このカテゴリのトップページへ戻る│過去ログ倉庫トップページへ戻る
HELLSING連載中
- 1 :MontinaMax ◆rGEPZa.G5M :2009/05/10(日) 21:29:51 ID:???
- 97年5月2日ヤングアワーズ27号より「HELLSING」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃあないか。
尚、この漫画は拘束制御術式零号の力により数日に1話ずつ連載されるらしい。
時々作者がウィリス空間に閉じ込められたり秋葉原に電撃戦をかけて変な時期に
休載したりする事もあるが なにも、問題、 ありません
初めての人は連載中スレの楽屋裏にて詳しいルールなどを確認してから書き込んで下さい。
連載中スレの楽屋裏 第28幕
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1229427330/
連載中スレまとめWiki
ttp://rensai.qp.land.to/
連載中スレについて
ttp://rensai.qp.land.to/t/about
- 2 :MontinaMax ◆rGEPZa.G5M :2009/05/10(日) 21:31:47 ID:???
- 第1話 「VUMPIRE HUNTER」
「こんな夜だ 血も吸いたくなるさ
静かで本当にいい夜だ」
「お嬢ちゃん 処女か?」
「大口径の銃だ 長くはもたん
どうする?
めでたし めでたくもない
- 3 :マロン名無しさん :2009/05/10(日) 22:28:16 ID:???
- ウォルターは後々裏切る
- 4 :マロン名無しさん :2009/05/10(日) 22:29:10 ID:???
- アーカードは少佐の策で消えて死んじゃう
- 5 :マロン名無しさん :2009/05/11(月) 18:31:26 ID:???
- 483 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2009/05/10(日) 22:52:00 ID:???
あらすじはあらすじ書きさんの自由と言うけれど
もうちょっと何とかならんのか
484 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2009/05/10(日) 22:56:37 ID:???
HELLSING、もちょっと情報量多くないときついんじゃないかと
いやコミックスは持ってるんだけど
485 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2009/05/11(月) 10:14:09 ID:???
いや、最近の漫画だし情報量少なくてもよくね、と思ったが実際に見たら吹いたw
せめて台詞以外の状況説明も3行ぐらい入れたらどうかと
後半の1話1シーンみたい展開なら仕方がないかもしれないが前半は普通にあらすじ書けるだろ
486 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2009/05/11(月) 18:24:47 ID:???
だったらお前が書け
お前が書けって言うぐらいなら立てるなよ、こんな糞スレ
- 6 :マロン名無しさん :2009/05/11(月) 19:14:18 ID:???
- 第1話から原稿落ちてるとか先行き不安すぎるな
次号で掲載されてりゃいいんだが
- 7 :マロン名無しさん :2009/05/12(火) 22:40:01 ID:???
- これエロ漫画じゃないの?
もっとうまくかけよ>>1
- 8 :マロン名無しさん :2009/05/13(水) 02:47:04 ID:ToJNDf6k
- ウォルターは美少年に変身する
婦警は合体する
少佐は実はメカで変形する
- 9 :VAMPIRE HUNTER 1/2 :2009/05/18(月) 20:58:06 ID:???
- 「こちらヘルシング!! こちらヘルシング本部。状況を説明しろ!! アーカード」
月を背に、男が一人、町を見下ろしていた
通信機越しの要求に応えなかったことを、月を見ていたからだと謝罪する
「しっかりしてくれアーカード!! おまえだけが頼りなんだぞ!!」
「わかってる。あんまりにいい夜だったから」
第1話 VAMPIRE HUNTER
――英国北部の小村 チェーダース村 6月14日 水曜日
この村の小さな教会に一人の牧師がやって来た
まるで太陽を嫌っているかのような奇妙な牧師だった。
その一週間後、最初の事件が起きた
隣村につかいに行っていた青年が次の日になっても帰ってこなかった
それを皮切りに、たった10日間の間に次々と、村民10人が消えた
そんな中、命からがら助かった少年が警察にある証言をした
口から血を滴らせた牧師をはっきり見たと
警官と村人は牧師を問いただすため教会に押し掛けた。運悪く、【夜近く】に――
――2日後 7月5日 チェーダース村への街道上
街道は封鎖されていた。そこに「HELLSING」局長ヘルシング卿が到着する
突入した警官隊が連絡を絶ち、異様な姿でさまよっている。地元の警官隊では状況の把握すら不可能だった
ところが到着したヘルシング卿が語るのは喰屍鬼《グール》や吸血鬼《バンパイア》といったオカルトじみた話ばかり
警官隊は色めき立つが、全て事実だ。「王立国教騎士団」通称「HELLSING機関」は、長年化物と戦ってきた
故に今回の件はヘルシングの仕事。むしろ警官や軍隊では逆に吸血鬼にエサを与えてしまう
男吸血鬼《ドラクル》が処女を、女吸血鬼《ドラキュリーナ》が童ていの血を吸えば、吸血鬼は繁殖し
それ以外は食人鬼《グール》、吸血鬼の下僕となってしまうからだ
ただし母体である吸血鬼を殺せば死滅する。ヘルシング卿は対吸血鬼のエキスパートを送り込んでいた
その名はアーカード。化物、特に吸血鬼に関しては、「誰よりもエキスパート」だという
「本当にいい夜だ。こんな夜だ、血も吸いたくなるさ 静かで本当にいい夜だ」
- 10 :VAMPIRE HUNTER 2/2 :2009/05/18(月) 20:59:39 ID:???
- 婦警は一人牧師たちと応戦していた
いや、逃げていたと言った方が正しい。牧師は笑い声を上げて婦警を追いつめる
吸血鬼である牧師の身体能力は人の比ではなく、銃でも死なない
捕まえられた婦警が、あわや犯されるかというとき――
「待て」
ひとりの男がそれを遮った。ヘルシング卿が「誰よりもエキスパート」と評した男その人である
「最近の若者どもはまったく…下衆だ。モラルもへったくれもあったもんじゃない。町のチンピラと変わらんな」
そして名乗る。自分はアーカード。HELLSINGのゴミ処理係、牧師たちのような存在専門の殺し屋だと
周囲を牧師の下僕の食人鬼たちで囲まれている中、そんなことを言えばどうなるか――
全身を撃ち抜かれ、腕は千切れ、アーカードはあっけなく地に伏せた。牧師は哄笑する
しかし倒れたアーカードも笑い声を上げていた
「銃なんぞ撃ったってムダだ。吸血鬼は銃なんかじゃ死なん!!」
シュウウウウウ、と。不気味な黒い何かがアーカードに集まって行く
千切れた腕からもそれは立ち上り見る間に再生していく
あっけにとられる牧師に銃を向ける姿は、撃たれたことなどなかったと言わんばかり
――銃は効かない。先程の牧師と同じ言葉。アーカードもまた吸血鬼だったのだ
「なッ なぜッ 何故貴様……ッ!! 何故貴様吸血鬼《なかま》が人間に味方を」
「おまえ達みたいなクソガキがな好き勝手絶頂に暴れられると困るんだよ
倍々ゲームで人間なんぞすぐ絶滅して共倒れだぞ先の見えんガキめ
それに俺は人間共には逆らえんのだ イロイロとこみいった事情でな」
アーカードは牧師に向かって銃を構える
ランチェスター大聖堂の銀十字を錫溶かして作った銃弾では、銃が効かない吸血鬼も平気ではいられない
怯えた牧師は婦警を盾にする。たった一人の生存者を生かしておきたくないのかと
しかしアーカードは動じなかった。婦警に処女かどうか問いかける
度重なる質問に婦警がはいと答えた瞬間、銃弾が二人を撃ち抜き――
あとは一瞬だった
「奴の心臓を射つためにお前の肺を射った。悪いが大口径の銃だ長くはもたん。どうする?」
アーカードは婦警を抱えてヘルシング卿の元へ帰還した
母体は倒したもののチェーダース村の事件における生存者はなし
婦警の口元で光る牙に、辺りは一時騒然とした――
- 11 :マロン名無しさん :2009/05/18(月) 21:08:43 ID:???
- 処女でよかったなw
- 12 :マロン名無しさん :2009/05/18(月) 21:21:26 ID:???
- つうかアーカードエロ親父かw
- 13 :マロン名無しさん :2009/05/18(月) 21:27:13 ID:???
- 超辻褄とはいえ、一話の旦那は色々と別人だな
- 14 :マロン名無しさん :2009/05/18(月) 21:29:52 ID:???
- 聞いた理由は分かるけど正面切って言うことじゃないよなww
っていうか局長女だったのか
おっかない顔が多いから男かと思った
- 15 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 00:02:50 ID:???
- せ、セクハラー!
- 16 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 00:35:38 ID:???
- おー、耽美でなさそうな吸血鬼ものってなんだか新しいね。
一話完結式でこの婦警さんはゲストキャラかなのかな。
それとも婦警さんもレギュラーに加えてドタバタするのかしら。
- 17 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 01:53:29 ID:???
- 明らかにダークヒーローとはいえ容赦なさすぎんだろwww
- 18 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 01:55:43 ID:???
- 作者エロマンガ家だっけ?
なんか色気のない絵だなあ(・ω・`)
- 19 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 10:09:11 ID:???
- アーカードはドラキュラのアナグラムだから正体バレバレだったな。
吸血鬼ものとしてはさして珍しくない設定だがどんな風に個性だせるかな。
やはりエロ方面か?
- 20 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 10:55:40 ID:???
- 串刺し公が串刺しにしてたのは死体じゃなく処女で串は自前だってってことっすかー!?
- 21 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 12:25:28 ID:???
- わざわざ処女かどうか訊いたって事は吸血鬼にする気かねぇ
にしてもねーちゃん乳でけぇのう
- 22 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 17:25:21 ID:???
- 絵は正直まだまだ荒削りだけど独特の癖というか「凄み」があるね
成長が楽しみだ
- 23 :マロン名無しさん :2009/05/19(火) 21:57:21 ID:???
- 銃器がやたら凝ってるあたり、ミリオタには受けそうだ
- 24 :マロン名無しさん :2009/05/20(水) 01:35:30 ID:???
- 快楽天?パピポ?
- 25 :MASTER OF MONSTER 1/2 :2009/05/20(水) 21:00:16 ID:???
- ――10年前 ロンドン ヘルシング家本拠
ヘルシング家の当主がこと切れようとしていた
次の当主となるのはまだ幼いと言ってもいい娘、インテグラ
当主もそれが心残りなのか、言い残すのは娘のためのことばかり
「インテグラ おまえにはもっと教えたい事 伝えたい事 たくさんあった
おまえに脈々と流れているヘルシング家の血と誇り
もっとずっと見守っていてやりたかった…」
そして弟のリチャードにインテグラを支えてやってくれと頼んだ
「はい兄上」
第2話 MASTER OF MONSTER
――3日後 ヘルシング本部
リチャードは幾人もの男を引き連れてインテグラを探していた
見つけ出して殺すためにだ。リチャードは当主の座が欲しかった
ましてやまだ子供であるインテグラにかすめ取られることなど我慢できなかったのだ
インテグラはその様子を天井裏のダクトの中から見ていた
「父上が死んでまだ一週間と経っていないのに……!! 叔父上 あなたはあまりにも人でなしすぎる」
そして父の言葉を思い出していた
――地下の忘れ去られた牢獄へ行け! そこに我々ヘルシング一族の一つの成果がある
もはやインテグラを守る術は父のこの言葉のみ。インテグラはダクトの先を見据えた
一方、リチャード達も本部内をすべて探しつくし、地下へ向かおうとしていた
地下にたどり着いたインテグラが見つけたのは、拘束されひからびた死体だった
父の言葉を信じてやってきて見つけたものは死体――。逃げ場もなく、インテグラの目に涙が滲んだ
「死にたくない…… 死にたくないよ……」
だがその願いもむなしく鈍い音とともに扉が破られる
現れた叔父はインテグラの糾弾もやかましいの一言で一蹴した
叔父にとってインテグラは邪魔な「ガキ」。手を挙げるのも銃で撃つのも躊躇わなかった
インテグラの血液が【死体】にかかり――、次に耳を撃とうとした叔父は【異様な音】に邪魔されたのだった
- 26 :MASTER OF MONSTER 2/2 :2009/05/20(水) 21:01:54 ID:???
- ちゅばッ、ぴちゃッ、ぺちゃッ、と
死体だったはずの男が床に落ちたインテグラの血を啜っていた
にたり、と笑うと拘禁服を引きちぎり立ち上がる。死体がよみがえっていた
男は恐ろしいほど強かった。リチャードの部下の頭蓋を真っ二つにし、滴る血を飲む
銃を構える暇さえなくバラバラに虐殺される
最後に叔父の右手を切断し、男はゆっくりとインテグラに近づいて――
「御怪我は御座いませんか、『ヘルシング卿』」
跪いた。血を啜ったその姿は間違いなくヘルシング家の宿敵吸血鬼
いったい父はどんな研究をしていたのかと、インテグラは混乱していた
そんな中、一人だけ生き残っていたリチャードが残った左手で銃を撃つ
吸血鬼は自分の腕でインテグラを庇った
そして今度はインテグラが、叔父に銃を向けたのだった
その眼は今までと打って変わって冷静で冷酷だった
「名前は?」
「『アーカード《ARUCARD》』。先代はそう呼んでおられました」
――ロンドン ヘルシング機関射撃練習場 現代
婦警が射撃練習をしていた。結果はあまりよくない
そんな婦警にアーカードが指摘する。人間のころのクセを忘れろと
「ヒタイにもう一ツ、目がある様なカンジで撃て。人間と同じ様に撃ったら人間と同じようにしか当たらん」
そして実践すると、1kmも先の標的に見事命中させたのだった
二人の傍でインテグラ――ヘルシング卿は、新聞を広げながら昔を思い出していた
「あれからもうちょうど10年か……」
「ほうめずらしい。インテグラが昔の思い出にひたっている」
「私とて思い出位ひたる。10年前の事思い返していたのよ」
インテグラの感傷などどこ吹く風か。吸血鬼二人の感想は酷かった
「《あのコロはまだ》小さな女の子」だの、今は「鉄の女」だの――
射撃練習場にインテグラの怒号が響くこととなったのだった
- 27 :マロン名無しさん :2009/05/20(水) 22:17:35 ID:???
- >>19
逆さにして
DRACURA
ARUCARD
ってことか
お前頭いいな
- 28 :マロン名無しさん :2009/05/20(水) 22:56:18 ID:???
- 10代で人殺しか…
覚悟キマりすぎだな
- 29 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 00:19:42 ID:???
- ヒャッホー!英国幼女だ……あ?あれ…
(´・ω・`)
- 30 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 00:33:29 ID:???
- 幼インテグラカワイス
育っちゃったのは失敗だな。美少女と吸血鬼の凸凹コンビでよかったのに
- 31 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 00:44:59 ID:???
- 幼女の方が人気なのか
わかった鉄の女の方は俺が引き取ろう
- 32 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 00:45:43 ID:???
- 幼女のままで書けばウケがいいのに
- 33 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 09:54:14 ID:???
- >>27
それ吸血鬼物の基本じゃね
たいていはアルカードって読ませるけど
- 34 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 11:11:20 ID:???
- ギャフン
- 35 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 11:27:11 ID:???
- >>27
正確な綴りはDRACULAだな
意図的かミスかわからんがARUCARDになってるな
- 36 :マロン名無しさん :2009/05/21(木) 12:44:25 ID:???
- そーいやアルガードって目薬あるよな
- 37 :MURDER CLUB 1/2 :2009/05/22(金) 20:58:08 ID:???
- ――英国 8月12日 バーミンガム近郊 街道17号
周囲はざわめきに満ちていた。幾台ものパトカー、多数の警官たち
警官でさえ顔色を変える惨状がそこにはあった
「こいつぁひでぇ…」
「なんてこった」
第3話 MURDER CLUB
街道17号ぞいの家屋が襲われ、3家族11名全員が死亡、6名の死体に吸血痕を確認――
駆け付けたインテグラにもたらされたのはそういう情報だった
そして事件はHELLSINGの指揮下に入ることとなる
インテグラが真っ先にしたことは地図を確認することだった
犯人は、ルート17号を北に移動しながら「ある条件」を満たした家庭を襲っている
目星をつけていたインテグラは「彼ら」を追撃に向かわせているという
「ある条件」――即ち敬けんなキリスト教徒《クリスチャン》であること、
必ず子供がいること、広い壁があること
犯人は広い壁にキリスト教、キリスト教徒に挑戦するためのメッセージを、被害者の血を使って描くのだ
「こいつは我々の国教《プロテスタント》、我々の英国、そして我々《ヘルシング》をなめきっている!
くそ化物共《フリークス》。絶対に生かしておけん」
- 38 :MURDER CLUB 2/2 :2009/05/22(金) 21:00:49 ID:???
- 「これで4家族目だ」
一家族ことごとくが惨殺され、血に染まった家の中で、一組の男女が寄り添っていた
「あと9ツ、あと9ツ殺しゃああいつらに、もっともっと俺たちを強くしてもらえる
そうすりゃずっと永遠に生きられる」
口ぶりから分かるように、二人は吸血鬼、そして一連の殺人の犯人だった
しかし、誰かに言われて人を殺していたかのような、奇妙な言動だった
その時、呼び鈴が鳴った。何度も何度も執拗に
喧しさに男の方が舌打ちし、銃を構え玄関に向かう
覗き窓の向こうに立っていたのは銃を構えたコートの男――
驚いたところでもう遅く、扉を貫通した銃弾を何発も喰らってしまう
その間に、男――アーカードは悠然と中に入ってきていた
再び銃を構えるアーカードに男も自分の短機関銃を撃ちこむ
だが弾を全て撃ち尽くしても、アーカードに痛手を与えられなかった。むしろ怒りを招いた
「貴様 それでも吸血鬼《ノスフェラトゥ》のつもりか 恥を知れ!!」
背を向けて逃げ出した男に銃弾を浴びせ、右手で男の心臓を貫く
男が滅びたのと同時に、残された女は窓から逃げ出していた
「逃がすなよ 婦警 外だ!!」
アーカードの言葉に返事をしたものの、狙わねばならない女吸血鬼はとても素早い
みるみる距離が開く。しかも夜、スコープもなしの狙撃。躊躇う婦警にアーカードは必ず当たると断言する
婦警はすでに「人間ではない」のだから、と
アーカードの言葉通りに婦警の銃弾は女吸血鬼の心臓を撃ち抜き――
婦警は当たった喜びよりも自分の身体の変化に驚きを隠せないのだった
「多すぎる あまりにも多すぎる。吸血鬼があまりにも事件を起こしすぎる
しかも3流、4流の雑魚の連中
ただただ無計画に殺人をくり返すだけ。先の無いチンケで愚かな行為ばかりだ
まるで まるで誰かが、吸血鬼を簡易に作り出している様……」
- 39 :マロン名無しさん :2009/05/22(金) 21:29:58 ID:???
- 最後のセリでをちょっと改変ネタをやってみた
「多すぎる あまりにも多すぎる。厨房があまりにも糞スレを立てすぎる
ただただ無計画に糞スレを立て続けるだけ。先の無いチンケで愚かな行為ばかりだ
まるで まるで誰かが、厨房を簡易に作り出している様……」
- 40 :マロン名無しさん :2009/05/22(金) 21:52:10 ID:???
- 女の吸血鬼横顔は可愛かったのに正面顔が残念だ
しかし主人公強すぎるだろ
- 41 :マロン名無しさん :2009/05/22(金) 22:01:48 ID:???
- まあ作中のキャラも雑魚って言ってるし無双したほうが痛快だよ。
黒幕やライバルが出てきてからだろ苦戦するのは。
さてアーカードのライバルは吸血鬼か神父(牧師)か?
- 42 :マロン名無しさん :2009/05/22(金) 22:11:17 ID:???
- 吸血鬼にとって最大のライバルと言ったら決まっている
ヘルシング一族だ!!
……ああ、ご主人様でしたね……
ならばベルモント一族だ! 鞭でしばかれる婦警を見たいぞ凄く見たいぞとても見たいぞ心から見たいぞ!
- 43 :マロン名無しさん :2009/05/22(金) 23:02:51 ID:???
- 個人的には吸血鬼(味方)対聖職者(敵)が面白そうで見てみたいんだけど
婦警とか見ると人間<<<<<<吸血鬼っぽいんだよなー
神の力とかでなんとかなるかな
吸血鬼を作り出して人殺し命令してるあたり聖職者じゃなさそうだけど
- 44 :マロン名無しさん :2009/05/23(土) 00:59:06 ID:???
- てか出てくるのか?聖なるナントカの僕みたいなの
今の所吸血鬼使いっていうか上位吸血鬼そのものにしか思えないんだが、黒幕
- 45 :マロン名無しさん :2009/05/23(土) 18:00:13 ID:???
- 婦警さんレギュラーなのに名前がないのか…
- 46 :SWORD DANCER 1/2 :2009/05/24(日) 21:53:30 ID:???
- 「コラ――ッ 2人ともやめなさ〜〜〜いッ」
――ローマ近郊 カトリック系孤児院 フェルディナントルークス院
少年同士の喧嘩を神父が諌めていた
神父の前でさえ責任をなすりつけ合い再び喧嘩に発展した少年達に、
「そんなことでは天国に行けない」と半ば脅しじみた言葉で止める
「いいですか? 暴力を振るっていい相手は、悪魔共《バケモノドモ》と異教徒共だけです」
第4話 SWORD DUNCER
丁度その時、神父――アンデルセンに声をかける老人がいた。アンデルセンは少年を部屋に戻らせる
老人がもたらしたのは吸血鬼の情報だった。英国で連続して出現する吸血鬼とそれに伴う事件
「結構なコトじゃないですか。英国のプロテスタント共がたくさん死んだんでしょう」
先程の【暴力を振るっていい相手】といいアンデルセンの言葉は異教徒と化物に対してはひどく苛烈だ
また、ヘルシングに対しての評価も厳しかった
法王庁《ヴァチカン》は、ヘルシングよりはるか前から吸血鬼と戦い続けてきたという
このように、英国内でごたごたが起る分には一切構わないアンデルセンだったが
老人がもたらしたのは違う都市だった
「今度起きた地点はアイルランドだ。北アイルランド地方都市ベイドリック」
アンデルセンの目が妖しく光る。アイルランドはプロテスタントの土地ではなくカトリックの土地であり
ここにヘルシングが侵入しさらにさらに吸血鬼に関して先んじられる訳にはいかなかった
「もしヘルシングと衝突した際は?」
「我々は唯一絶対の神の地上代行者だ。異端どもの挑戦を引く訳にはいかん」
- 47 :SWORD DANCER 2/2 :2009/05/24(日) 21:55:28 ID:???
- ――北アイルランド 地方都市 ベイドリック近郊 8月15日
アーカードが食屍鬼《グール》と戦っていた。倒しても倒しても沸いて出る食屍鬼が
面倒になり、アーカードは婦警にも戦えと念話で促す
「相手は人形…人間じゃなくかぼちゃ同然ただの人形。狙って射って一発で終わり」
自分に言い聞かせるように呟いてから、婦警は迫ってくる大量の食屍鬼を射った
一発撃つたびに、食屍鬼の身体に大きな穴が開き、一部が千切れとぶ
一方アーカードは婦警に辺りを任せ、一服していた
そこに食屍鬼の上半身が飛ばされてくる。それは上半身だけになってもまだ動いていた
「婦警――ッ 狙うなら確実に心臓か頭をぶち抜け。彼らとて好きこのんでグールになった訳ではない
一度こうなってしまった人間を元に戻す方法はない――。速やかにぶち殺してやるのがこいつらの為ってもんだ」
そのころ、婦警に異変が起きていた。食屍鬼を殺すのを愉しむかのような禍々しい笑み
銃すら使わなくなり、自分の足で踏みつけ踏み潰す
そして食屍鬼の血液のついた手をゆっくりと口元に運ぼうとした――
が、首元を貫いた剣がそれを阻んだ。何本もの剣が刺さり、婦警が倒れる
次いで何かの字や模様が描かれた紙が何枚も壁や扉に貼られていく
「!! 結界か!?」
最後に、ゆっくりと男が降りて来た。両手には血にまみれた剣。婦警を刺したのと同じもの――
「我らは神の代理人 神罰の地上代行者
我らが使命は我が神に逆らう愚者を その肉の最後の一片までも絶滅すること――
Amen《エイメン》」
――ロンドン HELLSING本部
インテグラの元へヴァチカン情報館からある報告がもたらされた
「法王庁《ヴァチカン》が…………。特務局第13課イスカリオテ機関が動いています!」
「イスカリオテ第13課…………。カトリックの絶滅機関か? 兵力は!?」
「派遣兵力はただ一人!! 『聖堂騎士《パラディン》』アレクサンド・アンデルセン神父!!」
- 48 :マロン名無しさん :2009/05/24(日) 23:00:50 ID:???
- 神父恐えーー!!
強敵のオーラがプンプンしてる。
強そうなのはいいがこれどっちかが死なないと戦闘終んねえんじゃねえ。
- 49 :マロン名無しさん :2009/05/25(月) 10:24:24 ID:???
- 原稿なくしたフランス書院への当て付けキター
- 50 :マロン名無しさん :2009/05/25(月) 12:13:50 ID:???
- こいつがライバルポジになるのか?
- 51 :マロン名無しさん :2009/05/25(月) 12:23:11 ID:???
- 素敵にイカれてていいな
パラディンのイメージがぶっ壊れたけどw
- 52 :マロン名無しさん :2009/05/25(月) 22:48:58 ID:???
- 気が早い話かもしれないが、アニメ化の時のアンデルセンの声優は誰が良いかな
野沢那智?
- 53 :マロン名無しさん :2009/05/26(火) 17:37:28 ID:???
- こんなもんアニメになるわけねーだろ
それとも血とか蜂の巣とか貫通とか全部毒抜きされるのか?
- 54 :マロン名無しさん :2009/05/26(火) 19:20:27 ID:???
- 毒抜きされてつまらなくなってしまうという…
まあ、どこがアニメ化するかにもよるな
- 55 :SWORD DANCER2 1/2 :2009/05/26(火) 21:02:27 ID:???
- 「ローマがッ 法皇庁《ヴァチカン》がッ
ヴァチカン特務第13課、イスカリオテ機関が動いています!!」
「イスカリオテ第13課…!! ローマカトリックの絶滅機関か!! 兵力は!?」
「派遣兵力は唯一人! 『聖堂騎士《パラディン》』アレクサンド・アンデルセン神父!!」
第5話 SWORD DANCER2
イスカリオテ第13課とはヴァチカンの非公式実行部隊であった
「法皇庁《ヴァチカン》の持つ唯一にして最強の戦力
『イスカリオテ《ユダ》』の名を持つ存在しないはずの第13課
悪魔退治《エクソシズム》、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナルたち」
その13課がベイドリックにいるのが不可解だった。境界ぎりぎりとはいえプロテスタントの土地。重大な協定違反である
「連中はそんな事どうでもいいのさ
新教《プロテスタント》と旧教《カトリック》の境界ぎりぎりの所に吸血鬼《ヴァンパイア》がいて暴れている
いるのなら絶滅させる。手段も方法も選ばない。それが連中だ」
13課についてある程度インテグラは理解していた。理解しているからこそある懸念があった
アーカードたちである。吸血鬼を絶滅させるべく動いている13課がアーカードと婦警に鉢合わせたらどうなるか――
法皇庁と連絡を取るため、ウォルターはすでに動いていた
さらには戦闘部隊2個小隊も待機させているという
が、そんな大人数を控えさせてなおウォルターは浮かない顔だった
『聖堂騎士《パラディン》』『殺し屋』『銃剣《バヨネット》』『首斬判事』『天使の塵《エンゼルダスト》』
出身人種年齢全て謎。数々のアダ名の他に知られているのは一つだけ
アンデルセンが化物専門の戦闘屋ということだ
――アーカードのように。ヘルシングの切り札のアーカードのように、13課の切り札もアンデルセン
その危うさに、インテグラも思わず葉巻を噛みつぶす。そしてベイドリックに向かうことしたのだった
- 56 :SWORD DANCER2 2/2 :2009/05/26(火) 21:03:09 ID:???
- インテグラの危惧通り、アンデルセンはアーカードと婦警の前に立ち塞がっていた
「良い月だな、化物共」
急に現れた不気味な神父の正体にアーカードは気付いた
法皇庁《ヴァチカン》第13課特務機関イスカリオテ。神父は肯定する
「おまえがアーカードか。吸血鬼《ヴァンパイア》の分際でありながら人間に味方し
吸血鬼を狩るヘルシングのゴミ処理係」
「ここにいた吸血鬼はどうした」
「とうの昔に始末したよ。とんだ雑魚だった。楽しむ間すらありはしない」
軋む床を、二人はゆっくりと近づいて行った
つま先がぶつかりそうな位置に来ると、二人はすれ違う。背中あわせに立った
「残っているのは 貴様らだけ」
「そうかい」
次の瞬間、二人は同時に動き出していた。剣がアーカードの喉を貫き銃が神父の頭蓋を撃ち抜く
神父は吹き飛ばされて倒れた。アーカードは自分に刺さった剣を抜き、婦警の剣も抜こうとしたのだが――
婦警がアーカードの背後を見て悲鳴を上げた。背後には倒れたはずのアンデルセンが立っていた
奇妙な笑い声と共にアーカードに襲いかかる。再び撃たれるも、すぐに起き上がった
そしてとうとうアーカードの両手を串刺しにし、銃を封じる
額の銃創は癒えている。痕跡も恐ろしい速さで消えている
そもそもなぜ、人間である神父が頭を撃たれて生きていられるのか
「………再生者《リジェネーター》……!!」
「そうだ!! 我々人類が貴様らと戦うために作り出した技術だ」
両手を封じられ無防備なアーカードの胴体を隙間なく剣が埋め尽くした
婦警の時はわざとアンデルセンが心臓を外していたから婦警は死んでいなかったのだが
何十本と執拗に刺さった剣にその意思は見られない
「マスタ―――ッ」
アンデルセンは――狂ったように笑っていた
そして――ベイドリックにヘルシング卿が降り立つ
「今はヴァチカンと争っている場合ではない!
もしアーカードたちが戦闘に至っているなら 止めねばならん!
急げ!!」
- 57 :マロン名無しさん :2009/05/26(火) 23:00:46 ID:???
- うへぁ…ガチだ
ガチでおかしい人だ…
いいぞもっとやれ
- 58 :マロン名無しさん :2009/05/26(火) 23:06:23 ID:???
- 死んじゃいますたー
- 59 :マロン名無しさん :2009/05/27(水) 10:51:15 ID:???
- キ○ガイじみてるな
- 60 :マロン名無しさん :2009/05/27(水) 13:48:55 ID:???
- >>58
www
でも2話では干からびてても生きてたもんなあ
インテグラか婦警の血がかかれば復活するんじゃね?
- 61 :SWORD DANCER3 1/2 :2009/05/28(木) 21:51:06 ID:???
- 第6話 SWORD DANCER3
アンデルセンは、アーカードの首を切り落としていた
「これが こんなモノがヘルシングの切り札? まるでお話にならない」
目を見開いたままのアーカードの生首を眺めて笑う
そうこうしている間に、婦警は逃げ出していた
ある程度距離をとると、刺さったままだった剣を自分の手で抜く
だがアンデルセンは簡単に逃がすほど甘くはなかった。目の前にアーカードの首が現れ婦警は驚愕する
「チリはチリに《DUST TO DUST》。ちりにすぎないおまえらはちりに還れ」
アーカードでさえ敗北した相手。婦警は自分ではどうにもならないと逃げに徹する
アンデルセンは無理に追おうとしなかった。なぜなら、先刻張り付けた紙片は――
壁に触れた婦警の手が弾かれる
「それが『結界』だ小娘。おまえたち夜の勢力共《ミディアンズ》にそれを突破する事は不可能だ」
窓にも、扉にも、結界の紙が貼られてしまっていた
――殺されるッ 殺されるッ 殺されるッ
逃げることも出来ない。慌てる婦警にアーカードの念話が届く
さらに首から大量の血液が流れ落ちてある文章になった
――私の血を飲め婦警
――そうすればお前は使役されるための吸血鬼ではなくなる。本当の意味での我々の一族になるのだ
――自分の意志で血液を喰らい自分の力で夜を歩く 不死の血族《ノーライフキング》に
――私の血を飲め婦警 いや
――セラス・ヴィクトリア!!
アーカードからの血のメッセージに見入るセラスの背後にアンデルセンが立つ
が、銃弾がアンデルセンの動きを遮った。銃弾を受け止めた剣は二振りとも折れる
「その娘はうちらの身内《モン》だ。なにをしてくれるんだアンデルセン神父!?」
インテグラだった。アンデルセンの行動は協定違反であり、退かねば重大な危機となると警告する
しかしアンデルセンの答えは――否
「ナメるなよ売女《ベイベロン》。われわれが貴様ら汚らわしい新教《プロテスタント》共に引くとでも思うか!?」
- 62 :SWORD DANCER3 2/2 :2009/05/28(木) 21:51:55 ID:???
- アンデルセンの手にはいつの間にか折れていない剣が握られており、銃弾を《腕で》防ぎながら護衛二人を殺害する
さらにインテグラに迫るが、これはなんとか剣で防いだ
防いだといってもぎりぎり。アンデルセンはインテグラに囁く
「貴様ら御自慢の処理屋《アーカード》!! 首ィ落として、くびり殺してやったぞ?」
ヘルシングの切り札の死――。希望を削ぐ筈の言葉だったが、インテグラはさらりと返した
「首を落とした? それだけか?」
同時に背後に気配。アンデルセンは警戒するが、セラスだった。
しかしインテグラはなおも言いつのる。アンデルセンに勝ち目はないと――
「モタモタしてると くびり殺したはずの者がよみがえるぞ」
今度こそ、アーカードに異変が起きえいた。首を失った体から飛び立つ無数の蝙蝠
――飲まなかったのか バカ者め
それが無数に飛びかかってくる。アンデルセンはインテグラから離れた
「首を切った? 心臓を突いた? そこいらの吸血鬼と彼を一緒にするなよ。そんなモノでは死なない!
貴様が対化物法技術の結晶であるように、彼はヘルシング一族が100年間かけて栄々と作り上げた最強のアンデット」
――蝙蝠が集っていく。人を形作っていく
「吸血鬼アーカード」
「あッあッあッ マッ マスタ―――ッ」
全ての蝙蝠が集まって消えたとき、そこには笑みを浮かべたアーカードが立っていた
首を切り心臓を突いて死なないアーカード。アンデルセンの判断は早かった
今のアンデルセンではアーカードを殺しきることは出来ない
「また会おう 王立国教騎士団《HELLSING》。次は皆殺しだ」
本のページが舞う。おびただしい頁の中に、アンデルセンはかき消えた
今回の一件で、ヴァチカンに対する大きな貸しを作ることになった
しかし吸血鬼を調べ、なにか重大なことが分かったためそれどころではないという
一方セラスはゲロっていた
そんなセラスの様子に、インテグラは使える様になったのか、と聞くが
アーカードの答えは「普通《フツー》」。セラスは少し違うところに異議を申し立てた
「もう『婦警』はやめてください。私にはセラス・ヴィクトリアという名前が…」
「五月蠅いこの臆病者。おまえなんか『婦警』だ」
- 63 :マロン名無しさん :2009/05/29(金) 06:19:52 ID:???
- 護衛弱wwwwwww
インテグラに護衛必要無いなwwww
- 64 :マロン名無しさん :2009/05/29(金) 07:47:51 ID:???
- どうやって消えたんだこれ
- 65 :マロン名無しさん :2009/05/29(金) 08:47:12 ID:???
- >>64
聖典の化身とかそんなんじゃないの?
こまけぇこたぁいいんだよ
セラス…セラスか
吸血鬼なのに熾天使……いや、あれはセラフだっけか
- 66 :マロン名無しさん :2009/05/29(金) 15:57:42 ID:???
- 婦警の本名キタ――(゚∀゚)――!!
ヴィクトリアってかっこいいな
- 67 :マロン名無しさん :2009/05/29(金) 19:10:20 ID:???
- 復活したところのアーカードがまじおっかないんですけど
- 68 :DEAD ZONE1 1/3 :2009/05/30(土) 21:43:25 ID:???
- ――ロンドン郊外 HELLSING《英国国教騎士団》本部
「同志インテグラ。我々円卓会議を召集したという事は
よほどの事が起こったのであろうな? ヘルシング卿?」
第7話 DEAD ZONE1
円卓会議――英国王室に忠誠を誓う12人の政・財界の重要人物、貴族、軍人などが集まった結社である
実質的に大英帝国圏を裏から支配している二近い集団である
その円卓会議を、インテグラは召集した。一連の吸血鬼事件のことである
数々の異様な殺人事件を、円卓会議の力でもみ消してきた。しかしそれももう限界らしい
インテグラはこの事件について得た情報を提示した。吸血鬼、喰屍鬼を徹底的に調べて分かった二つの事実
一つは、吸血鬼の体内に発信機が埋め込まれていたという事
つまり誰かが吸血鬼を操り事件を起こさせ、それを観察していたということになる
もう一つは喰屍鬼の異常だ
一連の事件の被害者は一人も吸血鬼になっていない。明らかに処女や童貞である少年少女もだ
さらに、宿主である吸血鬼が死んでも死滅しないということ
――一方 その頃 30m下の 地下階
セラスは部屋の中のカンオケの存在に動揺していた
執事のウォルターは平然としてインテグラの伝言を伝える
曰く「やっぱ吸血鬼はカンオケで寝なきゃダメ」。ベッドもすでに処分されていた
しかし、単純に酔狂や印象の問題だけ、と言うわけでもなかった
セラスは吸血鬼となってから一度も血を飲んでいない
生まれた地の土のカンオケで寝なければ力が弱まる一方だからと、アーカードからの指示でもあった
ウォルターはセラスになぜ血を飲まないのかと問いかける
「わかりません…。でも…でもなんだか血を飲んでしまったら、なにかが終わってしまう気がして…」
ちょうどその時、アーカードが部屋の中に入ってきた。迷いのあるセラスを半端者と言う
「ならば私に血など吸われなければ良かったではないか
あの時死んでいればお前は『人間』として死ねたのだ」
アーカードの言葉に、婦警はすっかりしょげてしまった
そんな様子を見て、アーカードは思い直したように言葉をかける
「だが それもいいのかもしれない。おまえみたくおっかなびっくり夕方を歩く奴がいても」
- 69 :DEAD ZONE1 2/3 :2009/05/30(土) 21:44:20 ID:???
- 二人の話がひと段落したところで、ウォルターがアーカードに新しい武器ができたと声をかける
対化物戦闘用13mm拳銃「ジャッカル」。全長39cm重量16kg装填数6発
もはや人類には扱えない代物だという
一度ジャッカルを構え、専用弾の仕様を確認したアーカードは、パーフェクトだと言った
「これならばアンデルセンすらも倒しきれるだろう」
さらに、ウォルターはセラスの銃もあるという
――30mm対化物用「砲《カノン》」「ハルコンネン」
ウォルターの身長を軽々と越える巨大さであった
しかも弾丸は劣化ウラン弾及び爆裂徹鋼焼夷弾。婦警は悲鳴を上げた
門のそばを、二人の男が歩いていた。なにやらこれから「仕事」がある様な会話をしている
黒ずくめと白ずくめ、正反対の格好をした男だった
警備が二人を見咎める。白い方の男は、旅行ツアーでここに来たと答えた
確かに付近にバスが止めてあった。屋敷や城の見学ツアーらしい。が、私有地だから立ち退けと答える
二人の男はそれを聞いて微笑み合うと――指を鳴らした
警備していた二人の男のうち一人の額に穴が開く
バスの中から銃口が屋敷を狙っていた。その数は見る間に増え、数え切れない程の弾丸が、もう一人の男を襲った
しかし、銃を撃っている者たちはあまり頭が良くないようだ。撃つのをやめろという指示になかなか従わなかった
「実験さ実験。ただのくだらん普通のな。あの人にとっては奴らも俺らも単なる過程に過ぎんのだろ」
「フン……実験ねェ!?」
黒い男が指を鳴らすと、バスから重装備の人間が何人も降りてくる
「なんでもいいやくだらねえくだらねえ。俺たちにとっちゃあ人殺しができて生き血がすすれればなんでもかまわねーや
HELLSINGだかなんだか知らねーが、アーカードだかアルカードだか知らねーが
ブッ殺してやらあ」
異常は、インテグラにも伝わった
警備室からの通信によれば、外部と連絡が取れず、一階正面玄関で戦闘中だという
通信の声はひどくあわてていた
「落ち着け! 敵の数は!? 正確な状況をいえ!」
「敵は 喰屍鬼です!!」
銃弾を喰らっても喰屍鬼はすぐに再生し進撃を再開する
「最高に勃起モンだぜ!! こっちだけズルして無敵モードだもんな!!」
- 70 :DEAD ZONE1 3/3 :2009/05/30(土) 21:45:40 ID:???
- 「グール共の軍隊だとう!?」
これにはインテグラも驚きを隠せない。なんとか円卓メンバーを避難させようとするが、
逃亡手段のヘリはちょうど爆破された。さらに通信でつながる警備室にも異変が起きた
警備室が襲われ、通信の声が変わる。襲撃者本人の吸血鬼に、だ
「僕様チャンたちの名前はバレンタイン兄弟――ッ
弟のヤンで――す。初めましてー。よーろーしーくーねー
こちらはただ今遅めの昼飯《ランチ》の真最中ゥ
国教騎士団《ヘルシング》の隊員の皆様を美味しく頂いてまーす
今からブッ殺しに行くぜ
小便すませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいする心の準備はOK?
まあ自殺する時間はあるかもしれないから死ねば? オススメ
じゃあねーッみんな愛してるよ――ッ」
ふざけた通信だった。だが内容はふざけてはいられないものだ
インテグラはウォルターに通信を繋ぐ
ウォルターが言う事には、憲兵が通信の異常に気付いて来るまで4、5時間
それまで会議室――即ち出入り口の通路を死守しなけれならないという
ウォルターの傍にはアーカードとセラスがいた。二手に分かれ、一組が守備に、一組が攻撃にでるという
守備の組は、10年前のインテグラのように通風孔を通って
「ウォルター。奴ら、私の部下たちを喰っていた。………絶対に許せない。この館から生かして帰すな」
「もちろんですともインテグラお嬢様」
二人の通信を聞き、アーカードは「死神ウォルターをまた見れる」と喜んでいた
セラスがどういうことか聞いても答えてくれる様子はない。ウォルターも否定しない
「フツーの人はこの組織にいないのかしら……」
いないらしかった
- 71 :マロン名無しさん :2009/05/31(日) 00:15:44 ID:???
- おいおいおい…
なんかどんどん描写がシャレにならなくなってきてるぞ!?
色んな意味で大丈夫なのかよこのマンガ……
- 72 :マロン名無しさん :2009/05/31(日) 09:08:56 ID:???
- 「フツーの人はこの組織にいないのかしら」にワロタ
そのうちこの漫画にフツーの人はいないのかしら、になりそう
- 73 :マロン名無しさん :2009/05/31(日) 13:38:47 ID:???
- だが待って欲しい
吸血鬼もイカれてるし
神父もイカれてる
すでにまともな人はいないのではなかろうか
- 74 :マロン名無しさん :2009/05/31(日) 19:30:39 ID:???
- 扉絵のヘルシング卿けしからん
- 75 :DEAD ZONE2 1/2 :2009/06/01(月) 21:05:02 ID:???
- バレンタイン兄弟の弟、ヤンは1F、2Fの制圧をほぼ完了させていた
三階には指揮中枢と円卓会議場。ここを制圧されれば終わりだ
一方兄のほうは、地下階へ向かうという
アーカードの能力《スペック》を確かめるために――
第8話 DEAD ZONE2
円卓会議のメンバー、ペンヴッド卿はインテグラに現状の説明を求めていた
インテグラは事実を告げるが、ペンヴッド卿が聞きたかったのは「責任の所在」だった
メンバーの一人がそんなペンヴッド卿を咎める
そんな時ではないと。逃げ場がない現状で、グールに突入されたら自分たちで防がねばならない
ペンヴッド卿は投げやりな気持ちになった
ちょうどその頭に、通風孔の蓋が落下してくる
通風口から顔を出したのはセラスだった。続いてウォルターも現れる
「ウォルター率直に聞く。我々はもうおしまいか?」
ウォルターのもたらした守備隊壊滅という事実にインテグラはそう問う
「否《ノー》!! ありえません!!
一世紀前の初代ヘルシング卿にくらべればこの程度
苦況《ピンチ》の内にも入りませんぞ」
ウォルターはそうはっきりと否定した
「あの小僧にHELLSING《我々》の授業料がいかに高額か。教育してやりましょう」
地下階からアーカードが、3Fからウォルター、セラスが「出撃」する
インテグラの望みどおり、一匹も逃さぬように――
- 76 :DEAD ZONE2 2/2 :2009/06/01(月) 21:05:49 ID:???
- ヤンはインテグラの執務室で、インテグラの葉巻の上等さに腹を立てていた
そしてインテグラをどのように苦しめ殺すか呟きながら廊下を進む
そのとき、一つの扉から人影が現れた。同時に加えていた葉巻が真っ二つにされる
さらに隣の部下もまた真っ二つになる
「外したか……やはり昔の様にはいかないモノだな」
現れたのは片眼鏡をかけた老人――
「ウォルター・C《クム》・ドルネーズ。ヘルシング家執事《バトラー》。元ヘルシング《国教騎士団》ゴミ処理係」
ウォルターの右手から三本の長い糸が伸びていた。右腕を振り上げると鋭い音を立てた
ヤンはすぐにグールに撃てと命じた。しかし一人もウォルターの動きについて行けず一発も当たらない
グールの体に糸が幾重にも巻きつき――バラバラになった
「小便はすませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいする心の準備はOK?」
先程通信でヤンが言ったのとまったく同じ言葉。ひどい挑発だった
それを聞いてヤンはまた指を鳴らす。するとグールは盾を構えた
盾と銃を構えて進んで来る一団。しかしウォルターは笑っていた
「セラス嬢。直接火砲支援《ダイレクトサポート》!! 開始!」
まさに今日手にしたばかりの「ハルコンネン」。その威力は激烈だった
セラスの第一射から逃れたヤンは、扉に身を隠すウォルターを見つける
第二射は盾ごとグール達を吹き飛ばす威力だったが、これも避けると
自分の銃を手にウォルターに迫った。扉を壊しとうとう追い詰めたかと思ったとき
セラスがヤンを捕獲してこれを止めた
とらえたヤンをウォルターが詰問する
初めこそ抵抗したヤンだったが、右手を粉砕されようやく答えた
「俺らがいわれたのは2ツ!
特務組織英国国教騎士団と円卓会議への攻撃!
そして吸血鬼アーカードの完全破壊!!」
ヤンの言う「俺ら」という言葉にウォルターが反応する
少なくとも黒幕から命令を受けているのだ、グールとは考えにくい
――そう、はじめヤンは2人組で行動していた。兄と
その兄は、屋敷を襲い始めてから一度も姿を現していない
ヤンは奇妙な笑い声を上げて答えた
「今ごろはオレの兄貴が アーカードブッ殺してるトコロさ」
- 77 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 01:01:07 ID:???
- あいかわらずすげーテンションだなw
>「小便はすませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいする心の準備はOK?」
これは流行りそうな台詞だな 作者は名台詞量産機かも
- 78 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 01:27:11 ID:???
- おうちの中で対戦車砲まがいのごんぶとをぶっぱなす子がどこに居ますか!
めっ!
黒幕さーん、なんでこんな小物臭溢れる奴寄越したのよw
- 79 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 11:58:15 ID:???
- ヤンを見る限りバレンタイン兄がアーカードをぶっ殺せるとはとても思えないなー
- 80 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 12:06:59 ID:???
- どうみてもやられ役だぜ
- 81 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 12:58:51 ID:???
- 執事さん強えぇ
- 82 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 14:52:12 ID:???
- どうみても捨て駒です。
兄貴の方もアーカードの新武器の試し相手だなこりゃ。
- 83 :マロン名無しさん :2009/06/02(火) 19:59:43 ID:???
- しかし徹底的に厨二くせえ漫画だw
- 84 :マロン名無しさん :2009/06/03(水) 10:59:47 ID:???
- このバレンタイン兄弟って、
この漫画の連載中、コミックスになっても
もう二度と出てこなさそうだよな。
- 85 :DEAD ZONE3 1/2 :2009/06/03(水) 20:52:05 ID:???
- 「俺らの目的は2ツ!! 円卓会議のフンサイと吸血鬼アーカードの完全破壊!!
今ごろは俺の兄貴がアーカードをブッバラしてる頃だろうさ」
第9話 DEAD ZONE3
ヤンの言葉通り、ヤンの兄は地下階から立ち上る「気」を目印にアーカードのところへ向かっていた
果たしてアーカードは地下にいたが、椅子に腰掛け、傍らに酒を用意する余裕ぶり
待ちくたびれたというアーカードに、男は早速銃を向けた
男も待ち焦がれていたのだ。アーカードの対決を、またそれにより自分の能力を確かめることを
今までの事件の犯人のような即席共《インスタント》とは違う、アーカードを超える第一号になると
二人が同時に銃を発射した。倒れた二人は笑いだす
すぐに男がさらに一発撃つ。アーカードも反撃したが男は素早く避ける
これにはアーカードも感心したように口笛を吹く
「私を今までの連中の様に考えるなといったはずだぞ
貴様達《ヴァンパイア》の持つ能力を私は全てそなえている。否! それ以上の能力を だ」
一方、ウォルターの尋問はまだ続いていた。しかしヤンはまともに答えようとしない
「ほざけ。そのザマで何が出来る」
「ヒャハハァハハハハァァ。やっぱおいぼれたみたいだわ アンタ」
突然、グールが現れる。驚いたセラスの隙をついて、ヤンが自由になった
「さァ―――とも食いショ――の開幕ですぞ
タップリとごタンノ――してくださいネ――」
ウォルターもセラスも驚愕する。扉の向こうから現れたグールの群れは――
グールたちに食われたヘルシングの職員たちだった
ヤンはウォルターでさえ驚くほどの速さで円卓会議場へ疾る
制止するためのウォルターの糸も片腕を犠牲にして避けた
そして突入した円卓会議場では、インテグラたちが待ち構えていた
「ようこそヘルシングへ」
一斉に撃つ。ヤンは吹っ飛んだが、インテグラは「ある光景」に驚愕した――
- 86 :DEAD ZONE3 2/2 :2009/06/03(水) 20:53:40 ID:???
- アーカードの銃弾は男の喉元に迫った。それをも男は避ける
敵の強さになぜかアーカードは歓喜していた
「楽しい!! こんなに楽しいのは久し振りだ
貴様を分類《カテゴリー》A以上の吸血鬼《ヴァンパイア》と認識する」
男が腹に一発喰らっただけなのに対し、アーカードは頭に二発受けている
余裕なのかどうなのか避けようともせず、ダメージは多い。男は勝てると感じていた
だが一方アーカードは、奇妙な言葉を唱えていた
「拘束制御術式第3号 第2号 第1号 解放。状況A「クロムウェル」発動による承認認識
目前敵の完全沈黙までの間 能力使用限定解除開始
――では教育してやろう。本当の吸血鬼の闘争というものを」
ザワ、と。アーカードの身体の中の暗闇にいくつもの目が浮かび上がった
そしてその黒い闇はギチチと溶けるように歪むように姿を変える
――奇妙に歪んだ二頭をもつ獣の姿に。アーカードの腕が形を残しているのが異様だった
その残っていた腕と、頭部が、ボタボタと落ちる
獣は驚愕している男に襲いかかった
さらに残った頭部からは、解けるように蟲がわき出す
今まさに男に噛みつこうと開いた獣の口の中から、二つの眼球が男を見ていた
男は驚くばかりで何もできない
獣の口からアーカードの腕が生えて、銃を向けていた――
- 87 :マロン名無しさん :2009/06/03(水) 21:38:21 ID:???
- おいおいリミッターかけてなおあの強さだったのかよ。
吸血鬼の変化をここまで禍々しく書くとはすごいな。
- 88 :マロン名無しさん :2009/06/03(水) 21:52:51 ID:???
- きききき気持ち悪ぃぃぃぃぃぃぃ!
吸血鬼って「本物」なら誰でもこんなこと出来るのか?
あんだけ威張ってたアンデルセンが雑魚にしか見えなくなってきた…
つーかここまでするなんてあの白い兄ガチで強いのかね
弟はもう完全にダメだなwww
- 89 :マロン名無しさん :2009/06/04(木) 12:17:41 ID:???
- ちょっと期待したけどやっぱり駄目そうだね!
婦警もこないだアーカードの血を飲んでたらこういうの出来るようになってたんだろうか
- 90 :DEAD ZONE4 1/2 :2009/06/05(金) 21:14:36 ID:???
- 男は「逃げて」いた
いや、片足を失い、それすらままならない。もう片足も撃たれ千切れてしまった
「おまえは…おまえは一体 なんなんだッ!?」
第10話 DEAD ZONE4
怯える男の前で、蟲や獣が集まり再びアーカードに戻る
「さあどうした? まだ足が二本ちぎれただけだぞ。かかってこい!!」
男にしてみれば信じられないことをアーカードは言ってのけた
ただしアーカードにしてみれば当り前なことを言っている
アーカードにとって強い吸血鬼とはそういうことだった
「使い魔達を出せ!! 身体を変化させろ!! 足を再構築して立ち上がれ!! 銃を ひろって反撃しろ!!
さあ夜はこれからだ!! お楽しみはこれからだ!!」
早く早く早く――。しかし男はそんなことは出来ない
アーカードはひどく失望した
「そうか。貴様もそうなのか小僧。出来損ないのくだらない生きものめ」
男は必死になって反論する。だが男に興味をなくしたアーカードにとって何の意味はなかった
アーカードの右腕が無数の目を持つ獣に変わる
獣は真っ直ぐに男に襲いかかり――男に逃れる術はなかった
「しょせんこんな物か小僧。おまえはまるでくその様な男だ。犬のくそになってしまえ」
一方、上階ではセラスがグールの集団に襲いかかられていた
だがいいようにされていたのははじめだけで、セラスの表情が変化すると、グールを退ける
セラスがグールを倒す様を、インテグラは驚きながら見ていた
グールたちは、元々はインテグラの部下、ヘルシングの職員である
以前のように酷薄な様になったセラスは躊躇いなくグールを粉砕する
インテグラは耐えきれなかった
「もういい。婦警《セラス》ッもういいもう充分だ。もう、もう…やめてくれ……」
- 91 :DEAD ZONE4 2/2 :2009/06/05(金) 21:16:12 ID:???
- 片腕をなくし、銃弾を喰らい、さすがにヤンも抵抗する力は残っていなかった
ウォルターはさらに尋問を続けようとする。インテグラもちょうど到着した
「よう売女《ビッチ》」
軽口のなくならないヤンにインテグラは容赦なく銃弾を撃ち込む
職員が食われ、グールになり、再び殺されるという現状。インテグラも怒っていた
「おまえらは一体なんなんだ!? 一体なんのマネでこんな事を!?
後ろで誰かが糸を引いている!? 答えろ!!」
「あんたらも もう知ってんだろうが、俺の内に埋め込まれた機械類は
今こうしている時も連中に情報を送り続けているんだぜ
作戦が失敗した事だって…この会話も筒抜けなのさ!!
連中が作戦に失敗して 今、全部ゲロしようとしてるこの俺を
――生かしておくと思うのかい?」
ヤンの言葉通りヤンの体から火が噴き出す。瞬く間にヤンの全身に広がった
燃えながらも激しく笑い続けるヤン。ヤンは最後に、一つだけ教えてやると言う
燃え尽き、形を失いながらも一言だけ残した
――ミレニアム、と
主犯の二人は死んだが、グールはまだ残っていた
元は部下だったグールを楽にしてやってくれというインテグラを
円卓会議のメンバーの一人、アイランズ卿が制止する
「指揮官の仕事だ。インテグラ卿、君がやるべきだ。その義務がある」
インテグラにしてみればあまりにつらい行為。ウォルターは反論するが卿は厳しかった
「全ての責任はおまえにある。お前が指揮者なのだから。違うかね?
彼らが死んだ《デッド》のも死にぞこ《アンデッド》なっているのも総ておまえのせいだ」
インテグラは銃を手にグールに近づいた
「許してくれとはいわない。全部…私のせいだ」
「ウォルター。ミレニアムとやらを調べろ。すみやかに徹底的にだ
このおとしまえは兆倍にして返すぞ」
――最後の銃声。バレンタイン兄弟襲撃事件は、ようやく終わったのであった
数人の男たちが、何か語り合っていた。怒涛のように言葉が交わされている
「まあ良い諸君。研究を再開しよう」
- 92 :マロン名無しさん :2009/06/05(金) 22:13:09 ID:???
- ルーク→ちょっと素早いだけでアーカードの正体を見ただけで怯えて逃げ回るだけ
ヤン→主要戦力・VIPに毛ほどのダメージも与えられず哀れな警備兵殺して神経逆撫でしただけ
ホント何しにきたのよこいつら…w
- 93 :マロン名無しさん :2009/06/05(金) 22:25:38 ID:???
- 最後潔く死んだだけヤンの方がましだな
兄は犬が出てからとことんヘタレだった
- 94 :マロン名無しさん :2009/06/06(土) 00:10:15 ID:???
- >>93
ただ死ぬだけならあれ程はヘタレないだろ
死よりも恐ろしい光景というのはあり得るもんだ
にしても三流四流でない、
アーカードが開放するに値すると判断した化物にしちゃあ
精神防御低いよなあ
- 95 :マロン名無しさん :2009/06/06(土) 02:34:54 ID:???
- 強く作られたらしいから、そういう自負とかプライドもあったんだろうな
アーカードを本気で越えてるつもりだったっぽいし
なのにアーカードが意味分かんない強さでまったく敵わなかったからなあ
へし折られると弱いタイプっているよね
- 96 :マロン名無しさん :2009/06/06(土) 20:38:46 ID:???
- アーカードはドSだな
- 97 :BALANCE of POWER1 1/2 :2009/06/07(日) 21:00:12 ID:???
- 激しく雨の降る中を、インテグラはうつむいて立っていた
周囲には墓石が並んでいる。バレンタイン兄弟襲撃で命を落とした職員たちのものである
「陛下《クイーン》と英国《ブリテン》と国教《プロテスタント》を守らんがため
志半ばにして倒れた我らが同志、防国の騎士たちに、敬礼!!」
第11話 BALANCE of POWER1
被害者達を葬って、それで終わりというわけにはいかなかった
ロンドン本部の構成員96名のうち、生き残ったのはわずか10名
うち8名はその日本部にいなかったため生き残った
つまりは、襲撃の生存者はわずか2名。ウォルターとインテグラである
構成員を補充し、本部を再建しなければならない
次に、ヤンの言い残した言葉の調査がある
「ミレニアム」。ウォルターは手を尽くしたが、有益な情報は皆無だった
今のところ分かっているのは本来の10世紀間《ミレニアム》という意味しかない
いや、もう一つだけ、インテグラの記憶にはあった
「千年の王国《ミレニアムオブエンパイア》の栄光を求め、全世界を相手に闘争を始めた集団が
半世紀前に。――ヒトラー、ドイツ。ナチス第三帝国」
- 98 :BALANCE OF POWER1 2/2 :2009/06/07(日) 21:01:54 ID:???
- 当面の課題の人員補充であるが、さすがに人数が多すぎて、英国部隊から引き抜くことが出来ない
そこでウォルターはプロの傭兵を雇い入れることにしたという
契約と金が払われている限り決して裏切らないプロフェッショナルを
そのプロフェッショナルな傭兵達はすでに集まっていた
戦場ではなく屋敷に集められたことで傭兵は言いたい放題に言っているが
隊長のベルナドットが今回の仕事は化物退治だ、と言ったことで騒ぎが加速する
「本当だ」
ちょうどそこにインテグラが到着した
「おまえ達の敵は血を吸い不老で不死身の吸血鬼《ヴァンパイア》だ
にんにくと聖水をたずさえて、白木のくいを心臓に打ちこんだり首を切ったり
死体を焼いたり十字路に灰をまいたりするのが我々の仕事だ」
吸血鬼など実在するはずがない、と傭兵達は反論する
インテグラは余裕で実在する【吸血鬼】を示した
うら若き女性――セラス・ヴィクトリアである
もちろん傭兵達が信じるわけがない
傭兵の失礼な態度にインテグラもイライラしはじめ、証拠を見せるようにセラスにいう
そして見事セラスはデコピンのみで隊長を叩き伏せたのだった
ここにきてようやく傭兵がセラスが吸血鬼だということを信じはじめると
追い打ちをかけるようにアーカードが壁から出現した。驚愕する傭兵達
ウォルターは普通に扉から登場するとインテグラに一通の手紙を差し出す
驚くべきはその差出人――
「ヴァチカン特務第13課、イスカリオテ機関だと!?」
- 99 :マロン名無しさん :2009/06/07(日) 21:38:10 ID:???
- 既に死んでおりますのでワロタw
>「陛下《クイーン》と英国《ブリテン》と国教《プロテスタント》を守らんがため
>志半ばにして倒れた我らが同志、防国の騎士たちに、敬礼!!」
こういうのいいなあ
いかにも英国らしいというか、憧れるわ
- 100 :マロン名無しさん :2009/06/07(日) 23:41:08 ID:???
- この作品の吸血鬼はにんにく効くんだな
にんにく片手に戦ったらギャグにしかならんがw
- 101 :マロン名無しさん :2009/06/08(月) 00:23:27 ID:???
- sfヲタの俺としてはミレニアムファルコンにグッと来た
- 102 :マロン名無しさん :2009/06/08(月) 00:56:55 ID:???
- 退治法コッテコテやなあ
これまでさも当然のように近代兵器撃ちまくりだったからすげえ違和感がw
つーか今更だけどアーカードって素手で簡単に敵倒せるのに
なんで聖銀銃無駄遣いするんだろう
- 103 :マロン名無しさん :2009/06/08(月) 01:51:11 ID:???
- ぶっ飛んでるようで吸血鬼の概念は正統派だな
- 104 :マロン名無しさん :2009/06/08(月) 12:30:05 ID:???
- 婦警の乳がデカくなってる気がするのは目の錯覚でしょうか
- 105 :マロン名無しさん :2009/06/08(月) 13:37:03 ID:???
- 地味に眼鏡キャラ多くね?
- 106 :マロン名無しさん :2009/06/08(月) 15:05:38 ID:???
- ワイルドギースの隊長も珍しく眼鏡じゃないと思ったら眼帯だしなw
つーか手袋も多いな
- 107 :マロン名無しさん :2009/06/10(水) 15:01:53 ID:???
- >>104
錯覚です
- 108 :BALANCE OF POWER2 1/2 :2009/06/10(水) 20:57:35 ID:???
- ――HELLSINGロンドン本部襲撃事件より一週間後 9月10日
――ロンドン、王立軍事博物館 キャスター作「マモン平原会戦のウスター伯ヴィランデル図」前
インテグラは立っていた
第12話 BALANCE OF POWER2
ウォルターの差し出した一通の手紙は、エンリコ・マクスウェルよりの美術館巡りの誘いの手紙だった
時刻はすでに約束の三時を回った。まさか罠だったのかと思い始めたその時
マクスウェルは到着した。アンデルセンとは違う優男的な風貌である
態度も、少なくとも表面上は柔らかい
一方、先日のアンデルセンの襲撃が記憶に新しいインテグラはかたくなだった
自己紹介は無意味と切り捨て、必要以上に近寄ることも許さない
さらに、襲撃についての糾弾。するといきなりマクスウェルは態度を一変させた
「それがどうした。こちらがしたてに出ていれば調子にのりやがる
おまえ達《プロテスタント》のクソ雑巾共が2人死のうが2兆人死のうが何人死のうが知ったことか
法皇猊下直々のご命令でなければうす汚い貴様らなどと話などするか
グダグダぬかさずに話を聞け。異端教徒《プロテスタント》のメス豚共」
マクスウェルの罵倒に反応したのはインテグラ本人よりもアーカードだった
「はじめまして『マクスウェル』。そしてさようならだ
貴様は、私の主をメス豚と呼んだ
おまえ生きて英国から帰れると思うなよ。ぶち殺すぞ人間《ヒューマン》!!」
銃を構えるアーカード。話をするために来たというマクスウェルは
「拮抗状態を」つくるべくある人物を呼んだ
アーカードとこれまで対抗できた13課の人間――アンデルセンである
しかし吸血鬼を前にしたアンデルセンが「拮抗状態を作る」などと器用なことができるはずもない
これにはマクスウェルも焦り、インテグラに引くように頼むのだが――
自制がきかないのはもう一人いた
アーカードもまた敵の出現に歓喜しジャッカルを持つ
まさに公共の場所で闘争が始まってしまうかと思われたその時
ツアーの老人を従えセラスが通過した
まさか博物館内で戦っていようとは思わない老人たちは、アーカードやアンデルセンをさんざんに眺め倒し
昂ぶっていた闘争の空気も消え去ってしまう。二人とも帰ってしまった
- 109 :BALANCE OF POWER2 2/2 :2009/06/10(水) 20:58:26 ID:???
- ようやく話ができるようになったインテグラとマクスウェルは外のカフェテリアに移動する
マクスウェルは驚くほどヘルシングの内情を知っていた
グールに襲われたことはまだしも、「ミレニアム」という言葉まで
さらには、ミレニアムについて一つの情報も持っているという
情報をちらつかせながらマクスウェルは意地悪く笑う
13課が国教徒《プロテスタント》に協力するのは本来あり得ない話
ベイドリックでの協定違反の借りを返すための特殊な状況である
ただし、それだけでは足りないとマクスウェルは言った
「人に物をたずねる時には大事な言葉が必要だろう。『お願いします《プリーズ》』が!?」
誰かの得になるというわけではなく、ただマクスウェルの悪趣味な遊びだった
しかしインテグラは躊躇わず『お願いします』と答える
マクスウェルは満足して語り始めた
――今か50年前、第二次世界大戦の頃
敗戦したナチスドイツから大量の軍人たちが国外に逃亡した
主な逃亡先は南米。ここまでなら特に問題はない
だが、脱走ではなく逃亡する以上彼らは敗戦前後に行動を開始しているはず
マクスウェルの知るミレニアムとは、南米に人員、物資を移送する計画名、部隊名だった
時期は、『戦争初期』より
有望な人材とあらゆる種類の膨大な物資を
それを強力に手助けしたのがヴァチカンだった
「彼らはついにたどりついた様ですな。“ミレニアム”に」
「たどりついた? 彼らはまだ何もわかっていないに等しい」
「作戦を急がせましょうか?」
「いやそれはまだいい。それよりもお茶をもう一杯ほしいな」
「…………楽しそうですね 代行」
「ああ楽しいとても楽しい。闘争だよ考えてもみたまえ君
きっと血みどろの闘争になるに違いない。素敵だろう? 闘争 闘争だよ」
- 110 :マロン名無しさん :2009/06/10(水) 21:54:17 ID:???
- 2www兆www人wwwww
さすが総本山、イカレっぷりの格も違うなw
- 111 :マロン名無しさん :2009/06/10(水) 22:02:07 ID:???
- アンデルセンもアレだが、その上はもっとアレだな……
- 112 :マロン名無しさん :2009/06/10(水) 23:01:03 ID:???
- 気の抜けたギャグパートが良い味を出してるな
- 113 :マロン名無しさん :2009/06/11(木) 01:52:29 ID:???
- 黒幕っぽい人来た…と思ったら代行かよw
エラい貫禄ある風だがこいつもやっぱり代行の本職の人にいいようにあしらわれる役なんだろうか
- 114 :マロン名無しさん :2009/06/11(木) 11:20:09 ID:???
- まてナチスのオカルト組織なら最高責任者はあのちょび髭じゃないか。
漫画的展開なら生きてるか生きてないかは半々ぐらいの確率か。
史実通りなら代行がラスボスじゃないか。
- 115 :マロン名無しさん :2009/06/11(木) 13:25:23 ID:???
- キリスト教ってみんなああなのか
- 116 :マロン名無しさん :2009/06/11(木) 20:57:52 ID:???
- この漫画に出てくるカトリックの13課の人達はみんなああなんでしょう
- 117 :第13話 BALANCE OF POWER3 1/2 :2009/06/12(金) 23:03:21 ID:???
- 「――ふむ、そうか……。いたしかたあるまい。“呉越同舟”というう訳だな」
マクスウェルが跪いて、幕の向こうにいる人と会話していた
「おまえたち《13課》には苦労をかける…。これとて50年前の尻ぬぐいだ……
汚い仕事ばかり押しつけてな……」
「猊下 どうかそのようなお顔をなさらずに…
どうか我々《イスカリオテ》を存分にお使い潰しください。それに……
罪人の始末は罪人同志でやりあって頂きましょう。出来ることなら墓穴から葬儀の準備まで」
第13話 BALANCE OF POWER3
――ヘルシング本部
深夜、ウォルターが窓から外を眺めていた。そこへアーカードが近づく
ミレニアムの情報は二人にも届いていた。アーカードはなんとなくそんな感じがしていたという
何故なら、アンデッドを実戦投入しようと考えたのは三つだけだったからだ
「一ツはきみら、一ツはかれら、一ツはわたし」
そう、ミレニアムは50年前にもアンデッドを研究し、ウォルターとアーカードによって粉砕されていた
「老い」ていたウォルターは今まで忘れていたらしい
そしてウォルターはアーカードに南米に飛んでもうことになるだろううといった
13課の情報を鵜呑みにはできないが、他に情報もない
要員はアーカードとセラス、「外で訓練中の」新人数人だという
- 118 :BALANCE OF POWER3 2/2 :2009/06/12(金) 23:06:14 ID:???
- ウォルターが「外で訓練」と言った通り
セラスが傭兵隊に指導をしているところだった
4,500メートル先の的を撃てという人間にはかなり無茶な要求に隊長が反論する
セラスは実践し、的に弾を当てて見せたのだが
その的には人質なども設定されていた。結果は人質も全滅
どちらも全く駄目である。窓から見ていたウォルターは不安になった
セラスを見ていたついでに、ウォルターは「何故セラスを吸血鬼にしたのか」アーカードに訊く
柄にもないことをしたと。アーカード自身も明確な答えはなかった
ただ、セラス自身の取捨選択だと
セラスは見かけよりもずいぶんとおもしろい女だとも言った
「最初期出動から上官や同僚が続々と喰屍鬼《グール》と化し 全滅していく死の村落
自分を強姦《レイプ》して殺そうとする吸血鬼達。まるで魔女の釜の底のような地獄
そこであの女は何をし何を選択したのか?
『あきらめ』が人を殺す。あきらめを拒絶した時 人間は人道を踏破する権利人となるのだ」
さらに、セラスは血を必ず飲むと断言した
アーカードやセラス達で南米に行くと言ったが、セラスはまだ姿身で海を渡ることが出来ない
吸血鬼は流れる川や海を踏破することができないためである
血を飲まない半吸血鬼ような現状では飛行機に乗っていても無理だった
「ウォルター。クラシックだが良い手がある」
――翌朝
インテグラがアーカードたちの元へ行くとセラスはカンオケに入っていた
それで運ぶことにした。クラシックな手である
税関で引っかかりそうだが密輸なので問題はない
アーカードも普段のコートや帽子を脱ぎ変装していた
日光避けがなくなるが、アーカードにとっては「大嫌い」なだけで大敵ではないらしい
最後にインテグラは命令を下した
「命令《オーダー》は唯ひとつ《オンリーワン》『見敵必殺《サーチアンドデストロイ》』
以上《オーバー》」
「認識した。我が主人」
- 119 :マロン名無しさん :2009/06/13(土) 00:01:57 ID:???
- カトリックは教皇まで出るのか
つーことは最後は英国女王・ローマ教皇・ナチス総統のバトル…
ってそんなの実現できるのかおいwww
- 120 :マロン名無しさん :2009/06/13(土) 01:29:49 ID:???
- あらー、の人達とかも加わって欲しいが
無理だろうなあ
東洋の島国の象徴の方とかも戦線に加わったりしないだろうか
- 121 :マロン名無しさん :2009/06/13(土) 11:08:39 ID:???
- 宗教大戦争すぎるwww
日本は八百万の神の軍隊か
傭兵が普通の人すぎてサクッと死なないか不安
- 122 :マロン名無しさん :2009/06/13(土) 15:04:44 ID:???
- 二話と比べて婦警成長したなーとおもったらそんなことなかった
- 123 :マロン名無しさん :2009/06/13(土) 15:56:34 ID:???
- >>122
いや部分的には成長してるよ…
- 124 :ELEVATOR ACTION1 1/2 :2009/06/14(日) 21:35:24 ID:???
- ――南米ブラジル 首都リオデジャネイロ ホテル「リオ」
スイートの予約をしていた男がやってきた
氏名は「J・H・ブレナー」だ
第14話 ELEVATOR ACTION1
その後ろから何人もの男たちが巨大な荷物を運んでくる
「人間が入ってしまいそうな」荷物である
大きすぎる荷物にフロントの人間が止めるが、ブレナーは手を伸ばしゆっくりと行った
「なにも 問題は ない」
フロントの男はその言葉を反復すると、荷物について何も言わなくなった
ふと、アーカードが何かに気づく。ベルナドットが訊くと「何も問題はない」と繰り返したが
ロビーにいる男が確かにアーカードを見ていた――
もちろんブレナーとはアーカードである
運び込んだ巨大な荷物はカンオケ二つ。一つにはつかれて眠ったセラス入りだ
最上階スイートの豪華さにベルナドットがわめくが
アーカードが眠るのはどれだけ豪華な部屋があろうと黒いカンオケの中のみ
「私の最後の領地だ。ここで生まれここで死ぬ」
ベルナドットは帰って行くが、最後にアーカードは不思議なことを言いだした
「まぁ楽しみにしておけ。なかなか楽しめそうだ、ここは」
- 125 :ELEVATOR ACTION1 2/2 :2009/06/14(日) 21:37:24 ID:???
- セラスは夢の中で太ったおっさんの姿をしたハルコンネンの精と会話していた
「起きろ 面白いから早く起きろ」
アーカードに起こされると、まわりからは激しい音がする
窓の外にヘリが接近していた。通りすがりでなどではなく、間違いなくこちらを狙っている
「さあ 戦争の時間だ」
ホテルの外の道路上はさらなる喧騒に包まれていた
軍、警察、マスコミ関係者が集まっている
なんとホテル「リオ」の最上階にテロリストの男女が立てこもっているという
男性はJ・H・ブレナー。女性は不明。ベルナドットは飲んでいたビールを噴き出した
――ロンドン HELLSING本部
いきなり顔写真まで報道されてウォルターは対応に追われていた
インテグラはテレビの画面を睨みつけ、葉巻を噛み締めた
「上等じゃないか。そんなに戦争がやりたいなら やってやる。戦争屋共め」
「どうだね博士《ドク》」
その報道を、ある三人の男もまた眺めていた
「彼はいいです。いい素体だ。そして これで確かめられる事でしょう
化物《ミディアン》でありながら化物共《ミディアンズ》を狩り続けるあの男は
人間をなんの罪もないただの人間達を
殺すのか殺さないのか。それとも殺されるのか」
- 126 :マロン名無しさん :2009/06/15(月) 13:36:22 ID:???
- 敢えて言おう
スイートの無駄遣いであると
セラスが起きてはしゃいだりしてくれりゃ浮かぶ瀬もあるだろうにw
- 127 :マロン名無しさん :2009/06/15(月) 19:24:18 ID:???
- 最後の領地ってことは爵位でももってたんだろうか
黒幕たちだんだん見えてきたな
なんかマッドサイエンティストぽい
- 128 :マロン名無しさん :2009/06/15(月) 20:36:20 ID:???
- 本物の、というかドラキュラのモデルは伯爵だな
各種創作で世界観や人格が違うのに伯爵本人の設定が流用されることも少なくないし
アーカードもその類かもしれん
- 129 :ELEVATOR ACTION2 1/2 :2009/06/16(火) 21:19:09 ID:???
- 本に埋もれた部屋の中で、アンデルセンがテロリスト立てこもりの報道をみていた
少年が食事を知らせにくる
優しく返答すると、アンデルセンは最後に笑った
「踊れ踊れ化物共《フリークス》。地獄を見せろこの私に」
第15話 ELEVATOR ACTION2
【テロリスト】への対策は進んでいた
狙撃隊配置完了。突入隊も突入を開始。命令は即刻射殺。拘束することなくだ
たった二人相手にしてはものものしい指令を出した後、司令官は
机に脚を乗せ一人だけ余裕で沈黙を守っていた男に確認を取った
男――トバルカインは手を打って快を示す
「せいぜいきばる事だ諸君。老いも病いも無い国へ行きたいのなら」
テレビはホテルの様子を中継しなくなっていた。突入するということだ
「正気とは思えない。アーカードは、あいつはどうするだろう?」
インテグラはアーカードの無事は疑っていなかったが、行動については不安があった
「彼にとっては目的達成の至上命令の単なる障害物でしかありません
闘う意志で彼の前に立つ者を彼がどうするかおわかりでしょう?」
「それが人間だったとしてもか?ただの人間だったとしてもか?」
「お忘れですかお嬢様。彼は正真正銘の化物なのですよ」
ウォルターの予想通り突入が始まっていた
部隊は最上階で棺を一つ発見する
「私はヘルメス。私は自らの羽根を喰らい 飼い慣らされる…………?」
棺には奇妙な文が書かれていた。読み上げていると急に制止の声があがる
「私の棺にさわるな」
窓際に男が立っている
【テロリスト】の登場に突入部隊は躊躇いなく撃つ
男は全身に銃弾を受け、顔半分を失い、倒れた。かと思われた――
「『走狗《いぬ》』め」
- 130 :ELEVATOR ACTION2 2/2 :2009/06/16(火) 21:22:50 ID:???
- 男が喋り出す。男は死んではいなかった。男は、起きあがった
「狗では私は、殺せない。化物を打ち倒すのはいつだって人間だ」
あとは虐殺だった
男の鋭い歯が部隊の一人の喉笛を噛み千切る。あるいは腕で引き千切る
死体とその断たれた一部が舞い散る、ひどく凄惨な様子だった
部隊の最後の一人は逃げまどう。だが扉は閉ざされて開かず
化物は同僚の喉に喰らいつきながら向かってくる
「ばッ、ば…、…化物ッ!!」
「良く言われる。それと対峙したお前は何だ。人か狗か化物か」
答えはなかった。恐怖に耐えきれず、自ら頭を打ち抜いて自害した。
アーカードの顔に驚きと、それから怒りが浮かぶ
突入部隊が全滅し、隠れていたセラスが出てきた
その目の前に広がる凄惨な死体たち
とくに感慨もなく次の行動に移ろうとするアーカードにセラスは話しかけた
「マ…マスター…あの…かッ、彼ら…人間です…」
アーカードは答える。だからなんだ、と
重ねて人間だというセラスの襟首を掴み、アーカードは怒鳴った
「だからなんだ吸血鬼《ドラキュリーナ》!!
鉄火を以って闘争を始める者に人間も非人間もあるものか
彼らは来た!! 殺し 打ち倒し 朽ち果てさせるために
殺されに 打ち倒されに 朽ち果てさせるために。それが全て!! 全てだ!!
闘争の契約だ!! 彼らは自らの弱いカードに自らの全てをかけた!! そういう事だ!!
殺さなければならない!!
それを違える事はできない唯一ツの理だ。神も悪魔も私もお前も」
アーカードがそれだけ言っても、セラスは涙を浮かべながら必死に反論しようとする
「いや、それだ それこそが」
そんなセラスの様子を見て、アーカードは言い募ることをやめた
手を離してセラスを促す
「行くぞセラス。せいぜいうす暗がりをおっかなびっくり連いて来い」
- 131 :マロン名無しさん :2009/06/16(火) 22:20:35 ID:???
- 嗚呼、悲しき雑魚の宿命か。
突入部隊の方達に哀悼の意を表します。合掌。
- 132 :マロン名無しさん :2009/06/16(火) 22:59:53 ID:???
- ………
はっ!そうか、人間って殺しちゃ駄目なんだっけ
いかん感覚が麻痺しすぎてるorz
アンデルセンは異教徒とはいえ何の落ち度もないヘルシングの人間平然と殺してたけどな…
- 133 :マロン名無しさん :2009/06/16(火) 23:02:38 ID:???
- どう見てもアーカードが悪役の方だろ…
- 134 :マロン名無しさん :2009/06/17(水) 00:30:53 ID:???
- アーカードは悪だよ
- 135 :マロン名無しさん :2009/06/17(水) 00:52:22 ID:???
- 正義が悪に勝つなんて幻想だ。
悪が巨悪に蹴散らされるのが真理だよ。
- 136 :マロン名無しさん :2009/06/17(水) 23:01:05 ID:???
- 作者の哲学というかケレン味は個人的には良いと思うが、これじゃ深夜でもテレビアニメ化とか不可能だなw
- 137 :マロン名無しさん :2009/06/18(木) 00:04:41 ID:???
- 期待する方が間違ってるwww
つーか次の敵さんの話題ナシかよ
トバルカインね…ヤンがチーマー系の軽いノリだったのに
また軽いキャラが来たけど、やっぱりアーカードやアンデルセンが重いから意図的にそうしてるのかな?
- 138 :ELEVATOR ACTION3 1/2 :2009/06/18(木) 20:51:33 ID:???
- インテグラの回線がなった。直通回線からのコールである
「誰だ。敵か 味方か」
「おまえの従僕だインテグラ。命令《オーダー》を
命令《オーダー》をよこせ。我が主《マイマスター》」
第16話 ELEVATOR ACTION3
通信はアーカードからだった
アーカードは告げる。ホテルが包囲され突入を受けたと
そして、それを一人残らず殲滅したと
「さあインテグラ命令をよこせ」
アーカードはインテグラを試すように、追いつめるように命令を求めた
「警官隊の上層部は『奴ら』に支配されているのだろう だが
攻囲し 命令をただ実行している連中… 我が殺し これから殺そうとする連中は
ただの 普通の 何もわからぬ人間達だ
私は殺せる。微塵の躊躇も無く一片の後悔も無くおう殺できる。この私は化物だからだ
ではおまえは お嬢さん《インテグラ》」
インテグラは何も応えない。ウォルターも何も言わない
アーカードだけが語り続ける
「銃は私が構えよう。照準も私が定めよう
弾《アモ》を弾装《マガジン》に入れ遊底《スライド》を引き安全装置《セーフティー》も私が外そう
――だが、殺すのはお前の殺意だ
さあどうする 命令を!! 王立国教騎士団《HELLSING》局長
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング!!」
- 139 :ELEVATOR ACTION3 2/2 :2009/06/18(木) 20:54:17 ID:???
- インテグラはただ一本、葉巻を求めた
ウォルターの差し出した葉巻を、震える唇でくわえ、目を閉じる
再び開いた瞳には冷酷な光が宿っていた
机を勢いよく叩くとインテグラは吼える
「私をなめるな従僕!! 私は命令を下したぞ何も変わらない!!
『見敵必殺《サーチアンドデストロイ》』!! 『見敵必殺』だ!!
我々の邪魔をするあらゆる勢力は叩いて潰せ!!
逃げもかくれもせず正面玄関から打って出ろ!!
全ての障害はただ進み 押し潰し 粉砕しろ!!」
激しい命令。アーカードは笑い声をあげて了解した
命令を出したインテグラだが、果たして正しいのか否かわかっていなかった
ウォルターはただそんなインテグラの存在を受容し、執事の役目を果たすのだった
セラスも準備を完了させていた。といってもカンオケ二つだが
セラスへの指示はヘリを奪って脱出しろということだった
アーカード自身は、インテグラの命令通り。正面玄関から堂々と
ただ、二丁の銃だけを手に、重装備の小隊の中を歩いていった――
あとに残るのは凄惨な死体だけ
「こちら最上階再突入部隊!! 助けてくれ!! 助けてくれ!! 化け物だ畜生!!
本部!! 本部!! くそ…!!
くそったれ地獄だまるで 畜生!! 畜生!!」
小隊最後の通信を聞きながら
トバルカインは、笑っていた
- 140 :マロン名無しさん :2009/06/18(木) 21:03:13 ID:???
- すっっっっっっっっっげえ今更だけど。
>「おまえの従僕だインテグラ。命令《オーダー》を
> 命令《オーダー》をよこせ。我が主《マイマスター》」
お前のような尊大な従僕が居るかー!!
- 141 :マロン名無しさん :2009/06/18(木) 21:32:40 ID:???
- >>140
命令に忠実でめっぽう強い。
まさに理想の従僕ではないかね?
まあ絶対この人戦闘楽しんでるけどなww
- 142 :マロン名無しさん :2009/06/18(木) 22:05:12 ID:???
- なんか兵隊さん達が可哀想で仕方がないです・・・。
- 143 :マロン名無しさん :2009/06/18(木) 22:14:24 ID:???
- うら若き淑女に向かって股ぐらがいきり立つだなんて…
セクハラ吸血鬼め
- 144 :マロン名無しさん :2009/06/19(金) 19:02:34 ID:???
- 見知らぬ女性に処女かどうか聞いちゃうくらいだからw
- 145 :マロン名無しさん :2009/06/20(土) 01:21:38 ID:???
- アーカードさん、弱いものイジメ楽しそうですね^^
- 146 :ELEVATOR ACTION4 1/2 :2009/06/20(土) 21:02:18 ID:???
- 「クソ!! 糞ッ、クソッ。冗談じゃねえや、モーッ」
文句を言いながら、脂汗を流しながら、ベルナドットは戦いの支度をしていた
「畜生め、ええぃ、金もらっちゃったもんなァ!! やっぱなあ! やるっきゃねえよなァ!!」
第17話 ELEVATOR ACTION4
「始まりましたな。やはりこうなりますか」
「こんなものですむものか。死ぬよもっと死ぬ
あの男がこんな者ですますものかよ」
事件の黒幕たる男達は、静観していた
代行、とよばれた眼鏡の男は呼び名を訂正させる。大隊指揮官《少佐》と
そして命じた
「トバルカイン・アルハンブラに伝達。出撃準備
思う様にらちを開けよ」
一方、突入部隊は逃げていた。秩序なくばらばらに
化物は仲間達の血を啜りながら向かってくる
鋭い歯の並ぶ口を見せつけるように開きながら
啜ったばかりの血を滴らせながら
部隊はなんとかエレベーターに着いた。これを閉めてしまえば距離を稼げる
しかし、アーカードがわずかに目を見開くと――
隊員の一人が扉を開くボタンを押し始めた
目は血走り、汗を流し、異様な表情を浮かべている
仲間の制止もきかない。とうとう撃たれて叩き出された
縋るようにアーカードに手を伸ばすが、頭を撃ち抜かれる
そして結局、間に合わなかったのだった
- 147 :ELEVATOR ACTION4 2/2 :2009/06/20(土) 21:04:36 ID:???
- 今にも閉まりそうな扉の隙間に、銃身が差し込まれる
『open sesami』
冗談のような言葉を告げながら、しかし目の前の化物の存在は冗談ではなく
「兵士諸君任務ご苦労。さようなら」
二丁拳銃を乱射するアーカードを飲み込んで、扉はようやく閉まった
エレベーターが目的の階に着く頃に、中に生者は一人としているはずもなく――
それはホテル内部にしても同様だった
ホテル前には大量の報道陣がいた
突入以来、さっぱり音沙汰がない。そんな中、ホテル内部から大きな音がした
さらに窓が次々に割れている。沸き立ち、カメラを回す
窓が割れたのは中から何かが投げられたからだった
何かはホテル前の旗めがけて落ちていった
何かは――突入した部隊の隊員だった
八本の旗に一人ずつ、串刺しにされた人間
騒然を通り越して人々か呆然としたとき
ホテルの玄関が、開いた
あわれたのは一人の男。凄惨なオブジェ達の中心に立ち
ただ挑発するように、両手を掲げた
一連の全ては報道されていた
ある者は驚愕し
ある者は静かに見据え
ある者は笑みを浮かべ
そして『少佐』は――拍手を贈った
「なんとも素敵な宣戦布告。うれしいね
戦争だ。これでまた戦争ができるぞ」
- 148 :マロン名無しさん :2009/06/21(日) 21:40:34 ID:???
- うおおおアワーズ買いそびれるところだった!
ってか過疎っ!!
アーカードさん催眠術本格的に使っていくつもりですかw
どこまで便利キャラですかw
つーかこの串刺しは…やはりヴラド・ツェペシュ本人なのか?
- 149 :マロン名無しさん :2009/06/21(日) 21:47:20 ID:???
- 無双ktkr
- 150 :ELEVATOR ACTION5 1/2 :2009/06/22(月) 21:02:02 ID:???
- 「見ろ。あのありさま。身ぶるいする程まがまがしくておぞましい
あれが我らの望むべきものだ。死と生の上でダンスを刻む者。狂気と正気を橋渡しする存在だ
あいもかわらずの元気そうで何より。暗闇から来訪した我らと同類の『人でなし』
死にぞこないの戦友《カメラード》、吸血鬼殿」
第18話 ELEVATOR ACTION5
「しかしこうまで勝手に独断専行してしまうとは、少佐殿
今頃『オペラハウスの御老人方』はさぞやお怒りでしょうな」
博士の言葉にも少佐は余裕だった。誰にも止めさせない、止まらない、と
「戦争交響楽が聞こえる。あの懐かしい音が。阿鼻と叫喚の混声合唱が」
「さあ。出て来いよ。前菜を食い散らかすのにはもう飽きた
それともみんな死んで真ッ平らになるのか」
ホテル「リオ」の玄関前。大勢の警官隊に囲まれながら、アーカードは堂々と挑発した
警官隊の間から紳士然とした男が現れる。男は一礼すると名乗った
「私の名前はトバルカイン・アルハンブラ。近しい者からは『伊達男』と呼ばれています」
トバルカインは旗に突き刺された人間たちを哀れんだ
永遠の命を欲しがる上官のせいで死地に送られた部下たち
「救えぬ馬鹿共だ。永遠なぞというものはこの世には存在しない」
「そんな哀れな連中でも私のわずかに役に立った。御自慢の特性弾丸はあと何発かな、アーカード君」
トバルカインの手元からトランプのカードがバラバラと落ちる
ひと箱やふた箱といった単位ではない。足元を埋め尽くすほどの数だった
そしてカードはトバルカインの意のままに動き、アーカードの頬に一筋傷をつけた
「成程 成程。そうか 全く以ってどうしようもない連中だ。おまえ達だったのか
ならばこの私が相手してやらねばいけないのは全く自然だ。一度亡ぼされた位では 何もわからんか」
二人は戦いながらためらいなく周囲を巻き込んだ
武装した警官隊ばかりでなく、報道陣も巻き込まれ身体の一部を、あるいは命を失っていく
アーカードの弾丸がトバルカインをとらえる
だがそれは罠だった。カードに姿を変えると、背後からアーカードを切りつける
二人の戦いはホテルの上階に場所を変えた
- 151 :ELEVATOR ACTION5 2/2 :2009/06/22(月) 21:03:16 ID:???
- 本部は混乱していた。部隊の多くが応答しない
上官達も、トバルカインが交戦中と聞いて騒ぎ出す。約束の心配をしていた
そこに一人の兵士が現れる。兵士は天幕の中の人間を撃つと、爆弾を置いて立ち去った
マスクを取ると隻眼で三つ編みの男が現れる。ベルナドットだった
「給料分にはまだちょっと足りないかな。じゃあチョッパー《ヘリ》といこう!!」
トバルカインのトランプで傷つけられた場所から血が止まらない
ただのトランプではないようだった。アーカードはあいつらだ、おもしろいぞと笑う
「準備はいいですかねアーカード君。故郷に帰りたまえ。うるわしの地獄の底へ」
現れたトバルカインを見ながら、アーカードはまだ笑っている
「とてもうれしい。未だおまえ達の様な恐るべき馬鹿共が存在していただなんてな
『ミレニアム』、『最後の大隊』
そうか あの狂った大隊指揮官《少佐》に率いられた、人でなし共の戦闘団《カンプグルッペ》
まだまだ世界は狂気に満ちている
さあ行くぞ。歌い踊れ。伊達男《アルハンブラ》
豚のような悲鳴をあげろ」
- 152 :マロン名無しさん :2009/06/22(月) 22:00:21 ID:???
- 隊長さんやるなあ。結構ヒドス
- 153 :マロン名無しさん :2009/06/22(月) 22:14:48 ID:???
- 対人間だからなあ
対吸血鬼だとどれくらいいけるんだろ
マスコミかわいそうです
- 154 :マロン名無しさん :2009/06/22(月) 23:20:53 ID:???
- 伊達男はバレンタイン兄弟よりは頑張ってくれそうだな
と思ってたけどアーカードがドMタイム終わったくさいw
多分次回はただただ蹂躙されるだけだなこれは
- 155 :マロン名無しさん :2009/06/23(火) 02:02:29 ID:???
- >豚のような悲鳴をあげろ
小便は済ませたか?に続きいつか実生活で使ってみたいフレーズktkr
- 156 :マロン名無しさん :2009/06/24(水) 00:36:08 ID:???
- オペラハウスのご老人方?
少佐の代行って例のチョビ髭閣下の代行じゃないのかね
まだ黒幕が居るのか…
- 157 :マロン名無しさん :2009/06/24(水) 00:52:54 ID:???
- その辺よくわかんなかったんだけど
オペラハウスってどういう意味があるんだ?
- 158 :マロン名無しさん :2009/06/24(水) 01:23:14 ID:???
- >>157
いや俺もオーストラリアのオペラハウスしか知らないけど
本拠地南米じゃなくてオーストラリアなんかな
- 159 :マロン名無しさん :2009/06/24(水) 09:57:46 ID:???
- 俺こういうこと知らないけど、あのオペラハウスの地下深くに何かあるのか
- 160 :マロン名無しさん :2009/06/24(水) 20:46:54 ID:???
- >「給料分にはまだちょっと足りないかな。じゃあチョッパー《ヘリ》といこう!!」
ワイルドギースかっけええええええええ
てかセラスへの命令先回りしてんじゃん
さすがプロは仕事が違うぜ
- 161 :ELEVATOR ACTION6 1/2 :2009/06/24(水) 21:20:03 ID:???
- 「もっとも恐るべき化物とは何か。わかるかねインテグラ」
ヘルシング卿が、幼い我が子、インテグラに問いかけた
正解は吸血鬼。ならば何故吸血鬼は恐ろしいのか?
にんにく、十字架、聖訓、聖水、流水、太陽。様々な弱点を持ちながらなぜ恐ろしいのか
狼やコウモリを操るからか?
心臓にくいをさされなければ死なないからか?
血を吸い、下僕や仲間を増やすからか?
だがいずれも少し違った。もっともっと単純な解答
――力。純粋な暴力こそがその答えだった
「そしてたちの悪い事に吸血鬼達はその力を自覚している
単一能としてでなく彼らの理知《ロジック》を持って力を行使する『暴君』だ
吸血鬼との近接戦闘は死を意味する
いいかねインテグラ。吸血鬼とは知性ある血を吸う『鬼』なのだ。これを最悪といわず何というのか」
第19話 ELEVATOR ACTION6
アーカードの言葉を、トバルカインはおめでたいことだと一蹴した
自分が悲鳴をあげるわけがないと。トバルカインのカードはアーカードのホテルの建造物を容赦なく破壊する
だがそこにセラスからの援護が入った
「こぉおォォのおォォお小ぉォ娘ェえがあぁあッ!!」
怒りを表しながらもトバルカインはすべて防いでいる
さらに、ハルコンネンからの一撃。大きな弾頭を、トバルカインはカードで真っ二つにしたが
弾頭は殺傷のためではなかった。煙があたりを包む
煙の間からアーカードが現れるが、その姿は無数の目を持つ、拘束制御術式を解放した姿だった
アーカードは蝙蝠に、獣に姿を変えればトバルカインの死角に現れる
とうとうアーカードはトバルカインの腕を捉え、その右足を蹴り折った
「悲鳴をあげろ。豚の様な」
- 162 :ELEVATOR ACTION6 2/2 :2009/06/24(水) 21:22:47 ID:???
- アーカードの右腕がふるわれ、トバルカインは恐れながらもそれを迎撃した。――しようとした
だが、アーカードのに触れた腕は、弾かれるでもなく、折れるでもなく
――最も恐るべきはその純粋な暴力・・・・・・・・・「力」だ。人間達を軽々とぼろ雑巾の様に引きちぎる
かつてインテグラ卿が言った様に。たやすく、裂け、千切れていった
そのまま顔を掴まれ、悲鳴を上げることすらできなかった
「王手詰み《チェックメイト》だ伊達男《トバルカイン》
さあ 私との約束を果たしてくれ。私の使命を果たさせてくれ
洗いざらいしゃべってもらおう。おまえの命に」
アーカードがトバルカインの首筋にかみついた
同時にかつてのヤンのように、シパッ、と激しく炎が上がる
二人は共に火に包まれてたが、燃え尽きたのはトバルカインだけだった
灰と、カードが周囲に舞い散る
無言で手を払うアーカードにセラスも恐れを抱いた
ちょうどそこに、ヘリでベルナドットがやってきた
もちろんパイロットに銃を突きつけジャックしたものである
ベルナドットが早く乗れと急かす中、アーカードは遠い誰かに語りかけていた
「敵を殺し、味方を殺し、守るべき民も、治めるべき国も
自分までも殺しつくしてもまだたりぬ
俺もおまえらも全く以って度し難い戦争狂《ウォーモンガー》だな『少佐《大隊指揮官》』」
- 163 :マロン名無しさん :2009/06/25(木) 01:21:31 ID:???
- >>161
この作者の台詞は理論的には単純だけと物凄く説得力あるなぁ
- 164 :マロン名無しさん :2009/06/25(木) 01:37:21 ID:???
- 単純か…?
むしろ回りくどくて何言ってるかよくわからん
力が強いって腕力の事でいいのか?
確かに恐ろしい存在ではあるが、腕力がその第一義ってのは
ちょっと想像が及ばないなあ
狼やコウモリを操ったり血を吸って仲間を増やす方がわかりやすい怖さだ
- 165 :マロン名無しさん :2009/06/25(木) 04:33:04 ID:???
- >>164
文章は長いけど比喩もないし
正直に文字そのまんま受け止めれば
物凄く単純で痛快な感じがするんだわさ
- 166 :マロン名無しさん :2009/06/25(木) 08:00:33 ID:???
- トバルカイン、あんた、よく頑張ったよ・・・。
- 167 :マロン名無しさん :2009/06/25(木) 21:43:17 ID:???
- >>165
比喩ない?
いっぱいあるじゃんよ
- 168 :マロン名無しさん :2009/06/25(木) 21:44:33 ID:???
- ちいこいインテグラがかわいいぞ、2話といい子供時代は普通に女の子なのな
そして物理的腕力が一番おっかないってどゆこと
- 169 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 02:36:25 ID:???
- 例えば、『すごいよ!!マサルさん』のキャシャリンが
色々特種能力持ってたり、なかなか死ななかったり、
吸血で仲間増やしたりできても何とか対処できそうじゃん
今持ってる銃も「人類には扱えない」とか言われてたし
腕力って言うか、身体能力の高さがあるからこその
アーカードの強さって感じがして良いと思ったけどなぁ
- 170 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 12:27:36 ID:???
- ゲームとかの魔法使いが魔法封じられたら雑魚になるけど
アーカードはあのいろんな特殊能力封じられてもガチのぶん殴りあいで並大抵の敵はボロ雑巾ですよ。ってことじゃね?
- 171 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 13:44:14 ID:???
- >>167
この文章だと暴君くらいじゃね?
- 172 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 13:50:23 ID:???
- 逆に言うと
不死身
変身
僕を連れる
という要素があっても力が無ければ驚異ではないだろって話だな
強力な兵器が意志と知恵をもって人を殺すってのが一番恐ろしいんだな
- 173 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 18:16:15 ID:???
- >>172
脅威ではないってのは言いすぎだろ
それらの特殊能力にも増して純粋な力がアーカードの一番恐ろしいところってことじゃね
- 174 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 18:27:59 ID:???
- 血を吸われている時のトバルカインの表情がすげえ苦しそうですな
- 175 :AGE OF EMPIRE1 1/2 :2009/06/26(金) 20:59:43 ID:???
- 第19話 AGE OF EMPIRE1
――1999年7月13日 ヴァチカン
「私がその少佐と初めて会ったのは……もっとも、その時はまだ中尉の階級章をぶら下げていたが
41年独ソ戦《バルバロッサ》開始直後の頃だ
年の頃は…そう 20代半ば26〜27といった位で、背たけは160cmそこそこ…軍人としては酷くチビだ
かなりの小太り…いや あれは肥満に入る
とてもじゃないが親衛隊《SS》の士官になど見えやしなかったよ」
禿頭の男の語りを聞いているのはマクスウェルだった。周囲は男達が目を光らせている
「成程 成程。そうでしょう、そうでしょうな司教様
そして あなた方当時の法皇庁《ヴァチカン》欧州総局は彼と彼の機関を支持した」
「総統直下の命令書を携えたその『彼』は、我々に協力を求めた。いや 協力を強要させられたんだ!!
いつもにたにたとうすら笑っている様な目。ほおの肉皮をわずかにゆがませ上げる様なあの嫌な笑い方
今思い出しても本当に虫酸が走る様な男だった
『彼』はいったよ。『戦争の歓喜を無限に味わうために。次の戦争のために。次の次の戦争のために』
このチビで太ったメガネの一介の中尉風情が…まるで魔界の軍団長の様な口振りで」
司教と呼ばれた男は淡々と語っていた
しかしマクスウェルが計画の本来の目的を指摘すると、明らかに狼狽した
「そもそも本来は物資計画なぞ。コレのための資金集めでしかない
『吸血鬼製造計画』。秘匿名『最後の大隊《Letzt Batallion》』」
- 176 :AGE OF EMPIRE1 2/2 :2009/06/26(金) 21:02:52 ID:???
- 「な…君らは…君らは一体どこまで…」
「我々はそのためにいるのですよ!! 司教殿!! なめてもらっては困りますな
何か勘違いをなさっている様だ。これは情報調査や次長聴取ではありませんよ!!
内務調査? 否!! 弾劾裁判? 否!! これは宗教裁判ですよ!!」
同時に、周囲に詰めていた男の一人が司教を机に押しつける
マクスウェルは敬語を使うことを止め、司教を詰問する
強要されたのではなかろうと。吸血鬼にして欲しかったのだろうと
そして不完全な食屍鬼しか作り出せなかった研究も、壊滅させられた
――HELLSINGによって
すべて知られていたと気付き、司教は保身に必死になる
見苦しいいいわけ。だがマクスウェルは意に介さなかった
「助けてくれたのむッ。マクスウェルッ後生だッ。私は…私はッ…ッ」
「残念ながらそれは、できませんな」
さらに哀願も退けられ、銃が突きつけられる
「あなたも神の下僕たるものだったなら
あんなものに与した人間《モノ》がこの法皇庁に存在していい訳がないでしょう?」
Amen!と最後に唱えると、マクスウェルは笑顔で背を向けた
- 177 :マロン名無しさん :2009/06/26(金) 22:42:26 ID:???
- イスカリオテのポジションがよく分からん
構成員の人格はヘルシング以上に狂ってるが
一応は民衆を守る活動をするんだよな?
そしてミレニアムとも敵対するし、教皇も呉越同舟つってるから
やっぱり共同戦線張るんだろうか
アンデルセンがアーカードと組むのがまるで想像できんw
- 178 :マロン名無しさん :2009/06/27(土) 07:24:50 ID:???
- 美術館でのやりとりを見る限り
マクスウェルとインテグラで頑張って会わないようにするしかない
自重とか我慢とかできないだろあの二人
- 179 :マロン名無しさん :2009/06/27(土) 10:04:36 ID:???
- >>177
隠密、諜報、処刑…
民衆を守るというより、民衆に害なすものを消すって感じじゃないかねぇ?
- 180 :マロン名無しさん :2009/06/28(日) 19:37:26 ID:???
- ちょっと待て
「彼らに壊滅させられた」ってところのキャラ、ウォルターか?
- 181 :AGE OF EMPIRE2 1/2 :2009/06/28(日) 21:03:18 ID:???
- ホテル「リオ」の事件から一夜明けたが
死者107名、負傷者64名を出した【テロリスト】たちの行方はようとしてしれなかった
逃げた先を唯一知っているだろうと思われるヘリのパイロットも
薬物か何かのせいかはわからないが、全く記憶がない
犯人らの行方は全くもって不明――
第20話 AGE OF EMPIRE2
その報道をみて少佐は笑っていた。失態に博士は動揺するが、少佐にしてみればこれは成功だった
アーカードに対して一定の戦果を上げることができた。化物たるアーカードへ
半世紀の時をかけ指をかけることができた
「化物を構築し、化物を兵装し、化物を教導し、化物を編成し、化物を兵站し、化物を運用し、化物を指揮する
我らこそ遂に化物すら指揮する我らこそ『最後の大隊《Letzt batalljon》』」
そして博士を褒め称えた
「では諸君楽しい 楽しいショーもひとまずお開きだ。そろそろ帰ろうじゃないか」
飛び立ったのは「GRAF ZEPPELIN」と刻印された巨大な飛行船
「目標ジャブロー『豹の巣《パンテルジャンツェ》』。いくぞご老人方
私の邪魔をする奴が何百 何千 何万 何億死のうが知った事じゃない。否!!
私の征く道に立ちはだかる者は皆 死ぬのだ」
- 182 :AGE OF EMPIRE2 2/2 :2009/06/28(日) 21:04:31 ID:???
- そのころ、インテグラの元にアーカードからの連絡が入っていた
リオ郊外のセントローズという町にいるらしい
「任務は遂行したぞ我が主《マイマスター》。私は連中の考えていることを私の脳味噌に刻みつけたぞ」
任務を果たしたアーカードをインテグラは労った。そしてすぐ帰ってこいという
女王自ら、円卓会議を召集した。できる限り即座に帰還し、報告を正確にしなければならない
「時にインテグラ。戦争の愉悦の具合はどうだったかな? 局長殿
たぎったかね? 赤黒く燃える炎を見る事はできたかな?」
「うるさい!! バカ!! 知った事か!! さっさと帰ってこいバカ!!」
アーカードの軽口に、インテグラは激高して通話を切ってしまった
帰還命令が出たが、船ではかなり時間がかかる
一週間は無理というセラスの言葉にアーカードはある命令を出した
「2人とも準備しろ。航空機をうばう」
混乱して動揺してベルナドットは激しく反対した。死んでしまう
そのとき、アーカードが何かに反応した
それに気づいたセラスは、のぞき窓から外を見てしまう
ゆっくりと歩いてくる男を。――アンデルセンを
ノックもなく扉を蹴破ると、無言でアーカードに近づく
アーカードもまた、無言でアンデルセンに歩み寄っていく
二人は――まず共に、拳を振るった。両者避ける事なく強烈な攻撃を受ける
「化物《アーカード》ォ!!」
「もうガマンできないってか!! 人間《アンデルセン》!!」
さらに、拳でもう一撃。それから二人はそれぞれの得物を構えた
ベルナドットも銃を持った
――緊張を破る間抜けな雄叫び。ハルコンネンを抱えたセラスだった
アンデルセンの闘争にたぎっていた顔から力が抜ける
そして銃剣を一度振るが、それは誰かを攻撃しようとしていたわけではなく
壁に一枚の紙を縫い止めるためだった
「北に13km程行った所に、農用飛行場を擬装した我々《ヴァチカン》の飛行場がある
そこに小型ジェットがエンジンを温めてある
行け、さっさと行け。それの譲渡書だ。もって失せろ
俺が貴様らへの殺意をおさえられているうちにだ」
- 183 :マロン名無しさん :2009/06/28(日) 21:58:28 ID:???
- ちょwwwセクハラwww誰得www
アンデルセン、ジェット譲渡の為にわざわざ南米まで来たのか?
それとも他に任務があるんだろうか
つーか、任務放棄で取引相手と殴り合い始めたのに
途中で拳納めただけで何故かいい人に見えてしまうw
- 184 :マロン名無しさん :2009/06/28(日) 22:26:21 ID:???
- >「うるさい!! バカ!! 知った事か!! さっさと帰ってこいバカ!!」
かわいいよインテグラかわいいよ
- 185 :マロン名無しさん :2009/06/28(日) 23:42:41 ID:???
- >>184
間違いなく図星指されて焦ってるよな
- 186 :マロン名無しさん :2009/06/29(月) 10:09:42 ID:???
- ババア結婚してくれ。
でも実際イギリスの名家なら結婚して後継ぎ産まないとまずいよな。
- 187 :マロン名無しさん :2009/06/29(月) 10:26:05 ID:???
- ババアってほど歳取ってないはずなんだが、貫禄あるんだよなぁw
- 188 :マロン名無しさん :2009/06/30(火) 01:30:54 ID:???
- 前回電話もセクハラだったよなあ
なんだ、趣味か
- 189 :マロン名無しさん :2009/06/30(火) 16:10:14 ID:???
- ババアって処女なの?
神父が童貞かどうか位気になる
- 190 :AGE OF EMPIRE3 1/2 :2009/06/30(火) 21:00:37 ID:???
- 少佐の振る舞いは、どうやら良しとされるばかりではないようだった
一介の少佐の分際で、独断専行が多すぎる。ま「総統代行」などと呼ばれている、と
そんな上層部の以降を知らず、兵士達は少佐の帰還に沸き立つ
「気をつけ《アハトウング》!! 『最後の大隊』大隊指揮官《少佐》殿に――敬礼!!」
整然と並んだ兵士達は、右手を掲げた敬礼で少佐を迎えた
第21話 AGE OF EMPIRE3
「おかえりなさい少佐。いかがです空中散歩は。やっぱりこんな穴倉じゃ息がつまりますからねえ」
真っ先に少佐に声をかけたのは、若い、いや幼いと言ってもいい軍人だった。奇妙な獣の耳がある
仲間のトバルカインが食われたと言うのに、たいした反応は示さなかった
「だからいったでしょお、僕らヴェアヴォルフにまかせてって。きれ〜〜に息の根止めてあげるから」
シュレディンガー准尉と呼ばれた軍人は少佐に対して少々言葉が過ぎた
博士に諫められてもなんという事はなかったが、大尉の鋭い眼光見つめられ、言葉を改めた
少佐としては准尉の態度に特に思うところはないようである
准尉以外のヴェアヴォルフの所在を訊く。こちらに向かっているところだという
「いよいよだぞ准尉」
- 191 :AGE OF EMPIRE3 2/2 :2009/06/30(火) 21:01:20 ID:???
- 「少佐!? 何がいよいよなのか」
ちょうどそこに、先程少佐の行動を危惧していた大佐達が到着する
「貴様は…貴様らは………、一体 何をしているのだ!?」
「全く完全にお答え出来ません、大佐殿。今は亡き我らが総統閣下《マインフューラー》の
特秘命令はいかに上官殿のご命令でもお答えできません」
「これは重大な独断専行 命令違反だ」
「総統特秘はあらゆる命令系統の上位に存在します」
「貴様ごときが総統の名を借りて勝手な…」
「小官は命令を実行しているにすぎません」
「何もかも貴様の思い通りにいくと思うなよ。少佐」
「ならば小官の尻でもなめたらいかがです? 大佐殿」
兵士達が笑う。大佐は少佐を殴りつけた。少佐は軽々と吹っ飛ぶ
さらに殴りつけようとするが、振り上げた武器は何かに射貫かれて折れた
そこにいたのは、鋭い目をした幾つかの影
そのうちの一人、半面に奇妙な模様が刻まれた女が大佐に応じる
そもそもミレニアム、大隊共に少佐が作り上げた者であり、大佐は単なるいそうろうだと
その認識は、兵士達も同様のようだった
兵士達も准尉も、得物を見る様な目で大佐を見る
「おまえは………何をしようというんだ
一〇〇〇人《一個大隊》の吸血鬼を率いて
おまえは一体何をするつもりだ少佐!!」
一個大隊の吸血鬼達を背に、起き上がった少佐の笑みは
かつて司教が嫌だと言った薄ら笑いではなく、鬼気迫った恐ろしいものだった
「私の目的? ふふ目的ですか大佐殿
戦争の歓喜を無限に味わうために。次の戦争のために 次の次の戦争のために」
- 192 :マロン名無しさん :2009/07/01(水) 18:24:07 ID:???
- 強敵っぽい方々が出てきましたな。
- 193 :マロン名無しさん :2009/07/01(水) 20:31:48 ID:???
- どうなんだろうね
これまでも登場時はなんか強そうな奴らだったけど
結局アーカードの旦那の圧勝だったし
つーかあの開放時の不定形のはどうやったら殺せるんだ?
- 194 :マロン名無しさん :2009/07/01(水) 20:33:18 ID:???
- あんなカッコいいデブ初めて見た
- 195 :マロン名無しさん :2009/07/01(水) 21:06:05 ID:???
- 刺青のマッチョが超強そうに見える
- 196 :マロン名無しさん :2009/07/01(水) 23:10:33 ID:???
- あれ、女?
- 197 :CALL TO POWER 1/2 :2009/07/02(木) 20:54:32 ID:???
- 「私の負けか」
アーカードは胸を杭で貫かれ倒れていた。髭を生やした男が答える
「そうだよ。おまえの負けだ。醒めない悪夢なんかないさ
城も領地も消え果てて、配下の下僕も死に果てた
彼女の聖餅跡も消えて失せた。彼女はおまえのものになんかならない」
男はアーカードに刺さった杭をさらに押し込む
「おまえにはもう何もない 伯爵
哀れな『不死の王《ノーライフキング》』よ おまえにはもう何もない」
――そしてすべては暗闇となった
第22話 CALL TO POWER
アーカードは航空機の座席に腰掛けていた。両目から血が溢れていた
もうすぐ英国だというベルナドットの通信が鳴り、セラスはカンオケの中で眠っている
「夢。この私が!? 夢だと…!? 馬鹿馬鹿しい」
――ロンドン郊外 王室別邸 「クラウニーハウス」
そこにはHELLSING局長インテグラ、円卓会議のメンバー、マクスウェルなどが顔を揃えていた
インテグラが先日言っていたように、女王による召集だろう
アーカードはまだ到着していない。アンデルセンを使いに出したのが悪かったかと危惧するが
敵に対して後れを取っている今、アンデルセンでなければ接触すら無理だったようだ
永遠の命という誘惑に勝てない存在はどこにでもいる
幸いなことに、アーカードがちょうど到着した。セラス・ベルナドットと共に
「ただ今帰還した。我が主」
「任務御苦労。我が僕」
アーカードはサングラスを取ると女王の座に近づいていった
女王と50年前に面識があったらしい
「あなたは何も変わらないのね吸血鬼《アーカード》
わたしはもうこんなに、こんなにも年老いてしまいました。もうしわくちゃのお婆ちゃん」
「貴方も50年前の様なおてんばのままだお嬢さん
いや貴方は今こそが確実に美しいのだ女王《クイーン》」
女王はアーカードの言葉に微笑むと、報告を求めた
- 198 :CALL TO POWER 2/2 :2009/07/02(木) 20:55:30 ID:???
- 「昔々ある所に狂った親衛隊《SS》の少佐がいた
『不死者達の軍隊を作ろう、不死身の軍隊を作ろう』
膨大な血と狂気の果てにその無謀を成就しつつあった」
「それがミレニアム機関、ミレニアム計画か」
「そうだ。だが55年前に、その計画を台無しにしてやった。この私とウォルターとでだ。だが
連中は心底あきらめなかった
誰も彼もが彼らを忘れ去り忘れ去ろうとした。だが連中は暗闇の底で執念深く確実に存在してきた
ゆっくりとゆっくりとその枝葉を伸ばしながら
今や彼らの研究は恐るべき吸血鬼を完成させる地平にと到達している
吸血鬼の戦闘団《カンプグルッペ》。不死身の人でなしの軍団
これこそまさにジークフリートの再来。神話の軍勢
第3帝国最後の敗残兵 『最後の大隊《LAZTE BATTALION》』」
アーカードの報告により会議内にざわめきが満ちる。そこに、誰も気付かれないままに、招かれざる客が存在していた
「伊達男《トバルカイン》の『血』が教えてくれたんだね。本当に…まったく駄目なんだなあ…!!」
獣の耳をした少年。シュレディンガー准尉である
自分は特使だとして、ベルナドット達の攻撃を制止した
「僕はどこにでもいるし、どこにもいない」
シュレディンガー准尉は小さなモニタを差し出した。少佐より大事な話があるらしい
果たして、モニタには少佐の姿が映った。同時に助けを求める声も聞こえてくる
さらに、銃撃音が響いた。少佐は、死体が転がる様を眺めて、せいせいすると言った
「とてもいい気分だ」
少佐に真っ先に声をかけたのはアーカードだった
「久し振りだねアーカード君。再び出会えて歓喜の極みだ」
二人は何か意味ありげに笑い合う。次に口を開いたのはインテグラだった
「おまえが敵の総帥か」
「おお 貴方が王国国教騎士団《HELLSING》機関長、インテグラ・ヘルシング卿ですね、お初にお目にかかる」
「何が目的でこんな馬鹿なマネをする!? 答えろ!?」
「目的? お嬢さん《フロイライン》美しいお嬢さん、それは愚問というものだ」
- 199 :マロン名無しさん :2009/07/02(木) 21:20:36 ID:???
- シュレディンガー君の能力はすげえ暗殺に便利そうだな。
- 200 :マロン名無しさん :2009/07/02(木) 21:23:43 ID:???
- 人間どこでもドアだな(人間じゃないけど)
アーカード、まさかの老け専www
- 201 :マロン名無しさん :2009/07/02(木) 21:31:09 ID:???
- インテグラが美しい…だと?
- 202 :マロン名無しさん :2009/07/02(木) 21:39:12 ID:???
- >>201
お前アーカードとウォルターに消されるぞ
- 203 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 00:55:36 ID:???
- 美人じゃないかインテグラ、おっかないけど
- 204 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 05:55:02 ID:???
- >>189
童貞じゃね
カトリックの神父はセクス禁止だし
神父になる前に済ませてたって風にも見えない
- 205 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 11:29:42 ID:BC1vFCeb
- この漫画の登場人物は全員処女と童貞です
なぜなら作者が
…ん?なんだ?あの肉の塊は
- 206 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 18:44:28 ID:???
- >>201
美しいのだろうがお嬢さんでは無いよな
むしろおばさんに片足突っ込んでるぜ
- 207 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 22:04:17 ID:???
- >>206
は何者かに撃たれました
- 208 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 22:09:54 ID:???
- >>206
あのピザ戦時中から生きてて相当な年齢だから女王陛下でもお嬢さんなんだろうな
- 209 :マロン名無しさん :2009/07/03(金) 22:34:20 ID:???
- 少佐ってデブの癖にカッコいいな
- 210 :マロン名無しさん :2009/07/04(土) 13:28:41 ID:???
- >>208
1941年時点で26.7歳なら1915年生まれくらい?三笠宮様ぐらい・・・
- 211 :マロン名無しさん :2009/07/04(土) 14:38:43 ID:???
- >>210
軽く90歳にはいってるのか
さすが吸血鬼
- 212 :ULTIMA ON LINE 1/2 :2009/07/04(土) 20:55:55 ID:???
- 「目的? ふふん目的とはね
極論してしまうならばお嬢さん《フロイライン》、我々には目的など存在しないのだよ」
第23話 ULTIMA ON LINE
目的はないという少佐の言葉に、アイランズ卿が反応した
目的もなく攻撃されるなど冗談ではなかった
しかし少佐はアイランズ卿を若造《ボーイ》と呼び、相手にしない
「目的のためならば手段を選ぶな。君主論《マキャベリ》の初歩だそうだがそんなことは知らないね
いいかなお嬢さん《フロイライン》 貴方はかりにも一反撃戦力の指揮者ならば知っておくべきだ
世の中には手段の為ならば目的を選ばないという様な、どうしようもない連中も確実に存在するのだ」
少佐はいったん語るのを止めた。銃殺された死体がそこら中に転がっていたが、生き残っている者もいた
その幸運な、あるいは不運な男の首には「私は敗北主義者です」というプレートがかかっている
「とどのつまりは 我々の様な」
少佐が指を鳴らすと、兵士達は一斉に血を吸うべく人間に襲いかかった
いや、「血を吸う」とだけ表現するには凄惨過ぎた。鋭い歯で噛みつき鈍い音が響く
「中途半端にはするなよ。グールになられてもその なんだ。困る」
この様にはインテグラたちも平静ではいられなかった
「狂ってるよ貴様ら」
異教徒が2兆人死んでもしった事ではないマクスウェルも、これには批判を口にする
「ふうん、君らが狂気を口にするかね? ヴァチカン第13課局長」
「ああそうだ。おまえ達はまともじゃない」
「ありがたいことに私の狂気は君たちの神が保証してくれるという訳だ。よろしい、ならば私も問おう
君らの神の正気は、一体どこの誰が保証してくれるのだね?
一体どこの誰に話しかけているのか判っているかね? 私が黒衣のSS軍装を着ていれば良かったかな?
我々は第三帝国親衛隊《SS》だぞ? 一体何人殺したと思っているのかね?
闘争と暴力を呼吸するかの様に行う髑髏の集団にかね?
いかれている? 何を今更!! 半世紀程いうのが遅いぞ!!
よろしい!! ならば私を止めてみろ自称健常者諸君!!
しかし残念ながら私の敵は君らなどではないね。少し黙っていてくれよ13課
私の敵は英国!! 国教騎士団!! いや!! そこでうれしそうにたたずんでいる男だ」
- 213 :ULTIMA ON LINE 2/2 :2009/07/04(土) 20:57:37 ID:???
- 誰もが、モニタに釘付けになり、アーカードの様子など気にしてはいなかった
少佐に言われて初めて皆がアーカードに注目する。アーカードは――歓喜に震えていた
「執念深い奴らだ。ははははすてきな宣戦布告だ。いいだろう何度でも滅ぼしてやろう」
「そうだとも我々は執念深く根に持つタイプでね。くだらん結末など何度でも覆してやるさ」
インテグラがアーカードとセラスに撃て、と命じた
アーカードは即座に「特使」シュレディンガー准尉の頭を撃ち抜く
口から頭蓋にかけて撃たれた准尉は血の海に沈んだ
今までの話を聞いてインテグラは少佐達をただ「テロリストの集団にすぎない」と断じた
「御大層なたわ言はもう結構だ。我々は貴様らの存在を排除する
我々は唯々我々の反撃《しごと》に取りかかるだけだ!!」
「成程これはいい。いい当主《マスター》だ。アーカードがいれこむのもわかるというものだ」
そのとき、撃たれて倒れたはずのシュレディンガー准尉が消失した。血液ごと、すべて
「さようならお嬢さん《フロイライン》。戦場での再会を楽しみにしているよ
Auf Wiedersehen《それではご機嫌よう》」
インテグラがひときわ大きな声でセラスを呼んだ。セラスはモニタを撃って破壊した
こうして、少佐に関わるすべての者がこの場から消えた
そして、これまで沈黙を守っていた女王は――
「ヘルシング卿。アーカード。命令よ、彼らを打ち倒しなさい」
- 214 :マロン名無しさん :2009/07/04(土) 21:24:48 ID:???
- いやー相変わらず名台詞量産漫画だな
しかし以前にもあったが、サブタイトルはどうにかならんのかw
- 215 :マロン名無しさん :2009/07/04(土) 23:26:33 ID:???
- ヒラコーだからしょうがない
少佐は本当に大戦当時の残兵らしいな
さぞや老練に仕掛けてくるだろう
しかも英国そのものに宣戦布告したついででバチカンにまで喧嘩売ってるし
ヴェアヴォルフも相当強いんだろうな
つかシュレディンガーだけでもかなりの脅威だが
- 216 :マロン名無しさん :2009/07/05(日) 01:10:07 ID:???
- 単に撃たれても死なないだけならそこら中ごろごろしてるけど
血液を残さず消えるってどういうことなんだろ
幻を見せてるとかか?
- 217 :マロン名無しさん :2009/07/06(月) 17:40:56 ID:???
- モニターが映らないとか言ってたし
あれが本物なら素直に瞬間移動って事になると思うが
- 218 :D1 1/2 :2009/07/06(月) 21:00:17 ID:???
- 「なる程、そうなのでしょうね。情報はまるで ざるの様に連中につつ抜けなのでしょうね
南米《ここ》に来てからもうすでに4度目の襲撃を受けました。想像通り彼らの手は長い」
襲撃を退けた凄惨極まる現場で、アンデルセンは通信をしていた
ただ襲撃に吸血鬼は一人もいないという。つまりはただの時間稼ぎ
やはり13課は少佐ら組織の敵として見なされていないようだ
それは通信相手のマクスウェルにしてみればもくろみ通りだったが、気分としては愉快と不愉快が半々だった
そして、少佐の関心の外にある13課は何をするべきか? アンデルセンは答えた
「最高のタイミングで、横あいから殴りつける」
教皇の命により四つの騎士団、スイス傭兵団の本営、聖遺物管理局第三課「マタイ」が準備をしている
さながら聖戦の十字軍《クルセイダー》のように
だが敵はかつてのものとは違う。今度の神は戦争の女神《マーズ》
「貴様は我々の切り札。鬼札《ジョーカー》だアンデルセン。手段を問わず帰投せよ」
「わかりました。聖霊の子の、御名において。Amen《エイメン》」
通話を終えたアンデルセンが振り向くと、第五の襲撃者がそこにいた
激しい銃弾の嵐がアンデルセンを襲う。だが銃弾を受け止めてなお、アンデルセンは笑っていた
そして次の瞬間には、襲撃者達の全身に銃剣が突き刺さる
「戦争の女神《マーズ》 戦争の女神 戦争の女神!!
よかろうあばずれめ。我らの神罰の味、かみしめるが良い」
第24話 D1
- 219 :D1 2/2 :2009/07/06(月) 21:01:32 ID:???
- 「もうもどれませんぞ」
「何をいっている。幕はとっくに開きっぱなしだ50年も前に。ただ観客がこっちに向いてなかっただけの事だ
首ねっこを押さえつけてこっちに目を向けさせたのだ。そして一度踊り出したら私はとことん踊り切るぞ」
「できるだけ楽しくですな」
少佐と大尉、博士が壁一面に地図の描かれた部屋に入った
中の軍人達はすぐに敬礼を以て応える。だが、一人だけ不遜な返事を返したものがいた
「遅ーい」
機械で中に浮かぶ、おそらく少佐が座るのだろう椅子に腰掛けている
「ろうかの移動にどれだけの時間をかけてるのやら
僕はロンドンまでいって どデカイ銃を口に突っ込まれて、頭フッ飛ばされて帰って来たのにィ」
円卓会議の場に、特使として現れたシュレディンガー准尉である
すぐに博士に首根っこを掴まれて退かされる。しかし少佐は好きにさせるように言う
准尉は任務を果たしたのだから、と。結果的に、椅子に座った少佐の足下でくつろぐ事になる
「現在状況過程、計画通りに進行中。ドーラー1《アイン》は目標ドーラー2《ツバイ》に接近中」
「ふふふ まるで花火」
「花火? 少し違うな准尉。こいつは花火じゃあない
これはのろしだ。我々が現世《うつしよ》に帰還した事を世にしらしめる反逆ののろしだ」
「さ――さく――ッと行って、さく――ッとやっつけちゃいましょう」
「所属不明のヘリコプターさらに接近!! 三度もの警告も完全に無視されました!
あと約10分で本艦と接触!!」
「くそッ!! 馬鹿な!! 一体どこの阿呆だ!?」
海上に浮かぶ大英帝国海軍《ロイヤルネイビー》インヴィシヴル改級 VSTOL空母 一番艦「イーグル」
それに接近する所属不明のヘリ
――Denn wir fahlen gegen Engelland Engelland!
我々は進撃する。イギリスへ! イギリスへ向かって
- 220 :マロン名無しさん :2009/07/07(火) 02:23:23 ID:???
- なんかアンデルセンが敬語使ってると変な感じだ
- 221 :マロン名無しさん :2009/07/07(火) 13:29:17 ID:???
- ショタっこが妙にエロい
妙にエロいぞ
- 222 :D2 1/2 :2009/07/08(水) 22:42:26 ID:???
- ――Denn wir wollen es nicht langer lelden
僕らは長い苦しみなどなしに
――DaB der Englisch mann daruber lacht
英国人どもを笑いながら乗りこえて征く
――Denn wir fahlen Denn wir fahlen
我々は進撃する。我々は進撃する
――gegen Engelland Engelland
イギリスへ! イギリスへ向かって
第8話 D2
「イーグル」内部は謎のヘリの出現に混乱していた
艦長は威嚇射撃、そして無視された場合の撃墜許可を出した
しかし副長がそれを遮る。その歯は鋭く尖り、艦長に食らいついた
そう、イーグル内部はとうに内部から支配されていたのだった。絶叫が響く
そんな内部の様子を知ってか知らずか、ヘリの女はただ歌っていた
あなたの手に与えよう あなたの白い手に
さようなら 私の恋人よ さようなら
戦の中に敗れ去り
私が潮の中に眠ったと知らせを聞いても
恋人よ どうか 泣かないで
我らは進撃する 我らは進撃する
イギリスへ! イギリスへ向かって
我々は進撃する
ヘリはゆっくりと、イーグルの甲板に降り立つ。迎え撃つ兵はいない
ヘリの中から出てきたのは一人だけ。マスケット銃だけを担いだ、痩身の女だ
「かくして猟場《ココ》は猟師《あたし》の手の中に。有象無象の区別無く、私の弾頭は許しはしないわ」
- 223 :D2 2/2 :2009/07/08(水) 22:43:13 ID:???
- 夜。食事を前にセラスは沈んでいた
どうにか食べようと試みている。スプーン一杯のスープ
それを口に運ぼうとするだけでも手は震え、口に含んでも吐き出しそうになる
咳や吐き気をこらえてようやく飲み干す
「つらいか」
いつから見ていたのか、インテグラが声をかけてきた
テーブルの上に輸血ようのパックを投げ出す
「ウォルターから聞いている。近頃は食事の度にその様子だ。なぜ飲まない
血を。おまえはもう人間ではない。吸血鬼なのだよ、セラス」
厳しい言葉だがセラスを思いやっての事なのだろう
それでもセラスは飲もうとはせず、理由も答えなかった
インテグラは強硬手段に出た。食卓のナイフを手に取ると指を薄く切る
深くはないが血がポタポタと垂れる。動揺するセラスに向かって指を指しだした
「指を切ってしまった。バイ菌でも入ってしまったらコトだ。なめてくれ」
躊躇するセラスに今度は命令だと言う
セラスはゆっくりとインテグラの指に顔を近づけた
やはり吸血鬼なのだろう、血に近づく度に息が荒くなる
「気をつけよ婦警《セラス》。まちがってもかみついてくれるなよ?」
ようやく血を舐め始めたセラスにインテグラは言った。ヘルシング卿が吸血鬼となったらさすがにまずい
特に問題もなく、セラスは血を舐め終えた
「正真正銘100%処女の血だ。いくらかでも楽になったか婦警」
「あ‥う‥あの‥その…す…すみま…せ‥ん」
「準備を整え待機せよ!! 婦警。ウェールズ沖洋上にて空母イーグルが連絡を途絶した
恐らく奴ら《ミレニアム》だ」
「はッはい 了ッ、了解《ヤ――》!!」
- 224 :マロン名無しさん :2009/07/08(水) 22:49:28 ID:???
- >「かくして猟場《ココ》は猟師《あたし》の手の中に。有象無象の区別無く、私の弾頭は許しはしないわ」
このセリフに惚れた、かっけー
>「正真正銘100%処女の血だ。」
?!?
- 225 :マロン名無しさん :2009/07/08(水) 23:47:53 ID:???
- インテグラが処女確定…だと…
婚約者とかいても驚かないんだけどな
血舐めるのエロス。唾液エロス
- 226 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 03:01:50 ID:???
- なぁ…この漫画、処女と童貞しかいないんじゃねぇの?
- 227 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 03:06:27 ID:???
- 誰得だよwww
- 228 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 10:46:32 ID:???
- アーカードもたぶん童貞だったりしてwww
カッコいいのに童貞
- 229 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 20:03:09 ID:???
- まあ、アーカードは人を性的な意味で食うより
血液的な意味で食いたいだろう
でも過去?の思い出っぽいので「彼女」ってのが出てきたよな。恋人?
- 230 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 21:55:16 ID:???
- イスカリオテの人達もキリスト的に女は処女だろうな
アンデル先生も、怪しい
- 231 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 22:14:52 ID:???
- >>229
聖餅がどうたら言ってたから何がしかの聖人じゃないのか
元は聖騎士系の貴族だった可能性もあるんじゃね?
恋人だのヤったのヤらないのではないと思う
- 232 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 23:24:47 ID:???
- 子供「アンデルセン先生ー子供ってどうやって出来るんですか?」
- 233 :マロン名無しさん :2009/07/09(木) 23:49:22 ID:???
- アンデル先生てw
- 234 :D3 1/3 :2009/07/10(金) 21:05:15 ID:???
- 北の騎士達は 英国の血脈を
波の下を大胆に 潜行し 封鎖を破り
死を持ち込む 雷装の連弾と共に
自由な 自由な我らの海で
第27話 D3
ヘリから降り立った女を、口元を血に染めた副長が迎えた
女は副長に吸血鬼となった感想を聞く。副長は吸血鬼化の素晴らしさを語った
しかし女の目つきは悪くなっていく。さらに聞く。仲間を殺して手に入れた体の具合はどうかと
上官や部下を食屍鬼へと変えた具合はどうかと
さすがにこのいいざまには副長、いや「新艦長」も言葉を失う
女の目つきはどんどん悪くなっていく
だが新艦長に向かって振り返った女は笑顔を浮かべ賛辞を口にした
そして褒美と次なる命令を伝える
褒美は――この海域における2m四方立方体分の海中面積
命令は――この海域付近の魚類への滋養分の散布
「お馬鹿なあなた方にもわかりやすくいうわね
用が済んだらちゃっちゃとおッ死ね。英国野郎《ライミー》」
つまりは――海に沈んで魚の餌になれという事だ
女がマスケット銃を撃った。音は一発分。だが部下二人が倒れ新艦長は動揺する
「私は猟師。リップヴァーン・ウィンクル。有象無象の区別無く 私の弾頭は許しはしないわ」
新艦長はリップヴァーンに駆け寄ろうとする。だがその背後から異様な音がする
銃音一つで部下二人? そんなものではなかった。弾頭はまだ生きていて、新艦長に襲いかかる
その頃、荷物の中のカンオケから、続々と兵士が這い出してきていた
甲板に出た彼らをリップヴァーンが迎える
「あら、お目覚め? 途中でペンキが切れかけてしまったのだけれど。なんとかなったわ」
ちょうど、「あるもの」を描き終えた所だった。呪われた彼らの旗。鉤十字を
「ドイツ第三帝国海軍大西洋艦隊。旗艦「アドラー」これより作戦行動に入る!!」
- 235 :D3 2/3 :2009/07/10(金) 21:06:49 ID:???
- 「諸君 私は戦争が好きだ。諸君私は 戦争が好きだ
諸君 私は戦争が大好きだ
殲滅戦が好きだ 電撃戦が好きだ 打撃戦が好きだ 防衛戦が好きだ
包囲戦が好きだ 突破戦が好きだ 退却戦が好きだ 掃討戦が好きだ 撤退戦が好きだ
平原で 街道で 塹壕で 草原で 凍土で 砂漠で 海上で 空中で 泥中で 湿原で
この地上で行われるありとあらゆる戦争行動が大好きだ
戦列をならべた砲兵の一斉発射が轟音と共に敵陣を吹き飛ばすのが好きだ
空中高く放り上げられた敵兵が効力射でばらばらになった時など心がおどる
戦車兵の操るティーゲルの88《アハトアハト》mmが敵戦車を撃破するのが好きだ
悲鳴を上げて燃えさかる戦車から飛び出してきた敵兵をMGでなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった
銃剣先をそろえた歩兵の横隊が敵の戦列を蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の新兵が 既に息絶えた敵兵を何度も何度も刺突している様など感想すら覚える
敗北主義の逃亡兵達を街灯上に吊るし上げていく様などはもうたまらない
泣き叫ぶ虜兵達が私の振り下ろした手の平とともに 金切り声を上げるシュマイザーにばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ
哀れな抵抗者《レジスタンス》達が 雑多な小火器で健気にも立ち上がってきたのを
80cm列車《ドーラ》砲の4・8t榴爆弾が都市区域ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える
露助の機甲師団に滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった村々が蹂躙され 女子供が犯され殺されていく様はとてもとても悲しいものだ
米英の物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ
米英攻撃機《ヤーボ》に追い回され害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ
諸君 私は戦争を 地獄の様な戦争を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君。君達は一体 何を望んでいる?
更なる戦争を望むか? 情け容赦のない糞の様な戦争を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す 嵐の様な戦争を望むか?」
「戦争《クリーク》!! 戦争!! 戦争!!」
「よろしい。ならば戦争《クリーク》だ」
- 236 :D3 3/3 :2009/07/10(金) 21:07:45 ID:???
- 「我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
だが この暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けて来た我々に ただの戦争ではもはや足りない!!
大戦争を!! 一心不乱の大戦争を!!
我らはわずかに一個大隊。千人に満たぬ敗残兵にすぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人の軍集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし 眼を開けさせ思い出させよう
連中に恐怖の味を思い出させてやる。連中に我々の軍靴の音を思い出させてやる
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事がある事を思い出させてやる
一千人の吸血鬼の戦闘団《カンプグルッペ》で 世界を燃やし尽くしてやる」
幾隻もの飛行船が、目標に向けて飛び立った。少佐を、一千人の吸血鬼を乗せて
『最後の大隊 大隊指揮官より全空中艦隊へ』
「全フラッペン発動開始。旗艦デクス・ウキス・マキーネ始動
離床!! 全ワイヤー全索引線解除。
目標、英国本土ロンドン首都上空!!」
「第二次ゼーレヴェー《あしか》作戦 状況を開始せよ
征くぞ 諸君」
そして、少佐の敵たるアーカードは――
- 237 :マロン名無しさん :2009/07/10(金) 21:37:29 ID:???
- 演説なげぇwww
でもこれはネタになる予感
- 238 :マロン名無しさん :2009/07/10(金) 22:47:53 ID:???
- これがバカかwwww
- 239 :マロン名無しさん :2009/07/10(金) 22:51:20 ID:???
- こんな長大なテンプレ渡されても改変するのしんどいだけだわwww
リップヴァーンいいな
男が嫌悪感を催す腹黒い女、をうまく魅力的に形にしてる感じだ
何より褒美と命令の表現が素敵だw
- 240 :マロン名無しさん :2009/07/11(土) 07:33:18 ID:???
- 少佐に惚れた
- 241 :マロン名無しさん :2009/07/11(土) 10:31:01 ID:???
- カッコいいなwww惚れた
- 242 :マロン名無しさん :2009/07/11(土) 12:14:24 ID:???
- なげえぇぇw
- 243 :マロン名無しさん :2009/07/11(土) 18:07:52 ID:???
- 間違いない、これは流行るw
- 244 :マロン名無しさん :2009/07/11(土) 21:43:31 ID:???
- マジでイカレてるけど突き抜けすぎてて気持ちいいな
どんだけ戦争が好きなんだ
- 245 :マロン名無しさん :2009/07/12(日) 00:22:49 ID:???
- 少佐が改心する展開なんてないよな?ないよな?
あったら幻滅する
- 246 :マロン名無しさん :2009/07/12(日) 03:02:55 ID:nJSlxUii
- 諸君、私は戦争が大好きだ。らしいから…(笑)
- 247 :マロン名無しさん :2009/07/12(日) 04:58:23 ID:???
- >>245
心を改めるというかこの人はそもそも純粋な感じだよw
- 248 :マロン名無しさん :2009/07/12(日) 11:49:49 ID:???
- そもそもアーカードに敵を更生させようという意思が感じられないw
- 249 :マロン名無しさん :2009/07/12(日) 21:57:24 ID:???
- ドラクエの神父があの位強かったら
勇者はいらないと思うよ
- 250 :マロン名無しさん :2009/07/13(月) 01:22:08 ID:???
- FFのセシルと比べたらエライ違いだ
パラディンよw
- 251 :マロン名無しさん :2009/07/13(月) 02:22:00 ID:???
- >>249
というか、肝心の蘇生魔法が使えそうにないw
自分の再生は出来るけどさ
- 252 :マロン名無しさん :2009/07/13(月) 18:46:16 ID:???
- 俺あんな神父が勧誘に来たら
俺の家は仏教ですって言えないだろうな
- 253 :FLASH POINT :2009/07/13(月) 20:56:34 ID:???
- 第28話 FLASH POINT
「こんな所にいたんですかマスター。さがしましたよ。インテグラ様がお呼びなんですよ――」
セラスと、その後ろを歩くウォルターがアーカードを見つけたが、なんだか様子がおかしい
椅子に腰掛けたまま、アーカードは眠っていた
その周りには輸血パックが散乱している
「たっぷり喰ってたっぷり寝て。まるで『猛獣』の様だ
きっと何かを 『何か』を感じたのでしょうな。闘いのにおいか何かを」
眠るアーカードがふと笑みを浮かべる。それを見たセラスは、
普段とは少し違った印象を持った
「まるで明日何して遊ぼうか考えて、眠る子供…みたい………」
「夢……でも見ているのかもしれませんな」
夢、という言葉でセラスは南米での夢を思い出した。そう、ハルコンネンの精の夢である
- 254 :FLASH POINT 2/2 :2009/07/13(月) 20:57:34 ID:???
- 「アーカード。起きなさい。アーカードや」
アーカードは呼びかけに答えて目を開いた。あたりには異様な光景があった
なによりおかしいのはアーカードに呼びかけた男
「何だおまえは」
「私は君の銃《ガン》。ジャッカルの精ですウィリス」
アーカードはためらわずジャッカルの精を撃った
早く帰りたいアーカードだが、ここはジャッカルの精空間「ウィリス空間」なので出られないらしい
しかもウィリス空間で一生面白いんだか面白くないんだか良くわかんない微妙な作品に出まくらないといけないらしい
作品の内容について喋るジャッカルの精だが、いきなり頭を打たれて死んでしまった
「そいつはニセ者だ。危ない所だったな。そろそろ起きたまえ。セラスやインテグラが待っているぞ」
あとはもう――混乱と混沌
そうしてアーカードは夢から覚めた
「起きましたな。何か悪い夢でも? アーカード」
「いや。なんでもない」
- 255 :マロン名無しさん :2009/07/13(月) 20:59:54 ID:???
- このタイミングでギャグ話かよw
- 256 :マロン名無しさん :2009/07/13(月) 21:01:32 ID:???
- ブルースなにやってんだwwww
- 257 :マロン名無しさん :2009/07/13(月) 21:56:15 ID:???
- 何だこのカオス話www
- 258 :マロン名無しさん :2009/07/14(火) 01:29:38 ID:???
- 今月マジでこれで終わりなの、落丁とかじゃないよなwwwww
- 259 :マロン名無しさん :2009/07/14(火) 08:15:50 ID:???
- あれ…俺の嫁はどこに…
- 260 :マロン名無しさん :2009/07/14(火) 08:38:37 ID:???
- ハルコンネンの精やらかしてなければ
敵の精神攻撃だと疑るレベルだわwww
- 261 :D4 1/2 :2009/07/15(水) 21:12:37 ID:???
- リップバーン中尉の部下たちはイーグル内の管制や、グールの処理に動いていた
当のリップバーンといえば「気持ちの悪い日の当たる甲板の上で」昼寝中だという
それはこの兵達にはもう出来ない事だった。老人だった兵達が吸血鬼となって得たものは大きい
しかし、失ったものも確かに大きかった
そして化物になってさえ、新兵のようなものだった。戦鬼の徒、「ヴェアヴォルフ」の前では――
第29話 D4
リップバーンの傍らには時計が一つ。確実に時を刻んでいた
「あと36時間 35分。ああ待ち遠しいですわ 待ち遠しいですわ 待ち遠しいですわ
急いて 急いていらっしゃいな代行殿」
――英国安全保障特別指導部 本営
「王立国教騎士団《HELLSING》。女王陛下の御命《GHMSS》によりてまかりこしました」
騒がしい本営の中に、インテグラが到着した
円卓会議の一員でもある英国海軍中将シェルビー・M・ペンウッド卿は快く迎えたが
それ以外の者たちは「あやしげな連中」として反対してきた
インテグラはそんな意見を全く聞かず椅子の一つに腰を下ろす
「帰っても宜しいが。本当によろしいのか」
ペンウッド卿は弱々しくインテグラに同席を頼む
問題はもちろんイーグルのことだった
今より18時間前に演習中の新造空母、イーグルが連絡を途絶した
それだけならばいい。しかし航空写真に移る船の甲板には、はっきりと鉤十字が刻まれている。即ち――
「『ミレニアム』『最後の大隊』」
「馬鹿馬鹿しいッ!!」
インテグラのつぶやきに、強い反論が帰ってきた
やはり、吸血鬼などというオカルトじみたことは、信用できないらしい
「貴様らがどれほど女王陛下に信頼されているか知らんが、貴様らの特権とやらが
何もかもに通じると思ったら大間違いだ。ひっこんでてもらおうか」
「ならばよろしい。お手並みを見せて頂きたい」
- 262 :D4 2/2 :2009/07/15(水) 21:14:28 ID:???
- 彼らの「手並み」は特殊空挺の二個小隊だった
しかし報告にはこうある。甲板に「日傘を差した人影」があると
「兵が哀れだ。将軍 これだけはいえます。全滅です
貴方がたは30名の肉塊を生産したに過ぎない」
「『イーグル』視認!! あと数分で到達します」
「Aチームの艦前部到達と同時に、我々Bチームも艦後部上にてラベリング着艦、展開する!!」
作戦行動を前に、上官と思わしき人物が最後に作戦の確認を行う
その最中に、艦前部へ向かっていたAチームのヘリが撃墜された
だが、驚きも束の間だった。たった一つの銃弾が内部を縦横無尽に駆け巡り
Aチームと全く同じ運命をたどる事になったのだから
甲板には、日傘を差し、不気味な笑みを浮かべた一人の女
「有象無象の区別無く、私の弾頭は許しはしないわ
時はあと36時間かっきり。悲劇ですわ喜劇ですわ」
「ヘリ撃墜されました!!」
「な…何だと!? 空母の搭載兵器か!?」
「いえ…いえッ 違います!!」
「甲板上の人間の発砲した……マスケット銃のただの一発で………だと!?」
- 263 :マロン名無しさん :2009/07/16(木) 01:32:40 ID:???
- ああ、そういえば円卓会議って英国上流階級中の上流階級の集まりだったな
ペンウッドとの繋がり知らない木っ端役人には訝しがられて当然か
それにしてもリップヴァーンの能力は男のロマンだなあ
自由自在に操れて威力の落ちない弾丸
実に素敵だ…
- 264 :マロン名無しさん :2009/07/16(木) 09:23:08 ID:???
- マスケットの弾丸一発でヘリが墜ちるかあ?
と思ったが、弾丸が自動旋回して何回も攻撃してるな
- 265 :マロン名無しさん :2009/07/16(木) 13:15:47 ID:???
- 素の威力も絶対普通のマスケットじゃないよな
- 266 :マロン名無しさん :2009/07/16(木) 18:02:00 ID:???
- 銃の威力と弓矢のしなりのいいとこどりだな
つくづくチート合戦な漫画だ
- 267 :マロン名無しさん :2009/07/16(木) 20:22:08 ID:???
- いくら衛星で見てるといっても使った獲物がマスケットとかまでわかるものなのかw
あとあの弾丸糸みたいなの引いてたんだがもしかして有線で動かしてるの?
- 268 :マロン名無しさん :2009/07/17(金) 08:21:58 ID:???
- マウスでカーソル動かすみたいに
射程範囲内なら強度関係なくどんな標的でも必ず貫通できると予想
- 269 :マロン名無しさん :2009/07/17(金) 20:17:06 ID:???
- リップヴァーンは俺の嫁
- 270 :マロン名無しさん :2009/07/17(金) 20:23:13 ID:???
- >>267
あれは弾道を読者にわかりやすくしてるだけだろ
- 271 :マロン名無しさん :2009/07/17(金) 22:02:32 ID:???
- かめはめはの手元を曲げたら、
光の筋までグイっと曲がるのは何故だろう、とふと思った今日この頃
- 272 :D5 1/2 :2009/07/17(金) 22:02:42 ID:???
- 「森々の獣ども 牧場の畜生ども 空を駆ける荒鷲どもにいたるまで
勝ち鬨は我らが物なるぞ 角笛よ高々と鳴れ 角笛よ森々にひびけ」
墜落したヘリの黒煙を背にしながら、リップバーンは高らかに歌っていた
「魔弾の射手《Der FREISCHUTZ》」第2場「おお太陽の昇りゆく事こそ我が恐怖なり」を
第30話 D5
ヘリ二機の撃墜を受けて、本営は混乱していた
しかし軍人達は今あった報告さえ誤認ではないかと信じ切れぬ始末
インテグラはとうとう席を立った
「我々はこの一連の事象を吸血鬼の行動と認識し、我々は独自の行動を取らせて頂く」
ペンウッド卿はこれを認めた
インテグラとウォルターの見解は、イーグルはおとりであるということ
だがおとりはあまりに物騒な新造空母。どちらに対してもこの状況は詰みだった
イーグルは自らは動かないが無視できず、近づいたら魔弾に落とされる
だが魔弾自身も吸血鬼であるからして、イーグルから出れば海に落とされる
さらに海が天敵なのは、アーカードやセラスにしても同じ
二人をどうにかして魔弾のもとへ運ばねばならないが
大型艦船では、近づくには時間がかかりすぎる。イーグルが動き出さないとも限らない
小型快速船艇では、イーグルからの攻撃に耐えられない
航空機での降下もまた同じく
デコイ・チャフを用いても、魔弾はごまかせない
結論が出ないままの二人の所に、唐突にアーカードが現れた
「結論は。ミサイルも弾雨も、魔弾をも物ともせず
海上の空母の甲板上にこの私を立たせる事のできる。そんな方法《ルール》だ」
「まさしく無理難題だな」
「いえ、あります。恐らくこの世で一機種のみその無謀をかなえる機体が」
- 273 :D5 2/2 :2009/07/17(金) 22:04:10 ID:???
- 「こちらアルファーリーダー。アルファーチーム全機に伝達する
20秒後一斉射撃に移る。指揮官機に続いて攻撃を開始せよ」
指揮官機の支持に、アルファー2とアルファー3がそれぞれ応答する
三機はほぼ同時にイーグルに向けてミサイルを発射した
しかしその途中ミサイルが弾頭を撃たれ次々に爆発していく
「ミサイルが自爆した!?」
「違うッ 墜とされたんだッ」
「各機ッ!! 隊列を…」
しかし彼らに混乱を立て直す時間は与えられなかった
アルファー2から悲鳴が上がる
そしてアルファー3の応答も途絶した
指揮官機もまた。周囲を覆い尽くす弾頭の軌跡――
敵機を全て撃墜しリップバーンは鋭い歯を露出させて笑った
「勝利よ!! 勝利よ!! 今宵我らが復讐は成るぞ!!」
しかし急に震え始め、膝から崩れる
「何これ…? 何…これぇ。あ!! あいつだ!! あいつだ!! あいつが来る!!」
弾頭の軌跡を引きちぎり、アーカードの無謀を叶える方法《ルール》がそこにあった
ウォルターの言った、たった一種類のみ、魔弾をものともせずイーグルに接近できる機体
機体にはROYAL AIRFORCEと刻まれていた
- 274 :マロン名無しさん :2009/07/17(金) 22:43:22 ID:???
- へたれたリップバーンたんは嗜虐心をくすぐるな
- 275 :マロン名無しさん :2009/07/17(金) 22:44:40 ID:???
- アーカードと知り合い?
- 276 :マロン名無しさん :2009/07/18(土) 00:03:56 ID:???
- なんすかこれwwwwwなんすかこれwwwww
あまりにもブッ飛びすぎてて二回言っちまったwww
いやー流石にやりすぎだろこれもっとやれ
- 277 :マロン名無しさん :2009/07/18(土) 11:12:15 ID:???
- つくづく破壊が爽快な漫画だな
- 278 :D6 1/2 :2009/07/19(日) 20:53:27 ID:???
- 「EXP-14LIE高々度実験機。先年完全退役した米軍のSR-71偵察機
その内の、我が英空軍技術局に売却された二機の内の一機
もっとも米軍のままなのは外側だけでね。内部は相当いじくりまわしてある。もう殆ど別機といっていい
そもそもは複座の偵察機だが、こいつは違う。偵察能力はとっぱらって単座に仕立ててある
こいつは高々度高速度レコードをぬり変えるための、専用機なんだよ
で まあもう一度聞くが。おたくらは一体何なんだ?
HELLSING《王立国教騎士団》機関……だったっけか?」
第31話 D6
イーグルの兵達がレーダーでSR-71の接近を感知していた
速力マッハ2.8、高度85000という異常な数値である
兵の一人がSR-71について知っていた。冷戦が生んだ芸術的な偵察機だと
叩き落とすかという言葉に兵は無理だと返す
「成層圏ギリギリをマッハ3以上でフッ飛ぶ化物だ。こんな艦の対空ミサイルではどうにもならん」
そのとき艦内にリップバーンの声が響いた
「奴《あいつ》が来るわ!! 奴よ。奴が来る!! 奴よ!! 奴よ!!
狂気の代弁者がやってくる。屍臭を巻き上げて握りしめながら。黒い鉄馬を引きずって真ッ直ぐに」
SR-17のコックピットには、アーカードが優雅に座っていた
「心せよ。亡霊を装いて戯れなば。汝亡霊となるべし」
アーカードが凶悪に笑う
「敵機急降下!!」
「ま、まさか…まさかこの艦に…ぶつける気か」
- 279 :D6 2/2 :2009/07/19(日) 20:55:32 ID:???
- 何だというのだ。恐ろしい。あの恐怖の谷が
あそこには魔の猟師がいて狩りをしている。その音を聞いた者全て逃げうせる
猟人たる人なにを恐れる事がある。猟人たる者の心に恐れなぞあるものか
しかし 神を試す者は罪を受けよう
私は夜の深遠に現れ出でる、あらゆる恐怖をものともしない
樫の木が嵐の中にうねる時でも。鳥どもが鳴きわめく時でも
私は心配です 私は心配です 私は心配です 私は心配です
そんなに急ぐことはない。行かないで 行かないで
月影はまだ確かなもので。月光はまだ薄明かりの様
やがてその光も消える
急降下してくる機体を避けるために急速発進したエンジンが激しく音を立てる
SR-71の機体は真っ直ぐに向かってくる
おびえる兵達。リップバーンは先程までの動揺を消し、真っ直ぐに銃を構える
弾頭を受けた機体は炎に包まれた
――あそこからら声があすすする。ここの私私ををお呼ぶぶ声えええこえががすするす
勝利を確信したリップバーンの笑顔が、機体からにじみ出る闇を見て消える
歪んだ生物の形。無数の眼を持つ闇。アーカードの闇
「拘束制御術式《クロムウェル》 三号 二号 一号 開放」
――やがて日の光も失うだろう。運命は貴様を駆り立てた
闇は機体を包み、アーカードとSR-71は一体となっていた
驚愕するリップバーンは為す術がない。SR-71はイーグルに――墜ちた
- 280 :マロン名無しさん :2009/07/19(日) 21:20:08 ID:???
- もはや怪獣だな、アーカード
- 281 :マロン名無しさん :2009/07/20(月) 12:47:07 ID:???
- リップに合掌
- 282 :マロン名無しさん :2009/07/20(月) 13:22:38 ID:???
- これってウィリス空間での出来事なんじゃ
- 283 :D7 1/2 :2009/07/21(火) 21:00:35 ID:???
- 炎と黒煙に包まれ地獄絵図と化したイーグルの甲板
焼かれ叫ぶ兵の一人に機体の破片が落下し、潰された
燃えさかる炎の中に立つ地獄の元凶である影にリップヴァーンは怯える
第32話 D7
アーカードはリップヴァーンをじっと見つめる。リップヴァーンはかつての少佐の言葉を思い出していた
――すばらしい能力だねリップヴァーン中尉。さすがは「魔弾」 まさしく伝説の魔の猟師だ
少佐はリップヴァーンを褒め称えたが、一つ警告もした
アーカードはゆっくりと近づく
――歌劇の最後 狩りの魔王ザミエルをもて遊んだカスパールは
――ザミエルによって地獄へと連れ去られ、その骸は谷底へと投げ捨てられる
――亡霊を装いてたわむれなば 汝・亡霊となるべし
アーカードはゆっくりと中尉に手を伸ばす
――中尉 心せよ。君の前にも、魔王《ザミエル》が現れよう
顔を掴もうとする手に、中尉は無力だった。ただただ震えるばかり
だが間一髪、部下達の射撃によって救われる
「しっかりなさいッ中尉!! それでもヴェアヴォルフですかッ中尉ッ!!
少佐の御命令の時刻まであとわずかです!! それまでは!! 何としても……!!」
部下の激励の言葉は途中で止まった。銃撃の煙が消え、敵の姿が見えたせいだ
頭部の大半を、左上半身の大半を失って、骨を肉を露出させてなお、アーカードは立っていた
そして溶け出す闇――
- 284 :D7 2/2 :2009/07/21(火) 21:01:52 ID:???
- 「う…射ッ、撃てェッ」
「銃では駄目だ!! 手榴弾!! 手榴弾だ!!」
ありったけの攻撃がアーカードを襲う。だがやはり、アーカードは立っていた
翼のように広がる闇。その先端は月を掴むように伸ばされた腕である
次の瞬間、その腕は兵士達を襲った。仲間達がばらばらになっていく様を見て兵士は叫ぶ
「何だ何なんだお前はぁ!!」
その兵士もすぐに闇の腕に抱かれ、引き千切られる事となる
あとはリップヴァーンただ一人
彼女は、SR-71を撃ち落とそうとしたときの面影などまるで消え失せ
マスケット銃を抱いたまま震えていた
ただ一つの言葉だけを呟きながら
――ザミエル、と
- 285 :マロン名無しさん :2009/07/21(火) 21:09:08 ID:???
- なんだこの比類なき意気地無し
逆に怖いぞ、警備兵グール相手に無双したセラス的な意味で
- 286 :マロン名無しさん :2009/07/22(水) 00:16:10 ID:???
- 意気地なしと言ったって、遥か上空から戦闘機ごと落下したのに普通に生きてて
おまけに部下を軽く皆殺しにした奴を相手にしたら普通は心が折れるぞw
- 287 :マロン名無しさん :2009/07/22(水) 00:36:21 ID:???
- すまん今回のリップバーンには
欲 情 し た
- 288 :マロン名無しさん :2009/07/22(水) 18:33:32 ID:???
- リップの部下が格好良い
- 289 :D8 :2009/07/23(木) 20:58:38 ID:???
- イーグル炎上を最後に、爆煙によって状況の把握が出来なくなっている
しかしインテグラにしてみればイーグル炎上の報だけで十分過ぎた
「…………勝ちましたな」
「当然だ」
第33話 D8
「実にオーソドックスな攻城戦を行ったまでです。破壊槌の全長は30m。速度はマッハ3.2ですがね
かくして破壊槌は突き立ち城壁は打ち崩され、柵を破り堀を越え、私の兵隊は城内へと攻めのぼる
『何が起きているか』古今東西失陥寸前の城塞で起きている事など、たった一ツッきりでしょう
それは只只一方的な、虐殺」
まさしく、インテグラの述べたとおりになっていた
約束の時刻を告げるベルが鳴り響く周囲にあるのはひたすらに虐殺の痕跡
嗚咽を上げるリップヴァーンは、けたたましい音を上げる目覚まし時計を踏みつけた
その背後に立つのは虐殺を行った男
「さあ!! どうする!! どうするんだ魔弾の射手《リップバーンウィンクル》!!」
怯える魔弾は、まず周囲を見た。部下の死体、炎、煙、機体の残骸――
そして唇を強く噛むと、涙を拭う
その目は次第に力を取り戻し、かつての凶悪さに立ち戻っていた
「有象無象の区別無く 私の弾頭は許しはしないわ」
マスケット銃を構えるリップバーンを見るアーカードは嬉しそうだった
銃の一撃はアーカードを撃った。その威力はアーカードが勢いにおされ後退するほど
さらに弾頭は不可思議な軌跡を描いてさらにアーカードを襲う
「墜ちろ 墜ちろ 墜ちろ!! 墜ちて 滅びろ!!」
だがその弾頭が不意に――止まった。つかまえた、と。牙が銃弾を噛んでいる
「私はお前をつかまえた」
逃げようとするリップバーンを、甲高い靴音が追ってくる
肩を掴まれ、頬に一撃。飛ばされたリップバーンの首をアーカードが掴んで宙づりにする
アーカードはリップバーンのマスケット銃を胸部に押し当てた
肉が無理に引きちぎれる不快な音
さほど鋭利ではない銃身が、リップバーンの痩身を貫通する――
- 290 :マロン名無しさん :2009/07/23(木) 21:08:38 ID:???
- まさかの舌足らずアーカードwwwどこに向けてサービスしてんだwww
- 291 :マロン名無しさん :2009/07/24(金) 20:52:58 ID:???
- 流石に口に弾丸銜えたままじゃ普通に喋れないだろw
- 292 :マロン名無しさん :2009/07/25(土) 19:36:01 ID:???
- 吸血鬼なら口くらいいくらでも生やせるだろjk
口じゃないけど本人がそう言ってました
- 293 :D9 :2009/07/25(土) 20:57:05 ID:???
- リップヴァーンは悲鳴を上げる事しかできなかった
銃はリップヴァーンを貫通し、背後の壁に刺さっている。足は地面に届かない
ボタボタと血が滴り、それをアーカードが這い蹲って啜っていた
第34話 D9
アーカードの腕が変形する。関節の増えた腕は蟲のようだ。腕はリップヴァーンの首を絞める
さらに、床の血を舐めていた頭部が、新鮮な血を求めて首元に迫る
鋭い牙が、首に食らいついた。リップヴァーンは震える
『中尉良くやった。作戦は成功だ 完全に』
いつの間にかイーグル艦上にシュレディンガーが座っていた
会議の場に現れた時のように、少佐の姿を映したモニタを持っている
『水面にいくら石を投げ込んだとて、影をいくら踏みつけたとて、水面は消えず影は消えず
そういうものなのだ、それは。死の河だ
それは生も死も全てがペテンだ。何とも不死身で無敵で不敗で最強で馬鹿馬鹿しい』
すでにリップヴァーンの目は虚ろになっていて、少佐の言葉が届いているとは思えない
小さく震え、声を漏らすだけ。しかし少佐は話し続けた
「だが我々は打倒する。君の未帰還を以って 我々はアーカードを打倒する」
その傍らで博士が発火の為の装置を操作する。少佐がそれを止めた
「彼女は任務を果たした。完全に。完全に、だ。焼く事は許さん。――傾注《アハトォウン》!!」
アーカードの体から、闇がしみ出してきていた。闇は蠢くとリップヴァーンの体を覆っていく
「さようなら中尉。ヴァルハラで会おう。さようなら さようなら中尉」
その様を見ながら少佐は、兵は、口々に言う。さようなら、と
「ジークハイル」
そして兵達は、右腕を掲げた。完全に任務を果たしたリップヴァーンを称えて
「楽しいかアーカード。戦争は楽しい!!
凱歌を歌えアーカード。そしてそこで見ていればよい
私には見えるぞ。もう私の近眼の眼鏡ごしにもはっきりと見える
あの都市の輝きが。あの都市の尖塔が!!
凱歌を聞けアーカード。そしてそこで見ていればよい
大英帝国の崩壊《ブロークンイングリッシュ》を」
- 294 :マロン名無しさん :2009/07/25(土) 22:17:26 ID:???
- リップバーンのアヘ顔で抜いた
- 295 :マロン名無しさん :2009/07/25(土) 23:30:54 ID:???
- シュレディンガーの瞬間移動は海も渡れるのか
というか、モニター持ち運び出来るんだったらリップヴァーン救出してやればいいのに
それともやっぱり幻なんだろうか
- 296 :マロン名無しさん :2009/07/25(土) 23:47:14 ID:???
- >>294
早速変態が現れたか
まぁ俺も興奮したけど
- 297 :マロン名無しさん :2009/07/26(日) 04:08:12 ID:???
- 声が付いたら素晴らしいな
きっと素晴らしい
- 298 :マロン名無しさん :2009/07/27(月) 15:58:59 ID:???
- アニメ化とか見果てぬ夢だろw
- 299 :マロン名無しさん :2009/07/27(月) 15:59:29 ID:???
- 流石エロ作家
いい表情だなぁ
- 300 :マロン名無しさん :2009/07/27(月) 18:18:58 ID:???
- ナチスが堂々と出てる時点でOVAでも映像化は無理だなww
- 301 :XANADO 1/2 :2009/07/27(月) 21:14:29 ID:???
- 兵達が窓にかじりつく。外には欧州の、ロンドンの灯火が見えた
「そうだ あれが遂に我々が待ちに望んだ欧州のひかりだ。私は諸君らを約束通り連れて帰って来たぞ
あの懐かしの戦場へ。あの懐かしの戦場へ
そしてあしか《ゼーレヴェ》は遂に大洋を渡り 陸《おか》へとのぼる
ミレニアム大隊各員に伝達!! 大隊長命令である!!
さあ諸君 地獄を作るぞ」
第35話 XANADO
突然警報が鳴った。ペンウッド卿のもとに、政府中央情報統制本部との通信が途絶したと連絡が入る
さらにはロンドンBTN社管制局、アーク空軍基地――次々に連絡が来ては、拡大していく
「馬鹿な……!? 戦争でも始まったとでもいうのか!?」
そのペンウッド卿のばかげた考えこそが正解だった。近衛兵アイリッシュ連隊本営から
正体不明の敵と公選していると知らせが入る
少佐の始めた戦争に巻き込まれるのはこの本営も例外ではなかった
扉が破られ、武装した男達がなだれ込んでくる
ペンウッド卿はその中にいた中佐を問い詰める。中佐は鋭い牙を見せた
やはり永遠の命と引き替えに少佐に魂を売った男のようだ
ここでヘルシング卿を押さえられて幸運だと言う中佐に、インテグラが笑い出す
「おまえ達は生まれたばかりの赤子の様な吸血鬼で、私達はその吸血鬼のせん滅機関
しっぽも取れぬ赤子のかえるが蛇を前にして『幸運《ラッキー》』とは
笑える冗談だ売国奴。あの世で伍長に鉄十字章《アイアンクロス》をもらうといい」
激高して引き金に手をかけた男の腕が急に切れる
そう、先程吸血鬼達は真っ先にインテグラを押さえたが、その背後の執事にはなにもしなかった
中佐が身の程を知らない幸運を語っている間に、ウォルターは武器の意図を用意していたのだ
「執事《バトラー》。仕事だ」
「わかりました《ヤー》。お嬢さま《マイマスター》」
- 302 :XANADO 2/2 :2009/07/27(月) 21:16:01 ID:???
- 「さて御相手仕ろうぞ!! 赤子共!!」
襲いかかった吸血鬼は、ウォルターの腕の一降りでばらばらに切断される事となった
返り血がペンウッド卿の顔にかかる
「大丈夫ですかペンウッド卿。私はてっきり、あなたが裏切っていたのかと思いましたよ」
「私は無能かもしれんが、ひきょうものではないよインテグラ」
吸血鬼は倒したが、更なる報告が飛び込んでくる
ロンドン南方で信じがたいほど巨大な飛行船群を目撃した、と
防空本部とは連絡が途絶したまま。飛行船団は約数十分でロンドン上空へ到達するらしい
「疾っ走れ!! 疾っ走れ!! あのかすかに見える都市の尖塔へと向かって疾っ走れ!!
疾っ走れ!! 疾っ走れ!! 今でも思い出すあの喧騒と打撃へとむかって突っ走れ!!」
飛行船はうなり声を上げてロンドンへ迫る
その下には――アンデルセンがいた
- 303 :マロン名無しさん :2009/07/27(月) 21:25:52 ID:???
- インテグラ漢前すぎるw
あれだけ啖呵きっといて自分でやらない辺りが清々しいwww
にしてもミレニアムは盛り上がってるなあ
あいつら全員吸血鬼なのか?
いくらなんでも数多すぎるぜ
- 304 :マロン名無しさん :2009/07/28(火) 18:15:00 ID:???
- ミレニアムのおっさんどもが遠足ではしゃぐ子供みたい
- 305 :マロン名無しさん :2009/07/29(水) 07:08:41 ID:nylY/ZPK
- HELLSING OVA 6発売記念
c⌒っ*゚д゚)っφ 記念カキコ
もう数日前だけどwww
- 306 :FINAL FANTASY1 1/2 :2009/07/29(水) 21:28:44 ID:???
- 「……ッ!! …月がッ」
男が、真っ先にそれに気付いた
満月が、欠けている。満ち欠けなどではない。何か巨大なものに、遮られている
浸食は次第に大きくなり、人々は見上げる
月を欠けさせたものは、巨大な飛行船だった。どんどん近づいてくる
飛行船には鉤十字が刻まれていた
第36話 FINAL FANTASY1
「諸君 夜が来た
無敵の敗残兵諸君 最古参の新兵諸君
万願成就の夜が来た。戦争の夜へようこそ!!」
ロンドンへたどり着き、いよいよ戦争が始まる
少佐の言葉に、兵は目を輝かせ、腕を振り上げ沸き立った
「それでは皆様お手元のしおりを。『対英上陸戦第2次あしか《ゼーレヴェ》作戦』のしおり
3P目『ロンドン大爆発!! ぶっちぎりバトルヴァンパイアーズ』の項をごらんくださーい」
博士が、鉤十字が彫られたあしかが表紙の妙にファンシーなしおりを開く
准尉はしおりをなくしてしまったが、大尉に見せてもらう事になった
作戦の目標はヘルシング、そしてアーカードの打倒だという
少佐はゾーリン・ブリッツ中尉を呼ぶ。半身に奇妙な文様が彫られていたあの女である
先遣隊になるのは彼女のようだ。ただし、強攻は避け、本隊を待てとの指示
アーカードのいない今、本隊の手を煩わせないと言うゾーリンに、少佐は首を振る
アーカードがいなくても、まだインテグラとセラスがいるのだと
ヘルシングの末裔、吸血鬼狩り一族の当主、さらにアーカードの主人であるインテグラ
婦警、吸血鬼、まるで奇跡のような、冗談の様な存在であるというセラス
「2人共恐ろしく未熟で不完全で だがそれ故に
私は彼女らをアーカード同様『宿敵』に値する存在だ と結論している」
そして強攻するな、と念を押す。ゾーリンは了承した
- 307 :FINAL FANTASY1 2/2 :2009/07/29(水) 21:29:45 ID:???
- 「堰を切れ!! 戦争の濁流の堰を切れ!! 諸君!! 第一目標はロンドン全域!!」
議事堂、官邸、省庁舎、宮殿、聖堂、ロンドン塔、大英博物館、題詠図書館
政府施設、軍施設、あらゆるものを燃やし破壊し爆破しろと少佐は命じる
「かまうものか。目についた物は片端から壊し、目についた者は片端から喰らえ
存分に食い、存分に飲め。この人口800万の帝都は 今宵諸君らの晩飯と成り果てるのだ
さあ!! 諸君!! 殺したり殺されたり死んだり死なせたりしよう
さあ乾盃をしよう。宴は遂に今宵・此の時より開かれたのだ」
少佐が杯を掲げる。眼下には、急な飛行船の登場に驚くロンドン市民たち
杯が落ちていく。飲み干されなかった杯が、落ちて砕ける音が、真に宴の始まりの合図となった
飛行船からの攻撃が雨の様に降り注ぐ。さらに、後方から航空機が迫る
ただの一瞬で、ロンドンが阿鼻叫喚の地獄へと変貌した
破壊される時計台、爆破に、爆風に巻き込まれ破壊されていく人々
「大打撃 大打撃 V1改!! 全段発射!! 続いてV2改第2派発射及び……!! 降下準備!!」
- 308 :マロン名無しさん :2009/07/29(水) 22:06:44 ID:???
- サwブwタwイwwwwwwwww
- 309 :FINAL FANTASY2 1/2 :2009/08/01(土) 21:01:18 ID:???
- 「大打撃《dergrossschruck》 大打撃!! 大打撃!!」
ロンドンが燃えている。建造物も、町並みも、人も。少佐は腕を振り上げて叫ぶ
「まだだ!! まだだ!! もっと戦果を!! もっと戦火を!!」
第37話 FINAL FANTASY2
兵達も眼下の光景に見入っていた。戦火に包まれたロンドン、美しい地獄だと
「いくぞ前線豚ども。フライト時間だ」
吸血鬼たちの降下が始まる
急な襲撃に本営も大変な騒ぎになっていた
対応しようにも、首相、首脳部、軍部上層と連絡がつかない
そもそも主要な軍施設、通信中枢、指揮中枢は通信途絶、または交戦中という有様である
先程本営を襲った中佐と同じく、永遠の命に惹かれて裏切った売国奴がいたという事
インテグラは彼らを冷ややかに批判すると、ペンウッド卿に脱出を勧めた
だが、ペンウッド卿は自分だけ脱出する事は出来ないと言う
飛行船団から武装親衛隊《WAFFEN SS》の降下が確認されてもだ
「この有様ではここの指揮能力はほとんどありません。死ぬ気ですか」
「もしかしたら…もしかしたら通信が回復して命令が伝達するかもしれない
どこかの基地が敵を撃退して我々の指示を待っているかもしれない
わ、私はここの指揮者だ。ここが生きている限り離れる訳にはい、いかないだろう
インテグラ、私は駄目な男だ。無能だ。臆病者だ。自分でも何故こんな地位にいるかわからん程駄目な男だ
生まれついての家柄と地位だけで生きてきたも同然だ
自分で何もつかもうとしてこなかった
いつも人から与えられた地位と仕事《つとめ》をやってきた
だから せ、せめて仕事は。この仕事は全うしなきゃならないと思う…んだが…」
- 310 :FINAL FANTASY2 2/2 :2009/08/01(土) 21:02:25 ID:???
- 口調こそ弱気だったが、ペンウッド卿のはっきりとした意志だった
半刻とせず吸血鬼が確実になだれ込んでくる――それでも仕事を果たすために逃げない、という
インテグラもう止めようとはせず、は粒化銀弾頭の入った銃を置いていった
「御然らばです。ご武運を、ペンウッド卿」
「ああ。そして君もな。ヘルシング卿」
そしてペンウッド卿は、部下達にも逃げる様に指示する
必要最小限な人員、いや自分だけでいいから脱出しろと
それを聞いた部下達は笑い出した
「なッ何だッ何がおかしい。笑ってるヒマなんかないぞッ。速く逃げるんだッ!! 命令だぞッ」
だが、部下達はペンウッド卿の命令を聞かず、とんでもない事を言い出す
「再度国防総局へ通信を試みます。生きている回線の捜索を再開します」
状況が飲み込めないペンウッド卿を尻目に、この状況の対応策を進めていく
「何をしておるバカモンッ こんなコトにつき合う必要はないッ!!」
「何いってんです提督。あなたじゃコンソール一ッ動かせないでしょ」
「いつも通り座っててください。仕事の邪魔ですから」
恐ろしくないはずはないのだろう。皆冷や汗を流している
だがペンウッド卿の意志に応え、仕事《つとめ》を果たそうとしているのだ
「すまん皆。すまんな」
インテグラとウォルターだけが、本営を脱出した
「帰るぞ執事《ウォルター》。一刻も早く。市内を突っ切る。できるな」
「おおせのままに」
「私は私の仕事《つとめ》をしよう。このHELLSINGの身にかけて。吸血鬼ども!!」
二人もまた、仕事を果たすために
兵が近づいてくる。敵が迫ってくる
ロンドンに描かれた鉤十字。敵の笑い声が響く
- 311 :マロン名無しさん :2009/08/01(土) 22:22:18 ID:???
- この作品、一番かっこいいのって人間かもな
- 312 :マロン名無しさん :2009/08/01(土) 22:32:35 ID:???
- 外国の国民性や気質とかそれほど詳しくないけど
ああ、イギリス人だなって感じがするな
これだからジョンブルは
そんなだから衰退するのだ
- 313 :マロン名無しさん :2009/08/02(日) 06:13:58 ID:???
- だが、それがいい
- 314 :マロン名無しさん :2009/08/03(月) 15:29:41 ID:???
- 唐突なんだがセラスの英字綴りってSERACE?SERAS?それともどちらでもない?
- 315 :マロン名無しさん :2009/08/10(月) 01:27:45 ID:???
- クライマックスだなあ
- 316 :マロン名無しさん :2009/08/25(火) 16:20:25 ID:qVhXpQhH
- Thelace
- 317 :マロン名無しさん :2009/08/25(火) 16:21:42 ID:qVhXpQhH
- 違ったThelas
このカテゴリのトップページへ戻る│過去ログ倉庫トップページへ戻る