな 必要な力はね
 それさえあれば たまにはきれい事が現実になるかもしれない」

肩の傷を抱えて逃げるのが遅れた一清に安住は斬りかかる。
一清は咄嗟にそれを避け、安住の腹を斬った。

625 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 00:25:16 ID:???
大谷さんテラツヨス

626 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 04:43:45 ID:???
安住あぼんして、一清が治めることになるのかな

627 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 07:25:28 ID:???
ぶっちゃけふえさんはなんだかんだで峯月とうまくいくんだろうなぁ(美形だし)、
大谷さんテラカワイソスと思ってた俺が甘かった。

大 谷 さ ん カ ッ コ ヨ ス ギ

628 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 09:18:39 ID:???
かっこいい!ちょっと男の趣味変わったかも。
何気に告ろうとしてる峯月にも注目w

629 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 09:57:57 ID:???
パパ斬られた!

630 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 10:14:54 ID:???
ここでパパ切っちゃうのが一清のいい意味での冷酷さだよね
峯月との決定的な違い

まぁ死なねーだろ

631 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 11:51:59 ID:???
いや、パパ本気だし切らなきゃ殺されるって

632 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 12:24:53 ID:???
いちゃいちゃいちゃいちゃ…

633 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 16:25:14 ID:???
あ。切っちゃった。

634 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 16:43:28 ID:???
>>633
なんかあっさりしてるなw

峯月は可哀相だが泉丸がいるし多分大丈夫だ
大谷さんは仲間がいるけど愛情に飢えてそうなところがあるし
姉さんな感じのふえとぴったりかもしれない

635 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 17:18:19 ID:???
峯月はほっときゃ、どこかいいとこのお嬢様が言い寄ってきてくれるんじゃないか
ふえさまみたいなタイプも良いけど
大和撫子な三歩下がってついてくるタイプ(でも実は掌の上で峯月が転がされてる)の方が
何かと上手くいきそう

636 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 17:22:53 ID:???
一清ってホント損な役回りだよなぁ・・・。
安住様のこと嫌っては無いだろうに。苦労性だな。
姫さん早く荷物半分持ってやれよ。

637 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 19:07:23 ID:???
「どうしたらこれは正しいと確信を持って堂々と走れるんだろう」

現実に自分の進んでる道・やっている事が正しいと確信を持てる人ってそうはいないよな。


638 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 19:10:34 ID:???
↑途中で書き込んでしまった(;゚Д゚)
だから今回せつないなー・・・って思ったわけで、千沙がうらやましく思ったわけで・・・。
とりあえず逝ってくるorz

639 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 19:22:20 ID:???
わがままに→我がままに→われがままにって言うのは結構衝撃的な事実だった
わがままも良いもんだな、と千沙見て初めて思ったかも

640 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 19:24:03 ID:???
この後どうなるんだ?
ちさぱぱあぼん、安住は峯月がついで、加賀は元通り?
でもそれだとちさままが黙っていないような・・・。

641 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 20:11:15 ID:???
初対面の後、きっちり婿養子縁組決めちゃってたら
4人でほのぼの家族できたんでないか?

などと今更のように思った

642 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 20:15:34 ID:???
一和様が生きていて加賀の跡継ぎになっていれば
一清が安住の婿養子に入っていたかもしれないな

643 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 20:16:59 ID:???
最初は婿養子だったんじゃない?
でも兄ちゃん達が死んじゃったから

644 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 20:38:43 ID:???
>>634それは以前おもた。
でもこの世界(時代?)は嫁入りが普通なのかなぁ?と思いなおした。
婿養子予定だったのに嫁入りに変えるのって安住に直系の後継ぎがいなくなるってことだし。
だから元々千沙は嫁にいって、安住は養子の誰かがつぐ予定なのかな?と。
でも千沙が嫁入りした時点で安住さまには一清より有望な後継ぎいなかったんだよなぁ。
千沙の子どもが安住に帰ってくるの待ちか?パパりんそれまで現役できそうだし。
ただ千沙を嫁にやったこと自体パパの気紛れな気もする。

645 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 20:40:26 ID:???
アンカーミスったorz
>>644は634→>>643

646 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 20:42:43 ID:???
か、単なる作者の設定の甘さか
大河ドラマとか見てる限り、婿養子もありえる時代だったと思うけどね

647 :マロン名無しさん :2006/02/24(金) 21:01:11 ID:???
まぁ始めの読み切りの時にそこまで設定してたらそれこそ神だしな。
あの時は千沙が一人娘って設定も加賀家が一清以外あぼんって設定もなかったよな?

648 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 00:11:29 ID:???
そう思うと連載約束されてない作家は大変だよね
後半の辻褄合わせが

649 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 00:16:17 ID:???
峯月が跡継げばいいじゃまいか!
大国治めるのは大変そうだが
なんだかんだいって峯月は賢いし
爪が甘くても一清や浩美が支援してくれそう

650 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 01:28:31 ID:???
峯月に〜?
安住様が任せるかなぁ〜?
峯月は心が弱いからなぁ

651 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 08:20:12 ID:???
泉丸が苦労するのが目に見えるようだ

652 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 10:30:40 ID:???
泉丸がラスボス
細い目のキャラは大抵腹黒

653 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 11:28:40 ID:???
次回のみどころ。
助けを求める安住様にあっかんべ−をする峯月

654 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 11:37:22 ID:???
>650
「〜?」が川原漫画のキャラみたいな口調で和んだ
嫌いだったらごめん

655 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 13:11:12 ID:???
少年漫画のノリで次回いきなり強敵襲来でみんな手を組むとかだったらちょっとヤダなあ。
最終的に仲良くはして(敵対関係のままで終わらないで)欲しい気は少しするrけれど。

656 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 13:51:52 ID:???
なんか少女漫画だしほのぼのハッピーエンドが待ってると思ってたけど今回の展開見てそんな安易でもない終わり方しそうだとおもた。
とりあえずパパンは生きててください(-人-)

657 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 20:24:33 ID:???
次、最終回?

658 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 21:13:32 ID:???
予告によれば次号で終わりっぽいね。
最近影の薄い浩美ちゃんが出てくるか心配だ。

659 :お伽話がきこえる 第13話 1/4 :2006/02/25(土) 22:56:54 ID:???
安住を盾に軍を遠ざけると、一清は即座に安住の止血の用意をする。
刀を持つ一清の手を握り安住は言う。
「きさま今自分が何を持っているかわからんのか?」
生かして去ればまた振り出しだ。何故止めを刺さないのかと問う。
欲しいものは力で手に入れる。それが乱世だ、と。
一清は刀を鞘に納める。
「力という…そんな方法しか見つけられないほど
 幼くありたくないと そう思います」
きれい事には反吐が出る、何度でも追うぞと安住は言う。
「受けて立ちましょう」一清は微笑み去って行く。
儂は無事だから早く来いと兵に向かい安住は叫ぶ。
「よーじいさんのケナゲな言葉に騙されんなよー
 きっちり刀はじいさんの首元だからな
 動いてみな どうなるかわからねェぜ」
そう大谷が叫んだせいで、近づけない兵たち。

よくその出血でわめけるものだと関心しながら、峯月は手を差し伸べる。
安住は手を振り払うと、お前は追う者か追われる者かどちらだと聞く。
「…どちらも いいえですね 彼らを追っても無意味です
 もうすぐ春諸国が動き出します このような遊びなどしている暇はない」
たいそうな口を聞く。要するに一清の側についたのかと安住は言う。
「いいえ 私は私の側に」
安住は峯月の頭を掴み、たかがこれだけの事を言うために
ガチガチになる峯月をだからつまらないと評する。
「だが野心はあるな 儂に子は産めん だから妻を娶るように
 お前にはお前の欠けたものを補う者はいるか?」
はいここに、と答えながら峯月は泉丸の頭をぽんと叩いた。
「来い乱世に戻るぞ とっとと片付けてまた奴らと遊んでやらねば」
「御供しましょう」
なにかを勘違いした泉丸は照れながら言う。
「あのぉオイラ男の子なんですけど…お坊さまってそういう趣味あるって聞いたけど…」
――峯月が僧服を脱いだのはそれからすぐだという。

660 :お伽話がきこえる 第13話 2/4 :2006/02/25(土) 22:59:36 ID:???
千絵は安住が斬られると無事かどうかも確かめずにすぐに薬を取りに行っていた。
もしも重傷ならもっと騒ぐだろうから放って置いても大丈夫だと判断したのだ。
どいつもこいつも子供扱いをすると拗ねる安住に、千沙と性格が似ていると千絵は言う。
「だからね私 あなたがいればちっとも寂しくありませんのよ」
ぽっと頬を染めながら浮気を減らすかと安住は思案した。

追っ手の明かりが皆逆方向へと消えて行く。
大谷は手下たちに散り散りに逃げるようにと指示した。
盗賊は逃げ足の速さが命だからきっと上手くやるだろう。
「これでさ心優しい盗賊さんに助けられて
 お姫さまと殿さまは幸せに暮らしました≠チて事になるかねェ
 あ だとすると出だしはこうだな ある国の殿さまが姫さんに留守を任せたら
 あっという間に国はなくすわ民はなくすわそこへ賢い盗賊さんが現れて…≠チてか」
ちょっとは後悔しただろと聞く大谷に、するかっと一清はぽかぽか殴りつけた。

一清はようやく赤ちゃんと出会う。
赤ちゃんは自分を殴った大谷の隣にいる一清を同じく怖い人だと判断しぎゃんぎゃん泣いた。
菊たちは浩美の提供する離れ小島に戻る。一清たちは一緒には行けない。
いまだ追われる身だ。迷惑をかけてしまう。
「覚悟はしてたけどやっぱキツイな――」

妙香尼の目を盗み、浩美は供もつけずにやってきた。
驚くかえこ。浩美は思い切って叫ぶ。
「僕のところにこないっ!?」
そう言ってかえこときえこの両方の手首を掴む。堂々と二股宣言だ。
驚きつつも、バランス的に確かに両方必要だなと千沙たちは思う。
浩美の事は嫌いではないが、千沙たちと別れたくないし、お尋ね者の侍女が歓迎されるわけない。
それでも一緒にいたいとか、千沙みたく森羅万象薙ぎ倒してまで好きだというわけではないのだ。
一清にフォローを求める浩美だが、一清は子供に嫌われたショックでそれどころじゃない。
時間は取り返しがつかないからよく考えた方がいいと顔に影をつけて言う。

661 :お伽話がきこえる 第13話 3/4 :2006/02/25(土) 23:01:52 ID:???
不在を少しは埋めれるかもと、双子は千沙の書き溜めた手紙を見せる。
一清も同じく、筆記具が手に入らない時は血で書いていた行動記録の紙を見せる。
「こうやって日付順に並べ合わせるとずーっと一緒にいたみたいですね」
千沙はそう言って笑った。一清も笑う。その顔に赤ちゃんはこの人は怖くないかもと思った。

 なんだ 戻ってくるじゃないか
 一つ得るたびなにかを失くしてしまうように思えるけど
 時間さえ戻ってくるなら いつか形を変えて全て戻ってくるだろう
 だから 安心して 大好きでいていい

『×月○日 ちびちゃんが笑いました。すごく可愛いです。云々』
『×月○日 脱出失敗。打撲。裂傷』
この二つを並べて一緒にいたみたいとは強引すぎる。愛の力かと双子は語る。
浩美は、双子がどこに行っても必ず探し出すからと、千沙のように文通しようと言う。
「だから返事書いてよ ね?」双子は無言で、手で○をつくった。
あっという間に懐いた赤ちゃんに登られながら、一清は赤ちゃんの名前を千沙の耳元でつぶやいた。
「それって一清さまと千沙のことですね!」大喜びで大谷たちにも名前を報告する。
それは単に一番目だって意味だろうと大谷が言うがスルー
とりあえず、皆はどこかを目指して歩き始める事となった。
一清は汚れている手を自分の服でふき、千沙に差し伸べた。


 お伽話がきこえる 心の一番深いところから聞こえる声
 お伽話のようにあまりにもきれいで とても不可能に思えてしまうけど
 信じてみようよ 願いは叶うよ


 お伽話が聞こえる




662 :お伽話がきこえる 第13話 4/4 :2006/02/25(土) 23:03:05 ID:???
「へぇ昔ここにそんな殿さまと姫さまがいたのか」
「嘘だあ聞いたことないよ」
少年たちは少女にそう言う。少年たちの座る石を指し、
その証拠にそれは加賀のお墓だから座っちゃだめだよと言う。
いつ頃の話だよと聞かれ、山から金が出た頃だよと答える。
「やーっぱり嘘だ あそこは掘れないって」 「地盤弱くて有名だもんな」
嘘じゃないもん嘘じゃないもんと少女はじたばたとする。

          「一姫!」

少女――一姫に両親らしき男女が呼びかける。
一姫は旅の途中で、今から安住さまに会いに行くのだという。
昔この辺一帯の殿さまだった人で、今も出家してどこかの寺にいるという。
一姫は安住の孫で、これからはじめて会いに行くという。



「………なあ 信じる? 今の話」

「……さあ お伽話かもなあ」

663 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 23:23:02 ID:???
>あのぉオイラ男の子なんですけど…お坊さまってそういう趣味あるって聞いたけど…」

の直後に

>――峯月が僧服を脱いだのはそれからすぐだという。
があると
なにやらイケナイ妄想が…

664 :マロン名無しさん :2006/02/25(土) 23:24:59 ID:???
浩美ちゃん最高w
そこで二股かよwww

665 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 00:18:49 ID:???
>>663
おいwww

666 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 00:57:01 ID:???
いやーすっきりな終わりでよかったお( ´∀`)

667 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 01:42:59 ID:???
めでたしめでたし、って言っていいんだよな!?

668 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 02:33:00 ID:???
このときはまだだれもこの娘が
血みどろ姫の異名を持ち、武力で天下統一を果たすこと
になるとは想像もしていなかった。

この祖父との出会いが彼女の人生を、この国の歴史を、
すべてを変えてしまったのである。

な、続編きぼん

669 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 05:27:57 ID:???
一番の勝ち組はヒロミちゃん
双子の姉妹ドンブリウラヤマシス

670 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 05:44:55 ID:???
>663
還俗しただけだと思ったが、                 まさかウホッ!なのか・・・


671 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 05:53:33 ID:???
侍姿が一コマだけで出てるからそれはないと信じたい。
若いおにゃのこにキャーキャー言われてたしそっちの道には走らないと信じたい。

672 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 11:46:46 ID:???
ヒロミ、許さなくってよ

いや、なんとなく。
しかし、かれも一応一国一城の主だから嫁二人とか可能なのか



673 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 12:03:01 ID:???
なんとなく双子は床では普段と性格が逆になりそうだ
積極的で大胆なきえこと恥じらうかえこにハアハア


真面目な話、双子と千沙が離れ離れになったとするとなんか寂しい。

674 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 12:39:48 ID:???
浩美ちゃん何才だっけ。あと数年は双子と千沙一緒にいるでしょ。
でも浩美ちゃん、一国の領主なんだから婚約者いないとは考えにくいんだがどうなんだ?
妙香尼が千沙を嫁にって言ったこともあるくらいだから正室候補はいなかったのかな。
っていうか誰が正室になるんだ?
んでもって双子の着飾った姿が想像できない…

675 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 13:04:01 ID:???
一姫で「いちき」って可愛い名前だね。
殿さんと千沙姫の子どもって意味も考えようによっては入ってるしw
そういや名前予想って話出なかったんだっけ?

676 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 13:23:41 ID:???
一清様のセンスと千沙の予想できぬ行動ゆえに誰にも想像しようがありませんでした。

677 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 20:28:55 ID:???
もし第二子第三子がいたらやっぱり名前は二姫とか三郎なんだろうかw
逃亡生活とはいえ、あれだけらぶらぶいちゃいちゃしてたら
他にも子供が生まれててもおかしくはないと思うんだけど。


678 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 20:35:55 ID:???
あーあ 終わっちゃった…サミシス

ふえと大谷は一緒に逃げたのか?

679 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 20:41:05 ID:???
たぶん二清と三清は安住のパパンと浩美ちゃん&きえこかえこのところに養子にとられたんだよ。

680 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 21:03:12 ID:???
自分の子どもにおびえて泣かれるってショックだろうなぁ。
にしても強引な解釈ワロスw>血文字日記

681 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 21:25:36 ID:???
母さまはお亡くなりになったんだろうか
安住は峯月が継いだんかな
いろいろ思うことは多いが一番はやっぱりこれ

じいさんになった安住パパを見たかった

682 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 21:43:29 ID:???
千絵の方が先に亡くなってそう。
それ以来安住様は女遊びをぴたりとやめ、出家。

「安住」っていう国自体が「昔の大きな国」って感じで
話されてるから滅んだんじゃない安住は。
いやー群雄割拠の時代ですな

683 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 22:02:02 ID:???
>>677
次は多分二太郎だろう

684 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 22:05:51 ID:???
浩美ちゃんがきえこにも手を出すなんて思いもしなかった…。何となくショックだ…orz

685 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 23:26:49 ID:???
きっと自分に愛情や好意を向けてくれる人に飢えているんだよ。

686 :マロン名無しさん :2006/02/26(日) 23:38:09 ID:???
浩美ちゃんが万が一死んだりしちゃったら峯月はこっそり泣く気がする。

687 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 00:19:47 ID:???
表向きは、「馬鹿なヤツだ」とか冷たく言い放って、影では同じ台詞で涙を流してそう。

それを見ていた泉丸。そして峯月は僧服を脱いだ。

688 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 00:35:13 ID:???
脱ぎませんw

689 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 00:47:13 ID:???
>>682
だめじゃん峯月orz

690 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 00:55:12 ID:???
峯月わりに人気だった?
自分は無条件で主人公を愛する消防のように一清スキーで読んでしまってたかも・・・orz

691 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 00:58:53 ID:???
私もみんなの反応見てビックリだよ。
一度も峯月に感情移入できないまま読んでたけど
ここの反応見てるとなかなか愛されキャラだよね
浩美ちゃんも

692 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 01:15:03 ID:???
なんか悪人ぶってる(?)少しへたれ気味なキャラが好きです。

693 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 02:35:48 ID:???
一清さまぼけぼけに見えるけど、実はなんでもできるしツボを心得てるから、かっこいいんだけど突っ込みにくいんだよ。
峯月は完璧に見えて隙があるからつっつきやすい。キャラとしてw

どちらが好きかと聞かれれば一清ですが…

694 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 19:54:14 ID:???
だって坊やだからさ<峯月
立派な武将に成長していて欲しいものだ

>>682
千絵様死んだら一気に老け込みそうだよ安住様

695 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 20:13:50 ID:???
安住さま死んだら千絵さまさらに若返ってきれいになったりしてねw

696 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 22:28:10 ID:???
あ〜そうっぽいw
女はいつの時代も強いよね

697 :マロン名無しさん :2006/02/27(月) 23:26:16 ID:???
そうなるのが嫌だから意地でも死んだりしない安住さま。

698 :お伽話の夜(文庫書き下ろし) 1/2 :2006/02/28(火) 00:03:22 ID:???
千沙は本当に一清の奥さんになる日を迎えた。
「大丈夫かなあ姫さま」
つぶやくかえこに、何が?ときえこは聞く。
「なっ何がって……」赤面するかえこに対して
きえこはさらりと「早くお世継ぎできるといいね」と微笑んだ。

本人がすぐ傍にいるというのに、千沙は口で言わずに
加賀に来てから今日までの事をわざわざ手紙に書く。
彼女なりに緊張しているらしい。話題転換のため、
安住から嫁入り道具の一つとして持ってきた
今まで一清からもらった手紙を見せる。
「私も姫からの手紙取ってあります 量が量なので製本しました」
専用の棚がつくられるほどの手紙の数々。千沙の人生そのものだ。
対して一清の今までの手紙の量はかなり少ない。一清はその差を恥じる。
「手紙は量じゃないって千沙は母さまから習いましたからっ」


『手紙ありがとう 元気です 千沙姫も元気で 一清』
幼い千沙にはどんな長文の手紙に対しても、そっけない一清の手紙が不安だった。
一清さまは千沙の事が嫌いなのかなと千絵に泣きつく。
「千沙 行間って知ってる? ことばとことばの間には
 見えない気持ちがいっぱい隠れているのよ」
行間を汲みとって読んであげようと、千絵は手紙を音読する。

 『手紙ありがとう』 君の手紙を受け取って僕は感激と喜びにふるえている
 君の言葉は愛 君の言葉は 『元気』 の泉 『です』
 『千沙姫も』 愛と 『元気』 を僕の手紙 『で』 受け取って欲しい 『一清』

幼千沙は素直に信じてまた手紙を書き始めたのだった。
安住は笑いながら千絵に、一体千沙をどう育てるつもりだと問う。
「純粋に殿方に恋する娘にですわ 私のようになってほしくないですから」
安住はショックを受けた。

699 :お伽話の夜(文庫書き下ろし) 2/2 :2006/02/28(火) 00:06:20 ID:???
その話ならと、一清は当時の千沙の手紙を即座に取り出す。
大量の本の中からすぐに識別して取り出す一清に驚く。
製本された手紙には何度も読み返したような跡があった。
千沙は一清の頬に接吻する。手紙以外で千沙なりに嬉しさを表現してみたのだ。
一清は千沙を抱きしめる。一清の体温が少し上がったのを千沙は感じた。
行間ってことばだけじゃないのね、千沙はそう思う。

翌朝。
かえこは目の下に寝不足のクマが出来るほど心配していたが、
千沙はハイテンションででれでれしていて、なんの心配もいらなかったようだ。
あとの心配は後朝の文(男女が翌朝交わす文)を待つだけ。
ふてくされたかえこは、そんな風雅なものをあの殿さまがよこすかと言うが、
ろまんすの仕上げには絶対必要だと千沙は期待していた。
そこに期待通り届いた後朝の文。わくわくしながら千沙は開く。

『朝起きて ごはんが旨い うれしいな
 今日も元気で 行ってきます 一清』

一見千沙がごはんに負けたような文だが、
手紙の行間を読んだきえこは、ろまんす的な解釈をした。
ろまんすに浸るきえこの後ろで、期待を裏切られた千沙は
実家に帰ると叫んでいた。


今回の副題 「行間にも程がある」

700 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:35:06 ID:???
行間を読んでみよう〜!

愛するあなたと一つになれた『朝』、『起きて』隣にあなたが確かにいることを確認し、安心して食べる 『ごはんが旨い』。
ああ、愛するあなたとこれからともに暮らしていくのだなあと実感し、『うれしいな』と歓喜の極みです。
愛するあなたのためにこの国を守るため、『今日も』寂しいけれど心配をかけないように『元気』な姿『で』、
本当は片時も離れたくはないのだけれど『行ってきます』。 『一清』

自分キモスw

701 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:36:50 ID:???
千絵さまキターw

702 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:45:34 ID:???
なんか読んでるだけで恥ずかしくなってたところで一清さまの後朝の文にワロタwww
血で日記書くくらいだもんなw

703 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:47:22 ID:???
>>700
いや、いい解釈だwGJ!
でも本当は文面通りにごはんに負けてる気がする・・・千沙哀れ

704 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:48:05 ID:???
>>700
ニュアンス的にはわかったけど具体的な理解はしてなかったが、なるほど

絵柄変わって双子がなんかふくふくしてる

705 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:49:30 ID:???
>愛するあなたと一つになれた『朝』
エロス

706 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 00:52:39 ID:???
> 専用の棚がつくられるほどの手紙の数々

すごいな。こんだけの労力があれば源氏物語みたいな大作書けるんじゃないのか。

707 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 01:02:18 ID:???
加賀と安住を中心に軍記物語に挑戦するもなぜかほんわかまったりムードになってしまうとかね。

708 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 01:51:42 ID:???
どうやって子供作ったんだよ、と思ってたが
なるほど、こうやって作ってたのね
ありえなくもないな

つーか、きえこ、もしや済?

709 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 09:25:05 ID:???
侍女って耳年増なイメージ

710 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 19:17:18 ID:???
大谷さんとふえはどうなったんだー!

711 :マロン名無しさん :2006/02/28(火) 22:31:46 ID:???
子沢山そう、ふえと大谷

712 :マロン名無しさん :2006/03/01(水) 10:03:08 ID:???
巻き戻る時間


次号からLaLaで「時間旋律」が掲載されます。


詳しくは連載中スレの楽屋裏で

713 :マロン名無しさん :2006/03/01(水) 12:34:11 ID:???
新連載楽しみw

714 :マロン名無しさん :2006/03/01(水) 20:20:43 ID:???
旋律ってあるし音楽もの?

715 :マロン名無しさん :2006/03/01(水) 21:19:26 ID:???
マジで!!!!!?
やった

超楽しみ

716 :マロン名無しさん :2006/03/03(金) 19:02:28 ID:???
次号が待ち遠しい!
やっぱピアニスト目指す主人公とか?
それとも柳原さんのことだからまったく違う話かな?

717 :マロン名無しさん :2006/03/03(金) 21:11:19 ID:???
柳原って歴史漫画専門じゃないんだ?

718 :時間旋律 第1話 椿館の住人(前編) :2006/03/03(金) 23:59:26 ID:???
「由郎の家は二つもあるのか?」東野少年はそう訊ねる。
住んでるのは右側だけで、左側はボロくてもう使っていないと由郎は答える。
昔は椿がたくさん咲いていたから通称『椿館』で結構な由緒があるらしい。
話を聞きながら、東野は今はもう咲かないはずの椿の花を塀の向こうに見た。
『危険入ルナ』という看板を無視して塀の穴から椿館の敷地内に入る。
そこには袴姿の少女がいた。少女は東野の体を擦りぬけ通り過ぎて行った。

 夕暮れ時 現がゆらめく時間
 この古い古い町並みの椿館では
 思い出したように過去の風景に出会える時がある
 僕らはそれを幽霊≠ニ呼んだ

小さな椿町にはもったいない名門校・私立海瑠学園に東野がやってきたのは一年前。
由郎の祖父である、車椅子に頼っている理事長は特待生を取らない主義だが、
陸上部の佐々木コーチに説得され東野を特待生として入学させる事となった。
「僕も陸上やってるんだ友達になろうか いっしょに頑張ろう」
そう微笑みかけたが、すぐにいっしょに≠ネんてとんでもないと知った。
東野はすぐに部内一の俊足を誇るようになった。

クラスメートの今枝さん。
何故かドアを開けたらダイエット前の自分がストレッチをしていたという。
統計を取れば原因がわかるかと由郎はそれらの幽霊事件の調査をしていた。
そこに、佐々木がやって来る。東野が部活をサボってどこかに逃げたらしい。
いつもの事だ。陸上命の由郎は東野を探しに佐々木と共に駆け出した。

最近の東野は練習をサボっては椿館に現れる幽霊の少女・伽耶と会っていた。
走る練習をすると聞いて「わかった東野の学校は兵隊さんの学校だっ」と伽耶は言う。
袴姿の彼女は大正生まれなので、いまいち陸上部の意味がわかれないらしい。
東野は説明する。自分は足が速いから学費免除の上、住むところも世話されている。
速いからみんなすごいと言うし、速いから友達もできた。
バカで人付き合いの下手な自分は、足が遅かったら
賢くて優しい人気者の由郎はきっとそばにいてくれなかったと言う。

719 :時間旋律 第1話 椿館の住人(前編) :2006/03/04(土) 00:01:22 ID:???
「変! やっぱ変だよ東野の時代て
 足が遅いと生きてる価値のない社会のゴミなのか?
 東野は東野じゃないか それとも人力車屋しか職業がないのか?」
大いなる勘違いをしている伽耶の言葉に笑い、それでも救われながら、
東野は伽耶を抱きしめる。けれど東野は伽耶の体に触れる事はできなかった。
「伽耶に会えて本当によかった」

由郎は統計の結果、幽霊事件が椿館を中心に起こっていると知る。
1年前 椿館から 半径500m以内 月1件弱の発生件数が
半年前にいきなり 月10件程度 半径1〜2kmに
さらに3ヶ月前だ 今みたいに月20件以上 半径3kmまで広がったのは
何かがこちらとあちらを近づけてるみたいだと由郎は思う。
そこにいきなり現れる佐々木。昔馴染みでもある彼は、
スピード違反で恋を芽生えさせた婦人警官のひさえが来るので
その間、脳溢血で倒れてから少しボケているじーちゃんを預かってと頼みにきた。
「ひさえさん押し倒せないように30分だけね」由郎は承諾した。

「父ちゃん母ちゃん ちょっと佐々木じーちゃん送ってくるね」
両親の遺影に手をふり、30分きっかりにじーちゃんを連れて部屋を出る。
佐々木は理事長につかまり、まだ家を出ていなかった。
二人は東野の事を話している。「天才ですよ奴は」
その言葉に立ち止まる。陸上は結局は才能の世界で、
努力で昇ってもやがては超えられない壁にぶち当たるものだが
東野にはその壁自体が存在しないようだと佐々木は言う。
佐々木はその壁の前にに挫折した凡人の一人。
由郎はじーちゃんを送りに無言でその場を去った。外に出ると、塀の向こうから椿の花びらが飛んできた。
不審に思って鍵を開け敷地内に入ると、東野と見知らぬ少女が笑いあっていた。
そして辺りに咲き誇る無いはずの椿の花。じーちゃんは少女に語りかける。
「さすが椿町一の別嬪だと名高いカヤさんだ ずいぶん久し振りなのに全然変わってない」
少女は「だあれ?」と訊ねると椿の花と共にスウっと消えた。
幽霊が話すなんて今まで聞いたことが無く、由郎は驚く。
部活をサボった事を咎められ逃げる東野。由郎は追いつけず、すぐに東野の姿は消えてしまった。

720 :時間旋律 第1話 椿館の住人(前編) :2006/03/04(土) 00:02:43 ID:???
「おじいちゃん 神さまってずるいよね僕に東野みたいな足をくれないなら
 どーして悔しいって思う気持ちだけくれたんだろ」
――神様に選ばれたのは僕じゃなく東野 だから東野は走らなきゃいけない
裏の椿館は危ないから、もう入れないように塀の穴もみんな塞いじゃおうと言う。
「お前がそう言うなら」理事長は承諾した。

「東野は東野だけは走ることより他のこと選んじゃいけないんだよ」
幽霊なんか練習サボってまで会う事ないと由郎は東野に言う。
そこに、家を抜け出してやって来た佐々木じーちゃんがつぶやいた。
「悲しかったですよ カヤさんが嫁いだと聞いた時は」
驚く東野。じーちゃんは近頃よく口走るのだという。若い頃の事を。

明日は定期測定。万一記録を落とせば退学だと由郎は脅しをかける。
だから今日は練習に来いといわれるが、東野は椿館の塀の前から離れられない。
伽耶の方では雨が降っているらしい。それでも伽耶は東野に会いに館の外を出ている。
今日は入れないからと東野は脱いだ上着を塀の向こうに投げる。
しかし、上着は伽耶の体をすり抜けてしまう。東野は壁を叩き、
驚く伽耶にもう帰りなと優しく語りかけた。

 わかってる この娘はここにいない
 神さまのいたずら 本当は遥か昔に終わった事
 ずるいよ じゃあどうして会わせたりなんてしたんだ

「でっかい壁…」
東野を気にして振り返りながら去って行く伽耶を見ながら、そうつぶやいた。

721 :マロン名無しさん :2006/03/04(土) 02:08:45 ID:???
なんか、今回はえらく情緒的な話だなー
ぶっきらぼうだけど繊細な東野がイイ

722 :マロン名無しさん :2006/03/04(土) 02:55:23 ID:???
なんか切ないな。
違う世界の住人だしハッピーエンドじゃなさそうで。

723 :マロン名無しさん :2006/03/04(土) 08:05:56 ID:???
じーさんはカヤの知り合いなんかなー
別嬪でモテモテのカヤにハアハアしてる若人の一人って感じ?

724 :マロン名無しさん :2006/03/04(土) 20:11:24 ID:???
なんかスケールでかい話だね
理事長と佐々木のじーさんとカヤが同年代の人ってことだよね?
じゃあおばあさんカヤもどっかにいるのかな?


725 :マロン名無しさん :2006/03/04(土) 20:28:41 ID:???
流れ的に亡くなってるんじゃないかな…

726 :マロン名無しさん :2006/03/04(土) 20:34:55 ID:???
一清シリーズの時より今回の絵のほうが好きだ。
かわいい

727 :時間旋律 第1話 椿館の住人(後編) :2006/03/05(日) 23:51:54 ID:???
東野は佐々木と同じアパートで部屋は隣同士。
東野の腕にある痕の残りそうなざっくりした傷の手当てをひさえがする。
「何やったの?」 「某所の壁を壊してきた」
御両親はなにをしてるのと訊ねるひさえ。無口な東野に代わり由郎が答える。
写真家で日本中を旅していて、佐々木に拾われなければいまだに放浪していたかもしれない。
相槌を打つだけの東野に、あの娘(伽耶)とならしゃべれるのにと由郎は言う。
「そうなんだ! 最初は目をあわせる事さえできなかった
 こっちが見えてるのかなって思ったのが半年前
 毎日通ったよ 夕方しか出てこないから そーしたら声も聞こえるようになった」
3ヶ月かかって、会話もできるようになり、それから話をした。毎日。
自分の中にこんなに言葉があるなんてと、その事に驚いた。
写真家の父についていたころ。話しかけると父は、撮影対象の鳥が逃げると怒った。
いつも見ていたのは父の背中。人の背中を見るのが嫌で走るのが速くなった。
遅くなった自分がみんなに捨てられる夢を何度も見た。
だけど伽耶は「東野は東野だ」と言ってくれた。
「―――そうだよ 生まれた時代が違うだけじゃないか それだけじゃないか」
だけ≠セとそう思えばいい。そうしたら諦めなくてもすむ。

定期測定で由郎と東野が出るのは100m。
伽耶に会わせたくないと100mは一番最後、日没近くにやるよう由郎は頼んだ。
毎月の測定結果は日本陸上競技連盟にも送っている。
東野の記録に驚いた陸連関係者は今日の測定にやって来た。
今日東野が記録を出せば、今期の大会は面白い事になるだろう。
ジュニア大会 インターハイ ユニバーシアド オリンピック
東野なら走りぬける。由郎はきっとそれをテレビで見ることだけしかできない。
遅くなると退学になると信じている東野は、怪我をしながらも記録を出すと宣言した。
「遅くなったら由郎に嫌われる」だから出せる。絶対に走れる。
その通りに、東野は何故これが公式試合じゃないんだと悔しくなるほどの記録を出した。
終わるとすぐに伽耶の元に走る東野。肩を冷やすなと由郎はジャージを貸した。
伽耶との仲を阻止するはずが。理事長はそんな由郎の頭をなでながらお前はいい子だよと言った。

728 :時間旋律 第1話 椿館の住人(後編) :2006/03/05(日) 23:52:35 ID:???
東野に向かって走ってきた伽耶は転んだ。咄嗟に支えようと東野は手を伸ばす。
今までふれれなかったカヤの手に、東野は確かにふれることできた。
その瞬間椿町全体に大量の幽霊が発生した。普通の人間のようにそこら中を歩いている。
幽霊になれている椿町の人間が共学するほどの数だった。
東野はカヤの手をにぎったまま、くちづけを交わした。
どこからか消防車のサイレンの音が聞こえた。

 幽霊事件が倍増した日 火事があった
 そしてそれが椿町連続放火事件のはじまりだった

729 :マロン名無しさん :2006/03/06(月) 01:16:16 ID:???
なんかすげーミステリアスな話になってきたな・・・
先の展開が全く読めん
とにかく期待

730 :マロン名無しさん :2006/03/06(月) 07:03:50 ID:???
一清と千沙の話とはずいぶん雰囲気違うな。
でも面白い。どう展開するのかさっぱり読めないし。
ちょっと幻想的な感じがするのもいいね。続きが気になる。

731 :マロン名無しさん :2006/03/06(月) 10:14:31 ID:???
元々あった幽霊事件が東野のせいで増えてるのか?

東野が来たのが1年前→半径500m以内 月1件弱の発生件数
目があった半年前→月10件程度 半径1〜2km
話をした3ヶ月前→今みたいに月20件以上 半径3km
触れ合う→大量の幽霊が発生

幽霊事件が発生し始めたのは実は東野が生まれてからだったりして


732 :マロン名無しさん :2006/03/06(月) 11:42:41 ID:???
えっそれすげーな
でも東野とカヤが近づくごとに幽霊は増えてくね
触れる幽霊ってなんだ?

なんか東野の歪んだ愛情?がモロくて切ないな
「走らなきゃ嫌われる」とか

あー面白いわ時間旋律

733 :マロン名無しさん :2006/03/07(火) 01:15:09 ID:???
つーか、幽霊というよりも二つの時代が重なり合ってるって感じだよな
東野が原因だとすると、なんかSFチックな能力を持ってるとかそういうのか?
足がやたらと速いのはその伏線とか・・・
つーかジャンル的にはSF青春モノでいいのかな、時を駆ける少女みたいな

734 :マロン名無しさん :2006/03/07(火) 11:19:37 ID:???
足の速さで時代の壁さえ走りぬけちゃうのか

735 :マロン名無しさん :2006/03/07(火) 12:48:07 ID:???
どんだけ速いんだw

ってかさ、カヤが由郎家の敷地内にある椿館に現れるってことは
カヤは由郎の先祖なのか?

736 :マロン名無しさん :2006/03/07(火) 13:56:40 ID:???
先祖とは限らないんじゃないか?
つーかそれだと東野的には悲恋決定だし避けてほしいw
何かの事故に巻き込まれて冷凍睡眠状態でカヤが椿館で眠り続けてるとかはどうだろう

737 :マロン名無しさん :2006/03/07(火) 14:19:48 ID:???
それはアリだなー
椿館の中を漁るんだ東野!

738 :時間旋律 「カーテンの法則」 1/3 :2006/03/07(火) 23:57:12 ID:???
東野と伽耶はキスの後、互いに赤面しちょっと気まずさを感じる。
とっても基本的な事として、好きな男はいるかと東野は聞く。
「いないけど…許婚者ならいる」周太郎といって結構なエリートらしい。
小さい頃に決められた相手で、今は遠くにいる。好きなわけではない。
佐々木じーちゃんの言った事が本当なら伽耶はこのまま嫁に行ってしまう。
逃げようと東野は伽耶の手を取る。だが、すぐに東野の姿は消えてしまった。
「消えちゃうくせに偉そーなこというなー!」
一人残され叫ぶ伽耶を呼びに、母がやってくる。
周太郎が帰って来たのだという。
「あなたも学校終えた事だし今度こそお式のお話ねv」

定期測定に来ていた陸連の笠原は寮の設備の整った学校を東野に紹介したいと言う。
東野のような特待生は例が無いし、住む所も一般のアパートで管理も不充分。
いい話だと理事長は勧める。「どーしてそう理事長は俺が嫌いなんだ!」
好きと嫌いしか頭にない東野。椿町の外にいきたくない、ここにいたいと宣言する。
「どこでだって走れる だけどあの子はここにしかいないから」
去って行く東野を由郎が追いかける。残された理事長は佐々木に言う。
「私は時々自分がやってる事がわからなくなるよ」
東野みたいな金の卵を手放す事はない、学園を有名にするチャンスだと豪快に笑う佐々木。
「学校経営にはあまり執着していないんだ もともと妻の家の家業をついだだけだからね」

椿町では連続放火事件が話題になっていた。
うさんくさい霊能力者がワイドショーで放火を幽霊事件と関連付けている。
由郎は、幽霊事件の増大は東野のせいじゃないかと言う。
「あれがいい あれが似てる」由郎はカーテンを指す。
カーテンの右側が未来、左側が過去だとする。
偶然風が吹く。カーテンが揺れ、触れ合うはずのない時間が一瞬だけ重なる。
「これが今までの幽霊事件 じゃここに何らかの力が重なったら?」
由郎は左右のカーテンを引っ張り重ね合わせる。「ほら 幽霊が増える」
正常に戻すには手を離せばいい。もう伽耶に会わなければいい。
「これは俺達のせいだから だから会うな? 迷惑だから転校でもしてどっか行っちまえ?」
由郎は口篭もりながらもそうしてほしいと言う。そうすれば東野は陸上を選ぶ。

739 :時間旋律 「カーテンの法則」 2/3 :2006/03/08(水) 00:00:51 ID:???
「いいじゃんこのままでも 案外さ 幽霊が名物になって
 この椿町も一大観光都市になったりして」
呑気に言う東野に、そんな恐い町過疎になると由郎は突っ込む。
「ああ じゃあ俺がこうすれば?」
東野は左側のカーテンを掴んだ。

周太郎は第3連隊勤務が決まり、当分こちらにまた戻って来れそうにない。
そこで伽耶を上京させ、そちらで式を挙げる予定だという。
伽耶を無視して話が進んで行く。悲観しながら椿の接ぎ木をした後、
東野の言った通り逃げる事を決意。外に出た途端、ボディコン姿の女性に遭遇。
驚いて眺めていると女性はパッと消えた。今度はバスが目前を走りぬけ、同じく消えた。
東野以外の幽霊に驚きくじけて帰宅し、いつものように椿の接ぎ木をした。

部活に出ずに椿館周辺で一人でトレーニングする東野は
放火現場付近で目撃されたために、放火犯の疑いをかけられる。
放火犯扱いされたくないなら練習に出ろと誘いに来た由郎は、
窓越しに椿館の中に周太郎の姿を見る。
あれが伽耶の結婚相手かとつぶやく由郎に、
伽耶とくっつくのは俺だと東野は自信満々に言う。

 カーテンが揺れる 現れては消えるだけの幽霊たち
 僕が東野みたいになりたいって思うように
 東野もぜったい手に入らない物を欲しがってる

「東野 好きなだけじゃどうにもならない事 あるんじゃないかな」
「どーにもなんないからって じゃあ やめると言える?」
東野は伽耶を周太郎の前から連れ出し去って行く。
周太郎は、物珍しさに幽霊を見に行っただけだと判断し後を追わなかった。
東野は伽耶と手を繋いだまま館の外を歩く。
コンビニがあったはずの場所には見知らぬ古い建物があった。
周りを歩くのも古めかしい格好の人々。伽耶の世界にこれたのだ。
「火事だ!」手を離し声のする方を向く。再び振り向くと、そこには元のコンビニがあった。

740 :時間旋律 「カーテンの法則」 3/3 :2006/03/08(水) 00:03:40 ID:???
 最初は声さえ聞けなかった それから話ができるようになって……
 あと もう少し もう少し 手をつないでいれば

放火現場から人影をつけてきたひさえ達は、椿町一安いというぼろアパートに辿りついた。
そのアパートの住民の東野は窓辺でぼんやりとしていた。そこに現れた佐々木のじーちゃん。
話しかける東野を、じーちゃんは振り払った。不審に思いながらも東野は部屋に戻る。
ひさえと行動を共にしていた課長は、部屋の灯りがついたのを確認し、乗り込んだ。


 いったい何が起こっているんだろう
 咲かなくなったはずの花々が咲き
 増大する幽霊事件と ここで起こる奇跡たち
 時間のヴェールが揺れ 思いがさらに時間を引きよせる

幽霊事件は椿館を中心に起こってるようだよと由郎は理事長に言う。
「椿の夢かな 花をつけなくなった椿の見る夢」
「お前のおばあちゃんは椿がとても好きな人だったから
 椿が昔を懐かしがって夢を見るんだ あの人の 伽耶の」
記憶に薄い由郎の祖母の名前は椿 伽耶といった。
「でも おじいちゃん周太郎≠チて名前じゃないよね」

「椿家に入る前 名前を変えた事がある その前は周太郎と名乗っていた事もあるよ」

741 :マロン名無しさん :2006/03/08(水) 01:19:09 ID:???
由郎はカヤの孫確定か・・・
つーかこれ、悲恋も確定?

742 :マロン名無しさん :2006/03/08(水) 12:34:15 ID:???
なんで自分のばあちゃんの名前知らないんだよ

743 :マロン名無しさん :2006/03/08(水) 13:21:32 ID:???
そういえば自分が生れる10年前になくなったという祖父の名前を知らない自分....

744 :マロン名無しさん :2006/03/08(水) 15:00:13 ID:???
自分も祖母の名前知らない……

745 :マロン名無しさん :2006/03/08(水) 15:56:35 ID:???
一緒に暮らしてた父方のはわかるが母方はわからない

746 :マロン名無しさん :2006/03/08(水) 20:03:32 ID:???
普通に、おじいちゃん同様、おばあちゃんも改名してたりして。
事情はさっぱりわからないけど。

747 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 07:11:36 ID:???
ナンダッテー

自分もじーさんばーさんの名前思い出すまで時間かかった
普段知らなくても不便じゃないもんな

748 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 13:40:09 ID:???
爺ちゃん婆ちゃんどころかひい婆ちゃんの名前もわかる!

と思ったけど同居してた母方の祖父母限定で、父方の祖父母は「○○(←地名)の爺ちゃん、婆ちゃん」って呼んでたから名前知らないorz
由朗もカヤが死んでるんなら知らなくてもしょうがないな…。
ていうか理事長が東野の恋敵って。

749 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 13:55:48 ID:???
佐々木のじ−ちゃんどうしたんだ

750 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 14:43:58 ID:???
歩き方が若者じゃないとか言ってたし放火犯が佐々木じーちゃん?

751 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 18:56:58 ID:???
東野とカヤは相思相愛みたいだからハッピーエンドを期待してる!(どういう風になるかわからないが)

ただ、そうなると由朗もしかして生まれてこなくなる?

752 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 21:32:40 ID:???
東野が伽耶を孕ませればいいんだよ

753 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 22:25:16 ID:???
それは理事長報われなくてなんか嫌…
東野が報われないほうがもちろん嫌だけど(・ω・`)

754 :マロン名無しさん :2006/03/09(木) 23:32:24 ID:???
周太郎が火事であぼ〜んしかけ、東野が周太郎と融合するとか。

755 :時間旋律 最終話 前編 1/3 :2006/03/10(金) 00:00:05 ID:???
 椿館の女主人は椿を愛した人だった
 その人が死んだ時 椿たちは花をつけるのをやめた
 そうして椿たちは夢を見る
 自分たちが花をつけていた時を
 自分たちを愛したその人の姿を
 夢は 時間のヴェールを揺らした

東野は動機もなく証拠もあやふやでアリバイさえあれば即釈放されるのだが、
事件の起こった時間のアリバイは全て「伽耶といた」。とりあえず佐々木と由郎が迎えに行った。
佐々木は理事長から聞いた事を全て話す。伽耶が周太郎――理事長と結婚すると。
東野は取調室の机を蹴り倒し、放心したように言った。「ああ…そう」

釈放されたものの、東野が放火容疑で捕まったという噂はすぐに広まった。
陸連の笠原は大事になる前に転校させろと連絡してくる。
東野はそれを承諾する。もうここにいても仕方がないと。
駅に直行する東野を由郎と佐々木は見送りに行く。
東野は伽耶の事を聞く。由郎は覚えていないが、佐々木の記憶にはあった。
理事長に「幸せですか」と聞かれ「はい」と口癖のように答えていたという。
「あの子ははい≠チて答えたんだなはい≠チて」

出発の時間、伽耶は最初で最後の抵抗を試みた。
周太郎は伽耶が幽霊の男と会っていた事を気にしながらも、
伽耶の母に言われて先に駅へと向かった。
部屋に立てこもる伽耶。しかしパワフルな母によってドアを破壊され連れ出された。

 どんな思いも やがてはただの記憶になる
 時間はたくさんの思いを無視して
 ただ 流れていくだけなんだろうか

756 :時間旋律 最終話 前編 2/3 :2006/03/10(金) 00:00:46 ID:???
見送りに行っている間、佐々木はじーちゃんを理事長に預けた。
じーちゃんと2人きりの理事長はつぶやく。
「まさか…こんな時間が持てようとはね」
じーちゃんがふらふらと歩き出す。理事長は足を引きずり追った。
「何を…してるんです?」じーちゃんは椿館に火をつけようとしていた。
「伽耶さんに会ったんです 昔のままの伽耶さんに
 あの時 椿館が燃えた それっきり伽耶さんはいなくなった」
もう一度火事になれば伽耶さんに会える
私は今度こそ伽耶さんを引きとめる、とじーちゃんは言う。
「…それで納得するなら火をつけなさい 周太郎さん」

母と共に家を出た伽耶は、火の手が上がっている事に気づく。
「…熱くない 火の幽霊? むこうで何が起こってる?
 ……来てくれるんでしょう? 東野」

ホームに立った東野は、向こう側に周太郎の姿を見る。
やって来た電車と、汽車の幽霊が重なる。
火事だと騒ぐ声が聞こえる。その瞬間、自分を呼ぶ伽耶の声が聞こえた気がした。
燃えているのは椿館のようだった。
「あそこがなくなる――…本当に終わりになる 全部幻になる」
走り出す東野。追いかける由郎。佐々木は一人駅に放置された。


757 :時間旋律 最終話 前編 3/3 :2006/03/10(金) 00:02:08 ID:???
東野は燃え盛る椿館の敷地内に入っていく。出て来た理事長が訊ねる。
「…行くのか? 行ってどうする?」
「知らない そーゆー難しい事は考えないんだ もう
 でも あの子にとって幽霊で終わるのだけは絶対に嫌だ」
東野は燃えた家屋が崩れ落ちる中を、無視して歩いていく。
死ぬ気かと止めに行こうとする由郎の腕を理事長が掴み制止した。
火の粉をかぶりながら歩きつづけた東野の足に、火だるまの木材が落ちてくる。
「…伽耶 来たぞ伽耶! 迎えに来たぞ!」

その叫びに答えるように、椿が花をつけ――そして伽耶が現れた。

「もう消えないから そっちに行くから 引っ張って」
伽耶が東野の手を取った瞬間、東野の足をつぶしていた木材が消えた。
こちら≠ナは本物の火事ではないからだ。
伽耶の手を借り、東野は歩き始めた。

由郎はそれを呆然としながら見つめた。
伽耶のもとへ走って行く時の東野の笑顔が脳裏に浮かぶ。
理事長は周太郎。そうわかっているのにどうしてあんな顔ができるのだろう。


 僕だったらできない
 やっぱり違う 東野は違う
 その言葉が頭をぐるぐる回る



758 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 00:25:39 ID:???
周太郎って名前の人がいっぱいいる町なのか?

759 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 00:48:40 ID:???
おいおいおい、東野あっち側いっちゃったのかよ
歴史変わっちゃうじゃんどーすんだ

しかし佐々木じーちゃんと由郎のじーちゃんの関係が今ひとつワカラン・・・

760 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 00:50:15 ID:???
その時 歴史が動いた

761 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 00:52:02 ID:???
なあ、伽耶は実在する昔の人物なんだよな?(ストーリーの中では)
で、伽耶の世界っつーか時代に東野が行っちゃったってことは、
東野は過去に行っちゃったって事か?

762 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 01:10:42 ID:???
そうだよ。
異世界でしたとかいうどんでん返しがあるかもしれんが…

763 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 01:11:23 ID:???
佐々木のじいちゃんが周太郎って事は−−−!?

764 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 01:13:56 ID:???
「幸せですか?」って問いかけて「はい」って答える老夫婦って素敵だな。


765 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 01:20:24 ID:???
>>763
理事長は何者なんだ
>>758説か?

766 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 02:44:57 ID:???
>>758説はどう考えても不自然だろうw

「あの娘にとって幽霊で終わるのは嫌だ」って幽霊の定義が普通の(死んでいなくなった人の怨念とかそういうの)と違うからなおさらそう思うよね。
同じ時間をお互い生きて共有してる生まれた時代が違うだけの二人だもんな。

767 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 14:22:48 ID:???
この人、絵がめちゃくちゃ上手いというわけじゃないけど
なんというか演出の心得みたいなのがあるなー
椿の花と共に伽耶が出てくるところとか素直に美しい。
実写で見てみたい

768 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 16:31:42 ID:???
実写化いいね!短篇物(次回で終わりだよな?)だけど設定は凝ってるし、
知名度も薄いから変にアイドルとか有名俳優使われることもないだろうしw
実力のある監督・俳優陣でしっかりと撮られた映画なら是非みたい。
街の雰囲気、大正の雰囲気、人物の切ない心理描写を大切に作ってくれたら最高。

769 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 16:36:38 ID:???
連投スマソ
この漫画って主人公、東野と思ってたけど実は由朗?
どっち??

770 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 18:24:23 ID:???
両方じゃね?

771 :マロン名無しさん :2006/03/10(金) 20:22:58 ID:???
主人公:東野
ストーリーテラー:由朗

772 :マロン名無しさん :2006/03/11(土) 15:31:39 ID:???
由郎:タモリ

773 :時間旋律 最終話 後編 1/3 :2006/03/11(土) 23:54:13 ID:???
伽耶の名を連呼していたじーちゃんは、人ごみの中に周太郎を見つける。
周太郎に向かって行くじーちゃんを止めようとし、理事長は服の腕の部分を破られた。
「どうしてすぐに来なかった!? どうして置いていったりしたんだ?
 理由を確かめる事さえせず どうして…あの人がいつも自分の物だなどと思っていたのか
 幽霊を信じなくても伽耶さんの目を信じなかったのか……」
周太郎に向かって叫ぶが、幽霊たちは徐々に消えていった。
理事長はじーちゃんに言う「もう火をつけなくても大丈夫ですね 周太郎さん」
――佐々木じーちゃんも周太郎?
混乱する由郎の目の前で、理事長は東野が放火犯だと警察に証言した。
「いいんだ由郎 もう2度と戻っては来ないから」
理事長の破れた服からのぞく腕には、古い傷跡があった。

『あと残るわよこれ』

塀を壊して怪我をした東野に、ひさえがそう言ったのを思い出す。
「おじいちゃんまさか…東野?」

「…あの足で椿町を離れられた事こそ奇跡だと思うよ
 火事の幽霊で町中大騒ぎになったのが幸いしたらしい」
理事長――東野は語る。
表には母がいるからと、伽耶が塀を壊して裏から出て、汽車に乗った。
どうして自分が周太郎だと言ったのか、由郎は東野に聞く。
「お前からあの子にそれが伝われば もしかしたらあの子は行くのをあきらめるかもと思ってね」
汽車に乗って町を出てから、色んな事があった。
戦争のどさくさにまぎれて戸籍を手に入れるために犯罪まがいの事もやった。
許されてこの町に戻るまで何年もかかった。

「何よりあの時から歩くのにも足を引きずるようになってね
 私は守りたいと思っていたその人に
 ずっと手を引いてもらわねばならなくなったんだ
 ――あの時 もう一度自分に会った時 ふと思った
 もしこっちを選ばなければ どうなっていただろう と」

774 :時間旋律 最終話 後編 2/3 :2006/03/11(土) 23:56:51 ID:???
 ちくちくと胸が痛くなる
 何度も何度も繰り返される旋律のように

 もし あの時追いかけていれば

『あの子…手紙が来ました 住所はありません
 ただ…嫁ぎました≠ニだけ――…』
軍服姿の周太郎に、伽耶の母はそう言って泣き崩れた。
周太郎はなにも答えられず、ただ呆然とした。

 もし あの時走らなければ
 
『まあ可愛い若奥さま』 『佐々木周太郎中尉の奥さまでしょう』
近所の奥様方と笑いあう一方で、伽耶はため息をつく。
『東野っよくやったっ新記録だっ』
皆の歓声に包まれながら、東野は遠い目をする。


「それで…がっかりした? せっかく邪魔したのに結局あっち行っちゃって」
「――うれしかった ひどくうれしかったよ」

 それでもなお 思いは同じ時間に戻っていく

東野は伽耶に聞く。
『幸せですか コレデヨカッタンデスカ』
『幸せですよ ヨカッタンデスヨ』

 何度も何度も確認しながら




775 :時間旋律 最終話 後編 3/3 :2006/03/11(土) 23:58:53 ID:???
「…信じらんない 東野は絶対にそんな事考えないと思ってたのに」
由郎は涙をふきながら微笑む。
「嫌いになったかい 由郎」
――俺のこと嫌いになった? 由郎
由郎の知るかつての東野と同じ事を言う。
「……ばかだなあ 嫌いになるはずないってば」

東野は放火した後に姿をくらませた少年Aという扱いになった。
無実を信じ続ける佐々木に、じーちゃんはどんな人なのかと由郎は聞く。
いいじーちゃんで、少し堅苦しいところはあるが小さい頃はよく遊んでくれたという。
「あ でも妙に理事長の事避けてたな」
由郎は陸上部の活動に戻る。やって来たひさえは速いねと由郎を誉める。
「東野はね もっともっと速かったんですよ
 どうせ失踪するなら足だけ置いてってくれればいいのに〜〜」
うじうじする佐々木に、ひさえは手の甲にある古傷を見せる。
学生の頃、好きだった人をすごい美人に取られてしまった。
顔だけはどうにもならなくて、悔しくて鏡をぶち割った時に出来た傷だという。
「だから とゆーわけではないんだけど
 どうやって悩んでる佐々木くんが一等好きだったりするのさ」

 ちくちくと胸が痛くなる それでも今を愛しいと思うのだ

東野は椿館の跡を見ながら、若い頃の回想をした。
椿も全て焼けてしまった。
東野の説は正しかったようで、もう幽霊事件は起こらなかった。
由郎は東野の手を引き、家へと戻っていく。
もしあっち行ってなかったら僕は生まれなかったんじゃないのと聞く。
「そーゆー難しい事は考えないなー由郎頭いいなー」
こーゆー奴なんだよなと由郎は呆れる。


 椿町に幽霊が出ることは もう 二度となかった

776 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 00:31:13 ID:???
何この 大 ど ん で ん 返 し ! !
おもしれー

777 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 00:45:30 ID:???
あーなるほど、そうきたか
別に裏をかく展開ってワケじゃないんだけど
画風や心理描写が素朴で静かな感じのせいか意表をつかれた感じだなあ
いや、素直に面白かった、いいマンガだ
この作者、なんつーか本当に巧いよね

778 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 00:52:27 ID:???
自分が恋人ともう一度結ばれる過程を見るのってどんな気分なんだろうな。
それも障害がいっぱいの恋。
「ひどくうれしかったよ」って所がじ−んときた。


779 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 00:57:24 ID:???
若い頃の自分の恋愛模様見るなんて恥ずかしすぎる




だけどラストには目から汗が……
ラストページの椿の花で埋め尽くされた中央に書かれた
「椿町に幽霊が出ることは もう 二度となかった」
の一文がセツヌェー


780 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 01:07:29 ID:???
由郎の失恋話でもあるよね
弟にしたいタイプNO.1だな由郎は

781 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 01:32:07 ID:???
由朗って東野の孫なのか−−。
(走る)素質はありそうなのに。

782 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 02:22:31 ID:???
>>780
東野に失恋したのか?

783 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 03:01:09 ID:???
そうそう。変な意味ではなくね。
取り残されてしまった由郎。

イイ彼女できるといいな 包容力のある

784 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 04:20:26 ID:???
つ ひさえ

785 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 11:14:58 ID:???
ひさえは佐々木のでしょw!

由郎もカヤみたいなタイプが良かったんじゃないかなどと思ってみる
カヤと由郎の顔って似てるよね 似せたのかな

786 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 13:43:13 ID:???
カヤは子ども一人だったんかなぁ?>由朗の親のどっちか

もう一人いればその子どもは由朗の従姉妹になるから結婚できるよwカヤ似かもよ

787 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 14:27:15 ID:???
由郎の恋人は陸上です

788 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 18:45:17 ID:???
マネージャーか陸部の女の子がいいな、由朗の彼女。

789 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 20:42:27 ID:???
月並みかつ乙女チックな言い方で何だか恥ずかしいが
胸が痛くなるような切ない気分だ

790 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 21:57:09 ID:???
由郎の家に遺影が二つあった気がするので、
なんとなく由郎の父親がカヤの子供な気がする。
子供産んだのかー幸せだったんだろうなぁカヤも東野も

関係ないけど私のパソコン「とおの」だと「遠野」と出てくるので
「ひがしの」で打ってるんだが、東野幸治がちらついて仕方がない

791 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 22:33:02 ID:???
ものっすっごい今更だが東野の本名何?
ヒガシノワロタよw

792 :マロン名無しさん :2006/03/12(日) 23:56:43 ID:0g0bQxHp
連載終了age

793 :マロン名無しさん :2006/03/13(月) 00:57:54 ID:???
>>790
トウノで出てきたお

周太郎は周太郎なりにカヤを好いてたかと思うともやもやと切ない

794 :マロン名無しさん :2006/03/13(月) 01:18:02 ID:???
ていうか結構惚れてたんだろうな。
日本男児は意思表示が苦手だから。

795 :マロン名無しさん :2006/03/13(月) 04:11:57 ID:???
かなり惚れてたろう
じいさんになっても憶えてるんだもん。
ボケた時真っ先に出てきた感情なんだもん。

それでも結婚し孫まで作った。
周太郎さんもなかなか辛い恋愛をして大人になってきたんだろうなぁ
しかも許婚と恋敵が二人して戻って来るんだもんね、椿町に

796 :コントラクト・キラー 前編 1/2 :2006/03/13(月) 23:49:17 ID:???
「ノートン伯爵家 一人娘セラフィナ この娘を殺して頂きたいの」
婦人は金髪の少女の映った写真を隙間から渡す。
「……神の御名において あなたの願いは叶えられるでしょう」
黒髪の青年は憂鬱な表情で顔の見えない相手にそう答えた。

 殺人依頼は教会へ 金曜 午後1時 まん中の懺悔室

教会を出た婦人は、神父がカラスと戯れているのを見た。
金曜日の午後は必ず散歩に出るのだという。カラスのアドリアンは光物が好きで、
神父のつけている十字架のネックレスを取ろうとしていた。
そうやってサボっているから教会を悪用されるのよと内心思いながら婦人は去っていく。
神父は黒髪の青年に語りかける。
「しかし世も末だね ナサニエル 男爵様の副業が殺し屋の手伝いとは」
「神父が殺し屋するほど意外じゃないと思うよ アレン」

貧乏男爵のナサニエルの趣味は土いじり。
殺しの打ち合わせをしながらバラの世話をしてところ、金髪の少女が通りかかった。
殺人依頼のあったセラフィナ=ノートン嬢だ。ナサニエルを庭師と勘違いし笑みを向けてきた。
「フィーナ フィーナって呼んで」
彼女は伯爵を失ってからは郊外に引き篭っており、たまに夜会に出てくると近寄る男たちに
『あんたたち財産目当てなんでしょう』と敵意の目で見てくる。まさかあんな笑顔を見せるとは。
花をあげようとするナサニエルに、彼女は切ったらかわいそうだと言い、これから毎日見に来ると約束した。
「seraphina<wブライ系の名前……天使って意味のね」
ナサニエルはつぶやく。その天使を殺そうとしているのは、叔母のモースタイン夫人。
彼女に次いで二番目に伯爵家の財産を継げる者。

夜会に出たナサニエルはわざと像を倒して壊した。
皆の目が行っている間に、侵入していたアレンがポートマン氏を刺し殺した。
今回の依頼人はポートマン夫人。夫が浮気して自分を捨てようとすると言って依頼した。
そう言う夫人も浮気をしており、今夜から若い作曲家とバカンスに行くのだという。
「世の中そんなもんよ だからさ悪人はさっさと神の御元に送って更正してもらうに限るってわけよ」
アレンは笑う。貴族ってのは地獄で再会できる人種だなとナサニエルは言い、自分もそのはしくれだなと苦笑した。

797 :コントラクト・キラー 前編 2/2 :2006/03/13(月) 23:50:45 ID:???
セラフィナの家に行ってみると、とても伯爵家の人間が住む場所とは思えない
中流階級レベルの小さな家だった。貧乏伯爵のナサニエルが住むところと大差ない。
家宅侵入してみると、使用人が出入りしてる気配もない。
「どうも労働意欲がわかないな やっぱ殺してェのは紳士淑女の見守る中
 さっそうと行われてこそ美学だと思わないか」アレンは不満げに言う。
しかしセラフィナは社交界にあまり出ないから殺すチャンスはなかなかない。
そこに、モースタイン夫人がやって来た。
殺し屋に働いてもらなわいとと思いながら自分の夜会に来るよう誘う。
私の事を本気で心配してくれるのは叔母様だけですと、セラフィナは生前に父が
無名の画家に書かせたという天使の書かれた絵画をプレゼントした。

結局その日はなにもしないで帰った。ほっとしながらナサニエルはバラの世話をする。
そこにやって来るセラフィナ。「バラの中の死体とゆーのなら美しいかも」
労働意欲をわかすアレンに、今はただの庭師でいさせてくれとナサニエルは頼んだ。
バラの花に囲まれながらセラフィナは語る。ここにいると父がいた頃を思い出し安心すると。
昔は父だけを信じていれば良かった。けれど、父がいない今は中身を見ずに
ドレスだけを見るような人しか近づいてこない。誰かを信じる事を忘れてしまいそうだ。
セラフィナの家は昔はお金持ちだったが、父が死んでから借金だらけだと発覚した。
「言っちゃったらどうなるかなぁ 実はドレスもぼろぼろですよって
 中身がつまんないもの きっと誰も声さえかけてくれな…・・」
言いながらセラフィナは涙をこぼした。出直すわと言って去って行く。
たった一人取り残されて懸命に戦うセラフィナ。
今回の依頼はキャンセル出来ないかとナサニエルはアレンに聞く。
「ふん あいにく俺はあんたほどおめでたくはない
 天使の皮をかぶった堕天使がどんなに多いか いやというほど知ってるからね」
アレンはモースタイン夫人の筆跡を真似て、セラフィナをモースタイン家のテラスに呼び出した。

798 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 01:13:09 ID:???
神父と男爵で殺し屋やってくシリーズになるかな。
セラフィナ嬢も結局は天使の皮かぶった堕天使で、
毎回ヒロインが出てくるけどみんなそんな感じで堕ちていくというダークなのになりそう。
いきなり人殺してるし

799 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 01:20:19 ID:???
殺し屋神父イイヨイイヨー
腹黒キャラいい味出してる(・∀・)イイ!!

800 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 01:21:51 ID:???
この人ほんっとほのぼのした話描くと見せかけて重い話描くよなぁ。
アレンが食わせ者っぽいから期待w

801 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 09:18:28 ID:???
アレンとナサニエルのギャップがいいね
外国物もなかなかはまってんじゃん

802 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 10:07:20 ID:???
本当に重いな・・・
セラフィナが堕天使なのか本物の天使なのか、ドキドキしながら見守ろう

803 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 13:54:18 ID:???
セラフィナが堕天使になりそうな要素が一欠けらも見当たらないんだが…
天使みたいなセラフィナを巡って3角関係な展開キボン

804 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 17:02:59 ID:???
堕天使なセラフィナが見たい

805 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 17:51:51 ID:???
いやん
ナットが泣いちゃうわ

806 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 21:05:32 ID:???
ナサニエル人殺せそうにない性格っぽいのに…

807 :マロン名無しさん :2006/03/14(火) 23:50:45 ID:???
ナサニエルは受付だけなんじゃね?

808 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 00:23:31 ID:???
天使の皮をかぶった悪魔じゃなくて堕天使なのか
アレンは近しい人が堕ちて行ったりしてるのかね

809 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 00:24:15 ID:???
殺し屋の受付担当ってヘタレな感じだな…

810 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 20:40:54 ID:???
でも殺すの手伝ってるよね。で、金はもらってるんでしょ?
穏やかそうに見えて結構冷酷なんだな、と思うと
実はナサニエルのほうが怖くね?

811 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 20:46:04 ID:???
実際手を下さないって漫画的には卑怯とか臆病とかになるよな・・・。
おいしいとこだけかい、ってなかんじで。

812 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 21:09:02 ID:???
セラフィナを殺せるのかな?

813 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 21:23:33 ID:???
セラフィナが殺し屋の噂を聞いて叔母さん殺しの依頼に来る展開キボン

814 :マロン名無しさん :2006/03/15(水) 21:26:10 ID:???
噂たってていいのかよw
ひっそり殺せよ

815 :コントラクト・キラー 後編 1/3 :2006/03/15(水) 23:37:15 ID:???
夜会で当代一の貴婦人は誰かと語り合う青年たち。ナサニエルはセラフィナ嬢だと答える。
それが面白くないカリン嬢は、珍しく夜会に顔を出したセラフィナに嫌味を言いにいく
隠れていたナサニエルは、泣きそうになるセラフィナに耐えられず止めに行く。
庭師のふりをして自分をからかったのだと、セラフィナは泣きながら去って行った
尚もセラフィナを非難するカリンの手をナサニエルは叩いた
「レディになんて事するのよっ」 「いつから貴婦人(レディ)の意味が変わったんだ?」
ナサニエルはそう言い捨て後を追う。自分の味方は叔母だけで十分だとセラフィナは叫ぶ。
そこに、テラスから謎の女性とモースタイン夫人の会話が聞こえてきた。
女性は、セラフィナにはもうなんの財産もないと告げる。夫人は悔しがりながらも殺し屋を続行させると言う。
「せめて残った土地だけは手に入れなきゃ あの子にはなにがなんでも死んでもらいます」
全てを知ってしまったセラフィナは放心しながら涙を流す。

「叔母さままでどおして? もぉいい もぉ……
 死んでしまえばいい みんな死んでしまえば…!」

「今度の金曜日 来るかな彼女」
謎の女性の正体は女装したアレンだった。全部仕組んだのかとナサニエルは掴みかかる。
「あんたが何もしないからだろナット いつもそう何もせずにただ傷ついてるだけ
 親父の代になりあがっただけのくせして 実に貴族的だよあんたは」
ナサニエルの父は晩年になって長年の夢だった爵位を許された
そのために何をしてきたか――思い出すたびにナサニエルはいつも気分が悪くなった。
父は死ぬ間際、大勢の人に看取られる幻覚を見、皆に許されて幸せだと言い残した
実際は息子のナサニエル一人しかいなかったが。
『ここまで来るためにとっくに諦めたはずだろう? ……もう聞こえないか』
葬式は一人だけの寂しいものだった。いよいよナサニエルは男爵となったが
相続税法で地位はあってもいきなり貧乏だ。父の墓を見ると、この人の人生はなんだったのだと思える
『くだらないよなあ人間て』つぶやくナサニエルに、アレンは言った。
『俺の仕事を手伝わないか? くだらないのは自分だけじゃないって思えるぜ』

 フィーナ フィーナ 頼むからこないでくれ
 君だけは違う そうだろう? セラフィナ

816 :コントラクト・キラー 後編 2/3 :2006/03/15(水) 23:39:27 ID:???
そう信じていたのに、金曜日にまん中の懺悔室にセラフィナはやってきた。
「私信じてたんです 叔母だけはずっと なのに全部嘘だったんです。
 思いやりもやさしい言葉も 私その時思ったんです殺してやりたい≠チて」

 あなたもかセラフィナ いいよ依頼を受ける 大丈夫
 あなたを送った後 ちゃんと彼女も地獄に送ってあげるから

だが、セラフィナはこう続けた。
「だから神父さま 懺悔を。
 一瞬でもそんな恐ろしい事を考えてしまった私に 神の許しを」
ナサニエルは泣きながら答えた。
「神の…御名において あなたの罪を許します」

アレンに依頼じゃなかったと報せに行こうとするが、アレンはどこにもいない。
先ほど教会を出たセラフィナを殺しに行ったのではと思い当たり、ナサニエルは外に出る。
雨の中、向かい会うセラフィナとアレンの姿が見えた。
早く行かなければと小川を渡り辿りつくと、二人はごくほのぼのと会話をしていただけだった。
「どの懺悔室に入るか迷っていた 客じゃないのはすぐわかった」
ニヤニヤしながらアレンは言う。セラフィナは泥だらけのナサニエルの姿に驚く。

「………――貴族の僕が嫌いなら 僕は庭師になります
 あなたに微笑んでもらえるなら僕はただの庭師になります」

セラフィナは傘を投げ、ナサニエルに抱きついた。
あわてながら服がドロドロになりますよとナサニエルは言う。


「平気 私も庭師さんになるもの」

817 :コントラクト・キラー 後編 3/3 :2006/03/15(水) 23:40:39 ID:???
モースタイン夫人にはセラフィナの手袋渡し、死体は地中に埋めたと証言した。
報酬は金銭の代わりに、セラフィナが夫人にプレゼントした無名の画家の絵をもらった。
描かれているのは林檎の木と天使。天使が指し示すのは南の方角。
ナサニエルは以前から、実直なノートン伯爵が財産を食いつぶすはずがないと思っていた。
俺たちにはもう必要がないが、アレンなら上手く処理してくれるだろうとナサニエルは言う。
絵に書かれた通りの場所をアレンが掘ってみると、おそろしくでかいダイヤの固まりがあった。
一緒に袋の中に入れられていた手紙は伯爵からのものだった。
「セラフィナ お前がこれを見る頃 身分に関係のない
 本当の幸せを手に入れている事を祈る」
そこに飛んできたアドリアンがダイヤを引っ手繰って行った。

「いいよお前にやるよアドリアン 俺だっていらないやい」



 僕がドアを開ける 君が微笑む
 机にはバラの花といれたての紅茶
 そして壁には天使の絵




818 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 00:27:00 ID:???
>謎の女性の正体は女装したアレンだった。

ちょwww

やばい、アレンかなり好きだ。

819 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 00:30:58 ID:???
女装てwww

セラフィナ、天使だったね
懺悔できないよ普通。
私なんて毎日「死ね死ね」思ってるのに…

820 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 00:45:40 ID:???
セラフィナがいい娘に育ってお父さんも満足だろうな。
それにしてもナサニエルもてるんだな…

821 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 00:50:20 ID:???
俺だったら殺しやに頼らずその場に乱入して殺してたと思う
モースタイン死ね

822 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 00:51:02 ID:???
>だから神父さま 懺悔を
ここでマジ感動した
汚れを知らないから純粋なんじゃなくて、
汚れを知ってもそれに流されたりしないことが本当に純粋ってことなんだよな
千沙とはまた一味違った味のあるヒロインだ

それにしても、柳原望はこういう「荒んだ男が純粋な少女に救われる」ってパターンが好きだね
俺も大好きだけどw

823 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 01:02:37 ID:???
純粋さも天性のものなのかもな…ウラヤマシス

ナット朗らかそうに見えて意外と荒んでる男だね
>あなたもかセラフィナ いいよ依頼を受ける 大丈夫
>あなたを送った後 ちゃんと彼女も地獄に送ってあげるから
ここちょっとコワイ。さすが殺し屋。

824 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 01:12:48 ID:???
本当に純粋な人間ってのが一番強い心持ってんのかもな
心が弱いとすぐ傷ついて絶望して悪の道に身を堕とす、と
ナットはこれから強く純粋に生きて行けるといいね

825 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 01:19:44 ID:???
>>823
もしモーストン夫人もセラフィナも殺しちゃったら、ナットは自殺すると思う?
ますます殺し屋に染まると思う?

826 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 01:30:38 ID:???
自殺はしないでしょー
そんなんする奴だったらとっくにしてるよ
どんどん堕ちていくと思う。


つーか皆、今日は「純粋」についてたくさんの名言を残していくねw

827 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 01:52:57 ID:???
ナットはフィーナに救われて、フィーナはナットに救われたんだろうね。

「貴族の僕が嫌いなら僕は庭師になります」
のくだりでなんとなくロミオとジュリエットを思い出した。
「おぉロミオ…」
のあとジュリエットが「どうかその名をお捨てください」みたいな事いってたよなぁと。

828 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 01:54:28 ID:???
アレンはなんで協力してくれたんだ?

829 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 02:12:52 ID:???
相棒の好きな人殺すほど野暮じゃないんじゃないの?

830 :マロン名無しさん :2006/03/16(木) 19:26:09 ID:???
ノートン伯爵がダイヤ隠してたのって税金対策か!?
ナットが相続税が…って言ってたし

831 :マロン名無しさん :2006/03/17(金) 00:23:36 ID:???
日本では桜の木の下には死体が埋まってるというが
英国では林檎の木の下に何かあるものなんだろうか

832 :マロン名無しさん :2006/03/17(金) 02:48:31 ID:???
>>830
美談がいきなり台無しにw

833 :フェア・ロザリンド 前編 1/3 :2006/03/18(土) 00:24:26 ID:???
「いいなぁ」ドレスに身を包んだ女性を見て、下町の子供がつぶやく。
あんなのを着たいのかと父親は聞く。近くにいた女性は似合うわけがないと笑う。
「ばかにすんじゃねェ こいつはそこらの生まれじゃねェんだぜっ」

誰も信じられなくて殺し屋の手伝いに手を染めたナサニエル。
しかし今は違う。もう使わない銃を預けに向かったところ、仕事中のアレンに会った。
神父姿のままナイフを握っているアレンは、あろう事か下町の子供を殺そうとしていた。
殺し屋といっても金にあかした貴族相手だから今まで手を貸してきた。
それなのにあんな子供まで殺そうとは……ナサニエルはアレンを責め立てる。
「へェあんたら殺し屋なの ふーーん貴族相手のねェ
 そっちなんか神父じゃん かわら版に売ったら高く売れるだろうなぁ」
二人の騒ぎに気づいた、当のターゲットである子供がいつのまにか傍らで笑っていた。

 高貴な方々の秘密の約束
 殺人依頼は教会へ
 金曜1時まん中の懺悔室へ

数日前、ブルク卿からの使いが下町の子供を殺すよう頼んできた。
ブルク卿はもう時期結婚する。結婚前の身辺整理はよくある事だ。
10年前にブルク卿は『ロザリンド』に女の子を産ませたという噂があった。
もしやそれに関係があるのではとアレンは推察している。
「兄ちゃん達の事黙っててやっていいからさ
 会わせてよ 俺を殺そうとした奴――ブルク卿に」
子供はロザリンドという名の少女だった。
母は麗し(フェア)ロザリンドと呼ばれ、国王すらも魅了し、
それでいて王妃からもその美貌と人柄から愛されたという
伝説の佳人(フェア)だった。彼女の最後の恋人はブルク卿。
子供が出来たという噂と共に、彼女はスキャンダルから逃れるためか姿を消した。

俺は名乗り出てお父さんの幸せを壊すつもりはないと伝えたい、とロザリンドは涙を浮かべて言う。
内心舌を出している事も知らず、ロザリンドにもらい泣きして協力するとナサニエルは誓う。

834 :フェア・ロザリンド 前編 2/3 :2006/03/18(土) 00:25:07 ID:???
こんな初対面のガキを信じるのかとアレンは言うが、ナサニエルは信じると強く言う。
面白そうだと依頼をキャンセルして、アレンはロザリンドにつくことにした。
殺し屋が働かないと依頼人が自分から周囲にばらすわけがないので、アレンに損はない。
ずる賢いと非難するロザリンド。「お前ほどじゃない 卿に会って本当に話す≠セけか?」

ロザリンドは3日以内に決着をつけたいと言う。
ブルク卿はめったに外出せず、周りには身元のあやふやな者は一切置かない。
ブルク卿への接触は不可能――ただ一つの方法を除いては。
明後日ブルク家では卿の婚約披露パーティーがある。そこに潜り込めばいい。
アレンはブルク卿の筆跡を真似て偽の招待状を作った。7つの得意技の一つである。
ロザリンドの衣装は、家なき子ばりの演技でセラフィナに代金を出してもらった。

ロザリンドの育ての父は現在港で仕事が入っており、3日は帰ってこない。
ブルク卿に3日以内に会いたいと言ったのは、義父が帰ってくるまでにかたをつけようと思ってだ。
ロザリンドが一人で商売をしていたら、チンピラがからんできた。
すぐに退散していくが、ロザリンドの顔が汚れてしまった。
アレンは顔をふいてやりながら、緑色の瞳が『フェア・ロザリンド』と同じだと言う。
飲んべェの義父がまだ土地を持っていた頃、出来た野菜をよく聖母のような女性に届けていた。
誰も聖母の身よりは知らず、ただ町からやってきた美しい人だと親切にしていた。
聖母が死んだ時、引き取り手のいないロザリンドは何故か飲んべェの服の裾を掴んだ。
『こいつは天からの贈り物に違いないって思ったね』
すぐに二人は本当の親子のようになった。しかし、義父が飲んだくれて土地をなくしたので、
ロンドンに流れてきた。そこで読んだかわら版で、二人ははじめて聖母の身元を知った。
そうわかっても、ロザリンドはブルク卿のもとへ行こうとはしなかった。
「俺の親父はあの飲んべェだけさ 俺たちはひっそり暮らしてんだ
 もしこれを壊す奴がいたら 俺はそいつを殺してやる」

835 :フェア・ロザリンド 前編 3/3 :2006/03/18(土) 00:26:16 ID:???
服を買いに行っていたナサニエルとセラフィナが教会に帰ってきた。
昼間の事でセラフィナは、あんな危ない場所で働かせる義父はおかしいと非難した。
俺が好きでやっているだけだとロザリンドは怒鳴る。謝るセラフィナ。
「…ごめんよ たださ俺 いつかお金貯めてさ
 もう一度土地買い戻せたらいいなあって…無理だろうけどね」
腕を組んで帰宅するナサニエルとセラフィナ。セラフィナはロザリンドをいい子だと誉めた。

 心を澄ます 見えてくる真実 信じられる
 まるで呼吸するように ロザリンド 信じてるよ
 君は会ってどうするつもりだい?


「約束の物を取りに来た」
そう言って現れた男に会って以来ブルク卿の様子がおかしくなった。
ブルク卿は婚約披露パーティーを土壇場で中止し、手を組んで震えていた。
ナサニエルたちは長旅をしてやって来た一家のふり(妻役はアレン)をし、
なんとかブルク家内に入り込めた。あとは主人のところまで案内してもらうだけだ。
ナサニエルは銃を、アレンは投げナイフを使って庭につながれている馬を放す。
暴れ馬の報告に行った執事をアレンたちは追う。

836 :マロン名無しさん :2006/03/18(土) 04:53:48 ID:???
俺女かYO

837 :マロン名無しさん :2006/03/18(土) 05:04:07 ID:???
ナット、手放しでロザリンドのこと信じちゃって…
すっかり丸くなったな

838 :マロン名無しさん :2006/03/18(土) 05:45:49 ID:???
元々根は丸かった(変な表現だな)だったんじゃないか?
「よくも俺を殺そうとしやがったな」とロザリンドがブルクを殺す殺伐展開を希望する

839 :マロン名無しさん :2006/03/18(土) 20:53:07 ID:???
アレンはなんか気づいてるっぽいよね
ロザリンドも悪い子じゃないんだろうけど、
>「俺の親父はあの飲んべェだけさ 俺たちはひっそり暮らしてんだ
>もしこれを壊す奴がいたら 俺はそいつを殺してやる」

やっぱ歪んでるよな愛情が


840 :マロン名無しさん :2006/03/19(日) 07:12:58 ID:???
最初にロザリンドがドレス着たいって言ったのは、
何か意味あるのかなあ?
柳原さん、伏線うまいから疑っちゃうよ。

841 :フェア・ロザリンド 後編 1/2 :2006/03/20(月) 00:09:34 ID:???
ブルク卿は薬を飲み物の中に混入し、震えながらつぶやく。
「…これであいつも確実に死ぬ あとは…あの子
 いや すぐに死んだと報告が来る…きっと」
そこに飛び込んでくる執事。アレンたちは執事を気絶させた。
フェア・ロザリンドの面影を映す少女に驚き、逃げようとする卿の服をアレンはナイフで固定する。
もがくブルク卿にロザリンドはナイフを向けるが、刃先はそれて壁に刺さった。
「……やんなっちゃうな 俺と同じ髪の色してやんの」
ロザリンドは涙を流す。今度ばかりは泣きまねではない。
「……そんなに俺の事……邪魔? だったら俺たちの事放っといてよ
 俺何にもしない あんたに関わらないから それでもだめだってんなら」
今度こそ本当に――しゃくりあげるロザリンドに向かい、ブルク卿は叫ぶ。
忘れるはずだった、だが最初に脅してきたのはお前たちの方だろうと。
「旦那なにかあったんですかい 金もいただいた事だし わしもう帰りますな」
扉が開き、そう言いながら現れたのは義父だった。

教会に立てこもるロザリンド。義父はドアを叩いてロザリンドの名を呼ぶ。
『こいつは天からの贈り物に違いないって思ったね』
それはブルク卿を脅すための金づるという意味だったのか。
義父から取り上げた金を手に持ち落ち込むロザリンドに、
ナサニエルは家に来ないかと誘いかける。きっとフィーナはいい友達になると。
「ドレスも買おうね普段着用の 君の瞳と同じ色の若草色のドレスを
 かわいそうに 小さいのに大人の汚い所いっぱい見ちゃったね
 僕は裏切らないから 君はいい子だ ロザリンド」
その頃外では、義父が必死な様子でロザリンドを返してくれとアレンに言っていた。
「あの子がドレスがほしいって言ったから…めったに物を欲しがらないあの子が
 わしはあの子の望むことならなんでもしてやるんだ」
ブルク卿のところに行ったのには全く悪意はなく、
ただ単に自分が知る限りの一番の金持ちがブルク卿だから頼っただけだ。
『わしロザリンドを育ててるものです 金借してください 3日後に取りに来ます』
そう告げたのを、ブルク卿が脅迫だと思い込んだらしい。
「お願いですよ ロザリンドを返してくださいよ」
呆れながら、それはロザリンドが決めるでしょうとアレンは答えた。

842 :フェア・ロザリンド 後編 2/2 :2006/03/20(月) 00:10:38 ID:???
 ロザリンド 誰からも愛されたロザリンド
 それは決して外面で人を判断しなかったから
 フェア・ロザリンドのフェア≠ヘ公正(フェア)でもあるんだ
 君は? ロザリンド


ナサニエルが目覚めると、ロザリンドが金と共に消えていた。
その頃ロザリンドは義父と共に汽車に乗っていた。
土地を買い戻し、真面目にやって行こうなと義父に誓わせる。
「そうしてそうしてさ 大きくなったら若草色のドレス買ってくれな」

 バラ スミレ カーネーション 家のまわりに花を植えよう
 そうしていつか両手いっぱいに花を抱えて
 若草色のドレスを着て あのドアを叩こう
 あの人たちにごめんなさいを言うために
 いつか きっと――……

ふてくされているナサニエルに対し、アレンは始終ニヤニヤしている。
「いっつも簡単に信じてあっさり裏切られるあんたが俺はなにより好きでね」
あら、裏切られてなんかいないわとセラフィナが話に加わる。
「だってあの子 いい子ですもの」
にっこりとセラフィナは笑う。お前の奥さんは偉大だなと面白くなさそうにアレンは言う。
「いつか謝りにくるわよ あの子 賭けてもいいわ」
いつか僕の過去を語ってもそんな風に許してくれる? ナサニエルは思う。
「アレンはどう思う? あの子来ると思う?」
たぶんな、とアレンは珍しく肯定した。
「だってあの子は フェア・ロザリンドだからな」

843 :マロン名無しさん :2006/03/20(月) 04:26:52 ID:???
すげーいい話だ…

フェア・ロザリンドかー
なんか心に突き刺さるな。フェアねぇ

844 :マロン名無しさん :2006/03/20(月) 09:09:42 ID:???
ロザリンドがドレス着たいから。
オヤジ、イイ!酒、ヤメレ!!
しかし父はダメダメですな。
遊ぶならうまく。あとで青ざめるようなことシナイ!
そしてフィーナはやはり最高!!

845 :マロン名無しさん :2006/03/20(月) 19:55:51 ID:???
小心者のお貴族様、最低だな。
それに対してロザリンドは本当にいい子だ。
若草色のドレスを着たら「俺」はやめような。

846 :マロン名無しさん :2006/03/21(火) 00:05:09 ID:???
ロザリンド幸せになれるといいな。
それにしてもアレンって何で女装するんだろう…?

847 :マロン名無しさん :2006/03/21(火) 00:52:05 ID:???
・・・趣味、かな・・・

848 :マロン名無しさん :2006/03/21(火) 09:04:56 ID:???
趣味…だな

849 :マロン名無しさん :2006/03/21(火) 17:00:45 ID:???
下世話な話しだけど、シスターって普通処女だよね?神父さまってどうなの?

850 :マロン名無しさん :2006/03/21(火) 17:09:17 ID:???
処女を捨ててからの人生で目覚めてシスターになる人もいると思うけど。
神父はカトリック、牧師はプロテスタント。
牧師は結婚OKだけど神父は結婚できない。

851 :マロン名無しさん :2006/03/21(火) 17:59:26 ID:???
へぇ
アレンは金遣い荒いらしいし、女遊びもひどそう

852 :パートタイム・エンジェル 後編1/3 :2006/03/21(火) 23:41:13 ID:???
セラフィナとナサニエルはペアのカップを買いに出た。
カップを選ぶセラフィナの背に、ナサニエルは天使の翼を見たような気がする。

 僕は天使と結婚した
 この幸せをなくさない為にも 隠さねばならない秘密がある

ポートマン夫人が襲われたと報道された。怪我はないが犯人は逃亡したまま。
公園でその記事をアレンは眺める。その頃、教会には当のポートマン夫人が訪れていた。
「この女を殺して欲しいの 名前はニコラ 私を襲った女よ」
夫の時と同じように――ナサニエルは隙間からさし込まれた写真を受け取りながら罪悪感を感じる。
殺し屋の手伝いを、しかも教会の告解室でやってるなんて天使にはとても言えない。
夫人が去った後に、タイミング良くアレンは帰ってきた。
セラフィナに会って人間不信から立ち直ったナサニエルは、
もう殺し屋の手伝いなんかしたくないと訴え、
いい機会だからあんたも真っ当な神父に戻れよと言う。
「やだね そもそも俺が神父なんてやってるのは
 神さまや天使のたぐいがいかに無関心で無責任か
 神様に一番近い所にいれば証明できるからだぜ」
話をする二人を、1人の女性が見ていた。
「見つけたわ…あの黒髪の男」
夫人の渡した写真に映っていた女性――ニコラはそうつぶやく。

帰宅したナサニエルのもとに、ニコラが飛び込んできた。
「助けて!」そう叫ぶ彼女を咄嗟に部屋の中に入れてしまう。
ニコラは恋人を殺された復讐をしようと、恋人の妻を狙ったところ
逆に自分までも命を狙われるようになったと言う。
恋人を殺したのは雇われの殺し屋だから妻を逮捕する事もできない。
驚いたセラフィナは周りに天使を飛ばしながらまくしたてる。
「その奥さんも悪いけど復讐なんてだめよっ 警察がだめなら
 教会へ行きましょう きっと神さまが正しい道をお示しになるわ
 大丈夫っ最高に忌まわしいその殺し屋だって神様が必ず罰をお与えになるから」
罪悪感にうちひしがれるナサニエル。ニコラは爆笑する。

853 :パートタイム・エンジェル 後編2/3 :2006/03/21(火) 23:44:32 ID:???
ニコラは小説家で、彼女を追っているのは出版社の人。
新聞を見て話をつくっただけで全部嘘だという。赤面するセラフィナ。
「もうっだめよ 人殺しなんて恐ろしいこと 考えるだけで罪になるって聖書にも書いてあるわ」
ニコラに出すお茶の支度にセラフィナは出ていった後に、
ニコラは今話した事が事実であるとナサニエルに言う。
ポートマン氏が殺された時、ニコラはアレンを迎えに来たナサニエルの顔を見たのだった。
「忌まわしい殺し屋さん 彼女は何も知らないのね
 知られたくなかったら私の依頼℃けてくれる?」
ポートマン夫人を殺して――ニコラはそう言った。

女装したアレンは依頼を正式に受けたとポートマン夫人に報せに行く。
あれしかないからニコラの写真を返してと夫人は言うが、アレンは使用中だからと断った。

ニコラは依頼が遂行されるまでナサニエルとセラフィナの家に居座る事となった。
信仰が足りないのかしらと言いながら、ナサニエルとニコラの仲をセラフィナは疑う。
ナサニエルはセラフィナの手を取り「僕を信じて」と微笑みかけた。
二度と教会に行かないと言ったナサニエルだが、どうすればいいとアレンに泣きついた。
アレンは預けられていたナサニエルの銃を返す。これで一発ズドーンとやればいいだけだと。
戸惑うナサニエル。そこに、教会の扉をノックする音が響いた。
続きは告解室で話す事にし、内階段からナサニエルに向かわせた後、
アレンは営業スマイルで扉を開いた。「これは…ようこそ」

「人を裁くな 自分が裁かれないためである
 あなたの量るそのはかりで自分も量り与えられるであろう」
告解室に置かれた聖書を紐解き音読するナサニエル。
向こうから物音がする。アレンが来たようだ。アレンに向かいナサニエルは言う。
俺はもう許されないんだろうか。ニコラが言うようにポートマン夫人を殺すしかないのかと。
「アレン今さらだけど どうして俺を殺し屋なんかに誘ったんだ?」
大きな音がした。隙間から、女の手が見えた。話し相手はアレンじゃなかったのだ。
急いで見に行くとそこには――セラフィナがいた。
あれは小説の話でしょ――伸ばされたセラフィナの手を咄嗟に振り払う。
振り払われた手を握り締め、セラフィナは走り去っていった。

854 :パートタイム・エンジェル 前編3/3 :2006/03/21(火) 23:48:03 ID:???
仕組んだのはアレンだった。セラフィナはナサニエルの様子を心配し、相談に来たのだった。
「これであんたも脅される事もなくなって一石二鳥 俺ってばやっぱ優秀な神父だぜ」
ナサニエルはアレンの頬を叩く。アレンは笑いながらナサニエルを殴り倒した。
「俺にさっさとニコラの始末をして欲しかったんだろ
 そうすりゃあんたは何も汚れず天使と暮らせるもんなあ
 調子くれてんじゃねェよ 泣いて口開けてりゃエサ運んでもらえるヒナ鳥じゃあるまいし
 確かにこの仕事誘ったのは俺だ だけどな受けたのはあんただぜ」

――俺さ もう許されないのかな

『もし貴方の片目が罪を犯させるなら それを抜き出しなさい
 両目が揃ったままで地獄に投げ入れられるより
 片目になって神の国に入るほうがよい』
アレンは聖書を朗読した後に、つぶやく。
「天国ってところは かけらでも罪のある人間を拒否するところらしい 天使もそうかな」

嘘つき嘘つきと泣き叫びながら、一緒に買ったティーカップを叩き割るセラフィナ。
全てを悟ったニコラは、未亡人が偉い人と知り合いだったようで警察は動かないと告げた。
学がなく法律もわからないから、復讐は殺し屋に頼りざるを得ない。
「それにあなた言ったじゃない 考えただけでも罪になるって
 国に殺してくれと(死刑を)頼むのと 殺し屋に頼むのとどんな違いがあるの?」
わからないとセラフィナは言い、噂で聞いたポートマン氏の事を話す。
ひどい人だった。何人もが騙されるように財産をとられたという。
そんな人のためになんでそこまでするのだと聞く。
「あたしにはやさしかったから あたしは愛してたから
 そうね あの人悪い人だったから 他の人が恨むのは仕方ないわ
 でも あたしは あの人の死が悲しいの どこかおかしい?」
窓の外で、男たちが二人を見ていた。ポートマン夫人の雇われ者だ。
女を連れていけと言われたが写真がなくどちらかわからない。
だがとにかく連れていきさえすれば金は手に入る。男たちは家の中に飛び込んだ。

855 :マロン名無しさん :2006/03/22(水) 00:18:07 ID:???
アレン、よく言った!
そうだよね、ナット幸せボケしすぎて調子いいこと考えすぎ。
罪は罪だぞ 全部水に流せると思うなよ

856 :マロン名無しさん :2006/03/22(水) 09:15:38 ID:???
ニコラの「あたしには優しかったから…」の台詞で心掴まれた(ノд`)
愛してたんだな。

857 :マロン名無しさん :2006/03/22(水) 13:57:22 ID:???
うんうん、恋愛ってそういうもんだよね。
世間が彼を悪者扱いしたって自分にとっては一番の人なんだからね

858 :マロン名無しさん :2006/03/22(水) 15:29:42 ID:???
セラフィナが許せないって思う気持ちもわかるなぁ。
元々貴族っていうの隠してた前科もあるし、セラフィナみたいな信心深い人には旦那が人殺しって言う事実は受け入れがたいと思う。
でも情けないところもあるけどナサニエル悪い奴じゃないから幸せになってほしいなぁ。

859 :マロン名無しさん :2006/03/22(水) 15:36:33 ID:???
普通自分の旦那が人殺しだったら嫌でしょー受け入れられん。即離婚だ。
でもフィーナだからこそ、それじゃ駄目なんだよ

860 :マロン名無しさん :2006/03/23(木) 02:54:36 ID:???
ナット、フィーナに捨てられたらホームレスとかになりそう…

861 :マロン名無しさん :2006/03/23(木) 04:37:29 ID:???
「あたしにはやさしかったから あたしは愛してたから
 そうね あの人悪い人だったから 他の人が恨むのは仕方ないわ
 でも あたしは あの人の死が悲しいの どこかおかしい?」

ニコルが本気でポートマン氏を好きだったと思わずに読んでたから、このセリフはビックリした。
でも、すごく印象に残る言葉だと思った。
自分勝手ではあるけど、ニコル格好いいと思ったよ。
彼が悪人でも愛してる→ニコル
彼が悪人、どうする?→セラフィナな図になるんだね。

862 :マロン名無しさん :2006/03/23(木) 09:09:54 ID:???
ニコルはいい女だね
フィーナとは別の意味で

863 :マロン名無しさん :2006/03/23(木) 15:34:15 ID:???
ニコルが悲しいのも復讐したいのもわかるけど、夫人を殺したところでポートマンさん返ってこないしさみしいよな。
ニコルはアレン(直接殺した本人)は憎くならないんだろうか?

864 :マロン名無しさん :2006/03/23(木) 18:45:08 ID:???
自分がニコラだったら殺してやりたいほど憎いのは婦人だけな気がする
ニコラはアレンのことまだ知らないよね?


865 :パートタイム・エンジェル 後編1/2 :2006/03/24(金) 00:01:06 ID:???
ナサニエルが帰宅すると、そこにセラフィナはおらず、割れたカップのかけらだけが残されていた。
パブリックスクールではじめてアレンと話をした時の事を思い出す。
父は銃のコレクターで狩が趣味だった。ナサニエルにとって銃は身近なものだった。
うっかりしてスクールに銃を持ってきてしまった時、アレンはそれを見て言った。
『知ってるか? これ人殺しもできるんだぜ』
ずるいのは俺だ、ナサニエルは思う。
銃は人殺しもできる事を知らないふりした。人殺しはしないと言いながら
その手伝いはした。セラフィナと会って全てなかった事にしようとした。
そこに警官がやってきた。セラフィナが通報したかと思ったがそうではない。
この家から女性二人が連れ去られているとの通報があったのだという。
誰が仕組んだかはすぐにわかった。ナサニエルはポートマン家に忍び込んだ。
使用人を刃物で脅し、夫人の居場所を聞く。夫人は背の高い女性とどこかに行ったらしい。
恐らくは女装したアレンだ。居場所の手がかりを探すナサニエルは、
アレンに渡した銃が置かれているのを見つけた。そして鏡に書かれた『PARK』の文字。

早くしないとと焦っていた夫人は、アレン以外の者も雇っていた。
セラフィナとニコルは、野犬の放たれた公園の中に連れてこられていた。
薬を打たれた犬はやがては狂いだし、動くものを全て噛み殺すのだという。
夫人はアレンに依頼をキャンセルすると言った。アレンは違約金代わりに薬の残りをもらった。
去っていく夫人に向かいアレンは『創世記』の言葉を教える。
「人の血を流す者は人によって血を流される」
馬車に乗り帰って行く夫人。馬の様子がおかしい。
暴れ馬は爆走し、馬車ごと壁にぶつかった。それを見てアレンは言う。
「ご心配なく あなたの復讐を依頼する人がいたら ちゃんと依頼は受けるさ いたら…ね」

すぐに公園に駆けつけたナサニエルは銃で野犬を撃ち殺して行く。

 たとえば銃は人を殺せる でも今 大切な人を守っているのも銃だ
 完全に正しいものなんてない 完全に醜いものなんてない
 だから逃げないでいよう 向かっていこう

866 :パートタイム・エンジェル 後編2/2 :2006/03/24(金) 00:01:46 ID:???
弾が切れた。ナサニエルは二人を逃がして生身で野犬たちに立ち向かう。
助けに行こうとするのをニコルに止められながら、セラフィナはニコルの言葉を思い出す。
あたしにはやさしかったから=@あたしは愛してたから
襲いかかる最後の一匹を、どこかから飛んできたナイフが仕留めた。
駆け寄ってきたセラフィナは、ナサニエルの手に顔を寄せ涙を流す。
「まず おそろいのカップ買いに行きましょう
 もう一度いっしょに買いに行きましょう」

ニコルはポートマン氏の墓前にバラの花をそえ、墓の十字架にキスをした。

ポートマン夫人が謎の事故死を遂げたという記事を読んでいたアレンのもとに、セラフィナがやって来た。
ナサニエルを警察に突き出さないというセラフィナを「天使が法に背くとは」とアレンはからかう。
「私決めたの 何も聞かないし何もしないわ
 そのかわりあの人の過去のせいで何かあったら
 いっしょに苦しむの 天使はあの人の前だけでいいの」
「いいね 天使然とした顔よりずっと 思わず惚れそうだ」
おどけるアレンに、事の元凶は貴方だからもうナサニエルに会わないでとセラフィナは言う。
正体をばらしたあげくに殴り倒したから、本物の天使でもない限り二度と来ないとアレンは笑う。
誰にも興味がないからそんなに平然としていられるのね、セラフィナは言う。
「女は何の脈絡もなく核心をついてくる だから女の方が好きなんだ」
一度あなたがそのカップを落とすぐらいうろたえた所を見てみたいわとセラフィナはため息交じりに言った。
そこに、セラフィナを探しに来たナサニエルが現れた。今日はカップを買いに行く約束だ。
「そーゆーわけで今日は忙しいから  ま た な」
ドアを閉めた後、カップのわれる音がした。
セラフィナは全然懲りていないナサニエルの背中にこそ天使の翼を見た気がした。

割れたカップを見ながらアレンは「不覚」と一言つぶやいた。

867 :マロン名無しさん :2006/03/24(金) 01:18:53 ID:???
感動した!ナットとフィーナの絆に感動した!
そしてオチにワロスw

868 :マロン名無しさん :2006/03/24(金) 09:12:05 ID:???
>ニコルはポートマン氏の墓前にバラの花をそえ、墓の十字架にキスをした。

私この漫画の中でこのシーンが一番すき。
超美しくない?腰のラインとかしぐさとか強がってたニコルの涙とか。
殺してもどうにもならんことぐらい分かってるけど、
そうせずにはいられなかったこの想い…みたいな


869 :マロン名無しさん :2006/03/24(金) 14:53:55 ID:???
あっさりカップ割ったなw

アレンとナット、結構長い付き合いだったんだな。
パブリックスクールてことはアレンもいいとこの坊っちゃん?
そのうちアレンの過去とか読んでみたい。

870 :マロン名無しさん :2006/03/24(金) 20:46:48 ID:???
セラフィナに対するイメージが変わったよ。いい意味で。
ナットの前では天使してたの自覚してたんだな。

871 :マロン名無しさん :2006/03/24(金) 20:47:35 ID:???
そういう女のあざとさっていいよね

872 :マロン名無しさん :2006/03/25(土) 09:05:18 ID:???
>>869
アレンの過去とか家族とか気になるな。
神父さんってどうやってなるんだろう?
アレンが「将来の夢は神父さんv」とか言ってたらワロス

873 :マロン名無しさん :2006/03/25(土) 10:54:43 ID:???
> 「女は何の脈絡もなく核心をついてくる だから女の方が好きなんだ」

ドキッとする台詞だ。

そして私もアレンの過去話希望。
殺し屋神父になるに至った過程とか知りたい。
なんとなく天涯孤独っぽい雰囲気漂っているが、
家族とかいるのかねえ?

874 :マロン名無しさん :2006/03/25(土) 13:51:42 ID:???
アレン、昔はどこぞの貴族の養子とかで学校出るくらいの年になったら養父母こっそり抹消してそう。
理由はナットと離されそうだったから。

875 :マロン名無しさん :2006/03/25(土) 22:32:36 ID:???
えええぇぇえw 怖っ!

多分神父の家の子なんじゃないのかなぁ
そこそこ立派な教会を一人でやってるぽいし。
日曜のミサとかお説教とかしてるシーンないけど、やってるのかしら

876 :フォー ザ タイム ビーイング 1/2 :2006/03/26(日) 00:08:12 ID:???
「 ど う し て こ の 人 が う ち に い る の よ っ 」
ナサニエルと朗らかなティータイムを送るアレンを見てセラフィナは叫ぶ。
わめきながら物を投げてくるセラフィナ。「帰る」
アレンはセラフィナを平然と一瞥し、去っていく。
ドアが締まった後、ナサニエルはセラフィナに言う。
これまでの事、これからの事をアレンとキチンと話したい。
アレンと会う事も不快かい? と。
セラフィナはアレンの事を聞く。
ナサニエルも、アレンの肉親の事は知らない。
何を聞いても曖昧に返される。友人も他にはいないようだ。
セラフィナは先ほどアレンが閉めたばかりのドアを開く。
「私はあなたを許すだけでせいいっぱいだから
 あの人はあなたが許してあげて」

アレンに追いついたナサニエルは、これからも訪ねて行くよと告げる。
仕事でなら歓迎するよと、振り向かないまま言うアレン。
「あ え〜とアレン…さ 特技いっぱい持ってたよなあ
 7つだっけ? 俺 まだ全部聞いてないし…」
アレンは振り向いて、いつか話してやるよと笑った。
ナサニエルも笑い、じゃあまた行くよと言う。
「ああ 次の金曜日にな」

「つまりこれからもあの人の手伝いをするって事?」
何故かそういう事になってしまった。
手伝うふりして悪さを止めるさとナサニエルは言う。
「…神様は偉大ね あんな人にもあなたみたいな人
 ちゃんと出会わせてくれるんだから」
僕がフィーナに会えたみたいに?その言葉にセラフィナは赤面する。

877 :フォー ザ タイム ビーイング 2/2 :2006/03/26(日) 00:09:49 ID:???
アレンは一人、歩いていく。ふと、花売りの少女から買花を買った。

 人は許されるんだ
 両親 兄弟 恋人 友人 知り合い
 道端の花売りの少女  誰か一人でいい
 許してくれる人がいる それが救い

 窓辺には十字架とともに花が置かれた。

878 :マロン名無しさん :2006/03/26(日) 00:21:19 ID:???
許されたいのか、アレン。
悪いことしてる自覚あるんだな


パブリックスクールから一緒のナットがアレンの肉親知らないってことは
アレンは孤児として教会で育てられた子なのかも。
で、養子として後継ぎに。

879 :マロン名無しさん :2006/03/26(日) 09:42:11 ID:???
>「私はあなたを許すだけでせいいっぱいだから
> あの人はあなたが許してあげて」

いい台詞だなあ。
しかしこれだけなの?アレンの過去話〜。

880 :山の貴族 前編 1/3 :2006/03/28(火) 00:00:53 ID:???
侍女の芙蓉と共に海辺を歩いていた幼い姫は、見知らぬ子供を見つけた。
髪も眼も金色の子供は、妙な服を着た大人の死体のそばで泣いていた。
「芙蓉っ天狗の子が落ちてるよ」

村を襲おうと企みながら、山を越えようとする男たちへ声が響く。
「ここは天狗の山 あの村は天狗が守護する村
 手出しする事まかりならんとぬしらに教える親切者 どこにもおらぬと見える」
現れたのは金の髪に金の瞳を持つ異形の青年。
人間ではないと恐れた男たちは道を引き返していった。
それを見ていた上人が、よくやったなと天狗を誉めた。
「しかし哀れよの お前がこうやって村を守っておるのを村の者は知らぬのだろう」
「…姫さまはわかっててくれるから…オレ姫さまに着物返してくるから」
姫が天狗の子を拾ってから10年。
そのせいで姫は天狗憑き≠ニ言われいまだに嫁の貰い手がない。
あたしだってその気になれば大貴族の愛人になって左うちわ、
そう意気込む姫に天狗は花を見せ名前を当てろと言う。答えられない姫。
「貴族の女君になろうってのが花の名前に疎いんじゃねーっ じゃまたね花詠」
またその名で呼ぶ、イヤミっ子と花詠は怒鳴った。

貴族の蘇芳は父の愛人に手を出したのがばれ謹慎のために山奥まで流れてきた。
口うるさい従者の素直にぎゃんぎゃん言われていたところ、評判の姫の話を聞いた。
成功を重ねる受領の娘で、美しいが天狗憑きの噂のある珍品だ。
「殿はさる高貴なお方で…」
すぐに見事な造りの品物の数々を贈り、蘇芳は求婚した。
受け入れる受領夫妻。天狗はその報せを聞きショックを受けた。
「天狗 お前何か思い違いをしてやしないかい?
 拾って助けていただいたご恩をまさかあだで返すつもりじゃないだろう?
 お前 自分が姫さまにふさわしいなんて考えてるわけじゃないだろうね」
芙蓉に言われ、それを否定しながら天狗はがむしゃらに走る。
幼い頃を思い出す。天狗なのに見かけだけで何の能力も持たない天狗に、
姫は『あたしは今のままの天狗が好きだから』と言ってくれた。

881 :山の貴族 前編 2/3 :2006/03/28(火) 00:02:49 ID:???
いつかこんな日がくるって100回ぐらい思った でも もしかして
 こんな日はこないかもってやっぱり100回ぐらい思ったんだ
どこかから、ここらへんは天狗が出るらしくて嫌だと会話が聞こえてきた。
「村の守り神さんくらいに思えば」
「日照りに雨も降らさず津波も放っておく守り神さんか
 何もしない異形の者なんているだけ迷惑ってもんさ」

天狗は姫に結婚おめでとうと言いに行く。姫は本気で言ってるのかと怒る。
反射的に天狗は姫を抱きしめ、すぐに放した。姫のそばには贈り物の絹があった。
相手はそんな物を贈れる奴なんだ。自分よりも姫にふさわしい奴なのだと天狗は思う。
盗賊などを追い払う時に使う衣装を借り、天狗は去って行った。
「結婚なんてぜーったいしないから 一人をのぞいて……だよ」

蘇芳が寝取った父の愛人の雁音と父のよりが戻ったらしい。
都に戻って妨害するぞと意気込む蘇芳とたしなめる素直のもとに天狗が現れる。
おびえる素直。蘇芳はつぶやく。「あれが…? ばかな」
「お前好きか? 姫さまのこと大切にするか?」
天狗は木の上から聞いてくる。蘇芳はただの遊びだと笑いながら答えた。
「やらないっお前なんかに花詠に指一本触れてみろ
 天狗が…天狗が天罰をくらわせてやるっ」
やってみたまえ、そう言いながら蘇芳は天狗に向かい弓を引いた。
逃げていった天狗の血痕を追ったところ、血痕は谷の前で途切れていた。
恐らくは死んだのだろう。天罰が下ると恐れる素直に、あれは人間だよと蘇芳は言った。

山で育った天狗には谷を降りる事も造作ではなかった。
手当てをする上人に天狗は、あんなの結婚したら姫は絶対に泣く事になる
あんなのがよくてどうしてオレがだめなんだと涙ながらに言う。
「上人様オレ姫様を迎えに行く オレ何にも持ってないけど
 山のことならなんでも知ってるよ オレは山で育ったんだから」
どこにどんな実がなるかもわかるし、芋だって掘るし猪だって獲ってくる。
「それでも飢えたらオレを食わせる 
 貴族しか姫さまに触れられないならオレは山の貴族だ」

882 :山の貴族 前編 3/3 :2006/03/28(火) 00:04:15 ID:???
蘇芳は身分を隠していた。都の者は素性を隠したがるものなのだ。
それらの噂を聞きながら、天狗は上人の言葉を思い出す。
『お前は何もできぬと嘆くが世の中には色々な力があるものだ』
貴族の持つきらきらしい財力だけでなく、樵が大木を持ち上げる怪力も、
女が大勢の子供を育て上げるのもこれまた力だ。
『お前は賢い お前はその知恵で何人もの悪党を追い払ったではないか
 わしは何も言わん 決めるのはお前たちだ ただこれだけは覚えておけ 知恵もまた力なのだと』
天狗は子供たちに新しい歌を教えてやると言い寄る。怯えながらもすぐに飛びつく子供たち。
「汝をぞ嫁に欲しと誰 あむちのこむちの万の子 南無南無や
 仙さかもさかも 持ちすすり 法申し山の知識 誠に誠に」
子供たちが笑い転げながら歌うその歌を、大人たちは不吉だと顔をしかめた。

蘇芳はまどろみながら、幼い頃を夢に見る。
滅多に帰らない父の代わりに素直がいつも世話をしてくれた。
素直は自分が一番大切だと言ってくれた。ある日素直が妻をとった。
『七年も前から思いつづけた人ですっ私の一の人は彼女一人と心に決めていました!』
他の子供を見ながら蘇芳は、僕にだって一番に思ってくれる人がいるもんと思って耐えてきていた。
雁音に貴方の一の人は私か父上かどちらかと訊ねると、彼女はどちらでもよろしいわと笑った。
夢の終わりには天狗が現れた。『お前なんかに花詠はやらない!』
目覚めた蘇芳は素直と共に姫のところに向かった。道中で子供の歌が聞こえる。
『お前を嫁に欲しいと言っているのはいったい誰?
 あむちのこむちの万の子 何とまぁ危ない事だろう
 何もかも手に入れようとして 予告するのは山の知識』
歌はそう語っている。この村はあむち村という。
山の知識――聖か仙人かもしくは……

883 :マロン名無しさん :2006/03/28(火) 00:41:02 ID:???
天狗切ないよ天狗。

884 :マロン名無しさん :2006/03/28(火) 00:48:22 ID:???
何故か大地賛唱思い出した

やまのいのちは〜♪
やまのいのちは〜♪

885 :マロン名無しさん :2006/03/28(火) 01:35:56 ID:???
変な歌流してどうすんだ一体

天狗は異人さんでFA?

886 :マロン名無しさん :2006/03/28(火) 07:05:28 ID:???
異人さんだね

蘇芳もいいキャラだな
ちゃらんぽらんに見えて実は傷がある
挑戦状叩きつけた天狗にどう応えるか楽しみだ

887 :マロン名無しさん :2006/03/29(水) 16:17:18 ID:???
金色の目って人間でもあるの?

888 :山の貴族 後編 1/2 :2006/03/30(木) 00:32:54 ID:???
天狗はこっそりと忍び込み、蘇芳からの贈り物を全て丸太に変えた。
いよいよ今夜は蘇芳が姫を訪ねる日。喜ぶ姫の両親に天狗は言う。
「やめなよ 不吉だよ」

姫は真っ向から蘇芳に抵抗し、近づくなら自害すると脅した。
「そんなつっけんどんにしなくても 天狗も死んだ事だし」
動揺する姫を、蘇芳は「花詠」と天狗しか知らない名で呼ぶ。
隙を見せた姫に蘇芳が覆い被さったところに、天狗が現れた。
「私ならお前の持っているものも持っていないものも
 すべて姫君にさし上げることができるぞ 賢い人間ならどっちを選ぶ?」
争う二人。姫は棒で蘇芳を殴り倒した。天狗を選んだのだ。
姫は天狗が生きていた事に涙を流しながら、天狗にしがみつく。
ここで姫と逃げたとしてもすぐに追っ手がくるぞと蘇芳は言う。
「あんたには鬼になってもらう」天狗は言う。
蘇芳の贈り物は全て丸太に変えた。村にはそれを暗示する歌も流した。
これで朝になって蘇芳と姫が消えれば鬼啖の出来上がりだ。
「謎の貴公子は実は物の怪 説話のパターンだな
 だが私が言えば全て無駄になる 花盗人は天狗 お前だとな」
醜聞になるから言えるはずがないと天狗は言う。
去っていく二人に蘇芳は言う。お前は天狗などではないと。
大陸の遥か西方に天狗と同じ姿形の人々がいる。
それが何故ここにいるのかは知らないが、お前は無力なただの人間だと。

「でもオレ 別の力があるから」

事も無げに微笑んで二人は消えていく。
「私は今日だけ鬼になったんだ」蘇芳は素直のもとへ帰る。
どうしたんだと不審に思う素直に、奥方は元気かと蘇芳は訊ねた。
「…たとえ野に下ろうとお前の一の人は変わらず奥方なのだろうな…うらやましいものだな」

889 :山の貴族 後編 2/2 :2006/03/30(木) 00:34:52 ID:???
翌朝。姫の両親は姫の不在と、贈り物が丸太に変わっている事に気づいた。
「まさか…」 二人は青ざめて手を取り合う。

蘇芳の乗る馬を引きながら、全部自業自得ですよと素直は怒る。
これにこりて少しは心を入れ替えてくださいと言われ、蘇芳は答える。
「むろん私は学んだよ 女は恥も外聞も捨てて手に入れるものだとなっ」
ちっとも反省していないと素直は呆れた。


その頃姫と天狗は――山の中で隣り合って眠りに落ちていた。




次回作はLaLa5月号にて掲載されます。
タイトルは「一鬼夜行」です。

890 :マロン名無しさん :2006/03/30(木) 08:03:12 ID:???
素直くんがいいなぁ。
源氏のこれみつ(漢字わからない)みたい。


891 :マロン名無しさん :2006/03/30(木) 11:37:11 ID:???
流した歌にはそういう意味があったのか。
頭いいなー

892 :マロン名無しさん :2006/03/31(金) 18:23:40 ID:???
しかし、深窓の姫君と知恵はあっても異形扱いの天狗が
これから先まともに生きていけるかどうかが怪しい。


893 :マロン名無しさん :2006/03/31(金) 22:05:18 ID:???
実際に異人さんの血が入ってる人がこんなふうに退けられてたって史実はあるのかな。
無知でスマソ。
日本て完全島国だからなー。

894 :マロン名無しさん :2006/03/31(金) 23:28:15 ID:???
日本初の女医のシーボルトお稲は
幼少期をいじめられまくってすごしたらしい。


895 :一鬼夜行 1/3 :2006/03/32(土) 00:19:47 ID:???
御所には鬼≠ェ出没していた。中将は従者の素直と共に鬼を捕らえようとするが、
上手く行かずいつも逃げられる。なにかと中将を敵視する右大臣はその事でいつも嫌味を言ってくる。
「鬼一匹捕らえられぬ者にたった一人の内親王を降嫁なさるとは御上もさず早まったと悔やんでいる事でしょう」
今の自分が右大臣に勝てるものは内親王をもらった事ぐらいだからと、
中将は内親王を屋敷に招かず、見せびらかすように御所通いを続けている。
姫君を屋敷に招きたいと思っているのは素直の方。素直の妻の日和が姫君付きの女房だから。
内親王の燈子は御年12で、弟の常とあわせて遊び盛りで中将は子守のような気分になる。

御所からの帰り、右大臣を見つけた。
中将は右大臣に聞こえるように「雁音の所へ参るぞ」と素直に言った。
雁音は先の大納言の三の姫で、彼女たちには不思議な血が流れており
手に入れた者は必ず天下人となるという噂がある。
今の天下人とも言える右大臣の妻は、今は亡き雁音の姉であった。
雁音の件がなくとも、中将は左大臣家の長男であり、内親王までもらっている。
これで常の宮が東宮にでもなれば次の天下人は中将になるだろう。

燈子を妻にもらったという事は、東宮に立つには立場の弱い常の後見人になれという事。
右大臣の娘の梅壷の女御の息子・一の宮を東宮にすると、
右大臣の天下が更に続くので御上はそれよく思っていない。
人の下に甘んじるのは許せないという中将に、
貴方が出世し続ける限り私は貴方の愛人でもなんでもやるわと雁音は言う。
「やはりあなたは同類だ」
「だから私は永久にあなたの屋敷に住めないわけね だって私たちは同じだもの
 自分を嫌いな人はけして同類を伴侶にしたりはしないわ 共犯者にはなるけどね」
中将は雁音を抱きしめながら思う。今でもまだ諦め切れずに心のどこかで常に探している
たった一つの手の事を。どんな時でも真っ先に差し伸べられる手の事を。
「――手に入るわ 大切になさい鬼を」
雁音が突然つぶやいた。巫女の血が強い彼女は時たま無意識に神託を告げるのだ。
鬼を大切にとはどういう事だろう?

896 :一鬼夜行 2/3 :2006/03/32(土) 00:21:54 ID:???
「月かげに わが身をかふるものならば つれなき人ぞあはれとや見む」
夜中にまた現れた鬼を追ったところ、鬼は中将に向かいそう言った。
『もし私が月の光になったら 冷たい貴方も愛しいと思って下さいますか?』
呆然とする中将。一方、逃げていった鬼はやがて御所に辿りついた。
「お帰りなさい姉上」常が言う。鬼の正体は面をつけた燈子だった。
鬼が出没すれば警備のために中将が来る。そのために燈子は鬼に扮装して徘徊していた。
燈子が面を取るその瞬間を目撃した男は、右大臣たちにその事実を告げた。
「大臣今面白い事を考えつきましたぞ もし今常の宮が鬼にさらわれたら中将の責任問題でしょうな」
国に多額の借金を持つ舎人に、3年分の禄を出す替わりに鬼に扮して常を襲えと焚きつける。
ただ一晩眠らせ、中将を失脚させる事が出来れば返せばいいだけだ。
『鬼神参上』の文を残して舎人は常を拉致した。燈子は驚く。自分は何もしていないのに。
右大臣は、鬼を捕らえることが出来たらこの失態を取り成そうと中将に持ちかける。
しかし、それが出来なければ全ての冠位を返上せよと。罠だと気づくが中将は後に引けない。
まだ遠くには行ってないはずだが、御所は広い。中将は不思議の力を借りようと雁音のもとへ向かう。

もしも本当に舎人が捕まったら、彼は鬼にそそのかされたと言うだろう。
「つまりこの騒ぎは我らを落とし入れようとした中将の自作自演 我らは不幸にも陰謀に巻き込まれたのよ
 鬼の正体は内親王 この事実は動かせまい むしろ舎人が捕まった方が面白い事になる」

幼い頃、一の宮にいじめられていた常を中将が助けた。
燈子はそれを見て以来中将に微かな恋心を抱くようになっていた。
中将の嫁になる事になったが、滅多に会えない事に業を煮やして鬼に扮するようになった。
その中将が自分のせいで仕掛けられた罠で失脚するかもしれない。
燈子は必死に考える。常が隠されたのが御所内ならば、
御所内で右大臣が個人的に使える場所――右大臣家の姫君がいる梅壷だ。
夜明け前の暗闇の中を、燈子は鬼の面をつけて梅壷へ走った。
一方、中将は雁音の神託を聞いた。「梅の匂いがするわ」
駆けつけた中将は、眠る常と鬼の面をつけた燈子、そして舎人を発見する。

897 :一鬼夜行 3/3 :2006/03/32(土) 00:22:36 ID:???
燈子は鬼の面を外す。「とーこじゃない とーこが中将に嫌われる事するはずないよ」
中将は素直に舎人を捕らえさせる、今回の事件は右大臣の陰謀だと確信した。
中将は舎人に鬼の面をつけ、殺せと素直に命じる。燈子は殺す事はないと言ってくる。
「彼を生かしたまま捕らえても 咎は我らにかかるようしくまれています
 そして真実を通すには我らにはまだ力がなさすぎるのです
 宮中にはいま一匹の鬼が棲んでいます 狡猾で強大な力を持つ鬼です
 それを退治できるのは常さまだけです」
刀を構える素直。目を覆おうとする中将の手を燈子は振り払う。
「燈子は中将の妻だから 中将にだけそんな顔させない 燈子も見ます」
斬首された舎人。無言で涙を流す燈子を中将は抱きしめた。
――いつでも どんな時でも 真っ先に差し伸べられる手
素直は返り血に手を汚したまま日和に聞く。
「僕のこと好き…?」 「ええ大好きよ」

死体には偽証もさせられない。右大臣は渋々中将の失態を執り成した。
御所に行くと、昨夜燈子はうなされて一睡もできなかったという。
これは嫌われたかなと思うが、燈子はいつものように中将を抱きしめてきた。
「私といるとこの先もっと眠れなかったり恐いことがありますよ」
中将の妻だからこれから平気になると燈子は言う
「姫いつまでも内裏通いというのも何ですから我が邸においでになりませんか?
 我が邸の女主人として 我が妻として」
中将は燈子を抱き上げてそう言った。横では常が僕も行きたいとつぶやいていた。

898 :マロン名無しさん :2006/03/32(土) 09:21:29 ID:???
山の貴族の貴族さんがこんな形で再登場するとは
ていうか殺すとは思わなかった…
少女漫画じゃ見逃すパターンが主だよな

899 :マロン名無しさん :2006/03/32(土) 11:05:46 ID:???
うわー、これマジで感動したわ
柳原節全開w
今まで読んだマンガの中で一番好きなマンガかも

900 :マロン名無しさん :2006/03/32(土) 12:17:48 ID:???
常が立派な東宮になるとは思えなかったり

901 :マロン名無しさん :2006/03/32(土) 16:26:58 ID:???
「燈子も見ます」
この台詞でこの子は将来絶対いい女になると確信しました。


902 :マロン名無しさん :2006/03/32(土) 21:24:05 ID:???
素直もいいよね かわいいわw
年上にはみえんが

中将は同一人物のつもりで柳原は描いたのだろうか

903 :マロン名無しさん :2006/04/02(日) 23:31:15 ID:???
素直が人を殺すことに罪悪感をきちんと持ってるのがよかった。
日和もいいね。
戦国(平安だろうけど)時代の人たちの誰かを殺す葛藤ってあんまり描かれない気がするもん。

904 :2度目のゆびきりは永遠 前編 1/2 :2006/04/03(月) 00:09:39 ID:???
少年が母親の笑顔を夢に見た後に目覚めると、目の前に見知らぬ少女がいた。
「私は篠田領主の娘佳己 ここは篠田の館 お前裏山で転がってたぞ」
それを聞き少年は自分が道を間違えていた事に気づいた。
この山間の一地方では十年前久能対平井の戦が起こった。結果は平井の勝ち。
そして久能家の跡取息子は平井家で人質としての生活を十年間強いられた。
この少年こそがその人質・久能基靖本人だ。彼は必死の思いで平井から逃げてきたのだ。
そもそも平井より久能の方が主筋。10年前の戦も裏切りにあいたまたま久能が負けたという。
気を失う前、追っ手たちは『本当にこっちに逃げたのか』『ばかな』と話し合っていた。
あれは方向が間違っているという意味だったのだ。そして第3者の領地だから深追いしてこなかった。
篠田といえば、平井に脅かされている小国。もし正体がばれればまた人質に逆戻りになる。
佳己が人を呼びに行っている間に偽の書状をつくり、久能の使者と身分を偽り、
「久能基靖は脱走に成功した。平井が篠田に攻め入る計画を聞いていた」と嘘をついた。
平素から平井は篠田を狙っていたからと、篠田の領主は信じたようだ。
使者のふりをしたまま帰ろうとするが、篠田唯一の知恵者と呼ばれる
太田が佳己に「使者を丁重にもてなしてください」と言ったために引き止められてしまった。
太田は書状の墨が乾き切っていなかった事に気づいていた。

すっかり戦気分の篠田。どちらにせよそのうち人質を奪いに平井は攻めてくるだろう。
基靖は佳己に信太郎と名乗った。幼名だ。佳己は言う。
「使者というのは悪い報せばかり運んでくる疫病神だと思ってたがそーでもないんだな」
使者がわざわざ来たと言う事は、久能は篠田の味方につくという事だと太田が言ったのだという。
どうせトンズラするから勘違いされても問題ないと思いながらも、信太郎は佳己の笑顔にドキリとした。
母の笑顔を思い出したからだ。佳己以外も篠田の人々は皆笑顔で信太郎を慕ってくる。
『笑いかけても無駄だぞ お前に騙される使用人は周りに置かん 逃げられると思うな』
そう言われながら人質生活を送っていた信太郎は彼らの行動に戸惑う。

「久能基靖殿か…大きくなられたな」
篠田の領主はそうつぶやき、書状を久能へ送った。

905 :2度目のゆびきりは永遠 前編 2/2 :2006/04/03(月) 00:12:06 ID:???
何故か佳己の剣術の相手をする事になった信太郎。
実力は互角ようだったが、佳己の手が木刀からすべり勝利した。
佳己は太田以外に負けるのははじめてだと悔しがる。
本当にくるくる表情が変わるなと信太郎は感心する。
母もそんな人だった。信太郎が人質に出る日に見たのは泣き顔だった。
佳己は言う。父は体が弱く、兄弟はいない、母も亡くなっている。
自分がこの国を守らなければ誰が守るのだ。強くなるなければならないと。
「知らん でも手が哀れだぞ何度目だ? 豆を潰したのは」
一国を背負うつもりならもっとずるくなれ人を疑えと信太郎は続け、
一番疑うべき人間を全く疑う様子もなく佳己はわかったと頷いた。

戦がはじまろうという時期になって領主の容態が悪くなった。
佳己は泣き顔を隠しながら皆の元から去って行った。太田が止めるのも聞かず信太郎は後を追う。
主人が泣いたら皆が不安になるから皆の前では泣いてはいけないと太田に言われたと佳己は言う。
「あんたは楽しい時に笑って 怒りたい時に怒って
 泣きたい時に泣く だからみんなあんたが好きなんだ」
当たり前の事だという佳己、当たり前の事がなかなかできないのだと信太郎。
太田にはないしょにしてやるという信太郎に向かい「父上が死んだらどーしよう」と佳己は言った。
母が亡くなったと報せが入った時、信太郎は無表情に何事もなかったかのようにふるまった。
――そんな当たり前の事 出来ないんだ俺は
お前の方が泣きそうな顔をしていると佳己は言い、
久能をやめて篠田に就けという。ずっと傍にいようという。
信太郎はそうすると誓い、指切りをする。
人質に出る時に「きっと迎えに行く」と言って母も指切りをしてきた事を思い出す。

篠田の領主の体調が戻った。喜ぶのもつかの間、平井の軍がやって来た。
「今ならば逃げられますよ久能信太郎基靖殿」
最初から正体を見抜いていた領主は言う。太田も察していて利用する気だったようだ。
信太郎を引き渡すか、戦うか。太田は引き渡せともっともな事を言うが、
皆は戦うと言った。篠田唯一≠フ知恵者という意味が今更ながら信太郎はわかった気がした。
しかし200程度の篠田の軍が3000もあるだろう平井の軍に勝てるはずもない。
久能の援軍も期待できない。引き渡すしかないだろう。

906 :マロン名無しさん :2006/04/03(月) 00:59:31 ID:???
佳己がカコイイな

信太郎はなんか屈折の仕方が浩美を思い出させるよ

907 :マロン名無しさん :2006/04/04(火) 16:58:15 ID:6uyHAQoG
裏切りってのは篠田が久能を裏切ったのかな

908 :2度目のゆびきりは永遠 後編 1/2 :2006/04/05(水) 00:09:52 ID:???
「永遠の約束なんてこの世にないから 果たそうと努力しても
 まわりの状況とか思いとかで必ず壊れるから」
君主が一族を皆殺しにする気かと叱咤する信太郎の裾を佳己は尚も掴む。
手は佳己の理性の範疇じゃないから知らないと言いながら、涙を流す。
「かおも?」 「かおもだ」信太郎は佳己にくちづけする。
「あんたを見て10年ぶりに笑う事を思い出したよ 泣き顔も思い出せそうだ」
手首を縛られ馬に乗せられる信太郎。佳己は皆の前で泣いた。
泣き止ませようとする太田に言う。「違うこーゆー時は泣かなきゃいけないんだ」
『約束は必ず壊れるから』それは諦めるための言い訳だと佳己は思う。
佳己は父に勘当してくれと言う。篠田と関係がなくなれば信太郎を助けに行っても篠田に迷惑はかからない。
「こーゆーの佳己はやっぱりやなんだ だからもう一度約束するんだ」
行ってくれと父は言う。皆も供に行くと言ってくれた。
太田は胡豊峠で地の利を生かして戦えとどこか寂しげな顔でアドバイスした。

久能の軍が篠田に向かっているとの報せがあった。
領主が呼んだのだった。自分は裏切り者だから信頼して
来てくれるかわからなかったが、と領主は言う。
10年前、篠田は久能に仕えていた。だが篠田は久能を裏切った。
平井に隣接したこの国を守るために。そうして久能は平井に負け、信太郎が人質に取られた。
「ずっと仕えると約束したのにわしは裏切った まさかもう一度信じてもらえるとは」
約束に永遠はないなんて嘘ですよ、太田はすねたように言う。現に自分は一つの約束をずっと守っている。
『父さままた倒れちゃったよ もういい佳己がこの国を守る
 だから太田手伝ってね 佳己といっしょにこの国守ってね』
そう言って幼き日の佳己と太田はゆびきりを交わした。

909 :2度目のゆびきりは永遠 後編 2/2 :2006/04/05(水) 00:11:09 ID:???
お前の見張りだった男は逃亡の咎で殺されたと平井の男は信太郎に言う。
辛そうな顔をする信太郎に、わかっていて逃げたんだろうにと男は不思議がる。
「篠田に3泊ぐらいしてこい わかるから」
信太郎を連れた一行は胡豊峠にさしかかる。
そこには長細いつり橋がある。一人ずつ通って行く。向こう側に信太郎がついたところで、矢が飛んできた。
矢によってつり橋は落ちた。大半の軍はまだつり橋を渡っていなかった。
佳己は信太郎の手の縄も打ち抜き、数の減った平井軍に襲いかかる。
だが谷を下って残りの平井軍も迫ってくる。そこに、久能の援軍が届いた。

助けに来た時はびっくりしたよと信太郎は佳己に言う。
「約束したからな いっぺんはだめになった だからもう一度あらためて約束だ」
佳己はそう言って小指を突き出す。信太郎は満面の笑みを浮かべ、それに答えた。

 約束はいつも壊れやすいから
 もう一度ゆびきりをしよう 何度もゆびきりをしよう
 きっといつか永遠になる


かくなる上は久能と同盟を結ぶぞっと意気込む太田に領主は
「はやくかーいいお嫁さん見つけてあげるからね」と太田の不憫さに涙した。 

910 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 04:53:18 ID:???
「こーゆーの佳己はやっぱりやなんだ だからもう一度約束するんだ」
「約束したからな いっぺんはだめになった だからもう一度あらためて約束だ」

なんかいいなぁ。
現実には一回裏切ったり裏切られたりしたら終わってしまうことも多いけど、
本当に大事な人とは何度も指切りしたらいいんだなー。とおもた


911 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 13:08:37 ID:???
〜900超えたのでそろそろ楽屋裏〜

912 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 13:19:45 ID:U07GPPK3
お疲れ様でした〜

私柳原の漫画全部売ったんだが、やっぱいいな
哲学がある

なんとなくage

913 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 13:59:11 ID:???
売るなよw

まあその売った本を誰かが買って新たに柳原好きが生まれたらおk

914 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 14:50:08 ID:???
あらすじさんお疲れさまでした
旦~⊂(・ω・´)


915 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 15:55:21 ID:???
あらすじさん乙でした!
楽しかったよー。

916 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 17:26:44 ID:???
楽屋裏スレでまだまだ他作品のあらすじ書いて頂けるようなこと言ってくれましたが
私はまだ読みたいな〜
最近のは読んでないので。
でも完結してる長編があんまりないのかな

917 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 19:13:38 ID:???
やっぱりお伽話シリーズの佳境手前くらいが一番住人多かったのかな??
楽屋裏にも書いたけど妊娠騒ぎと一清死亡フラグ騒ぎが楽しかったww
柳原さんはシリアスとほのぼのが秀逸だな。

918 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 19:54:12 ID:???
あらすじさん乙でした!楽しかったよ。
大谷さんが意外と人気で驚いた。

919 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 20:24:55 ID:???
あと峯月人気ねw

私リアル連載中はマジで一清さましぬのかとオモタ。

920 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 20:37:15 ID:wI9zq3ox
あらすじさん乙!ほぼロムってばかりだったけどあまりにも懐かしくなって
再び柳原作品集めだしちゃったよ。
大谷さんと峯月さんって、ここで初めて萌えキャラだったんだなあと知ってびっくりした。
リアルで読んでたころは殿様に首ったけだったから、また新鮮な気持ちで読めてたのしかたー

921 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 22:33:50 ID:???
いつの間にか楽屋裏に
あらすじさん本当に乙でした
楽屋裏スレの方にくだんやるってあったので
以前希望した身としてはちょっと見たい気もするけど
次スレが埋まるほど完結作品ないからなーという微妙な気持ち
もしやっていただけるならもちろん参加しますが

922 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 23:13:03 ID:1tkoyVsu
乙でした。
コミックになってないやつのあらすじあるといいなあ。
でもタイトルすら忘れてるw
(コミック化してない漫画があるのは覚えてるw)

923 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 23:24:47 ID:???
あっ・・・。
コントラクトキラーの続編のあらすじが読めるならぜひ読みたいかも。
そのときは単行本化を期待して読まなかったけど、
どうも単行本になる確率がとても低い気がするので、ぜひ。できれば。
ネタバレされたくない人のために断りを入れる配慮があれば大丈夫と思うんだが、
あらすじかきさんでもさすがに持ってないよなぁ・・・。

924 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 23:29:00 ID:???
本スレにあったような>コントラクトキラー続編ネタバレ

925 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 23:36:57 ID:???
それベースにあらすじさんに手を加えてもらうとか?表現の方法などを。
だれか持ってる人いないかなぁ???

ところでこのスレ、ぜひ1000まで埋めたいね。
このまま楽屋裏が長く続くなら気にかけとかないとだな。

最近ときめきが落ちたことがショックだったんだ・・・


926 :マロン名無しさん :2006/04/05(水) 23:39:51 ID:???
>>920
「殿様に首ったけ」だったらしいが、始め読んだとき安住様好きなんだなwと
自分に照らし合わせて考えてしまったよorz
普通に考えて一清だよな・・・。

927 :マロン名無しさん :2006/04/06(木) 01:53:01 ID:???
柳原マンガはやっぱりいいよな
絵柄に華がないせいか人気作家にはなれなかったけど
少女マンガでは一番好きな作家さんだよ

928 :マロン名無しさん :2006/04/06(木) 15:10:03 ID:???
>>927
なれなかったって過去の人みたいにww
考えさせられる漫画家さんが減ってる気がするからもっと活躍の場を与えてほしいんだがなー。

この人、男が主人公って多いね。
そしてそのほうがいい。
けど女キャラも嫌味がなくて好きだわ。
千沙はぶっ飛んでて見事だった。
このスレをおもしろくしたのは間違いなく千沙だったwww

929 :マロン名無しさん :2006/04/06(木) 19:44:29 ID:???
まるいちとコントラクトキラーの続き描いてほしいなあ・・・

930 :マロン名無しさん :2006/04/06(木) 19:58:53 ID:???
一回この人にアレンとかふえ、中将、牧内夫妻タイプの人を主人公にしてみてほしい。
主人公はシリアスなわりにぽやぽやしている人が多いから。

931 :マロン名無しさん :2006/04/06(木) 20:59:19 ID:???
絵に華がないというが、私はこの絵が気に入ってこの人の漫画を読み始めた。

なんでもいいからもっと読みたいな
好きなんだこのスレ

932 :マロン名無しさん :2006/04/06(木) 21:33:08 ID:???
華がないっつーかぱっと見の派手さがないんだな
巧いんだけど大多数の人間にとってはパラパラと雑誌をめくってて目に止まる絵柄じゃないというか

私もこの人の絵柄すごく好きなんだけどね

933 :マロン名無しさん :2006/04/07(金) 00:02:07 ID:???
時間旋律は着物だし椿だしでうわー綺麗だーと思った。
まるいちも可愛いと思う

934 :マロン名無しさん :2006/04/07(金) 18:33:51 ID:???
今更ながらあらすじ書きさん乙
連載中スレがきっかけで読んで良かった。
華やかさはないかもしれないが、ストーリー作りが上手いと思う。
しっかり組み立ててる感じ。
意表をつかれることも多かったな。千沙妊娠とかw
一番気に入った時間旋律がいまだ手に入らないのが残念だ。

935 :マロン名無しさん :2006/04/08(土) 07:38:07 ID:???
>>934氏に時間旋律送ってあげたい…(*´д`)
顛末はわかっちゃってるだろうけど、漫画で読んだらカヤ、東野、由朗の想いにさらに切なくなるよ。
でも幸せにもなる。
ノスタルジックな漫画だなぁw

936 :マロン名無しさん :2006/04/08(土) 17:57:47 ID:???
あらすじさんいるのかな?
乙でした♪
なんとなく馴れ合うタイプの人ではないのだろうと感じてるけど、あらすじやっててどうだったのか少し聞きたいです。
お伽話全部と時間旋律にコントラクトキラー、大好きで語り合える場所が今は少ないので嬉しかったです。

937 :マロン名無しさん :2006/04/09(日) 06:45:23 ID:???
文庫本続刊してくれるかな…
このスレ効果で微妙に売上げが上がってくれれば…!

938 :マロン名無しさん :2006/04/09(日) 23:54:02 ID:xaceIx3C
保守兼あげ

939 :マロン名無しさん :2006/04/10(月) 01:26:31 ID:???
本屋に逝ってどんどん柳原作品買って来い。
あと白泉系の雑誌買ってアンケートに柳原作品きぼんと書く。
2ちゃんでぐずぐず言うのは意味が無い。

940 :マロン名無しさん :2006/04/11(火) 05:58:25 ID:???
くだん〜かネットワークポプリかまるいち1巻分(やれるところまででも可)かを連載して欲しくなってきた。
まるいちがこの中じゃ一番好きですが

941 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 02:34:23 ID:???
人がいないのでネタフリ。
柳原作品で一番いい男といい女って誰だと思う?

942 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 02:59:06 ID:???
千沙の母?<いい女

943 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 07:00:46 ID:???
個人的に安住の夫妻最強

944 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 10:35:46 ID:???
ま、まるいち・・・。

・・・男でも女でもないか。

945 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 21:48:29 ID:???
>>944
誰のまるいちかによるかもな。


946 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 22:15:20 ID:???
この世界、基本的に教師はクズなんだな

947 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 22:16:15 ID:???
誤爆った・・・ゴメソ

948 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 22:16:53 ID:???
まるいちと言えば最初の話を雑誌で読んだとき泣いてしまったw
今思えば恥ずかしいww

949 :マロン名無しさん :2006/04/12(水) 23:01:13 ID:???
>>946
まるいちの主人公の母校の先生はいい人だった気がする
言葉の選び方を間違ってはいたが

950 :マロン名無しさん :2006/04/14(金) 04:48:32 ID:???
>>436は誤爆だよ〜
こーたに懐いてる男の子名前何だっけ?

951 :マロン名無しさん :2006/04/14(金) 05:56:30 ID:???
>950
六太?


952 :マロン名無しさん :2006/04/14(金) 08:31:57 ID:???
マスキケイジ(字は忘れた)じゃなかったか?
つーか六太って誰だw

953 :マロン名無しさん :2006/04/15(土) 18:46:28 ID:???
もうあらすじかきさんはこのスレにいないのだろうか…?

954 :マロン名無しさん :2006/04/15(土) 19:43:20 ID:???
みんなの心の中にいるさ

955 :マロン名無しさん :2006/04/16(日) 16:49:02 ID:???
あと40レスくらいで1000埋まるなぁ。
ちょっと感慨深い。

956 :マロン名無しさん :2006/04/16(日) 21:19:11 ID:???
なんとかdat落ちさせずに1000行きたいな
980超えたら気をつけないとな

957 :マロン名無しさん :2006/04/20(木) 20:31:16 ID:???
リアの時からこの作者さん好きだ。
なんつーかほのぼのしてるのにけっこうドキッとする設定もあって。

958 :マロン名無しさん :2006/04/23(日) 18:44:52 ID:???
一番好きな台詞とモノローグって何?

私はセリフならニコルの「あたしは愛してたから〜どこかおかしい?」

モノローグならふえさまの一和に対して「〜って伝えてたら生きていてくれたかしら?」ってやつ。
コミクス手元にないのでうろ覚えスマソ

959 :マロン名無しさん :2006/04/24(月) 13:33:26 ID:fyXx2+H7
保守ついでにageついでにカキコ

好きなセリフはウロ覚えだけど大谷さんのふえにむかって
「イイ女は高飛車に堂々としてな あんたが帰りたいんならそれが正解 イイ女の特権ってやつだ」
ってやつが好き。
モノローグはコミクス手元にないから出てこない・・・

960 :マロン名無しさん :2006/04/27(木) 19:37:38 ID:???
落ちませんように。
祝・文庫本2巻ケテーイ!

961 :マロン名無しさん :2006/05/02(火) 14:58:20 ID:???


962 :マロン名無しさん :2006/05/03(水) 02:34:23 ID:???
>>960 マジッスカ?ヤター。
この勢いで短編も文庫化されんかな〜。
俺の初柳原が『一鬼夜行』だったんだが売ってしまったんだよなぁ。

『コントラクト・キラー』だけはいまだに手元にあるけど、
文庫化されて未収録分も載るなら買うぞ。

963 :マロン名無しさん :2006/05/04(木) 18:20:59 ID:???
文庫2巻うれしい!
編集もあのシリーズくらい全部文庫にしてやれよ−。
なんか柳原さんに対して厳しいよな。

964 :マロン名無しさん :2006/05/05(金) 03:14:52 ID:???
他の作家でも一巻だけ出して、雑誌の方では完結させたのに続き出させないとかやってるし
白泉自体が落ち目になってきてるのでわ…
なにはともあれ嬉しい

965 :マロン名無しさん :2006/05/06(土) 00:05:53 ID:???
というか売り上げ主義なんだろうな

966 :マロン名無しさん :2006/05/06(土) 00:26:31 ID:???
和田御大に版権引き上げさせるような大ケンカする出版社に
・・・・・・何も期待出来るわけが無い。

柳原先生。こんなに良い作品描いてるのに
報われなさすぎ


967 :マロン名無しさん :2006/05/07(日) 00:01:17 ID:???
やっぱりここにいた人は一清千紗シリーズが一番すきなのかな?

968 :マロン名無しさん :2006/05/07(日) 00:22:39 ID:???
俺はコントラクトキラーかなあ
フィーナが「だから、神父様、懺悔を」ってシーンが最高に好き

969 :マロン名無しさん :2006/05/07(日) 06:59:52 ID:???
お伽話シリーズ、時間旋律、まるいちが3本柱。

970 :マロン名無しさん :2006/05/07(日) 21:05:46 ID:???
地味にネットワークポプリが好き。
ツンデレ具合とあの荒廃した世界観が

971 :マロン名無しさん :2006/05/07(日) 22:55:02 ID:???
ネットワークポプリそういや連載されなかったな。
あれがお伽話が聞こえるの次の作品だっけ?
女の子がツンデレっぽくて好きだ

972 :マロン名無しさん :2006/05/08(月) 00:18:06 ID:???
>>968
俺もコントラクト。
次点が一鬼夜行でちょっと引き離して時間旋律かなぁ。

ヒロインが綺麗事言ってるんだけど、汚いところも知っててあえて
それを主張してる辺りが、ただの綺麗事で終わっていない感がしていい。

973 :マロン名無しさん :2006/05/08(月) 21:31:04 ID:???
前も言ったけど、
汚いことを知っていてそれでいて奇麗事を
いえることが本当の純粋さだよね

974 :マロン名無しさん :2006/05/09(火) 13:14:57 ID:???
千沙が言ってたことは綺麗なことしか知らない(残酷なこと、汚い現実とかを頭で理解してても心はわかってない)綺麗事だったんだよな。

でもやすが死んで、ふえも一清もいなくなって、辛いこといっぱい経験してもやっぱり綺麗事を言いつづけた。

千沙も大好きだー

975 :マロン名無しさん :2006/05/09(火) 19:11:23 ID:???
まるいちとコントラクトかな。次はケータイくんに惚れますた。

次スレって需要あるの?
文庫化されたら続きを語りたいヤシもいるだろうし・・・ 

976 :マロン名無しさん :2006/05/09(火) 19:30:50 ID:???
ここは連載スレだから次スレはないだろう。
本スレで存分に語ろうや。>>1

977 :マロン名無しさん :2006/05/09(火) 20:09:51 ID:???
そう、我々の役目は立派に役目を果たしたこのスレを
落としたりせずに終わらせてやることだけだ…

978 :マロン名無しさん :2006/05/09(火) 23:34:01 ID:???
とりあえずセラフィナに萌えるか

979 :マロン名無しさん :2006/05/10(水) 01:12:19 ID:???
思いっきり下世話なこと言うけど、
一清と千沙、ナットとセラフィナがセクースしてる絵がどうしても思い浮かばないんだ

980 :マロン名無しさん :2006/05/11(木) 03:30:37 ID:???
でも一清シリーズ文庫の書き下ろし見て
「あぁこういう感じでね」と思ったよ

ナット達はイギリス人だもん ぜんぜんいけるよ

981 :マロン名無しさん :2006/05/11(木) 09:11:40 ID:9pBP3sKY
980越えたんで一旦age
一清&千沙姫シリーズを初めて読んだのが1/10のないしょ話
大谷さんが主役だと勘違いしずいぶんと華がない主役だなぁと思ってたw

982 :マロン名無しさん :2006/05/11(木) 12:26:01 ID:???
>>981姫さんの相手が大谷だと思わなかったならまぁいんじゃないか?

983 :マロン名無しさん :2006/05/11(木) 12:30:48 ID:???
1000行くのと私が一清&千沙以外のコミックスを手に入れるのと
どっちが早いかなあ…

984 :マロン名無しさん :2006/05/11(木) 19:24:01 ID:???
まだ間に合うぞ
今から買いに行って来い!
ケータイくんなら多分本屋でも売ってるぞ

985 :マロン名無しさん :2006/05/12(金) 12:16:24 ID:???
ケータイくんは連載中スレで連載されてないから意味ないだろ(笑)

まだお伽話のコミクス手に入ってない人はとりあえず文庫の1巻ドゾ つ■

986 : :2006/05/12(金) 15:40:40 ID:???


987 :マロン名無しさん :2006/05/13(土) 14:46:42 ID:???
保守ついでに文庫2巻の書き下ろし、決まったのかなぁ?
個人的にふえ・峯月・大谷の三角関係か、浩美ちゃんと双子の三角関係描写希望w

988 :マロン名無しさん :2006/05/13(土) 20:32:03 ID:???
落ちませんように

989 :マロン名無しさん :2006/05/13(土) 20:55:08 ID:???
一姫の話を描くらしいがそれは文庫収録とはまた別なのかねー

990 :マロン名無しさん :2006/05/13(土) 22:52:39 ID:???
いよいよカウントダウンですね
ありがとうあらすじさん、ありがとう皆、大好きだ柳原。

991 :マロン名無しさん :2006/05/14(日) 16:12:56 ID:???
よくここまで埋まったなぁw一番多い時期で何人いたんだろう?
皆さんもお疲れさまでした。参加できてよかったよー

992 :マロン名無しさん :2006/05/14(日) 23:30:59 ID:???
極端な話、
この世で柳原なんてしってるの私だけかと思ってたくらいだったので
皆と話せたのがとても新鮮だったよ

993 :マロン名無しさん :2006/05/14(日) 23:33:48 ID:???
楽しかったー有難う!

994 :マロン名無しさん :2006/05/14(日) 23:39:34 ID:???
>>992
私は文庫ではじめて知ったが
作者名出したら、少し漫画好きなら
「あ、お伽噺シリーズの人ね」と言ってくれた。
ちなみに年齢層は作者とほぼ同世代。

995 :マロン名無しさん :2006/05/14(日) 23:49:27 ID:???
「二度目の指きりは永遠」をたまたまLaLaで読んで以来ずっとファンです
周囲にこの人の存在知ってる人が一人もいなくて、このスレで語り合えてマジ嬉しかった
このスレに参加できてよかったよー


996 :マロン名無しさん :2006/05/14(日) 23:50:06 ID:???
リア時代の想い出の作品をみんなと語り合えて楽しかった。
あらすじ書きさん、スレのみんな、柳原さん、本当にありがとう。

997 :マロン名無しさん :2006/05/15(月) 00:08:16 ID:???
そして買いはしないがこれからも見守るよ柳原…。
みんな少女漫画板も落とさないように頑張ろうね!

998 :マロン名無しさん :2006/05/15(月) 00:39:36 ID:vlvvEDBR
↑買えよw

999 :マロン名無しさん :2006/05/15(月) 00:43:26 ID:???
楽屋裏http://c-docomo.2ch.net/test/-/csaloon/1146115413/i

もうすぐ埋まりそうなので楽屋裏URL貼っときます。

無事1000に辿り着きそうでうれしい。
あらすじかきさんとまったりと心優しい住人と、何より魅力的な原作でできているこのスレが好きだったよ。

またどこかで会いませう♪

1000 :マロン名無しさん :2006/05/15(月) 01:08:55 ID:???
お伽話がきこえる

心の一番深いところから聞こえる声
お伽話のように
あんまりにもきれいで
とても不可能のように思えてしまうけど

信じてみようよ 願いは叶うよ



懐かしい楽しい時間をありがとうございました。
ばいばい またね

1001 :1001 :Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


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